JP5415637B1 - 放射線検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で放射線の検出精度を向上可能な放射線検出装置を提供する。
【解決手段】放射線検出装置100は、放射線入射面に入射された放射線を蛍光に変換する平板状のシンチレータ1と、シンチレータに接合され、シンチレータで変換された蛍光を面方向に導光する透明導光板4と、透明導光板内を伝搬する蛍光の伝搬断面積を連続的または段階的に狭める透明導光板絞り部5と、露出される透明導光板および透明導光板絞り部の表面の少なくとも一部を覆う反射板と、透明導光板絞り部の蛍光出射口から出射された蛍光に応じた電気パルス信号を生成する複数のアバランシェフォトダイオード7と、複数のアバランシェフォトダイオードのそれぞれが生成した電気パルス信号のうち、すべてのアバランシェフォトダイオードが共通に生成した電気パルス信号を抽出する同時計数部22と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線の検出を行う放射線検出装置に関する。
従来の放射線検出装置では、大面積での放射線検出が可能なプラスチックシンチレータを使用したものが幅広く利用されている(特許文献1参照)。図19は、この種の従来の放射線検出装置の構造を示す断面図である。β線測定用のシンチレータの厚みは0.5mm以下が一般的である。図19の放射線検出装置30は、シンチレータ31から発光するシンチレーション光(以下、蛍光)を、ライトガイドや反射板32等を用いて光電子増倍管33に集光し、光電子増倍管33で検出した光信号パルスを計数回路で計数する。放射線を検出する検出装置30の面積は2000cm以上の大面積の物もある。大面積のシンチレータ31から効率良く光電子増倍管33に集光するには、図19の上方からシンチレータ31に入射されるβ線によってシンチレータ31内で発光した蛍光を下方向に散乱出射する。蛍光は検出装置30内の内部空間を反射しながら光電子増倍管33の受光部に入射される。蛍光を反射させるには、最低5cm程度の厚みを必要とし、厚みを薄くすると検出効率の低下を招く要因になる。このため、従来の検出装置30は、その筐体の厚みを薄くするのが困難で、筐体ケースや光電子増倍管33の重量で、どうしても重くなっていた。
β線検出用のシンチレータは、その厚さを0.5mm以下にできるため、シンチレータに導光部を接合して、シンチレータで生じた蛍光を、導光部内の横(水平)方向に伝搬させて光電子増倍管に集光させることも考えられる。ところが、シンチレータの面積が大きい場合には、シンチレータから導光部に導光される蛍光の強さが場所によってばらつき、放射線の検出感度の均一性が担保できなくなる。また、光電子増倍管のサイズにより、検出装置の厚みを5cm以下にするのは困難である。
一方、ファイバファイバシンチレータを使用して検出器の薄型化を図る技術が提案されている(特許文献2,3参照)。ところが、大面積の放射線検出装置を構成するには、搭載するファイバーシンチレータの本数が大量となり、コスト高になってしまう。
特開2002−006048号公報 特開平07−035867号公報 特開平11−211836号公報
ところで、アバランシェフォトダイオード(APD)は、光電子増倍管よりサイズが小さいため、検出装置を小型軽量化し易い上に、電子なだれによる増幅率が大きく、微弱の蛍光をパルス信号として計数することに適している。ところが、従来の光電子増倍管の受光部は、直径数cmの球面もしくは側面にて広い角度の光を集光できることに対し、APDは受光部が1.5mmφ程度と小さい上に、直線的に飛び込む光を受光する方式のため、従来の検出器に組み込んでも集光効率が悪くなる。
また、APDは、温度上昇に伴ってノイズが増えるという欠点がある。ディスクリ(検出閾値)を高くすることでノイズ量を低減できるが、60Coのように低エネルギーのβ線では発光する蛍光量が小さいため、ディスクリを高くすると60Coの測定効率が落ち込み、検出感度が低下する。このため、ノイズ成分と60Co成分の切り分けが困難となる。また、シンチレータから出る蛍光の波長ピーク値が400nm程度に対し、APD受光感度のピーク値は600nm以上が一般的であり、波長変換を実施する必要がある。これらの課題からAPDとβ線用シンチレーション検出器を組み合わせても、その実用化には種々の課題がある。
本発明は、簡易な構造で放射線の検出精度を向上可能な放射線検出装置を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、放射線入射面に入射された放射線を蛍光に変換する平板状のシンチレータと、
前記シンチレータに接合され、前記シンチレータで変換された蛍光を面方向に導光する透明導光板と、
前記透明導光板内を伝搬する蛍光の伝搬断面積を連続的または段階的に狭める透明導光板絞り部と、
露出される前記透明導光板および前記透明導光板絞り部の表面の少なくとも一部を覆う反射板と、
前記透明導光板絞り部の蛍光出射口から出射された蛍光に応じた電気パルス信号を生成する複数のアバランシェフォトダイオードと、
前記複数のアバランシェフォトダイオードのそれぞれが生成した電気パルス信号のうち、すべてのアバランシェフォトダイオードが共通に生成した電気パルス信号を抽出する同時計数部と、を備えることを特徴とする放射線検出装置である。
この態様によれば、シンチレータからの蛍光を、透明導光板の面方向に伝搬させることができる。また、透明導光板には透明導光板絞り部が接合されているため、透明導光板を伝搬した蛍光をアバランシェフォトダイオードまで導光させることができ、アバランシェフォトダイオードの光検出効率を向上できる。
また、透明導光板絞り部の蛍光出射口に光波長変換部を設ければ、蛍光の波長を、アバランシェフォトダイオードが最も感知しやすい波長帯域に変換できる。
さらに、集光光学系を設けることで、光波長変換部で波長変換した光をアバランシェフォトダイオードの受光面に集光させることができ、より光の検出効率を向上できる。
また、光波長変換部の出射面を粗面化することで、光波長変換部で逆方向に反射される光の割合を低減でき、アバランシェフォトダイオードでの受光強度を向上できる。
また、本発明の他の一態様は、放射線入射面に入射された放射線を蛍光に変換する平板状のシンチレータと、
前記シンチレータに接合され、前記シンチレータで変換された蛍光を面方向に導光する透明導光板と、
前記透明導光板内を伝搬する蛍光の伝搬経路面積を連続的または段階的に狭める透明導光板絞り部と、
露出される前記透明導光板および前記透明導光板絞り部の表面を覆う反射板と、
前記透明導光板絞り部の蛍光出射口に配置され、前記透明導光板絞り部を伝搬する蛍光の波長を他の波長に変換する光波長変換部と、
前記光波長変換部で波長変換された光に応じた電気パルス信号を生成するアバランシェフォトダイオードと、
前記アバランシェフォトダイオードを冷却する冷却部と、
前記アバランシェフォトダイオードの温度が所定の範囲内に収まるように前記冷却部を制御する温度制御部と、を備えることを特徴とする放射線検出装置である。
この態様によれば、アバランシェフォトダイオードの温度変動を抑制するような制御を行うため、アバランシェフォトダイオードの出力ノイズを低減でき、放射線の検出精度を向上できる。また、アバランシェフォトダイオードの温度変動を抑制することで、複数のアバランシェフォトダイオードで同時計数される電気パルス信号だけを抽出する処理を行わなくて済み、アバランシェフォトダイオードと信号増幅回路の数を削減できるとともに、同時計数回路も不要となる。
また、透明導光板の厚さを、蛍光の伝搬方向に向かって、連続的または段階的に広げることで、アバランシェフォトダイオードの方向に向かって透明導光板を伝搬する蛍光の割合を増やすことができるとともに、透明導光板を伝搬する蛍光の面内分布を均一化できる。
また、蛍光の伝搬方向における平均長さがそれぞれ異なる複数の導光薄板を積層して透明導光板を作製することにより、各導光薄板の表面に沿って進行する蛍光が多くなり、結果として、透明導光板を伝搬する蛍光の割合を増やすことができるとともに、透明導光板を伝搬する蛍光の面内分布を均一化できる。
また、透明導光板の傾斜部を鋸状とすることで、より面内分布を均一化できる。
また、シンチレータ内反射部を設けることで、シンチレータの内部を伝搬する蛍光を透明導光板の方向に反射させることでき、シンチレータの内部で消滅する蛍光の割合を減らせる。
また、シンチレータと透明導光板の間に介在される接着用の紫外線硬化型シートに蛍光制限部材を設けることで、透明導光板内での面内分布をより均一化できる。
この蛍光制限部材は、例えば、透明導光板の蛍光出射口から最遠位置側と透明導光板の蛍光出射口に近接した位置側において数多く配置するのが有効である。
また、透明導光板の蛍光出射口に反射部材を設けることで、透明導光板絞り部、光波長変換部およびアバランシェフォトダイオードを、透明導光板の裏面側に配置でき、放射線検出装置の小型化を図れる。
また、蛍光の伝搬方向に沿って、2つの透明導光板を並べて配置することで、大面積のシンチレータであっても、シンチレータの中央付近から左右両側に蛍光を集光することができ、集光効率の向上と面内分布の均一化を図れる。
また、それぞれがシンチレータ、透明導光板、透明導光板絞り部、光波長変換部およびアバランシェフォトダイオードを有する複数の構造体を、蛍光の伝搬方向に交差する方向に積み重ねることで、すべての構造体を突き抜ける性質のあるγ線による蛍光成分を排除して、β線のみの蛍光成分を容易に抽出できる。
また、それぞれがシンチレータ、透明導光板、透明導光板絞り部、光波長変換部およびアバランシェフォトダイオードを有する2つの構造体を、それぞれのシンチレータが外側を向くように蛍光の伝搬方向に交差する方向に積み重ねることで、パイプ等の円環部材の内壁や足場板の内壁の放射線検出が容易になる。
本発明によれば、簡易な構造で放射線の検出精度を向上できる。
本発明の第1の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図。 シンチレーション検出器1の蛍光伝搬方向における断面図。 図2Aの一部を拡大した断面図。 本発明の第2の実施形態に係る放射線検出装置100の断面図。 図3Aの一部を拡大した断面図。 本発明の第3の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図。 図4の構成に同時計数回路22を組み合わせた放射線検出装置100の概略構成を示す図。 本発明の第4の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図。 台形状の複数の導光薄板13を貼り合わせる前の状態を示す図。 複数の導光薄板13を貼り合わせた後の状態を示す図。 本発明の第6の実施形態に係る透明導光板4を示す図。 本発明の第7の実施形態に係るシンチレータ2の一部の構造を示す図。 第7の実施形態に係るシンチレータ2と透明導光板4の全体の構造を示す断面図。 第7の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図。 本発明の第8の実施形態に係るシンチレータ2および透明導光板4の一部の構造を示す図。 第8の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図。 本発明の第9の実施形態に係る放射線検出装置100の断面図。 第9の実施形態に係る放射線検出装置100の裏面側17を示す概略的な平面図。 本発明の第10の実施形態に係る放射線検出装置100の断面図。 第10の実施形態に係る放射線検出装置100の裏面側17を示す概略的な平面図。 本発明の第11の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示すブロック図。 2つの透明導光板4を対向配置させた放射線検出装置100の例を示す図。 放射線検出装置100の他の一例を示す図。 2つのAPD7で検出される電気パルス信号と、信号増幅回路21で設定される検出閾値レベルと、同時計数回路22で計数される電気パルス信号とを示す信号波形図。 非同時計数回路25で計数される電気パルス信号を示す信号波形図。 従来の検出器における137Csの発光を示す模式図。 従来の検出器における60Coの発光を示す模式図。 従来の検出器に下面微細プリズムを設けた場合の60Coの発光を示す模式図。 図6の放射線検出装置100における137Csの発光を示す模式図。 図6の放射線検出装置100を利用してシミュレーションを行った結果を示す図。 従来の放射線検出装置の構造を示す断面図。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図である。図1の放射線検出装置100は、シンチレーション検出器1と、複数のアバランシェフォトダイオード(以下、APD)7と、複数の信号増幅回路21と、同時計数回路22とを備えている。
図2Aはシンチレーション検出器1の蛍光伝搬方向における断面図、図2Bはその一部を拡大した断面図である。図2Aに示すように、シンチレーション検出器1は、シンチレータ2と、透明導光板4と、透明導光板絞り部5と、反射板9と、光波長変換部19と、複数の凸レンズ6とを有する。
シンチレータ2は、放射線入射面に入射された放射線をシンチレータ光(以下、蛍光)に変換する平板状のプラスチックシンチレータである。このシンチレータ2のサイズは、例えば、横23cm×縦18cmの414cmの面積であり、厚さ0.4mmである。
透明導光板4は、シンチレータ2の下面側の全面に接合されて、シンチレータ2で生じた蛍光を面方向に導光する。透明導光板4の材料は例えばアクリル板であり、その厚さは10mmである。
シンチレータ2と透明導光板4は、紫外線(UV)接着材で接着され、シンチレータ2の上面、すなわち透明導光板4の接着面とは反対側の面には、検出器膜3が糊付けされている。この検出器膜3は、放射線以外の光を遮光する目的で設けられている。
透明導光板絞り部5は、透明導光板4内を伝搬する蛍光の伝搬断面積を連続的または段階的に狭める形状を有する。図1の例では、透明導光板絞り部5の表面をなだらかな曲面にしているが、角面形状でもよい。
反射板9は、露出される透明導光板4および透明導光板絞り部5の表面の少なくとも一部を覆う。例えば、反射板9は、透明導光板4に、鏡面反射部材としてアルミナ系の塗料を吹き付け塗装した上に、ピンホールによる光漏れを防止するためにアルミニウムのテープを貼付して、外光を完全に遮断したものである。
光波長変換部19は、透明導光板絞り部5の蛍光出射口に張り合わされて、透明導光板絞り部5を伝搬する蛍光の波長(例えば420nm)を、APD7が感知可能な他の波長(例えばAPD7の最大感度波長620nmに近い波長)に変換する。光波長変換部19の材料としては、例えば、赤色蛍光ガラスのルミラス−R7が用いられる。
図2Bに拡大図示するように、光波長変換部19を構成する赤色蛍光ガラスには凸レンズ6が接着されている。凸レンズ6は、図2Bの奥行き方向(紙面の表裏方向)に複数個配置されている。赤色蛍光ガラスで波長変換された光は、凸レンズ6で集光されて、APD7の受光面8に入射される。
APD7の受光面8は1.5mmφと非常に小さいため、凸レンズ6の焦点がAPD7の受光面8に一致するように凸レンズ6とAPD7は位置合わせされる。
複数のAPD7と複数の信号増幅回路21は、少なくとも2個ずつ設けられる。各APD7は、光波長変換部19が波長変換した光信号を受光して、電気パルス信号を生成する。この電気パルス信号は、対応する信号増幅回路21に入力されて、所定の検出閾値レベルを超える電気パルス信号が抽出される。以下では、2個のAPD7と2個の信号増幅回路21を設ける例を説明するが、APD7と信号増幅回路21は、2個以上であれば、その数には特に制限はない。
同時計数回路22は、2個のAPD7が同時に検出した電気パルス信号の数を計測する。同時計数回路22が計測した電気パルス信号の数は、例えばスケーラ回路に入力されて、放射線の強度の検出が行われる。
このように、第1の実施形態に係る放射線検出装置100では、シンチレータ2で生じた蛍光を、透明導光板4の面方向に沿って伝搬させて、透明導光板絞り部5を介して光波長変換部19に入射させるため、光波長変換部19への蛍光の入射効率を向上できる。また、光波長変換部19には凸レンズ6が接着されているため、凸レンズ6を通過した光を効率よくAPD7の受光面8に集光させることができる。これにより、わずか2個のAPD7だけで、放射線を精度よく検出できる。
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、凸レンズ6を省略したものである。
図3Aは本発明の第2の実施形態に係る放射線検出装置100の断面図、図3Bはその一部を拡大した断面図である。第2の実施形態に係る放射線検出装置100は、光波長変換部19の構造が第1の実施形態とは異なっている。
第2の実施形態に係る光波長変換部19は、図3Aおよび図3Bに示すように、透明導光板再絞り部10と、光波長変換ガラス19aとを有する。透明導光板再絞り部10は、透明導光板絞り部5の出射口よりもさらに口径を小さくして、蛍光の伝搬する経路を絞り込む。光波長変換ガラス19aは、透明導光板再絞り部10の出射口に張り合わされている。
透明導光板絞り部5は例えば厚さ10mmのアクリル板で形成される。透明導光板再絞り部10は、アクリル板の厚みを、例えば10mmから3mmまで連続的に絞り込んだ曲面形状(あるいは角面形状)を有する。光波長変換ガラス19aのAPD7側の面11は、粗面処理されて微細プリズム構造にしている。仮に光波長変換ガラス19aのAPD7側の面11を鏡面にすると、この面11で光が反射されて、逆側に戻ってしまう。このため、この面11を微細プリズム構造にすることで、透明導光板再絞り部10を通過した光をより多くAPD7側に導光させることができ、APD7への光の入射効率を向上できる。
(第3の実施形態)
以下に説明する第3の実施形態は、APD7でのノイズを低減して、同時計数回路22を不要とするものである。
図4は本発明の第3の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図である。図4の放射線検出装置100は、凸レンズ6とAPD7を1個ずつ備えている。この他、図4の放射線検出装置100は、APD7を冷却する冷却部20と、冷却部20を制御する温度コントローラ(温度制御部)24とを備えている。
APD7の出力は、高い温度環境下や温度変化が大きい場所では、ノイズが多くなるため、図1に示したような同時計数回路22を設けてノイズを除去するか、あるいはAPD7を冷却してAPD7自体から発生するノイズを抑制する必要がある。本実施形態は、例えばペルチェ素子などからなる小型の冷却部20を設けてAPD7を直接冷却し、APD7自体から発生するノイズを低減する。より具体的には、温度コントローラ24によりペルチェ素子20を制御し、APD7が常に一定の温度になるように制御する。
これにより、1個のAPD7だけで、放射線の検出が可能となり、APD7と凸レンズ6の数を1個ずつ削減できるとともに、同時計数回路22も不要となる。
なお、ペルチェ素子20だけではAPD7の温度を一定に維持できないほどの高温度環境下や温度変化が非常に激しい場所で放射線検出を行う場合は、図4の構成に同時計数回路22を組み合わせて使用するのが望ましい。この場合の概略構成は、図5のようになる。
図5の放射線検出装置100は、図1と同様に、凸レンズ6とAPD7を2個ずつ備え、これに加えて、図4と同様に、冷却部20と温度コントローラ24を備えている。冷却部20は、2個のAPD7をともに冷却するものである。
図5の放射線検出装置100によれば、2個のAPD7を冷却した状態で、同時計数回路22で計数された回数に基づいて放射線を検出するため、高温度環境下や温度変化が大きい場所でも、APD7のノイズを抑制できる。
(第4の実施形態)
以下に説明する第4の実施形態は、透明導光板4に傾斜部を設けて、蛍光が蛍光出射口に伝搬されやすくするものである。
図6は本発明の第4の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図である。図6の放射線検出装置100は、透明導光板4の形状が図1とは異なっている。図6の透明導光板4は、蛍光の伝搬方向に向かって、その厚さが連続的に広がっている。透明導光板4は、例えば10mm厚のアクリル板の角部を研削して形成された傾斜部4aを有する。傾斜部4aは、シンチレータ2の下方に配置されて、傾斜部4aには反射板9が接着される。透明導光板4の厚さが小さい箇所ほど、APD7から遠くに位置するように透明導光板4は配置される。
シンチレータ2から透明導光板4に入射された蛍光は、シンチレータ2と反射板9で反射されながら透明導光板4の内部を伝搬するが、図1のように厚さが均一な透明導光板4を用いると、透明導光板4の出射口まで達することなく消滅する蛍光の割合が多くなる。特に、APD7から最遠位置にある透明導光板4の端部付近に入射された蛍光の集光効率が悪くて、APD7から最近位置にある透明導光板4の端部付近に入射された蛍光の集光効率が良いという面内分布の不均一が生じる可能性がある。
これに対して、図6のような傾斜部4aを有する透明導光板4を用いると、APD7から最遠位置にある透明導光板4の端部付近に入射された蛍光を効率よくAPD7の方向に伝搬させることができ、面内分布の均一性を向上できる。
一例として、透明導光板4の蛍光伝搬方向の全長(例えば230mm)にわたって傾斜部4aを設け、APD7の最遠位置での透明導光板4の厚さを1mm、APD7の最近位置での透明導光板4の厚さを10mmとする。傾斜部4aは、透明導光板4の材料であるアクリル板を研削した後に、鏡面仕上げを行って、蛍光の反射効率を高める。また、アクリル板の表面には、反射板9の材料であるアルミナ系の塗料を吹き付け塗装した上に、ピンホールによる光漏れを防止するためにアルミニウムのテープを貼付して、外光を完全に遮断する。
このように、透明導光板4に傾斜部4aを設けることで、APD7から最遠位置側の透明導光板4の端部付近に入射された蛍光の集光効率を向上でき、面内分布を均一化できる。また、傾斜部4aを鏡面仕上げにすることで、光の乱反射を無くしてAPD7側への集光効率を向上させることができる。
(第5の実施形態)
以下に説明する第5の実施形態は、台形状の複数の導光薄板を積層して透明導光板4を作製するものである。
図7Aおよび図7Bは本発明の第5の実施形態に係る透明導光板4を示す図であり、図7Aは台形状の複数の導光薄板13を貼り合わせる前の状態を示す図、図7Bは貼り合わせた後の状態を示す図である。
複数の導光薄板13のそれぞれは、蛍光の伝搬方向における平均長さがそれぞれ異なる台形状であり、これらを積層することで、図7Bのような傾斜部4aを有する透明導光板4が作製される。
導光薄板13のサイズや積層数には特に制限はないが、例えば2mm厚の5枚の導光薄板13を積層して透明導光板4が作製される。この場合、例えば、最上層のアクリル板の蛍光伝搬方向の長さを30cm、2層目のアクリル板の長さを25.4cm、3層目のアクリル板の長さを20.8cm、4層目のアクリル板の長さを16.2cm、5層目のアクリル板の長さを11.6cmとし、各アクリル板に4.6cm幅の傾斜を付ける。また、各アクリル板の左端の厚さを0.5mm厚とする。左端の厚さを0.5mmとするのは、光の性質として、反射成分以外に透明材料の表層付近を流れる成分があることが分かっており、表層付近を流れる成分を反射でAPD7側に流す必要があるためである。
このように、図7Aおよび図7Bに示すように、複数の導光薄板13を積層して透明導光板4を作製することで、各導光薄板13の表層付近を流れる蛍光の割合を多くして、透明導光板4における蛍光の伝搬効率を向上させることができる。
また、シンチレータ2は、光透過率が高くないため、透明導光板4に傾斜部4aを設けることで、透明導光板4または反射板9で反射した蛍光がシンチレータ2側に戻る割合を減らして、透明導光板4を伝搬する蛍光の割合を増やすことができ、APD7で集光される光量も増やせる。
さらに、図7Bの傾斜部4aも、図6の傾斜部4aと同様に鏡面仕上げを行うことで、図6のように1枚のアクリル板で透明導光板4を作製する場合よりも、APD7での集光効率を向上でき、また、面内分布は図6と同様になる。
(第6の実施形態)
以下に説明する第6の実施形態は、透明導光板4の傾斜部4aに段差を持たせたものである。
図8は本発明の第6の実施形態に係る透明導光板4を示す図である。図8の透明導光板4の傾斜部4aは、鋸状の段差14を有する。透明導光板4のAPD7から最遠位置側の厚さが最も薄く、APD7から最近位置側の厚さが最も厚い。この鋸状の段差14は、例えばアクリル板を研削して形成される。この段差の表面は、研磨した上で吹き付け塗装し、さらにアルミニウムのテープを貼付してピンホールによる光漏れを無くしている。
透明導光板4の傾斜部4aを鋸状の段差14にすることで、第4および第5の実施形態よりも、面内分布をより均一化できる。また、面内分布がより均一化されるように、傾斜部4aの段差の形状を最適化することもできる。
(第7の実施形態)
以下に説明する第7の実施形態は、シンチレータ2内を伝搬する蛍光を透明導光板4の方向に導光する機能を設けたものである。
図9Aは本発明の第7の実施形態に係るシンチレータ2の一部の構造を示す図、図9Bは第7の実施形態に係るシンチレータ2と透明導光板4の全体の構造を示す断面図、図9Cは第7の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図である。
図9Aのシンチレータ2は、その中心位置付近にプリズム16が埋め込まれている。このプリズム16は、シンチレータ2内を水平面方向に伝搬する蛍光を透明導光板4の方向に反射させるためのものである。このプリズム16を埋め込むにあたって、シンチレータ2に例えば0.4mmのプリズム溝15を形成する。この溝を作製する際、溝の表面が荒れていると、蛍光が散乱して、透明導光板4の方向に進行せずに、シンチレータ2側に反射して消滅する蛍光成分が多くなる。このため、シンチレータ2を研削して小さな溝を形成した後に、シンチレータ2を約50℃のお湯に浸して柔らかくした後に、この溝に断面が三角形の金属部材を強く押しつけながら研磨して、プリズム溝15を作製する。次に、このプリズム溝15に、反射材としてアルミナ系の塗料を流し込んでプリズム16を完成させる。
シンチレータ2の内部を伝搬する蛍光は、プリズム16で反射されて、下方に向きを変えて進行し、透明導光板4に入射する。これにより、シンチレータ2の内部で消滅する蛍光の割合を減らすことができ、透明導光板4に入射される蛍光の割合を増やすことができる。
プリズム16は、例えば図9Cに示すように、シンチレータ2の放射線検出面の縦方向および横方向の中心線に沿って十字状に配置される。これにより、シンチレータ2の任意の場所で発生した蛍光がプリズム16で反射されやすくなる。
なお、プリズム16は、必ずしも十字状に配置する必要はなく、例えば縦方向の中心線のみに沿って配置してもよいし、横方向の中心線のみに沿って配置してもよい。
(第8の実施形態)
以下に説明する第8の実施形態は、面内分布の均一化を図る部材を付加するものである。
図10Aは本発明の第8の実施形態に係るシンチレータ2および透明導光板4の一部の構造を示す図、図10Bは第8の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示す図である。
シンチレータ2と透明導光板4とは、UV硬化型透明シート等のUV接着材で接着されるが、UV硬化型透明シートのシンチレータ2側の面に斑点状の艶消し黒色塗装を施し、その裏面側にアルミナ系の銀色塗装を施した蛍光制限部材18を設ける。このようなUV硬化型透明シートをシンチレータ2と透明導光板4の間に挟み込んで、紫外線を照射することにより、シンチレータ2と透明導光板4は接着される。
斑点状の蛍光制限部材18のシンチレータ2側の面には、艶消し黒色塗装が施されているため、この斑点に入射された蛍光は透明導光板4に入り込まずに消滅する。また、この蛍光制限部材18の裏面側には、反射性に優れた銀色塗装が施されているため、透明導光板4から斑点の裏面に入射された蛍光は、シンチレータ2の内部には入り込まずに反射される。これにより、透明導光板4からシンチレータ2に戻る蛍光の割合を減らすことができる。
本実施形態では、本発明者が行ったシミュレーションの結果を踏まえて、図10Bに示すように、APD7の最遠位置側での蛍光制限部材18の密度を最大にし、その近接位置では、蛍光制限部材18をまったくなくし、その位置からAPD7に近づくにつれて蛍光制限部材18の密度を増やすようにしている。このような密度の蛍光制限部材18を設けることで、面内分布の均一度を80%以上にすることができた。
(第9の実施形態)
以下に説明する第9の実施形態は、透明導光板絞り部5、光波長変換部19およびAPD7を透明導光板4の裏面側に配置するものである。
図11Aは本発明の第9の実施形態に係る放射線検出装置100の断面図、図11Bは第9の実施形態に係る放射線検出装置100の裏面側17を示す概略的な平面図である。
図11Aの放射線検出装置100は、透明導光板4の蛍光出射口に配置される反転プリズム16(反射部材)を有する。また、透明導光板4の蛍光出射口は、蛍光の反射を抑制して、蛍光が反転プリズム16に入射しやすくするために、粗面処理されて、微細プリズムが形成されている。
透明導光板4から反転プリズム16に入射された蛍光は、反転プリズム16で反射されて、透明導光板4の裏面側に導光される。よって、透明導光板絞り部5、光波長変換部19およびAPD7は、図11Bに示すように、透明導光板4の裏面側に配置されている。これにより、放射線検出装置100の全長を短くでき、小型化が図れる。
(第10の実施形態)
以下に説明する第10の実施形態は、シンチレータ2で生じた蛍光を左右に振り分けて集光するものである。
図12Aは本発明の第10の実施形態に係る放射線検出装置100の断面図、図12Bは第10の実施形態に係る放射線検出装置100の裏面側17を示す概略的な平面図である。
人間の身体放射線汚染モニタ等の大型の放射線検出装置100を作製する場合、シンチレータ2の片側だけに蛍光を集めただけでは、集光効率が低下し、面内分布の均一性も悪くなる。そこで、本実施形態では、シンチレータ2の中心部から両端部にかけて、透明導光板4の厚さが連続的に増大する傾斜部4aを2つ設けて、シンチレータ2で生じた蛍光を左右に振り分けて集光し、面内分布の均一性の向上を図る。
透明導光板4は、例えば図12Aに示すように、シンチレータ2の中央部側の厚さが例えば1mmで、左右端の厚さが例えば10mmの2つの傾斜部4aを有する。
透明導光板4は、シンチレータ2の中央部付近の厚さが薄いため、この付近を強く押されても破損しないように、支え金具26により、強固に固定されている。
透明導光板4は、傾斜部4aを有する同じサイズの2枚の透明導光板4を対向配置させたものであり、シンチレータ2の中央付近に、2枚の透明導光板4の厚さ1mmの端部を密着配置させて、アクリル接着剤で接着する。
図12Aの放射線検出装置100は、各透明導光板4ごとに図11Aと同様の反射プリズム16を備えており、各透明導光板4ごとに設けられる透明導光板絞り部5、光波長変換部19、APD7、信号増幅回路21および同時計数回路22は、透明導光板4の裏面側に配置されている。
このように、2枚の透明導光板4を左右に並べても、反射プリズム16を設けることにより、放射線検出装置100の横幅の増大を抑制できる。
図12Aの放射線検出装置100では、2つの同時計数回路22で計数した電気パルス信号はそれぞれ、スケーラ回路に送られる。
(第11の実施形態)
以下に説明する第11の実施形態では、γ線の検出結果を排除するものである。
図13は本発明の第11の実施形態に係る放射線検出装置100の概略構成を示すブロック図であり、地面または床面の放射線検出を行うフロアモニタとして用いられるものである。図13では、図6と同様の構造のシンチレーション検出器1を2つ上下に重ねて配置している。また、各シンチレーション検出器1ごとに、2つの信号増幅回路21と、同時計数回路22とを有する。この他、図13の放射線検出装置100は、非同時計数回路25を備えている。
2つのシンチレーション検出器1では、β線の感度とγ線の感度はともに同じ性能になる。放射線の汚染物を図13の放射線検出装置100の下方に置いた場合、60Co等によるβ線は、図13の下側のシンチレーション検出器1のみで検出され、上側のシンチレーション検出器1では検出されない。
これに対して、γ線は、上下のシンチレーション検出器1をともに通過し、γ線による蛍光は、両方のシンチレーション検出器1で検出される。
そこで、図13の放射線検出装置100は、非同時計数回路25を設けて、γ線の計数結果を排除する。
より具体的には、各シンチレーション検出器1から出力された電気パルス信号は、信号増幅回路21を介して同時計数回路22に入力され、両方のAPD7で検出された電気パルス信号の数が計数される。同時計数回路22の出力は、非同時計数回路25に入力されて、両方の同時計数回路22で計数された電気パルス信号はγ線によるものと判断されて、排除される。これにより、β線のみの検出感度を向上させる。
2つのシンチレーション検出器1の具体的な配置は図13に示したものに限定されない。例えば、図14Aは2つの透明導光板4を外側に対向配置させた放射線検出装置100の例を示す図である。図14Aの放射線検出装置100は、例えばパイプ等の中空の円環部材の内部の放射線を検出するために使用可能である。円環部材の内壁に沿って、2つのシンチレータ2が配置されるため、内壁からの放射線を2つのシンチレータ2で精度よく検出することができる。また、放射線のうち、γ線は、2つのシンチレータ2を通過するため、非同時計数回路25にてγ線を排除して、β線のみを検出することができる。
図14Bは放射線検出装置100の他の一例を示す図である。この放射線検出装置100も、対向する外側の2面に沿ってシンチレータ2が配置されており、シンチレーション検出器1の断面構造は図14Aと同様である。
図14Bの放射線検出装置100は、水平面から立設された足場板の内側側面の放射線を検出するために使用可能である。また、γ線を排除してβ線のみを検出できる点でも、図13や図14Aと同様である。
図15は2つのAPD7で検出される電気パルス信号と、信号増幅回路21で設定されるディスクリ(検出閾値レベル)と、同時計数回路22で計数される電気パルス信号とを示す信号波形図である。信号増幅回路21は、APD7が生成する電気パルス信号のうち、検出閾値レベルを超える電気パルス信号のみを抽出して、同時計数回路22に送る。同時計数回路22は、2つの信号増幅回路21から同時刻に出力された電気パルス信号を、放射線検出結果として検出すべく、出力する。これにより、図15の例では、合計6つの電気パルス信号が同時計数回路22で計数される。
図16は非同時計数回路25で計数される電気パルス信号を示す信号波形図である。非同時計数回路25は、2つの同時計数回路22が計数した電気パルス信号のうち、2つの同時計数回路22が同時に計数した電気パルス信号をγ線によるものと判断して、この電気パルス信号を排除して、残りの電気パルス信号を出力する。これにより、図16の例では、合計5つの電気パルス信号が非同時計数回路25で計数される。
上述した第1〜第11の実施形態では、1個または複数個のAPD7を用いて蛍光に応じた電気パルス信号を生成する例を説明したが、単体のAPD7を1個または複数個用いる代わりに、APD7を二次元に並列接続してワンパッケージにしたMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)を用いてもよい。MPPCでは、個々のAPD7が個別に光−電気変換を行うため、より微弱な光も検出することができる。
また、上述した各実施形態では、シンチレータ2で生じた蛍光の波長を、光波長変換部19で波長変換する例を説明したが、シンチレータ2の内部に波長変換材を含有させて、シンチレータ2の内部で、APD7での感知に優れた波長の蛍光を生じさせてもよい。この場合、光波長変換部19が不要となり、放射線検出装置1の構成をさらに簡略化できる。
本発明者は、本発明の実施形態に係る放射線検出装置100を開発するにあたり、放射線検出装置100での光の反射、屈折を計算し、検出器構造、集光効率、面内分布をシミュレーションで検討しながら進めた。より具体的には、フレネルの式、スネルの法則、平面と光線の交点を求める式の3種類を組み合わせてシミュレーションを行った。
放射線検出装置100内での光の挙動について、U36Cl、137Cs、60Coのβ線がシンチレータ2に飛び込み、シンチレータ2の厚さ断面のどの位置で強く発光するかを検討した。β線は、シンチレータ2内では連続スペクトルでエネルギーが吸収されるが、シンチレータ2の表面部で蛍光体に衝突した時点で大きくエネルギー吸収され、その後は吸収が少なくなり、β線の停止直前に吸収が大きくなる。この吸収エネルギーがシンチレータ2での発光量に比例する。図17A〜図17Dは、従来の放射線検出装置100のシンチレータ2内での137Cs、60Coのβ線のエネルギー吸収に伴う発光位置と光の反射を模擬したものである。
図17Aは、137Csがシンチレータ2の表層部で強く発光し、シンチレータ2内を進んでいる間は弱く発光し、0.3mm程度進んで再度強く発光して、β線が停止する様子を示す模式図である。その光が反射膜側、シンチレータ2内、下部空気層に反射しながら光電子増倍管側に抜けて行く。ところが、中には、反射膜で反射後にシンチレータ2の上面に張り付く蛍光a、シンチレータ2の上面に張り付く蛍光b、シンチレータ2の裏面に張り付く蛍光c、シンチレータ2内で反射を繰り返す蛍光d、シンチレータ2から抜けて光電子増倍管に進行する蛍光eがある。蛍光a,b,c,dは、光電子増倍管側に抜けて行かないものであり、放射線の検出効率が低下してしまう。
図17Bは、60Coがシンチレータ2の表層部で強く発光し、シンチレータ2内を進んでいる間は弱く発光し、0.1mm程度進んで強く発光してβ線が停止している模式図である。図17Bの場合も、図17Aと同様に、光電子増倍管側に抜けて行かない蛍光a,b,c,dがあり、やはり放射線の検出効率が低下してしまう。
図17Cは、従来の放射線検出装置100で行われた検出効率の改善の方策であり、60Coの蛍光のうち、上述したシンチレータ2の裏面に張り付く蛍光cとシンチレータ2内で反射を繰り返す蛍光dとが光電子増倍管に抜けるように下面微細プリズムを設けたものである。
図17Dは、上述した図6の放射線検出装置100において、137Csの吸収エネルギーによりシンチレータ2内で発光を行い、シンチレータ2とアクリル板からなる透明導光板4の間で反射しながら最終的にAPD7に向かう例を示す模式図である。この図で、左側に向かった反射光は左端まで到達後に右側に反転してAPD7側に向かうが、反射および屈折回数が多くなり、それだけ蛍光の収率が落ちてしまう。シンチレータ2の上面に接着される検出器膜3の反射率は、一般的に入手可能な材料の中で、最高の反射率である銀蒸着膜の反射率98.5%を用いた。シンチレータ2の密度はサンゴバン社製シンチレータ2BC−400のカタログ値を使用した。透明導光板4の材料であるアクリル板は透過率100%とした。
本シミュレーションでは、β線の最大エネルギーとシンチレータ2の密度、β線の吸収曲線、シンチレータ2に飛び込むβ線の角度を考慮し、シンチレータ2が0.4mm厚の場合、Uのβ線では表面から0.3mm、36Clと137Csのβ線では0.2mm、60Coのβ線では0.1mm付近が、それぞれの発光ピークと仮定した。面内分布は36Clで評価されるため、0.4mm厚のシンチレータ2では、0.2mm位置で発光すると仮定し、この0.2mmの深さ位置を起点とし、起点位置では360°方向に蛍光が射出され、反射と屈折を繰り返しながらAPD7方向に向かう光の反射と屈折のシミュレーションを行った。
このシミュレーションで集光効率及び面内分布を求め、透明導光板4の寸法、厚さ、傾斜角での最適構造を探った。
図18は幅23cmの図6の放射線検出装置100を利用してシミュレーションを行った結果である。このシミュレーションでは、1)シンチレータ2の上面側と下面側に空気層が有る場合(波形w1)、2)上面側の空気層を無くした場合(波形w2)、3)上・下面両方の空気層を無くした場合(波形w3)の3通りについてグラフ化した。
図18からわかるように、上面側の空気層を無くし、下面に空気層が有る場合(波形w2)が最も良い面内分布となることが分った。
1 シンチレーション検出器、2 シンチレータ、3 検出器膜、4 透明導光板、4a 透明導光板傾斜部5 透明導光板絞り部、6 凸レンズ、7 APD、8 APD受光面、9 反射板、10 透明導光板湾再絞り部、11 蛍光出射粗面、12 傾斜透明導光板、13 台形傾斜透明導光板、14 ノコギリ形傾斜透明導光板、15 検出器面プリズム溝、16 光反転プリズム、17 検出器裏面側、18 蛍光制限部材、19 光波長変換ガラス、20 ペルチェ素子、21 信号増幅回路、22 同時計数回路、24 温度制御部、26 検出器中心部支え金具、30 放射線検出装置、31 シンチレータ、32 反射板、100 放射線検出装置

Claims (4)

  1. 放射線入射面に入射された放射線を蛍光に変換する平板状のシンチレータと、
    前記シンチレータに接合され、前記シンチレータで変換された蛍光を面方向に導光する透明導光板と、
    前記透明導光板内を伝搬する蛍光の伝搬断面積を連続的または段階的に狭める透明導光板絞り部と、
    露出される前記透明導光板および前記透明導光板絞り部の表面の少なくとも一部を覆う反射板と、
    前記透明導光板絞り部の蛍光出射口から出射された蛍光に応じた電気パルス信号を生成する複数のアバランシェフォトダイオードと、
    前記複数のアバランシェフォトダイオードのそれぞれが生成した電気パルス信号のうち、すべてのアバランシェフォトダイオードが共通に生成した電気パルス信号を抽出する同時計数部と、を備えることを特徴とする放射線検出装置。
  2. 放射線入射面に入射された放射線を蛍光に変換する平板状のシンチレータと、
    前記シンチレータに接合され、前記シンチレータで変換された蛍光を面方向に導光する透明導光板と、
    前記透明導光板内を伝搬する蛍光の伝搬断面積を連続的または段階的に狭める透明導光板絞り部と、
    露出される前記透明導光板および前記透明導光板絞り部の表面の少なくとも一部を覆う反射板と、
    前記透明導光板絞り部の蛍光出射口から出射された蛍光に応じた電気パルス信号を生成する複数のアバランシェフォトダイオードと、
    前記複数のアバランシェフォトダイオードのそれぞれが生成した電気パルス信号のうち、すべてのアバランシェフォトダイオードが共通に生成した電気パルス信号を抽出する同時計数部と、を備え、
    前記透明導光板は、前記蛍光の伝搬方向に向かって、厚さが連続的または段階的に広がっており、
    前記透明導光板は、前記蛍光の伝搬方向における平均長さがそれぞれ異なる複数の導光薄板を積層して構成されることを特徴とする放射線検出装置。
  3. 放射線入射面に入射された放射線を蛍光に変換する平板状のシンチレータと、
    前記シンチレータに接合され、前記シンチレータで変換された蛍光を面方向に導光する透明導光板と、
    前記透明導光板内を伝搬する蛍光の伝搬断面積を連続的または段階的に狭める透明導光板絞り部と、
    露出される前記透明導光板および前記透明導光板絞り部の表面の少なくとも一部を覆う反射板と、
    前記透明導光板絞り部の蛍光出射口から出射された蛍光に応じた電気パルス信号を生成する複数のアバランシェフォトダイオードと、
    前記複数のアバランシェフォトダイオードのそれぞれが生成した電気パルス信号のうち、すべてのアバランシェフォトダイオードが共通に生成した電気パルス信号を抽出する同時計数部と、
    前記シンチレータと前記透明導光板との間に介在して、前記シンチレータと前記透明導光板とを接合する紫外線硬化型シートと、を備え、
    前記紫外線硬化型シートの複数箇所には、前記シンチレータから伝搬してくる蛍光を遮断し、前記反射板で反射された蛍光を反射させる複数の蛍光制限部材が設けられることを特徴とする放射線検出装置。
  4. 前記複数の蛍光制限部材は、前記透明導光板の前記シンチレータ側の表面での蛍光の面内分布のばらつきが所定範囲内に収まるように、前記透明導光板の蛍光出射口から最遠位置側と前記透明導光板の蛍光出射口に近接した位置側において数多く配置されることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出装置。
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