JP5412907B2 - Ils装置のモニタ方法及びモニタ装置 - Google Patents
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Description
本発明はILS装置のモニタ方法及びモニタ装置に係り、特に2つのキャリア周波数電波を使用したILS(Instrument Landing System:計器着陸誘導システム)装置のモニタ方法及びモニタ装置に関する。
飛行場に進入して着陸しようとする航空機の前方方向から、当該航空機に対して無線電波を発射することで、当該航空機の着陸を誘導するILS装置が知られている(特許文献1、非特許文献1参照)。
このILS装置は、その重要性に鑑み、送信電波がシステムで定められた各種パラメータの規定値を満足しているかを常にモニタするモニタ装置が設けられている。モニタ装置は、ILS装置が送信する送信電波をモニタし、各種パラメータの規定値のいずれか一以上を満足していないことを検出したときは、送信電波異常と判断し、例えば、予備のILS装置からの送信電波に切り替えるなどの対策がとられている。
図3は、2つのキャリア周波数電波を使用したILS装置のモニタ装置の一例の構成図を示す。モニタ装置20は、送信空中線装置(図示せず)からの電波を送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置(図示せず)で受信した信号及び送信空中線装置に内蔵されたピックアップの素子により輻射電波の一部を取り出してモニタネットワークで擬似的に遠方界を合成した信号を検波してILSのコース特性又はパス特性を正面(POSN)、コース幅またはパス幅方向(WD)、クリアランス方向(CL)で監視する。
減衰器(ATT)21aは、モニタ空中線装置から出力される正面方向ILS信号(NF POSN)を適切な信号レベルに減衰する。減衰器21b、21c、21dは、モニタネットワークから出力される正面方向ILS信号(INTG POSN)、コース幅またはパス幅方向ILS信号(INTG WD)、クリアランス方向ILS信号(INTG CL)をそれぞれ適切な信号レベルに減衰する。
バンドパスフィルタ(BPF)22a〜22dは、減衰器21a〜21dから出力されたILS信号を所定の周波数帯域(ローカライザー装置の場合は108〜112MHz、グライドパス装置の場合は328.6〜335.4MHz)に周波数制限する。ミキサ23a〜23dは、BPF22a〜22dからのILS信号を、それぞれ局部発振器26からのローカル信号(指定された周波数−10.7MHz)と混合して、中間周波数の10.7MHzのILS信号に周波数変換する。
バンドパスフィルタ(BPF)24a〜24dは、通過帯域幅10kHz以上の狭帯域の通過特性を有しており、ミキサ23a〜23dから出力された中間周波数の10.7MHzのILS信号を帯域制限して、ミキサ23a〜23dでの周波数変換で発生したイメージ周波数成分及び隣接チャンネル成分を除去する。モニタ回路25a〜25dは、BPF24a〜24dから出力されたILS信号に基づいて、ILS信号の特性であるRFレベル、変調度差(DDM)、変調度を監視する。
International Civil Aviation Organization,International Standards and Recommended Practices Annex 10 to the Convention on International Civil Aviation Volume I,Radio Navigation Aids,3.1 Specification for ILS
しかしながら、上記の2つのキャリア周波数電波を使用したILS装置のモニタ装置では、以下の2つの問題点がある。
第1の問題点は、送信空中線装置とモニタ空中線装置の距離が近いため、モニタ空中線装置では充分遠方と同一のILS信号が得られず、電波が強い領域であるILS信号(NF POSN)において、他の送信部からの電波の影響を大きく受けてしまうことである。このため、実際の航空機が受信しているILS信号とは異なる特性をモニタ装置が検出してしまう可能性がある。
航空機が受信する所定のキャリア周波数より4kHz高い周波数の送信信号の電波と、上記所定のキャリア周波数より4kHz低い周波数の送信信号の電波との比は国際規格で10dB以上と規格されているが、送信空中線装置とモニタ空中線装置が近い場合にはその比が2dB程度に低下することがある。
第2の問題点は、グライドパス装置において上記のモニタ装置ではモニタネットワークから出力されるパス幅方向ILS信号(INTG WD)において、送信部の電波の影響を大きく受けてしまうことである。このため、送信部から出力された送信信号が空中線装置を経てモニタネットワークで合成されるまでの送信信号の位相長が、温度変化によって変化するため季節毎にモニタのゼロ調整を行う必要があり、定期的な保守を必要とする。
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、実際の航空機が受信しているILS信号とより近い信号のモニタ出力を得ることができると共に、保守性を向上し得るILS装置のモニタ方法及びモニタ装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のILS装置のモニタ方法は、中心周波数が互いに異なる第1及び第2の送信信号の無線電波を用いて航空機の着陸を誘導する2周波ILS装置のモニタ方法であって、送信空中線装置からの第1及び第2の送信信号を合成した送信信号の電波を、送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置で受信して正面方向で監視するための第1のILS信号を取得すると共に、送信空中線装置内で第1及び第2の送信信号を擬似的に遠方界で合成して生成した信号を検波して、複数の各方向で監視するための第2のILS信号をそれぞれ取得する取得ステップと、所定のキャリア周波数に対して中間周波数に対し第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値異なる周波数のローカル信号と、第1及び第2のILS信号をそれぞれ混合して中間周波数のILS信号に周波数変換する変換ステップと、変換ステップで中間周波数に変換された第1のILS信号から、第2の送信信号の周波数成分を除去して第1の送信信号の周波数成分のみを周波数選択する第1の周波数選択ステップと、変換ステップで中間周波数に変換された第2のILS信号から、それぞれ第1及び第2の送信信号の周波数成分を周波数選択する第2の周波数選択ステップと、第1及び第2の周波数選択ステップで得られた信号に基づいて、ILS信号の特性を互いに独立してモニタするモニタステップとを含むことを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明のILS装置のモニタ装置は、中心周波数が互いに異なる第1及び第2の送信信号の無線電波を用いて航空機の着陸を誘導する2周波ILS装置であって、送信空中線装置からの第1及び第2の送信信号を合成した送信信号の電波を、送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置で受信して正面方向で監視するための第1のILS信号を取得すると共に、送信空中線装置内で第1及び第2の送信信号を擬似的に遠方界で合成して生成した信号を検波して、複数の各方向で監視するための第2のILS信号をそれぞれ取得する取得手段と、所定のキャリア周波数に対して中間周波数に対し第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値異なる周波数のローカル信号を発生する局部発振手段と、ローカル信号と第1及び第2のILS信号をそれぞれ混合して中間周波数のILS信号に周波数変換する混合手段と、混合手段で中間周波数に変換された第1のILS信号から、第2の送信信号の周波数成分を除去して第1の送信信号の周波数成分のみを周波数選択する第1のフィルタ手段と、混合手段で中間周波数に変換された第2のILS信号から、それぞれ第1及び第2の送信信号の周波数成分を周波数選択する第2のフィルタ手段と、第1及び第2のフィルタ手段から出力された信号に基づいて、ILS信号の特性をそれぞれ互いに独立してモニタするモニタ手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、モニタ空中線装置から出力された第1のILS信号から第2の送信部の送信信号の周波数成分を除去してモニタすることにより、実際の航空機が受信しているILS信号とより近いモニタ出力が得られる。また、本発明によれば、パス幅方向ILS信号(INTG WD)の安定度を向上させることで、保守性を向上することができる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明になるILS装置のモニタ装置の一実施形態の系統図を示す。同図において、送信部(DIR)1は、ILS装置で指定されたキャリア周波数f0より4kHz高い周波数の送信信号DIR CAR及びDIR SBを出力する。送信部(CL)2は、ILS装置で指定されたキャリア周波数f0より4kHz低い周波数の送信信号CLCAR及びCLSBを出力する。すなわち、送信部(DIR)1からの第1の送信信号は、ILS装置で指定されたキャリア周波数f0を所定の音声情報で振幅変調して得られた中心周波数f0+4kHzの上側波帯であり、送信部(CL)2からの第2の送信信号は、上記キャリア周波数f0を所定の音声情報で振幅変調して得られた中心周波数f0−4kHzの下側波帯である。上記の音声情報の周波数帯域は3kHz程度に制限されているので、上記の第1及び第2の送信信号の周波数帯域幅はそれぞれ6kHz程度である。
電力分配器3は、送信部1からの第1の送信信号と送信部2からの第2の送信信号とを所定の電力比及び位相比に分配する。送信空中線装置5は、電力分配器3で分配された送信部1からの第1の送信信号と送信部2からの第2の送信信号とを無線電波として空間に放射する。モニタ空中線装置6は送信空中線装置5の近傍に設置され、送信空中線装置5から輻射された正面(POSN)方向の信号を受信する。
モニタネットワーク4は、送信空中線装置5に内蔵されたピックアップ素子により取り出された輻射電波の一部を位相差をつけて合成する機能を有し、正面(POSN)、コース幅又はパス幅方向(WD)、クリアランス方向(CL)の輻射電波を擬似的に合成する。モニタ空中線装置6から出力される正面方向ILS信号(NF POSN)及びモニタネットワーク4から出力される正面方向ILS信号(INTG POSN)、コース幅またはパス幅方向ILS信号(INTG WD)、クリアランス方向ILS信号(INTG CL)は、それぞれ独立したモニタ装置10に入力される。
モニタ装置10に入力される上記の4種類のILS信号(NF POSN、INTG POSN、INTG WD、INTG CL)は、第1及び第2の送信信号の電波が合成されて形成されているため、これら4種類のILS信号には全てに第1及び第2の送信信号の周波数成分が混在している。ただし、4種類のILS信号のうち、3種類のILS信号(NF POSN、INTG POSN、INTG WD)は、送信部(DIR)1からの第1の送信信号の周波数成分の方が強く、残りの1種類のILS信号(INTG CL)は、送信部(CL)2からの第2の送信信号の周波数成分の方が強く含まれている。
モニタ装置10は、減衰器(ATT)11a〜11d、バンドパスフィルタ(BPF)12a〜12d、ミキサ13a〜13d、バンドパスフィルタ(BPF)14a及び14bと15a及び15b、モニタ回路16a〜16d、及び局部発振器(LO OSC)17からなる。
減衰器11aは、モニタ空中線装置6から出力される正面方向ILS信号(NF POSN)を適切な信号レベルに減衰する。減衰器11b、11c、11dは、モニタネットワーク4から出力される正面方向ILS信号(INTG POSN)、コース幅又はパス幅方向ILS信号(INTG WD)、クリアランス方向ILS信号(INTG CL)をそれぞれ適切な信号レベルに減衰する。
BPF12a〜12dは、減衰器11a〜11dから出力されるILS信号を所定の周波数帯域(ローカライザー装置の場合は108〜112MHz、グライドパス装置の場合は328.6〜335.4MHz)に周波数制限する。ミキサ13a〜13dは、BPF12a〜12dから出力されたILS信号を、それぞれ局部発振器17から発振出力される所定の局部発振周波数のローカル信号と混合して、中間周波数の10.7MHzに周波数変換したILS信号を出力する。
局部発振器17の局部発振周波数は、ILS装置で指定されたキャリア周波数f0との差の周波数が、中間周波数10.7MHzに対して第1の送信信号の中心周波数f0+4kHzと第2の送信信号の中心周波数f0−4kHzとの差の周波数の1/2の周波数である4kHzだけ高い周波数(10.7MHz+4kHz)に設定されている。すなわち、局部発振器17の局部発振周波数は、局部発振器26の局部発振周波数よりも
f0−(10.7MHz+4kHz)=f0−10.7MHz−4kHz
に示すように4kHz低い周波数に設定されている。
f0−(10.7MHz+4kHz)=f0−10.7MHz−4kHz
に示すように4kHz低い周波数に設定されている。
BPF14a、14bは、ミキサ13a、13cから出力された周波数変換後のILS信号(NF POSN、INTG WD)の周波数選択を行う狭帯域バンドパスフィルタで、通過帯域幅が6kHz〜8kHz程度に設定されている。これにより、BPF14a、14bは、ミキサ13a、13cから出力された周波数変換後のILS信号(NF POSN、INTG WD)から送信部(CL)2からの第2の送信信号の周波数成分と、イメージ周波数成分と、隣接チャンネル成分とを除去する。
BPF15a、15bは、ミキサ13b、13dから出力された周波数変換後のILS信号(INTG POSN、INTG CL)の周波数選択を行うバンドパスフィルタで、通過帯域幅が18kHz以上に設定されている。これにより、BPF15a、15bは、ミキサ13b、13dから出力された周波数変換後のILS信号(INTG POSN、INTG CL)からイメージ周波数成分と隣接チャンネル成分とを除去する。
ここで、送信部(DIR)1及び送信部(CL)2からの両送信信号の中心周波数の許容偏差が20ppmあり、これが約2kHzで、逆方向にずれると約4kHzになる。また、上記両送信信号の設計上の中心周波数差は8kHzであり、また変調周波数(ID 1020Hz)であり、両送信信号では約2kHzとなる。従って、上記の両送信信号を周波数選択するのに最低限必要な通過周波数帯域幅は、上記の各周波数の和の約16kHzとなるが、BPFの通過帯域幅は3dB低下する周波数間であるので、よりフラットな特性を得るために、本実施形態では上記のBPF15a、15bの通過帯域幅は、18kHz以上としている。
モニタ回路25a、25b、25c、25dは、BPF24a、24b、24c、24dから出力された信号を入力信号として受け、ILS信号の特性であるRFレベル、変調度差(DDM)、変調度をそれぞれ監視する。
次に、本実施形態のモニタ装置10の動作について説明する。
モニタ空中線装置6から出力された正面方向ILS信号(NF POSN)は、減衰器11aにより適切な信号レベルに減衰され、BPF12aにより所定の周波数帯域に周波数制限された後、ミキサ13aに供給され、ここで局部発振器17からの局部発振周波数(f0−10.7MHz−4kHz)のローカル信号と混合されて中間周波数10.7MHzの中間周波信号に周波数変換される。BPF14aは、この中間周波数10.7MHzに周波数変換された正面方向ILS信号(NF POSN)の、10.7MHzを中心とする6kHz〜8kHz程度の周波数成分を周波数選択し、送信部(CL)2の送信信号の周波数成分とイメージ周波数成分と隣接チャンネル成分を除去する。
一方、モニタネットワーク4から出力された正面方向ILS信号(INTG POSN)、コース幅またはパス幅方向ILS信号(INTG WD)、クリアランス方向ILS信号(INTG CL)は、それぞれ減衰器11b、11c、11dにより適切な信号レベルに減衰され、BPF12b、12c、12dにより所定の周波数帯域に周波数制限された後、ミキサ13b、13c、13dに供給され、ここで局部発振器17からの局部発振周波数(f0−10.7MHz−4kHz)のローカル信号と混合されて中間周波数10.7MHzの中間周波信号に周波数変換される。
BPF14bは、中間周波数10.7MHzに周波数変換されたコース幅またはパス幅方向ILS信号(INTG WD)の、10.7MHzを中心周波数とする6kHz〜8kHz程度の周波数成分を周波数選択し、送信部(CL)2の送信信号の周波数成分とイメージ周波数成分と隣接チャンネル成分を除去する。一方、BPF15a、15bは、中間周波数10.7MHzに周波数変換された正面方向ILS信号(INTG POSN)、クリアランス方向ILS信号(INTG CL)の、10.7MHzを中心周波数とする18kHz以上の周波数成分をそれぞれ周波数選択し、イメージ周波数成分と隣接チャンネル成分を除去する。
ここで、2周波ILS装置の送信電波の周波数スペクトラムについて説明する。図2は、2周波ILS装置の送信電波の周波数スペクトラムを示す。図1において、モニタ空中線装置6が送信空中線装置5に対して充分遠方の位置に設置されている場合は、図2(A)に示すように、送信部(DIR)1の送信信号の電波の周波数スペクトラムはIIで示され、また、送信部(CL)2の送信信号の電波の周波数スペクトラムはIで示され、両送信信号の電波のレベル比は送信部(DIR)1の送信信号の電波の方が送信部(CL)2の送信信号の電波に比べて10dB以上確保されている。従って、モニタ空中線装置6から出力されるILS信号(NF POSN)に関しては、送信部(DIR)1の送信信号の周波数成分に基づいて、ILS信号の特性のモニタが可能である。
しかし、送信空中線装置5とモニタ空中線装置6との距離が近い場合は、モニタ空中線装置6では充分遠方と同一のILS信号(NF POSN)が得られず、送信部(CL)2の送信信号の電波の影響を強く受けるため、モニタ空中線装置6から出力されるILS信号(NF POSN)に関しては、図2(B)に示すように送信部(DIR)1の送信信号の周波数成分の周波数スペクトラムIVが、送信部(CL)2の送信信号の周波数成分の周波数スペクトラムIIIと略同レベルとなる。
図3に示したモニタ方式では局部発振器26の局部発振周波数を、10.7MHzの中間周波数に合わせて、指定されたキャリア周波数f0から10.7MHzを差し引いた値に設定していたため、ミキサ23a〜23dの出力信号スペクトラムの中心周波数は、送信部(DIR)からの送信信号と送信部(CL)からの送信信号の各中心周波数の中間の周波数となる。
このため、図2にBW0で示す通過帯域幅10kHz以上のBPF24aを用いる図3に示したモニタ方式では、送信空中線装置5とモニタ空中線装置6との距離が近い場合は、図2(B)に周波数スペクトラムを示したように、送信部(DIR)1の送信信号の電波のレベルが送信部(CL)2の送信信号の電波のレベルよりも図2(A)で示したような国際規格で定められた所定値以上のレベル差が得られないため、ミキサ23aの出力信号から送信部(DIR)1の送信信号の周波数成分に基づいて行うILS信号(NF POSN)の特性のモニタが、実際の航空機が受信しているILS信号とは異なる特性のモニタをしてしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態のモニタ装置10では、局部発振器17の局部発振周波数を図3の局部発振器26のそれよりも4kHzだけ低い周波数である(f0−10.7MHz−4kHz)に設定しているため、ミキサ13a〜13dから出力される中間周波数に周波数変換されたILS信号の中心周波数は、それぞれ10.7MHz+8kHz(=f0+4kHz−(f0−10.7MHz−4kHz))と、10.7MHz(=f0−4kHz−(f0−10.7MHz−4kHz))とからなる。なお、ミキサ13a〜13dから出力される信号には、これらの信号以外にもイメージ周波数成分が含まれる。
従って、本実施形態のモニタ装置10では、送信空中線装置5とモニタ空中線装置6との距離が近い場合であっても、図2にBW1で示すように、送信部(DIR)1からの送信信号を中心周波数とし、かつ、通過帯域幅が6kHz〜8kHz程度のBPF14aによりミキサ13aから出力された周波数変換後のILS信号から送信部(DIR)1からの送信信号の周波数成分のみを周波数選択することができ、かつ、送信部(CL)2からの送信信号の周波数成分を除去することができる。また、このとき、隣接チャンネル周波数成分やイメージ周波数成分も除去することができる。
これにより、実際の航空機が受信する送信部(DIR)1の送信信号の電波と送信部(CL)2の送信信号の電波の比より大きな比が確保される。従って、図1に示したモニタ回路16aは、BPF14aにより分離された送信部(DIR)1からの送信信号の周波数成分に基づいて、ILS信号(NF POSN)の特性であるRFレベル、変調度差(DDM)、変調度を監視するモニタができる。このモニタ結果は、実際の航空機が受信しているILS信号(NF POSN)とほぼ正確に対応したものである。
また、モニタ装置10は、図2にBW1で示す通過帯域幅が6kHz〜8kHz程度のBPF14bによりミキサ13cから出力された中間周波数に周波数変換後のILS信号から、送信部(DIR)1からの送信信号の周波数成分のみを周波数選択し、送信部(CL)2からの送信信号の周波数成分や、隣接チャンネル周波数成分やイメージ周波数成分も除去する。これにより、モニタ回路16cは、BPF14bにより分離された送信部(DIR)1からの送信信号の周波数成分に基づいて、ILS信号(INTG WD)の特性であるRFレベル、変調度差(DDM)、変調度を監視するモニタができる。
このように、本実施形態のモニタ装置10によれば、モニタネットワーク4から出力されるパス幅方向ILS信号(INTG WD)において、BPF14bにより送信部(DIR)1の送信信号の周波数成分は通過するが、送信部(CL)2の送信信号の周波数成分は除去する。この結果、モニタ回路16cでモニタされる信号中には送信部(CL)2の送信信号の周波数成分が無くなるため、パス幅方向ILS信号(INTG WD)の安定度が向上する。これにより、本実施形態のモニタ装置10によれば、送信部(CL)2の電波が送信部(DIR)1の電波と干渉し、ビート出力がモニタに影響を与え、かつ、季節変動する現象は改善され、定期的なモニタ調整の必要性を低減することができ、保守性を向上することができる。
一方、BPF15a、15bは、図2にBW2で示すように、送信部(DIR)1からの送信信号の中心周波数を中心周波数とし、かつ、通過帯域幅が18kHz以上に設定されているため、ミキサ13b、13dから出力された中間周波数に周波数変換後のILS信号から、送信部(DIR)1からの送信信号と送信部(CL)2からの送信信号の両方の周波数成分を周波数選択し、隣接チャンネル周波数成分やイメージ周波数成分を除去することができる。
これにより、モニタ回路16b、16dは、BPF15a、15bにより分離された送信部(DIR)1及び送信部(CL)2からの両送信信号の周波数成分に基づいて、ILS信号(INTG POSN)、ILS信号(INTG CL)の特性であるRFレベル、変調度差(DDM)、変調度を監視するモニタができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、局部発振器の局部発振周波数をILS装置で指定された周波数f0から(10.7MHz−4kHz)を差し引いた周波数(f0−10.7MHz+4kHz)として、送信部(CL)2の送信信号の周波数成分のみを通過させ、送信部(DIR)1の送信信号の周波数成分を遮断するようにしてもよい。また、局部発振周波数は(f0−10.7MHz)に対して、送信部(DIR)1の送信信号と送信部(CL)2の送信信号の各中心周波数の差の周波数の2分の1である4kHzに近い周波数だけ高く又は低く設定することも可能である。
更に、上記の実施形態では、通過帯域幅が6kHz〜8kHz程度の狭帯域のBPFを2種類のILS信号(NF POSN、INTG WD)に対して使用したが、本発明は、他のILS信号に使用し、若しくは1種類のILS信号に使用することも可能である。また、中間周波数は10.7MHz以外の周波数を使用することも可能である。
本発明のモニタ方式によれば、既存のモニタ方式の局部発振周波数を変更し、狭帯域バンドパスフィルタを交換することにより容易に実現することができる。本発明を使用せずに送信部(CL)の送信信号の周波数成分のみを除去することは特別仕様のバンドパスフィルタを設計する必要があり高価となる。しかし、本発明ではローカル信号はシンセサイザ発振器で生成されるため、現在流通している周波数の異なる多くの狭帯域バンドパスフィルタの中から、上記のローカル信号を選定することで送信部(CL)の送信信号の周波数成分のみを除去することができる狭帯域バンドパスフィルタの選定、交換が容易にできる。
1 送信部(DIR)
2 送信部(CL)
3 電力分配器
4 モニタネットワーク
5 送信空中線装置
6 モニタ空中線装置
10 モニタ装置
11a〜11d 減衰器(ATT)
12a〜12d バンドパスフィルタ(BPF)
13a〜13d ミキサ
14a、14b 狭帯域バンドパスフィルタ(BPF)
15a、15b バンドパスフィルタ
16a〜16d モニタ回路
17 局部発振器
2 送信部(CL)
3 電力分配器
4 モニタネットワーク
5 送信空中線装置
6 モニタ空中線装置
10 モニタ装置
11a〜11d 減衰器(ATT)
12a〜12d バンドパスフィルタ(BPF)
13a〜13d ミキサ
14a、14b 狭帯域バンドパスフィルタ(BPF)
15a、15b バンドパスフィルタ
16a〜16d モニタ回路
17 局部発振器
Claims (6)
- 中心周波数が互いに異なる第1及び第2の送信信号の無線電波を用いて航空機の着陸を誘導する2周波ILS装置のモニタ方法であって、
送信空中線装置からの前記第1及び第2の送信信号を合成した送信信号の電波を、前記送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置で受信して正面方向で監視するための第1のILS信号を取得すると共に、前記送信空中線装置内で前記第1及び第2の送信信号を擬似的に遠方界で合成して生成した信号を検波して、複数の各方向で監視するための第2のILS信号をそれぞれ取得する取得ステップと、
所定のキャリア周波数に対して中間周波数に対し前記第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値異なる周波数のローカル信号と、前記第1及び第2のILS信号をそれぞれ混合して前記中間周波数のILS信号に周波数変換する変換ステップと、
前記変換ステップで前記中間周波数に変換された前記第1のILS信号から、前記第2の送信信号の周波数成分を除去して前記第1の送信信号の周波数成分のみを周波数選択する第1の周波数選択ステップと、
前記変換ステップで前記中間周波数に変換された前記第2のILS信号から、それぞれ前記第1及び第2の送信信号の周波数成分を周波数選択する第2の周波数選択ステップと、
前記第1及び第2の周波数選択ステップで得られた信号に基づいて、ILS信号の特性を互いに独立してモニタするモニタステップと
を含むことを特徴とするILS装置のモニタ方法。 - 中心周波数が互いに異なる第1及び第2の送信信号の無線電波を用いて航空機の着陸を誘導する2周波ILS装置のモニタ方法であって、
送信空中線装置からの前記第1及び第2の送信信号を合成した送信信号の電波を、前記送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置で受信して正面方向で監視するための第1のILS信号を取得すると共に、前記送信空中線装置内で前記第1及び第2の送信信号を擬似的に遠方界で合成して生成した信号を検波してILSのコース特性又はパス特性を正面で監視する第2のILS信号、コース幅またはパス幅方向で監視する第3のILS信号、クリアランス方向で監視する第4のILS信号をそれぞれ取得する取得ステップと、
所定のキャリア周波数に対して所定の中間周波数に対し前記第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値異なる周波数のローカル信号と、前記第1〜第4のILS信号をそれぞれ混合して前記中間周波数のILS信号に周波数変換する変換ステップと、
前記変換ステップで前記中間周波数に変換された前記第1及び第3のILS信号から、それぞれ前記第2の送信信号の周波数成分を除去して前記第1の送信信号の周波数成分のみを周波数選択する第1の周波数選択ステップと、
前記変換ステップで前記中間周波数に変換された前記第2及び第4のILS信号から、それぞれ前記第1及び第2の送信信号の周波数成分を周波数選択する第2の周波数選択ステップと、
前記第1及び第2の周波数選択ステップで得られた信号に基づいて、ILS信号の特性を互いに独立してモニタするモニタステップと
を含むことを特徴とするILS装置のモニタ方法。 - 前記第1の送信信号は、ILS装置で指定されたキャリア周波数f0を所定の情報で振幅変調して得られた第1の中心周波数の上側波帯であり、前記第2の送信信号は第2の中心周波数の下側波帯であり、
前記ローカル信号の周波数は、前記キャリア周波数f0から前記中間周波数を差し引いた周波数に対して、前記第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値低い周波数であることを特徴とする請求項1又は2記載のILS装置のモニタ方法。 - 中心周波数が互いに異なる第1及び第2の送信信号の無線電波を用いて航空機の着陸を誘導する2周波ILS装置であって、
送信空中線装置からの前記第1及び第2の送信信号を合成した送信信号の電波を、前記送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置で受信して正面方向で監視するための第1のILS信号を取得すると共に、前記送信空中線装置内で前記第1及び第2の送信信号を擬似的に遠方界で合成して生成した信号を検波して、複数の各方向で監視するための第2のILS信号をそれぞれ取得する取得手段と、
所定のキャリア周波数に対して中間周波数に対し前記第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値異なる周波数のローカル信号を発生する局部発振手段と、
前記ローカル信号と前記第1及び第2のILS信号をそれぞれ混合して前記中間周波数のILS信号に周波数変換する混合手段と、
前記混合手段で前記中間周波数に変換された前記第1のILS信号から、前記第2の送信信号の周波数成分を除去して前記第1の送信信号の周波数成分のみを周波数選択する第1のフィルタ手段と、
前記混合手段で前記中間周波数に変換された前記第2のILS信号から、それぞれ前記第1及び第2の送信信号の周波数成分を周波数選択する第2のフィルタ手段と、
前記第1及び第2のフィルタ手段から出力された信号に基づいて、ILS信号の特性をそれぞれ互いに独立してモニタするモニタ手段と
を有することを特徴とするILS装置のモニタ装置。 - 中心周波数が互いに異なる第1及び第2の送信信号の無線電波を用いて航空機の着陸を誘導する2周波ILS装置のモニタ装置であって、
送信空中線装置からの前記第1及び第2の送信信号を合成した送信信号の電波を、前記送信空中線装置の近傍に設置されたモニタ空中線装置で受信して正面方向で監視するための第1のILS信号を取得すると共に、前記送信空中線装置内で前記第1及び第2の送信信号を擬似的に遠方界で合成して生成した信号を検波してILSのコース特性又はパス特性を正面で監視する第2のILS信号、コース幅またはパス幅方向で監視する第3のILS信号、クリアランス方向で監視する第4のILS信号をそれぞれ取得する取得手段と、
所定のキャリア周波数に対して中間周波数に対し前記第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値異なる周波数のローカル信号を発生する局部発振手段と、
前記ローカル信号と前記第1〜第4のILS信号をそれぞれ混合して前記中間周波数のILS信号に周波数変換する混合手段と、
前記混合手段で前記中間周波数に変換された前記第1及び第3のILS信号から、それぞれ前記第2の送信信号の周波数成分を除去して前記第1の送信信号の周波数成分のみを周波数選択する第1及び第2のフィルタ手段と、
前記混合手段で前記中間周波数に変換された前記第2及び第4のILS信号から、それぞれ前記第1及び第2の送信信号の周波数成分を周波数選択する第3及び第4のフィルタ手段と、
前記第1〜第4のフィルタ手段から出力された信号に基づいて、ILS信号の特性を互いに独立してモニタするモニタ手段と
を有することを特徴とするILS装置のモニタ装置。 - 前記第1の送信信号は、ILS装置で指定されたキャリア周波数f0を所定の情報で振幅変調して得られた第1の中心周波数の上側波帯であり、前記第2の送信信号は第2の中心周波数の下側波帯であり、
前記ローカル信号の周波数は、前記キャリア周波数f0から前記中間周波数を差し引いた周波数に対して、前記第1及び第2の送信信号の各中心周波数の差の1/2の値又はその近傍の値低い周波数であることを特徴とする請求項4又は5記載のILS装置のモニタ装置。
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