JP5412873B2 - 半導体装置及び半導体装置の電流測定方法 - Google Patents
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しかしながら、メイン素子領域に形成されるセル数とセンス素子領域に形成されるセル数とが大きく異なることから、メイン素子領域のサイズとセンス素子領域のサイズも大きく異なる。このため、メイン素子領域のセル群とセンス素子領域のセル群とでは温度が一様に変動せず、電流センス比が半導体装置の温度によって変化してしまう。すなわち、半導体装置の温度が上昇すると、電流センス比が大きくなる特性を有している(すなわち、メイン素子領域に対してセンス素子領域では電流が流れ難くなる特性を有している)。
そこで、電流センス比の温度依存性を低減するための技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1の技術では、(1)メイン素子領域の半導体基板の厚みとセンス素子領域の半導体基板の厚みを相違させたり、あるいは、(2)メイン素子領域内のセル群とセンス素子領域内のセル群のレイアウトを調整したりすることで、メイン素子領域内のセル群の抵抗温度係数とセンス素子領域内のセル群の抵抗温度係数をほぼ同一にしている。これにより、電流センス比の温度による変化を小さくしている。
ここで、この半導体装置では、メイン配線が接続された位置から最も離れた第2電極の端辺部にケルビン配線が接続される。このため、ケルビン配線の電位Vkは、第2電極の抵抗成分の影響を強く受け、その分だけ温度変化が小さくなる。すなわち、第2電極の抵抗成分の影響が殆ど無い場合(例えば、メイン配線とケルビン配線が第2電極上の同一の位置に接続されている場合)は、ケルビン配線の電位Vkの温度特性は、機能セルの抵抗成分のみで決まる(図6に示す比較例に相当)。一方、第2電極の抵抗成分の影響を強く受ける場合は、機能セルの抵抗成分と第2電極の抵抗成分の両者によって、ケルビン配線の電位Vkの温度特性が決まる。ここで、第2電極の抵抗温度係数は機能セルの抵抗温度係数より小さい。このため、第2電極の抵抗成分の影響を強く受けると、その分だけケルビン配線の電位Vkが低く出力される(図6に示す本発明例に相当)。なお、図6では、ケルビン配線の電位Vkの絶対値ではなく、温度に対する電位変化量ΔVkを示している。
この半導体装置では、ケルビン配線の電位Vkが低くなるとセンス素子領域に流れる電流Isが増加し、ケルビン配線の電位Vkが高くなるとセンス素子領域に流れる電流Isが減少する(図7参照)。したがって、半導体装置の温度が上昇したときに、ケルビン配線の電位Vkが低く出力されると、その分だけセンス素子領域に多くの電流が流れる。このため、半導体装置の温度上昇によるセンス電流の低下が、ケルビン配線の電位Vkが低く出力されることによるセンス電流の増加により相殺されることとなる。このため、この半導体装置によると、電流センス比の温度変化を小さくすることができる。
なお、この半導体装置では、第2電極上におけるメイン配線とケルビン配線の接続位置を調整するだけなので、機能セルは自由に設計することができる。このため、半導体装置の設計上の大きな制約となることはない。
また、メイン配線は第2電極の略中央に接続することが好ましい。メイン配線を第2電極の略中央に接続することで、メイン素子領域を流れるメイン電流がメイン配線に良好に流れることができ、半導体装置のオン抵抗を低減することができる。
この半導体装置でも、メイン配線が接続される位置からケルビン配線が接続される位置までの距離が長くなり、ケルビン配線の電位Vkに対する第2電極の抵抗成分の影響を大きくすることができる。これによって、電流センス比の温度変化を小さくすることができる。
この測定方法が実施される半導体装置では、メイン配線が接続される位置からケルビン配線が接続される位置までの距離が長くされている。このため、ケルビン配線の電位Vkに対する第2電極の抵抗成分の影響が大きくなっており、電流センス比の温度変化を小さくすることができる。このため、半導体装置に流れる電流を精度良く測定することができる。
(形態1)機能セルは、スイッチング素子である。
(形態2)複数の縦型電界効果トランジスタが形成されている。トランジスタ群はメイン素子領域とセンス素子領域に区画されている。ドレイン電極はメイン素子領域とセンス素子領域に共通であり、ソース電極はメイン素子領域とセンス素子領域で分離されている。
(形態3)ケルビン配線の電位が高くなるとセンス素子領域に流れる電流が減少し、ケルビン配線の電位が低くなるとセンス素子領域に流れる電流が増加する。
半導体基板100の表面には、メイン素子領域1上に形成されたメインソース電極81と、センス素子領域2上に形成されたセンスソース電極82が配置されている。メインソース電極81とセンスソース電極82は、アルミニウムによって形成されている。メインソース電極81とセンスソース電極82とは、デッドゾーン83によって電気的に絶縁されている。デットゾーン83では、後述するソース領域61とボディコンタクト領域62が形成されていない。
n+型のソース領域61とp+型のボディコンタクト領域62の表面に、メインソース電極81が形成されている。メインソース電極81は、絶縁膜70によってトレンチゲート電極50から電気的に絶縁されている。
図4は、オペアンプ90とメイン素子領域1及びセンス素子領域2の回路図を示している。なお、図4では、メイン素子領域1とセンス素子領域2にはそれぞれ1個のMOSFETのみを図示しているが、上述したように、メイン素子領域1とセンス素子領域2にはそれぞれ複数のMOSFETが配置されている。図4に示すように、オペアンプ90の反転入力端子にはセンスパッド84が接続されている。上述したように、センスパッド84にはセンス素子領域2のMOSFETが接続されている。オペアンプ90の非反転入力端子にはケルビン端子部86が接続されている。すなわち、ケルビン端子部86の電位が、基準電位として利用されている。上述したように、ケルビン端子部86にはメイン素子領域1のMOSFETが接続されている。また、オペアンプ90の出力端子は、抵抗Rfを介してオペアンプ90の反転入力端子に接続されている。
半導体装置がオンすると、メイン素子領域1をメイン電流Imが流れ、センス素子領域2をセンス電流Isが流れる。ここで、オペアンプ90は、反転入力端子の電位が非反転入力端子の電位と等しくなるように動作する。このため、非反転入力端子の電位(即ち、ケルビン端子部86の電位Vk)が低くなると、反転入力端子の電位(即ち、センスパッド84の電位)も低くなる。一方、非反転入力端子の電位(即ち、ケルビン端子部86の電位Vk)が高くなると、反転入力端子の電位(即ち、センスパッド84の電位)も高くなる。このため、非反転入力端子の電位(即ち、ケルビン端子部86の電位Vk)が変化すると、センス素子領域2に印加される電圧(コレクタ電極10の電位Vc−Vk)が変化し、これによってセンス電流も変化する。すなわち、図7に示すように、ケルビン端子部86の電位Vkが高くなると、センス素子領域2に印加される電圧が減少し、センス電流Isが減少する。一方、ケルビン端子部86の電位Vkが低くなると、センス素子領域2に印加される電圧が増加し、センス電流Isが増加する。
また、オペアンプ90の入力インピーダンスは無限大であるため、センス素子領域2を流れるセンス電流Isは抵抗Rfを流れる。このため、抵抗Rfによる電圧降下を測定することで、センス電流Isを計算することができる。センス電流Isが計算できると、そのセンス電流Isと電流センス比から、メイン素子領域1を流れるメイン電流Imを計算することができる。
すなわち、ケルビン端子部86の電位VkがMOSFETの影響のみを受ける場合、ケルビン端子部86の電位Vkは抵抗温度係数0.5〜0.7%/℃に基づいて変化する。(なお、MOSFETの抵抗温度係数は、ドリフト領域30の不純物濃度によって変化する。)一方、ケルビン端子部86の電位VkがMOSFETとソースパッド85の影響を受ける場合、ケルビン端子部86の電位Vkの温度変化率は、MOSFETの抵抗温度係数0.5〜0.7%/℃と、ソースパッド85の抵抗温度係数0.44%/℃の間の比率となる。したがって、図6に示すように、MOSFETの影響のみを受ける場合(比較例)と比較して、本実施例のケルビン端子部86の電位Vkの温度変化による電位変化量は小さくなる。このため、ケルビン端子部86の電位Vkが比較例よりも低く出力され、オペアンプ90の作用によってセンス素子領域1に流れるセンス電流Isが大きくなる。
また、本実施例の半導体装置では、ソースパッド85へのメイン配線85a及びケルビン配線86aの接続位置を調整するだけなので、半導体装置を設計する上で大きな制約が発生することもない。
また、本実施例の半導体装置では、ソースパッド85の中央にメイン配線85aを接続しているため、メイン素子領域1内を流れるメイン電流Imがソースパッド85からメイン配線85aにスムーズに流れることができる。これによって、半導体装置のオン抵抗が小さくされている。また、ソースパッド85の角部にケルビン配線86aを接続しているため、半導体基板のうち機能セルが形成されない領域である角部が有効利用されている。
例えば、図10に示すように、ソースパッド125の一の端辺の中央125にメイン配線85aを接続することができる。そして、メイン配線85aが接続された端辺と対向する端辺127にケルビン配線86aを接続することができる。この場合、この端辺127の角部にケルビン配線86aを接続することが好ましい。端辺127の角部にケルビン配線86aを接続することで、ケルビン配線86aとメイン配線85aとの距離をより長くすることができる。
また、ソースパッドに接続されるメイン配線の本数も任意に設定することができる。例えば、ソースパッドの中央に2本のメイン配線を接続することもできる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
20:ドレイン領域
30:ドリフト領域
40:ボディ領域
50:トレンチゲート電極
61:ソース領域
62:ボディコンタクト領域
81:メインソース電極
82:センスソース電極
Claims (4)
- 複数個の機能セルを備えているメイン素子領域と、
メイン素子領域内の機能セル数よりも少ない数の機能セルを備えているセンス素子領域と、
メイン素子領域に設けられている第1電極と第2電極と、
センス素子領域に設けられている第3電極と第4電極と、を有しており、
メイン素子領域及びセンス素子領域がオンすると、メイン素子領域では第1電極から第2電極に電流が流れ、センス素子領域では第3電極から第4電極に電流が流れる半導体装置において、
第2電極の抵抗温度係数が機能セルの抵抗温度係数より小さくされており、
第2電極上にはメイン配線とケルビン配線が接続されており、
メイン配線が、第2電極の略中央に接続されており、
ケルビン配線が、メイン配線が接続された位置から最も離れた第2電極の端辺部に接続されていることを特徴とする半導体装置。 - ケルビン配線が、メイン配線が接続された位置から最も離れた第2電極の角部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 複数個の機能セルを備えているメイン素子領域と、
メイン素子領域内の機能セル数よりも少ない数の機能セルを備えているセンス素子領域と、
メイン素子領域に設けられている第1電極と第2電極と、
センス素子領域に設けられている第3電極と第4電極と、を有しており、
メイン素子領域及びセンス素子領域がオンすると、メイン素子領域では第1電極から第2電極に電流が流れ、センス素子領域では第3電極から第4電極に電流が流れる半導体装置において、
第2電極の抵抗温度係数が機能セルの抵抗温度係数より小さくされており、
第2電極上の略中央にメイン配線が接続される一方で、第2電極上の端辺部にケルビン配線が接続されていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置においてメイン素子領域を流れる電流を測定する方法であり、
メイン素子領域にメイン電流を流す第1工程と、
センス素子領域にケルビン配線の電位に応じたセンス電流を流す第2工程と、
第2工程によってセンス素子領域に流れるセンス電流を測定する第3工程と、
第3工程で測定されたセンス電流の電流値からメイン素子領域を流れるメイン電流を算出する第4工程と、を有する半導体装置の電流測定方法。
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