JP5412679B2 - ボンベ再生カマド - Google Patents

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Description

この発明は、カマドの製造技術に関連するものであり、特に、ガスボンベを再生利用し、運搬容易で屋外ででも簡便に利用可能なカマドを製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
屋外行事の、例えば芋煮会は、山形県および宮城県など東北地方各地で、毎年、秋になると河川敷などの野外に、家族、友人、地域、学校、職場などの親しい者同士がグループになって集まり、鍋や薪、調理器具類、牛肉や豚肉、里芋やネギをはじめとする各種野菜、こんにゃく、各種調味料、日本酒など、各種食材で鍋料理を互いに協力し合いながら調理をし、宴会を楽しむ風物詩として知られ、従前までは、河川敷の岩場や手頃な大きさの石などの自然石を組み合わせるなどして、即席でその場造りのカマドに火を起こして鍋を載せ、加熱調理していたが、自然石を組み合わせたカマドは、鍋を安定して支えるのが難しく、カマド内に野外の風の進入を防止したり、外気の流入量を調節したりするのが困難な上、何よりも、自然石や土、砂などを黒く焦がしてしまい、宴会を終えた後に、薪の燃え残りを撤去し、焦げた土砂や石を埋めたりして自然の状態に戻すのには多大な労力を要し、一般の人々が元通りに清掃するのは殆ど不可能に近く、その結果、自然の景観を損なうこととなり、美しい景色を楽しみに訪れた他の観光客を落胆させてしまうことになってしまうという課題があり、近年では、芋煮会専用の公園に鉄筋コンクリート製の炊事場やカマドを整備し、その特定された公園内だけでしか芋煮会を楽しめないような状況の地域も出始めている。
しかしながら、河原で河川の流れを眺めながら、自然の中で調理して宴会を楽しむという原初的な観点からすると、公園などに設置された固定式のカマドや炊事場を利用したりするのではなく、やはり、自由に好みの場所を設定するようにした上で、簡単に運搬できるカマドを準備し、これをそこに持ち出して設置し、大鍋を載せて加熱、調理するようにすることにより、自然を満喫しながら飲食、歓談するというのが本来的姿であり、そのためには、予め簡易型のカマドを用意して行いさえすれば、カマド内で燃えた薪や炭などは、そのまま回収することができ、その周辺の自然石や土、砂などに焦げ跡や塵埃などを残さず、自然環境を破壊しないよう全て持ち帰ることが可能になることから、少人数でも簡単に持ち運びできて容易に安定的な設置ができる上、充分な耐久強度を有していて耐熱性にも秀れたカマドを低廉にて提供できるようにすれば、設置場所に何らの制約も受けないで多くの人々が伝統的な風物詩を満喫できるのではないのかという発意に至った。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)ないし(5)に提案されているものに代表されるように、カマドを製造するに当たり、金属材料などを再生利用することなく、新しい鋼板材料などの金属板から裁断した材料を板金加工や熔接などによってカマド用外周壁や鍋受け部材などを製造し、且つ、新しい金網や支持柱などを用いて、分解状態では保管・運搬が容易なカマドを組み立て可能としてなるものや、同特許文献1(6)に見られるように、調理用のカマドとは直接関係ないが、老朽化して産業廃棄物となった横型ガスボンベの上部を切断して長方形状に開口し、長方形状の金属板で施蓋可能とし、一端がわに木酢液採取装置を接続して炭化炉装置としてなるものなどが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)ないし(5)に示されているようなカマド類は、何れも新設計の部品を素材から加工・組み立てするという工程が不可欠なものであり、生産効率が低く、製造コストが高い上、金属やセメントなどの各種素材類の生産段階から環境に負荷を与えてしまうという欠点を有するものであり、また、特許文献1(6)の横型ガスボンベを再生利用した炭化炉装置などは、老朽化して産業廃棄物となったガスボンベをリサイクル利用するから、容器形状に加工する手間が省け、生産性を大幅に高めることができる上、自然環境に優しい製造工程にて生産可能であるという利点を有しているものの、その構造上の違いによって、そのままでは可搬型のカマドとして利用することは不可能なものであった。
(1)特開平8−303782号公報 (2)特開平10−148335号公報 (3)特開平2001−245788号公報 (4)特開2003−294234号公報 (5)実用新案登録第3078027号公報 (6)特開2010−174238号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のあるこれら各種カマド類は、何れも、防風性、耐火性、燃焼効率などの性能向上や、燃焼熱の複数用途への利用、または、分解・組立の操作性や、コンパクト収納化などに特徴を有し、こうした目的を達成するために、新設計の部品を多用したものとしてあり、製造コストが嵩み、製造過程における自然環境への負荷も大きいという欠点を残すものであり、また、製造コストおよび自然環境負荷の削減を重視してガスボンベを耐熱容器として再生利用する技術は、従前より存在していたが、可搬型のカマドに採用したものは無く、芋煮会など、野外で鍋料理を楽しみたいと考える人々は、未だに、自然環境に負荷の大きな製造工程を経て生産されたカマドを購入しなければならず、しかも、従来型のカマドは、河原の石や岩場の凹凸で不安定な場所に、安定するよう設置するのが難しく、さらに、一旦、火を起こしてしまうと、風向きが変化した場合にも、加熱していて容易には移動や向き変えすることができず、火加減の調節に非常に苦労してしまうことがあるという欠点があった。
(発明の目的)
そこで、この発明は、不要となったガスボンベを再生利用し、製造過程で自然環境に与える負荷と製造コストとを大幅削減し、収納性に秀れ、安全に運搬することが可能で、しかも凹凸の激しい野外地面に安定且つ安全に設置することが可能な新たなカマド製造技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のボンベ再生カマドを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のボンベ再生カマドは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、垂直カプセル型金属製ガスボンベのボンベ本体を、その上下間中途適所にて水平切断して台座部付きカマド本体とし、該カマド本体の上下間中途部正面に上下反転台形投影形状の薪投入口を開口し、該薪投入口よりも上下間寸法を小寸ものであって、アオリ式の開閉を自在とするよう下端側を軸着してなる薪受け板兼用の扉板が、その上下端と薪投入口との間に上部通気間隙および下部通気間隙を常時開口状とする配置に規制して設けられ、燃焼時、下部通気間隙から基底部上面に沿って燃焼室内に外気を取り込み、上部通気間隙を通じて排気可能になるものとする一方、該カマド本体の上端開口周縁を支持部とした平面*印状で、カマド本体の円形中心対応箇所が最も低い仮想凹面球形か仮想凹面錐形かの何れか一方に沿う形状に設定した五徳を載置すると共に、該五徳を含むカマド本体の上端開口上には、同上端開口の開口部分を、全体閉鎖状から適用する鍋類のサイズに対応して開口可能とするよう、同心状で径を異にする複数枚に分割形成、脱着自在としてなる環状天蓋を装着するようにして、これら分割形成した環状天蓋を、適用する鍋類のサイズに対応させて五徳上に組み合わせ可能と成し、鍋類の各サイズに対応してカマド本体の上端開口と、鍋類の外周壁との間の間隙を大幅に削減するようにした上、該カマド本体外周壁上下間適宜高さであって周回りに均衡する複数箇所に、運搬用ハンドルを設けてなるものとした構成を要旨とするボンベ再生カマドである。
以上のとおり、この発明のボンベ再生カマドによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、不要になったガスボンベを再生利用することによって、産業廃棄物として処分されるガスボンベを削減することができ、従来型のカマドを製造する場合に必要となる金属材料が不要となり、製造過程に発生する二酸化炭素を大幅削減することができる上、垂直カプセル型金属製ガスボンベのボンベ本体を、その上下間中途適所にて水平切断するだけで、燃焼室周囲を囲む筒状の外周壁や、野外でも安定且つ安全に設置可能な台座部、および、燃料の燃え残りや灰などを受けて地面を焦がさず、汚さない器状の基底部を一体化済みのものとし、カマド本体の殆どを完成させることができるから、製造効率を格段に高めて経済的に製造することができる上、しかもアオリ式の扉板は、開放すると薪受け板として利用することができ、カマド本体内の燃焼室内径よりも長い薪なども安全に保持して、先端がわが燃えたら順次、扉板(薪受け板)上から滑らすように送り込み、安全に燃焼させることができ、製造から利用まで自然環境に優しく、河原などの野外で芋煮会などをする場合には、特に、土や砂、石、岩などの地面に焦げ跡や燃え残りの薪、およびその炭化物などを残さずに、全て回収して持ち帰ることができるという秀れた特徴が得られるものである。
薪投入口の開口上下端間寸法を、扉板の上下端間の閉鎖寸法よりも大きく設定し、上部通気間隙および下部通気間隙を常時開口状としてなるボンベ再生カマドは、下部通気間隙から燃焼室内に外気を円滑に誘導し、上部通気間隙から燃焼排気を放出するよう誘導可能となるから、燃焼効率を格段に高めたものとすることができる。
カマド本体の上端開口周縁に載置した五徳は、カマド本体の円形中心対応箇所が最も低い仮想凹面球形か仮想凹面錐形かの何れか一方に沿う形状に設定してあるから、鍋類を水平に置こうとすると、カマド本体上端開口中心に配置するよう自然に誘導するものとなり、鍋底の中央に炎が集中するようにして加熱効率を高めるものとなり、しかも載置対象となる鍋類の底面よりも充分に小さな直径とした金属棒製中央環を設け、該中央環の周回りに均衡する3箇所以上の複数箇所から、装着状態にてカマド本体上端開口周縁上に達する長さとした金属棒製湾曲形支持梁を放射状配置とするよう延伸・一体化してなるものとすることにより、カマド本体燃焼室内から同上端開口がわへの加熱空気の対流を円滑に促進するものとなり、格段に加熱効率の良いカマドを実現化できる。
環状天蓋は、カマド本体上端開口の開口部分全体を閉鎖する状態から適用するよう、同心状で径を異にする複数枚のものに分割してなるから、着火作業中は、カマド本体の上端開口を全閉状として風の吹き込みを最小限に留めて、着火を簡単なものとし、鍋類の各サイズに対応してカマド本体の上端開口と、鍋類の外周壁との間の間隙を大幅に削減し、加熱調理が始まったときには、カマド本体燃焼室内から舞い上がる火の粉が、鍋類の中に落下してしまうのを防止できる上、鍋類の周囲からカマド本体燃焼室内に外気が吹き込んで炎を不安定化させてしまうのを確実に防止することができ、さらに中央閉蓋、1枚以上の中間天蓋、および外環状天蓋を組み合わせてなるものは、中央閉蓋を外して小鍋孔を開口し、中央閉蓋および全ての中間天蓋を取り外して大鍋孔を開口し、また、中央閉蓋および中央がわから順次何枚かの中間天蓋を外すようにすれば、複数種類の直径の異なる中鍋孔を各中間天蓋毎に開口することが可能となり、より多種類の鍋類に対応することができるものとなる。
運搬用ハンドルは、カマド本体が加熱している状態にあっても、少人数で把持して簡単且つ安全に運搬することができる上、着脱機構および/または折畳み機構を設けてなるものは、離脱および/または折り畳み操作によってカマド本体周囲に突起を無くし、調理中に他物や人などが緩衝してしまうのを確実に防止できるものとし、さらには、運搬、収納・保管の際にもコンパクト化することができるという利点が得られ、加えて、折畳み機構を設け、ハンドルバーの水平姿勢を支持可能とする水平規制機構、および、該ハンドルバーを水平姿勢に仮固定可能な仮固定機構を設けてなるものは、ハンドルバーを水平姿勢に支持する強度を格段に高め、且つ、ハンドルバーを水平姿勢に仮固定して運搬中の安全性を大幅向上したものとすることができるという大きな効果を奏することになる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
カマド本体は、カマド全体を地上に安定的に設置可能とし、有底筒状の耐火、防風壁を形成し、上端がわには鍋類を搭載可能な五徳や、上端開口と五徳上に載置した鍋類を外周壁との間隙を閉鎖可能な環状天蓋を装着可能なものとなる機能を担っていて、使用されなくなった垂直カプセル型金属製ガスボンベのボンベ本体を、その上下間中途適所にて水平切断し、基底部および台座部を残したものとしなければならず、加工対象となるガスボンベは、利用対象として想定する最大の鍋類の外径寸法より適度に大きな内径のものを選択し、運搬し易い重量に留め、安定的に自立可能な高さ寸法とするよう裁断したものとすべきであり、その上端開口は、五徳や環状天蓋を装着、支持可能とし、鍋類を所定高さに安定、支持可能とする機能を分担するものであり、垂直円筒状に水平開口したものとし、後述する実施例にも示してあるように、五徳の対応箇所を支持可能な嵌合U溝のような嵌合部や、掛止用突起枠などのような支持部などを設けたものとすることができる。
カマド本体の薪投入口は、カマド本体の燃焼室内と外部とを繋ぐよう開口し、外部より燃焼室内に薪やペレットなどの各種燃料類を供給可能とすると共に、扉板にて開閉自在となり、該扉板を閉鎖した状態にあっても燃焼室内に外気を取り込み、また、燃焼室内から燃焼排気を排出可能とする通気間隙を開口可能とする機能を分担し、カマド本体の上下間中途部正面に薪投入口を開口し、該薪投入口に一致するか、それよりも小寸として周囲適所に通気間隙を確保可能な寸法、形状で、アオリ式の開閉を自在とするよう下端側を軸着してなる薪受け板兼用の扉板を設けたものとしなければならず、より具体的には、後述する実施例に示すように、カマド本体の上下間中途部正面に上下反転台形投影形状の薪投入口を開口し、該薪投入口よりも上下間寸法を小寸とし、上下端の少なくとも一方に通気間隙を確保可能な寸法、形状で、アオリ式の開閉を自在とするよう下端側を軸着してなる薪受け板兼用の扉板を設けたものとするのが望ましく、薪投入口の開口上下端間寸法を扉板の上下端間の閉鎖寸法よりも大きく設定し、上部通気間隙および/または下部通気間隙を常時開口状としてなるものとすることができ、さらに、閉鎖状態でロック・アンロック操作可能な掛け金を有するものとするのがよい。
五徳は、カマド本体上端開口の中央に鍋類を安定的に搭載、支持可能とし、且つ、支持した鍋類の底部に燃焼室からの炎が到達可能となるよう透過性および耐熱性をもって支持可能とする機能を分担し、カマド本体の上端開口周縁を支持部とした平面*印状(平面中心、もしくはその近傍から放射状)で、カマド本体の円形中心対応箇所が最も低い仮想凹面球形か仮想凹面錐形かの何れか一方に沿う形状に設定してなるものとしなければならず、より具体的には、後述する実施例にも示すように、載置対象となる鍋類の底面よりも充分に小さな直径とした金属棒製中央環を設け、該中央環の周回りに均衡する3箇所以上の複数箇所から、装着状態にてカマド本体上端開口周縁上に達する長さとした金属棒製湾曲形支持梁を放射状配置とするよう延伸・一体化してなるものとするのが良く、カマド本体の上端開口周縁に固着・一体化したものとする外、着脱自在とすることが可能であり、例えば、カマド本体の上端開口周縁の周回りに沿って形成した複数の嵌合U溝に、各支持梁の端部を嵌脱自在に装着してなるものとすることができる。
環状天蓋は、カマド本体の上端開口内がわと、五徳上に載置した場合の鍋類周壁との間の間隙を閉塞状とする機能を担い、カマド本体上端開口内がわであって中央を除く外がわの一部環状範囲を閉鎖可能とし、換言すると、カマド本体の上端に、その上端開口よりも小さな直径に開口し、鍋類の胴部を通過可能な鍋孔を形成可能とするものとしなければならず、必要に応じて鍋類を外し去ったカマド本体の上端開口の全部を閉鎖可能なものとするのが望ましく、中央鍋孔の開口直径を搭載する鍋類の胴部外径に対応して調節可能なものとするのがよく、例えば、後述する実施例に示してあるように、カマド本体上端開口周縁に外嵌可能な装着スリーブの上端内側に、同心円形状の大鍋孔を開口した外環状天蓋を一体に設け、該外環状天蓋中央の大鍋孔周縁と中央閉蓋外縁との間に、同心円板状に脱着自在に組み合わせ可能な1つ以上の中間天蓋を脱着自在に組み込み、少なくとも中央閉蓋を取り外すと小鍋孔が開口し、中央閉蓋および全ての中間天蓋を取り外すと大鍋孔を開口可能とし、且つ、中央がわから順に中央閉蓋、中間天蓋を取り外し、各中間天蓋夫々毎に順次、直径の異なる中鍋孔を開口可能なものとすることができる。
また、環状天蓋は、カマド本体の上端開口縁の周回りに沿って扇状に分割した複数枚の蓋板を、開閉自在に軸着し、且つ各蓋板が、閉鎖姿勢にてカマド本体上端開口の中央に向けて伸縮または展開可能な延伸板を設け、五徳上に載置した場合の直径の異なる鍋類周壁との隙間の大きさに応じて自在に延伸調節して閉鎖可能なものとすることができる。
運搬用ハンドルは、当該ボンベ再生カマドを運搬する際の把持部分を形成可能とする機能を分担し、カマド本体外周壁上下間適宜高さであって周回りに均衡する複数箇所に設けたものとしなければならず、夫々着脱機構および/または折畳み機構を有するものとすべきであり、着脱機構を設ける場合には、不用意に離脱せず、しかも取り外しに際しては簡便に取り外すことが可能なロック機構を設けたものとするのが望ましく、折畳み機構を設ける場合には、カマド本体に沿うよう折り畳み可能なものとし、展開した姿勢に仮固定可能、且つ、その仮固定を簡便に解除可能なものとするのが望ましく、例えば、後述する実施例に示すように、カマド本体外周壁に固着した基部に対し、ハンドルバー基端を水平軸心回り下向きに折り畳み自在な折畳み機構を介して連結すると共に、該ハンドルバー基端に、同ハンドルバーが水平姿勢にてカマド本体外周壁か基部かの少なくとも何れか一方に当接し、同ハンドルバーの水平姿勢を支持可能とする水平規制機構、および、該ハンドルバーを水平姿勢に仮固定可能な仮固定機構を設けてなるものとするのがよい。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明のボンベ再生カマドの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
ボンベ再生カマドを示す正面図である。 ボンベ再生カマドを示す平面図である。 ボンベ再生カマドを示す下面図である。 ボンベ再生カマドを縦断して示す正面図である。 五徳を示す平面図である。 五徳を縦断して示す正面図である。 環状天蓋を示す平面図である。 環状天蓋を分解、縦断して示す正面図である。 環状天蓋を縦断して示す正面図である。 ボンベ再生カマドを示す側面図である。 扉板を開放したボンベ再生カマドを示す側面図である。 運搬用ハンドルを示す正面図である。 仮固定機構を解除した運搬用ハンドルを示す正面図である。 折り畳んだ運搬用ハンドルを示す正面図である。 薪投入口を拡大したボンベ再生カマドを示す正面図である。 薪投入口を拡大したボンベ再生カマドを示す側面図である。 鍋類を載置したボンベ再生カマドを示す側面図である。 鍋類を載置したボンベ再生カマドを縦断して示す正面図である。
図1ないし14に示す事例は、垂直カプセル型金属製ガスボンベのボンベ本体を水平切断してなるカマド本体10の正面に薪投入口2を開口し、アオリ式の薪受け板兼用の扉板3を設けたものとする一方、該カマド本体10の上端開口12周縁を支持部とした五徳4を載置すると共に、該五徳4を含むカマド本体10の上端開口12上には、同上端開口12の開口部分を、全体閉鎖状から適用する鍋類Nのサイズに対応して開口可能とするよう同心状で複数枚に分割してなる環状天蓋5を装着した上、同カマド本体10外周壁14の周回りに均衡する複数箇所に運搬用ハンドル6を設けてなるものとした、この発明のボンベ再生カマドにおける代表的な一実施例を示すものである。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明のボンベ再生カマド1は、そのカマド本体10が、垂直カプセル型金属製ガスボンベのボンベ本体を上下間中途適所にて水平切断し、その切断による開口12を上端とする円筒状外周壁14の下端に、半球状または皿状の基底部15、および、その周囲下にスカート状の台座部16を一体化し、該基底部15上の外周壁14内を燃焼室11としてなり、同カマド本体10の上下間中途部正面に上下反転台形投影形状の薪投入口2を、該燃焼室11内に貫通するよう開口し、該薪投入口2にぴったり一致する形状、寸法であってアオリ式の開閉を自在とするよう下端側を軸着してなる薪受け板兼用の扉板3を設け、該扉板3には、案内金31および受け金32を有する掛け金30を装着したものとしてある。
同図1ないし図14に示すように、カマド本体10の上端開口12周縁には、周回りに均衡配置となる合計8箇所夫々に、嵌合U溝13,13,……を凹設し、同カマド本体10外周壁14の嵌合U溝13,13,……よりも下方であって薪投入口2よりも上方となる周囲に、複数の排気孔17,17,……を穿設してなるものとし、各嵌合U溝13,13,……には、載置対象となる鍋類N(図17および図18)の底面よりも充分に小さな直径とした金属棒製中央環40を設け、該中央環40の周回りに均衡する8箇所から、装着状態にて同カマド本体10上端開口12周縁の各嵌合U溝13,13,……に達する長さとした金属棒製湾曲形支持梁41,41,……を放射状配置とするよう延伸・一体化し、同カマド本体10の円形中心対応箇所が最も低い所定曲率半径Rの仮想凹面球形に沿う形状に設定してなる五徳4を、それら嵌合U溝13,13,……を支持部として着脱自在且つ載置状にするか、同所に溶着、一体化したものとして組み込むようにする。
そして、当該五徳4を含む同カマド本体10の上端開口12上には、同カマド本体10上端開口12周縁に外嵌可能、且つ、装着状態にて排気孔17,17,……を閉鎖しない寸法、形状とした装着スリーブ50の上端内側に、同心円形状の大鍋孔52を開口した外環状天蓋51を一体に設け、該外環状天蓋51中央の大鍋孔52周縁と中央閉蓋54外縁との間に、同心円板状に脱着自在に組合せ可能な中間天蓋53を脱着自在に組み込み、中央閉蓋54を取り外すと小鍋孔55が開口し、中央閉蓋54および中間天蓋53を取り外すと大鍋孔52を開口可能としてなる環状天蓋5を着脱自在に施蓋し、同カマド本体10外周壁14上下間適宜高さであって周回りに均衡する180°の開き角度をもつ2箇所に夫々、同カマド本体10外周壁14に固着した基部60に対し、ハンドルバー61基端を水平軸心回り下向きに折り畳み自在な折畳み機構62を介して連結すると共に、該ハンドルバー61基端に、該ハンドルバー61が水平姿勢にて同カマド本体10外周壁14に当接し、該ハンドルバー61の水平姿勢を支持可能とする水平規制機構63、および、該ハンドルバー61を水平姿勢に仮固定可能な仮固定機構64を設けてなる運搬用左右ハンドル6,6を一体化してなるものである。
図15ないし図17に示すように、薪投入口2は、その開口上下端間寸法を扉板3の上下端間の閉鎖寸法よりも大きく設定し、上部通気間隙21および下部通気間隙22を常時開口状としてなるものとすることが可能であり、図4ないし図6に示すように、五徳4は、その中央環40および支持梁41,41,……の素材として表面に凹凸を形成した異形棒鋼を用いたものとすることができ、図7ないし図9に示すように、環状天蓋5は、その外環状天蓋51の大鍋孔52内周縁に、中央閉蓋54の外周鍔部56が重り、嵌合する凹状段差部57を設け、さらに、中央閉蓋54の小鍋孔55内周縁に、中央閉蓋54の外周鍔部56が重り、嵌合する凹状段差部57を設け、全てを組み合わせると環状天蓋5の天面が一平面を形成するよう組合せ可能なものとしてある。
図10および図11に示すように、扉板3は、掛け金30を案内金31に沿って上昇させて受け金32から離脱させると開放可能となり、扉板3を閉鎖した状態で掛け金30を受け金32に掛けると閉鎖状態に仮固定なものとしてあり、扉板3の開放姿勢では、同扉板3下端がカマド本体10燃焼室11内に配置し、しかも同扉板3左右端縁が高くなる円筒状として、薪やその破片などが外部に落下しない寸法、形状に設定してあり、また、図12ないし図14に示すように、運搬用ハンドル6は、平規制機構63が、水平姿勢としたハンドルバー61の基端上部からカマド本体10外周壁14に当接する寸法、形状にしたものとし、仮固定機構64は、ハンドルバー61に沿ってスライド移動自在に外装した短管金具65と、ハンドルバー61を水平姿勢とした場合に該短管金具65の先端に対応する基部60に刻設した嵌合スリット66とからなるものとしてある。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のボンベ再生カマド1は、図10および図11中の実線矢印によって示すように、閉鎖状態にある扉板3の掛け金30を、案内金31に沿って上昇させ、受け金32から外してロックを解除して該扉板3の上端がわを前方に展開状とし、薪投入口2下端縁を支持部としてカマド本体10燃焼室11内に向けて下り傾斜姿勢となるよう支持した状態に解放可能であり、該扉板3の斜め上向きとなった凹筒面状の内周壁に沿って図示しない薪などを投入したり、燃焼室11内に収まらない長さの薪の外端がわを、外端がわや左右がわに脱落しないよう安全に保持したりすることが可能であり、該扉板3を閉鎖する場合には、開放時とは逆の順に、扉板3を閉鎖して掛け金30を案内金31に沿って降下させ、受け金32に掛けてロックすることとなる。
図12ないし図14に示すように、水平姿勢に仮固定した運搬用ハンドル6を折り畳むには、仮固定機構64の短管金具65をハンドルバー61に沿ってスライドさせて、基部60嵌合スリット66から離脱した後、折畳み機構62の水平軸を中心にハンドルバー61を垂下姿勢に折り畳むよう操作可能であり、また、運搬用ハンドル6を水平姿勢に展開する場合には、垂下姿勢のハンドルバー61を折畳み機構62の水平軸を中心に、水平規制機構63がカマド本体10外周壁14に当接し、同ハンドルバー61が水平姿勢となるまで上昇回動した上、仮固定機構64の短管金具65をハンドルバー61に沿ってスライドさせると共に、基部60嵌合スリット66に差し込み嵌合させるようにして、ハンドルバー61を水平姿勢に仮固定することが可能である。
図15および図16に示すように、薪投入口2を閉鎖する扉板3の上下に、上部通気間隙21および下部通気間隙22を形成してなるボンベ再生カマド1は、図16中の二点鎖線矢印に示すように、下部通気間隙22から基底部15上面に沿って燃焼室11内に外気を取り込み、排気孔17および上部通気間隙21を通じて排気可能なものとし、燃焼室11内への吸気および排気抵抗を大幅に軽減して燃焼効率を格段にアップしたものとすることができる。
図17および図18に示すように、環状天蓋5外環状天蓋51は、その装着スリーブ50が、カマド本体10上端開口12周縁および各嵌合U溝13,13,……に嵌合させるように載置した五徳4各支持梁41,41,……端に被着するよう外装するから、環状天蓋5は勿論のこと、五徳4をもカマド本体10上端開口12に嵌合状に仮固定するものとなり、鍋類Nを安定且つ安全に載置でき、また、該環状天蓋5は、中央閉蓋54および中間天蓋53を取り外して、搭載する鍋類Nの胴部外径より僅かに大きな大鍋孔52を開口した状態に設定することが可能であり、図示していないが、中間天蓋53の小鍋孔55に合ったサイズの鍋類Nを搭載する場合には、中央閉蓋54のみ取り外して、環状天蓋5外環状天蓋51に中間天蓋53を同心状に組み合せて装着したものとすることができ、また、燃焼室11内に火を起こす場合や、基底部15に溜まった灰を外部に飛散しないよう取り出す場合などは、環状天蓋5外環状天蓋51、中間天蓋53および中央閉蓋54の全てを組み合わせ、カマド本体10上端開口12を完全に閉鎖して風が入ったり、灰が舞い上がったりしないようにすることができる。
(結 び)
叙述の如く、この発明のボンベ再生カマドは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも垂直カプセル型金属製ガスボンベの一部形状をそのまま再生利用するという特徴ある構造によって、製造工数を大幅に削減し、従前からのカマド製造技術に比較して格段に容易且つ効率的に製造可能なものとし、安全基準を満たしたガスボンベを素材としているから耐熱強度も充分で、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、野外での使用に耐える充分な耐久強度を有するものとなり、野外運搬、設置、加熱料理、清掃および保管に至る全ての作業性を大幅に改善し得るものとなり、従前までは、素材の段階から新規設計、製造された高価なカマドを購入せざるを得なかった人々や、自然環境を保護しつつも野外活動を楽しみたいと願うグループなどはもとより、こうしたニーズに応えたいアウトドア用品業界や観光業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 ボンベ再生カマド
10 同 カマド本体
11 同 燃焼室
12 同 上端開口
13 同 嵌合U溝
14 同 外周壁
15 同 基底部
16 同 台座部
17 同 排気孔
2 薪投入口
20 同 通気間隙
21 同 上部通気間隙
22 同 下部通気間隙
3 薪受け板兼用の扉板
30 同 掛け金
31 同 案内金
32 同 受け金
4 五徳
40 同 中央環
41 同 支持梁
R 同 五徳の曲率半径
5 環状天蓋
50 同 装着スリーブ
51 同 外環状天蓋
52 同 大鍋孔
53 同 中間天蓋
54 同 中央閉蓋
55 同 小鍋孔
56 同 外周鍔部
57 同 凹状段差部
6 運搬用ハンドル
60 同 基部
61 同 ハンドルバー
62 同 折畳み機構(着脱機構)
63 同 水平規制機構
64 同 仮固定機構
65 同 短管金具
66 同 嵌合スリット
N 鍋類

Claims (5)

  1. 垂直カプセル型金属製ガスボンベのボンベ本体を、その上下間中途適所にて水平切断して台座部付きカマド本体とし、該カマド本体の上下間中途部正面に上下反転台形投影形状の薪投入口を開口し、該薪投入口よりも上下間寸法を小寸ものであって、アオリ式の開閉を自在とするよう下端側を軸着してなる薪受け板兼用の扉板が、その上下端と薪投入口との間に上部通気間隙および下部通気間隙を常時開口状とする配置に規制して設けられ、燃焼時、下部通気間隙から基底部上面に沿って燃焼室内に外気を取り込み、上部通気間隙を通じて排気可能になるものとする一方、該カマド本体の上端開口周縁を支持部とした平面*印状で、カマド本体の円形中心対応箇所が最も低い仮想凹面球形か仮想凹面錐形かの何れか一方に沿う形状に設定した五徳を載置すると共に、該五徳を含むカマド本体の上端開口上には、同上端開口の開口部分を、全体閉鎖状から適用する鍋類のサイズに対応して開口可能とするよう、同心状で径を異にする複数枚に分割形成、脱着自在自在としてなる環状天蓋を装着するようにして、これら分割形成した環状天蓋を、適用する鍋類のサイズに対応させて五徳上に組み合わせ可能と成し、鍋類の各サイズに対応してカマド本体の上端開口と、鍋類の外周壁との間の間隙を大幅に削減するようにした上、該カマド本体外周壁上下間適宜高さであって周回りに均衡する複数箇所に、運搬用ハンドルを設けてなるものとしたことを特徴とするボンベ再生カマド。
  2. 五徳が、載置対象となる鍋類の底面よりも充分に小さな直径とした金属棒製中央環を設け、該中央環の周回りに均衡する3箇所以上の複数箇所から、装着状態にてカマド本体上端開口周縁上に達する長さとした金属棒製湾曲形支持梁を放射状配置とするよう延伸・一体化してなるものとした、請求項1記載のボンベ再生カマド。
  3. 環状天蓋が、カマド本体上端開口周縁に外嵌可能な装着スリーブの上端内側に、同心円形状の大鍋孔を開口した外環状天蓋を一体に設け、該外環状天蓋中央の大鍋孔周縁と中央閉蓋外縁との間に、同心円板状に脱着自在に組合せ可能な1つ以上の中間天蓋を脱着自在に組み込み、少なくとも中央閉蓋を取り外すと小鍋孔が開口し、中央閉蓋および全ての中間天蓋を取り外すと大鍋孔を開口可能としてなるものとした、請求項1または2何れか一記載のボンベ再生カマド。
  4. 運搬用ハンドルが、夫々着脱機構および/または折畳み機構を設けてなるものとした、請求項1ないし3何れか一記載のボンベ再生カマド。
  5. 運搬用ハンドルが、カマド本体外周壁に固着した基部に対し、ハンドルバー基端を水平軸心回り下向きに折り畳み自在な折畳み機構を介して連結すると共に、該ハンドルバー基端に、同ハンドルバーが水平姿勢にてカマド本体外周壁か基部かの少なくとも何れか一方に当接し、同ハンドルバーの水平姿勢を支持可能とする水平規制機構、および、該ハンドルバーを水平姿勢に仮固定可能な仮固定機構を設けてなるものとした、請求項1ないし4何れか一記載のボンベ再生カマド。
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