JP5413924B2 - 特定ゲノム領域の単離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定ゲノム領域の単離方法に関するものであり、特に、相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま特定ゲノム領域を単離する方法に関するものである。
クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析は、エピジェネティクス制御の分子機構を理解するために非常に重要である。しかし、未だクロマチン領域の生化学的な性質は十分に解析されていない。これは、クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析に利用可能な試料の採取方法が制限されていることに原因があると考えられる。
クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析を行うためには、ゲノムDNAおよびゲノムDNAと相互作用している分子の相互作用状態を保持した試料を解析に供することが必要である。相互作用分子との相互作用状態を保持した特定ゲノム領域を単離する方法として、以下の方法が知られている。
(1)クロマチン免疫沈降法
クロマチン免疫沈降(chromatin immunoprecipitation)法(以下、「ChIP法」という。)は、既知のDNA結合タンパク質に対する抗体を用いて特定ゲノム領域を免疫沈降させ、当該領域を単離する方法である(非特許文献1、2参照)。したがって、ChIP法は、DNA結合タンパク質に関する情報がなければ使用することができないという制限がある。また、一般に、DNA結合タンパク質はゲノムDNAの複数の領域に結合するため、免疫沈降物中にはいろいろなゲノム領域が混在しており、ChIP法によって特定ゲノム領域のみを単離することは難しいという問題を有している。さらに、ChIP法では、既知のDNA結合タンパク質が結合しないゲノム領域を単離できないという問題がある。
(2)Chromosome Conformation Capture法(以下「3C法」という。)
3C法またはその派生法では、特定のゲノム領域と相互作用しているゲノム領域を同定することができる(非特許文献3〜5参照)。しかし、3C法では、制限酵素やライゲースによる酵素反応を、クロスリンク(架橋)下という非最適条件下で行わなくてはならないため、非生理的な相互作用を検出する可能性が高いという問題がある。また、クロスリンク下では制限酵素処理が不完全になるため、標的ゲノム領域に隣接する領域がPCRで増幅されバックグラウンドが極めて高くなり、未知の相互作用の検出が難しいという問題がある。
(3)Fluorescence in situ Hybridization法(以下、「FISH法」という。)
FISH法単独、もしくは蛍光抗体法と組み合わせることにより、特定ゲノム領域と別のゲノム領域やRNA、タンパク質との相互作用が検出可能である。しかし、この方法は解像度が低く、また、未知の分子との相互作用は検出できない。
(4)Proteomics of Isolated Chromatin segments法(以下「PICh法」という。)
PICh法は、特異的な核酸プローブを用いて、特定ゲノム領域を単離する方法であり、プローブに相補的な多数の繰り返し配列からなるテロメア領域を単離できることが示されている(非特許文献6参照)。しかしながら、PICh法ではクロスリンク下での核酸プローブと標的ゲノム領域のアニーリングが必要であり、低コピー数や1コピーの特定ゲノム領域の単離が可能か否かは示されていない。
(5)非特許文献7に記載の方法
非特許文献7には、アフィニティー精製により特定ゲノム領域を単離しようとする試みが記載されている。しかし、用いられている細胞は、酵母であり、高等真核細胞への応用は行われていない。また、Cre−loxP系を利用して、特定ゲノム領域を切り出しているが、この操作により、クロマチン構造が変化してしまう可能性がある。加えて、ホルムアルデヒドによるクロスリンク処理を行っていないため、精製の過程で結合しているタンパク質やDNA等の分子が解離する可能性もある。
Solomon, M.J., Larsen, P.L., Varshavsky, A., Mapping protein-DNA interactions in vivo with formaldehyde: evidence that histone H4 is retained on a highly transcribed gene. Cell (1988) 53, 937-947 Solomon, M.J., Varshavsky, A., Formaldehyde-mediated DNA-protein crosslinking: a probe for in vivo chromatin structures. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82, 6470-6474 Dekker, J., Rippe, K., Dekker, M., and Kleckner, N. Capturing chromosome conformation. Science (2002) 295, 1306-1311 Simonis, M., Klous, P., Splinter, E., Moshkin, Y., Willemsen, R., de Wit, E., van Steensel, B., and de Laat, W. Nuclear organization of active and inactive chromatin domains uncovered by chromosome conformation capture-on-chip (4C). Nat. Genet. (2006) 38, 1348-1354 Simonis, M., Kooren, J., and de Laat, W. An evaluation of 3C-based methods to capture DNA interactions. Nat. Methods (2007) 4, 895-901 Dejardin, J., and Kingston, R.E. Purification of proteins associated with specific genomic loci. Cell (2009) 136, 175-186 Griesenbeck, J., Boeger, H., Strattan, J.S., and Kornberg, R.D. Affinity purification of specific chromatin segments from chromosomal loci in yeast. Mol. Cell Biol. (2003) 23, 9275-9282
上述のように、相互作用分子との相互作用状態を保持した特定ゲノム領域を単離する従来の方法には種々の問題点が存在するため、これらの問題点を解消し、クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析に適した材料を確実に提供できる新しい方法の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、相互作用している分子との相互作用状を保持したまま、任意のゲノム領域を特異的に単離することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を包含する。
[1]相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま特定ゲノム領域を単離する方法であって、以下の工程1〜5を包含することを特徴とする特定ゲノム領域の単離方法。
工程1:単離しようとするゲノム領域のゲノムDNAに、外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片が挿入された細胞を作製する工程
工程2:少なくとも前記外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子を、前記細胞のゲノムDNAと接触させる工程
工程3:前記細胞のゲノムDNAと、当該ゲノムDNAと相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行う工程
工程4:ゲノムDNAを断片化する処理を行う工程
工程5:前記外来性分子と特異的に結合する分子を結合させて複合体を生成し、当該複合体を回収する工程
[2]前記外来性DNA結合分子が、外来性DNA結合タンパク質または外来性核酸であることを特徴とする前記[1]に記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[3]前記外来性分子が、タグ配列を含む融合分子であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[4]前記融合分子が、2種類のタグ配列を含み、両タグ配列がプロテアーゼ認識配列を介して連結されていることを特徴とする前記[3]に記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[5]前記外来性分子が、核移行シグナルを含む融合分子であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[6]工程1において、外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片を、相同組み換え法によりゲノムDNAに挿入することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[7]工程1において、外来性DNA結合分子の認識配列と、特定ゲノム領域のDNA配列とを含むDNA断片を、細胞に導入することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[8]工程2において、工程1で作製した細胞に、前記外来性分子をコードする遺伝子を導入し、当該細胞内で発現させることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[9]前記相互作用状態を保持する処理が、架橋処理であることを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[10]前記ゲノムDNAを断片化する処理が、制限酵素処理、DNA分解酵素による部分分解処理、または超音波処理であることを特徴とする前記[1]〜[9]のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
[11]外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片をゲノムDNAに挿入するためのターゲッティングベクターを包含することを特徴とする特定ゲノム領域単離用キット。
[12]外来性DNA結合分子の認識配列と、特定ゲノム領域のDNA配列とを含むDNA断片を細胞に導入するためのベクターを包含することを特徴とする特定ゲノム領域単離用キット。
[13]前記DNA断片が、さらにレポーター遺伝子を含むことを特徴とする前記[12]に記載の特定ゲノム領域単離用キット。
[14]さらに、少なくとも前記外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子、または当該外来性分子を発現させるための発現ベクターを包含することを特徴とする前記[11]〜[13]のいずれかに記載の特定ゲノム領域単離用キット。
本発明によれば、相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま、任意のゲノム領域を特異的に単離することができる。単離されたゲノム領域には、相互作用している分子が保持されているので、当該ゲノム領域は、エピジェネティクス制御の分子機構解析のための試料として非常に有用である。
本発明の特定ゲノム領域の単離方法の第1の実施形態を示す図である。 LexA−GFPレポーター遺伝子の構造を示す図である。 FCNLD−BLG細胞がFCNLDを発現していることを、抗LexA抗体を用いた免疫ブロット分析により確認した結果を示す図である。 実施例1において、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降複合体中のLexA−GFPレポーターDNAをPCRにより検出した結果を示す図である。 実施例1において、コントロールIgGまたは抗FLAG抗体を用いた免疫沈降複合体中のLexA−GFPレポーターDNAの回収率を示す図である。 LexAエレメント IRF−1プロモーター GFPレポーター遺伝子の構造を示す図である。 FCNLD−BLIPG細胞に対するインターフェロンγ刺激により、GFPが発現することをフローサイトメトリーで確認した結果を示す図である。 実施例2において、抗Stat1抗体を用いた免疫沈降複合体中のLIPGをPCRにより検出した結果を示す図である。 実施例2において、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降複合体中のLIPGをPCRにより検出した結果を示す図である。 実施例2において、抗FLAG抗体と抗Stat1抗体とを用いた2段階免疫沈降複合体中のLIPGをPCRにより検出した結果を示す図である。 本発明の特定ゲノム領域の単離方法の第2の実施形態を示す図である。 実施例3において、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降複合体中のcHS4コアに特異的に結合するタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)と銀染色により検出した結果を示す図である。 実施例3において、抗a抗体または抗b抗体を用いた免疫沈降複合体中のcHS4コア配列に挟まれたLexA結合配列領域をPCRにより検出した結果を示す図である。
〔特定ゲノム領域の単離方法〕
本発明の特定ゲノム領域の単離方法(以下、「本発明の方法」という。)は、以下の工程1〜5を包含するものであればよい。本発明の方法により、相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま特定ゲノム領域を単離することが可能となる。相互作用状態を保持した特定ゲノム領域が単離できる限り、工程1〜5以外の工程を包含してもよく、その内容は限定されない。
工程1:単離しようとするゲノム領域のゲノムDNAに、外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片が挿入された細胞を作製する工程
工程2:少なくとも前記外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子を、前記細胞のゲノムDNAと接触させる工程
工程3:前記細胞のゲノムDNAと、当該ゲノムDNAと相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行う工程
工程4:ゲノムDNAを断片化する処理を行う工程
工程5:前記外来性分子と特異的に結合する分子を結合させて複合体を生成し、当該複合体を回収する工程
以下、各工程順に本発明の方法を詳細に説明する。
(1)工程1
工程1は、単離しようとするゲノム領域のゲノムDNAに、外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片が挿入された細胞を作製する工程である。細胞の種類は特に限定されず、原核細胞、真核細胞のいずれの細胞も好適に用いることができる。単離しようとするゲノム領域は、任意に選択して決定することができる。外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片をゲノムDNAに挿入する方法は、公知の方法から選択すればよい。例えば、相同組み換え法などが挙げられる。相同組み換えは、例えば、Recombineering法(Copeland, N.G., Jenkins, N.A., Court, D.L. Recombineering: a powerful new tool for mouse functional genomics. Nat. Rev. Genet. (2001) 2, 769-779)を用いることにより容易に行うことができる。相同組み換え法を用いることによりゲノムDNA上の任意の位置に外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片を挿入することができるので、単離しようとするゲノム領域の選択が制限されず、任意に選択することが可能となる。この点において、本発明の方法は従来法と比較して非常に有用性が高い。
また、解析対象ゲノム領域を単離して、そこに外来性DNA結合分子の認識配列を挿入したトランスジーンを細胞に導入して解析を行うことも可能である。この場合には、本来の遺伝子座とは異なるゲノム領域に挿入されるが、遺伝子発現制御等の機能発現に必要充分な領域がトランスジーン中に含まれていれば、有用な情報が得られる。
上記トランスジーンを細胞に導入する場合、工程1において、外来性DNA結合分子の認識配列と、特定ゲノム領域のDNA配列とを含むDNA断片(トランスジーン)を作製し、これを細胞に導入すればよい。外来性DNA結合分子の認識配列は、特定ゲノム領域の内部に挿入されてもよく、近傍に挿入されてもよい。作製したトランスジーンを公知の遺伝子導入方法を用いて細胞に導入し、トランスジーンがゲノム領域に組み込まれた細胞を選択すればよい。トランスジーンがゲノム領域に組み込まれていることは、例えば、マーカー遺伝子を含むトランスジーンを用いることで容易に確認することができる。
外来性DNA結合分子は、特異的なDNAに結合する性質を持つ外来性の分子であれば特に限定されない。例えば、外来性DNA結合タンパク質、外来性核酸などを好適に用いることができる。
外来性DNA結合タンパク質は、公知のDNA結合タンパク質の中から適宜選択して用いることができる。使用する細胞のゲノムDNA上に、結合認識配列が存在しない外来性DNA結合タンパク質を選択することが特に好ましいが、稀に存在するものを選択してもよい。また、使用する細胞のゲノムDNA上に存在しない結合認識配列と結合できるタンパク質またはペプチドを人工的に設計して使用することも可能である。外来性DNA結合タンパク質の認識配列の情報は、用いる外来性DNA結合タンパク質に応じて公知文献等から容易に取得することができる。
真核生物由来のDNA結合タンパク質としては、例えば、p53、Jun、Fos、GCN4、GAL4などが挙げられる。また、原核生物由来のDNA結合タンパク質としては、例えば、LexAレプレッサー(以下、「LexA」という。)、P22Arcレプレッサー、MetJ、CENP−B、Rap1、Xy1S/Ada/AraC、Bir5、DtxRなどが挙げられる。また、ファージ由来のラムダcIタンパク質なども使用することができる。
外来性核酸は、例えば、ランダム核酸配列ライブラリーから標的ゲノムDNA配列に結合する分子種をアフィニティー精製し、PCR法等を用いて濃縮・選別することにより取得することができる。また、こうして選別した核酸に適当な変異を導入して、標的ゲノムDNA配列との親和性を更に向上させることも可能である。
外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片は、少なくとも認識配列を含むものであればよいが、認識配列を複数回繰り返して含むことが好ましい。認識配列を複数回繰り返すことにより、外来性DNA結合分子が当該認識配列を認識し、結合する確率を大幅に向上させることができる。また、特定ゲノム領域をトランスジーンとして細胞に導入する場合には、特定ゲノム領域を複数回繰り返して含むトランスジーンを用いてもよい。
(2)工程2
工程2は、少なくとも外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子を、工程1で作製した細胞のゲノムDNAと接触させる工程である。工程2で用いる外来性分子は、工程1でゲノムDNAに挿入した認識配列と結合できる外来性分子であればよい。好ましくは、当該外来性分子と特異的に結合する分子(例えば抗体)を容易に入手できる分子である。したがって、外来性分子としては、当該認識配列と結合する外来性DNA結合分子全体、当該認識配列と結合する外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む部分、またはこれらと他の分子との融合分子を好適に用いることができる。
外来性DNA結合分子が外来性DNA結合タンパク質である場合、外来性分子としては、当該認識配列と結合する外来性DNA結合タンパク質の全長タンパク質、当該認識配列と結合する外来性DNA結合タンパク質のDNA結合ドメインを含む部分タンパク質、またはこれらと他のタンパク質との融合タンパク質を好適に用いることができる。
融合分子の場合は、他の分子はタグ配列であることが好ましい。タグ配列との融合分子は、ゲノムDNAに挿入した認識配列と結合でき、かつ、当該融合分子と特異的に結合する分子を容易に入手することができる。タグ配列は特に限定されず、公知のタグ配列から適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、Strepタグ、カルモジュリン結合ペプチド、GSTタグ、MBPタグなどが挙げられる。
タグ配列との融合分子は、2種類のタグ配列を含み、両タグ配列がプロテアーゼ認識配列を介して連結されている構成としてもよい。このような構成とすることにより、当該融合分子が結合したゲノム領域を2段階で精製することが可能となるため、非特異的結合に基づくバックグラウンドを大幅に低減することができ、特定ゲノム領域の特異的な単離効率が大幅に向上する。
2種類のタグ配列を連結するプロテアーゼ認識配列は、タグ配列の切断に通常用いられるプロテアーゼが認識する配列を適宜選択して用いることができる。タグ配列の切断に用いられるプロテアーゼとしては、例えば、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、ヒトライノウイルス(HRV)プロテアーゼ、エンテロキナーゼ(EK)、トロンビン(Tb)、第Xa因子(Xa)などが知られている。
真核細胞を用いる場合には、核移行シグナルを含む融合分子とすることが好ましい。当該融合分子が核移行シグナルを有することにより、核内に移行してゲノムDNAと接触することが可能となる。核移行シグナルは公知の核移行シグナルから適宜選択すればよい。具体的には、例えば、SV40T抗原の核移行シグナル、c−Mycの核移行シグナル、p53の核移行シグナル、NF−κBp50の核移行シグナルなどが挙げられる。また、細胞内に取り込まれる性質を持つアミノ酸配列(タンパク質トランスダクションドメイン)を含む融合分子としてもよい。
工程2で用いる外来性分子が外来性タンパク質である場合、例えば、公知の遺伝子組換え技術により組換えタンパク質として製造することができる。すなわち、外来性タンパク質をコードするDNAを公知の発現ベクターに挿入し、得られた発現ベクターを適切な宿主細胞に導入して発現させ、公知の方法で精製すればよい。外来性タンパク質が融合タンパク質の場合は、融合させる各タンパク質をコードするDNAを適宜連結して融合DNAを作製し、これを発現ベクターに挿入すればよい。
工程2で用いる外来性分子が外来性核酸である場合、例えば、公知の化学合成法、PCR法、in vitro transcription法、reverse transcription法、細胞に組み込んだ遺伝子からの転写等により製造することができる。外来性核酸を融合分子とする場合は、公知の化学合成法を用いることができる。
外来性分子を工程1で作製した細胞のゲノムDNAと接触させる方法は、特に限定されない。例えば、上述のように公知の遺伝子組換え技術等を用いて得られた外来性タンパク質や外来性核酸を、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション等により、工程1で作製した細胞に導入する方法が挙げられる。また、外来性分子として、上記の細胞内に取り込まれる性質を持つアミノ酸配列(タンパク質トランスダクションドメイン)を含む融合分子を用いて、工程1で作製した細胞に直接導入することも可能である。また、外来性分子とは別に、外来性分子と結合する性質を持つアミノ酸配列を融合させたタンパク質トランスダクションドメインを作製し、これを外来性分子と混合して工程1で作製した細胞に導入することも可能である。なお、工程1で作製した細胞が真核細胞の場合は、核移行シグナルを含む融合分子を使用する。
また、外来性分子を細胞内で発現させることもできる。この場合は、上記宿主細胞として工程1で作製した細胞を用い、当該細胞で発現可能な発現ベクターを作製して導入すればよい。宿主が原核細胞の場合、発現した外来性分子は細胞質中でゲノムDNAと接触することができる。宿主が真核細胞の場合は、核移行シグナルを含む融合分子を発現させることにより、発現した外来性分子が細胞質から核に移行し、ゲノムDNAと接触することができる。
(3)工程3
工程3は、工程1で作成した細胞のゲノムDNAと、当該ゲノムDNAと相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行う工程である。ゲノムDNAには、転写因子等のDNA結合タンパク質、DNA、RNAなどの核酸、その他の分子などが細胞のステージに応じて相互作用している。また、ゲノムDNAに挿入した外来性DNA結合分子の認識配列には、工程2において接触させた外来性分子が結合している。そこで、工程3では、ゲノムDNAと他の分子との相互作用の状態を保持する処理を行う。なお、相互作用状態を保持する処理を行う前に、必要に応じて細胞に刺激を与えてもよい。
相互作用状態を保持する処理は、特に限定されないが、後に相互作用している分子を分離、精製して解析に供することができるように、相互作用状態の保持を必要に応じて解除できることが好ましい。好ましい処理としては、例えば架橋処理が挙げられる。架橋処理に用いる好ましい架橋処理剤としては、例えばホルムアルデヒドが挙げられる。
(4)工程4
工程4は、ゲノムDNAを断片化する処理を行う工程である。すなわち、工程3において、相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行ったゲノムDNAを切断して目的のゲノム領域を含み得る適当なサイズの断片を生成させる工程である。断片化処理を効率よく行うために、断片化処理の前に、公知の方法を用いて細胞を溶解または破砕またはクロマチン分画を抽出しておくことが好ましい。
断片化する処理の方法としては、例えば、制限酵素でゲノムDNAを消化する方法、DNA分解酵素(エンドヌクレアーゼ)でゲノムDNAを部分分解(部分切断)する方法、超音波処理により物理的に切断する方法などが挙げられる。
制限酵素を用いる場合、単離しようとするゲノム領域の内部に認識配列がなく、目的のゲノム領域以外の部分をできるだけ含まない位置に認識配列が存在する制限酵素を選択することが好ましい。
DNA分解酵素(エンドヌクレアーゼ)を用いる場合は、単離しようとするゲノム領域のサイズより少し大きい断片を生成する反応条件を予め決定しておくことが好ましい。
超音波処理を行う場合は、単離しようとするゲノム領域のサイズより少し大きい断片に切断される処理条件を予め決定しておくことが好ましい。
(5)工程5
工程5は、外来性分子と特異的に結合する分子を結合させて複合体を生成し、当該複合体を回収する工程である。外来性分子は単離しようとするゲノム領域中の外来性DNA結合分子認識配列部分でゲノムDNAと結合しており、この結合(相互作用状態)は、工程3の処理により保持されているので、外来性分子と特異的に結合する分子が結合して生成する複合体には目的の特定ゲノム領域が含まれている。したがって、生成した複合体を回収することにより、目的の特定ゲノム領域が単離されたことになる。
工程5で用いる方法は、外来性分子が結合した目的の特定ゲノム領域と、外来性分子と特異的に結合する分子との複合体を生成することができ、当該複合体を回収できる方法であれば、どのような方法であってもよい。例えば、外来性分子と特異的に結合する抗体やペプチド、ニッケルイオン等が固定された担体を用いて、複合体を沈降させて回収する方法などが挙げられる。
外来性分子として、2種類のタグ配列を含み、両タグ配列がプロテアーゼ認識配列を介して連結されている構成の融合分子を用いた場合には、第1のタグ配列と特異的に結合する分子を結合させて第1の複合体を生成した後、第1の複合体をプロテアーゼで処理してプロテアーゼ認識配列を切断し、続いて第2のタグ配列と特異的に結合する分子を、第1の複合体から遊離したゲノムDNAに結合させて第2の複合体を生成することが好ましい。2段階で複合体を生成することにより、第1のタグ配列と特異的に結合する分子や、これを固定した担体に非特異的に結合する分子がバックグラウンドとして濃縮される不都合を回避でき、特定ゲノム領域の特異的な単離効率が大幅に向上する。
なお、プロテアーゼを使用せず、タグ配列と特異的に結合する分子を過剰に加えることにより、タグを融合させた外来性分子と担体から、複合体を遊離させることによりバックグラウンドを低減させることも可能である。具体的な例としては、FLAGペプチドを加えることにより、FLAGタグを融合させたDNA結合分子を結合させた担体から、複合体を遊離させる場合等が挙げられる。
〔単離した特定ゲノム領域の利用〕
本発明の方法により単離された特定ゲノム領域は、エピジェネティクス制御の分子機構解析のための試料として非常に有用である。すなわち、単離された特定ゲノム領域には、ゲノムDNAと相互作用している分子(タンパク質、DNA、RNAなど)の相互作用状態が保持されているので、相互作用している分子を同定し、その機能を推定することが可能となり、エピジェネティクス制御の分子機構解析に大きな貢献をもたらすことが期待できる。
単離された特定ゲノム領域において相互作用している分子の同定は、公知の方法を適宜組み合わせて行えばよく、特に限定されない。例えば、相互作用状態の保持を解除して、相互作用している分子を分離、精製し、公知の同定方法を適用することで行うことができる。相互作用状態を保持する処理がホルムアルデヒドを用いた架橋処理の場合には、高濃度の塩溶液(5M NaCl溶液など)を添加して適当な温度で適当な時間(例えば約65℃で一夜)インキュベートすることにより解除することができる。公知の同定方法としては、対象がタンパク質の場合には、例えば、質量分析、免疫ブロット、ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)などが挙げられ、対象がDNAまたはRNAの場合には、例えば、塩基配列解析、マイクロアレイ解析、PCR(polymerase chain reaction)などが挙げられる。
〔本発明の第1の実施形態〕
図1に、本発明の第1の実施形態を示す。ただし、本発明の方法は、当該実施形態に限定されるものではない。図1中、Xは制限酵素認識部位を表す。以下、図1に従って、本発明の一実施形態を説明する。
(1)図1(A)に示すように、解析対象細胞の任意のゲノム領域(図1(A)では、コーディング領域上流のプロモーター/エンハンサー領域)にLexA結合配列を複数回繰り返した配列を含むDNAを挿入する。
(2)細菌のDNA結合タンパク質であるLexAのDNA結合ドメインに、SV40T抗原の核移行シグナル、カルモジュリン結合ペプチド、TEVプロテアーゼ切断配列、およびFLAGタグが結合した融合タンパク質(FCNLD、図1(B)参照)を発現させるための発現ベクターを作製し、解析対象細胞内で発現可能に導入する。2種類のタグ配列(FLAGタグおよびカルモジュリン結合ペプチド)がTEVプロテアーゼ切断配列で連結されているので、2段階の複合体回収操作が可能となっている。
(3)作製した細胞に対して、必要に応じで刺激を与える。続いてホルムアルデヒドで細胞を架橋処理する。この作業により、単離しようとするゲノム領域においてゲノムDNAと相互作用しているタンパク質、RNA、DNA、およびその他の分子の相互作用状態を保持させることができる。もちろん、この作業により、ゲノムDNAに挿入したLexA結合配列とFCNLDとの結合状態も保持される(図1(C)上段参照)。
(4)細胞を溶解し、架橋処理されたゲノムDNAを制限酵素で消化して断片化する(図1(C)中段参照)。断片化は、超音波処理で行ってもよい。この作業により、挿入したLexA結合配列を含むDNA断片と、これを含まないDNA断片(図1(C)中段の「その他のDNA蛋白複合体」)が生成する。
(5)LexA DNA結合ドメインを含むゲノム領域は、抗FLAG抗体と結合して複合体(免疫沈降複合体)を生成する(図1(C)下段参照)。
(6)単離した複合体はゲノム領域と相互作用している分子を保持している。したがって、架橋を解除し、タンパク質、RNA、DNA、およびその他の分子を精製してこれらの分子を同定することができる。
〔本発明の第2の実施形態〕
図11に、実施例3に基づく本発明の第2の実施形態を示す。図中、cHS4coreは、実施例3で用いた特定ゲノム領域を表し、pSV40−Lucは、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ)カセットを表し、pSV40−Neoは、薬剤耐性(ネオマイシン耐性)カセットを表す。以下、図11に従って、本発明の第2の実施形態を説明する。
(1)cHS4core(特定ゲノム領域)とLexA結合配列(LexA binding elements)を含むDNA断片が挿入されたベクターを作製し、細胞に導入する。図11に示されたベクター(cHS4 vector)は、LexA結合配列の両側にcHS4coreが6個ずつ、合計12個のcHS4coreを含むDNA断片をトランスジーンとしている。また、2個のトランスジーンがpSV40−Lucの両側に配置されている。ただし、pSV40−Lucは必須の構成ではなく、トランスジーンは1個だけでもよい。薬剤耐性カセットも必須ではないが、含まれていることが好ましい。この場合、ネオマイシン耐性細胞を選択することにより、トランスジーンがゲノムDNAに安定に組み込まれた細胞を選択することができる。
(2)実施例3ではFCNLD(図1(B)参照)を安定に発現する細胞に、トランスジーンを導入しているので、ゲノムに組み込まれたトランスジーンのLexA結合配列にFCNLDが結合する。
(3)細胞をホルムアルデヒドで架橋処理し、制限酵素または超音波処理してゲノムDNAを断片化する。
(4)LexA DNA結合ドメインを含むゲノム領域は、抗FLAG抗体と結合して複合体(免疫沈降複合体)を生成するので、これを回収する。
(5)回収した複合体の架橋を解除し、ゲノム領域と相互作用している分子を質量分析等により同定する。
〔キット〕
本発明は、特定ゲノム領域単離用キットを提供する。本願発明のキットは、以下の(A)および(B)のいずれか一方を包含するものであればよい。
(A)外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片を、ゲノムDNAに挿入するためのターゲッティングベクター
(B)外来性DNA結合分子の認識配列と、特定ゲノム領域のDNA配列とを含むDNA断片を、細胞に導入するためのベクター
さらに、少なくとも前記外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子、または当該外来性分子を発現させるための発現ベクターを包含することが好ましい。これら以外のキットの構成は特に限定されないが、例えば、架橋用試薬、外来性分子と特異的に結合する分子、反応用チューブ、取扱説明書等が挙げられる。本発明のキットを用いることにより、本発明の特定ゲノムの単離方法を簡便かつ迅速に実施することができる。
外来性DNA結合分子は、本発明の特定ゲノム領域の単離方法において説明した外来性DNA結合分子を好適に用いることができる。真核細胞の特定ゲノム領域単離用キットに用いる場合、好ましくはLexAであり、特に好ましくはFCNLDである。また、(A)のターゲッティングベクターの相同組み換え領域、および、(B)のベクターにおける特定ゲノム領域は、キットの使用者が任意に設定できることが好ましい。
(B)において、特定ゲノム領域に転写調節DNA領域等の機能的DNA領域を用いる場合には、(B)のベクターは、レポーター遺伝子を含むことが好ましい。転写調節DNA領域等の機能的DNA領域とレポーター遺伝子とを組み合わせることにより、相互作用分子による転写調節等の機能レベルを確認することが可能となる。レポーター遺伝子は、特に限定されず、公知のレポーター遺伝を好適に用いることができる。具体的には、例えば、GFP(緑色蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ、ヒトCD2などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)FCNLD−BLG細胞の作製
BLG細胞株(文献I:Hoshino A. et al. Mol. Cell, 15, 153-159 (2004).)を用いて実験を行った。BLG細胞株はマウスプロB細胞株のBa/F3細胞に、LexAエレメントとdestabilized GFP遺伝子からなるLexA−GFPレポーター遺伝子(図2参照)を導入した細胞株である。
FCNLD発現用プラスミド(FCNLD/pEF)をBLGに導入し、FCNLD−BLG細胞を作製した。まず、FCNLD/pEFを以下の手順で作製した。
(a) LexAのDNA結合ドメインをコードするcDNAをPCRで増幅した。pLGプラスミド(上記文献I参照)を鋳型とし、以下のプライマー1および2を用いた。
プライマー1:5'-ccctttcctgagggaatgaaagcgttaacg-3'(配列番号1)
プライマー2:5'-tgcggccgcttagggttcaccggcagccac-3'(配列番号2)
(b) 得られたPCR産物を、制限酵素(Bsu36IおよびNotI)で消化した後、pBluescript中のSV40T抗原の核移行シグナル(上記文献I参照)に連結した。
(c) DNAシーケンスにより挿入配列を確認した後、得られたコンストラクトを制限酵素(BamHIおよびNotI)で消化し、pMIR−DFTベクターにサブクローニングした。このpMIR−DFTベクターは、2つのFLAGタグと、TEVプロテアーゼ認識部位と、カルモジュリン結合タンパク質とをN末端に有する融合タンパク質を発現するベクターである。
(d) 得られたコンストラクトからFCNLDをコードするcDNAを切り出し、pEF(文献II:Fujii H. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92, 5482-5486 (1995).)にサブクローニングして、FCNLD/pEFを得た。
FCNLD−BLG細胞におけるFCNLDの発現は、抗LexA抗体(ミリポア社製、06−719)を用いた免疫ブロット分析により確認した。図3は、BLG親細胞およびFCNLD−BLG細胞からそれぞれ抽出物を調製し、抗LexA抗体を用いた免疫ブロット分析に供した結果を示す図である。図3からわかるように、FCNLD−BLG細胞はFCNLDを発現していることを確認した。
(2)特定ゲノム領域の単離
BLG親細胞およびFCNLD−BLG細胞を用いて、以下の手順で行った。
(a)2×10個の細胞を含むRPMI完全培地10mLに270μLの37%ホルムアルデヒドを添加して室温で10分間置き、細胞をホルムアルデヒドで架橋処理した。続いて、1.25Mグリシン溶液を1mL添加して室温で5分間置き、中和した。
(b) 遠心分離(1krpm、5分間、室温)して、細胞を氷冷PBSを用いて2回洗浄した後、プロテアーゼインヒビターカクテル(コンプリートミニ EDTAフリー、ロシュ製)を含む氷冷PBSに懸濁した。
(c) 遠心分離(700×g、5分間、4℃)後、ペレットを400μLのSDS溶解バッファー(50mM Tris(pH8.1)、10mM EDTA、1% SDS、プロテアーゼインヒビターカクテル)に懸濁した。
(d) 架橋されたDNAを超音波処理により断片化した(超音波発生器:Cole Parmer, Ultra Sonic Processor, Model CP130; probe: CV18, 4273, amplitude 30, 10 sec x 4 with 10 sec intervals)。
(e) 遠心分離(10krpm、10分間、4℃)して上清を回収し、希釈バッファー1(0.01% SDS、1.1% Triton X−100、1.2mM EDTA、16.7mM TrisHCl(pH 8.0)、167mM NaCl、プロテアーゼインヒビターカクテル)で希釈した。続いて、コントロールIgGとプロテインG−Sepharose(GEヘルスケア)、または抗FLAG M2アフィニティーゲル(シグマアルドリッチ)を用いてレポーター遺伝子を免疫沈降した。
(f) 洗浄後、免疫沈降複合体を200μLの溶出バッファー(100mM NaHCO、1%SDS)で溶出した。
(g) 8μLの5M NaCl溶液を添加し、65℃で一夜インキュベートすることにより、架橋を解除した。
(h) RNaseAおよびProteinaseKで処理し、DNAを精製した。
(i) 得られたDNAをPCRおよびリアルタイムPCRに供した。LexA−GFPレポーターDNAを検出するプライマーとして、以下のプライマー3および4を用いた(図2参照)。
プライマー3:5'-ccccagtgcaagtgcaggtgcc-3'(配列番号3)
プライマー4:5'-cgtcgccgtccagctcgaccag-3'(配列番号4)
PCRの結果を図4に示した。図4中、PCは精製したLexA−GFPレポーターDNAを鋳型に使用した陽性対象を表し、Inputは断片化したDNAを免疫沈降を行わずにクロスリンク解除したサンプルを表す。FCNLD(−)はBLG親細胞由来のサンプルを表し、FCNLD(+)はFCNLD−BLG細胞由来のサンプルを表す。図4から明らかなように、免疫沈降を行った4種類のサンプル中、FCNLD(+)かつ抗FLAG抗体を用いた場合のみ免疫沈降複合体からLexA−GFPレポーターDNAが検出された。免疫沈降を行わないサンプル(Input)では、FCNLDの有無に関わらず、LexA−GFPレポーターDNAが検出された。この結果から、FCNLD存在下において抗FLAG抗体を用いた免疫沈降により、LexA−GFPレポーターDNAを回収できることが明らかとなった。
リアルタイムPCRにより定量したLexA−GFPレポーターDNA量に基づいて求めた免疫沈降複合体中のLexA−GFPレポーターDNAの回収率を図5に示した。図5中、グラフ縦軸の「%input」は、超音波処理後の全DNA量に対する免疫沈降により回収されたLexA−GFPレポーターDNAの量の割合(回収率)を表している。図5に示したように、FCNLD−BLG細胞由来のサンプルを抗FLAG抗体で免疫沈降した場合、約2.5%のLexA−GFPレポーターDNAが回収できた。
これらの結果から、本方法により特定のゲノム領域を単離し、回収できることが明らかとなった。
〔実施例2〕
(1)FCNLD−BLIPG細胞の作製
GFP遺伝子と融合したヒトIRF−1プロモーターのStat結合配列の上流にLexA結合配列を挿入し、LexAエレメントIRF−1プロモーターGFPレポーター(以下、「LIPG」という。)遺伝子を作製した(図6参照)。ヒトIRF−1プロモーターのStat結合配列は、インターフェロン−γが誘導するIRF−1遺伝子の転写に必須であることが知られている(文献III:Sims S H et al. Mol. Cell. Biol., 13, 690-702 (1993).)。さらに、Stat1は、インターフェロン−γが誘導するIRF−1遺伝子の転写に必要であることが知られている(文献IV:Durbin J E et al. Cell, 84, 443-450 (1996). 文献V:Meraz M A et al. Cell, 84, 431-442 (1996).)。
LIPG遺伝子がBa/F3細胞に安定にトランスフェクトされたBLIPG細胞株を作製した。続いて、FCNLD遺伝子が安定にトランスフェクトされたFCNLD−BLIPG細胞株を作製した。FCNLD−BLIPG細胞におけるFCNLDの発現は、抗LexA抗体を用いた免疫ブロット分析により確認した。
(2)インターフェロン−γによるGFPの発現誘導
インターフェロン−γによるGFPの発現誘導を、フローサイトメトリーを用いて確認した。実験方法は、文献VI:Hoshino A. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun., 346, 1062-1066 (2006). の記載に従った。結果を図7に示した。図7からからわかるように、インターフェロン−γの添加によりチャートが右にシフトし、GFPが発現していることが確認された。
(3)抗Stat1抗体を用いた免疫沈降
2×10個のFCNLD−BLIPG細胞に10ng/mLのインターフェロン−γを添加し、15または30分間インキュベートした。インターフェロン−γを添加しない対照を設けた。実施例1の(2)(a)〜(h)と同様に、細胞をホルムアルデヒドでクロスリンクし、溶解し、超音波処理により断片化し、免疫沈降を行い、クロスリンクを解除し、DNAを精製した。免疫沈降には、抗Stat1抗体を用いた。
精製したDNAをPCRに供した。LIPGを検出するプライマーとして、以下のプライマー5および6を用いた(図6参照)
プライマー5:5'-tgtacttccccttcgccgctagct-3'(配列番号5)
プライマー6:5'-gcaatccaaacacttagcgggatt-3'(配列番号6)
結果を図8に示した。図8中、IFNγ(min)0のサンプルはインターフェロン−γを添加しない対照を表す。また、Inputは断片化したDNAを免疫沈降を行わずにクロスリンク解除したサンプルを表す。図8から明らかなように、インターフェロン−γで処理したFCNLD−BLIPG細胞から得たDNA断片と抗Stat1抗体との免疫沈降複合体中にLIPGが検出され、インターフェロン−γで処理していない場合は免疫沈降複合体中にLIPGが検出されなかった。免疫沈降を行わないサンプル(Input)では、インターフェロン−γ処理の有無に関わらず、LIPGが検出された。
この結果から、FCNLD−BLIPG細胞をインターフェロン−γで処理すれば、LIPGにStat1が結合し、抗Stat1抗体を用いてLIPGを単離できることが明らかとなった。
(4)抗FLAG抗体を用いた免疫沈降
1×10個のFCNLD−BLIPG細胞に10ng/mLのインターフェロン−γを添加し、30分間インキュベートした。インターフェロン−γを添加しない対照を設けた。実施例1の(2)(a)〜(h)と同様に、細胞をホルムアルデヒドでクロスリンクし、溶解し、超音波処理により断片化し、免疫沈降を行い、クロスリンクを解除し、DNAを精製した。
具体的には、免疫沈降は、コントロールIgGとプロテインG−Sepharose、または抗FLAG M2アフィニティーゲルを用いて行った。精製したDNAを鋳型として、上記プライマー5および6を用いてPCRを行った。また、免疫沈降を行わないサンプル(Input)についても同様にPCRを行った。
結果を図9に示した。図9中、IFNγ(−)はインターフェロン−γで処理していないサンプルを表し、IFNγ(+)はインターフェロン−γで処理したサンプルを表す。図9から明らかなように、コントロールIgGの免疫沈降複合体からはLIPGが検出されず、抗FLAG抗体の免疫沈降複合体からはインターフェロン−γ処理の有無に関わらず、LIPGが検出された。もちろん、免疫沈降を行わないサンプル(Input)では、インターフェロン−γ処理の有無に関わらず、LIPGが検出された。
この結果から、抗FLAG抗体を用いてLIPGを単離できることが明らかとなった。
(5)抗FLAG抗体と抗Stat1抗体を用いた2段階免疫沈降
1×10個のFCNLD−BLIPG細胞に10ng/mLのインターフェロン−γを添加し、30分間インキュベートした。インターフェロン−γを添加しない対照を設けた。実施例1の(2)(a)〜(e)と同様に、細胞をホルムアルデヒドでクロスリンクし、溶解し、超音波処理により断片化し、免疫沈降を行った。1段階目の免疫沈降には抗FLAG M2アフィニティーゲルを用いた。
続いて、免疫沈降複合体に1000ユニットのAcTEVプロテアーゼ(Invitrogen)を添加し、30℃で3時間インキュベートした。これにより、LIPGのLexA結合配列に結合したFCNLDが切断され、LIPGが抗FLAG M2アフィニティーゲルから切り出された。切り出されたLIPGに対して、2段階目の免疫沈降を、コントロールIgGまたは抗Stat1抗体と、プロテインG−Sepharoseとを用いて行った。その後、実施例1の手順に従いクロスリンクを解除し、DNAを精製した。
精製したDNAを鋳型として、上記プライマー5および6を用いてPCRを行った。また、別途免疫沈降を行わないサンプル(Input)、およびAcTEVプロテアーゼで切り出されたサンプル(2段階目の免疫沈降なし)についても同様にPCRを行った。
結果を図10に示した。免疫沈降を行わないサンプル(Input)では、インターフェロン−γ処理の有無に関わらず、LIPGが検出された。また、AcTEVプロテアーゼで切り出されたサンプルについても、インターフェロン−γ処理の有無に関わらず、LIPGが検出された。2段階目の免疫沈降を行った場合は、インターフェロンγ処理を行い抗Stat1抗体を用いた場合のみ2段階目の免疫沈降複合体からLIPGが検出された。
この結果から、細胞外シグナルにより活性化された転写因子を含むクロマチン複合体を単離でき、生化学的および分子生物学的解析に提供できることが示された。
〔実施例3〕
インスレーターはゲノム上のインスレーター配列およびそれに結合する分子から構成されており、エンハンサー遮断効果の発揮およびポジション効果の抑制により、数万個の遺伝子が協調し、干渉せずに発現することができる(Chung,J.H., Bell,A.C. and Felsenfeld,G., Characterization of the chicken beta-globin insulator, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94 (2), 575-580 (1997)、Burgess-Beusse B, Farrell C, Gaszner M, Litt M, Mutskov V, Recillas-Targa F, Simpson M, West A, Felsenfeld G., The insulation of genes from external enhancers and silencing chromatin. Proc Natl Acad Sci U S A. 99 (10), 16433-16437 (2002) )。そこで、本発明の特定ゲノム領域の単離方法を用いて、インスレーター結合タンパク質の同定を試みた。
(1)FCNLD−cHS4細胞の作製
ニワトリのグロビン遺伝子のインスレーター配列として知られているcHS4配列のコア配列をレポーターベクターpGL3−Control(プロメガ)のルシフェラーゼ(Luc)遺伝子の上流および下流の2箇所にタンデム(12配列ずつ)に挿入した。そして、タンデムに並べたcHS4コア配列の中央それぞれにLexA結合配列を挿入することで、cHS4ベクターを作成した(図11参照)。なお、cHS4の塩基配列は、DDBJ/GenBank/EMBLにアクセッション番号:U78775として登録されており、この塩基配列の第1位〜第244位がコア配列である。
FCNLD遺伝子が安定にトランスフェクトされたBa/F3細胞株(FCNLD細胞)を作製し、これにcHS4ベクターを安定にトランスフェクションすることで、FCNLD−cHS4細胞を作製した。ネガティブコントロールの細胞株として、FCNLD細胞にpGL3−Controlベクターを安定にトランスフェクトした細胞株FCNLD−pGL3Cも作製した。
(2)抗FLAG抗体を用いた免疫沈降
FCNLD−cHS4細胞およびFCNLD−pGL3C細胞を用いて、以下の手順でcHS4領域を単離した。
(I) 4×10個の細胞を含むRPMI完全培地45mLに1.2mLの37%ホムアルデヒドを添加し、37℃で5分間置き、細胞をホルムアルデヒドで架橋処理した。続いて、1.25Mグリシン溶液を4.5mL添加して室温で5分間置き、ホルムアルデヒドを中和した。
(II) 実施例1の(2)(b)と同様に、細胞を洗浄・回収した。
(III) 細胞のペレットを20mLの細胞質溶解バッファー(10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA、0.5% NP−40、プロテアーゼインヒビターカクテル)に懸濁し、氷上で10分間置いた。遠心分離(2,000rpm、8分間、4℃)後、沈殿に20mLの核溶解バッファー(10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA、0.5M NaCl、1% TritonX−100、0.5% Sodium deoxycholate、0.5% Sarcosyl、プロテアーゼインヒビターカクテル)を加え懸濁し、氷上で10分間置いた。遠心分離(2,000rpm、8分間、4℃)後の沈殿を氷冷PBSで2回洗浄し、クロマチン画分とした。
(IV) クロマチン画分を1.6mLの溶解バッファー(10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA、0.5mM EGTA、150mM NaCl、0.1% Sodium deoxycholate、0.1% SDS)に懸濁し、0.8mLずつ1.5mLマイクロチューブに分注した。超音波処理(超音波発生機:TOMY UD-200、微量チップ TP-040、<1チューブ当たりの条件>出力3、10秒間超音波発生・50秒間氷冷×18回)によりクロマチン画分を断片化した。遠心分離(15,000rpm、10分間、4℃)して上清を回収した。
(V) 断片化したクロマチン(1.6mL)に正常マウスIgGとプロテインG−Dynabeads(ベリタス)を加え、4℃で1時間ローテートした。上清に抗FLAG抗体(和光純薬)とプロテインG−Dynabeads(ベリタス)を加え、4℃で一晩ローテートし、cHS4領域を免疫沈降した。
(VI) 洗浄後、免疫沈降複合体に50μLの2×SDSサンプルバッファーを加え、98℃で20分間加熱した。
(3)質量分析によるcHS4コア配列結合タンパク質の同定
免疫沈降物をSDS−PAGEに供し、タンパク質を銀染色で検出した。結果を図12に示した。図12から明らかなように、FCNLD−cHS4細胞由来の免疫沈降物中に、FCNLD−pGL3C細胞(ネガティブコントロール)由来の免疫沈降物には存在しないバンドaおよびバンドbを検出した。バンドaおよびバンドbを切り出して、質量分析に供した結果、バンドaおよびバンドbは、それぞれ新規なcHS4コア配列結合タンパク質(タンパク質aおよびタンパク質b)であることが判明した。
この結果から、特定ゲノム領域の配列に特異的に結合するタンパク質をクロマチン複合体として単離し、質量分析により同定できることが示された。
(4)新規cHS4コア配列結合タンパク質のcHS4領域への結合の確認
新規cHS4コア配列結合タンパク質aおよびbがcHS4領域に結合することを、クロマチン免疫沈降法を用いて確認した。具体的には、上記(2)で調製したFCNLD−cHS4細胞由来の断片化クロマチンを用い、抗a抗体または抗b抗体でクロマチン免疫沈降した。免疫沈降複合体のクロスリンクを解除し、DNAを精製した。精製したDNAをPCRに供した。cHS4コア配列に挟まれたLexA結合配列領域を検出するプライマーとして、以下のプライマー7および8を用いた(図13下段参照)。
プライマー7:5'-ttctctatcgataggtacctcg-3'(配列番号7)
プライマー8:5'-tctattcagcggatctcgagcg-3'(配列番号8)
結果を図13に示した。図13中、Inputは断片化したDNAを免疫沈降を行わずにクロスリンク解除したサンプルを表し、その他は免疫沈降に用いた抗体を表す。図13上段に示したように、PCR40サイクルでは、抗b抗体との免疫沈降複合体中に目的のDNA領域が検出された。また、抗a抗体との免疫沈降複合体の場合、40サイクルのPCRでは検出できなかったが、図13中段に示したように、PCRを45サイクル行うことにより目的のDNA領域が検出された。これらの結果により、タンパク質aおよびタンパク質bがcHS4領域に結合することを確認した。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (14)

  1. 相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま特定ゲノム領域を単離する方法であって、以下の工程1〜5を包含することを特徴とする特定ゲノム領域の単離方法。
    工程1:単離しようとするゲノム領域のゲノムDNAに、外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片が挿入された細胞(但しヒト個体を除く)を作製する工程
    工程2:少なくとも前記外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子を、前記細胞のゲノムDNAと接触させる工程
    工程3:前記細胞のゲノムDNAと、当該ゲノムDNAと相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行う工程
    工程4:ゲノムDNAを断片化する処理を行う工程
    工程5:前記外来性分子と特異的に結合する分子を結合させて複合体を生成し、当該複合体を回収する工程
  2. 前記外来性DNA結合分子が、外来性DNA結合タンパク質または外来性核酸であることを特徴とする請求項1に記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  3. 前記外来性分子が、タグ配列を含む融合分子であることを特徴とする請求項1または2に記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  4. 前記融合分子が、2種類のタグ配列を含み、両タグ配列がプロテアーゼ認識配列を介して連結されていることを特徴とする請求項3に記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  5. 前記外来性分子が、核移行シグナルを含む融合分子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  6. 工程1において、外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片を、相同組み換え法によりゲノムDNAに挿入することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  7. 工程1において、外来性DNA結合分子の認識配列と、特定ゲノム領域のDNA配列とを含むDNA断片を、細胞に導入することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  8. 工程2において、工程1で作製した細胞に、前記外来性分子をコードする遺伝子を導入し、当該細胞内で発現させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  9. 前記相互作用状態を保持する処理が、架橋処理であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  10. 前記ゲノムDNAを断片化する処理が、制限酵素処理、DNA分解酵素による部分分解処理、または超音波処理であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。
  11. 外来性DNA結合分子の認識配列を含むDNA断片をゲノムDNAに挿入するためのターゲッティングベクターを包含することを特徴とする特定ゲノム領域単離用キット。
  12. 外来性DNA結合分子の認識配列と、特定ゲノム領域のDNA配列とを含むDNA断片を、細胞に導入するためのベクターを包含することを特徴とする特定ゲノム領域単離用キット。
  13. 前記DNA断片が、さらにレポーター遺伝子を含むことを特徴とする請求項12に記載の特定ゲノム領域単離用キット。
  14. さらに、少なくとも前記外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインを含む外来性分子、または当該外来性分子を発現させるための発現ベクターを包含することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の特定ゲノム領域単離用キット。
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