JP5409243B2 - 高温環境用光ファイバセンサ - Google Patents
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Description
FBGを形成した光ファイバは折れやすく切れやすいので、巻付部材に巻き付けてから引っ張って支持するようになったものもある(例えば特許文献1,4参照)。巻付部材は円柱状や円筒状で縦置きか横置きで支持され、巻き量は半周もあれば数周もあるが、巻き方は右巻きであれ左巻きであれ総ての巻付部材で同じに向きになっている。
これに対し、FBGを形成した光ファイバを歪み測定部材として用いれば、そのような不都合はなく、光ファイバやファイバ保持具を箱体・筐体にて纏めて一体化・ユニット化すれば、光ファイバを保護しつつ取り扱い易くすることができる。
そこで、箱体で一体化するに際して高温環境での使用にも適うように、高温環境用光ファイバセンサの構造を工夫することが、技術的な課題となる。
したがって、この発明によれば、箱体で一体化されていて高温環境での使用にも適う高温環境用光ファイバセンサを実現することができる。
これにより、耐熱性締結具を用いて断熱板を固定しても、ファイバ保持具が不所望に高くなるのを回避することができるので、その結果、箱体で一体化されていて高温環境での使用にも適う小形の高温環境用光ファイバセンサを簡便に実現することができる。
実施形態1の高温環境用光ファイバセンサは、前記ファイバ保持具が巻付部材の周面に前記光ファイバを巻き付けた状態で張ることにより光ファイバを保持するものであり、両巻付部材に対する前記光ファイバの巻き方が一方は右巻きで他方は左巻きの逆巻きになっている、というものである。
この場合、溝で光ファイバの巻き付け位置が案内されるので巻付作業が遣りやすいうえ、巻き付けた光ファイバが溝で移動を規制されて安定する。
また、実施形態4の高温環境用光ファイバセンサは、前記接着程度の上がるのが、接着剤の接着力の強弱と接着剤の弾性率の大小と接着剤の塗布幅の拡縮と接着剤の断面積の増減とのうち何れか一つ又は複数のものによって実現されている、というものである。
これらの実施形態3〜5の場合、光ファイバの巻き付け部分を巻付部材の周面に対して接着にて止めるに際し、巻付始端からいきなり固く止めるのでなく、最初は緩くて途中から固くなるようにしたことにより、周面巻付によるファイバの折損防止機能・切断防止機能が更に高まることとなる。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜2(出願当初の請求項1〜2)を具現化したものであり、図3に示した実施例2や,図4に示した実施例3は、上述した解決手段3〜4(出願当初の請求項3〜4)を具現化したものであり、図5に示した実施例4は、上述した解決手段5〜6(出願当初の請求項5〜6)を具現化したものであり、図6に示した実施例5は、上述した解決手段7(出願当初の請求項7)を具現化したものであり、図7の実施例6や図8の実施例7は、上記実施形態を具現化した変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、仮止め部材や治具等の一時的部材,高温環境用光ファイバセンサを使用する測定器,冷却用流体を供給する冷却ユニットなどは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
両巻付部材21,31が内部空間12に収められ、光ファイバ8が両巻付部材21,31の間に張られているので、その張設ファイバ部分は内部空間12に収容されている。
さらに、巻付部材21に対する光ファイバ8の巻き方と巻付部材31に対する光ファイバ8の巻き方が逆巻きになっている。具体的には、光ファイバ8を一方から他方へ巻き進めるとして、例えば、一方の巻付部材21には右巻き即ち平面視では時計回りで光ファイバ8を巻付けたら、他方の巻付部材31には左巻き即ち平面視では反時計回りで光ファイバ8を巻付ける、といったことで逆巻きが実現されている。これにより、両ファイバ保持具20,30の離接方向(すなわち被測定物1の歪発生部4の歪方向)と張設ファイバ部分の方向とが平面視で斜交して、該当部分の光ファイバ8の長さが両巻付部材21,31の離隔距離より長くなっている。
巻付部材21と取付部26との中継部23〜25は、箱体11の外に出ており、そこでは、箱体11の底板のうち巻付部材21を固定された部分と中層連結板24とが上下から上層断熱板23を挟んで断熱性締結具28にて連結され、中層連結板24と取付部26とが上下から下層断熱板25を挟んで耐熱性締結具27にて連結されている。中層連結板24における断熱性締結具28の位置と耐熱性締結具27の位置は離隔している。
断熱性締結具28,38には断熱性重視で熱伝導率の特に小さな例えば樹脂製ボルトが採用され、耐熱性締結具27,37には耐熱性と強度を兼備したなかでは比較的熱伝導率の小さな例えばセラミック製ボルトが採用されて、断熱性締結具28,38は耐熱性締結具27,37よりも断熱性に優れたものとなり、耐熱性締結具27,37は断熱性締結具28,38よりも耐熱性に優れたものとなっている。
被測定物1は、安価な板巻き溶接管を火力発電用のボイラ配管に採用した高温蒸気配管が典型例であり、一方側2と他方側3とが歪発生部4を挟んで両側に分かれている。歪発生部4は、歪の生じやすい溶接部であり、直線状や曲線状に延びていて、その直交方向・幅方向が主たる歪方向になっている。
具体的には、ファイバ保持具20の取付部26が歪発生部4の一方側2に溶接で固定され、ファイバ保持具30の取付部36が歪発生部4の他方側3に溶接で固定される。
パッキン41は、貫通穴13を封止するものであり、粘液44と同程度の耐熱性があれば市販のOリングで足りる。図示は割愛したが、箱体11の側板のファイバ挿通穴も適宜なガスケット等のシール部材で封止されている。
迂回伝熱部材42は、耐熱性にも伝熱性にも優れた例えば金属製ボルトであり、外側部材17を貫通して放熱部材15aと取付部26とを連結することにより、取付部26から箱体11を迂回して冷却手段のうち専用の放熱部材15aに至る熱流路を形成する。
迂回伝熱部材43も、耐熱性と伝熱性を兼備したものであり、別部位の外側部材17を貫通して放熱部材15bと取付部36とを連結することにより、取付部36から箱体11を迂回して冷却手段のうち専用の放熱部材15bに至る熱流路を形成している。
このように熱流路を分岐させて箱体11に流れ込む熱量を減らしたことにより、箱体11の内部空間12の中の光ファイバ8及びFBG8aの不所望な昇温を良く抑制することができる。換言すると、同程度の昇温を許すなら、より小形にすることができる。
しかも、粘液44の熱伝達によって箱体11の内部温度が両巻付部材21,31も含めて均一化されるので、不所望な局所的昇温まで防止されることとなる。
なお、流体の漏れ防止のためパッキン41等が設けられている点は、上述した実施例2の高温環境用光ファイバセンサ40と同様である。
強制冷却手段は、箱体11の一側方に穿孔形成されて内外貫通している流入孔52と、箱体11の他側方に穿孔形成されて内外貫通している流出孔53と、流入孔52に接続された送給管55と、流出孔53に接続された排出管56とからなり、図示しない別体の冷却ユニットから送給管55を介して冷却用の流体を供給されると同時に排出管56から流体を排出して送り返すようになっている。
そのため、この高温環境用光ファイバセンサ50は、かなり高温の環境の中でも不都合なく使用することができる。
図6(b)の高温環境用光ファイバセンサは、耐熱性締結具27に代えて回転軸63を導入するとともに、回転軸63の軸端張出部64の揺動角度を中層連結板24,34の変形ザグリ67で規制することにより(図6(c),(d)参照)、取付部61が適切な範囲内に限って軸回転できるようにしたものである。
図6(e)の高温環境用光ファイバセンサは、被測定物1が曲管や分岐管であっても容易に設置できるように、点接触式で高さ固定の錐状部65や点接触式で高さ可変の螺状部66を取付部61の先端・下端に設けたものである。
そして、このような強調的使用向け設置状態では(図6(f)参照)、光ファイバ8の張設方向と歪発生部4の歪方向との斜度が増して、両巻付部材21,31間に張られた光ファイバ8及びFBG8aに生じる歪みが更に低減される。
溝71は、周面において光ファイバ8の巻き付け位置を規定することができれば、閉じた輪状でも良く(図7(a),(b)参照)、開いた螺旋状でも良く(図7(c)参照)、光ファイバ8を複数本収容できる太溝でも良く(図7(a),(b)参照)、光ファイバ8を一本だけ収容する細溝でも良く(図7(c)参照)、巻付部材21にだけ形成されていても良く(図7(a)参照)、巻付部材31にだけ形成されていても良く(不図示)、両巻付部材21,31の双方に形成されていても良い(図7(b),(c)参照)。
なお(図7(b),(c)参照)、両巻付部材21,31間にもう一本の光ファイバ9を導入して、それに形成されたFBGも両巻付部材21,31間に来るようにするが、光ファイバ9には張力がかからないよう光ファイバ9を弛ませておけば、公知の手法により温度補償を行うことができる。光ファイバ9は、光ファイバ8と別体のものでも良く、光ファイバ8を折り返したものでも良い。他の実施例でも同様の温度補償が可能である。光ファイバ9は光ファイバ8と共に溝71に入れても良く専用の溝72に入れても良い。
周面への光ファイバ8の巻き付け部分の接着による固定は、巻付部材21にだけでも良く、巻付部材31にだけでも良く、両巻付部材21,31の双方に行っても良い。
何れの場合も、その接着程度が接着始端から巻付けの進行に伴って連続的に又は間欠的に上がっているのが好ましい。なお、そのうち連続的に上がる接着態様には、徐々に上がる接着態様の他、段階的に上がる接着態様も含まれる。なお、この実施例で、巻付始端や接着始端の始端は、両巻付部材21,31の間から巻付部を見た始端を指している。
さらに(図8(c)参照)、巻付始端から8分の1周以上の巻付け角度θeでは接着剤を付けないでおき、周面に8分の1周以上巻き付いてから接着剤を付けるのも良い。この場合も、更に、初めの巻付け角度θfでは接着力や弾性率を弱小にし、巻付け角度θgでは接着力や弾性率を中程度にし、最後の巻付け角度θhでは接着力や弾性率を強大にする等のことも行って、その接着程度が接着始端から巻付けの進行に伴って間欠的に又は段階的に上がるようにすると、なお良い。
8…光ファイバ(歪測定用)、9…光ファイバ(温度補償用)、
8a…FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング,FiberBraggGreting)、
10…高温環境用光ファイバセンサ、
11…箱体(筐体)、12…内部空間、13…貫通穴、
15…放熱部材、16…天板、17…外側部材(断熱材)、18…底板、
20,30…ファイバ保持具、21,31…巻付部材(ファイバ係止部)、
32…延長部(貫通穴遊挿部)、23,33…上層断熱板(中継部)、
24,34…中層連結板(中継部)、25,35…下層断熱板(中継部)、
26,36…取付部、27,37…耐熱性締結具、28,38…断熱性締結具、
40…高温環境用光ファイバセンサ、
41…パッキン、42,43…迂回伝熱部材、44…粘液、
45…高温環境用光ファイバセンサ、
50…高温環境用光ファイバセンサ、51…盲栓、52…流入孔、
53…流出孔、54…断熱材、55…送給管(強制冷却手段)、56…排出管、
61…取付部、62…軸受部、63…回転軸、64…軸端張出部、65…錐状部、
66…螺状部、71,72…溝、81…接着剤、82…接着始端部
Claims (6)
- 内部空間を囲う箱体と、ファイバ係止部が前記内部空間に収まっており且つ被測定物への取付部が前記箱体の外に出ている一対のファイバ保持具と、前記の一対のファイバ保持具のうち何れか一方のものの前記ファイバ係止部と前記の一対のファイバ保持具のうち何れか他方のものの前記ファイバ係止部とからなる両ファイバ係止部間に張られた部分が前記内部空間に収容されており且つその部分にFBGが形成されている光ファイバとを備えた高温環境用光ファイバセンサであって、前記両ファイバ保持具が前記光ファイバの伸縮に基づく歪測定を可能とする範囲で離接方向への相対移動を許容する形で前記箱体に装着されており、前記ファイバ保持具それぞれにおいて前記ファイバ係止部と前記取付部との間の中継部に断熱材が組み込まれており、前記箱体には冷却手段が付設されており、前記中継部が上層断熱板と中層連結板と下層断熱板とを具備したものであり、前記ファイバ係止部と前記中層連結板とが前記上層断熱板を挟んで断熱性締結具にて連結され、前記中層連結板と前記取付部とが前記下層断熱板を挟んで耐熱性締結具にて連結され、前記断熱性締結具は前記耐熱性締結具よりも断熱性に優れており、前記耐熱性締結具は前記断熱性締結具よりも耐熱性に優れていることを特徴とする高温環境用光ファイバセンサ。
- 前記取付部から前記箱体を迂回して前記冷却手段に至る熱流路を形成する迂回伝熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の高温環境用光ファイバセンサ。
- 内部空間を囲う箱体と、ファイバ係止部が前記内部空間に収まっており且つ被測定物への取付部が前記箱体の外に出ている一対のファイバ保持具と、前記の一対のファイバ保持具のうち何れか一方のものの前記ファイバ係止部と前記の一対のファイバ保持具のうち何れか他方のものの前記ファイバ係止部とからなる両ファイバ係止部間に張られた部分が前記内部空間に収容されており且つその部分にFBGが形成されている光ファイバとを備えた高温環境用光ファイバセンサであって、前記両ファイバ保持具が前記光ファイバの伸縮に基づく歪測定を可能とする範囲で離接方向への相対移動を許容する形で前記箱体に装着されており、前記ファイバ保持具それぞれにおいて前記ファイバ係止部と前記取付部との間の中継部に断熱材が組み込まれており、前記箱体には冷却手段が付設されており、前記取付部から前記箱体を迂回して前記冷却手段に至る熱流路を形成する迂回伝熱部材が設けられていることを特徴とする高温環境用光ファイバセンサ。
- 前記取付部が前記箱体に関して可動部材になっていて、前記被測定物の歪発生部に対する前記箱体の向きを変えても前記取付部を反対側に動かすことにより前記歪発生部に対する前記取付部の向きは同じに維持されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された高温環境用光ファイバセンサ。
- 内部空間を囲う箱体と、ファイバ係止部が前記内部空間に収まっており且つ被測定物への取付部が前記箱体の外に出ている一対のファイバ保持具と、前記の一対のファイバ保持具のうち何れか一方のものの前記ファイバ係止部と前記の一対のファイバ保持具のうち何れか他方のものの前記ファイバ係止部とからなる両ファイバ係止部間に張られた部分が前記内部空間に収容されており且つその部分にFBGが形成されている光ファイバとを備えた高温環境用光ファイバセンサであって、前記両ファイバ保持具が前記光ファイバの伸縮に基づく歪測定を可能とする範囲で離接方向への相対移動を許容する形で前記箱体に装着されており、前記ファイバ保持具それぞれにおいて前記ファイバ係止部と前記取付部との間の中継部に断熱材が組み込まれており、前記箱体には冷却手段が付設されており、更に、前記取付部が前記箱体に関して可動部材になっていて、前記被測定物の歪発生部に対する前記箱体の向きを変えても前記取付部を反対側に動かすことにより前記歪発生部に対する前記取付部の向きは同じに維持されるようになっていることを特徴とする高温環境用光ファイバセンサ。
- 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載された高温環境用光ファイバセンサを使用して歪みを測定する方法。
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