JP5412033B2 - 6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法 - Google Patents

6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法 Download PDF

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本発明は、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法および該方法により得られる高純度の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸に関する。
6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸(以下EBNAとも称する)や、そのエステル誘導体は、高性能ポリエステルの製造原料として重要な化合物である(特許文献1および2を参照)。
EBNAの製造方法としては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のジアルカリ金属塩と1,2−ジハロゲン化エタンを反応させ、EBNAのアルカリ金属塩を製造し、次いで、水やエチレングリコールなどの溶媒中でEBNAのアルカリ金属塩を、ほぼ当量の酸と反応させる方法(特許文献3)が知られている。
また別の方法としては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩と1,2−ジハロゲン化エタンを反応させ、EBNAのジエステルを製造した後に、これを水とジオキサンの混合溶媒中で水酸化ナトリウムにより加水分解した後に、硫酸水と反応させる方法(特許文献4)が知られている。
しかし、特許文献3または特許文献4の方法においては、水やエチレングリコールなどの溶媒中ではEBNAのアルカリ金属塩の溶解度が非常に低いために、酸と完全に反応しにくく、生成物中にカリウムやナトリウムなどのアルカリ金属成分が含まれやすいという問題がある。
アルカリ金属はポリエステル製造において触媒として作用するものであり、重合反応を制御するためには、ポリエステル原料中のアルカリ金属含有量が極めて少ないことが要求されている。このため、アルカリ金属含有量の少ない、高純度のEBNAを取得する方法の開発が望まれている。
また、特許文献3または特許文献4の方法により得られるEBNAは、ホッパー内でブリッジを形成しやすく、また粉塵飛散を起こしやすいなど、粉体の取り扱い性が非常に悪いという問題があり、取り扱い性に優れるEBNAを取得する方法の開発も強く望まれている。
特開昭60−135428号公報 特開昭60−221420号公報 特開昭62−089641号公報 特開昭60−215648号公報
本発明の目的は、粉体の取り扱い性に優れ、カリウムおよびナトリウムの含有量の少ない高純度の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を取得可能な、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法を提供することにある。
本発明は、以下の工程(1)〜(4)を含む、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法を提供する:
(1)6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の粗結晶と、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびジメチルスルホキシドからなる群より選択される一種以上の非プロトン性極性有機溶媒を混合する工程、
(2)工程(1)で得られた混合液を50〜300℃とし、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の粗結晶の70重量%以上を溶解させて晶析原液を調製する工程、
(3)工程(2)で調製された晶析原液から6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を析出させる工程、および、
(4)工程(3)で析出させた6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を分離回収する工程。
まず工程(1)について説明する。
本発明の方法において用いる、EBNAの粗結晶は、EBNAを主成分とするものであれば特に制限されないが、例えば、以下の1)または2)に記載する方法などにより得られるものが好適に用いられる。
1)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のジアルカリ金属塩を1,2−ジハロゲン化エタンと反応させて得られた6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のアルカリ金属塩を酸と反応させる方法、
2)6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のジエステルを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドなどの塩基性アルカリ金属化合物と反応させて、6.6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のアルカリ金属塩を調製した後に、これを酸と反応させる方法。
EBNAの粗結晶中の純度については、粗結晶の乾燥純量をベースにして、60wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのがより好ましく、90wt%以上であるのが特に好ましい。EBNAの粗結晶中のEBNAの含有量は、高速液体クロマトグラフにより測定可能である。
本発明の方法において用いるEBNAの粗結晶に含まれる不純物の種類は特に制限されないが、典型的な例としては、EBNAモノナトリウム塩、EBNAジナトリウム塩、EBNAモノカリウム塩、EBNAジカリウム塩などのEBNAのアルカリ金属塩類;EBNAジメチルエステル、EBNAジエチルエステルなどのEBNAジエステル類;EBNAモノメチルエステルのナトリウム塩、EBNAモノエチルエステルのナトリウム塩、EBNAモノメチルエステルのカリウム塩、EBNAモノエチルエステルのカリウム塩などのEBNAモノエステル類のアルカリ金属塩類;EBNAモノメチルエステル、EBNAモノエチルエステルなどのEBNAモノエステル類;2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸;2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸ジナトリウム塩、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸モノナトリウム塩、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸ジカリウム塩、2−ヒドロキシナフトエ酸モノカリウム塩などの2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のアルカリ金属塩類;2−(2−クロロエトキシ)−6−ナフトエ酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)−6−ナフトエ酸などの2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸誘導体類;硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウムなどの無機アルカリ金属塩などが挙げられる。
本発明においては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびジメチルスルホキシドからなる群より選択される1種以上の非プロトン性極性有機溶媒を、EBNAの粗結晶を精製するための溶媒として用いる。
これらの非プロトン性極性有機溶媒の中では、取り扱い性や、EBNAの粗結晶の溶解度が高いことなどから、N−メチル−2−ピロリドンを単独で使用するのが特に好ましい。
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびジメチルスルホキシドは、工業的に入手可能なものを用いればよい。
これらの非プロトン性極性有機溶媒は、EBNAの粗結晶を溶解可能であれば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類;酢酸、プロピオン酸などの脂肪酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪酸エステル;ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族溶媒などの非プロトン性極性有機溶媒以外の他の溶媒を含むものであってもよい。
非プロトン性極性有機溶媒が、他の溶媒を含む場合には、他の溶媒の含有量は30重量%以下であるのが好ましく、10重量%以下であるのがより好ましく、5重量%以下であるのが特に好ましい。
非プロトン性極性有機溶媒の使用量は、EBNAの粗結晶の溶解度を勘案し適宜定めればよいが、通常、EBNAの粗結晶の乾燥重量に対して、3〜50倍重量、より好ましくは4〜30倍重量、特に好ましくは5〜20倍重量用いる。
工程(1)においてEBNAの粗結晶と非プロトン性極性有機溶媒を混合する温度は特に制限されないが、通常0〜300℃、より好ましくは10〜200℃で行われる。EBNAの粗結晶と非プロトン性極性有機溶媒を混合する温度が、非プロトン性極性有機溶媒の沸点よりも高い場合には、耐圧容器中でEBNAと非プロトン性極性有機溶媒を混合すればよい。
工程(1)においてEBNAの粗結晶と非プロトン性極性有機溶媒を混合する際の雰囲気は特に制限されず、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
次いで工程(2)について説明する。
工程(2)では、工程(1)で得られた混合液を、50〜300℃、より好ましくは70〜250℃、特に好ましくは100〜200℃の温度範囲に保持して、EBNAの粗結晶の乾燥重量の70重量%以上を溶解させてEBNAの溶液または懸濁液として晶析原液を調製する。
晶析原液を調製する温度が50℃より低い場合は、EBNAの粗結晶の溶解度が低いために、晶析原液の調製が困難であり、300℃よりも高い場合は、得られるEBNAが着色しやすい問題がある。
EBNAの粗結晶を溶解させる温度が、溶媒の大気圧での沸点よりも高い場合には耐圧容器を用いてEBNAの粗結晶を溶解させればよい。
EBNAの粗結晶を非プロトン性極性有機溶媒に溶解させる方法は特に制限されず、通常所望の温度条件にて、10分〜12時間、より好ましくは30分〜6時間、攪拌下に保持すればよい。
EBNAの粗結晶を非プロトン性極性有機溶媒に溶解させる工程は、空気中で行ってもよいが、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気にて行うのがより好ましい。
EBNAの粗結晶の溶解量は、晶析原液の溶液部分の試料を一部採取し、高速液体クロマトグラフによりEBNAの含有量を測定することにより確認することができる。
このようにして得られたEBNAの粗結晶の溶液または懸濁液である晶析原液は、次いで、工程(3)のEBNAの晶析工程に供される。
次いで、工程(3)について説明する。
本発明において、工程(3)では、工程(2)で調製された晶析原液からEBNAの結晶を析出させる。
晶析原液からEBNAの結晶を析出させるための晶析方法は、本発明の目的を損なわない範囲で特に制限されない。本発明において工程(3)において実施する好適な晶析方法の例としては、冷却晶析法、貧溶媒との混合による晶析法、濃縮晶析法、またはこれら方法を組み合わせた方法などが挙げられる。
これらの晶析方法は、何れも、晶析原液を調製した装置と同一の装置で引き続き行ってもよく、別途設けられた晶析装置に、晶析原液をポンプなどの移送手段により移送した後に行ってもよい。
まず、冷却晶析法によりEBNAを析出させる方法について説明する。
晶析原液の冷却は、静置下、または攪拌下の何れの条件で行ってもよいが、晶析装置内での器壁へのスケールが発生しにくいことなどから、攪拌下に行うのがより好ましい。
晶析原液の冷却終了時の温度は、非プロトン性極性有機溶媒が凝固しない温度であれば特に制限されず、用いる溶媒の種類や量に応じて、EBNAの純度および析出量を勘案し適宜設定すればよく、通常、0℃〜50℃、より好ましくは0〜40℃まで冷却すればよい。
晶析原液が溶液状態である場合、すなわち、EBNAの粗結晶の溶液からEBNAを析出させる場合は、得られるEBNAの結晶の粒子径をコントロールする目的などで、EBNAの結晶が析出し始める前に、EBNAの種結晶を加えてもよい。
EBNAの種結晶の純度は特に制限されないが。EBNAの純度が80重量%以上のものが好ましく、90重量%以上のものがより好ましく、95重量%以上のものがより好ましい。
EBNAの種結晶の使用量は、本発明の目的を損なわない範囲で特に制限されないが、EBNAの粗結晶の仕込み量(乾燥重量)に対して30重量%以下であるのが好ましく、10重量%以下であるのがより好ましく、5重量%以下であるのが特に好ましい。
EBNAの粗結晶の懸濁液からEBNAを析出させる場合も、種結晶を加えてもよいが、懸濁液中に存在するEBNAの結晶が種結晶の役割を果たすため、特に種結晶を加える必要はない。
晶析原液を冷却する方法は特に制限されないが、通常、晶析装置に備えられる、ジャケットなどの熱交換装置に、水またはブラインなどを流通させることにより行われる。晶析原液を冷却する速度は、3〜100℃/時間が好ましく、5〜50℃/時間がより好ましい。
このようにして、晶析原液を所定の温度まで冷却することにより、EBNAの懸濁液が得られる。
次に、貧溶媒との混合による晶析法によって、EBNAを析出させる方法について説明する。
本発明の方法において用いる貧溶媒は、晶析原液の調製に用いた非プロトン性極性有機溶媒と自由に混和するものであって、晶析原液と混合することによりEBNAの溶解度を低下させ、EBNA結晶を析出させるものであれば特に制限されない。
貧溶媒の具体例としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール;酢酸、プロピオン酸などの脂肪酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪酸エステル;ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族溶媒;またはこれらの混合物などが挙げられ、これらの貧溶媒の中ではEBNAの溶解度が低いことなどから、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、エチレングリコール、またはこれらの混合物を用いるのがより好ましい。
晶析原液と貧溶媒を混合する方法は特に制限されず、晶析原液中に貧溶媒を添加することにより行ってもよく、貧溶媒中に晶析原液を添加することにより行ってもよく、晶析原液と貧溶媒を同時に晶析装置に添加することにより行ってもよい。
晶析原液と貧溶媒を混合する場合の晶析装置内の温度は、EBNAを析出させることができる限り特に制限されないが、30〜200℃であるのが好ましく、50〜180℃であるのが好ましく、60〜150℃であるのが特に好ましい。
また、晶析原液と貧溶媒の混合は、一定の温度を保持して行ってもよく、徐々に温度を下げながら行ってもよい。温度を下げながら、晶析原液と貧溶媒の混合を行う場合には、晶析装置に備えられる、ジャケットなどの熱交換装置に、水またはブラインなどの冷媒を流通させることにより冷却してもよいし、晶析原液より低温の貧溶媒を混合することによって冷却してもよい。
晶析原液と貧溶媒を混合する温度が、貧溶媒の沸点以上である場合には、晶析装置として耐圧容器を用いて晶析原液と貧溶媒を混合すればよい。
貧溶媒の使用量は、晶析原液中のEBNA濃度、晶析原液に使用した溶媒の種類や貧溶媒の種類、および晶析原液と貧溶媒を混合する温度などによっても異なるが、通常、晶析原液に対して、0.05〜2.0倍重量用いるのがよく、0.1〜1.0倍重量用いるのが特によい。
このようにして、晶析原液と貧溶媒を混合することにより、EBNAが析出した懸濁液が得られる。
続いて、濃縮晶析法により晶析原液からEBNAを晶析させる方法について説明する。
晶析原液の濃縮方法は特に制限されず、大気圧下で行っても、減圧下で行ってもよい。濃縮時の圧力条件については、低温で操作可能であって、加熱によるEBNAの着色の問題などが生じ難いことから、減圧下で行うのがより好ましい。減圧下に濃縮を行う場合の真空度は、100mmHg以下が好ましく、50mmHg以下がより好ましい。
晶析原液の濃縮比率は、EBNAの純度および析出量を勘案し適宜設定すればよいが、通常、晶析原液に使用した溶媒の30〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは50〜90重量%を晶析原液より留去すればよい。
このようにして、晶析原液を濃縮することにより、EBNAが析出した懸濁液が得られる。
本発明におけるEBNAの精製方法は、以上説明した、冷却晶析法、貧溶媒との混合による晶析法、または濃縮晶析法を単独で行う方法には制限されず、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。例えば、冷却による晶析を行った後で貧溶媒を混合する方法、濃縮晶析を行った後で冷却による晶析を行う方法、濃縮晶析を行った後で貧溶媒を混合する方法などのように、複数の晶析方法を組み合わせて実施する場合も含むものである。
次いで、工程(4)について説明する。
工程(4)においては、工程(1)〜(3)を経て、晶析原液より析出したEBNAを、遠心分離やフィルタープレスなどの常法に従い分離すればよい。
分離後の精製されたEBNAは、所望により水、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物などにより付着した非プロトン性極性有機溶媒を洗浄した後に、乾燥され製品とされる。
上記の方法により得られたEBNAが所望の純度まで精製されていない場合は、EBNAが所望の純度となるまで、本発明のEBNAの精製方法を繰り返し実施すればよい。
このように、本発明の精製方法により、不純物の含有量、特にカリウムおよびナトリウムの含有量が少ない高純度のEBNAの製造が可能となる。
本発明の方法により得られる、EBNAのカリウムおよびナトリウムの含有量の合計量としては、50ppm以下であるのが好ましく、20ppm以下であるのがより好ましい。
また、本発明の方法により得られるEBNAは、従来知られるEBNAのアルカリ金属塩と酸の反応により得られたEBNAと比較し粉体物性に優れるものである。
好ましくは、本発明の方法により得られるEBNAは、下式に従い算出される圧縮度が35%以下、より好ましくは35%〜20%と低く、ホッパー内でブリッジを起こしにくいものであり、安息角と崩壊角の差として求められる差角が13°以下、より好ましくは5〜13°と小さく粉塵飛散を起こしにくいものであるなど、粉体物性に優れるものである。
〈圧縮度算出式〉
圧縮度(%)=(かため見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/かため見掛け比重×100
なお、これらの粉体物性はホソカワミクロン株式会社製、パウダーテスターPT−R型を用いて取扱説明書に従い測定されるものである。
このようにして本発明の方法により精製された、不純物、特にアルカリ金属の含有量が少ない、高純度の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸は、高性能ポリエステルの製造原料として好適に使用される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
〔参考例〕
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ジカリウム塩150モルを含む水溶液140kgとジクロロエタン7.4kg(75モル)を、容量190Lの攪拌機を備えた耐圧容器に仕込んだ。耐圧容器を密閉した後、攪拌下に反応液を140〜150℃に昇温し、同温度にて1時間反応した。
反応終了後、反応液を30℃まで冷却した後、析出した6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のカリウム塩を遠心分離機により回収した。
得られた6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のカリウム塩のウェットケーキの重量は20.5kgであった。
6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のカリウム塩のウェットケーキ20.5kgと水130Lを容量200Lの攪拌機を備えた容器に仕込み、62%硫酸水溶液でpH3〜4に保持しながら100℃で6時間攪拌し、次いで30℃に冷却した後に析出物を遠心分離し、遠心分離機上で水50Kgで析出物を洗浄して6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸のウエットケーキ22.2Kgを得た。
得られたウェットケーキを容量80Lのタンブラー式の乾燥機に仕込み、90℃にて乾燥を行った。
このようにして、有機不純物(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)200質量ppm、カリウム350質量ppmおよびナトリウム17質量ppmを含む6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の粗結晶14.5kgを得た。
なお、粗結晶の有機不純物(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)は高速液体クロマトグラフにより測定し、カリウムおよびナトリウムの含有量は以下に記載する方法により行った。
<カリウム、ナトリウム含有量測定方法>
白金るつぼにサンプルを精秤し、精密分析用硫酸(和光純薬工業株式会社製)を加えて、焼成し灰化する。灰化サンプルを精密分析用塩酸水溶液(キシダ化学工業株式会社製)にて溶解し、塩化セシウムを添加し、Milli−Q Plus(日本ミリポア株式会社製)により調製した超純水で希釈することにより、サンプルを調製し、原子吸光光度計によりカリウムおよびナトリウムの含有量を測定した。
機種:AA−6800 ASC−6100(株式会社島津製作所製)
波長:766.5nm
ランプ:BGC−SR
燃料ガス:アセチレン
助燃ガス:Air
実施例1
参考例で得られたEBNAの粗結晶230gとN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと記す)2300gを、容量3Lの温度計と攪拌装置を備えた四つ口のコルベンに仕込んだ。
内容物を170℃まで昇温し溶解させた後、5時間かけて25℃まで冷却し、EBNAを析出させた。
析出したEBNAを吸引ろ過により回収した後に、得られた析出物を水800gで洗浄し、次いでメタノール1000gで洗浄した後に乾燥し、精製されたEBNA214.7gを得た。
得られたEBNAの精製品の粉体物性を、パウダーテスター(PT−R型、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて取扱説明書の記載に従い測定した。粉体物性の測定結果を表1に記す。
得られたEBNAの精製品の高速液体クロマトグラフにより測定した不純物(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)の含有量と、原子吸光法により測定したカリウムおよびナトリウムの含有量を表2に記す。
実施例2
参考例で得られたEBNAの粗結晶10gとNMP500gを容量1Lのナス型フラスコに仕込み、80℃に昇温し内容物を溶解させた。
得られたEBNAのNMP溶液をロータリーエバポレータを用いて77℃、6mmHgの条件にて濃縮し、N−メチル−2−ピロリドン440gを留去して、EBNAを析出させた。
析出したEBNAを吸引ろ過により回収した後に、得られた析出物をメタノール50gで洗浄した後に乾燥し、精製されたEBNA7.7gを得た。
得られたEBNAの精製品の不純物(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフトエ酸)の含有量と、カリウムおよびナトリウムの含有量を表2に記す。
実施例3
参考例で得られたEBNAの粗結晶10gとN−メチル−2−ピロリドン400gを温度計、攪拌装置、およびジムロート冷却器を備えた容量1Lのコルベンに仕込み、内容物を100℃に昇温し溶解させた。同温度を保持しながら水100gを60分で滴下し、EBNAを析出させた。次いで、EBNAの懸濁液を20℃まで冷却し、吸引ろ過により精製されたEBNAを回収した。
回収したEBNAを水40gで洗浄し、次いでメタノール50gで洗浄した後に乾燥してEBNAの精製品8.0gを得た。
表1:粉体物性
Figure 0005412033
表2:不純物含有量
Figure 0005412033
*6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸含有量

Claims (8)

  1. 以下の工程(1)〜(4)を含む、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法:
    (1)6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の粗結晶と、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびジメチルスルホキシドからなる群より選択される一種以上の非プロトン性極性有機溶媒を混合する工程、
    (2)工程(1)で得られた混合液を50〜300℃とし、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の粗結晶の70重量%以上を溶解させて晶析原液を調製する工程、
    (3)工程(2)で調製された晶析原液から6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を析出させる工程、および、
    (4)工程(3)で析出させた6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を分離回収する工程。
  2. 工程(3)において晶析原液から6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を析出させる方法が、冷却晶析法、貧溶媒との混合による晶析法、濃縮晶析法、またはこれらの方法を組み合わせた方法である、請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
  3. 工程(3)において、晶析原液から6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を析出させる方法が冷却晶析法である、請求項2に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
  4. 工程(3)において、晶析原液から6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を析出させる方法が、貧溶媒との混合による晶析法である、請求項2に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
  5. 貧溶媒が、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、エチレングリコール、またはこれら混合物である、請求項4に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
  6. 工程(3)において、晶析原液から6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸を析出させる方法が、濃縮晶析法である、請求項2に記載6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
  7. 非プロトン性極性有機溶媒がN−メチル−2−ピロリドンである、請求項1〜6の何れかに記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
  8. 工程(2)において、6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の粗結晶の70重量%以上を溶解させる温度が100〜200℃である、請求項1〜7の何れかに記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ビス−2−ナフトエ酸の精製方法。
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