JP5414254B2 - 変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法 - Google Patents

変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5414254B2
JP5414254B2 JP2008305108A JP2008305108A JP5414254B2 JP 5414254 B2 JP5414254 B2 JP 5414254B2 JP 2008305108 A JP2008305108 A JP 2008305108A JP 2008305108 A JP2008305108 A JP 2008305108A JP 5414254 B2 JP5414254 B2 JP 5414254B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
transformer
circuit breaker
voltage
magnetic flux
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008305108A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010130849A (ja
Inventor
実 齋藤
純正 佐藤
健史 千切
正 腰塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2008305108A priority Critical patent/JP5414254B2/ja
Publication of JP2010130849A publication Critical patent/JP2010130849A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5414254B2 publication Critical patent/JP5414254B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Keying Circuit Devices (AREA)
  • Protection Of Transformers (AREA)
  • Driving Mechanisms And Operating Circuits Of Arc-Extinguishing High-Tension Switches (AREA)

Description

本発明は、変圧器を電源に接続する際に生じる励磁突入電流を抑制するための変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法に関するものである。
変圧器鉄心に残留磁束がある状態で電源投入により無負荷励磁を行うと、大きな励磁突入電流が流れる。この励磁突入電流の大きさは変圧器の定格負荷電流の数倍になることが一般に知られている。このように大きな励磁突入電流が流れると、系統電圧が変動し、その電圧変動が大きい場合需要者に影響を与えることがある。
従来、励磁突入電流を抑制する方法として、投入抵抗と接点とを直列に接続してなる抵抗体付き遮断器を、遮断器主接点のいずれかと並列接続し、当該抵抗体付き遮断器を遮断器主接点に先行して投入するようにした励磁突入電流抑制方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。
また、他の抑制方法として、直接接地系の3相変圧器を3台の単相型遮断器で投入する際、任意の1相を先行投入し、その後に残りの2相を投入させるようにして励磁突入電流を抑制する方法も既に知られているところである(例えば、非特許文献1を参照)。
また、特許文献2に示すように、非有効接地系の3相変圧器を3台の単相型遮断器で投入する際、任意の2相を先行投入し、その後に残りの1相を投入させるようにして励磁突入電流を抑制する方法も提案されている。
また、特許文献3に示すように、非有効接地系の3相変圧器を、一つの操作機構で3相の遮断器の投入・開極動作を同時に操作するようにした3相一括操作型遮断器によって投入する時の励磁突入電流の抑制方法についても提案されている。
特開2002−75145 特願2008−162474 特開2008−160100 IEEE Trans. Vol.16、No.2 2001"Elimination of Transformer Inrush Currents by Controlled Switching -Part I: Theoretical Considerations"
上述の特許文献1に記載されている抵抗体付き遮断器による励磁突入電流抑制方法では、通常の遮断器に対して抵抗体付き遮断器を特別に付加する必要があるため、遮断器全体としてみた場合、大型化は否めない。これに対して、遮断器を大型化することなく、効率的かつ経済的に励磁突入電流を抑制する方法として、非特許文献1、特許文献2に記載されている励磁突入電流の抑制方法が提案されている。
ただし、周知のように遮断器には、一つの操作機構で3相の遮断器の投入・開極動作を同時に操作するようにした3相一括操作型遮断器が存在するが、この3相一括操作型遮断器は、非特許文献1に記載されている励磁突入電流抑制方法に適用できないという欠点がある。これを解決する手段としては、特許文献3に記載されている励磁突入電流の抑制方法が提案されている。
ところで、上述の非特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されているように、変圧器投入時の励磁突入電流抑制には、変圧器を遮断したときの鉄心の残留磁束の大きさを把握しておくことが必要である。変圧器の残留磁束の大きさは、一般には変圧器を遮断した時の変圧器端子電圧を積分することによって得られることが知られている。
非特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている励磁突入電流の抑制方法は、いずれの方法においても、この残留磁束の大きさを考慮して励磁突入電流を抑制できる投入位相を決定している。従って、非特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている方法で励磁突入電流を抑制するためには、変圧器を遮断した時に計測した残留磁束が、次に変圧器を投入する時まで維持されていることが前提となる。
通常の変圧器の遮断・投入操作においては、変圧器を遮断した時に計測した残留磁束は、次に変圧器を投入する時まで維持されているので、非特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている方法で励磁突入電流を抑制することが可能である。しかしながら、変圧器の現地試験・点検などを実施した場合は、変圧器を遮断した時に計測した残留磁束は、次に変圧器を投入する時まで必ずしも維持されないことが知られている。
例えば、変圧器の現地試験・点検では、巻線抵抗測定や変流器の極性チェックを実施することがある。巻線抵抗測定や変流器の極性チェックは、一般には、変圧器の巻線に直流電圧を印加して実施する。このため、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束は、直流電圧印加の影響を受けて変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、鉄心には何らかの直流磁束が残ることになる。
従って、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合は、励磁突入電流抑制の方法として非特許文献1、および特許文献3に記載されている方法が必ずしも適用できない。また、変圧器を遮断したときの残留磁束を計測するためには、非特許文献1などに記載されているように、遮断前後の変圧器端子電圧を計測し、これを積分演算することで残留磁束を計測する必要があることは前述の通りである。
残留磁束の計測において、変電設備に変圧器端子電圧を計測できる計器用変圧器(VT)等が付与されている場合は問題とならないが、計器用変圧器(VT)等が付与されていない場合は、例えば、点検のために変圧器を遮断する際に、一時的に簡易形の計器用変圧器(VT)等を付加する必要がある。しかし、一時的に簡易形の計器用変圧器(VT)等を付加することは、点検のための機器停止の時間的制約や、電力会社の運用上の制約、又は既設変電設備への取り付けスペースなどの物理的制約や安全上の制約などの理由により、必ずしも可能とは限らない。このような場合は、変圧器の残留磁束を把握できないため、非特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている方法で励磁突入電流を抑制することは出来ない。
さらに、特許文献3に記載されているように、変圧器を遮断する時の遮断位相を制御することにより残留磁束を制御し、変圧器端子電圧の測定を不要にする方法も提案されているが、変圧器の1次側容量が大きい場合などは、遮断時の磁束の挙動がランダムとなり、残留磁束を制御することが困難となる。このような場合も、変圧器の残留磁束を把握できないため、非特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている方法で励磁突入電流を抑制することは出来ない。
本発明の目的は、以上で述べた従来技術に鑑みて成されたもので、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制する方法および励磁突入電流抑制装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、変圧器を遮断するときに残留磁束を把握することが出来ない場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制する方法および励磁突入電流抑制装置を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明は、Y結線に接続された1次巻線と、△結線された2次巻線または3次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器を3相電源へ投入および3相電源から遮断する3相遮断器とを備え、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制方法において、前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器のΔ結線の2端子間に直流電圧を印加して、このΔ結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定相の鉄心の磁束を飽和させ、前記3相遮断器投入後の課電状態で鉄心を飽和させた前記特定相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和した前記特定相の磁束が略一致するタイミングとなる電圧位相0°または180°を電気的な投入目標として、前記3相遮断器を投入させることを特徴とする。
また、このような方法を実現する励磁突入電流抑制装置も本発明の一態様である。
本発明によれば、前記遮断器を投入する前に、前記変圧器に直流電圧を印加して、変圧器の鉄心の磁束を飽和させることにより、変圧器の残留磁束が不明な状態でも、効果的に変圧器の励磁突入電流を抑制することが可能になる。
以下、本発明に係る変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と変圧器、および遮断器の接続関係を示すブロック図である。図1において、100は電源、200は遮断器、300は遮断器200によって電源100に投入または遮断される単相変圧器である。
次に、励磁突入電流抑制装置600と主回路との接続関係について説明する。400は電源電圧を計測するための計器用変圧器(VT)等で構成された電源電圧計測用機器、600は遮断器200の主接点に対して閉極位相制御された投入指令を出力する励磁突入電流抑制装置である。
励磁突入電流抑制装置600において、601はVT等の電源電圧計測用機器400から出力された電源電圧を取り込んで計測する電源電圧計測手段である。602は投入位相設定手段で、投入位相制御手段603で制御対象となる所望の位相を設定・保持する機能を備えている。
603は投入位相制御手段である。投入位相制御手段603は、電源電圧の所望の投入位相で、遮断器を電気的に投入させる制御を行う。投入位相制御手段603は、電圧計測手段601の出力を参照して、この電圧の所望の投入位相において遮断器200が電気的に投入するように投入位相を制御する機能を備えている。604は投入指令出力手段で、投入位相制御手段603の出力信号を受けて遮断器200の主接点を駆動する操作機構に対して投入指令(遮断器の閉極指令信号)を出力する機能を備えている。
本実施形態におけるこの投入位相制御手段603と投入指令出力手段604が、本発明の投入制御手段を構成している。ここで、投入位相制御手段603及び投入指令出力手段604は、遮断器の状態量、すなわち、遮断器の開閉状態、動作速度の少なくとも1つを考慮して、狙った位相で遮断器が投入されるように制御する。
605は直流電圧印加手段で、結線606を介して、変圧器300の端子間に直流電圧を印加する機能を備えている。この直流電流印加手段605は、変圧器300の鉄心に対して、鉄心が磁気飽和するのに十分な時間の間、直流電流を印加する。
なお、本実施形態では、直流電圧印加手段605は、励磁突入電流抑制装置600と同一ユニット内に構成されているが、別ユニットとして構成しても良い。また、本実施形態では単相遮断器と単相変圧器からなる単相回路について説明したが、3相遮断器と3相変圧器とからなる3相回路においても同様のシステムの適用が可能なことは言うまでも無い。また、3相回路における遮断器は、各相操作型遮断器と3相一括操作型遮断器のいずれでも良い。
(作用)
第1実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。
本実施形態は、例えば、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施したことにより、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束が変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。また、その他の何らかの物理的影響により、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。更に、変圧器に何らかの物理的影響が生じた結果、残留磁束が変化する、もしくは無くなり、結果として残留磁束が把握出来なくなった場合も、これに準じるケースとして、同じく適用対象としている。
以上の前提における変圧器の状態(変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残っている状態、又は残留磁束を把握できない場合)を初期状態として、本実施形態による励磁突入電流抑制方法のフローチャートを図2に示す。
ステップ1:変圧器の端子間に直流電圧を印加する。
単相変圧器300の端子間に結線606を介して直流電圧印加手段605からの直流電圧を印加する。
ステップ2:変圧器鉄心が飽和するまで印加時間が経過したか?
直流電圧の印加は変圧器鉄心が飽和したと考えるのに十分な時間の間印加する。なお、直流電圧の印加時間は変圧器毎の固有条件である。
ステップ3:遮断器の投入位相を設定する。
例えば、図1に示すように、単相変圧器300の鉄心磁束を約+100%の直流磁束になるように直流電圧印加を実施した場合は、遮断器投入後の課電状態で変圧器300に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和した直流磁束が略一致するタイミングとして、遮断器の電気的な投入位相を約180°に設定する。なお、遮断器200の投入位相は、都度設定しても良いし、投入位相設定手段602に予め設定した位相を使用しても良い。また、直流電圧印加手段605と連動して、自動的に設定されるようにしても良い。
ステップ4:ステップ3で設定した投入位相を電気的な投入タイミングとして、遮断器を位相制御投入する。
変圧器の位相制御投入のタイミングチャートを図3に示す。遮断器は「+100%の直流磁束=電源電圧により定常状態で誘起される磁束」のタイミング、すなわち、電源電圧の180°の位相で電気的に投入される。
以上の手順により、位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して変圧器300を電源に投入することができる。すなわち、本実施形態では、変圧器の位相制御投入時に、変圧器鉄心の磁束は常に100%に設定されているので、鉄心の残留磁束の大きさを正確に把握することが可能になる。
その結果、投入前の直流磁束と電源電圧により定常状態で誘起される磁束とが等しいタイミングを容易に把握することができ、その時点で遮断器が投入されるように、電源電圧の狙った位相で遮断器を投入する。その結果、図3に示すように、遮断器投入後における変圧器鉄心に誘起される磁束が過渡現象を伴わないため、励磁突入電流の効果的な抑制が可能になる。
なお、本実施形態において、遮断器の投入タイミングは、必ずしも、遮断器投入後の課電状態で変圧器に定常状態で誘起される磁束と直流電圧印加の結果飽和した磁束が完全に一致することに限定されるものではない。両者が略一致していても、励磁突入電流を大幅に抑制することができる。同様に、直流電圧印加による変圧器鉄心の磁束も、完全に飽和する必要はなく、略飽和する程度でも良い。その場合でも、遮断器投入後の課電状態で変圧器に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果変圧器鉄心に誘起される磁束とを近づけることができ、その位相で遮断器を投入することで、励磁突入電流を抑制できる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第1実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。
すなわち、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、いったん+100%の直流磁束を掛けることにより、変圧器鉄心の磁束を常に定常状態で誘起される磁束と等しい値とすることができる。そのため、抵抗体付き遮断器等の設備を付加したり、変圧器端子電圧を計測するための計器用変圧器(VT)などを設置せずに、適正な投入位相において遮断器が投入されるように制御することで、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。
(第2実施形態)
(構成)
図4は、本発明の第2実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図である。
図4において、110は電力系統の母線(電源母線ともいう)、210U〜Vは各相の主接点が個別に操作される各相操作型遮断器である。310は各相操作型遮断器210によって電源母線110に投入または遮断される3相変圧器であり、その1次巻線311はY結線され、2次巻線312および3次巻線313はΔ結線されている。
なお、1次巻線311および2次巻線312がY結線され、3次巻線313がΔ結線された3相変圧器など、図4以外の結線の3相変圧器を適用した構成としても良い。また、図4では直接接地変圧器を用いているが、非接地変圧器、非有効接地変圧器(抵抗接地変圧器)を適用した構成としても良い。
すなわち、本実施形態における変圧器としては、有効接地系もしくは非有効接地系に設置され、各相が2巻線もしくは3巻線であり、2巻線の場合には2次巻線がΔ結線され、3巻線の場合には2次巻線もしくは3次巻線がΔ結線され、1次巻線がY結線に接続され、有効接地系に設置された場合にはY結線の中性点が接地され、非有効接地系に設置された場合には、Y結線の中性点が非接地もしくはインピーダンスを有する素子を介して接地された3相変圧器が使用できる。
次に、励磁突入電流抑制装置610と主回路との接続関係について説明する。
410は前記電源母線110の各相(U、V、W)電圧を計測するための計器用変圧器(VT)等で構成された電源電圧計測用機器、610は各相操作型遮断器210の主接点に対して各相個別に閉極位相制御された投入指令を出力する励磁突入電流抑制装置である。
励磁突入電流抑制装置610において、611はVT等の電源電圧計測用機器410から出力された各相(U、V、W相)の電源電圧を取り込んで計測する電源電圧計測手段である。613は投入位相制御手段である。投入位相制御手段613は、電源電圧の所望の投入位相で、遮断器を電気的に投入させる制御を行う。投入位相制御手段613は、電圧計測手段611の出力を参照して、この電圧の所望の投入位相において各相個別に遮断器210U〜Wが電気的に投入するように投入位相を制御する機能を備えている。
614は投入指令出力手段で、投入位相制御手段613の出力信号を受けて遮断器210の主接点を駆動する操作機構に対して各相個別に投入指令を出力する機能を備えている。612は投入位相設定手段で、投入位相制御手段613で制御対象となる所望の位相を設定・保持する機能を備えている。
615は直流電圧印加手段で、結線616を介して、3相変圧器310のΔ結線である2次巻線312、又は3次巻線313の2つの端子間に直流電圧を印加する機能を備えている。図4の例では、2次巻線312のu−v端子間に直流電圧印加手段615が接続されている。なお、直流電圧印加手段615を2次巻線312のv−w端子間、w−u端子間、または3次巻線に接続しても良い。また、本実施形態では、直流電圧印加手段615は、励磁突入電流抑制装置610と同一ユニット内に構成されているが、別ユニットとして構成しても良い。
(作用)
第2実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。本実施形態は、例えば、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施したことにより、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束が変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。
また、その他の何らかの物理的影響により、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。更に、変圧器に何らかの物理的影響が生じた結果、残留磁束が変化する、もしくは無くなり、結果として残留磁束が把握出来なくなった場合も、これに準じるケースとして、同じく適用対象としている。
以上の前提における変圧器の状態(変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残っている状態、又は残留磁束を把握できない場合)を初期状態として、本実施形態による励磁突入電流抑制方法のフローチャートを図5に示す。
ステップ1:3相変圧器のΔ結線の端子間に直流電圧を印加する。
3相変圧器310のΔ結線の端子間に結線616を介して直流電圧印加手段615からの直流電圧を印加する。
ステップ2:変圧器鉄心が飽和するまで印加時間が経過したか?
直流電圧の印加は、変圧器鉄心(直流電圧印加端子間に対応する相の鉄心)が飽和したと考えるのに十分な時間の間印加する。なお、直流電圧の印加時間は変圧器毎の固有条件である。図4の例では、2次巻線312のu−v端子間に直流電圧印加手段615からの直流電圧を印加する。この場合、図6に示すように、3相変圧器310のU相鉄心の直流磁束1010uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1010vおよびW相鉄心の直流磁束1010wは各々約−50%になる。
ステップ3:3相遮断器の投入位相を各相個別に設定する。
閉極第1相を直流電圧印加端子間に対応する相、すなわち、鉄心を飽和させた相とする。残りの2相は予め設定した時間後に投入する閉極第2相、閉極第3相とする。
例えば、図4に示すように、2次巻線312のu−v端子間に直流電圧印加した場合は、図6に示すように、3相変圧器310のU相鉄心の直流磁束1010uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1010vおよびW相鉄心の直流磁束1010wは各々約−50%になっているので、U相遮断器210U投入後の課電状態で3相変圧器のU相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和したU相の直流磁束が略一致するタイミングとして、U相遮断器210Uの電気的な投入位相を180°に設定する。残りの2相、すなわち、V相遮断器210VとW相遮断器210Wの電気的な投入位相はU相電圧の0°(又は180°)に対応する位相に設定する。
なお、遮断器の投入位相は、都度設定しても良いし、投入位相設定手段612に予め設定した位相を使用しても良い。また、直流電圧印加手段615と連動して、自動的に設定されるようにしても良い。要するに、残る2相は、予め設定した時間の後、先に投入された前記閉極第1相の相電圧零点で電気的に投入させるものであればよい。
ステップ4:ステップ3で設定した投入位相を電気的な投入タイミングとして、3相遮断器210を各相個別に位相制御投入する。
閉極第1相の位相制御投入のタイミングチャートは、図3の変圧器の位相制御投入のタイミングチャートと同じである。図4に示すように、2次巻線312のu−v端子間に直流電圧印加した場合は、U相遮断器210Uは「U相の+100%の直流磁束=U相電源電圧により定常状態で誘起されるU相の磁束」のタイミング、すなわち、U相の電源電圧の180°の位相で電気的に投入される。
閉極第1相と残りの2相の投入タイミングの例を、図7に示す。図7の例では、U相が閉極第1相であり、位相180°のタイミング(図7のタイミングA)で電気的に投入される。続いて1サイクル後に、残りの2相、すなわちV相とW相がU相の180°のタイミング(図7のタイミングB)で電気的に投入される。
この場合、U相のみを見れば、前記第1実施形態と同様に、投入前の直流磁束と電源電圧により定常状態で誘起される磁束とが等しいタイミングを容易に把握することができ、その時点で遮断器が投入されるように、電源電圧の狙った位相で遮断器を投入する。その結果、図3と同様に、変圧器のU相鉄心に誘起されるU相磁束が過渡現象を伴わないため、変圧器のU相の励磁突入電流の効果的な抑制が可能になる。
一方、残りの2相、すなわちV相とW相についても、U相の変圧器鉄心が磁気飽和した状態において、V相鉄心の直流磁束1010vおよびW相鉄心の直流磁束1010wは各々約−50%になっていることが把握できるので、励磁突入電流を抑制した適正なタイミングで遮断器を投入することができる。
特に、投入第1相であるU相投入後は、残りの2相であるV相とW相の直流磁束は、鉄心磁束の均一化現象により急速に抑制され、1サイクル、もしくは数サイクル後には、V相とW相の直流磁束は無視できるレベルとなる。この場合は、図7に示すように、投入第1相であるU相の180°のタイミングでV相、W相を投入することにより、変圧器の残りのV相、W相の励磁突入電流の効果的な抑制が可能になる。
以上に述べた3相変圧器の励磁突入電流抑制の考え方は、例えば非特許文献1に詳細に述べられているので、ここでの詳細な説明は省略する。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第2実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。
変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。
特に、本実施の形態は、各相操作型遮断器210U〜Wの位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して3相変圧器310を電源に投入することができ、各相操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。また、本実施の形態によれば、2次巻線、もしくは3次巻線のΔ結線の端子間に直流電圧を印加して鉄心を飽和させるので、1次側のY結線の接地方式(直接接地、非接地方式、非有効接地方式(抵抗接地方式))によらず、類似の位相制御投入方式が適用できる。
(第3実施形態)
(構成)
図8は、本発明の第3実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図である。第3実施形態の構成は、以下の点を除き、第2実施形態の構成と同じなので、詳細な説明を省略する。
図8において、220は各相の主接点が一括操作される3相一括操作型遮断器である。320は3相一括操作型遮断器220によって電源母線110に投入または遮断される3相変圧器であり、その1次巻線321はY結線され、2次巻線322および3次巻線323はΔ結線されている。Znは1次巻線321の中性点を接地するためのインピーダンスである。
なお、3相一括操作型遮断220の代わりに各相操作遮断器を適用し、各相操作遮断器を3相同時に投入または遮断操作しても良い。また、1次巻線321および2次巻線322がY結線され、3次巻線323がΔ結線された3相変圧器など、図8以外の結線の3相変圧器を適用した構成としても良い。また、図8では非有効接地変圧器(抵抗接地変圧器)を用いているが、直接接地変圧器、非接地変圧器を適用した構成としても良い。
励磁突入電流抑制装置620と主回路との接続関係は、遮断器が3相一括操作型遮断器220になったことに伴い、投入指令を3相一括で出力することを除き、第2実施形態と同じである。また、励磁突入電流抑制装置620の構成は、投入指令出力手段624が投入位相制御手段623の出力信号を受けて遮断器220の主接点を駆動する操作機構に対して3相一括で投入指令を出力する機能を備えていることを除き、第2実施形態と同じである。
(作用)
第3実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。本実施形態は、例えば、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施したことにより、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束が変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。また、その他の何らかの物理的影響により、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。
更に、変圧器に何らかの物理的影響が生じた結果、残留磁束が変化する、もしくは無くなり、結果として残留磁束が把握出来なくなった場合も、これに準じるケースとして、同じく適用対象としている。
以上の前提における変圧器の状態(変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残っている状態、又は残留磁束を把握できない場合)を初期状態として、本実施形態による励磁突入電流抑制方法のフローチャートを図9に示す。
ステップ1:3相変圧器のΔ結線の端子間に直流電圧を印加する。
3相変圧器320のΔ結線の端子間に結線626を介して直流電圧印加手段625からの直流電圧を印加する。
ステップ2:変圧器鉄心が飽和するまで印加時間が経過したか?
直流電圧の印加は変圧器鉄心(直流電圧印加端子間に対応する相の鉄心)が飽和したと考えるのに十分な時間の間印加する。なお、直流電圧の印加時間は変圧器毎の固有条件である。図8の例では、2次巻線322のu−v端子間に直流電圧印加手段625からの直流電圧を印加する。この場合、第2実施形態と同様の直流磁束が残る。すなわち、図6と同様に、3相変圧器320のU相鉄心の直流磁束は約+100%となり、V相鉄心の直流磁束およびW相鉄心の直流磁束は各々約−50%になる。
ステップ3:3相遮断器の投入位相を3相一括で設定する。
直流磁束が最大の相は、直流電圧印加端子間に対応する相、すなわち、鉄心を飽和させた相である(この相をX相とする)。したがって、直流電圧印加の結果飽和したX相の磁束と同極性から逆極性へ遷移するX相の電圧零点を電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させる。
例えば、図8に示すように、2次巻線322のu−v端子間に直流電圧印加した場合は、図6と同様に、3相変圧器320のU相鉄心の直流磁束は約+100%となり、V相鉄心の直流磁束およびW相鉄心の直流磁束は各々約−50%になる。したがって、図10に示すように、電圧が正極性から負極性へ遷移するU相電圧の180°(図10のタイミングC)を電気的な投入位相に設定する。なお、遮断器の投入位相は、都度設定しても良いし、投入位相設定手段622に予め設定した位相を使用しても良い。また、直流電圧印加手段625と連動して、自動的に設定されるようにしても良い。
ステップ4:ステップ3で設定した投入位相を電気的な投入タイミングとして、3相一括操作型遮断器220を3相一括で位相制御投入する。なお、位相制御投入のタイミングチャートは、図3の変圧器の位相制御投入のタイミングチャートと同様である。以上の手順により、3相一括操作型遮断器220の位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して3相変圧器320を電源に投入することができる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第3実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。
変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。特に、本実施の形態は、3相一括操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。
また、本実施の形態によれば、2次巻線、もしくは3次巻線のΔ結線の端子間に直流電圧を印加して鉄心を飽和させるので、1次側のY結線の接地方式(直接接地、非接地方式、非有効接地方式(抵抗接地方式))によらず、類似の位相制御投入方式が適用できる。
(第4実施形態)
(構成)
図11は、本発明の第4実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図である。
図11において、110は電力系統の母線(電源母線ともいう)、210U〜Vは各相の主接点が個別に操作される各相操作型遮断器である。330は各相操作型遮断器210によって電源母線110に投入または遮断される3相変圧器であり、その1次巻線331はY結線され、2次巻線332および3次巻線333はΔ結線されている。3相変圧器330は1次巻線331のY結線の中性点が直接接地された直接接地変圧器である。
なお、1次巻線331および2次巻線332がY結線され、3次巻線333がΔ結線された3相変圧器など、図11以外の結線の直接接地系の3相変圧器を適用した構成としても良い。励磁突入電流抑制装置630と主回路との接続関係は、第2実施形態と同じなので詳細な説明を省略する。また、励磁突入電流抑制装置630の構成は、直流電圧印加手段635の接続を除き、第2実施形態と同じであるので詳細な説明を省略する。
直流電圧印加手段635は、結線636を介して、3相変圧器330のY結線である1次巻線331の3相の内のいずれか1相の端子と接地端子の間に直流電圧を印加する機能を備えている。図11の例では、1次巻線331のU相端子−中性点(接地)端子間に直流電圧印加手段635が接続されている。なお、直流電圧印加手段635を1次巻線331のV相端子−中性点(接地)端子間、W相端子−中性点(接地)端子間に接続しても良い。なお、本実施形態では、直流電圧印加手段635は、励磁突入電流抑制装置630と同一ユニット内に構成されているが、別ユニットとして構成しても良い。
(作用)
第4実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。本実施形態は、例えば、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施したことにより、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束が変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。
また、その他の何らかの物理的影響により、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。更に、変圧器に何らかの物理的影響が生じた結果、残留磁束が変化する、もしくは無くなり、結果として残留磁束が把握出来なくなった場合も、これに準じるケースとして、同じく適用対象としている。
以上の前提における変圧器の状態(変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残っている状態、又は残留磁束を把握できない場合)を初期状態として、本実施形態による励磁突入電流抑制方法のフローチャートを図12に示す。
ステップ1:3相変圧器のY結線の端子−接地間に直流電圧を印加する。
3相変圧器330のY結線の3相の内のいずれか1相の端子と接地端子の間に結線636を介して直流電圧印加手段635からの直流電圧を印加する。
ステップ2:変圧器鉄心が飽和するまで印加時間が経過したか?
直流電圧の印加は変圧器鉄心(直流電圧印加端子に対応する相の鉄心)が飽和したと考えるのに十分な時間の間印加する。なお、直流電圧の印加時間は変圧器毎の固有条件である。図11の例では、1次巻線331のU相端子−中性点(接地)端子間に直流電圧印加手段635からの直流電圧を印加する。この場合、図13に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1030Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1030VおよびW相鉄心の直流磁束1030Wは各々約−50%になる。
ステップ3:3相遮断器の投入位相を各相個別に設定する。
閉極第1相を直流電圧印加端子に対応する相、すなわち、鉄心を飽和させた相とする。残りの2相は予め設定した時間後に投入する閉極第2相、閉極第3相とする。
例えば、図11に示すように、1次巻線331のU相端子−中性点(接地)端子間に直流電圧印加した場合は、図13に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1030Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1030VおよびW相鉄心の直流磁束1030Wは各々約−50%になっているので、U相遮断器210U投入後の課電状態で3相変圧器のU相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和したU相の直流磁束が略一致するタイミングとして、U相遮断器210Uの電気的な投入位相を180°に設定する。残りの2相、すなわち、V相遮断器210VとW相遮断器210Wの電気的な投入位相はU相電圧の0°(又は180°)に対応する位相に設定する。
なお、遮断器の投入位相は、都度設定しても良いし、投入位相設定手段632に予め設定した位相を使用しても良い。また、直流電圧印加手段635と連動して、自動的に設定されるようにしても良い。
ステップ4:ステップ3で設定した投入位相を電気的な投入タイミングとして、3相遮断器210を各相個別に位相制御投入する。
閉極第1相の位相制御投入のタイミングチャートは、図3の変圧器の位相制御投入のタイミングチャートと同じである。図11に示すように、1次巻線331のU相端子−中性点(接地)端子間に直流電圧印加した場合は、U相遮断器210Uは「U相の+100%の直流磁束=U相電源電圧により定常状態で誘起されるU相の磁束」のタイミング、すなわち、U相の電源電圧の180°の位相で電気的に投入される。
閉極第1相と残りの2相の投入タイミングは、図7に示すタイミングと同じである。
図7に示すように、U相が閉極第1相であり、位相180°のタイミング(図7のタイミングA)で電気的に投入される。続いて1サイクル後に、残りの2相、すなわちV相とW相がU相の180°のタイミング(図7のタイミングB)で電気的に投入される。
以上の手順により、各相操作型遮断器210U〜Wの位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して3相変圧器330を電源に投入することができる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第4実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。
変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。特に本実施の形態は、設備上の都合で、Δ結線に直流電圧を印加できない場合に有効であり、直接接地系の3相変圧器において、各相操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。
(第5実施形態)
(構成)
図14は、本発明の第5実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図である。第5実施形態の構成は、以下の点を除き、第4実施形態の構成と同じなので、詳細な説明を省略する。
図14において、220は各相の主接点が一括操作される3相一括操作型遮断器である。330は3相一括操作型遮断器220によって電源母線110に投入または遮断される3相変圧器であり、その1次巻線331はY結線され、2次巻線332および3次巻線333はΔ結線されている。3相変圧器330は1次巻線331のY結線の中性点が直接接地された直接接地変圧器である。
なお、3相一括操作型遮断220の代わりに各相操作遮断器を適用し、各相操作遮断器を3相同時に投入または遮断操作しても良い。また、1次巻線331および2次巻線332がY結線され、3次巻線333がΔ結線された3相変圧器など、図14以外の結線の直接接地系の3相変圧器を適用した構成としても良い。
励磁突入電流抑制装置640と主回路との接続関係は、遮断器が3相一括操作型遮断器220になったことに伴い、投入指令を3相一括で出力することを除き、第4実施形態と同じである。また、励磁突入電流抑制装置640の構成は、投入指令出力手段644が投入位相制御手段643の出力信号を受けて遮断器220の主接点を駆動する操作機構に対して3相一括で投入指令を出力する機能を備えていることを除き、第4実施形態と同じである。
(作用)
第5実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。本実施形態は、例えば、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施したことにより、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束が変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。
また、その他の何らかの物理的影響により、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。更に、変圧器に何らかの物理的影響が生じた結果、残留磁束が変化する、もしくは無くなり、結果として残留磁束が把握出来なくなった場合も、これに準じるケースとして、同じく適用対象としている。
以上の前提における変圧器の状態(変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残っている状態、又は残留磁束を把握できない場合)を初期状態として、本実施形態による励磁突入電流抑制方法のフローチャートを図15に示す。
ステップ1:3相変圧器のY結線の端子−接地間に直流電圧を印加する。
3相変圧器330のY結線の3相の内のいずれか1相の端子と接地端子の間に結線646を介して直流電圧印加手段645からの直流電圧を印加する。
ステップ2:変圧器鉄心が飽和するまで印加時間が経過したか?
直流電圧の印加は変圧器鉄心(直流電圧印加端子に対応する相の鉄心)が飽和したと考えるのに十分な時間の間印加する。なお、直流電圧の印加時間は変圧器毎の固有条件である。図14の例では、1次巻線331のU相端子−中性点(接地)端子間に直流電圧印加手段645からの直流電圧を印加する。
この場合、第4実施形態と同様に、図13に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1030Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1030VおよびW相鉄心の直流磁束1030Wは各々約−50%になる。
ステップ3:3相遮断器の投入位相を3相一括で設定する。
直流磁束が最大の相は、直流電圧印加端子に対応する相、すなわち、鉄心を飽和させた相である(この相をX相とする)。したがって、直流電圧印加の結果飽和したX相の磁束と同極性から逆極性へ遷移するX相の電圧零点を電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させる。例えば、図14に示すように、1次巻線331のU相端子−中性点(接地)端子間に直流電圧印加した場合は、第4実施形態と同様に、図13に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束は約+100%となり、V相鉄心の直流磁束およびW相鉄心の直流磁束は各々約−50%になる。したがって、第3実施形態と同様に、図10に示すように、電圧が正極性から負極性へ遷移するU相電圧の180°(図10のタイミングC)を電気的な投入位相に設定する。
なお、遮断器の投入位相は、都度設定しても良いし、投入位相設定手段642に予め設定した位相を使用しても良い。また、直流電圧印加手段645と連動して、自動的に設定されるようにしても良い。
ステップ4:ステップ3で設定した投入位相を電気的な投入タイミングとして、3相一括操作型遮断器220を3相一括で位相制御投入する。なお、位相制御投入のタイミングチャートは、図3の変圧器の位相制御投入のタイミングチャートと同様である。
以上の手順により、3相一括操作型遮断器220の位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して3相変圧器330を電源に投入することができる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第5実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。
特に本実施の形態は、設備上の都合で、Δ結線に直流電圧を印加できない場合に有効であり、直接接地系の3相変圧器において、3相一括操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。
(第6実施形態)
(構成)
図16は、本発明の第6実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図である。
図16において、110は電力系統の母線(電源母線ともいう)、220は各相の主接点が一括操作される3相一括操作型遮断器である。350は3相一括操作型遮断器220によって電源母線110に投入または遮断される3相変圧器であり、その1次巻線351はY結線され、2次巻線352および3次巻線353はΔ結線されている。Znは1次巻線351の中性点を接地するためのインピーダンスである。3相変圧器350は1次巻線351のY結線の中性点がインピーダンスを介して接地された非有効接地変圧器である。
なお、1次巻線351および2次巻線352がY結線され、3次巻線353がΔ結線された3相変圧器など、図16以外の結線の非有効接地系の3相変圧器を適用した構成としても良い。また、非接地系の3相変圧器を適用した構成としても良い。
励磁突入電流抑制装置650と主回路との接続関係は、第3実施形態と同じなので詳細な説明を省略する。また、励磁突入電流抑制装置650の構成は、直流電圧印加手段655の接続を除き、第3実施形態と同じであるので詳細な説明を省略する。
直流電圧印加手段655は、結線656を介して、3相変圧器350のY結線である1次巻線351の3相の内のいずれか2相の端子間に直流電圧を印加する機能を備えている。図16の例では、1次巻線351のU相端子−V相端子間に直流電圧印加手段655が接続されている。なお、直流電圧印加手段655を1次巻線351のV相端子−W相端子間、W相端子−U相端子間に接続しても良い。なお、本実施形態では、直流電圧印加手段655は、励磁突入電流抑制装置650と同一ユニット内に構成されているが、別ユニットとして構成しても良い。
(作用)
第6実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。本実施形態は、例えば、変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施したことにより、変圧器を遮断した時に生じた残留磁束が変化する、もしくは無くなり、試験・点検終了時には、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。
また、その他の何らかの物理的影響により、変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残った場合を適用対象としている。更に、変圧器に何らかの物理的影響が生じた結果、残留磁束が変化する、もしくは無くなり、結果として残留磁束が把握出来なくなった場合も、これに準じるケースとして、同じく適用対象としている。
以上の前提における変圧器の状態(変圧器鉄心に何らかの直流磁束が残っている状態、又は残留磁束を把握できない場合)を初期状態として、本実施形態による励磁突入電流抑制方法のフローチャートを図17に示す。
ステップ1:3相変圧器のY結線の端子間に直流電圧を印加する。
3相変圧器350のY結線の3相の内のいずれか2相の端子間に結線656を介して直流電圧印加手段655からの直流電圧を印加する。
ステップ2:変圧器鉄心が飽和するまで印加時間が経過したか?
直流電圧の印加は変圧器鉄心(直流電圧印加端子に対応する相の鉄心)が飽和したと考えるのに十分な時間の間印加する。なお、直流電圧の印加時間は変圧器毎の固有条件である。図16の例では、1次巻線351のU相端子−V相端子間に直流電圧印加手段655からの直流電圧を印加する。この場合、図18に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1050Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1050Vは約−100%となり、W相鉄心の直流磁束1050Wは約0%になる。
ステップ3:3相遮断器の投入位相を3相一括で設定する。
直流磁束の絶対値が最大の相は、直流電圧印加端子間に対応する2相、すなわち、鉄心をそれぞれ正極性と負極性に飽和させた2相である。ここでは磁束が正極性の相を選択し、これをX相とする。したがって、直流電圧印加の結果飽和したX相の磁束と同極性から逆極性へ遷移するX相の電圧零点を電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させる。
例えば、図16に示すように、1次巻線351のU相端子−V相端子間に直流電圧印加した場合は、図18に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1050Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1050Vは約−100%となり、W相鉄心の直流磁束1050Wは約0%になる。したがって、直流磁束が正極性の相を選択する場合、図19に示すように、電圧が正極性から負極性へ遷移するU相電圧の180°(図19のタイミングD)を電気的な投入位相に設定する。
なお、遮断器の投入位相は、都度設定しても良いし、投入位相設定手段652に予め設定した位相を使用しても良い。また、直流電圧印加手段655と連動して、自動的に設定されるようにしても良い。
ステップ4:ステップ3で設定した投入位相を電気的な投入タイミングとして、3相一括操作型遮断器220を3相一括で位相制御投入する。なお、位相制御投入のタイミングチャートは、図3の変圧器の位相制御投入のタイミングチャートと同様である。
以上の手順により、3相一括操作型遮断器220の位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して3相変圧器350を電源に投入することができる。なお、本実施形態では3相遮断器の投入位相を設定するに当たり、直流磁束が正極性の相を選択する場合について説明したが、負極性の相を選択しても良い。負極性の磁束を選択する場合について、図16、図18の場合を例にとり、以下に説明する。
図18では、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1050Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1050Vは約−100%となり、W相鉄心の直流磁束1050Wは約0%になる。したがって、直流磁束が負極性の相を選択する場合は、図19に示すように、電圧が負極性から正極性へ遷移するV相電圧の0°(図19のタイミングE)を電気的な投入位相に設定する。V相の0°のタイミングで3相一括操作型遮断器220を位相制御投入すれば、励磁突入電流を抑制して3相変圧器350を電源に投入することができる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第6実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。
変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。特に本実施の形態は、設備上の都合で、Δ結線に直流電圧を印加できない場合に有効であり、非接地系、又は非有効接地系(抵抗接地系)の3相変圧器において、3相一括操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。
(第7実施形態)
(構成)
本発明の第7実施形態の構成は、第6実施形態と同じなので、説明を省略する。
(作用)
第7実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置の作用について以下に説明する。第7実施形態の励磁突入電流抑制方法のフローチャートは、ステップ3「3相遮断器の投入位相を3相一括で設定する」を除き、第6実施形態と同じ(図17を参照)なので、ステップ3についてのみ以下に詳細に説明する。
ステップ3:3相遮断器の投入位相を3相一括で設定する。
直流電圧を印加していない端子に対応する相(この相をX相とする)のピーク電圧のタイミング(90°又は270°)が投入位相の候補となる。なお、一般には、直流磁束の絶対値が最小の相をX相として選択する。
2つあるX相ピーク電圧のうち、直流電圧を印加して鉄心を飽和させた残りの2相において、遮断器投入後の課電状態で3相変圧器の各々の相に定常状態で誘起される磁束の極性と、直流電圧印加の結果飽和した当該相の直流磁束の極性が各々同極性となる期間と一致する方のX相ピーク電圧を最終的な投入位相とし、このタイミングを電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させる。
例えば、図17に示すように、1次巻線351のU相端子−V相端子間に直流電圧印加した場合は、図18に示すように、3相変圧器330のU相鉄心の直流磁束1050Uは約+100%となり、V相鉄心の直流磁束1050Vは約−100%となり、W相鉄心の直流磁束1050Wは約0%になる。したがって、直流電圧を印加していないW相のピーク電圧のタイミング(90°又は270°)が投入位相の候補となる。
次に、直流電圧を印加して鉄心を飽和させた残りの2相の状態を考慮する。図20に示すように、遮断器投入後の課電状態で3相変圧器のU相に定常状態で誘起される磁束の極性と、直流電圧印加の結果飽和したU相の直流磁束(+100%)の極性が同極性である期間は期間aである。一方、遮断器投入後の課電状態で3相変圧器のV相に定常状態で誘起される磁束の極性と、直流電圧印加の結果飽和したV相の直流磁束(−100%)の極性が同極性である期間は期間bである。
従って、期間aと期間bが重なる期間におけるW相のピーク電圧のタイミングが最終的な投入位相になる。以上より、図20の投入タイミングF、すなわち、W相電圧の270°を電気的な投入位相に設定する。
以上の手順により、3相一括操作型遮断器220の位相制御投入により、励磁突入電流を抑制して3相変圧器350を電源に投入することができる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、第7実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法は、以下の効果を有する。
変圧器の巻線抵抗測定や変流器の極性チェックなど、変圧器巻線への直流電圧印加を伴う現地試験・点検などを実施した場合においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。特に本実施の形態は、設備上の都合で、Δ結線に直流電圧を印加できない場合に有効であり、非接地系、又は非有効接地系(抵抗接地系)の3相変圧器において、3相一括操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。
(変形例1)
第6実施形態、第7実施形態では、遮断器が3相一括操作型遮断器である場合について説明した。3相変圧器が非接地系、又は非有効接地系(抵抗接地系)の3相変圧器であり、かつ遮断器が各相操作型遮断器であって各相個別に遮断器を投入する場合においても、第3実施形態と類似の方法により変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。この場合は、投入位相の設定方法、投入位相制御の方法として、特許文献2に記載の方法を採用すればよい。
本変形例によれば、設備上の都合で、Δ結線に直流電圧を印加できない場合に有効であり、非接地系、又は非有効接地系(抵抗接地系)の3相変圧器において、各相操作型遮断器を適用している場合に、最適な励磁突入電流抑制方法を提供できる。
(変形例2)
変圧器の残留磁束の状態が不明の場合にも、前述の第1実施形態〜第7実施形態、および変形例1の手法を適用することにより、同様に、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができることは明らかである。
従って、本実施形態によれば、点検のための機器停止の時間的制約や、電力会社の運用上の制約、又は既設変電設備への取り付けスペースなどの物理的制約や安全上の制約などの理由により、計器用変圧器(VT)等を付加することが不可能であり、変圧器の残留磁束を把握することが出来ない場合でも、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。
また、本変形例によれば、変圧器の遮断制御による残留磁束の制御が不可能な系統においても、抵抗体付き遮断器等の設備を付加せずに、変圧器投入時の励磁突入電流を抑制することができる。
本発明の第1実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と変圧器、および遮断器の接続関係を示すブロック図。 本発明の第1実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制方法のフローチャート。 変圧器の位相制御投入のタイミングチャート。 本発明の第2実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図。 本発明の第2実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制方法のフローチャート。 本発明の第2実施形態における直流電圧印加端子と直流磁束の関係。 3相変圧器における各相操作型遮断器の位相制御投入のタイミングチャート。 本発明の第3実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図。 本発明の第3実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制方法のフローチャート。 本発明の第3実施形態における3相変圧器の直流磁束に対する3相一括操作型遮断器の位相制御投入のタイミングチャート。 本発明の第4実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図。 本発明の第4実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制方法のフローチャート。 本発明の第4実施形態における直流電圧印加端子と直流磁束の関係を示す結線図。 本発明の第5実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図。 本発明の第5実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制方法のフローチャート。 本発明の第6実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制装置と3相変圧器、および3相遮断器の接続関係を示すブロック図。 本発明の第6実施形態における変圧器の励磁突入電流抑制方法のフローチャート。 本発明の第6実施形態における直流電圧印加端子と直流磁束の関係を示す結線図。 本発明の第6実施形態における3相変圧器の直流磁束に対する3相一括操作型遮断器の位相制御投入のタイミングチャート。 本発明の第7実施形態における3相変圧器の直流磁束に対する3相一括操作型遮断器の位相制御投入のタイミングチャート。
符号の説明
200、210、220…遮断器
300、310、320、330、350…変圧器
311、321、331、351…1次巻線
312、322、332、352…2次巻線
313、323、333、353…3次巻線
400、410…計器用変圧器
600、610、620、630、640、650…励磁突入電流抑制装置
601、611、621、631、641、651…電圧計測手段
602、612、622、632、642、652…投入位相設定手段
603、613、623、633、643、653…投入位相制御手段
605、615、624、634、644、654…直流電圧印加手段

Claims (13)

  1. Y結線に接続された1次巻線と、△結線された2次巻線または3次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器を3相電源へ投入および3相電源から遮断する3相遮断器とを備え、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制方法において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器のΔ結線の2端子間に直流電圧を印加して、このΔ結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定相の鉄心の磁束を飽和させ、
    前記3相遮断器投入後の課電状態で鉄心を飽和させた前記特定相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和した前記特定相の磁束が略一致するタイミングとなる電圧位相0°または180°を電気的な投入目標として、前記3相遮断器を投入させることを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  2. 前記3相遮断器は各相操作型遮断器であり、
    鉄心を飽和させた特定相を閉極第1相とし、前記閉極第1相の遮断器投入後の課電状態で前記3相変圧器の前記閉極第1相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和した前記閉極第1相の磁束が略一致するタイミングとなる電圧位相0°または180°を電気的な投入目標として、前記3相遮断器の前記閉極第1相を投入させ、
    残る2相は、予め設定した時間の後、先に投入された前記閉極第1相の相電圧零点で電気的に投入させることを特徴とする請求項記載の変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  3. 鉄心を飽和させた特定相の相電圧が、直流電圧印加の結果飽和した当該相の磁束と同極性から逆極性へ遷移する電圧零点を電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させることを特徴とする請求項記載の変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  4. Y結線に接続された1次巻線を有する3相変圧器と、前記3相変圧器の3相電源への投入および3相電源からの遮断を行う3相遮断器とからなる3相回路で、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制方法において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器の1次巻線であるY結線の3相の内の何れか1相の端子と接地端子の間に直流電圧を印加して、このY結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定相の鉄心の磁束を飽和させ、
    前記3相遮断器投入後の課電状態で直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた前記特定相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和した前記特定相の磁束が略一致するタイミングを電気的な投入目標として、前記3相遮断器を投入させることを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  5. 前記3相遮断器は各相操作型遮断器であり、
    前記直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた特定相を閉極第1相とし、前記閉極第1相の遮断器投入後の課電状態で前記3相変圧器の前記閉極第1相に定常状態で誘起される磁束と、直流電圧印加の結果飽和した前記閉極第1相の磁束が略一致するタイミングを電気的な投入目標として、前記3相遮断器の前記閉極第1相を投入させ、
    残る2相は、予め設定した時間の後、先に投入された前記閉極第1相の相電圧零点で電気的に投入させることを特徴とする請求項記載の変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  6. 前記直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた特定相の相電圧が、直流電圧印加の結果飽和した当該相の磁束と同極性から逆極性へ遷移する電圧零点を電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させることを特徴とする請求項記載の変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  7. 1次巻線がY結線に接続され、Y結線の中性点が非接地もしくはインピーダンスを有する素子を介して接地された3相変圧器と、前記3相変圧器の3相電源への投入および3相電源からの遮断を行う3相遮断器とからなる3相回路で、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制方法において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器の1次巻線であるY結線の3相の内の何れか2相の端子間に直流電圧を印加して、このY結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定の2相の鉄心の磁束を飽和させ、
    前記3相遮断器投入後の課電状態で直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた前記特定の2相の内いずれか1相の相電圧が、直流電圧印加の結果飽和した当該相の磁束と同極性から逆極性へ遷移する電圧零点を電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させることを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  8. 1次巻線がY結線に接続され、Y結線の中性点が非接地もしくはインピーダンスを有する素子を介して接地された3相変圧器と、前記3相変圧器の3相電源への投入および3相電源からの遮断を行う3相遮断器とからなる3相回路で、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制方法において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器の1次巻線であるY結線の3相の内の何れか2相の端子間に直流電圧を印加して、このY結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定の2相の鉄心の磁束を飽和させ、
    直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた前記特定の2相において、遮断器投入後の課電状態で前記3相変圧器の各々の相に定常状態で誘起される磁束の極性と、直流電圧印加の結果飽和した当該相の磁束の極性が各々同極性となる期間であり、
    かつ、前記3相変圧器の直流電圧印加時に選択しなかった残りの1相の相電圧がピークとなるタイミングを電気的な投入目標として、3相の遮断器を同時に投入させることを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  9. 前記3相遮断器は、3相一括操作型遮断器であることを特徴とする請求項、請求項、請求項、又は請求項記載の変圧器の励磁突入電流抑制方法。
  10. Y結線に接続された1次巻線と、△結線された2次巻線または3次巻線を有する3相変圧器と、この3相変圧器を3相電源へ投入および3相電源から遮断する3相遮断器とを備え、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制装置において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器のΔ結線の2端子間に直流電圧を印加して、このΔ結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定相の鉄心の磁束を飽和させるための直流電圧印加手段と、
    電源電圧と、遮断器の状態量と、遮断器の閉極指令信号とを入力し、当該電源電圧の所望の投入位相で、遮断器を電気的に投入させる制御を行う遮断器の投入制御手段と、
    前記所望の投入位相として、前記3相遮断器投入後の課電状態で鉄心を飽和させた前記特定相に定常状態で誘起される磁束と、前記直流電圧印加の結果飽和した前記特定相の磁束が略一致するタイミングとなる電圧位相0°または180°を設定する投入位相設定手段と、
    を有することを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制装置。
  11. Y結線に接続された1次巻線を有する3相変圧器と、前記3相変圧器の3相電源への投入および3相電源からの遮断を行う3相遮断器とからなる3相回路で、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制装置において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器の1次巻線であるY結線の3相の内の何れか1相の端子と接地端子の間に直流電圧を印加して、このY結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定相の鉄心の磁束を飽和させるための直流電圧印加手段と、
    電源電圧と、遮断器の状態量と、遮断器の閉極指令信号とを入力し、当該電源電圧の所望の投入位相で、遮断器を電気的に投入させる制御を行う遮断器の投入制御手段と、
    前記所望の投入位相として、前記3相遮断器投入後の課電状態で鉄心を飽和させた前記特定相に定常状態で誘起される磁束と、前記直流電圧印加の結果飽和した前記特定相の磁束が略一致するタイミングを設定する投入位相設定手段と、
    を有することを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制装置。
  12. 1次巻線がY結線に接続され、Y結線の中性点が非接地もしくはインピーダンスを有する素子を介して接地された3相変圧器と、前記3相変圧器の3相電源への投入および3相電源からの遮断を行う3相遮断器とからなる3相回路で、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制装置において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器の1次巻線であるY結線の3相の内の何れか2相の端子間に直流電圧を印加して、このY結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定の2相の鉄心の磁束を飽和させるための直流電圧印加手段と、
    電源電圧と、遮断器の状態量と、遮断器の閉極指令信号とを入力し、当該電源電圧の所望の投入位相で、3相の遮断器を同時に電気的に投入させる制御を行う遮断器の投入制御手段と、
    前記所望の投入位相として、前記3相遮断器投入後の課電状態で直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた前記特定の2相の内いずれか1相の相電圧が、直流電圧印加の結果飽和した当該相の磁束と同極性から逆極性へ遷移する電圧零点を設定する投入位相設定手段と、
    を有することを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制装置。
  13. 1次巻線がY結線に接続され、Y結線の中性点が非接地もしくはインピーダンスを有する素子を介して接地された3相変圧器と、前記3相変圧器の3相電源への投入および3相電源からの遮断を行う3相遮断器とからなる3相回路で、前記3相変圧器を励磁させるために前記3相遮断器が投入されたときに、前記3相変圧器に発生する励磁突入電流を抑制するようにした変圧器の励磁突入電流抑制装置において、
    前記3相遮断器を投入する前に、前記3相変圧器の1次巻線であるY結線の3相の内の何れか2相の端子間に直流電圧を印加して、このY結線の直流電圧印加端子に対応した前記3相変圧器の特定の2相の鉄心の磁束を飽和させるための直流電圧印加手段と、
    電源電圧と、遮断器の状態量と、遮断器の閉極指令信号とを入力し、当該電源電圧の所望の投入位相で、3相の遮断器を同時に電気的に投入させる制御を行う遮断器の投入制御手段と、
    前記所望の投入位相として、直流電圧印加時に選択した鉄心を飽和させた前記特定の2相において、遮断器投入後の課電状態で前記3相変圧器の各々の相に定常状態で誘起される磁束の極性と、直流電圧印加の結果飽和した当該相の磁束の極性が各々同極性となる期間であり、かつ、前記3相変圧器の直流電圧印加時に選択しなかった残りの1相の相電圧がピークとなるタイミングを設定する投入位相設定手段と、
    を有することを特徴とする変圧器の励磁突入電流抑制装置。
JP2008305108A 2008-11-28 2008-11-28 変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法 Active JP5414254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008305108A JP5414254B2 (ja) 2008-11-28 2008-11-28 変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008305108A JP5414254B2 (ja) 2008-11-28 2008-11-28 変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010130849A JP2010130849A (ja) 2010-06-10
JP5414254B2 true JP5414254B2 (ja) 2014-02-12

Family

ID=42330805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008305108A Active JP5414254B2 (ja) 2008-11-28 2008-11-28 変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5414254B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CZ303043B6 (cs) * 2010-12-15 2012-03-07 Technická univerzita v Liberci Zpusob eliminace zapínacího proudu trífázového transformátoru, a zarízení pro magnetování jádra trífázového transformátoru stejnosmerným proudem
JP5740240B2 (ja) * 2011-08-03 2015-06-24 株式会社東芝 励磁突入電流抑制装置
JP5713848B2 (ja) 2011-09-14 2015-05-07 株式会社東芝 励磁突入電流抑制装置
CN111600295B (zh) * 2019-08-09 2023-08-08 青岛鼎信通讯股份有限公司 一种应用于可控逆变的工频变压器励磁涌流抑制策略
CN110988670B (zh) * 2019-12-27 2022-05-10 中国人民解放军海军潜艇学院 大电流发生装置及用于断路器校验的装置
CN116027245B (zh) * 2023-02-01 2023-08-01 广州市德珑电子器件有限公司 一种基于宽量程电流互感器的测量方法及系统

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58154331A (ja) * 1982-03-08 1983-09-13 富士電機株式会社 変圧器の制御方式
JPS58154330A (ja) * 1982-03-08 1983-09-13 富士電機株式会社 変圧器の制御方式
JPS6055604A (ja) * 1983-09-07 1985-03-30 Fuji Electric Co Ltd 変圧器の制御方式
JP2006006092A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Oaks:Kk 大型変圧器の突入電流を抑制する装置
JP4508759B2 (ja) * 2004-07-22 2010-07-21 三菱電機株式会社 位相制御開閉装置
JP2008140580A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Toshiba Corp 3相変圧器の励磁突入電流抑制装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010130849A (ja) 2010-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5208593B2 (ja) 変圧器の励磁突入電流抑制装置及びその制御方法
CA2670907C (en) Magnetizing inrush current suppression device and method for transformer
WO2012014425A1 (ja) 変圧器の残留磁束推定方法及び残留磁束推定装置
JP5414254B2 (ja) 変圧器の励磁突入電流抑制装置および方法
US9065268B2 (en) Inrush-current suppressing device and inrush-current suppressing method
De Leon et al. Elimination of residual flux in transformers by the application of an alternating polarity DC voltage source
JP5148435B2 (ja) 変圧器の励磁突入電流抑制装置及びその制御方法
Cano-González et al. Controlled switching strategies for transformer inrush current reduction: A comparative study
JP2008140580A (ja) 3相変圧器の励磁突入電流抑制装置
WO2011086671A1 (ja) 突入電流抑制装置および突入電流抑制方法
CA2815464C (en) Inrush current suppressing device
JP5472920B2 (ja) 励磁突入電流抑制装置
WO2013038919A1 (ja) 励磁突入電流抑制装置
JP6054163B2 (ja) 励磁突入電流抑制システム
JP5444162B2 (ja) 励磁突入電流抑制装置
JP5908336B2 (ja) 励磁突入電流抑制装置及び励磁突入電流抑制方法
Bronzeado et al. Transformer controlled switching to eliminate inrush current-part II: field tests on a 100MVA three-phase transformer
JP6202897B2 (ja) 励磁突入電流抑制装置および方法
Bronzeado et al. Transformer inrush is over: An experience with a 100MVA, 230/138 kV three-phase transformer controlled energizing
Adio et al. Field studies on the Inrush Current for 33/11kV transformer and the effect on voltage interruption during switching operation of 10MW wind farm

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130423

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131112

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5414254

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151