JP5407027B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体磁器組成物に係り、さらに詳しくは、非常に高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物に関する。
近年、電気機器および電子機器の小型化かつ高性能化が急速に進み、このような機器に使用される電子部品についても、小型化、大容量、高信頼性への要求はますます厳しくなっている。これは、電子部品の一例であるセラミックコンデンサについても例外ではない。
このような要求を満たすための方策の1つとして、誘電体材料の高誘電率化が考えられる。現在、高誘電率を示す誘電体材料として広く用いられているチタン酸バリウムは、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム(正方晶型、立方晶型)が主流であり、室温で約数千の比誘電率を示す。これに対し、六方晶構造を有するチタン酸バリウム(六方晶チタン酸バリウム)は、使用温度域において、ペロブスカイト型チタン酸バリウムよりも誘電率が低いため(400程度)、誘電体材料としてはあまり使用されていなかった。
ところが、特許文献1および2では、無容器凝固法を用いて酸素欠損を導入した六方晶チタン酸バリウム(h−BaTiO)が、室温で100000以上の非常に高い比誘電率を有することが記載されている。
しかしながら、酸素欠損量を制御するには、還元雰囲気を厳密に設定する必要があるため、その制御は困難であった。また、酸素欠損そのものも寿命を劣化させる要因の1つであると考えられ、酸素欠損型六方晶チタン酸バリウムを用いた電子部品等を安定して使用することは困難であると考えられる。
さらには、このような高誘電率を有する誘電体材料を、たとえばセラミックコンデンサなどの電子部品に応用する場合には、電子部品としての信頼性を向上させるために、アニール(再酸化)処理が必要となるが、上記の酸素欠損型六方晶チタン酸バリウムでは、アニール処理を行うと、酸素が補充されるため、極めて短時間で比誘電率が急速に低下してしまうという問題があった。
特許第3941871号公報 特許第4013226号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、アニール処理を行った場合であっても、非常に高い比誘電率を維持し、種々の電子部品、センサ等に用いて好適な誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、酸素欠損型六方晶チタン酸バリウムにおいて巨大比誘電率を発現する機構を解明し、得られた知見に基づき、チタン酸バリウムを構成するBaおよびTiに対して、特定の条件を有する元素を、特定量含有させることで、アニール処理した後であっても、高い比誘電率を維持できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の誘電体磁器組成物は、
六方晶構造を有するチタン酸バリウムを主成分とするチタン酸バリウムと、
元素Mと、を有し、
前記Mの有効イオン半径が、12配位時のBa2+の有効イオン半径または6配位時のTi4+の有効イオン半径に対して、±20%以内であり、
前記Mのイオン価数が、前記Baまたは前記Tiのイオン価数よりも大きいことを特徴とする。
酸素欠損型の六方晶チタン酸バリウムが非常に高い比誘電率を示すのは、以下の理由によると考えられる。六方晶チタン酸バリウムにおいて酸素欠損が導入されると、これを補償するために、Tiイオンが4価から3価に還元され、これが電気伝導性を担うこととなる。そのため、電気的性質の異なる2つの領域(半導体的な性質を持つ領域および絶縁体領域)が不均一に存在していることに起因する。
本発明では、六方晶チタン酸バリウムに酸素欠損を導入する代わりに、上記の有効イオン半径を有する元素Mを含有させることで、Tiイオンを4価から3価に還元して、巨大比誘電率を発現させている。また、酸素欠損型の六方晶チタン酸バリウムをアニール処理すると、酸素が補充されるため、Tiイオンの還元が起こらなくなり、比誘電率が急速に低下する。これに対し、本発明では、Mを含有させることで、Tiイオンを還元している。そのため、アニール処理を行った場合であっても、発現した巨大比誘電率を維持することができる。あるいは比誘電率の低下を抑制することができる。
好ましくは、前記誘電体磁器組成物100モルに対して、前記Mが、0モルより多く、10モル以下含まれている。Mの含有量を上記の範囲内とすることにより、本発明の効果をさらに高めることができる。
好ましくは、前記Mは、La、Ce、BiおよびVから選ばれる少なくとも1つである。Mを上記の元素から選ぶことにより、本発明の効果をさらに高めることができる。
本発明に係る誘電体磁器組成物の用途としては、高誘電率を必要とする用途であれば特に限定されないが、酸素センサ、半導体、セラミックコンデンサなどの電子部品に用いられる誘電体磁器組成物に好適である。
本発明によれば、六方晶チタン酸バリウムに、上記の条件を満たすMを含有させることで、非常に高い比誘電率(たとえば、10000以上)を発現させることができる。しかも、Mを含有する六方晶チタン酸バリウムに対して、アニール処理を行った場合であっても、発現した比誘電率を維持することができる。あるいは比誘電率の低下を抑制することができる。
本発明の誘電体磁器組成物は、非常に高い比誘電率を有しているため、高誘電率を必要とする用途に好適である。さらには、アニール処理による比誘電率の低下が抑制されているため、アニール処理が必要となるコンデンサなどの電子部品等の誘電体層に好適である。
図1は本発明の誘電体磁器組成物を製造するために用いる赤外線イメージ炉の概略模式図である。 図2は本発明の実施例および比較例に係る試料について、アニール処理時間と、比誘電率と、の関係を示すグラフである。
符号の説明
10… 赤外線イメージ炉
11… 石英管
12… 上部シャフト
13… 下部シャフト
14… ハロゲンランプ
16… 回転楕円面鏡
18… 溶融帯域
20… 仮焼体
22… 単結晶
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
誘電体磁器組成物
本発明の誘電体磁器組成物は、まず、六方晶構造を有するチタン酸バリウムを含む。
六方晶構造を有するチタン酸バリウム(六方晶チタン酸バリウム)は、一般式h−BaTiOで表される。六方晶チタン酸バリウムは、1460℃以上で安定な高温安定相であるが、この温度から急冷することで、室温においても、六方晶チタン酸バリウムを存在させることができる。しかしながら、その比誘電率は低い。
一方、電子部品等の誘電体層として用いられるチタン酸バリウムは、通常、ペロブスカイト型構造を有している。ペロブスカイト型構造のチタン酸バリウムには、a軸とc軸との長さの違いにより、正方晶型と立方晶型とが存在しており、どちらも、六方晶チタン酸バリウムよりも高い比誘電率を有する。
本実施形態の誘電体磁器組成物においては、六方晶チタン酸バリウムが、チタン酸バリウムの主成分であればよい。具体的には、六方晶チタン酸バリウムは、本実施形態の誘電体磁器組成物に含まれるチタン酸バリウム全体に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。なお、後述する六方晶チタン酸バリウムの製造方法においては、正方晶や立方晶のチタン酸バリウムが含まれることもありうる。しかしながら、本発明の誘電体磁器組成物には、六方晶チタン酸バリウムが上記の範囲で含まれていればよい。
本発明の誘電体磁器組成物は、さらに、元素Mを含む。元素Mは、12配位時のBa2+の有効イオン半径(1.61pm)または、6配位時のTi4+の有効イオン半径(0.605pm)に対して、±20%以内の有効イオン半径を有する。
また、元素Mは、そのイオン価数が、Baのイオン価数またはTiのイオン価数よりも大きい。
上記の範囲を満足する有効イオン半径を有し、上記のイオン価数を有する元素Mを含有させることで、元素Mが、チタン酸バリウム、特に六方晶チタン酸バリウム中に固溶し、酸素欠損を生じさせることなく、Tiイオンを還元することができる。その結果、アニール処理後であっても、比誘電率の低下を抑制することができる。
上記の範囲を超える有効イオン半径を有する元素Mが含有された場合には、Mは、チタン酸バリウム中に固溶することができず、本発明の効果を得ることができない。
チタン酸バリウムにおいては、通常、Baのイオン価数は2であり、チタンのイオン価数は4である。したがって、元素Mのイオン価数は2より大きいことが好ましい。
元素Mは、誘電体磁器組成物100モルに対して、0モルより多く、10モル以下、好ましくは0.02モル以上5モル以下、より好ましくは0.03モル以上1モル以下含有される。元素Xの含有量が少なすぎると、本発明の効果が得られない傾向にある。一方、元素Xの含有量が多すぎると、絶縁性が低下する傾向にある。
また、本実施形態では、元素Mを、12配位時のBa2+の有効イオン半径に対して、±20%以内の有効イオン半径を有するM1と、6配位時のTi4+の有効イオン半径に対して、±20%以内の有効イオン半径を有するM2と、に分けることができる。そうすると、M1およびM2は、一般式を用いて、(M1Ba1−x)・(M2Ti1−y)Oと表すことができる。
式中のxは、M1の含有量を示しており、0<x≦0.10、好ましくは0.002≦x≦0.05、より好ましくは0.003≦x≦0.01である。また、式中のyは、M2の含有量を示しており、0<y≦0.10、好ましくは0.002≦x≦0.05、より好ましくは0.003≦x≦0.01である。なお、0<x+y≦0.10である。
この場合、M1のイオン価数は、Baのイオン価数である2よりも大きいことが好ましく、3であることがより好ましい。すなわち、M1のイオン価数は、Baのイオン価数よりも1大きいことがより好ましい。
また、M2のイオン価数は、Tiのイオン価数である4よりも大きいことが好ましく、5であることがより好ましい。すなわち、M2のイオン価数は、Tiのイオン価数よりも1大きいことがより好ましい。
元素Mは、La、Ce、BiおよびVから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、La、Ce、Vであり、さらに好ましくはLa、Ceである。
六方晶チタン酸バリウムを主成分とするチタン酸バリウムに、元素Mを上記の範囲で含有させることで、アニール処理後であっても、非常に高い比誘電率(たとえば、10000以上)を有する誘電体磁器組成物を得ることができる。
このような非常に高い比誘電率を示し、かつ、アニール処理後であっても、その比誘電率を維持できる理由としては、たとえば、以下のように考えることができる。
まず、六方晶型チタン酸バリウムは、イオン価数を用いて一般式で表すと、h−Ba2+Ti4+2− と表すことができる。このh−Ba2+Ti4+2− に対して、Ba2+よりも価数が1大きいM13+が含有されると、電荷を補償するために、Ti4+の一部が還元され、Ti3+が生成する。すなわち、一般式で表すと、h−(Ba2+ 1−xM13+ )(Ti4+ 1−xTi3+ )O2− となる。
このようなM13+を六方晶チタン酸バリウムに含有させることで、Ti3+が生成し、このTi3+が、六方晶チタン酸バリウムにおいて電気伝導を担うこととなる。そのため、このようなTi3+が生成している領域は、半導体的な性質を有する領域となっている。一方、半導体的な性質を有する領域以外の領域は、絶縁体領域となっている。このように、電気的性質の異なる2つの領域が不均一に存在すると、その領域間にできた粒界によるMaxwell−Wagner効果により、非常に高い比誘電率を発現させることができる。
酸素欠損型六方晶チタン酸バリウムが示す非常に高い比誘電率も、このMaxwell−Wagner効果に起因すると考えられるが、本発明においては、酸素欠損により、Ti3+を生成するのではなく、M13+を導入することで、Ti3+を生成させている。そのため、M13+の含有量により、Ti3+の生成量を制御できるため、上記の比誘電率の発現を制御することができる。しかも、本発明の誘電体磁器組成物においては、酸素欠損を導入しないため、誘電体磁器組成物をアニール処理した場合であっても、Ti3+が酸化されず、上述した効果を維持できる。その結果、非常に高い比誘電率を維持することができる。
上記では、六方晶チタン酸バリウム中に、M13+を導入して、Tiイオンを還元したが、M25+を六方晶チタン酸バリウムに導入して、Baイオンを還元してもよい。この場合であっても、上記のMaxwell−Wagner効果により、非常に高い比誘電率を得ることができる。
なお、本明細書に記載の有効イオン半径は、文献「R.D.Shannon,Acta Crystallogr.,A32,751(1976)」に基づく値である。
誘電体磁器組成物の製造方法
本発明の誘電体磁器組成物は、単結晶として製造してもよいし、多結晶として製造してもよい。本実施形態では、FZ法(フローティングゾーン法)により、単結晶としての本発明の誘電体磁器組成物を製造する方法について説明する。
まず、誘電体磁器組成物の原料として、チタン酸バリウムの原料と、元素Mの原料と、を準備する。
チタン酸バリウムの原料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)や、チタン酸バリウムを構成する酸化物(BaO、TiO)やその混合物を用いることができる。さらに、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。具体的には、チタン酸バリウムの原料として、BaTiOを用いてもよいし、BaCOおよびTiOを用いてもよい。
また、元素Mの原料としては、元素Mの化合物、たとえば、酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
次に、準備した誘電体磁器組成物の原料を混合して、通常用いられるバインダを加えた後、たとえば、圧縮成形(プレス)を行い、成形体を得る。この成形体を所定の温度および時間で仮焼し、仮焼体を作製する。仮焼温度および仮焼時間は特に制限されないが、好ましくは1200〜1500℃、2〜12時間である。この仮焼体は元素Mが固溶した正方晶型のチタン酸バリウムである。
この仮焼体を、図1に示す赤外線イメージ炉10を用いて、FZ法により、溶融し、単結晶の誘電体磁器組成物として作製する。具体的には、まず、図1の石英管11内の上部シャフト12と下部シャフト13との間に、上記の仮焼体20を固定する。そして、雰囲気ガスを導入しながら、上部シャフト12および下部シャフト13を図1に示す方向に回転させながら、下降させる。雰囲気ガスとしては、N+Oガスが好ましい。
赤外線イメージ炉10内には、図1に示すハロゲンランプ14が設置してあり、このランプから発せられた赤外線を、回転楕円面鏡16により反射させて、図1に示す溶融帯域18に集中させる。その結果、溶融帯域18では、非常に高温となるため、溶融帯域18を通過する仮焼体20が溶融され、溶媒となり種結晶(図示省略)に接触し、溶融帯域18を通過して冷却される際に、単結晶の誘電体磁器組成物22として作製される。
六方晶チタン酸バリウムは、高温安定相を有しているため、溶融させるときの温度は、好ましくは1460℃以上、より好ましくは1600〜1800℃とする。このような温度で溶融させることにより、作製される単結晶全体に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上を、六方晶チタン酸バリウムとすることができる。ただし、作製条件によっては、正方晶あるいは立方晶のチタン酸バリウムの単結晶が含まれることもある。なお、成長速度については、単結晶が得られるような速度であれば特に制限されない。比較的に速い成長速度においては、単結晶中に酸素欠損が導入されるが、以下のアニール処理により、酸素を補充すればよい。
次いで、得られた単結晶の誘電体磁器組成物に対してアニール処理を施す。アニール処理は、誘電体磁器組成物を再酸化するための処理であり、これにより、製品に使用される際の寿命等の信頼性を向上させることができる。アニール条件としては、以下の条件であることが好ましい。まず、アニール雰囲気としては、大気中とすることが好ましい。また、アニールの際の保持温度は800〜1000℃、保持時間を、0.5〜10時間とすることが好ましい。昇温速度は、10〜1000℃/時間、冷却速度は10〜1000℃/時間とすることが好ましい。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
上記のようにして得られた単結晶誘電体磁器組成物に、例えばダイヤモンドペーストなどにより端面研磨を施し、Cuなどを蒸着して電極を形成する。
このようにして製造された本実施形態の誘電体磁器組成物は、酸素センサ、半導体、セラミックコンデンサなどの電子部品に好適に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る誘電体磁器組成物は、単結晶の誘電体磁器組成物として製造する方法を例示したが、多結晶の誘電体磁器組成物として製造してもよい。多結晶としての本発明に係る誘電体磁器組成物を製造する方法としては、以下に示す方法を例示することができる。
まず、単結晶の誘電体磁器組成物を製造する場合と同様に、原料粉体を混合成形し、仮焼した仮焼体(元素Mが固溶した正方晶のチタン酸バリウム)を作製する。この仮焼体を、還元雰囲気中で、1450〜1600℃程度で焼成することで、多結晶の誘電体磁器組成物を製造することができる。また、これを粉砕して、粉末として用いることもできる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、チタン酸バリウムの原料として、BaCOおよびTiOを準備し、元素Mの酸化物として、Laを準備した。これらを、一般式(Ba1−xM1)(Ti1−yM2)Oにおけるxが、0(試料1)、0.001(試料2)、0.002(試料3)0.003(試料4)、0.005(試料5a)となるように、ボールミルにて混合した。すなわち、M1としてLaを含有させ、M2は含有させなかった。得られた混合粉を、180MPaの圧力で圧縮成形し、寸法がΦ8mm×100mmの成形体を得た。この成形体を、以下の仮焼条件で仮焼し、Laが固溶した正方晶のチタン酸バリウム(仮焼体)を作製した。
仮焼条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1300〜1400℃、温度保持時間:12時間、冷却速度:600℃/時間、雰囲気ガス:大気とした。
次いで、得られた仮焼体について、赤外線イメージ炉を用いて、FZ法により、溶融し、単結晶を作製した。作製条件としては、溶融温度:1700℃、成長速度:15mm/h、雰囲気:N+Oガスとした。
得られた単結晶を、蛍光X線分析装置にて調べると、Laが、チタン酸バリウム全体に対して、0.1〜0.5質量%含有されていることが確認できた。
次いで、得られた棒状の単結晶誘電体磁器組成物の試料のうち、一部の試料を厚みが1mm程度となるように切断し、切断面を鏡面研磨した。その後、電極としてCuを蒸着し、セラミックコンデンサの試料を得た。各コンデンサ試料について、比誘電率を下記に示す方法により測定した。
比誘電率εs
コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数10kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの信号を入力し、静電容量Cを測定した。そして、比誘電率εs(単位なし)を、誘電体磁器組成物の厚みと、有効電極面積と、測定の結果得られた静電容量Cとに基づき算出した。結果を図2に示す。
次いで、上記の比誘電率を測定しなかった棒状の単結晶誘電体磁器組成物の試料に対して、以下に示すアニール処理を行った。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1000℃、温度保持時間:0.5、96、144、192、240時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:大気とした。
その後、電極としてCuを蒸着し、セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、Φ5mm×1mmの円筒状であった。
得られたコンデンサ試料について、比誘電率(εs)を上記に示す方法により測定した。結果を図2に示す。
実施例2
試料5aについて実施例1と同様にして仮焼体を作製し、単結晶ではなく、多結晶の誘電体磁器組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料(試料5b)を作製し、アニール処理前後における比誘電率を測定した。結果を図2に示す。
実施例3
M1の酸化物としてLaの代わりにCeOを用いた以外は、実施例1と同様にして、一般式(Ba1−xM1)(Ti1−yM2)Oに対して、xが、0.003(試料6)、0.005(試料7)、0.010(試料8)となるコンデンサ試料を作製し、アニール処理前後における比誘電率を測定した。結果を図2に示す。
図2においては、アニール処理を行わずに比誘電率を測定した試料が、アニール処理時間が0hの試料である。図2より、アニール処理前の比誘電率については、Laを含有させなかった試料(試料1)を含めて、100000以上の非常に高い比誘電率を発現していることが確認できる。また、Laの含有量を多くしていくと、比誘電率が大きくなる傾向にあることが確認できる。
さらに、アニール処理後の比誘電率に着目すると、Laを含有させなかった試料(試料1)については、わずか30分のアニール処理により、比誘電率が3桁低下していることが確認できる。
これに対し、Laを0.001モル以上含有させた単結晶誘電体磁器組成物を用いた試料(試料2〜5a)は、30分のアニール処理では、ほとんど比誘電率は変わらない結果となった。また、Laを0.003モル以上含有させた試料(試料4、5a)は、200時間を超えるアニール処理を行っても、比誘電率はそれほど低下していないことが確認できる。なお、Laを0.001モル含有させた試料(試料2)は、96時間のアニール処理では、試料1と同程度の比誘電率となっているが、通常のアニール処理時間(3時間未満)程度であれば、比誘電率の低下は、試料1に比べて小さい。
また、多結晶の誘電体磁器組成物を用いた試料(試料5b)であっても、実施例1と同様の傾向にあることが確認できる。
さらに、Laの代わりにCeを用いた試料(試料6〜8)であっても、実施例1と同様の傾向にあることが確認できる。

Claims (2)

  1. 六方晶構造を有するチタン酸バリウムを主成分とするチタン酸バリウムと、
    元素Mと、を有し、
    前記Mの有効イオン半径が、12配位時のBa2+の有効イオン半径または6配位時のTi4+の有効イオン半径に対して、±20%以内であり、
    前記Mのイオン価数が、前記Baまたは前記Tiのイオン価数よりも大きく、
    前記Mは、LaおよびCeから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記誘電体磁器組成物100モルに対して、前記Mが、0モルより多く、10モル以下含まれている請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
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