JP7140902B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子線装置に係り、特に、光を高効率に受光素子に導くライトガイドを備えた荷電粒子線装置に関する。
試料に電子ビーム等の荷電粒子線を照射することによって得られる荷電粒子を検出する荷電粒子線装置には、荷電粒子を検出するための検出器が備えられている。例えば検出器は、試料に荷電粒子線を照射することによって発生する第2の荷電粒子を捉えて光に変換するシンチレータなどの荷電検出素子、荷電検出素子で発光した光を電気信号に変換する受光素子、荷電検出素子の発光光を受光素子まで伝搬させるライトガイドを備える。受光素子から出力された電気信号は、画像信号や波形信号となる。
近年、検出対象に応じてさまざまな検出器が提案されている。例えば、半導体デバイスの評価・計測装置として用いられている走査電子顕微鏡の場合、メモリなど半導体デバイスの構造は3D化が進んでいることから、歩留まり向上のため半導体基板上の穴や溝形状の底部寸法を高精度に計測したいというニーズがある。
走査電子顕微鏡を用いた計測において、試料に照射する荷電粒子線は電子線であり、本明細書では1次電子線と称する。1次電子線の照射によって発生する第2の荷電粒子は電子であり、本明細書では信号電子と称することにする。1次電子線を試料に照射すると、電子と試料の相互作用によって様々なエネルギーをもった信号電子が様々な方向に出射する。
一般に、信号電子はそのエネルギーによって大別され、50eV以下のエネルギーで出射する信号電子は2次電子、それよりも大きく、1次電子線のエネルギーに近いエネルギーで出射する信号電子は反射電子と称される。例えば、非特許文献1には、2次電子は試料の表面形状や電位ポテンシャルに敏感であり、半導体デバイス構造のパターン幅などの表面構造の寸法計測に有効であることが開示されている。しかし、2次電子は、穴・溝などの3D構造に対しては側壁に吸収されるなどして穴・溝から脱出できず、検出および計測ができない。
一方、特許文献1には、反射電子は試料の組成や立体形状の情報を含んでおり、3D構造や、表面と底部の組成の違いなどの情報が得られると共に、高いエネルギーを有するため、穴・溝から側壁を貫通して脱出でき、穴・溝構造の底部からの信号検出および計測が可能であることが開示されている。
上述したように信号電子は様々なエネルギーを持って様々な方向に出射するため、信号電子のエネルギー等に応じて様々な検出器が求められる。
例えば、特許文献2には環状検出器が記載されており、特許文献3には屈曲部を備えたライトガイドを有する検出器が記載されている。
特開2015-106530号公報 US7,928,383号公報 特開2017-183126号公報
L.Reimer,Scanning ElectronMicroscopy (1998、Springer)
検出器により信号電子を高効率に検出するためには、できるだけ多くの第2の荷電粒子を荷電検出素子で受けて、さらに荷電検出素子で発光した光を効率よく受光素子に伝達させる必要がある。前者に対しては、荷電検出素子の面積を増大することでより多くの第2の荷電粒子を受けられるようになる。後者に対しては、ライトガイド光学系の光利用効率を向上することで改善できる。荷電検出素子の面積を増大させると、荷電検出素子の発光面積も増える。一方で、受光素子の面積は、検出器を配置する空間の制限や大きな面積で且つ用途に適合した受光素子が実用化されていないことなどにより、小さな受光面積の受光素子を使わざるをえないことがある。そのような場合、荷電検出素子の大きな発光面から出射した光を受光素子の小さな受光面で受光する必要がある。
従来のライトガイドはこの点に関して考慮されていないため、大面積発光面から小面積受光面に光を集める形状が備わってなかった。このことから大面積発光面からライトガイドに入射した光が、小面積受光面に向かって伝搬せず到達する前にライトガイドから漏れ、光利用効率(荷電検出素子から出射した光に対して受光素子に到達した光の割合)が低いという課題がある。
そこで、本発明は、光利用効率を向上し得るライトガイドを用いた荷電粒子線装置を提供する。
上記課題を解決するため、本発明に係る荷電粒子線装置は、荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備えた荷電粒子線装置であって、前記検出器は、前記荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、前記シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、前記ライトガイドは、前記シンチレータの発光面に対向して配置され、前記シンチレータで発光した光を入射する入射面と、前記受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、前記入射面に対向し、かつ前記入射面から入射した光を前記出射面の方向へ反射するように前記入射面に対して傾斜して配置された反射面と、を備え、前記出射面は前記入射面よりも小さく、前記反射面の少なくとも一部は、前記シンチレータの発光面の少なくとも一部を覆っており、前記反射面は、複数の面から構成され、前記複数の面のうちの少なくとも1つの法線は、前記出射面と前記入射面に垂直で且つ前記出射面の中心を含む平面に向かう方向の法線成分を有するように配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係る荷電粒子線装置は、荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備えた荷電粒子線装置であって、前記検出器は、前記荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、前記シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、前記ライトガイドは、前記シンチレータの発光面に対向して配置され、前記シンチレータで発光した光を入射する入射面と、前記受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、前記入射面に対向し、かつ前記入射面から入射した光を前記出射面の方向へ反射するように前記入射面に対して傾斜して配置された反射面と、前記反射面と前記出射面の間に配置され、前記反射面とは異なる傾斜角度の上面と、を備え、前記出射面は前記入射面よりも小さく、前記シンチレータ、前記ライトガイド及び前記受光素子を含むある断面において、前記入射面と平行な面への前記反射面の射影長さは、前記平行な面への前記上面の射影長さよりも長く、前記断面において、前記入射面と平行な面への前記反射面の射影長さは、前記平行な面への前記シンチレータの射影長さよりも長いことを特徴とする。
また、本発明に係る荷電粒子線装置は、荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備えた荷電粒子線装置であって、前記検出器は、前記荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、前記シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、前記ライトガイドは、前記シンチレータの発光面に対向して配置され、前記シンチレータで発光した光を入射する入射面と、前記受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、前記入射面に対向し、かつ前記入射面から入射した光を前記出射面の方向へ反射するように前記入射面に対して傾斜して配置された反射面と、を備え、前記出射面は前記入射面よりも小さく、前記ライトガイドは、前記出射面側で、前記出射面に平行に切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて小さくなる領域と、前記入射面側で、前記出射面に平行に切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて大きくなる領域を有することを特徴とする。
本発明によれば、光利用効率を向上し得るライトガイドを用いた荷電粒子線装置を提供ことが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施例に係る実施例1の走査型電子顕微鏡の概略構図である。 図1に示す検出器の斜視図である。 図1に示す検出器を上方から見た上面図である。 図1に示す検出器を下方から見た下面図である。 図1に示す検出器の側面図である。 図2の上図のA-A’線の断面図である。 検出器の外観斜視図である。 図7のB-B’線の断面図である。 反射面が一つの平面から構成されているライトガイドを用いた検出器の斜視図である。 図9に示す検出器を上方から見た上面図及び下方から見た下面図である。 図9に示す検出器のx軸に沿った断面図である。 光利用効率比の角度θc1依存性の計算結果を示す図である。 図7のB-B’線の他の断面図である。 ライトガイドを上側から見た斜視図及び正面図である。 図14に示すライドガイドを下側から見た斜視図及び側面図である。 入射面11aと反射面間の角度θc2が90度のときのライトガイドを上側から見た斜視図及び正面図である。 反射面11c2と反射面11c3が出射面11bに至るまで角度θc2を小さくしたときのライトガイドを上側から見た斜視図及び正面図である。 光利用効率比の角度θc2依存性の計算結果を示す図である。 ライトガイドを上側から見た斜視図及び正面図である。 図19に示すライトガイドを下側から見た斜視図及び側面図である。 角度θdを変化させたときのライトガイドの側面図である。 光利用効率比の、角度差(θd-θc1)依存性の計算結果を示す図である。 ライトガイドの側面図である。 ライトガイドの反射面の変形例を示す図である。 本発明の他の実施例に係る実施例2の検出器の概略構成図である。 本発明の他の実施例に係る実施例3の検出器を構成するシンチレータとライトガイドの拡大図である。
以下、図面等を用いて、シンチレータを荷電検出素子とする検出器を備え、シンチレータと受光素子間にライトガイドを備えた荷電粒子線装置について説明する。以下では、電子顕微鏡、特に走査電子顕微鏡を荷電粒子線装置の一例として説明するが、これに限られるものではない。例えば、荷電粒子線装置として、イオンビームを用いた走査イオン顕微鏡なども含まれる。また、走査型電子顕微鏡を用いた半導体パターンの計測装置、検査装置、観察装置等にも適用可能であることは言うまでもない。
本明細書においてシンチレータとは、荷電粒子を入射して発光する素子を指すものとする。本明細書におけるシンチレータは、以下に説明する実施例に示されたものに限定されず、様々な形状や構造をとることができる。
図1は、本発明の一実施例に係る実施例1の走査型電子顕微鏡の概略構図である。図1に示すように、荷電粒子線装置の一態様である走査型電子顕微鏡は、真空環境である電子顕微鏡鏡筒1の内部に、荷電粒子源としての電子源2が配置されており、電子源2から放出された1次電子線(荷電粒子線)は、1次電子線光軸3に沿って飛行する。コイル5と外側磁路6、1次電子線光軸3に対して傾斜して配置された内側磁路7によって構成された対物レンズにより1次電子線は試料8上に収束される。試料8には負電圧が印加されており、1次電子線は電子源2で発生したときのエネルギーよりも小さいエネルギーで試料8に衝突する。1次電子線の照射により試料8から発生した信号電子9はそれぞれの出射エネルギー、出射角度に応じて電子顕微鏡鏡筒1内を飛行する。
対物レンズを構成する何れかの部材の内側(本実施例では、外側磁路6の内側)に荷電検出素子としてのシンチレータ10が配置されており、シンチレータ10に信号電子9が衝突するとシンチレータ10は発光し、その光はライトガイド11により受光素子12へ導光される。なお、シンチレータ10は内側磁路7の上側であり、かつ偏向器4の下側に配置されている。
シンチレータ10は荷電粒子(信号電子9)の入射により発光する物質であれば良く、例えばYAP(YAlO:Ce)やYAG(YAl12:Ce)などの単結晶でも良く、イットリウム・シリケート・セリウム(YSiO:Ce)などの粉体、半導体(GaN、Si、SiC)などを用いたシンチレータでも良い。半導体シンチレータの例としては、InGaNとGaNを積層した量子井戸構造を発光部とするシンチレータなどGaN系の多層薄膜構造体がある。但し、本発明はシンチレータの種類に限定されるものではない。
ライトガイド11の材質としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂や、シリカ、石英などを用いれば良い。但し、本発明は材質に限定されるものではない。
受光素子12は、例えば光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)、フォトダイオード、Si-PM(Silicon Photomultiplier)などで構成される。但し、本発明は受光素子の種類に限定されない。
光はライトガイド11内を導光して受光素子12に到達する。光は受光素子12で電気信号に変換され、出力ケーブル13で電子顕微鏡鏡筒1の外側に配置された信号処理回路14に伝送される。電気信号は信号処理回路14上にある増幅回路14aによって振幅の大きい電気信号に増幅され、演算回路14bによって単位時間当たりの電気信号の大きさや頻度に応じて像のコントラストとして処理され、モニタ15上に所定の階調値を有する画素として表示される。
信号電子9の検出を、1次電子線を偏向器4によって試料8上を走査しながら行い、モニタ15上に試料表面の拡大2次元画像を表示する。
本実施例では第2の荷電粒子を信号電子9とし、試料8から出射した信号電子9が他の部材に衝突することなくシンチレータ10に到達している場合を示している。しかし、信号電子9は、図示しない他の部材や板材などに衝突してシンチレータ10に到達することもある。他の部材や板材に衝突した後の荷電粒子を第3の荷電粒子と称することもあるが、説明を簡略化するため、試料8から放出され、シンチレータ10に入射するまでの粒子を第2の荷電粒子と称することとし、本実施例では信号電子9と称することにする。
また本実施例では、シンチレータ10、ライトガイド11、受光素子12からなる系を検出器16と称することとする。本実施例のシンチレータ10は、対物レンズを構成する何れかの部材の内側(本実施例では、外側磁路6の内側)にあり、さらに偏向器4の下に配置されており、反射電子、すなわち、1次電子線のエネルギーに近いエネルギーで試料8から出射する信号電子9を高効率に検出できる位置に配置されている。
反射電子は、試料の組成や立体形状の情報を含んでおり、3D構造や、表面と底部の組成の違いなどの情報が得られるとともに、高いエネルギーを有するため、穴・溝から側壁を貫通して脱出でき、穴・溝構造の底部からの信号検出および計測が可能となる。しかし、一般に反射電子は二次電子よりも発生電子数が少ないため、できるだけ多くの反射電子を検出することが求められる。
ここで電子の出射角度を、試料表面に対し一次電子線光軸3に沿った方向を90度と定義する。反射電子の出射角度に応じて90度付近を高角反射電子、45度付近を中角反射電子、0度付近を低角反射電子とする。
反射電子の中でも中角反射電子は高角、低角と比較して多く放出される。このシンチレータ10の位置は、図1に示すように1次電子線光軸3から傾いた角度で飛行する中角以下の反射電子を高効率に検出することが可能な位置である。
検出器16に関して図2から図6を用いて説明する。図2は検出器16の斜視図であり、図2の上図は実際のライトガイド同様にライトガイド11を透明とし、ライトガイドの下にあるシンチレータ10が見えるように描いた図である。図2の下図は、検出器16の外観斜視図である。便宜上、図2においてx、y、zからなる直交座標系を定義した。
本実施例の検出器16は、±x方向と±y方向の4方向にシンチレータ10(10a~10d)と受光素子12(12a~12d)が配置されている。この組数は4個に限定されるものではなく、1個、2個、8個または16個でも良く、組数に限定されるものではない。一般に組数が多い方が、シンチレータ10の総面積が大きくなり受光素子12の数も増えるため多くの信号電子9を検出し易い。
隣接するシンチレータ10の間にライトガイド11を電子顕微鏡に固定するための穴11sがある。この位置はシンチレータ10の発光光が当たる確率が少なく、この位置に構造部材を配置することで構造部材が光利用効率に及ぼす影響を低減することが可能となる。
また、本実施例のライトガイド11は、以下に詳述するが、あるシンチレータから出射した光の多くを、そのシンチレータに対応する受光素子に到達させる構成となっている。例えば、シンチレータ10aの発光光は受光素子12aに到達する構成である。1組のシンチレータ10aと受光素子12aとの間には、シンチレータ10aで発光した光を受光素子12aに伝搬させるライトガイド11が存在する。図2には、同様の組み合わせが更に3組あり、シンチレータ10bと受光素子12bの組、シンチレータ10cと受光素子12cの組、及び、シンチレータ10dと受光素子12dの組がある。
シンチレータ10aと受光素子12aと対応するライトガイド11形状を1個の検出器として分離させても良いが、本実施例では、ライトガイド11が4方向で同じ形をして、それぞれ4つの形状が個別にシンチレータ10から対応する受光素子12に光を伝搬させている。それぞれのライトガイド形状は接続部11tで接続されている。なお接続部11tの厚さは、構造強度を向上させるために1mm以上の厚さの部材となっている。
図3、図4、図5は、それぞれ同じ検出器16を上方(z方向側)から見た上面図、下(-z方向側)から見た下面図、横(y方向側)から見た側面図を示し、何れの図においても上図は、実際のライトガイド同様にライトガイド11を透明とした場合の図であり、下図は外観図である。
図6は、図2の上図のA-A’線の断面図である。図6に示すように、シンチレータ10を構成する発光面10emに対向するライトガイドの面が入射面11aであり、シンチレータ10から出射した光は主に入射面11aからライトガイド11に入射する。入射面11aは、少なくともシンチレータ10の一部を覆うように配置されている。なお、光利用効率の観点から、入射面11aはシンチレータ10の全面を覆っていることが望ましい。出射面11bは受光素子12に対向した面であり、光を出射する。出射面11bは入射面11aよりも小さい。すなわち、出射面11bの面積は入射面11aの面積よりも小さい。
ライトガイド11には、入射面11aに対向して角度θc1で傾斜した反射面11c1が存在する。以下、角度θc1を反射面角度θc1と称する場合もある。反射面11c1は、入射面11aから入射した光を出射面11bの方向へ反射するように傾斜している。シンチレータ10の発光面10emから出射した光は、入射面11aからライトガイド11に入射して反射面11c1で反射する。ライトガイドの出射面11bに向けて多くの光を反射するために、反射面11c1はシンチレータ10の発光面10emの多くの部分を覆っている。反射面11c1を有することで光利用効率(受光素子12に到達する光量/シンチレータ10の発光光量)が向上する。
図2の上図および図3の上図に示すように、反射面は複数の面から構成されている。具体的には、シンチレータ10は3枚の反射面(11c1-11c3)により全体が覆われており、シンチレータ10から出射した光はこれら反射面(11c1-11c3)により出射面11bに向けて反射され、光が有効に活用される。複数の面で構成される反射面(11c1-11c3)を用いることにより、光利用効率をさらに向上することができる。
反射面11c1は、入射面11aの中でも受光素子12に近い部位から伝播してくる光を反射するため、3枚の反射面(11c1-11c3)の中で最も多くの反射光が受光素子12に到達する重要な反射面である。このため、光利用効率が最大となるように反射面11c1の角度θc1を最適化することが最も重要である。
図7から図13を用いて、角度θc1の最適化に関して説明する。問題を単純にするため、反射面11c1のみを有する構造で検討した。図7が検出器の外観斜視図である。図8は図7のB-B’線の断面図である。最適化は、ライトガイドの厚さtを一定として、角度θc1を45度から徐々に小さくしたときの光利用効率を光線追跡シミュレーションで計算することにより最適化した。
図7に関する検討において、ライトガイド11の材質はPMMA樹脂とし、反射面11c1と側面11e1および側面11e2はアルミを蒸着したアルミ面とした。なお、これら反射面11c1および側面11e1並びに側面11e2に反射材として付与する金属はアルミに限定されず、銀などでも良い。また、アルミなど反射材を表面に付与する方法は、蒸着に限らずフィルム状の反射材を張り付けても良く、当該方法は特に限定されるものではない。
なお、本実施例では、複数の面から構成される反射面を用いてライトガイドを構成しているが、反射面は一つの面から構成されていても良い。図9に反射面が一つの平面から構成されているライトガイドを用いた検出器を示す。図9の上図は、実際のライトガイド同様にライトガイド11を透明とし、ライトガイドの下にあるシンチレータ10が見えるように描いた図である。図9の下図は、検出器16の外観斜視図である。便宜上、図において検出器16の中心を原点とするx,y,zからなる直交座標系を定義した。xおよびy軸方向に受光素子12(12a~12d)が配置されている。図10の上図は検出器16を上方(z方向側)から見た上面図であり、図10の下図は検出器16を下方(-z方向側)から見た下面図である。図11は、図9に示す検出器16のx軸に沿った断面図である。図9の下図及び図10の上図に示すように、反射面11c1は一つの平面である。この場合でも反射面を多面形状若しくは曲面形状にした効果以外の効果は本実施例同様に得られる。
図7に示す入射面11aに対向し且つ入射面11aに略平行な上面11fはアルミ面としても効率に変化が少ないことを事前に確認したため、上面11fはアルミ面とはせずPMMA樹脂の面とした。上面11fをアルミ面としても入射面11aに平行であるため光は入射面11aに向かって反射する。このため上面11fをアルミ面としても光利用効率は大きくは向上しない。
図8の上段に示す図は角度θc1が42度のときの断面図であり、この断面において反射面11c1はシンチレータ10を部分的に覆っている。覆っている割合は、シンチレータ10の外形が長方形であり奥行き方向が全て反射面11c1に覆われているため、シンチレータの長さLscと反射面11c1の入射面と平行な面(またはシンチレータ発光面10em)への射影長さdを用いてd/Lscで表される。角度θc1を小さくすると、d/Lscは1に近づき、この断面において反射面11c1がシンチレータ10を完全に覆うとd/Lscは1になる。さらに角度θc1を小さくするとd/Lscは1を超える。なお、本明細書では、図8の上段に示すように、反射面11cが下斜面11dを覆っていなくても、反射面11cと下斜面11dが略平行である場合、反射面と下斜面は対向しているものとする。
図8の中段に示す図は角度θc1が25度のときの断面図であり、この断面において反射面11c1がシンチレータ10を完全に覆っている場合である。図8の下段に示す図は角度θc1が18度のときの断面図であり、反射面11c1が出射面11bに至る場合を示している。
図12に光利用効率比の角度θc1依存性を計算した結果を示す。横軸は角度θc1で、縦軸は角度θc1が45度のときの光利用効率で規格化した光利用効率比である。この結果から、角度θc1を小さくするほど光利用効率が向上することが分かる。この理由について図13の上図および図13の下図を用いて説明する。図13の上図に示すように、入射面11aに略平行な上面11fが存在すると、上面11fに入射した光Ray72は透過してライトガイド11の外に出射し、受光素子12aには届かない損失光となる。このためシンチレータ10aを覆うように反射面11c1を配置して反射面で出射面11bに向けて光を反射することが重要である。さらに、図13の下図の光線Ray75のように斜め方向に伝播する光は、シンチレータ10aに対向していない上面11fから外に抜けるため、反射面11c1が出射面11bまで至るようにし、入射面11aと反対側の面は全て傾いた反射面として光を出射面11bに向けて反射することが望ましい。傾斜した反射面とすることで、光線Ray71、光線Ray73および光線Ray74のように反射面11c1により出射面11bへと反射して、光利用効率が向上するという効果を奏する。
なお、上面11fをPMMA樹脂面としたが、上面11fをアルミ面としても上面11fは入射面11aに平行であるため入射した光の多くは出射面11bに向けて反射されず迷光となって損失光となる。このため上面11fをアルミ面としても、反射面角度θc1を小さくした方が光利用効率は向上する。
以上、反射面角度θc1の最適化に関して説明した。図7および図8に示す構成は、大面積発光面10emから出射した光を、ライトガイド11を用いて、受光素子12の小面積受光面に到達させる光学系である。この光学系において、入射面11aの中でも受光素子12に近い部位から伝播してくる光を反射する最も重要な反射面11c1の最適化を説明した。
反射面11c1は、シンチレータ10を覆い、入射面11aから入射した光を出射面11bの方向へ反射するように入射面11aに対して傾斜した面とすることで光利用効率が向上するという効果を奏する。反射面11c1は、図8の上段の図に示すように、少なくともシンチレータ10の一部を覆うことにより効果を奏する。
さらに、図8の中段の図に示すように、シンチレータ10、ライトガイド11と受光素子12を含むある断面(例えばB-B’断面)において、反射面11c1がシンチレータ10の全部を覆うと更なる効果を奏する。
さらに、図8の下段の図に示すように、シンチレータ10、ライトガイド11と受光素子12を含むある断面において、反射面11c1が出射面11bまで至ることで、光利用効率が最大となる。但し、現実のライトガイドでは、図8の下段の図に示すように出射面11bと反射面11c1の接続部を鋭角にすると、その接続部が割れたり欠けたりする。このことを避けるため、図2の下図、図3の下図、図6に示すように出射面11bと反射面11c1の間に小さな上面11fを設ける。したがって、現実的には小さな上面11fを設ける構造が光利用効率を最大とする構造となる。
図6の構造に関し換言すれば、シンチレータ10、ライトガイド11と受光素子12を含むある断面において、入射面11a(またはシンチレータの発光面10em)と平行な面への反射面11c1の射影長さdは、上面11fの長さdよりも長い構成と言え、本構成により光利用効率が向上する。上面11fの長さdとしては0.5mmから3mm程度が割れ欠けを抑制するために必要となる長さであることから、上面11fの長さdを3mm以下にする構成が現実的には光利用効率が最大となる構成と言える。なお、本実施例では、上面11fを入射面11aに平行な面としたが、傾いた面として、上面11fの長さdを入射面11a(またはシンチレータの発光面10em)と平行な面への上面11fの射影長さとして、その射影長さを0.5mmから3mm程度としても良い。
なお、ライトガイド11の割れや欠けを抑制する他の構造は、図2の下図、図3の下図および図6に示される下面11gである。この下面11gも上面11fと同様に、反射面11c1と入射面11aが直接接続して鋭角な部位ができるのを抑制するために配置した面である。下面11gは、出射面11bとは反対側にある反射面11c1の端部と接続し、反射面11c1とは異なる角度(図6では入射面11aと平行な角度)で配置された面である。本実施例では、下面11gおよび上面11fは、入射面11aと平行な平面としたが、これに限定されず例えば曲面でもよい。
次に反射面11c2と反射面11c3について説明する。反射面11c1は、入射面11aの受光素子12に近い部位から伝播してくる光を出射面11bに向けて反射する面である。それに対して、反射面11c2と反射面11c3はシンチレータ10の端で発光した光を出射面11bに向けて反射するための面である。そのため、反射面11c2と反射面11c3の傾きが反射面11c1とは異なる。
図2の上図においてシンチレータ10aと受光素子12aに対応する反射面11c2と反射面11c3を例に説明する。反射面11c2と反射面11c3は、シンチレータ10aの端部から出射した光を受光素子12aに向けて反射するように傾斜している。図2の上図の光線Ray21および光線Ray22は、シンチレータ10aの端部から出射した光が反射面11c2と反射面11c3で受光素子12aに向けて反射された光線の例である。
シンチレータ10aと受光素子12aに対応する反射面11c2と反射面11c3の法線方向について説明する。±y方向のシンチレータ端部で発光した光を受光素子12aに向けて反射するには、光の伝播方向をy方向にも変化するように反射する必要がある。光線Ray21および光線Ray22は、それぞれ+yおよび-y方向に伝播方向が変化するように反射されている。
光が反射する位置から光が入射した位置に向かう単位ベクトルをuとし、反射する位置から出射する位置に向かう単位ベクトルをvとした場合、反射面の法線は単位ベクトルuとvのハーフベクトル(u+v)/|u+v|となることから、y方向に光を反射するためには法線もy方向の成分が必要となる。すなわち、単位ベクトルvがy成分を有するため法線もy方向の成分を有する。反射面11c1の法線はy方向の成分がゼロであるが、反射面11c2と反射面11c3の法線はy方向の成分を有する。換言すれば、反射面11c2と反射面11c3の法線は、出射面11bと入射面11aに垂直で、且つ出射面11bの中心を含む平面(図2の上図ではx-z面)に向かう方向の法線成分を有するということである。
図14乃至図17を用いて、反射面11c2と反射面11c3の構造と光利用効率の関係を説明する。図7では、4組のシンチレータ10と受光素子12およびそれらの間で光を伝播させるライトガイド11を示している、本検討ではそれらのうちの一組に対して光利用効率を計算した。図7に示される4組からシンチレータ10aと受光素子12aおよびそれらに対応するライトガイド11を切り出した計算モデルを図14乃至図17に示す。本モデルは角度θc1に関して光利用効率が最大となる形状であり、反射面11c1が出射面11bまで至る形状である。
図14及び図15は同じ形状のライトガイド11であり、図14の上図は上側から見た斜視図であり、図14の下図は正面(x方向)から見た正面図である。また、図15の上図は下側から見た斜視図であり、図15の下図は横(y方向側)から見た側面図を示している。反射面11c2と反射面11c3の構造は、正面から見たときの入射面11aと反射面間の角度θc2を変えながら構造を変化させて効率への影響を検討した。角度θc2が90度のときは、図16の上図及び下図に示す斜視図と正面図のように、反射面11aは反射面11c1のみとなる。光利用効率の計算は、図17の上図および下図に示す斜視図と正面図のように、反射面11c2と反射面11c3が出射面11bに至るまで角度θc2を小さくして計算した。
図14乃至図17に関する検討において、ライトガイド11の材質はPMMA樹脂とし、反射面11c1から反射面11c3と側面11e1および側面11e2はアルミを蒸着したアルミ面とした。
光利用効率を計算した結果を図18に示す。横軸は角度θc2で、縦軸は角度θc2が90度のときの光利用効率で規格化した光利用効率比である。この結果から、角度を小さくするほど効率が向上することが分かる。すなわち、反射面11c2と反射面11c3が出射面11bに至るとき(図17に示す形状のとき)に光利用効率が最大となる。また、角度が40度以下で急峻に光利用効率が向上することが分かる。
したがって、ライトガイド11の反射面は、1枚の反射面で構成するのではなく、シンチレータ10の位置に応じて傾斜方向の異なる複数の反射面にて構成することにより、光利用効率が向上するという効果を奏する。
このときシンチレータ10aの端部で発光した光を受光素子12aに反射する反射面の法線は、出射面11bと入射面11aに垂直で、且つ出射面11bの中心を含む平面に向かう方向の法線成分を有する。また、反射面11c2と反射面11c3を正面から見たときの入射面11aと反射面間の角度θc2は小さくした方が、光利用効率が大きくなるという効果を奏し、40度よりも小さくなると急峻に効率が大きくなるという効果を奏する。さらに、反射面11c2と反射面11c3が出射面11bに至るまで角度θc2を小さくしたときに効率は最大になるという効果を奏する。
但し、現実的には反射面11c2と反射面11c3が出射面11bに接続されるとその接続部が鋭角になり割れや欠けが生じることから、図2および図3に示すように反射面11c2および反射面11c3と出射面11bとの間に上面11fを設けることで割れや欠けを緩和する。したがって、現実的には反射面11c2と反射面11c3が上面11fまで至る構造が、反射面11c2と反射面11c3により効率が最大となる構造と言うことができる。
なお、図2や図7のように複数のシンチレータ10と受光素子12の組み合わせがある場合、図14乃至図17の説明において述べた出射面11bと入射面11aの組み合わせは、図2や図7で述べたような最寄りの組み合わせか、若しくはシンチレータ10と受光素子12の一つの組に対応するライトガイド11の出射面11bと入射面11aを指す。
次に、図4乃至図6に示される下斜面11dについて説明する。下斜面11dは、主に反射面11c1~反射面11c3で反射された光を再度反射する面であり、入射面11aと出射面11bの間に、反射面11c1と対向して配置される。図6において、光線Ray2および光線Ray3は下斜面11dで反射して受光素子12に到達した例である。何れの光線も、通常の導光板(PMMAの平板)を光が伝搬するように、反射面11c1と下斜面11dとの間で反射を繰り返しながら受光素子12に到達する。
このような光線伝搬経路が発生する理由は、図6のライトガイドは反射面11c1が出射面11bにおおよそ至る構成であるため、下斜面11dを適切な傾斜角度とすることにより擬似的に上下2枚の平面からなる直方体の導光板を模擬でき、光は反射を繰り返しながら受光素子12に到達できるためである。
一般的な導光板は直方体であり、ある側面から入射した光は上面と下面で全反射を繰り返しながら対向する側面に向かって導光して、入射面に対向する側面から出射する。一方、本実施例では直方体の側面から光を入射するわけではないため、反射面11c1をアルミ面とすることで全反射せず抜けるはずの光も金属面により反射する。下斜面11dも同様であり、下斜面11dを樹脂面とするよりアルミ面とした方が全反射できずに面を透過して損失する光を減らせ光利用効率が向上する。計算によれば図6に示す構造のライトガイド11において、下斜面11dをアルミ面とした場合、樹脂面に比較して光利用効率は5~10%向上することが分かっている。したがって、下斜面11dをアルミ面とすることで光利用効率が向上するという効果を奏する。以下の本実施形態の検討では、下斜面11dをアルミ面とする。
図6において角度θdを変えて効率を計算することにより、下斜面11dの形状を最適化した。最適化について図19乃至図23を用いて説明する。図2の上図には、4組のシンチレータ10と受光素子12およびそれらの間で光を伝播させるライトガイド11がし示されているが、本検討ではそれらのうちの一組に対して光利用効率を計算した。図2の上図に示す4組からシンチレータ10aと受光素子12aおよびそれら対応するライトガイドを切り出した計算モデルを図19乃至図23に示す。本モデルは、ライトガイドの形状が鋭角になって割れたり欠けたりすることを抑制しつつ、角度θc1および角度θc2に関して光利用効率が最大となる形状であり、反射面11c1、反射面11c2および反射面11c3が上面11fまで至る形状である。
本検討において、ライトガイド11の材質はPMMA樹脂とし、3枚の反射面(11c1-11c3)と側面11e1および側面11e2はアルミを蒸着したアルミ面とし、上面11fもアルミ面とした。すなわち、入射面11aと出射面11b以外はアルミ面とした。上面11fは出射面11bに接続される位置にあり入射面11aに対向しない位置にあることから、上面11fに入射する光は上面11fに対して傾いた角度で入射するため、その光を反射できれば光は出射面11bに向かって伝搬する。このため、上面11fに全反射角度より小さな角度で入射する光も反射できるようにアルミ面とした。
図19及び図20は同じ形状のライトガイド11であり、図19の上図は上側から見た斜視図であり、図19の下図は正面(x方向)から見た正面図である。また、図20の上図は下側から見た斜視図であり、図20の下図は横(y方向側)から見た側面図を示している。図20の下図に示される角度θdを変えて光利用効率を計算した。図21の上図は、角度θdが反射面11c1の角度θc1に近いときのライトガイド11の側面図である。図21の下図は、本検討において角度θdを大きくしたときのライトガイド11の側面図である。出射面11bの位置を固定しているので、角度θdを大きくすると入射面11aが大きくなる。
検討した結果を図22に示す。横軸は、角度θc1に対する角度θdの相対的な角度である。すなわち、角度差(θd-θc1)を示している。縦軸は、角度差(θd-θc1)が38度のときの光利用効率で規格化した光利用効率比を示す。角度差(θd-θc1)がゼロのとき、反射面11c1と下斜面11dは平行となる。角度差(θd-θc1)が正の場合、角度θc1より角度θdが大きく、下斜面11dが反射面11c1よりも傾斜が大きいということである。
角度差(θd-θc1)が約2度から8度の間で効率はピークとなる。角度差(θd-θc1)が約20度以上となると、図6に示す光線Ray2および光線Ray3のような反射面11c1と下斜面11dとの間で反射を繰り返しながら受光素子12に到達する光線がほとんどなくなるため、光利用効率比はおおよそ1になる。反射面11c1と下斜面11dが平行に近づくほど反射を繰り返して受光素子12に到達する光線の数が増えるため光利用効率比は向上すると考えられるが、図22では角度差(θd-θc1)が2度以下で効率比が低下している。
図23を用いて、その理由を説明する。先にも述べたが、反射面11c1と下斜面11dが平行に近づくほど反射を繰り返して受光素子12に到達する光線(図23では光線Ray91)が増える。一方で、シンチレータ10の種類によるが、一般にシンチレータ10は、アルミなどの金属が蒸着してない全ての面から光が出射する。そのため入射面11aに対向している発光面10emのみならず、シンチレータ10の側面10emsからも光は出射する。発光面10emの面積と側面10emsの面積比に応じて発光面10emの発光量Ipと側面10emsの発光量Isの比が変わる。
ここで、シンチレータ10は発光面10emのみならず側面10emsからも出射するため、本発明における発光面10emの定義を説明する。本発明のライトガイド11は、信号電子9を捉えるため、シンチレータ10の大面積化した面で発光した光を出射面11bに集める構成としている。そのため、シンチレータ10において、ライトガイド11の何れかの面と対向しているシンチレータ10の面の中で、面積が最も大きい発光する面、または飛行してきた信号電子9を捉える面に平行で光を発光する面を発光面と称することにする。これら発光面の特徴は図2から図22に示した発光面10emの特徴である。
なお、シンチレータ10において発光面10emは、ライトガイド11に対向して面積が最も大きな面と定義したが、これは1個のシンチレータ10の場合だけではない。例えば、図2に示すシンチレータ10aは1個の直方体のシンチレータとなっているが、これをx-y面内で分割して複数のシンチレータで構成しても良い。その場合も、各シンチレータのx-y面(入射面11a)に平行な面の面積は、他の面の面積よりも大きくなる。但し、分割数がある程度以上に大きくなると、側面の面積がx-y面に平行な面の面積よりも大きくなることもあるが、その場合は飛行してきた信号電子9を捉える面に平行で光を発光する面を発光面と称すれば良い。
また、本実施例ではシンチレータ10の形状を直方体としたが、これに限らず立方体、円柱など様々な形状が考えられ、本発明はシンチレータの形状に限定されるものではないない。
本発明は、シンチレータ10で発光した光を入射する入射面11aを有し、そこから入射した光を反射面(11c1-11c3)などにより出射面11bに導く構成である。そのため、入射面11aに対する発光面10emの形状には関係なく、ライトガイド11は入射面11aから入った光を出射面11bに集光するという効果を奏する。
例えばGaN系の多層薄膜構造を有するシンチレータ10で、外形が円柱で高さが0.5mm、円の直径が9mmでの場合、シミュレーションによれば、Ip:Is=1:1程度である。また、シンチレータ内部にピラミッドや円錐などのパターン構造を形成して、回折もしくは散乱により発光面10emからの発光量Ipを向上させる技術を導入しても、Ip:Is=7:3程度である。
したがって、側面10emsからの光を活用することも重要である。図23に示す光線例Ray92は、側面10emsから光が出射し入射面11aからライトガイド11に入射して反射面11c1で反射して出射面11bに到達する光線である。
本検討においては、出射面11bとシンチレータ10の位置は固定しているため、角度θdを小さくすると入射面11aの下斜面11dとの接続する端部がシンチレータの側面10emsに近づく。入射面11aの端部が側面10emsに近づくと側面10emsから出射した光がライトガイド11に入射する面積が小さくなるため、側面10emsから出射した光を活用できず光利用効率が低下する。このため、角度θdを小さくすると反射を繰り返す光線(Ray91)が増えるが、一方で側面10emsから出射してライトガイド11に入射する光が減少するというトレードオフが存在する。図23に示される結果において角度差2度以下で急峻に光利用効率が低下しているのは、側面10emsから出射してライトガイド11に入射する光が著しく低下し始めるためと考えられる。
以上、下斜面11dに関して説明した。図19乃至図21に示す構成は、大面積発光面10emから出射した光と側面10emsから出射した光を、ライトガイド11を用いて、受光素子12の小面積受光面に到達させる光学系である。この光学系において下斜面11dの最適化を説明した。
反射面11c1と下斜面11dの角度差を約20度以下とすると、光利用効率が向上するという効果を奏する。この点を踏まえ本明細書では、反射面11c1と下斜面11dの角度差が20度以下の場合を、反射面11c1と下斜面11dが略平行と呼ぶことにする。下斜面11dは反射面11c1の少なくとも一部と略平行であることが好ましい。なお、反射面が複数の面で構成されている場合は、複数の面のうち一面と略平行であることが好ましい。
さらに、反射面11c1と下斜面11dの角度差を2度から8度の間とすると、光利用効率が最大となる。したがって、反射面11c1と下斜面11dの角度差は2度以上8度以下であることがさらに好ましい。
また、シンチレータ10の側面10emsと入射面11aの端部に一定の距離を設ける構成、別の観点から言うと反射面11c1の入射面11aに対する角度θc1より下斜面11dの入射面に対する角度θdが大きい構成とすることにより、側面10emsから出射した光をライトガイド11に入射させることが可能となり、光利用効率が向上するという効果を奏する。
本実施例では、ライトガイド11の表面にアルミを付けて反射面(アルミ面)としたが、反射材はアルミのみに限らない。反射面は金属からなる反射材を有する面であることが好ましい。反射材としては、例えば、アルミニウム以外に、銀および多層反射膜などを用いることができる。また、反射材をライトガイド11に付ける方法は、蒸着に限らず貼り付けなど様々な方法があり、これら方法に本発明は限定されない。
本実施例で示した光学系の構成、すなわち、大面積発光面、その発光面と平行ではなく、且つ対向していない受光面(本実施例では発光面と受光面の角度は約90度)、発光面の大きさに比較して厚さが小さいライトガイドからなる光学系の場合、光はシンチレータからあらゆる方向に発光するため、ライトガイドの反射面で必ずしも全反射しないことから、ライトガイドの表面にはできるだけアルミなどの反射材を付けて出射面への反射光量を増やした方が良い。
本実施例のライトガイドの場合、反射面(11c1‐11c3)の3面につけると最も光利用効率が向上し、側面11e1および側面11e2に反射材をつけると2番目に光利用効率が向上する。さらに下斜面11dに反射材を付けると光利用効率が5~10%向上する。本実施例のライトガイドの場合、反射材を適宜表面に付けることで光利用率を向上するという効果を奏する。
さらに、図6に示す本実施例のシンチレータ10は、ライトガイド11の入射面11aと対向する面とは反対側の面10bs(シンチレータ10の発光面10emと反対側の面)に金属反射面が付いている。具体的には面10bsはアルミを蒸着させた面である。光線Ray3はシンチレータ10から出射後に、面10bsにて反射して受光素子12に到達している。このように、面10bsでの反射を経て受光素子12に到達する光線経路が存在することから、面10bsに反射材を付けることにより光利用効率が向上するという効果を奏する。
本実施例では、反射面(11c1‐11c3)の3面、側面11e1および側面11e2、下斜面11dおよびシンチレータの面10bsに反射材を付ける構成であり、シンチレータ10から出射した光が受光素子12に伝搬する部分を反射材で覆う構成となっている。入射面11aには反射材を付けていないが、入射面11aと平行な面10bsに反射材としてのアルミが付いており、出射面11bと接続部11tに繋がる面以外には外に漏れる光を再度ライトガイド11に反射する面が存在する構成となっている。これにより光利用効率が向上するという効果を奏する。
この走査型電子顕微鏡は構成の一つの例であり、シンチレータ10、ライトガイド11、受光素子12を備えた電子顕微鏡であれば、他の構成でも適用が可能である。また、簡単のため、検出器は1つのみ示しているが、複数の検出器を設けても良い。反射電子検出用検出器と二次電子検出用検出器を別々に設けてもよいし、方位角または仰角を弁別して検出するために複数の検出器を備えていてもよい。これらの検出器の使い分けにより、信号電子9をエネルギーや角度で弁別して検出することで試料8の表面形状や組成、3D構造などに関する情報を画像から取得できる。エネルギー弁別の方法として、反射電子のエネルギーに応じて、シンチレータ10の発光量や発光波長を変化させ、それを検出する方法がある。その手法において、高い光利用効率を持つライトガイド11として本発明を適用することにより、エネルギー分解能の高分解能化が可能となる。
<変形例>
変形例について図24を用いて説明する。上述した実施例では反射面の形状は平面の組み合わせであったが、反射面の形状はこれに限らず、さまざまな形状が可能である。図24の反射面形状が平面の図は、図19の上図に示すライトガイドである。反射面形状が曲面の場合、反射面11c1から反射面11c3を厳密に定義することは難しいが、面の法線が向いている方向から大まかには、図24における斜視図のように定義できる。また、曲面は傾斜方向の異なる複数の反射面が連続的に繋がった形状とも言える。平面でも曲面でも反射面は、入射面に対して傾斜した反射面である。
反射面が曲面でも平面でも、大面積発光面10emから出射した光を、ライトガイド11を用いて、受光素子12の小面積受光面に到達させる光学系の特徴は、出射面11bに平行にライトガイドを切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて小さくなることである。図24に出射面から0.5、1.0、2.0mmの位置でライトガイドを切断した断面図を示している。断面は斜線が付された箇所であり、出射面11bに近づくにつれて断面積が小さくなっていることが分かる。このような形状を有することにより、ライトガイド11は、大面積発光面10emから出射した光を受光素子12の小面積受光面に効率よく到達させることが可能となる。
以上の通り本実施例によれば、光利用効率を向上し得るライトガイドを用いた荷電粒子線装置を提供することが可能となる。
図25は、本発明の他の実施例に係る実施例2の検出器の概略構成図である。本実施例では、検出系16の4つの受光素子12から出力される電気信号を、受光素子毎に高速に処理する信号処理回路14を備える点が実施例1と異なる。その他の構成は上述の実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
図25に示すように、受光素子12(12a~12d)と増幅回路14a(14a-1~14a-4)は、個別に出力ケーブル13で接続されており、電気信号の振幅は個別に増幅され、各演算回路14b(14b-1~14b-4)で処理されてモニタ15上に所定の階調値を有する画素として表示される。本構成は、演算回路14bを並列化して、受光素子12毎に信号を処理することで高速化を図った例である。また、増幅回路14aを個別に持つことで、それぞれ回路ごとに増幅率を調整して電気信号を適切に増幅することが可能となる。したがって、受光素子12に対応して個別に増幅回路14aと演算回路14bを備えることにより、個別に電気信号を適切に増幅し、高速に処理するという効果を奏する。
但し、この構成に限らず、受光素子(12a~12d)からの信号を選択するスイッチ(セレクタ)と1個または2個の増幅回路14aと演算回路14bを有することで、時分割で電気信号を処理する構成としても良い。本実施例の信号処理回路14に求められる最低限の機能は、受光素子12(12a~12d)からの電気信号を個別に処理することである。
上述の実施例1に係る検出器16は、4方向にシンチレータ10(10a~10d)と受光素子12(12a~12d)が配置されていた。この構成において受光素子12で得られる電気信号を個別に処理することで、4方向で電気信号を弁別することが可能となる。すなわち、試料8から出射した信号電子9がz軸に沿って飛行して、どの方向にあるシンチレータ10に到達したかが明らかになる。例えば円柱を観察する場合、4方向のシンチレータ10(10a~10d)それぞれで取得した電気信号に基づいて画像を作成すると、それぞれの方向から観察した円柱画像が得られ、方向に応じた円柱の影が画像に現れる。その影の長さから円柱の高さを推定することが可能となる。このとき、シンチレータ10と受光素子12の組を複数有するのみならず、ライトガイド11は、あるシンチレータから出射した光を、そのシンチレータに対応する受光素子に到達させる必要がある。
ライトガイド11は、シンチレータから出射した光の大部分を対応する受光素子に伝搬させる構成である。それぞれシンチレータ10a、10b、10c、10dで発光した光は、それぞれ受光素子12a、12b、12c、12dに伝搬される光学系となっている。
シンチレータの発光光が対応しない受光素子に到達する現象(光のクロストーク)の抑制には、とりわけ反射面11c2および反射面11c3が重要な役割を果たす。例えばシンチレータ10aから受光素子12bまたは受光素子12dに向かう光は、主に反射面11c2および11c3で反射されて受光素子12bまたは受光素子12dには届かない。換言すれば、出射面11bに平行にライトガイドを切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて小さくなる構成であれば光のクロストークが抑制される。そのため、シンチレータ10を分割せず、円環などの形状のシンチレータ1個で検出器を構成しても、ライトガイドの形状によりクロストークを低減することができる。
上述の実施例1で説明した検出器16の構成であれば、受光素子12で得られた電気信号を個別に処理することで、円柱の高さ推定など3D計測が可能となる。したがって、1個あるいは複数のシンチレータと複数の受光素子を有し、シンチレータで発光した光の多くを試料上の上下左右などの方向に対応する受光素子に伝搬させるライトガイドを備え、各受光素子の電気信号を個別に処理することで3D計測を可能にするという効果を奏する。
なお、シンチレータと受光素子の組数は4個に限定されず2個でも3個でも8個でも良いし、16個でも良い。但し、組数を大きくすると取得できる総信号電子数は多くなるが、1組当たりの信号電子数は減少し、さらに隣接する受光素子が近付くことから光のクロストークが起きやすくなる。1組毎に画像を作成する場合、1組当たりの信号電子数が減ると画像のノイズが大きくなる。そのため総信号電子数の収量、光のクロストークおよび1組当たりの信号電子数の関係から最適な組数を選択すれば良い。
以上の通り本実施例によれば、実施例1の効果に加え、個別に電気信号を適切に増幅し高速に処理することが可能となる。
図26は、本発明の他の実施例に係る実施例3の検出器を構成するシンチレータとライトガイドの拡大図である。本実施例では、シンチレータ10とライトガイド11とを屈折率整合部材17にて接合する構成としている点が実施例1と異なる。その他の構成は上述の実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
説明を分かり易くするため、図26では、上図に上述の実施例1のシンチレータとライトガイドの拡大図を示し、下図に本実施例のシンチレータとライトガイドの拡大図を示している。まず、図26の上図に示すように、上述の実施例1に係る検出器の構成では、シンチレータ10とライトガイド入射面11aは近接して配置されているものの、接着(接合)はされていない。そのためシンチレータ10を出射した光は、空気を介してライトガイドの入射面11aに到達する。光線Ray111はライトガイド11に入射する光線例であり、シンチレータ10の内部で発光し、シンチレータ発光面10emから出射して空気を介してライトガイド11に入射する光線である。シンチレータ10に信号電子9が入射してシンチレータ内部で発光が起こる。内部で発光した光の一部は、シンチレータ10から出射できずにシンチレータ内部で損失する。この損失の大きな要因は、シンチレータ10と空気の界面で起こる全反射である。半導体、セラミック蛍光体材料のシンチレータを用いる場合や、粉体蛍光体を成膜した基板をシンチレータ10として用い、基板からの光も取り出して活用する場合、一般にシンチレータ発光面10emの屈折率は1.5よりも大きいことが多い。屈折率1.5のときのシンチレータ表面における全反射角度は40度程度である。それゆえ内部で発光した光が表面で全反射する割合は、表面へ入射した光の約75%以上である。全反射した光は、シンチレータ内部に散乱構造があれば伝搬角度が変わって表面に再入射してシンチレータ10から出射することもあるが、一部は再度全反射してシンチレータ内部に光が戻り吸収される。光線Ray112がシンチレータ内で吸収される光線例である。シンチレータの面10bsにはアルミなどの金属が反射材として付いているため、反射する度に光のエネルギーが吸収される。光線Ray112はシンチレータ内部で発光して発光面10emで全反射して面10bsでエネルギーを吸収されながら反射する。光線Ray112はこのプロセス繰り返し、光のエネルギーが概ねゼロとなり損失した光の例である。
この全反射による損失メカニズムのため、シンチレータ内部で発光した光のうちシンチレータ10から出射する光の割合は、おおよそ60%未満と考えられ、シミュレーションによれば構造に依存して5-30%程度である。
全反射角度は、シンチレータ発光面10emの材料の屈折率と空気の屈折率との差により決まる。そこで図26の下図に示すように、本実施例に係る検出器の構成では、シンチレータ発光面10emとライトガイド11の入射面11aの間に空気より屈折率の高い屈折率整合部材17を配置している。本実施例に係る屈折率整合部材17は、シンチレータ発光面10emと入射面11aを接着するアクリル系樹脂の接着層である。アクリル系樹脂の接着剤でシンチレータ発光面10emと入射面11aを接着し、シンチレータ発光面10emと入射面11a間への空気の侵入を防止している。屈折率整合部材17は、アクリル系樹脂に限らず、エポキシ系樹脂など透明な部材であれば良い。また、ゴムなどの弾性体をシンチレータ10とライトガイド11で挟んでも良いし、両面テープでシンチレータ10をライトガイド11に貼り付けても良い。
空気より屈折率が高いとシンチレータ発光面10emと屈折率整合部材17の間で全反射が起き難くなるため、シンチレータ内部で発光した光は発光面10emから屈折率整合部材17に入射し易くなる。屈折率整合部材17の屈折率がライトガイド11の屈折率以上の場合は、全反射は起きず、また、ライトガイド11の屈折率と同程度である場合も全反射はほとんど起きない。そのため、ライトガイド11の屈折率と同程度若しくはそれ以上の屈折率の屈折率整合部材17を配置することにより、シンチレータ発光面10emから屈折率整合部材17に光が入射し易くなり、さらに屈折率整合部材17からライトガイド11にも光が入射し易くなるため、光利用効率が向上するという効果を奏する。なお、ライトガイド11の屈折率と同程度とは、ライトガイド11の屈折率±0.2程度を指す。具体的には、ライトガイドを屈折率1.51のPMMAとした場合、1.31から1.71程度である。
但し、如何なる材料も屈折率は空気よりは大きいため、シンチレータ発光面10emと入射面11aの間の空気層がなくなるように樹脂などの屈折率整合部材17を配置することで光利用効率が向上するという効果を奏する。このとき屈折率整合部材17はシンチレータ10の発光光を透過すれば良い。このとき例えば材料の吸収係数[m-1]が高いとしても、屈折率整合部材17が十分に薄ければ光は透過するので問題ない。屈折率整合部材17として重要なのは光が透過するということであり、屈折率整合部材17として透過率は高ければ高いほど良いが光を通せば良く、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂などの樹脂であれば問題なく光を透過する。例えば、金属の厚い板材のように光を完全に通さない部材は屈折率整合部材17としては採用できない。
なお、屈折率整合部材17の屈折率が、シンチレータ発光面10emの屈折率とライトガイド11の屈折率の間の屈折率であると、シンチレータ10の発光面10emと屈折率整合部材17の屈折率差と屈折率整合部材17とライトガイド11の屈折率差との和が最小(シンチレータ発光面10emとライトガイド11の屈折率差)となり、屈折率差に依存して生じるフレネル反射が最小となるため光利用効率が向上するという効果を奏する。
そのような例は、シンチレータをGaN系の多層薄膜構造体とした場合、シンチレータ発光面10emの材質はサファイア基板であるため、波長400nmにおいて屈折率は1.78程度である。一方で、PMMAは1.51程度である。したがって、屈折率整合部材17の屈折率はこの2つの屈折率の間にあることが望ましく、例えば、屈折率が1.6程度のアクリルまたはエポキシ系樹脂の接着剤などが屈折率整合部材17として良い。
シミュレーションにより屈折率整合部材17の効果を確認した。シンチレータ10はGaN系の多層薄膜構造体とし、屈折率整合部材17が有る場合と無い場合で光利用効率を計算した。その結果、屈折率整合部材17がある場合の光利用効率は、屈折率整合部材17がない場合の効率に比較して1.8倍となった。
一般的な直方体のライトガイドの場合、光がライトガイドに入射すると屈折してライトガイド内における光の広がりがおおよそ40度未満になる。このことにより、ライトガイド内を伝搬する光は、入射面に直交する面で全反射を繰り返すため光が導光する。しかし、光源とライトガイドを屈折率整合部材で接続すると、光源から出た光がほとんど屈折せずにライトガイドに入射するため、光はライトガイド内を伝搬せず、入射面付近でライトガイドから漏れてしまう。すなわち、一般的な直方体のライトガイドの場合、屈折率整合部材17を導入すると光利用効率が低下する。
上述の実施例1で説明したライトガイドのように、反射面(11c1―11c3)の3面がアルミ面の構造で、出射面11bに平行にライトガイド11を切断したときの断面積が出射面11bに近づくにつれて小さくなる構成の場合、シンチレータ10で発光した光の広がりのままでライトガイド11に入射しても、反射により受光素子12に光を集光することから、シンチレータ10内で損失する光を、屈折率整合部材17を導入することで損失させずに取り出すことにより光利用効率を向上するという効果を奏する。
すなわち、上述の実施例1第で説明した特徴を持つライトガイド11とシンチレータ10とに間に屈折率整合部材17を配置することで光利用効率を向上するという効果を奏する。
そのとき、屈折率整合部材17の屈折率は、ライトガイドの屈折率と同程度若しくはそれ以上の屈折率とすれば良く、シンチレータ発光面10emの屈折率とライトガイド11の屈折率の間の屈折率であるとさらに良い。
以上の通り本実施例によれば、実施例1の効果に加え、更に光利用効率の向上を図ることが可能となる。
また、本発明の荷電粒子線装置は、荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備え、検出器は、荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、記ライトガイドは、シンチレータの発光面に対向して配置され、シンチレータで発光した光を入射する入射面と、受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、入射面に対向し、かつ入射面から入射した光を出射面の方向へ反射するように入射面に対して傾斜して配置された反射面と、を備え、出射面は前記入射面よりも小さく、入射面と出射面の間に、反射面と対向し、かつ入射面に対して傾斜して配置された斜面と、を備える。
また、斜面は、反射面の少なくとも一部と略平行である。
また、反射面は、複数の面から構成され、シンチレータの発光面の少なくとも一部を覆っている。
また、反射面は、複数の面から構成され、シンチレータの発光面の少なくとも一部を覆い、斜面は、反射面の複数の面のうち一面と略平行である。
また、反射面は、入射面から前記出射面に至る。
また、反射面と出射面の間に、反射面とは異なる傾斜角度の上面を備え、シンチレータ、ライトガイド及び受光素子を含むある断面において、入射面と平行な面への反射面の射影長さは、平行な面への上面の射影長さよりも長い。
また、ライトガイドは、出射面に平行に切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて小さくなる。
また、シンチレータとライトガイドは、シンチレータの発光光を透過する屈折率整合部材により接合されている。
また、反射面は、金属からなる反射材を有する面である。
また、ライトガイドは、電子光学系の対物レンズを構成している部材いずれかの内側に配置している。
また、ライトガイドは、シンチレータの発光面全体を覆う。
また、入射面は、シンチレータの発光面全面を覆う。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
1…電子顕微鏡鏡筒、2…電子源、3…一次電子線光軸、4…偏向器、5…コイル、6…外側磁路、7…内側磁路、8…試料、9…信号電子、10…シンチレータ、11…ライトガイド、12…受光素子、13…出力ケーブル、14…信号処理回路、14a…増幅回路、14b…演算回路、15…モニタ、16…検出器、17…屈折率整合部材

Claims (8)

  1. 荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備えた荷電粒子線装置であって、
    前記検出器は、前記荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、前記シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、
    前記ライトガイドは、
    前記シンチレータの発光面に対向して配置され、前記シンチレータで発光した光を入射する入射面と、
    前記受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、
    前記入射面に対向し、かつ前記入射面から入射した光を前記出射面の方向へ反射するように前記入射面に対して傾斜して配置された反射面と、を備え、
    前記出射面は前記入射面よりも小さく、
    前記反射面の少なくとも一部は、前記シンチレータの発光面の少なくとも一部を覆っており、
    前記反射面は、複数の面から構成され、
    前記複数の面のうちの少なくとも1つの法線は、前記出射面と前記入射面に垂直で且つ前記出射面の中心を含む平面に向かう方向の法線成分を有するように配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備えた荷電粒子線装置であって、
    前記検出器は、前記荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、前記シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、
    前記ライトガイドは、
    前記シンチレータの発光面に対向して配置され、前記シンチレータで発光した光を入射する入射面と、
    前記受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、
    前記入射面に対向し、かつ前記入射面から入射した光を前記出射面の方向へ反射するように前記入射面に対して傾斜して配置された反射面と、
    前記反射面と前記出射面の間に配置され、前記反射面とは異なる傾斜角度の上面と、を備え、
    前記出射面は前記入射面よりも小さく、
    前記シンチレータ、前記ライトガイド及び前記受光素子を含むある断面において、前記入射面と平行な面への前記反射面の射影長さは、前記平行な面への前記上面の射影長さよりも長く、
    前記断面において、前記入射面と平行な面への前記反射面の射影長さは、前記平行な面への前記シンチレータの射影長さよりも長いことを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 荷電粒子源から放出される荷電粒子線の照射により試料から放出される荷電粒子、及び試料から放出される荷電粒子が他部材に衝突することによって発生する荷電粒子の少なくとも一方を検出する検出器を備えた荷電粒子線装置であって、
    前記検出器は、前記荷電粒子が入射すると光を発光するシンチレータと、光を電気信号に変換する受光素子と、前記シンチレータより発生した光を前記受光素子に導くライトガイドと、を備え、
    前記ライトガイドは、
    前記シンチレータの発光面に対向して配置され、前記シンチレータで発光した光を入射する入射面と、
    前記受光素子に対向して配置され、光を出射する出射面と、
    前記入射面に対向し、かつ前記入射面から入射した光を前記出射面の方向へ反射するように前記入射面に対して傾斜して配置された反射面と、を備え、
    前記出射面は前記入射面よりも小さく、
    前記ライトガイドは、出射面側で、前記出射面に平行に切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて小さくなる領域と、入射面側で、前記出射面に平行に切断したときの断面積が出射面に近づくにつれて大きくなる領域を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載される荷電粒子線装置であって、
    前記入射面と前記出射面の間に、前記反射面と対向し、かつ前記入射面に対して傾斜して配置された斜面を備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項4に記載される荷電粒子線装置であって、
    前記反射面と前記斜面の角度差は2度以上8度以下であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項4に記載される荷電粒子線装置であって、
    前記斜面は、前記反射面の少なくとも一部と略平行であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項2乃至請求項3のいずれか一つに記載される荷電粒子線装置であって、
    前記反射面は、複数の面から構成され、前記シンチレータの発光面の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項4に記載される荷電粒子線装置であって、
    前記斜面は、前記反射面の複数の面のうち一面と略平行であることを特徴とする荷電粒子線装置。
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