JP5414100B2 - 硬質発芽穀類加工食品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
詳しくは、本発明は、‘通常の小麦粉以外の穀類(特に玄米)への代替率を向上する’ことを可能とするとともに、‘製造した食品の食味、物性、栄養が顕著に向上された’小麦粉食品生地の製造方法に関する。
生活習慣病の発症を予防するためには、適正な運動をすることに加えて、デンプン、タンパク質、脂質のカロリーバランスを、「日本型食生活」と呼称される、昭和50年代の比率(炭水化物:57〜68%、タンパク質:12〜13%、脂質:20〜30%)に戻すことが勧められており、食物繊維、アミノ酸、ポリフェノールなどの摂取も有効とされている。
現在、わが国では、白米の米飯や小麦粉によるパンや麺が食生活におけるカロリー摂取源の中心であり、上記健康を指向した食品として、玄米食、発芽玄米食、雑穀食、アマランサスを用いる食品などがあるが、さらに、調理が簡単でおいしく、かつ保存性に優れた新しい健康指向食品の開発が求められている。
また、健康を指向した食品の例として、全粒粉パンがあるが、パンに胚芽が認識され、白度や食感が通常のパンより劣るとされている。
また、小麦粉に米粉を添加するパンがあるが、従来の研究報告では、小麦粉に米粉を添加してパンを製造する場合には、米が小麦と異なり、グルテン形成能を持たないため、品質を損なわない添加限度が約20%であり、麺を製造する場合には、官能検査の点から添加限度が5%と報告されている(非特許文献1)。
また、本発明者らも、これまでに、発芽玄米(特許文献3)や膨化玄米(特許文献4)に関する技術開発を行い、超硬質米の特性(非特許文献2、特許文献5)の解明を行ってきた。
しかしながら、小麦粉生地を用いて製造する食品(特にパン、麺状食品、饅頭の皮、菓子など)において、通常の小麦粉以外の穀類への代替率を向上させるとともに、製造した食品の食味、物性、栄養を顕著に向上できる、さらなる改良技術の開発が求められてきた。
すなわち、本発明では、パン、麺状食品、饅頭の皮、菓子などの食品のおいしさを保ちながら、健康の維持増進に有効なレジスタントスターチ、食物繊維、タンパク質、アミノ酸などの機能性成分を増強し、しかも従来の食品に比べて、品質の保存性の高い食品およびその製造方法を提供することである。
前記食物繊維含有素材が、リンゴ、ミカン、オレンジ、ブドウ、ナシ、グレープフルーツ、パイナップル、及びイチゴである果実、;ダイコン、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、タマネギ、赤タマネギ、ネギ、ショウガ、ゴーヤ、ニンジン、ホウレンソウ、及びコマツナである野菜、;ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物;海藻の藻体、担子菌類子実体および甲殻類の殻;から選ばれる1種類以上のものであり、
前記高タンパク質含有素材が、豆類、肉および卵から選ばれる1種類以上のものであり、
前記小麦粉食品が、ラスク、うどん、パスタ、スナック菓子、饅頭の皮又は餃子の皮であること、
を特徴とする小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項2に係る本発明は、担子菌類子実体が、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、シメジ、ナメコ、ハツタケ、マイタケ、キクラゲ、及びエリンギから選ばれる1種類以上のものである、請求項1に記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項3に係る本発明は、高タンパク質含有素材が、ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物、;豚ロース肉、ベーコン、牛バラ肉、鶏手羽肉、及び鶏モモ肉である肉、;鶏卵、アヒルの卵、ウズラの卵、及びダチョウの卵である卵;から選ばれる1種類以上のものである、請求項1又は2に記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項4に係る本発明は、発芽穀類が、硬質大麦を発芽させたものを10重量%以上含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項5に係る本発明は、小麦粉食品がラスクである、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項6に係る本発明は、小麦粉食品がうどんである、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項7に係る本発明は、小麦粉食品がパスタである、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項8に係る本発明は、小麦粉食品がスナック菓子である、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項9に係る本発明は、小麦粉食品が饅頭の皮である、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項10に係る本発明は、小麦粉食品が餃子の皮である、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法に関する。
請求項11に係る本発明は、グルコース重合度6〜12のアミロペクチン短鎖の割合が全アミロペクチン鎖の20%以下である硬質米の玄米、硬質大麦あるいは硬質小麦を発芽させたものを、10重量%以上含有する発芽穀類を、乾燥重量100重量部あたり200〜2000重量部の水分を含むように炊飯し、澱粉糊化度が90%以上のかゆ状の状態で、食物繊維含有素材と高タンパク質含有素材とを均一に混合すること、並びに、
前記食物繊維含有素材が、リンゴ、ミカン、オレンジ、ブドウ、ナシ、グレープフルーツ、パイナップル、及びイチゴである果実、;ダイコン、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、タマネギ、赤タマネギ、ネギ、ショウガ、ゴーヤ、ニンジン、ホウレンソウ、及びコマツナである野菜、;ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物;海藻の藻体、担子菌類子実体および甲殻類の殻;から選ばれる1種類以上のものであり、
前記高タンパク質含有素材が、豆類、肉および卵から選ばれる1種類以上のものであること、
を特徴とする、発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法に関する。
請求項12に係る本発明は、担子菌類子実体が、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、シメジ、ナメコ、ハツタケ、マイタケ、キクラゲ、及びエリンギから選ばれる1種類以上のものである、請求項11に記載の発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法に関する。
請求項13に係る本発明は、高タンパク質含有素材が、ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物、;豚ロース肉、ベーコン、牛バラ肉、鶏手羽肉、及び鶏モモ肉である肉、;鶏卵、アヒルの卵、ウズラの卵、及びダチョウの卵である卵;から選ばれる1種類以上のものである、請求項12又は13に記載の発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法に関する。
請求項14に係る本発明は、発芽穀類が、硬質大麦を発芽させたものを10重量%以上含有するものである、請求項11〜13のいずれかに記載の発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法に関する。
請求項15に係る本発明は、請求項11〜14のいずれかに記載の方法により発芽穀類糊化澱粉組成物を調製し、当該発芽穀類糊化澱粉組成物と小麦粉とを、乾燥重量に換算して20:80〜70:30の割合で均一に含有させることにより、加水することなく小麦粉食品生地を調製することを特徴とする、小麦粉食品生地の製造方法に関する。
具体的には、小麦粉の使用量の20〜70重量%が代替された小麦粉食品を提供することが可能となる。
また、本発明により、改めて加水することなく、小麦粉などと混合してパン、麺状食品、饅頭の皮、菓子などの生地を調製することが可能となる。
また、本発明により、食物繊維含量の高いパン、麺状食品、饅頭の皮、菓子などの製造が可能となり、整腸やコレステロール低下などの健康維持効果が期待できる。
また、本発明により、GABA含量の高いパン、麺状食品、饅頭の皮、菓子などの調製が可能となり、高血圧予防や脂肪肝抑制など、健康機能維持効果の期待できる食品の製造が可能となる。
また、本発明により、食感及び耐老化性の優れたパン、麺状食品、饅頭の皮、菓子などの製造が可能となる。
詳しくは、本発明は、‘通常の小麦粉以外の穀類(特に玄米)への代替率を向上する’ことを可能とするとともに、‘製造した食品の食味、物性、栄養が顕著に向上された’小麦粉食品生地の製造方法に関する。
本発明において、「発芽穀類糊化澱粉組成物」とは、レジスタントスターチが澱粉全量の1〜20%であり、且つ、食物繊維が3.5〜30乾燥重量%、及び、γ−アミノ酪酸(GABA)が0.005乾燥重量%以上、を含有するものである。
本発明におけるレジスタントスターチとは、デンプン分解酵素によって消化されにくいデンプンを指し、AACC公定法やメガザイム社の測定キットなどによって測定することができる。
レジスタントスターチ含量が当該所定の範囲より少ない場合、製造された食品にコレステロール低下などの機能性が得られないので不適当である。
また、当該所定の範囲より高い場合、澱粉が糊化しにくい上に、酵素による消化を受けにくいために、パン、麺などの食品を製造した場合に、食感と消化性が劣るので不適当である。
本発明における食物繊維とは、摂取後に、体内で消化吸収されずに大腸に到達する成分であり、AACC公定法、メガザイム社キットなどで測定することができる。
食物繊維が当該所定の範囲より少ない場合、製造された食品にコレステロール低下などの生理機能性が十分に発揮されないために不十分である。
また、当該所定の範囲より高い場合、当該組成物の物理性が損なわれるとともに、パン、麺などの食品としての食感が悪くなるので不適当である。
本発明におけるγ-アミノ酪酸とは、GABAと略称されるアミノ酸の一種であり、アミノ酸分析計や高速液体クロマトグラフによって測定することが可能である。
GABAが当該所定の範囲より少ない場合、パン、麺などの食品を調製した場合に、通常の小麦粉パンや麺などに比べてGABAの含有量が少なくなるため、多量にパンや麺を摂取する必要を生じるので不適当である。
当該条件で発芽させることによって、従来は20時間〜96時間かけて調製されていた発芽玄米を迅速に調製することが可能となる。
また、当該条件で発芽させることによって、発芽種子の糊化が進み、高タンパク質素材や高繊維素材を混合する際に、均一な混合が促進されるとともに、発芽穀類(具体的には発芽玄米)の特有の異臭やえぐ味が炊飯によって低減されるので、高品質の食品製造が可能になる。
なお、当該発芽処理に用いる水あるいは温湯に、赤タマネギ粉末、紅茶粉末、番茶粉末を加えることによって、炊飯(糊化)後の発芽玄米が軟らかくなり、物理特性に優れた発芽玄米の調製することができる。特に、赤タマネギ粉末を加えた場合、軟らかさに加えて、粘りが増加し、粘りと硬さの比であるバランス度を顕著に増加させることができる。
硬質米としては、アミロペクチン短鎖の少ない「EM10」、「EM72」、「EM129」、「EM192」などの超硬質米(ae米)、;アミロース含量の高い「ホシユタカ」、「夢十色」、「ホシニシキ」、「越のかおり」などの高アミロース米、;を指す。
硬質小麦とは、「ダーク・ノーザン・スプリング(米国)」や「レッド・ウエスタン・スプリング(カナダ)」などに代表される、タンパク質含量および硝子率の高い小麦を指す。
硬質大麦とは、関東地域で栽培される「シュンライ」、「カシマムギ」、四国地域で栽培される「サンシュウ」、「イチバンボシ」、に見られるような、タンパク質含量が高く、硝子率の高い大麦を指す。
特に、超硬質米(ae米)の発芽玄米は、レジスタントスターチ含量の点で利点がある。また、生地が強くなり、パンの場合には比容積が増加し、麺の場合には麺線の強度が向上するので有効である。
なお、上記各硬質穀類は、単一種類のみで用いることもできるが、2以上のものを混合して用いることもできる。
具体的には、紫黒米、低アミロース米、低グルテリン米、モチ米、巨大胚芽米、青大豆、モチ大麦、モチ小麦などを混合させることができる。
例えば、紫黒米を混合させることで、パン、麺、菓子などの食品がワインレッドの美しい色調になる上に、アントシアニンの抗酸化能によって体内の活性酸素が消去され、生活習慣病の発症を予防する効果があるので本発明の効果が高まる。なお、紫黒米とは、種子の果種皮にアントシアニン等の紫色の色素を蓄積する米を指し、品種としては、「朝紫」、「おくのむらさき」、「紫宝」などが挙げられる。
具体的に、発芽穀類を糊化させる場合、蒸煮することで行うことができる。蒸煮の方法としては、一般的に穀類(米飯)を炊飯する方法で行うことができるが、具体的には、加水炊飯を行い、蒸煮後にかゆ状になっていることが望ましい。
また、当該蒸煮を行う際に、穀類を浸漬する液として、ヨーグルトを含む液(具体的には5〜15重量%のヨーグルトを含む液)を用いることによって、製造する食品(具体的にはパン)の物性を柔らかくすることができる。
水分含量が当該下限値より低い場合は、生地を調製する際に加水を行う必要があるので不適当であるほか、生地が硬くなりすぎて他の原料との均一な混合が不可能であるために不適当である。
また、水分含量が当該下限値より高い場合は、当該組成物中の固形物が少なすぎるために、生地を調製する際に生地強度が弱くなり、パンの比容積が小さくなったり、麺の強度が不足したりするので不適当である。
本発明において、澱粉糊化度とは、グルコースが重合して形成されたデンプン分子が結晶化の状態(未糊化の状態)から、加熱や加圧によって分子間の水素結合が切断され、水との親和性が高まり、水溶液あるいは水懸濁液の状態での粘度が高まるとともに、アミラーゼなどのデンプン分解酵素の作用を受けやすくなる程度を指す。
なお、澱粉の糊化度は、B型粘度計やラピッドビスコアナライザー等の粘度測定装置によって粘度の増加として測定できるほか、ジアスターゼ、グルコアミラーゼ、ベータアミラーゼおよびプルラナーゼなどのデンプン分解酵素に対する被消化性の増加度として測定することができる。
澱粉糊化度が、当該所定の値以下の場合には、生地を調製する際に再度加水および再度加熱する必要を生じることに加え、生地の物理特性が十分でなく不適当である。また、パンや麺を製造する場合、パンの比容積が小さくなったり、麺の強度が不足することに加えて、パン、麺などが経時的に硬化するため、不適当である。
本発明においては、上記工程を経て発芽穀類糊化澱粉組成物を調製した後、もしくは、後述する生地を調製工程と同時に、‘食品素材’を均一に混合する工程を含むものであることが望ましい〔各種食品素材混合工程〕。
本工程で混合させる食品素材とは、‘食物繊維含有素材’、‘高タンパク質含有素材’、‘米粉’、などを指すものであり、特には、食物繊維含有素材を混合することが望ましい。
これらの食品素材を混合する方法としては、上記工程で発芽穀類を糊化した後に、均一に混合(例えば、ホモゲナイズ、ニーディング、手ごね)することで行うことができ、微粒を均一に分散させた状態することが望ましい。
これら各種食品素材は、当該組成物(100重量部)に対して2〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部混合させることができる。
穀類を除く植物体の可食部としては、リンゴ、ミカン、オレンジ、ブドウ、ナシ、グレープフルーツ、パイナップル、イチゴなどの果実、;ダイコン、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、タマネギ、赤タマネギ、ネギ、ショウガ、ゴーヤ、ニンジン、ホウレンソウ、コマツナなどの野菜、ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、ササゲなどの豆類(もやしやきなこのように、発芽や加熱処理を施した後のものも含む)、を挙げることができる。
海藻の藻体としては、昆布、わかめ、テングサ、アラメ、ヒジキなどを挙げることができる。
担子菌類子実体としては、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、シメジ、ナメコ、ハツタケ、マイタケ、キクラゲ、エリンギなどを挙げることができる。
甲殻類の殻としては、エビ、カニなどの殻を挙げることができる。
豆類としては、ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、ササゲなどの豆類(もやしやきなこのように、発芽や加熱処理を施した後のものも含む)、を挙げることができる。なお、豆類は、上記食物繊維含有素材としても用いることができる。
肉としては、豚ロース肉、ベーコン、牛バラ肉、鶏手羽肉、鶏モモ肉などを挙げることができる。
卵としては、鶏卵、アヒルの卵、ウズラの卵、ダチョウの卵などを挙げることができる。
本発明においては、前記工程を経て得られた発芽穀類糊化澱粉組成物と、小麦粉とを、乾燥重量に換算して20:80〜70:30、好ましくは25:75〜50:50、の割合で均一に含有させて、小麦粉食品生地(パン、麺状食品、饅頭の皮、菓子など)を調製するものである〔生地調製工程〕。
当該組成物の含有割合が、所定範囲未満の場合、添加割合が低すぎるために添加効果が十分現れないので不適当である。
所定範囲を超えた場合、硬質種子が多すぎるために、糊液の粘度が高くなり過ぎ、生地材料との混合が十分に行われないので不適当である。
本発明においては、生地の調製に発芽穀類糊化澱粉組成物を用いることによって、通常の小麦粉以外の穀類への代替率を向上させた量を添加することができるものである。
なお、生地の調製方法としては、当該所定の割合で小麦粉を発芽穀類糊化澱粉組成物(乾燥重量)に置き換えることを除いては、通常の方法に従うことで、目的とする小麦粉食品の形態(パン、麺状食品、饅頭の皮、菓子など)に適した生地を調製することができる。
具体的に、パンとしては、食パン、菓子パン、ベーグル、ドーナッツ、フランスパン、乾パン、ラスクを挙げることができる。
麺状食品としては、うどん、パスタ、即席麺、乾麺、冷麺を挙げることができる。
饅頭の皮を用いた食品としては、中華饅頭、餃子、春巻、小籠包、桃饅頭などの各種点心、和菓子のまんじゅう、大福餅、団子、ういろうなどを挙げることができる。
菓子としては、スナック揚げ菓子、クッキー、スポンジケーキ、シュークリームなどを挙げることができる。
例えば、上記食品のなかでは、スナック揚げ菓子、膨化スナック菓子を挙げることができる。また、上記食品を乾燥させたものとしては、パンを乾燥させてラスク、乾パン、麺を乾燥させた乾麺、あられ、せんべい、クラッカーなどを挙げることができる。
(1)糊化澱粉組成物含有食パンの製造
・発芽
九州大学試験圃場で生産された超硬質米である「EM10」の玄米100gに、水400gを加え、35℃で90分間浸漬した後、35℃から加熱を開始して15分で55℃に到達させ、弱火にして55℃で30分間保温することで、発芽処理を行った。
その後、加熱を強くし、15分で沸騰に到達させ、15分間沸騰を継続させた後、加熱を停止し、15分間蒸らしを行うことで、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。なお、このように(迅速発芽させて)出来上がったかゆ中の玄米は、胚芽がふくらみ、大部分が発芽したものであった。
この発芽玄米がゆについて、‘水分含量’を乾燥法により、‘タンパク質含量’をケルダール法により、‘食物繊維含量’をAACC法により、‘GABA含量’を高速液体クロマトグラフにより、‘レジスタントスターチ含量’をメガザイム社製レジスタントスターチ測定キットにより、そして、‘澱粉糊化度’をBAP法により測定した。
その結果、この発芽玄米がゆの水分含量は86重量%(乾燥重量100重量部あたり614.3重量部)、タンパク質含量は7.5乾燥重量%、食物繊維含量は7.6乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は12.3mg(0.0123乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は11.6%、澱粉糊化度は97%であった。
この発芽玄米がゆ300gに、豚ロース肉30g、加熱したなめこ30gを加え、TESCOM製スティックブレンダーTHM500によって、豚肉及びなめこが発芽玄米がゆと均一になるようホモゲナイズし、ホモゲナイズ物を調製した。
このホモゲナイズ産物について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、前記段落に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、このホモゲナイズ物の水分含量は85.3重量%(乾燥重量100重量部あたり579重量部)、食物繊維含量は7.9乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は9.8mg(0.0098乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は11.6%、澱粉糊化度は95%であった。
このホモゲナイズ物に、市販の小麦粉(日清製粉製カメリヤ)300g、食塩1.5g、脱脂ミルク8.5g、無塩バター15g、砂糖17g、パン酵母3gを加え、パナソニック製家庭用製パン器(SD−BH101)を用いて、均一に混合して‘パン生地’を作成した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、30:70であった。
そして、引き続き当該家庭用パン器を用いて焼き上げることで、‘糊化澱粉組成物含有食パン’(試料1−D)を製造した。
上記ホモゲナイズ物を室温で6時間放置した場合、澱粉糊化度は80%に低下した。
このホモゲナイズ物は粘度が過度に高くなっており、上記の小麦粉との混合および生地調製にきわめて困難を生じ、不適当であった。
・物理特性および官能評価
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)について、植物種子置換法によって測定したパンの比容積は4.2、テンシプレッサーを用いる多重バイト法で測定したHardnessは1.8gw/cm2であった。
また、このパンを6名で試食した結果、硬さや弾力性などの物理性においては市販の食パンと同等であり、外観と味については、市販の食パンを上まわる評価であった。
・パンの外観の比較
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)と、米粉を直接含有させた食パンとの外観を比較した。
米粉含有食パンの製造は、米粉粉末と小麦粉との重量の割合が30:70となるように直接混合して使用したことを除いて、上記段落(1)に記載の方法の食パンの製造方法と同様にして行った。
なお、EM10の米粉粉末としては、精米、玄米、発芽玄米(上記段落(1)に記載の発芽方法によって調製)の各粉末を用いた。
得られた各米粉含有食パン〔精米(試料1−A:比較)、玄米(試料1−B:比較)、発芽玄米(試料1−C:比較)〕と、上記段落(1)で製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)との外観を比較した結果を、図1に示す。
図1に示すように、糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)は、米粉を直接含有させた食パンに比べて、膨張性が顕著に優れたものであった。
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)と、各米粉含有食パン〔精米(試料1−A:比較)、玄米(試料1−B:比較)、発芽玄米(試料1−C:比較)〕の食味を比較した。
6名で試食した官能試験の結果、糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)の食味が最も優れたものであった。
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)と上記米粉含有食パン〔玄米(試料1−B:比較)、発芽玄米(試料1−C:比較)〕の物理特性(TendernessおよびToughness)を測定した。測定は、これらのパンの製造直後のものを、タケトモ電機製テンシプレッサーを用いて多重バイト測定を行った。
なお、比較対照として、小麦粉のみ(日清製粉製カメリヤ100%)を用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして食パンを製造し、物理特性を測定した。結果を図2に示す。
その結果、図2が示すように、糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)の物性は、小麦粉100%の食パン(比較対照)と同等であった。それに対して、玄米(試料1−B:比較)や発芽玄米(試料1−C:比較)の粉末を用いた食パンは膨張が少なく、物性が劣っていた。
上記のようにパン製造直後の物理特性を測定した後、4日経過した後に、糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)のTendernessを測定した。
その結果、糊化澱粉組成物含有食パン(試料1−D)は、作成後4日経過した後のTendernessが5.26であり、発芽玄米米粉含有食パン(試料1−C:比較)の製造直後のTenderness(6.10)よりも、軟らかいことが判明した。
以上のことから、硬質米発芽玄米の糊化澱粉組成物含有食パンを含有させたパンは、硬質米の米粉(精米、玄米、発芽玄米)を直接含有させただけのパンに比べて、パンの外観、膨張性、食味、物理特性および老化性の点において、飛躍的に優れていることが示された。
(1)糊化澱粉組成物含有食パンの製造
・発芽
九州大学試験圃場で生産された超硬質米である「EM10」の玄米70gに、新潟県産の紫黒米である「紫宝」の玄米30gを加え(即ち、超硬質米「EM10」と紫黒米である「紫宝」との重量の割合が、7:3になるように混合して)、水400gを加え、35℃から加熱を開始して15分で60℃に到達させ、60℃で30分間保温することで、発芽処理を行った。
その後、加熱を再開し、15分で沸騰に到達させ、15分間沸騰を継続させた後、加熱を停止し、15分間蒸らしを行うことで、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。なお、2時間以内で(迅速発芽させて)出来上がったかゆ中の玄米は、胚芽がふくらみ、大部分が発芽したものであった。
この発芽玄米がゆ260gを、東芝製電気炊飯器(1.8L炊き)によって再度炊飯した。
この発芽玄米がゆ200gに、加熱した豚ロース肉15g、加熱したなめこ15gを加え、TESCOM製スティックブレンダーTHM500によって、豚肉およびなめこが発芽玄米がゆと均一になるようホモゲナイズし、ホモゲナイズ物を調製した。
このホモゲナイズ物について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、このホモゲナイズ物の水分含量は87.6重量%(乾燥重量100重量部あたり706.5重量部)、食物繊維含量は6.8乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は8mg(0.008乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は8.2%、澱粉糊化度は95%であった。
このホモゲナイズ物に、市販の小麦粉(日清製粉製カメリヤ)180g、食塩1.0g、脱脂ミルク6g、無塩バター10g、砂糖12g、パン酵母2.1gを加え、パナソニック製家庭用製パン器(SD−BH101)を用いて、均一に混合して‘パン生地’を作成した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、30:70であった。
そして、引き続き当該家庭用パン器を用いて焼き上げることで、‘糊化澱粉組成物含有食パン’(試料2−2)を製造した。
・物理特性および官能評価
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)について、植物種子置換法によって測定したパンの比容積は4.2、テンシプレッサーを用いる多重バイト法で測定したHardnessは1.6gw/cm2であった。
また、このパンを6名で試食した結果、硬さや弾力性などの物理性においては市販の食パンと同等であり、外観と味については、市販の食パンを上まわる評価であった。
・パンの外観の比較
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)と、米粉を直接含有させた食パンとの外観を比較した。
米粉含有食パンの製造は、米粉粉末と小麦粉との重量の割合が30:70となるように直接混合して使用したことを除いて、上記段落(1)に記載の方法の食パンの製造方法と同様にして行った。
得られた米粉含有食パン(試料2−1:比較)と、上記で製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)との外観を比較した結果を、図3に示す。
図3が示すように、糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)は、米粉を直接含有させた食パンに比べて、膨張性が優れていた。
なお、糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)は、用いた発芽玄米あたり30重量%が紫黒米であるため、色が鮮やかな紫色であった。
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)と、米粉含有食パン(試料2−1:比較)の食味を比較した。
6名で試食した官能試験の結果、糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)の食味が最も優れたものであった。
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料2−2)を、80℃で3時間、熱風乾燥することで、ラスクを製造した。製造したラスクの外観を図4に示す。
このラスクは、水分含量が3.2%であり、サクサクした食感と豚肉の風味を有していた。このラスクは、室温で1カ月間放置した後も、微生物は繁殖せず、サクサクした食感が保持され、保存性に優れたものであった。
(1)糊化澱粉組成物含有食パンの製造
・発芽
九州大学試験圃場で生産された超硬質米である「EM10」の玄米100gに、水400gを加え、35℃で90分間浸漬した後、35℃から加熱を開始して15分で55℃に到達させ、弱火にして55℃で30分間保温することで、発芽処理を行った。
その後、加熱を強くし、15分で沸騰に到達させ、15分間沸騰を継続させた後、加熱を停止し、15分間蒸らしを行うことで、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。なお、出来上がったかゆ中の玄米は、胚芽がふくらみ、大部分が発芽したものであった。
この発芽玄米がゆ460gに、沸騰水中で20分間加熱したエビ殻30g、加熱したなめこ30g、加熱したおくら20gを加え、TESCOM製スティックブレンダーTHM500によって、エビ殻、なめこ及びおくらが、発芽玄米がゆと均一になるようホモゲナイズし、ホモゲナイズ物を調製した。
このホモゲナイズ物について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、このホモゲナイズ物の水分含量は76重量%(乾燥重量100重量部あたり317重量部)、タンパク質含量は14.4乾燥重量%、食物繊維含量は7.6乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は8.3mg(0.0083乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は11.6%、澱粉糊化度は92%であった。
このホモゲナイズ物に、市販の小麦粉(日清製粉製カメリヤ)300g、食塩1.8g、脱脂ミルク10.2g、無塩バター18g、砂糖20.4g、パン酵母3.6gを加え、パナソニック製家庭用製パン器(SD−BH101)を用いて、均一に混合して‘パン生地’を調製した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、30:70であった。
そして、引き続き当該家庭用製パン器を用いて焼き上げることで、‘糊化澱粉組成物含有食パン’(試料3−2)を製造した。
上記ホモゲナイズ物を室温で6時間放置した場合、糊化度は82%に低下した。
このホモゲナイズ物は粘度が過度に高くなっており、上記の小麦粉との混合および生地調製にきわめて困難を生じ、不適当であった。
・物理特性および官能評価
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料3−2)について、植物種子置換法によって測定したパンの比容積は4.2、テンシプレッサーを用いる多重バイト法で測定したHardnessは1.6gw/cm2であった。
また、このパンを6名で試食した結果、硬さや弾力性などの物理性においては市販の食パンと同等であり、外観と味については、市販の食パンを上まわる評価であった。
この糊化澱粉組成物含有食パン(試料3−2)について、各種成分を測定した。
また、比較対照として、小麦粉のみ(日清製粉製カメリヤ100%)を用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして、食パンを製造し各種成分値も測定した。
なお、これらの各種成分は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。結果を表1に示す。
・パンの外観の比較
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料3−2)と、米粉を直接含有させた食パンとの外観を比較した。
なお、米粉含有食パンの製造は、EM10の精米粉末と小麦粉との重量の割合が30:70となるように直接混合して使用したことを除いて、上記段落(1)に記載の方法の食パンの製造方法と同様にして行った。
得られた米粉含有食パン(試料3−1:比較)と、上記で製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料3−2)との外観を比較した結果を、図5に示す。
図5が示すように、糊化澱粉組成物含有食パン(試料3−2)は、米粉を直接含有させた食パンに比べて、膨張性が優れていた。
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パン(試料3−2)を、80℃で3時間、熱風乾燥することで、ラスクを製造した。製造したラスクの外観を図6に示す。
このラスクは、水分含量が3.6%であり、サクサクした食感とエビの風味を有していた。このラスクは、室温で1カ月間放置した後も、微生物は繁殖せず、サクサクした食感が保持され、保存性に優れたものであった。
(1)糊化澱粉組成物含有低温乾燥ラスクの製造
・ラスク(試料4−4)の製造
‘各種食品素材’として、加熱したなめこ及び加熱したおくらを用いてホモゲナイズ物を調製したことを除いて、実施例3に記載の方法と同様にして、食パンを製造した。
そして、このパンを−80℃のディープフリーザー中で凍結した後、アイラ製凍結乾燥機(FD50)を用いて乾燥し、‘糊化澱粉組成物含有低温乾燥ラスク’(試料4−4:〔原料がEM10、生地の糊化澱粉組成物:小麦粉=30:70〕)を製造した。製造したラスクの外観を図7に示す。
‘生地’における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合が、20:80になるように混合して生地を調製したことを除いて、上記試料4−4と同様に、‘糊化澱粉組成物含有低温乾燥ラスク’(試料4−2:〔原料がEM10、生地の糊化澱粉組成物:小麦粉=20:80〕)を製造した。製造したラスクの外観を図7に示す。
‘原料’として、超超硬質米「EM10」ともち米である「こがねもち」との重量の割合が、3:1になるように混合して用いたことを除いて、上記試料4−4を同様に、‘糊化澱粉組成物含有低温乾燥ラスク’(試料4−1:〔原料がEM10:こがねもち=3:1、生地の糊化澱粉組成物:小麦粉=30:70〕)を製造した。製造したラスクの外観を図7に示す。
‘原料’として、超硬質米「EM10」と高アミロース米である「ホシユタカ」との重量の割合が、3:1になるように混合して用いたことを除いて、上記試料4−4を同様に、‘糊化澱粉組成物含有低温乾燥ラスク’(試料4−3:〔原料がEM10:ホシユタカ=3:1、生地の糊化澱粉組成物:小麦粉=30:70〕)を製造した。製造したラスクの外観を図7に示す。
これらのラスクは水分含量が3%以下であり、常温で1ヶ月放置した後も、微生物は繁殖せず、サクサクした食感が保持され、保存性に優れたものであった。
(1)糊化澱粉組成物含有麺の製造
実施例1に記載の方法と同様にして、ホモゲナイズ物を調製した。
このホモゲナイズ物に市販の中力小麦粉230gと食塩2gとを加え、パナソニック製ホームベーカリー(SD−BM151)の「うどんパスタモード」で30分間混ねつした後、プラスチック袋に入れ、家庭用冷蔵庫に入れて8℃で一晩静置することで、‘生地’を調製した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、20:80であった。
翌日、インペリア製パスタ製造器で、厚さ3mmで5回繰り返し圧延し、シートを作製した後、切り刃を用いて5mm幅に切り出すことで、‘糊化澱粉組成物含有麺’(試料5:〔原料がEM10、各種食品素材が豚ロース肉及びなめこ〕)を製造した。製造した麺の外観を図8に示す。
・各種成分
上記製造した糊化デンプン組成物含有麺(試料5)について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、この麺の水分含量は34重量%、タンパク質含量は12乾燥重量%、食物繊維含量は3.7乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は5mg(0.005乾燥重量%)であり、デンプンあたりのレジスタントスターチ含量は4.6%、BAP法で測定したデンプン糊化度は90%であった。
次いで、この糊化デンプン組成物含有麺(試料5)を、2gの食塩を含む5Lの湯中で2分間ゆがき、官能検査に供した。
なお、比較対照として、中力小麦粉のみを用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして麺生地を作り、麺を製造した。
6名の試食者による官能検査の結果、上記糊化デンプン組成物含有麺(試料5)は、中力小麦粉100%の麺(比較対照)に比べて、食感では同等であったが、麺のツヤや色等の外観が優れており、うま味のきわめて強い麺であった。
(1)糊化澱粉組成物含有麺の製造
・麺(試料6−E)の製造
‘原料’として超硬質米である「EM10」と一般良食味米である「コシヒカリ」との重量の割合が、1:1になるように混合した玄米を用いたことを除いて、実施例5に記載の方法と同様にして、‘糊化澱粉組成物含有食麺’(試料6−E:〔原料がEM10:コシヒカリ=1:1、各種食品素材が豚ロース肉及びなめこ〕)を製造した。製造した麺の外観を図9に示す。を製造した。
‘各種食品素材’として加熱したエビ殻と加熱したなめこを用いたこと、を除いては、上記試料6−Eと同様に、‘糊化澱粉組成物含有麺’(試料6−F:〔原料がEM10:コシヒカリ=1:1、各種食品素材がエビ殻及びなめこ〕)を製造した。製造した麺の外観を図9に示す。
‘各種食品素材’として加熱したベーコンと加熱したなめこを用いたこと、を除いては、上記試料6−Eと同様に、‘糊化澱粉組成物含有麺’(試料6−G:〔原料がEM10:コシヒカリ=1:1、各種食品素材がベーコン及びなめこ〕)を製造した。製造した麺の外観を図9に示す。
‘原料’として、超硬質米である「EM10」と紫黒米である「紫宝」との重量の割合が、1:1になるように混合して用いたこと、及び、‘各種食品素材’として、加熱したなめこ、加熱したおくら、ブルーベリーを用いたこと、を除いて、上記試料6−Eと同様に、‘糊化澱粉組成物含有食麺’(試料6−H:〔原料がEM10:紫宝=1:1、各種食品素材がなめこ及びおくら及びブルーベリー〕)を製造した。製造した麺の外観を図9に示す。
(1)各種麺の製造
・発芽および糊化
表2に示す‘原料’の各種玄米100gに対し、米重量の2.6倍量加水し、37℃、90分間浸漬した後、35℃から加熱を開始して15分で55℃に到達させ、弱火にして55℃で30分間保温することで、発芽処理を行った。
その後、実施例1と同様にして、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を調製した。
次いで、これら発芽玄米がゆを、ミキサーでホモゲナイズしてホモゲナイズ物を調製した。なお、ホモゲナイズの際には、試料7−B〜7−Fには各種食品素材を加えずそのままホモゲナイズした。また、試料7−Gには加熱した豚ロース肉15gを、試料7−Hには加熱した豚ロース肉15gおよび加熱したなめこ50gを、各種食品素材として加えてホモゲナイズした。
そして、これらのホモゲナイズ物に、市販強力小麦粉〔(株)渡森製デューラムセモリナ粉〕233g、食塩13gを加え、パナソニック製家庭用製パン器(SDBH101)を用いて45分間捏ねて麺用の‘生地’を作製し、冷蔵庫で一晩ねかせた。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と、小麦粉との重量の割合は、表2に示すとおりであった。また、これらの生地の水分含量は約42重量%であった。
翌朝、生地中に十分空気を巻き込むように、10分間手でこねた。この生地をパスタマシンに通し、麺帯形成及び麺の切り出すことで、‘糊化澱粉組成物含有麺’(試料7−B〜試料7−H)を製造した。
・物理特性の評価
これらの麺を、0.5%となるよう食塩を加えた20Lの湯中で、沸騰状態で2分間加熱し、次いで、20℃の水道水で1分間冷却し、表面水をキムワイプで除去したものを準備した。そして、タケトモ電機製テンシプレッサーを用いて多重バイト測定を行った。
なお、比較対照として、小麦粉のみ(デューラムセモリナ100%)を用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして麺(試料7−A)を製造し、物理特性を測定した。結果を図10に示す。
また、試料7−B、7−C、7−Fは、麺物性がやや弱く、コシのない麺となった。すなわち、麺の場合は、EM10単独よりも、‘もち米’や‘低アミロース米’を配合することで、麺の物理特性が向上することが示された。
また、肉やなめこを加えた試料7−G、7−Hは、比較対照の試料7−A(デューラムセモリナ100%)Aよりやや硬めの特徴的な物性を示し、きわめて旨味の強い麺となった。すなわち、EM10単独使用の場合でも、‘各種食品素材’である肉やなめこを配合することによって麺の物理的な特性が向上し、物性および味の両方が優れた麺となることが示された。
(1)糊化澱粉組成物含有食パンの製造
実施例1と同様にして、ホモゲナイズ物を調製した。
ついで、このホモゲナイズ物に市販強力粉210gを加え、さらに、砂糖15g、食塩2g、スキムミルク8.5g、無塩バター15gを加えて混合した。これに、予備発酵させたイースト(約35℃のぬるま湯100mlに1gの砂糖を加え、ドライイースト8gを加え、予備発酵させたもの)を加え、混合した。
この生地を板に乗せ、手でこね、こしがでてきた時点でひとまとめにし、丸めてボールに入れ、ラップで覆い、30℃で3倍容に発酵させた。そして、フィンガーテストにより、十分に発酵したことを確認した後、丸めてボールに入れ、プラスチック袋で覆って30分間ねかせた。そして、この生地を球状に丸め、乾燥した布巾をかけ、15分間、室温でねかせて、‘パン生地’を作成した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、24:76であった。
このパン生地を延ばし、ショートニングを塗った食パン型枠に入れ、35℃で1時間、発酵させた。次いで、200℃のオーブンで30分間焼成することで、‘糊化澱粉組成物含有食パン’(試料8)を製造した。このパンを実施例1と同様に測定し、小麦粉100%のパン(比較対照)と比較した結果を表3に示す。
(1)糊化澱粉組成物含有麺の製造
‘原料’として高アミロース米である「ホシユタカ」を用いたことを除いて、実施例3に記載の方法と同様にして、ホモゲナイズ物を調製した。
このホモゲナイズ物に、市販の中力小麦粉175gを加え、蒸練機で15分間蒸練し、練りだし機によって蒸練生地を3回練りだしした。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、45:55であった。
この‘生地’を、圧延機によって厚さ2mmに圧延してシート状にし、切断して低温で一晩置いて硬化させた後、硬化生地を製麺機の切り歯で約2.5mmに切断することで、‘糊化澱粉組成物含有麺’(試料9)を製造した。
上記糊化澱粉組成物含有麺(試料9)について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、この麺の水分含量は34重量%、タンパク質含量は12乾燥重量%、食物繊維含量は4.1乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は5mg(0.005乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は2.1%、BAP法で測定した澱粉糊化度は92%であった。
なお、比較対照として、中力粉のみを用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして麺生地を作り、麺を製造した
6名の試食者による官能検査の結果、上記糊化澱粉組成物含有麺(試料9)は、中力小麦粉100%の麺(比較対照)に比べて、食感ではやや軟らかいという評価であったが、麺のツヤや色等の外観が優れており、甘味の強い麺であった。
上記糊化澱粉組成物含有麺(試料9)を、80℃で3時間、熱風乾燥することで、乾麺を製造した。製造した乾麺の外観を図11に示す。
上記乾麺は、水分含量が6.6%であり、熱湯中で10分間加熱することで、独特の食感とエビの特徴的な風味を示した。この乾麺は、室温で1ヶ月放置した後も、微生物は繁殖せず、良好な衛生性が保持され、保存性に優れたものであった。
・発芽および糊化
九州大学試験圃場で生産された超硬質米である「EM10」の玄米100g、北海道産パン用小麦「ハルユタカ」100g、香川県産モチ大麦ダイシモチ100gにそれぞれ水400gを加え、20℃から加熱を開始して15分で55℃に到達させ、弱火にして55℃で30分間保温することで、発芽処理を行った。
その後、加熱を強くし、15分で沸騰に到達させ、15分間沸騰を継続させた後、加熱を停止し、15分間蒸らしを行ことで、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。発芽状態を図12に示す。
2時間以内で(迅速発芽させて)出来上がったかゆ中の穀類は、胚芽がふくらみ、大部分が発芽したものであった。
・糊化澱粉組成物含有麺の製造
‘原料’として、超硬質米「EM10」と硬質形質を有さない各種穀類(大豆、小麦あるいは大麦)との重量の割合が、7:3になるように混合して用いたことを除いて、実施例10に記載の方法と同様にして、発芽および澱粉を糊化させて、発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。
その後、実施例3に記載の方法と同様にして、ホモゲナイズ物を調製した。
このホモゲナイズ物を用いて、実施例9に記載の麺の製造方法と同様にして、‘生地’を調製し、‘糊化澱粉組成物含有麺’を製造した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、43:57であった。製造した各種麺の外観を図13に示す。
(1)スナック菓子の製造
‘発芽玄米粉’(九州大学試験圃場産EM10)80gに、各種食品素材(スイートコーン、ヤーコン、いんげん、乾燥トマト、エビ殻あるいは枝豆)をそれぞれ10g加え、純水100gとともに20分間加熱することで、澱粉を糊化させて、‘糊化澱粉組成物’を得た。次いで、TESCOM製スティックブレンダーTHM500によって、均一になるようホモゲナイズしホモゲナイズ物を得た。
このホモゲナイズ物を、市販強力小麦粉(カメリヤ)70gに混合し、純水30gを加えた後、手でこねて生地玉とし、家庭用製餅器(東芝もちっこ生地職人)を使用し、外釜に240mlの純水をいれ、蒸気があがったら上記の生地を入れ、延ばし棒で均一な厚み(約2mm)になるよう延伸し、‘棒状のスナック菓子生地’を作成した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、21:79であった。
これらの生地を、4℃の低温室で一晩静置し、硬化させた。硬化後、幅2mmに切断し、アドバンテック社製オーブン(FC−610)を使用し、160℃、20分間焼き上げることで、‘糊化澱粉組成物含有棒状スナック菓子’を製造した。製造した各種棒状スナック菓子の外観を図14に示す。
これらの棒状スナック菓子は、焼き上げ後も良好な形状を維持していた。また、試食試験を行った結果、香りと味が良好で、高い評価が得られた。
(1)油揚げスナック菓子の製造
‘各種食品素材’として、豚ロース肉、ブロッコリー、エリンギ、赤タマネギ、ショウガあるいはゴーヤを用いた以外は、実施例12と同様にして‘棒状のスナック菓子生地’を調製した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、21:79であった。
これらの生地を、180℃のコーンサラダオイル中で1分間油揚げすることで、‘糊化デンプン組成物含有棒状油揚げスナック菓子’を製造した。製造した各種棒状油揚げスナック菓子の外観を図15に示す。
これらの棒状の油揚げスナック菓子はサクサクした良好な食感を呈したものであった。
(1)糊化澱粉組成物含有中華饅頭の製造
・発芽
超硬質米である「EM10」(九州大学産)玄米250g、あるいは、紫黒米である「朝紫」250gを、0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に30分間浸漬して種子表面を殺菌した。
次いで、水で十分洗浄した後、1Lの温湯(30℃)に72時間浸漬することで、発芽処理を行った。なお、水は24時間ごとに新しい水と交換した。
その後、発芽処理した玄米を乾燥し、水分含量を15%に調整した。この発芽玄米に2倍量の水を加え、家庭用電気炊飯器、シャープ製電気炊飯器(KS−HA5−W)を用いて炊飯することで、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆを調製した。
この発芽玄米がゆ200gに、各種食品素材(加熱処理した豚ロース肉30g、加熱したオクラ20g)を加え、ホモゲナイズして糊化澱粉組成物を調製した。次いで、市販強力小麦粉45gおよび市販薄力小麦粉25gを加え、食塩2g、および市販ベーキングパウダー7gを加えた。そして、パナソニック製ホームベーカリー(SD−BM151)の「うどんパスタモード」で15分間混ねつし、発芽玄米、小麦粉、豚肉およびオクラが均一になるよう練り合わることで、‘生地’を調製した。
次いで、冷蔵庫に2時間寝かせた後、打ち粉を振って、約15gずつ手で生地玉を成形し、具材を入れ、中火で15分間蒸し上げることで、中華饅頭(試料14−1:EM10の糊化澱粉組成物含有中華饅頭の皮、試料14−2:紫黒米の糊化澱粉組成物含有中華饅頭の皮)を製造した。製造した中華饅頭の外観を図16に示す。
上記糊化澱粉組成物含有中華饅頭(試料14−1)の皮について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、この中華饅頭の皮(試料14−1)の水分含量は、56.2重量%、タンパク質含量は14.7乾燥重量%、食物繊維含量は4.2乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は41.2mg(0.0412乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は3.8%、であった。
(1)糊化澱粉組成物含有餃子の皮の製造
・発芽および糊化
‘原料’として超硬質米である「EM10」(九州大学産)を用いたことを除いては、実施例14と同様に、発芽処理を行った。
その後、発芽処理した玄米200gに、300gの水を加えて約40分間加熱することで、発芽玄米がゆを得た
この発芽玄米がゆ(400g)に、乾燥鮭粉末30g、オクラ乾燥粉末20gおよび加熱したなめこ粉末40gを加え、よく混合して糊化澱粉組成物を調製し、パナソニック製ホームベーカリー(SD−BM151)の「うどんパスタモード」で15分間混ねつし、発芽玄米、鮭、オクラ、なめこが均一になるよう練り合わせることで、混ねつ物を調製した。
この混ねつ物に、市販の中力小麦粉175gを混合し、15分間蒸練し、練りだし機によって蒸練生地を3回練りだした。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、36:64であった。
この‘生地’を圧延機によって厚さ1mmに圧延してシート状にすることで、‘糊化澱粉組成物含有餃子の皮’(試料15)を製造した。
上記糊化澱粉組成物含有餃子の皮について、各種成分を測定した。なお、各種成分の測定は、実施例1に記載の測定方法と同様に行った。
その結果、この餃子の皮の水分含量は、32重量%、タンパク質含量は13.3乾燥重量%、食物繊維含量は7.6乾燥重量%、乾燥重量100gあたりのGABA含量は63mg(0.063乾燥重量%)であり、澱粉あたりのレジスタントスターチ含量は6.8%、であった。
(1)発芽および糊化
九州大学試験圃場で生産された超硬質米である「EM10」の玄米100gに、‘水400g(試料16−A)’、‘紅茶粉末を20gを添加した水400g(試料16−B)’、‘番茶粉末20gを添加した水400g(試料16−C)’、もしくは、‘赤タマネギ粉末20gを添加した水400g(試料16−D)’をそれぞれ加え、20℃から加熱を開始して15分で55℃に到達させ、弱火にして55℃で30分間保温することで、発芽処理を行った。
その後、加熱を強くし、15分で沸騰に到達させ、15分間沸騰を継続させた後、加熱を停止し、15分間蒸らしを行うことで、澱粉を糊化させた発芽玄米がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。なお、2時間以内で(迅速発芽させて)出来上がったかゆ中の玄米は、胚芽がふくらみ、大部分が発芽したものであった。
これらの糊化した発芽玄米の物理特性を、タケトモ電機製テンシプレッサーによって測定した結果を図17に示す。
図17に示されるように、紅茶(試料16−B)、番茶(試料16−C)を添加することで、発芽玄米が水のみ(試料16−A)の場合に比べて、炊飯(糊化)後の発芽玄米が軟らかくなることが分った。
また、赤タマネギ(試料16−D)を加えた場合は、炊飯(糊化)後の発芽玄米が軟らかくなり、粘りが増加し、粘りと硬さの比であるバランス度が顕著に増加し、物理特性に優れた発芽玄米の調製にきわめて有益であることが明らかになった。
(1)糊化澱粉組成物含有食パンの製造
表4に示す‘原料’の穀類を用いたこと、および、発芽穀類を得た後に表4に示す炊飯方法で炊飯したことを除いて、実施例1と同様の方法で発芽穀類がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を調製した。
なお、表4の炊飯方法において、‘通常炊飯’とは、上記穀類に対し10倍量加水して炊飯したかゆを指す。また、‘ヨーグルト炊飯A’とは、上記穀類に対し10%ヨーグルト液(明治乳業製ヨーグルトLG21を10重量%含む液)を10倍量加水して炊飯したかゆを指す。また‘ヨーグルト炊飯B’とは、上記穀類に対し、上記ヨーグルト10%液を1.5倍量加えて炊飯したかゆを指す。また、‘ヨーグルト炊飯AB’とは上記ヨーグルト炊飯Aを行った後にヨーグルト炊飯Bを行ったかゆを指す。
そして、このかゆを用いて、実施例1と同様の方法にして、ホモゲナイズ物を調製した。
次いで、このホモゲナイズ物を用いて、実施例1と同様の方法で、‘生地’を調製し、‘糊化澱粉組成物含有食パン’(試料17−B〜試料17−K)を製造した。生地における糊化澱粉組成物(乾燥重量)と小麦粉との重量の割合は、30:70であった。
上記製造した糊化澱粉組成物含有食パンの老化性を比較した。
なお、比較対照として、強力小麦粉のみ(日清製粉製カメリヤ100%)を用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして、食パン(試料17−A:比較対照)を製造し老化性を比較した。パンの製造後3日目のテンシプレッサー多重バイト試験による物性値(硬さ:toughness)を図18に示す。
また、発芽穀類の糊化処理(炊飯)時に、ヨーグルト溶液を用いることで、より柔らかいパンが製造できることが分った。
(1)糊化澱粉組成物含有麺の製造
超硬質米である「EM10」、もしくは、硬質形質を有しない各種穀類(青大豆、小麦、大麦)について、実施例10に記載の方法と同様にして、発芽および澱粉を糊化させた各種発芽穀類がゆ(‘糊化澱粉組成物’)を得た。
次いで、これら各種発芽穀類がゆ、さらに別途準備したもち米である「こがねもち」を精米した米粉を、表5に示す割合でそれぞれミキサーでホモゲナイズして各種ホモゲナイズ物を調製した。
その後、糊化澱粉組成物と小麦粉との割合を、表5に記載の割合で用いて生地を調製したことを除いて、実施例7に記載の方法と同様にして、‘生地’を調製し、‘糊化澱粉組成物含有麺’(試料18−B〜18−G)を製造した。
これらの麺を、実施例7と同様にして湯がいた後、冷却し、−80℃のフリーザーで冷凍した後に凍結乾燥し、Udyサイクロンミルを用いて粉末試料とした。
これらの粉末試料に含まれるレジスタントスターチ量を、メガザイムキットによって測定した。
なお、比較対照として、小麦粉のみ(市販小麦粉100%)を用いたことを除いては上記段落(1)に記載の方法と同様にして麺(試料18−A)を製造し、レジスタントスターチ量を測定した。結果を図19に示す。
・レジスタントスターチの測定および結果
超硬質米である「EM10」を試料とし、実施例1と同様の方法で迅速発芽させた発芽玄米(試料19−A)およびこの玄米を炊飯した発芽玄がゆ(試料19−B:‘糊化澱粉組成物’)を調製した。
また、対照として、37℃で18時間発芽させた発芽玄米(試料19−C)およびこの玄米を炊飯した発芽玄がゆ(試料19−D:‘糊化澱粉組成物’)を調製した。
これらについて、メガザイムキットによってレジスタントスターチを測定した。結果を図20に示す。
また、呈味成分であるグルコース及びグルタミン酸を測定した結果、図21に示すように、迅速発芽玄米がゆ(試料19−B)の方が通常発芽玄米がゆ(試料19−D)より大幅に高い値を示した。
・レジスタントスターチの測定および結果
超硬質米である「EM10」、高アミロース米である「ホシユタカ」、低いアミロース米である「ミルキークイーン」、高アミロース米である「夢十色」、低グリテン米である「春陽」、一般良食米である「コシヒカリ」の各品種について、37℃で18時間発芽を行った試料米中のレジスタントスターチ含量をメガザイムキットで測定した。結果を図22に示す。
その結果、超硬質米である「EM10」のレジスタントスターチ含量が圧倒的に多いことが示された。
Claims (15)
- グルコース重合度6〜12のアミロペクチン短鎖の割合が全アミロペクチン鎖の20%以下である硬質米の玄米、硬質大麦あるいは硬質小麦を発芽させたものを、10重量%以上含有する発芽穀類を、乾燥重量100重量部あたり200〜2000重量部の水分を含むように炊飯し、澱粉糊化度が90%以上のかゆ状の状態で、食物繊維含有素材と高タンパク質含有素材とを均一に混合することにより発芽穀類糊化澱粉組成物を調製し、;当該発芽穀類糊化澱粉組成物と小麦粉とを、乾燥重量に換算して20:80〜70:30の割合で均一に含有させることにより、加水することなく小麦粉食品生地を調製し、;当該小麦粉食品生地を用いて小麦粉食品を製造すること、並びに、
前記食物繊維含有素材が、リンゴ、ミカン、オレンジ、ブドウ、ナシ、グレープフルーツ、パイナップル、及びイチゴである果実、;ダイコン、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、タマネギ、赤タマネギ、ネギ、ショウガ、ゴーヤ、ニンジン、ホウレンソウ、及びコマツナである野菜、;ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物;海藻の藻体、担子菌類子実体および甲殻類の殻;から選ばれる1種類以上のものであり、
前記高タンパク質含有素材が、豆類、肉および卵から選ばれる1種類以上のものであり、
前記小麦粉食品が、ラスク、うどん、パスタ、スナック菓子、饅頭の皮又は餃子の皮であること、
を特徴とする小麦粉食品の製造方法。 - 担子菌類子実体が、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、シメジ、ナメコ、ハツタケ、マイタケ、キクラゲ、及びエリンギから選ばれる1種類以上のものである、請求項1に記載の小麦粉食品の製造方法。
- 高タンパク質含有素材が、ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物、;豚ロース肉、ベーコン、牛バラ肉、鶏手羽肉、及び鶏モモ肉である肉、;鶏卵、アヒルの卵、ウズラの卵、及びダチョウの卵である卵;から選ばれる1種類以上のものである、請求項1又は2に記載の小麦粉食品の製造方法。
- 発芽穀類が、硬質大麦を発芽させたものを10重量%以上含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- 小麦粉食品がラスクである、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- 小麦粉食品がうどんである、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- 小麦粉食品がパスタである、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- 小麦粉食品がスナック菓子である、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- 小麦粉食品が饅頭の皮である、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- 小麦粉食品が餃子の皮である、請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉食品の製造方法。
- グルコース重合度6〜12のアミロペクチン短鎖の割合が全アミロペクチン鎖の20%以下である硬質米の玄米、硬質大麦あるいは硬質小麦を発芽させたものを、10重量%以上含有する発芽穀類を、乾燥重量100重量部あたり200〜2000重量部の水分を含むように炊飯し、澱粉糊化度が90%以上のかゆ状の状態で、食物繊維含有素材と高タンパク質含有素材とを均一に混合すること、並びに、
前記食物繊維含有素材が、リンゴ、ミカン、オレンジ、ブドウ、ナシ、グレープフルーツ、パイナップル、及びイチゴである果実、;ダイコン、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、タマネギ、赤タマネギ、ネギ、ショウガ、ゴーヤ、ニンジン、ホウレンソウ、及びコマツナである野菜、;ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物;海藻の藻体、担子菌類子実体および甲殻類の殻;から選ばれる1種類以上のものであり、
前記高タンパク質含有素材が、豆類、肉および卵から選ばれる1種類以上のものであること、
を特徴とする、発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法。 - 担子菌類子実体が、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、シメジ、ナメコ、ハツタケ、マイタケ、キクラゲ、及びエリンギから選ばれる1種類以上のものである、請求項11に記載の発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法。
- 高タンパク質含有素材が、ダイズ、リョクトウ、インゲン、エンドウ、及びササゲである豆類、並びに前記豆類の発芽処理物及び加熱処理物、;豚ロース肉、ベーコン、牛バラ肉、鶏手羽肉、及び鶏モモ肉である肉、;鶏卵、アヒルの卵、ウズラの卵、及びダチョウの卵である卵;から選ばれる1種類以上のものである、請求項12又は13に記載の発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法。
- 発芽穀類が、硬質大麦を発芽させたものを10重量%以上含有するものである、請求項11〜13のいずれかに記載の発芽穀類糊化澱粉組成物の製造方法。
- 請求項11〜14のいずれかに記載の方法により発芽穀類糊化澱粉組成物を調製し、当該発芽穀類糊化澱粉組成物と小麦粉とを、乾燥重量に換算して20:80〜70:30の割合で均一に含有させることにより、加水することなく小麦粉食品生地を調製することを特徴とする、小麦粉食品生地の製造方法。
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