以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
[画像形成装置の全体構成及び動作]
(1)画像形成装置の全体構成
先ず、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成及び動作について説明する。
図1に本実施例の画像形成装置100Aの概略断面構成を示す。本実施例の画像形成装置100Aは、インライン方式、中間転写方式を採用したレーザービームプリンタである。又、詳しくは後述するように、本実施例の画像形成装置100Aは、転写同時回収方式で2次転写残トナーを回収する。
画像形成装置100Aは、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4のステーション(画像形成ステーション)10a、10b、10c、10dを有する。第1、第2、第3、第4のステーション10a、10b、10c、10dは、中間転写体としての周回移動可能な中間転写ベルト50の表面の移動方向に沿って最上流側からこの順序で一列に配列されている。
尚、本実施例では、第1、第2、第3、第4のステーション10a、10b、10c、10dは、それぞれイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(K)色のトナー像形成用のステーションである。
又、本実施例では、第1〜第4のステーション10a〜10dの基本的な構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して総括的に説明する。
ステーション10には、像担持体としての円筒型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1が設けられている。感光ドラム1は、図示矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1は、OPC(有機光導電体)感光ドラムである。即ち、本実施例では、感光ドラム1は、金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層などからなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低くほぼ絶縁性である。
感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ(感光体帯電部材)2が設けられている。帯電ローラ2は、感光ドラム1に当接され、感光ドラム1の回転に伴って従動回転しなから感光ドラム1の表面を均一に帯電させる。本実施例では、感光ドラム1の帯電極性は負極性である。帯電ローラ2には、直流電圧、又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。そして、感光ドラム1の回転方向において帯電ローラ2と感光ドラム1の表面との当接ニップ部の上流側及び下流側の微小な空気ギャップで放電が発生することにより感光ドラム1は帯電させられる。
又、帯電した感光ドラム1の表面を露光できるように、露光手段としての露光装置3が配置されている。露光装置3としては、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット、又はLEDアレイが挙げられるが、本実施例では露光装置3はスキャナユニットで構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビームLを感光ドラム1上に照射する。これにより、感光ドラム1上に画像信号に基づく静電像(潜像)が形成される。
又、感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1上に形成された静電像を現像する現像手段としての現像装置(現像ユニット)4が設けられている。現像装置4は、現像剤としての非磁性1成分現像剤、即ち、トナーを収容する現像容器42を有する。現像容器42には、現像剤担持体としての現像ローラ41、現像剤規制部材としての現像剤塗布ブレード43が設けられている。
又、感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1上のトナーをクリーニングするクリーニング装置(クリーニングユニット)6が設けられている。クリーニング装置6は、感光ドラム1上から除去されたトナーを収容する容器である廃トナー容器62を有する。又、この廃トナー容器62に、感光ドラム1上からトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材であるクリーニングブレード61が設けられている。クリーニングブレード61は、感光ドラム1に当接して、感光ドラム1上のトナーを掻き取って、廃トナー容器62内に回収する。
更に、各ステーション10の感光ドラム1と対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト50を有する中間転写ユニット(中間転写装置)5が設けられている。中間転写ユニット5には、中間転写ベルト50の内周面側において各ステーション10の感光ドラム1と対向する位置に、1次転写手段としての1次転写部材(回転部材)である1次転写ローラ51が配置されている。1次転写ローラ51は、中間転写ベルト50を感光ドラム1に向けて押圧して、中間転写ベルト50と感光ドラム1とが接触する1次転写部N1にニップ(1次転写ニップ)を形成する。又、中間転写ベルト50の外周面側において、中間転写ベルト50の張架部材の1つである2次転写対向ローラ55に対向する位置に、2次転写手段としての2次転写部材(回転部材)である2次転写ローラ52が配置されている。2次転写ローラ52は、中間転写ベルト50に対して押圧されており、2次転写ローラ52と中間転写ベルト50とが接触する2次転写部N2にニップ(2次転写ニップ)を形成する。更に、本実施例では、中間転写ベルト50の外周面側において、中間転写ベルト50の張架部材の1つであるテンションローラ54に対向する位置に、トナー帯電手段としての2次転写残トナー帯電部材(回転部材)であるトナー帯電ローラ58が配置されている。トナー帯電ローラ58は、中間転写ベルト50に当接して配置されている。即ち、本実施例では、中間転写ベルト50の表面の移動方向において2次転写部N2よりも下流側且つ第1のステーションの1次転写部N1aよりも上流側において、中間転写ベルト50の表面に接触するトナー帯電ローラ58が配置されている。
画像形成装置100Aは更に、転写材Pに転写されたトナーを転写材Pに定着させる定着手段としての定着装置7、画像を形成する転写材Pを給送するための転写材供給装置8等を有している。
本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6は、画像形成装置の本体(以下、単に「装置本体」ともいう)Aから着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9となっている。尚、プロセスカートリッジとは、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つと、が一体的にカートリッジ化されて、画像形成装置の本体に対して着脱可能とされたものをいう。
又、帯電ローラ2は、帯電ローラ2への電圧供給手段(バイアス出力手段)である帯電バイアス電源21に接続されている。又、現像ローラ41は、現像ローラ41への電圧供給手段(バイアス出力手段)である現像バイアス電源44に接続されている。又、1次転写ローラ51は、1次転写ローラ51への電圧供給手段(バイアス出力手段)である1次転写バイアス電源56に接続されている。又、2次転写ローラ52は、2次転写ローラ52への電圧供給手段(バイアス出力手段)である2次転写バイアス電源57に接続されている。更に、トナー帯電ローラ58は、トナー帯電ローラ58への電圧供給手段(バイアス出力手段)であるトナー帯電バイアス電源59に接続されている。
ここで、中間転写ベルト50は、張架部材として、駆動ローラ53、テンションローラ54、2次転写対向ローラ55の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ53を回転駆動させることにより、中間転写ベルト50の表面は感光ドラム1の表面に対して順方向に略同速度で移動する。
本実施例では、中間転写ベルト50としては、厚さ100μm、体積抵抗率1011ΩcmのPVDF製の無端状ベルトを用いた。張架部材としての駆動ローラ53としては、アルミニウム製の芯金に、カーボンを導電剤として分散した抵抗104Ω、肉厚1.0mmのEPDMゴムを被覆した直径30mmのものを用いた。又、張架部材としてのテンションローラ54としては、直径30mmのアルミニウム製の金属棒を用いた。そして、テンションローラ54の回転軸線方向の両端部において中間転写ベルト50に与えるテンションは、片側19.6N、総圧39.2Nとした。
中間転写ベルト50は、図示矢印R2方向(時計回り)に回転(周回移動)する。1次転写ローラ51は、中間転写ベルト50を挟んで感光ドラム1の反対側に配置されている。
又、中間転写ベルト50の回転方向(移動方向)において各1次転写ローラ51の下流側には、中間転写ベルト50の内周面側に位置して除電部材(除電針)11が配置されている。
尚、駆動ローラ53、テンションローラ54、除電部材11、及び2次転写対向ローラ55は電気的に接地されている。
本実施例では、1次転写ローラ51としては、直径6mmのニッケルメッキ鋼棒に、NBRの発泡スポンジ状の弾性体を肉厚4mmで被覆したものを用いた。この1次転写ローラ51の抵抗値は、絶対水分量1g/m3においては、500V印加時に4×108Ω、絶対水分量25g/m3においては、500V印加時に2.5×107Ωであった。
又、本実施例では、2次転写ローラ52としては、直径6mmのニッケルメッキ鋼棒に、NBRの発泡スポンジ状の弾性体を肉厚5mmで被覆したものを用いた。この2次転写ローラ52の抵抗値は、絶対水分量1g/m3においては、500V印加時に4×107Ω、絶対水分量25g/m3においては、500V印加時に2.5×106Ωであった。
尚、本実施例では、2次転写ローラ52は、中間転写ベルト50に対して、5〜15g/cm程度の線圧で当接させ、且つ、中間転写ベルト50の表面の移動方向に対して順方向に略等速度で回転するように配置した。
又、本実施例では、トナー帯電ローラ58としては、直径6mmのニッケルメッキ鋼棒に、EPDMゴムにカーボンが分散されたソリッド弾性体を肉厚5mmで被覆したものを用いた。このトナー帯電ローラ58の抵抗値は、絶対水分量1g/m3においては、100V印加時に4×106Ω、絶対水分量25g/m3においては、100V印加時に2.5×106Ωであった。
図2は、本実施例の画像形成装置100Aの動作を説明するためのブロック図である。
ホストコンピュータ200は印刷指令を出し、印刷画像の画像データを画像形成装置100A内に設置されたインターフェースボード151に転送する役割を担う。インターフェースボード151はホストコンピュータ200からの画像データを露光データに変換し、制御手段としてのDCコントローラ150に印刷指令を出す。DCコントローラ150は低圧電源152から電力供給されて動作し、印刷指令を受け取ると各種センサ154の状態を監視しながら画像形成シーケンスをスタートさせる。
DCコントローラ150には図示しないCPU、メモリ等が搭載されており、予めプログラムされた動作を行う。具体的にはメインモータ、現像装置4、感光ドラム1の駆動装置等の各種駆動装置155の動作を制御する。同時に露光光量が安定するよう露光装置3の制御を行う。又、定着装置7に接続された電力制御装置156を制御して定着装置7の温度が所定の温度を維持するよう電力制御を行う。又、DCコントローラ150は、カラーモード、モノクロモードを識別して、黒現像装置4dを感光ドラム1dに対して当接又は離間させるための黒現像装置用の現像離間装置45dの動作を制御する。同様に、DCコントローラ150は、色現像装置4a〜4cを感光ドラム1a〜1cに対して当接又は離間させるための色現像装置用の現像離間装置45a〜45cの動作を制御する。更に、DCコントローラ150は、高圧電源153に設けられた複数の高圧電源部の印加電圧、電流をモニタしながら、予めプログラムされた制御電圧、制御電流、タイミングで高圧電源の制御を行う。高圧電源153に設けられる複数の高圧電源部としては、上述の帯電バイアス電源21、現像バイアス電源44、1次転写バイアス電源56、2次転写バイアス電源57、トナー帯電バイアス電源59が含まれる。
即ち、高圧電源153には、画像形成を司る各種の機能部品が接続される。例えば、各ステーション10に設けられた帯電ローラ2は、高圧電源153(帯電バイアス電源21)から高圧電圧の給電を受けて、各ステーション10の感光ドラム1と当接又は近接して、感光ドラム1の表面を均一な電位に帯電する役割を担う。この帯電電位の制御は、高圧電源153(帯電バイアス電源21)内で生成する高圧電圧をDCコントローラ150が制御することにより行われる。同様に、各ステーション10に設けられた現像ローラ41及び1次転写ローラ51、2次転写ローラ52、トナー帯電ローラ58にも高圧電圧が高圧電源153から給電され、その印加電圧、印加電流はDCコントローラ150で制御される。
(2)画像形成装置の画像形成動作
次に、本実施例の画像形成装置100Aの画像形成動作を説明する。
(2−1)カラーモード
先ず、第1〜第4のステーション10a〜10dの全てを用いて、フルカラー画像を形成することのできるカラーモード(多色画像形成モード)の画像形成動作について説明する。
画像形成装置100Aは、待機状態からカラープリントの印刷指令を受けると、カラーモードでの画像形成動作をスタートさせ、各駆動装置の駆動、露光装置の立ち上げ、定着装置の立ち上げ、高圧印加シーケンスをスタートさせる。感光ドラム1や中間転写ベルト50等は、所定のプロセススピードでそれぞれ図示矢印方向に回転を始める。又、カラーモードでは、第1〜第4のステーション10a〜10dの現像装置4a〜4dは、それぞれ感光ドラム1a〜1dと当接される。
感光ドラム1は、帯電ローラ2に帯電バイアス電源21からバイアスが供給されることによって、一様に所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位(本実施例では−500V)に帯電される。続いて、帯電した感光ドラム1の表面には、露光装置3からの走査ビームLによって、画像情報に従った静電像(潜像)が形成される。
現像装置4内のトナーは、現像剤塗布ブレード43によって所定の極性(本実施例では負極性)に帯電されて、現像ローラ41に塗布される。そして、現像ローラ41には、現像バイアス電源44より、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位(本実施例では−300V)のバイアスが供給される。これによって、感光ドラム1が回転して感光ドラム1上に形成された静電像が現像ローラ41との対向部(現像部)に到達すると、静電像は負極性のトナーによって可視化され、感光ドラム1上には各ステーションに対応する色のトナー像が形成される。
このように、本実施例では、現像装置4は、感光体の帯電極性と同極性に帯電したトナーを、帯電した感光体の表面の露光により電荷が減衰した部分(露光部,画像部)に付着させる反転現像方式によって、静電像の現像を行う。
カラーモードでは、先ず、第1のステーション10aの感光ドラム1aに第1色目(本実施例ではY色)のトナー像が形成される。第2〜第4のステーション10b、10c、10dにおいても同様に動作して、それぞれM、C、Kの各色のトナー像が、各感光ドラム1b、1c、1d上に形成される。この時、1次転写位置間の距離に応じて、各色毎に一定のタイミングでDCコントローラ150からの書き出し信号を遅らせながら、露光装置3によって静電像を各感光ドラム1a〜1d上に形成する。
次いで、各ステーション10a〜10dの1次転写ローラ51a〜51dには、各1次転写バイアス電源56a〜56dから、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(即ち、本実施例では正極性)のDCバイアスが印加される。
以上の工程により、中間転写ベルト50にY、M、C、Kの各色のトナー像が順次に重ね合わせて転写(1次転写)されて、中間転写ベルト50上に多重画像が形成される。
1次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー、即ち、1次転写残トナーは、クリーニング装置6によって除去、回収される。
その後、露光による静電像の作像に合わせて、転写材供給装置8によって転写材Pが2次転写部N2へと供給される。即ち、転写材カセット81に積載されている転写材Pは、転写材供給ローラ82によりピックアップされ、図示しない搬送ローラによりレジストローラ83まで搬送される。次いで、転写材Pは、中間転写ベルト50上のトナー像に同期して、レジストローラ83によって、中間転写ベルト50と2次転写ローラ52とで形成される当接部(2次転写部)N2へ搬送される。
2次転写ローラ52には、2次転写バイアス電源57により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(即ち、本実施例では正極性)のバイアスが印加される。これにより、転写材P上に中間転写ベルト50上に担持された4色の多重トナー像が一括して転写(2次転写)される。
一方、2次転写工程を終えた後に中間転写ベルト50上に残留したトナー、即ち、2次転写残トナーは、中間転写ベルト50に当接して配置されたトナー帯電ローラ58により帯電される。トナー帯電ローラ58にはトナー帯電バイアス電源59が接続されており、周波数1kHzでピーク間電圧が1800VのAC電圧に+500VのDC電圧が重畳された電圧が印加されている。
2次転写工程前に正規の帯電極性(本実施例では負極性)を持つトナーは、通常、2次転写工程で転写材P上に転移する。そのため、2次転写残トナーは、正規の帯電極性とは逆極性(即ち、本実施例では正極性)に帯電しているもの、即ち、極性が反転されているものが多い。しかしながら、全ての2次転写残トナーの極性が反転しているわけではなく、中和されて電荷を持たないトナーや、負極性を維持しているトナーも一部存在する。
トナー帯電ローラ58と中間転写ベルト50との間では、当接ニップ部の上流側及び下流側の微小ギャップ部で放電が起きており、中間転写ベルト50上の2次転写残トナーを、正規の帯電極性とは逆極性(即ち、本実施例では正極性)側に帯電させる作用がある。本実施例では、典型的には、トナー帯電ローラ58は、中間転写ベルト50上の2次転写残トナーを実質的に全て、正規の帯電極性とは逆極性に帯電させる。
トナー帯電ローラ58による帯電処理を受けた2次転写残トナーは、中間転写ベルト50上に乗ったままステーション10へと移動し、感光ドラム1に逆転写され、ステーション10の廃トナー容器62に回収される。尚、2次転写残トナーの回収動作については後述して詳しく説明する。
2次転写工程終了後の転写材Pは、定着装置7へと搬送され、トナー像の定着処理を受けて、画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置100Aの外部へと排出される。画像形成物が画像形成装置100Aの外部に正常に排出されたことを図示しない各種センサで検知すると、画像形成装置100Aは各駆動装置の動作を停止して、待機状態に戻る。
(2−2)モノクロモード
次に、特定の単一のステーションを用いて、モノクロ画像を形成することのできるモノクロモード(単色画像形成モード)の画像形成動作について説明する。
本実施例では、画像形成装置100Aは、K色用の第4のステーション10dのみを用いてモノクロ画像として白黒画像を形成することのできるモノクロモードを有する。
モノクロモードにおける基本的な画像形成動作は、トナー像の形成を行わないステーションがあることを除いて上述のカラーモードと同様である。但し、詳しくは後述するように、2次転写残トナーの回収動作は、カラーモードとモノクロモードとでは異なる。
更に説明すると、画像形成装置100Aは、待機状態からモノクロプリントの印刷指令を受けると、モノクロモードでの画像形成動作をスタートさせ、各駆動装置の駆動、露光装置の立ち上げ、定着装置の立ち上げ、高圧印加シーケンスをスタートさせる。
本実施例では、モノクロモードでは、Y、M、Cの各色用のステーションである第1〜第3のステーション10a〜10cの現像装置4a〜4cは、それぞれ感光ドラム1a〜1cから離間したまま保たれる。そして、モノクロモードでは、K色用のステーションである第4のステーション10dにおいてのみ現像装置4dが感光ドラム1dと当接される。これにより、第4のステーション10dにおいてのみ、露光装置3dが感光ドラム1d上に描画する静電像をトナー像として顕在化する。但し、本実施例では、感光ドラムは4個のステーションの全てで回転動作を行う。
[2次転写残トナーの回収]
(1)2次転写残トナーの回収動作の概要
次に、2次転写残トナーの回収動作について説明する。
本実施例の目的は、一般には、転写同時回収方式で2次転写残トナーを回収するインライン方式の画像形成装置において、良好に中間転写体上の残余トナーを回収することである。本実施例のより詳細な目的の1つは、転写同時回収方式で2次転写残トナーを回収するインライン方式の画像形成装置において、より効率的に複数の廃トナー容器へ振り分けて残余トナーを回収することである。又、本実施例のより詳細な目的の1つは、転写同時回収方式、インライン方式の画像形成装置において、各ステーションの使用される比率、カラーモードとモノクロモードの使用割合によらず、各ステーションの廃トナー容器の経済的な使用を可能とすることである。
本実施例では、画像形成装置100Aは、逆極性に帯電した中間転写ベルト50上のトナーを、複数のステーション10のいずれかの感光ドラム1上に中間転写ベルト50上から逆転写させて該ステーション10の廃トナー容器に回収するようになっている。ここで、上記逆転写は、1次転写と同時に行うことが可能となっている。又、複数のステーション10a〜10dの全てにおいてトナー像の形成を行うカラーモード(第1の画像形成モード)と、単一の特定のステーション10dにおいてトナー像の形成を行うモノクロモード(第2の画像形成モード)と、を実行可能である。ここで、モノクロモードでトナー像を形成する上記特定のステーション10dは、中間転写ベルト50の表面の移動方向において最上流のステーション10a以外のステーションである。
そして、本実施例では、カラーモードとモノクロモードとでは、複数のステーション10のうち上記逆転写によってトナーを主に回収するステーションが異なる。又、カラーモードにおいて最上流のステーション10aでの1次転写が終了した後に該最上流のステーション10aの1次転写部N1aに到達する逆極性に帯電した中間転写ベルト50上のトナーの少なくとも一部は、次のようにして回収される。即ち、該最上流のステーション10aの1次転写部N1aを通過した後に該最上流のステーション10a以外のステーションで上記逆転写によって回収されるようになっている。
(2)2次転写残トナーの回収動作の詳細
(2−1)カラーモードにおける2次転写残トナーの回収動作
先ず、カラーモードにおける2次転写残トナーの回収動作について説明する。
図3は、具体的にカラーモード時の動作を説明するタイミングチャートを示す。図3の横軸は時間である。図3中のYst.、Mst.、Cst.、Kst.のラインは、それぞれ第1〜第4のステーション10a〜10dの1次転写部N1a〜N1dの動作(具体的には1次転写ローラに印加するバイアス)を表している。又、図3中の2ndXferのラインは、2次転写部N2の動作(具体的には2次転写ローラに印加するバイアス)を表している。又、図3は、1回の印刷指令(1ジョブ)で6枚の画像の連続プリントを行った場合について例示している。
第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスの出力は、トナー像が1次転写部N1aに到達する充分前(好ましくは感光ドラム1の1周分より前)にオンとされる。この時、1次転写ローラ51aに印加するバイアスは、画像形成中の電圧レベル、即ち、通常の1次転写用のバイアス(1次転写電圧)である+500Vにされる。同様に、第2〜第4のステーション10b〜10dにおいても、順次に1次転写ローラ51b〜51dに印加するバイアスの出力がオンとされる。この時、1次転写ローラ51b〜51dに印加するバイアスは、通常の1次転写用のバイアスである+500Vにされる。
その後、第1のステーション10aの現像部で形成されたトナー像が中間転写ベルト50に1次転写される。図3中のY1は第1のステーション10aで形成された1枚目のトナー像が感光ドラム1aから中間転写ベルト50に1次転写されている期間を表している。Y2、Y3、Y4、Y5、Y6は、それぞれ第1のステーション10aで形成された2枚目〜6枚目のトナー像が1次転写されている期間を表す。第2のステーション10bについてのM1〜M6、第3のステーション10cについてC1〜C6、第4のステーション10dについてのK1〜K6についても同様であり、1文字目の英文字がステーションの色を示し、2つ目の数字が何枚目であるかを示している。
又、2ndXferのラインで示される2次転写ローラ52に印加するバイアスは、LoレベルとHiレベルとの間で交互に出力を変化させている。Loは、転写材Pが2次転写部N2にない場合の比較的低いバイアス(本実施例では+1000V)の出力を行っている状態を示している。又、Hiは、転写材Pが2次転写部N2にある場合の比較的高いバイアス(本実施例では+1500V)の出力を行っている状態を示している。図3中のpage1〜page6は、それぞれ1枚目〜6枚目のトナー像の転写材Pへの2次転写が行われている期間を表している。
時刻t1は、第1のステーション10aの1次転写部N1aで中間転写ベルト50上に1枚目のトナー像の1次転写が開始される時刻である。時刻t1から時刻t2までの間に、トナー像の先端が、中間転写ベルト50上で、第2のステーション10bの1次転写部N1bまで移動する。時刻t2において、Y色のトナー像の上にM色のトナー像が重ねて1次転写され始める。
同様に、時刻t3、t4は、それぞれ中間転写ベルト50上に形成された1枚目のトナー像の先端が、第3、第4のステーション10c、10dの1次転写部N1c、N1dに到達する時刻である。
t5は、中間転写ベルト50上のトナー像が2次転写部N2まで到達し、転写材P上へのトナー像の2次転写が開始される時刻である。
時刻t6は、1枚目のトナー像の2次転写残トナーがトナー帯電ローラ58で帯電処理を受けた後に、第1のステーション10aの1次転写部N1aに到達する時刻である。即ち、時刻t1から時刻t6までの間に、中間転写ベルト50が1周回転する。換言すれば、この時刻t1から時刻t6までの時間が、1次転写されたトナー像が2次転写残トナーとして周回して同じステーションの1次転写部N1に戻ってくるまでに要する時間である。
図3中のWY1は、1枚目のトナー像の2次転写残トナーが第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する期間を示している。WY2、WY3、WY4、WY5、WY6は、それぞれ2枚目〜6枚目のトナー像の2次転写残トナーが第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する期間を示している。第2のステーション10b、第3のステーション10cについても同様であり、1文字目のWが2次転写残トナーであること、2文字目の英文字がステーションの色、3文字目の数字が何枚目のトナー像の2次転写残トナーであるかを示している。
2次転写残トナーが1次転写部N1を通過している間に、その1次転写部N1に逆帯電された2次転写残トナーと同極性(本実施例では正極性)のバイアスが印加されていると、2次転写残トナーはそのステーション10の感光ドラム1に逆転写される。
ここで、例えば、図3中の期間Y3では、感光ドラム1に形成されたトナー像を中間転写ベルト50に1次転写している間に、正規の極性とは逆極性に帯電した2次転写残トナーが1次転写部N1まで移動されてくる。この時、中間転写ベルト50上にあって正規の極性とは逆極性に帯電した2次転写残トナーと、感光ドラム1上にあって1次転写されるべき正規の極性に帯電したトナーとは、感光ドラム1と中間転写ベルト50とのニップ部で、電気的に殆ど中和することはない。このため、例えば期間Y3における正規の極性に帯電している感光ドラム1a上のトナーは中間転写ベルト50へ移動し、期間WY1における逆極性に帯電した中間転写ベルト50上のトナーは感光ドラム1aへ移動する。このように、感光ドラム1上の1次転写されるべきトナーと、中間転写ベルト50上の2次転写残トナーとは、各々独立に移動し、転写同時回収が行われる。その他の1次転写工程と2次転写残トナーの回収工程とが重なる期間、即ち、期間Y4と期間WY2、期間Y5と期間WY3、期間Y6と期間WY4でも同様である。
そして、本実施例では、4枚目のトナー像の2次転写残トナーが第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過した後の時刻t7において、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスが−500Vに切り替えられる。つまり、期間WY4が経過した直後の時刻t7において、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスが切り替えられる。本実施例では、時刻t7において、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスは、トナーの正規の極性とは逆極性のバイアスから、トナーの正規の帯電極性と同極性のバイアスに切り換えられる。
WY1、WY2、WY3、WY4の各期間の2次転写残トナーは、第1のステーション10aの1次転写部N1aで感光ドラム1aに逆転写され、第1のステーション10aの廃トナー容器62aに回収される。
5枚目及び6枚目のトナー像(即ち、WY5、WY6の各期間)の2次転写残トナーは、第1のステーション10aではほとんど回収されずに、第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過して第2のステーション10bの1次転写部N1bへと運ばれる。
5枚目のトナー像の2次転写残トナーが第2のステーション10bの1次転写部N1bを通過している期間WM5では、第2のステーション10bの1次転写ローラ51bには通常の1次転写用のバイアス(1次転写電圧)が印加されている。そのため、期間WM5の2次転写残トナーは、ほぼ全量が第2のステーション10bで回収される。
次に、5枚目のトナー像の2次転写残トナーが第2のステーション10bの1次転写部N1bを通過した後の時刻t9において、第2のステーション10bの1次転写ローラ51bに印加するバイアスが−500Vに切り替えられる。つまり、期間WM5が経過した直後の時刻t9において、第2のステーション10bの1次転写ローラ51bに印加するバイアスが切り替えられる。本実施例では、時刻t9において、第2のステーション10bの1次転写ローラ51bに印加するバイアスは、トナーの正規の極性とは逆極性のバイアスから、トナーの正規の帯電極性と同極性のバイアスに切り替えられる。
6枚目のトナー像(即ち、期間WM6)の2次転写残トナーは、第2のステーション10bではほとんど回収されずに、第2のステーション10bの1次転写部N1bを通過して第3のステーション10cの1次転写部N1cへと運ばれる。
そして、6枚目のトナー像の2次転写残トナーが第3のステーション10cの1次転写部N1cを通過している期間WC6では、第3のステーション10cの1次転写ローラ51cには通常の1次転写用のバイアスが印加されている。そのため、期間WC6の2次転写残トナーは、ほぼ全量が第3のステーション10cで回収される。
第1〜第4のステーション10a〜10dの各1次転写ローラ51a〜51dに印加するバイアスは、それぞれt11、t12、t13、t8においてオフされる。即ち、第1のステーション10aでは、1次転写ローラ51aに印加するバイアスは、上述のように時刻t7において切り替えられた後、期間WY6が経過した直後の時刻t11においてオフされる。第2のステーション10bでは、1次転写ローラ51bに印加するバイアスは、上述のように時刻t9において切り替えられた後、期間WM6が経過した直後の時刻t12においてオフされる。又、第3のステーション10cでは、1次転写ローラ51cに印加するバイアスは、切り替えられることなく、期間WC6が経過した直後の時刻t13においてオフされる。一方、本実施例では、カラーモードでは、第1〜第3のステーション10a〜10cにおいて実質的に全ての2次転写残トナーが回収される。そのため、第4のステーション10dでは、1次転写ローラ51dに印加するバイアスは、6枚目のK色のトナー像を感光ドラム1dから中間転写ベルト50に1次転写する期間K6が経過した直後の時刻t8においてオフされる。
図4は、1次転写部における印加電圧と回収率(回収比率)との関係を示す。図4の横軸は、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスの電圧値を示す。図4の縦軸は、回収率をパーセント表示したものである。
図4中の実線は、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加する電圧を変えたときの第1のステーション10aの回収率を示す。ここで、第1のステーション10aの回収率とは、次のように定義されるものである。即ち、中間転写ベルト50の表面の移動方向において、第1のステーション10aの1次転写部N1aの前の中間転写ベルト50上にある2次転写残トナーの重量をαとする。又、その中間転写ベルト50上の部分が第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過した後に第1のステーション10aの感光ドラム1aに転移した2次転写残トナーの重量をβとする。この時、第1のステーション10aの回収率は、下記の式、
(β/α)×100
で表される重量比率である。
図4中の破線は、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加する電圧を変えたときの第2のステーション10bの回収率を示す。ここで、第2のステーションの回収率とは、次のように定義されるものである。即ち、上記同様、中間転写ベルト50の表面の移動方向において、第1のステーション10aの1次転写部N1aの前の中間転写ベルト50上にある2次転写残トナーの重量をαとする。又、その中間転写ベルト50上の部分が第2のステーション10bの1次転写部N1bを通過した後に第2のステーション10bの感光ドラム1bに転移した2次転写残トナーの重量をγとする。この時、第2のステーション10bの回収率は、下記の式、
(γ/α)×100
で表される重量比率である。
この実験に際し、第1、第2のステーション10a、10bの感光ドラム1a、1bの表面電位(帯電電位)は−500Vで一定とした。又、第2のステーション10bの1次転写ローラ51bに印加するバイアスは+500Vに固定した。又、トナー帯電ローラ58には、周波数1kHzでピーク間電圧が1800VのAC電圧に+500VのDC電圧が重畳された電圧を印加した。
第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスが、−500V以下(例えば−800V)になると、第1のステーション10aでの2次転写残トナーの回収は行われない。そして、2次転写残トナーのほぼ全量が、第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する。即ち、1次転写ローラ51aに印加するバイアスが−500V又はそれよりも負極性側のバイアスであれば、第1のステーション10aでの2次転写残トナーの回収は行われない。そして、2次転写残トナーのほぼ全量が、第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する。
1次転写ローラ51aに印加するバイアスが、感光ドラム1aの表面電位である−500Vより高いと、1次転写ローラ51aと感光ドラム1aとの間に、正極性のトナーを中間転写ベルト50上から感光ドラム1a上に移動させる向きの電界が生じる。即ち、1次転写ローラ51aに印加するバイアスが−500Vよりも正極性側のバイアスであれば、1次転写部材51aと感光ドラム1aとの間に、正極性のトナーを中間転写ベルト50上から感光ドラム1a上に移動させる向きの電界が生じる。この電界は、1次転写ローラ51aから感光ドラム1aへの正の電界である。この電界により、正極性の帯電極性に揃えられた2次転写残トナーの、中間転写ベルト50上から感光ドラム1a上への逆転写が始まり、第1のステーション10aでの回収が始まる。
又、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスが−300V〜−100Vであれば、一部の2次転写残トナーが第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する。
又、第1のステーション10aの回収率と第2のステーション10bの回収率との和は、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスによらず、ほぼ100%に近い。従って、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスによらず、例えば第2のステーション10bの1次転写ローラ51bに印加するバイアスを+500Vとする。これにより、第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過した2次転写残トナーは、第2のステーション10bでほぼ全量回収される。
このように、好ましくは、1次転写ローラに印加するバイアスを、感光ドラムの表面電位と等しいか又は感光ドラムの表面電位よりもトナーの正規の帯電極性側の電位にすることで、そのステーションでの2次転写残トナーの回収を抑制できる。換言すれば、1次転写ローラに印加するバイアスを感光ドラムの表面電位と等しくするか、又は感光ドラムの表面電位と1次転写ローラに印加するバイアスとの電圧差分をトナーと同極性にすることで、そのステーションでの2次転写残トナーの回収を抑制できる。これにより、特定のステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを抑制できる。そのため、第1のステーション10aのカートリッジで顕著となり易い、頻繁な交換による不経済性を緩和することができる。
又、例えば、1次転写ローラ51aに印加するバイアスを−200Vと、第1のステーション10aの回収率が50%近辺となるように設定した場合について考える。この場合、回収される2次転写残トナーの量と通過する転写残トナーの比率は、2次転写残トナーの帯電電荷量、画像形成装置が設置される周辺環境の温湿度、プロセスカートリッジの使用履歴等、多くの要因によって変化し易い。即ち、ステーション毎に1次転写ローラ51に印加するバイアスを異ならせて保持することで各ステーションの回収率を調整すると、その回収率は環境によって変化し易い。
一方、回収率0%近辺及び100%近辺では、上述のような変動要因が回収率に与える影響は少ない。上述のように、好ましくは、1次転写ローラに印加するバイアスを、感光ドラムの表面電位と等しいか又は感光ドラムの表面電位よりもトナーの正規の帯電極性側とする。換言すれば、感光ドラムの表面電位と1次転写ローラに印加するバイアスとの電圧差分を、略ゼロ又はトナーと同極性とする。これにより、逆転写量が不安定となる中間領域を脱して、比較的安定して2次転写残トナーを通過させることができる。
又、回収率を安定させるためには、安定してほぼ全量を回収するバイアス条件と、安定してほぼ全量の2次転写残トナーを通過させられるバイアス条件を時間で切り替える方法がより好ましい。つまり、回収時間と通過時間の比を制御することで回収量を調整することにより、通過と回収の比率をより精度良く制御することが可能となる。
本実施例では、出力画像のほぼ4枚分の2次転写残トナーが第1のステーション10aに、1枚分が第2のステーション10bに、又1枚分が第3のステーション10cに回収される。そして、上述のような周辺環境等の変動要因によって、その回収率はほぼ変わらない。
尚、トナー像の1次転写工程中に1次転写ローラに印加するバイアスを変化させると、感光ドラムから中間転写ベルトへのトナーの転写効率が変動してしまい、画像上の濃度ムラや濃度段差、或いは横スジ状の画像不良を発生させる要因となるため好ましくない。又、2次転写残トナーが全て第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過するまで1次転写ローラ51aに印加するバイアスを変化させないと、第1のステーション10aに偏って2次転写残トナーが回収されてしまう。又、2次転写残トナーは、4個のいずれのステーションでも回収せずに通過させると、中間転写ベルト上で周回し、2次転写ローラまで到達する。そのため、2次転写ローラを、これに接触した2次転写残トナーで汚染してしまい、次回のプリント時に転写材Pの裏汚れとなる可能性があるため好ましくない。
そこで、本実施例では、第1のステーション10aにおいてトナー像の1次転写を行っていない時で、且つ、2次転写残トナーが全て第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する前に1次転写ローラ51aに印加するバイアスを変化させる。上述のように、この時、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスを、通常の1次転写用のバイアスからトナーの正規の帯電極性と同極性方向(本実施例では、マイナス側、つまり、電圧を減らす方向)に変化させる。又、第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過した2次転写残トナーは、中間転写ベルト50上で周回させることなく、その後いずれかのステーションにおいて回収されるようにする。本実施例では、第2、第3のステーション10b、10cでそれぞれ回収する。これにより、画像品質を維持したまま、第1のステーション10aでの2次転写残トナーの回収を抑制できる。従って、特定のステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを防止し、第1のステーション10aのカートリッジで顕著となり易い、頻繁な交換による不経済性を緩和することができる。
(2−2)モノクロモードにおける2次転写残トナーの回収動作
図5は、具体的にモノクロモード時の動作を説明するタイミングチャートを示す。図5は、1回の印刷指令(1ジョブ)によりモノクロモードで6枚の画像を連続印字した際のタイミングを示しており、図5中の符号は基本的に図3中の符号と同一の意味を有する(但し、時刻t1〜t10は異なる時刻を示す)。
モノクロモードではK色用のステーションである第4のステーション10dのみが作像を行う。モノクロモードでは、トナー像の重ね合わせが必要なく、第1のステーション10aのトナー像が第4のステーション10dに来るまで待たずに第4のステーション10dの作像を開始する。このため、最初の1枚の印字にかかる時間(プリント信号を受けてから転写材Pが排出されるまでの時間)を短縮することが可能となり、画像の生産性を向上できるという利点がある。特に、モノクロモードで画像形成を行うステーション(本実施例ではK色用のステーション)を、中間転写ベルト50の表面の移動方向において最下流のステーションとする場合に、この効果は最も大きい。
時刻t1において、第4のステーション10dでは、1次転写ローラ51dに対して+500Vのバイアスの印加が開始される。同時に、第1〜第3のステーション10a〜10cでは、1次転写ローラ51a〜51cに対して−500Vのバイアスの印加が開始される。
その後、1枚目のトナー像が第4のステーション10dの感光ドラム1d上で1次転写部N1dに到達し、期間K1において中間転写ベルト50上に1次転写される。同様に、K2〜K6の各期間では、2枚目〜6枚目のトナー像が第4のステーション10dの1次転写部N1dにおいて中間転写ベルト50に1次転写される。
1枚目のトナー像の2次転写残トナーが第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する期間WY1では、第1のステーション10aの1次転写ローラ51aに印加するバイアスは−500Vになっている。そのため、2次転写残トナーは、第1のステーション10aでは回収されずに、ほぼ全量が第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する。同様に、WY2〜WY6の各期間においても、2次転写残トナーは、ほぼ全量が第1のステーション10aの1次転写部N1aを通過する。
第2、第3のステーション10b、10cの各1次転写ローラ51b、51cにも−500Vのバイアスが印加されている。そのため、6枚分のトナー像の2次転写残トナーは、第1〜第3のステーション10a〜10dでは殆ど回収されずに、第4のステーション10dの1次転写部N1dまで到達する。
一方、第4のステーション10dでは、WK1〜WK4の各期間の2次転写残トナーは、3枚目〜6枚目のトナー像の1次転写(期間K3〜K6)と同時に、感光ドラム1dに逆転写される。WK5、WK6の各期間においても、第4のステーション10dの1次転写ローラ51dに印加するバイアスは、通常の1次転写用のバイアスと同じ+500Vに保たれているため、2次転写残トナーは感光ドラム1dに逆転写される。これにより、6枚分のトナー像の2次転写残トナーは、実質的に全て第4のステーション10dの廃トナー容器62dに回収される。
第1〜第4のステーション10a〜10dの各1次転写ローラ51a〜51dに印加するバイアスは、それぞれt7、t8、t9、t10においてオフされる。即ち、第1のステーション10aでは、1次転写ローラ51aに印加するバイアスは、期間WY6が経過した直後の時刻t7においてオフされる。第2のステーション10bでは、1次転写ローラ51bに印加するバイアスは、期間WM6が経過した直後の時刻t8においてオフされる。第3のステーション10cでは、1次転写ローラ51cに印加するバイアスは、期間WC6が経過した直後の時刻t9においてオフされる。又、第4のステーション10dでは、1次転写ローラ51dに印加するバイアスは、期間WK6が経過した直後の時刻t10においてオフされる。
このように、本実施例では、カラーモードでは、第1、第2のステーション10a、10bでは、感光ドラム1と中間転写ベルト50との間に次のような電界が切り替えて生成される。第1に、トナーの正規の帯電極性である第1の極性のトナーを感光ドラム1上から中間転写ベルト50上に移動させ、又上記第1の極性とは逆極性である第2の極性のトナーを中間転写ベルト50上から感光ドラム1上に移動させる方向の電界(第1の電界)である。第2に、上記第1の極性のトナーを中間転写ベルト50上から感光ドラム1上に移動させ、又上記第1の極性とは逆極性である第2の極性のトナーを感光ドラム1上から中間転写ベルト50上に移動させる方向の電界(第2の電界)である。第1の電界と第2の電界とは逆向きの電界である。第1の電界は、1次転写時と同方向の電界であり、又正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーを当該1次転写部で感光ドラムに逆転写させる方向の電界である。又、第2の電界は正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーを当該1次転写部を通過させる方向の電界である。特に、本実施例では、上記第1の電界と第2の電界とを、1次転写バイアス電源56から1次転写ローラ51に対して出力するバイアスの極性を変更することによって切り替える。一方、カラーモードにおいて、第3、第4のステーション10c、10dでは、上記第1の電界が生成される。
又、モノクロモードでは、第1〜第3のステーション10a〜10cでは、上記第2の電界が生成される。特に、本実施例では、この第2の電界は、1次転写バイアス電源56から1次転写ローラ51に対して出力するバイアスの極性を、カラーモードにおける1次転写時の極性から変更することによって生成する。一方、モノクロモードにおいて、第4のステーション10dでは、上記第1の電界が生成される。
即ち、本実施例では、少なくとも第1〜第3のステーション10a〜10cの1次転写バイアス電源56a〜56cは、上記第1の電界と第2の電界を生成できるようになっている。特に、本実施例では、少なくとも第1〜第3のステーション10a〜10cの1次転写バイアス電源56a〜56cは、各1次転写ローラ51a〜51cに対して出力するバイアスの極性を切り替える切り替え手段を有している。つまり、本実施例では、少なくともこれらの1次転写バイアス電源56a〜56cは、トナーの正規の帯電極性と同極性のバイアスを出力する第1のバイアス出力部と、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスを出力する第2のバイアス出力部とを有する。
ここで、感光ドラムの表面は絶縁性であるため、当接する部材又はトナーの電荷を受けて電位が不安定に変動し易い。従って、画像形成を行わないステーションにおいて、帯電バイアス、露光装置をオフした状態で感光ドラムが中間転写ベルトと接していると、中間転写ベルトから感光ドラムへのトナーの逆転写が不安定に発生し易い。
ところで、感光ドラムと中間転写ベルトが当接した状態で、その当接部において2次転写残トナーを感光ドラムに逆転写させずに通過させるためには、感光ドラムと中間転写ベルトとの間に次のような電界を積極的に設けることが好ましい。即ち、正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーを感光ドラムの表面から中間転写ベルトに向けて移動させる方向の電界である。本実施例では、感光ドラムの表面電位を1次転写ローラに印加するバイアスに対してトナーの正規の帯電極性とは逆極性側にすることが好ましい。換言すれば、本実施例では、感光ドラムの表面電位と1次転写ローラに印加するバイアスの差分をプラスにすることが好ましい。
このような電界を安定的に維持するために、感光ドラムの電位を安定して制御することが好ましい。具体的には、感光ドラムに当接する帯電ローラに帯電電圧を印加すること、及び/又は感光ドラムを露光することによって、感光ドラムの電位を安定させることができる。
このように、好ましくは、モノクロモードにおいて画像形成に関与しないステーションにおいても、感光ドラムに帯電電圧を印加するか、それに加えて又は替えて感光ドラムを露光する。これにより、そのステーションにおいて2次転写残トナーを回収させずに、そのステーションの1次転写部を安定して通過させることができる。
(2−3)本実施例の効果
以上、本実施例によれば、転写同時回収方式で2次転写残トナーを回収するインライン方式の画像形成装置において、良好に中間転写体上の残余トナーを回収することができる。特に、本実施例によれば、転写同時回収方式で2次転写残トナーを回収するインライン方式の画像形成装置において、より効率的に複数の廃トナー容器へ振り分けて残余トナーを回収することができる。又、本実施例によれば、転写同時回収方式、インライン方式の画像形成装置において、各ステーションの使用される比率、カラーモードとモノクロモードの使用割合によらず、各ステーションの廃トナー容器の経済的な使用を可能とすることができる。
つまり、従来の画像形成装置では、例えば連続画像形成を行う場合、第1のステーションの1次転写ローラには、1次転写工程中は正極性の電圧を印加し続ける。帯電処理を受けた2次転写残トナーが第1のステーションの1次転写部に来ると、感光ドラム上のトナー像は中間転写ベルトへ移動し、中間転写ベルト上の2次転写残トナーは感光ドラムへと逆転写される。そして、逆転写された2次転写残トナーは、第1のステーションの廃トナー容器に格納される。この時、カラーモードの場合は、Y、M、C、Kの各色の2次転写残トナーがほぼ全て第1のステーションの廃トナー容器に回収される。モノクロモードの場合も同様に、K色の2次転写残トナーがほぼ全て第1のステーションの廃トナー容器に回収される。このため、モノクロモードを頻繁に使用すると、カラー画像を印刷していないにも拘わらず、第1のステーションの廃トナー容器が一杯となって、第1のステーションのカートリッジ、例えば、イエローカートリッジの交換を余儀なくされる場合があった。
これに対して、本実施例によれば、カラーモードとモノクロモードとで主に2次転写残トナーを回収するステーションを異ならせる。これにより、第1のステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを防止して、カートリッジの経済的な使用が可能となる。
又、本実施例によれば、モノクロモードでは、主に、モノクロモードにおいてトナー像を形成するステーション(本実施例ではK色用の第4のテーション)で2次転写残トナーを回収する。これにより、モノクロモードにおいて、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーションに2次転写残トナーが回収されることを抑制し、カラーモード時にのみ使用するカートリッジの経済的な使用が可能となる。特に、モノクロモードにおいて、カラーモード時にのみトナー像を形成する第1のステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを抑制し、カラーモード時にのみ使用する第1のステーションのカートリッジの経済的な使用が可能となる。
ところで、中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像が、中間転写ベルトの回動方向下流側のステーションの1次転写部を通過する際に、中間転写ベルト又はトナー像と感光ドラムとが放電を起こし、これにより帯電極性が反転したトナーが生成されることがある。このようなトナーの一部が感光ドラムに逆転写されてしまうことにより、中間転写ベルト上のトナー像は、下流側のステーションに進むほどそのトナー量が減少することがある。この現象を、再転写という。
再転写現象は、放電だけではなく、トナーと感光ドラムとの機械的付着力によっても生じ得る。第1のステーションでは、その上流側にステーションがないため、再転写されたトナーを回収することはほとんどない。ところが、第4のステーションでは、第1、第2、第3のステーションで形成されたトナー像から再転写されたトナーを回収する。つまり、下流側にあるステーションほど、再転写されたトナーを回収する量が増える傾向がある。
このように、2次転写残トナーを転写同時回収するインライン画像形成装置特有の現象として、第1のステーションと第4のステーションにおける廃トナーの回収量が多くなる傾向がある。第1のステーションは、中間転写ベルトの回動方向においてトナー帯電ローラより下流側の最初のステーション(カラーモードにおけるトナー像の形成順序において最初(最上流)のステーション)である。第4のステーションは、中間転写ベルトの回動方向においてトナー帯電ローラより上流側の最初のステーション(カラーモードにおけるトナー像の形成順序において最終(最下流)のステーション)である。
従って、カラーモード、モノクロモードの使用比率によらずに上述のような廃トナーの回収量の不均衡を解消するためには、2次転写残トナーを各ステーションに振り分けることが好ましい。
又、上述のように、モノクロモードでトナー像を形成するステーションのみの使用で、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーションのカートリッジの交換が余儀なくされることを抑制することが好ましい。
即ち、カラーモードでは、転写同時回収を行っていない時(即ち、1次転写を行っていない時)には、極力、第1のステーションとモノクロモードでトナー像を形成するステーション以外のステーションで2次転写残トナーを回収することが好ましい。つまり、モノクロモードでトナー像を形成するステーションが第4のステーションである場合、カラーモードでは、転写同時回収を行っていない時に、第1のステーションと第4のステーション以外のステーションで2次転写残トナーを回収することが好ましい。
更に、第2のステーションと第3のステーションとでは、カラーモード時における再転写によるトナーの回収量は、上述の理由により第3のステーションの方が多くなる傾向がある。そのため、各ステーションの総廃トナー量の均衡を保つために、2次転写残トナーについては、第2のステーションでの回収量を、第3のステーションでの回収量より多くすることがより好ましい。
本実施例によれば、カラーモードでは、モノクロモードでトナー像を形成するステーション(本実施例ではK色用の第4のステーション)以外のステーションで2次転写残トナーの回収を行う。これにより、カラーモードにおいて、モノクロモードにおいてトナー像を形成するステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを抑制し、モノクロモードにおいて使用するカートリッジの経済的な使用が可能となる。更に、本実施例によれば、1次転写を行っていない時には、極力、第1のステーションとモノクロモードにおいてトナー像を形成するステーション以外のステーション(本実施例では第2、第3のステーション)で2次転写残トナーを回収する。これにより、カラーモードで使用するカートリッジの経済的な使用が可能となる。
このように、好ましくは、カラーモードにおいて、2次転写残トナーを、モノクロモードでトナー像を形成するステーション以外のステーション回収するようにし、且つ、1次転写時以外には第1のステーション以外のステーションで回収するようにする。これにより、第1のステーション及びモノクロモードでトナー像を形成するステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを抑制し、全てのカートリッジの経済的な使用が可能となる。
又、本実施例では、モノクロモードでは、モノクロモードでトナー像を形成するステーション以外のステーションにおいて、トナーの正規の帯電特性と同極性の電圧を1次転写ローラに印加する。好ましくは、モノクロモードでは、モノクロモードでトナー像を形成するステーション以外のステーションにおいて、1次転写ローラに印加するバイアスを、感光ドラムの表面電位と等しいか又は感光ドラムの表面電位よりもトナーの正規の帯電極性側の電位にする。換言すれば、モノクロモードでは、モノクロモードでトナー像を形成するステーション以外のステーションにおいて、感光ドラムの表面電位と1次転写ローラに印加するバイアスとの差分が略ゼロ又はトナーと同極性となるようにする。これにより、2次転写残トナーがカラーモード時にのみトナー像を形成するステーション(本実施例では第1〜第3のステーション)で回収されないように制御する。そして、モノクロモードでトナー像を形成するステーション(本実施例では第4のステーション)で、2次転写残トナーをほぼ全量回収する。これにより、モノクロモードで画像形成を行うことによって、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーションの廃トナー容器の容積が減ることを防止することができる。従って、モノクロモードのみの使用にも拘わらず、カラーモード時にのみ使用するカートリッジ、例えばイエロー用のカートリッジの廃トナー容器が一杯になって、そのカートリッジの交換を余儀なくされるといった不具合を抑制することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1の画像形成装置100Aのものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
図6は、本実施例の画像形成装置100Bの概略断面構成を示す。
本実施例では、中間転写ユニット5が備える中間転写ベルト50は、駆動ローラ53、テンションローラ54、2次転写対向ローラ55、及び離接制御ローラ12の4本のローラにより支持されている。
カラーモードでは、離接制御ローラ12は図6に示す位置にあって、中間転写ベルト50と第1〜第4のステーション10a〜10dの感光ドラム1a〜1dとが1次転写ローラ51a〜51dによって押圧されて接触した状態を維持する。カラーモードでは、実施例1と同様のタイミングチャートに従い動作する。
一方、モノクロモードでは、離接制御ローラ12は図7に示す位置にあって、中間転写ベルト50が、第1〜第3のステーション10a〜10cの感光ドラム1a〜1cから離間し且つ第4のステーション10dの感光ドラム1dと接触した状態を維持する。
更に説明すると、本実施例の画像形成装置100Bは、待機状態からモノクロモードでの印刷指令を受けると、図示しない可動手段によって、離接制御ローラ12が、図6に示す位置から図7に示すように図中下方に退避する。即ち、離接制御ローラ12は、中間転写ベルト50を内周側から外周側に向けて付勢する位置から、中間転写ベルト50の上記付勢を解除するように中間転写ベルト50の内側に向けて移動する。この時、同時に、第1〜第3のステーション10a〜10cの1次転写ローラ51a〜51c、除電部材(除電針)11a〜11cが連動して図中下方に退避する。離接制御ローラ12及びその可動手段、移動可能な1次転写ローラ51a〜51cなどを有して、カラーモードとモノクロモードとで感光ドラム1a〜1dと中間転写ベルト50との当接又は離間の状態を変更する当接離間機構が構成される。この動作によって、中間転写ベルト50は第1〜第3のステーション10a〜10cの感光ドラム1a〜1cから離間され、第4のステーション10dの感光ドラム1dのみが中間転写ベルト50と当接される。
モノクロモードでは、第1〜第3のステーション10a〜10cにおいて、感光ドラム1a〜1cは回転動作を停止し、又帯電ローラ2a〜2c及び現像ローラ41a〜41cへの給電は行われず0Vを維持する。又、現像ローラ41a〜41cは、感光ドラム1a〜1cから離間した状態を維持する。
モノクロモードにおいて、例えば連続印字を行った場合に発生する2次転写残トナーは、第1〜第3のステーション10a〜10cの感光ドラム1a〜1cとは接しない。そのため、2次転写残トナーは、これらの感光ドラム1a〜1cには逆転写されず、第4のステーション10dの1次転写部N1dへと周回する。第4のステーション10dの1次転写ローラ51dには、2次転写残トナーが全て1次転写部N1dを通過するまで通常の1次転写用のバイアスである+500Vが印加されている。これにより、2次転写残トナーは、実質的に全て第4のステーション10dの感光ドラム1dに逆転写され、第4のステーション10dの廃トナー容器62dに回収される。
このような動作によって、モノクロモードにおいて、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーション(本実施例では第1〜第3のステーション)で2次転写残トナーが回収されないように、より厳密に制御することができる。そして、モノクロモードでトナー像を形成するステーションで2次転写残トナーをほぼ全量回収することで、モノクロモードにおいて、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーションの廃トナー容器の容積が減ることを防止することができる。これにより、モノクロモードのみの使用にも拘わらず、カラーモード時にのみ使用するカートリッジ、例えばイエロー用のカートリッジの廃トナー容器が一杯になって、そのカートリッジの交換を余儀なくされるといった不具合を抑制することができる。
又、本実施例では、モノクロモードにおいて第1〜第3のステーション10a〜10cの感光ドラム1a〜1c等の回転動作、バイアス印加を行わない。そのため、感光ドラム1a〜1c等の磨耗を防止することができ、カラーモード時にのみ使用するカートリッジの寿命を延長し、更に経済的な利用が可能となる。
尚、各ステーションに個別に感光ドラムと中間転写ベルトとの当接離間機構を設けることによって、カラーモードにおいて、第1のステーション10aに2次転写残トナーが集中して回収されることを緩和することができ、より好ましい。この場合、カラーモードにおいて第1のステーション10aにおける1次転写工程が終わった後に、第1のステーション10aの感光ドラム1aのみ中間転写ベルト50から離間させるようにすれば、一部の2次転写残トナーを下流側に通過させることができる。そのため、第1のステーション10aに2次転写残トナーが集中して回収されることを抑制できる。更に、2次転写残トナーを第2のステーション10bで一定時間だけ回収した後に、第2のステーション10bの感光ドラム1bを中間転写ベルト50から離間させ、第3のステーション10cで2次転写残トナーを回収することができる。これにより、第2のステーション10bと第3のステーション10cの廃トナーの回収量の均衡を保つことができる。即ち、実施例1において、1次転写ローラに印加するバイアスを切り替えたのと同様のタイミングで、第1、第2のステーション10a、10bの感光ドラム1a、1bから中間転写ベルト50を離間させて、2次転写残トナーを通過させることができる。
この場合、感光ドラムと中間転写ベルトとの当接離間機構は、当接・離間状態を往復するためにある程度時間を要し、2次転写残トナーが通過している間に頻繁に切り替えることは難しい。又、1次転写工程中に感光ドラムと中間転写ベルトとを離間させると、1次転写が中断され、画像不良が発生するため好ましくない。従って、1次転写を行っていない期間で且つ2次転写残トナーが通過する前に、中間転写ベルトの表面の移動方向において上流側のステーションから、一定時間だけ2次転写残トナーを回収した後に順次感光ドラムを中間転写ベルトから離間させることが好ましい。更に、他のステーションで1次転写を行っている間に感光ドラムと中間転写ベルトとの当接離間動作を行うと、その機械的ショックによって画像を乱してしまう恐れがある。そのため、全てのステーションが1次転写を行っていない期間で、且つ、2次転写も行っていない期間に、感光ドラムと中間転写ベルトとの当接離間機構を動作させることが好ましい。
中間転写ベルトと感光ドラムとの離間動作を行う場合には、全ての1次転写ローラに印加するバイアスは、通常の1次転写時のバイアスを維持しても良いし、又離間に前後してそのバイアスの印加をオフしても構わない。但し、感光ドラムの表面電位と中間転写ベルトの表面電位が略同電位となるような電圧を転写手段に印加して、中間転写ベルトと感光ドラムとの当接離間動作を行うことがより好ましい。これにより、中間転写ベルトと感光ドラムとの当接離間時に、転写手段と感光ドラムとの間に放電が生じて感光ドラムに電気的なメモリを作ってしまうことを防止することができる。更に、感光ドラムに摺擦傷ができることを防止するために、感光ドラムの表面の移動速度と中間転写ベルトの移動速度とを同等として、中間転写ベルトと感光ドラムとの当接離間動作を行うことが好ましい。即ち、中間転写ベルトと感光ドラムとの一方が停止しているなら、他方も停止させ、一方が回動中であれば他方も回動させることが好ましい。
以上、本実施例によれば、カラーモードとモノクロモードとで、感光ドラムと中間転写ベルトとの接離状態を変えることで、第1のステーションに2次転写残トナーが集中して回収されることを抑制でき、カートリッジの経済的な使用が可能となる。又、本実施例によれば、モノクロモードでは、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーションの感光体ドラムと中間転写ベルトとを離間させる。そのため、モノクロモードにおいて、カラーモード時にのみトナー像を形成するステーションに2次転写残トナーが回収されることを抑制し、カラーモード時にのみ使用するカートリッジの経済的な使用が可能となる。
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施態様に限定されるものではないことを理解されたい。
例えば、上記実施例1及び実施例2では、複数のステーションがY、M、C、Kの各色用の順番で配置されている場合を例示したが、第1のステーションがK色用のステーション以外であれば、本発明は好適に用いることができる。モノクロモードの生産性を考慮するとK色用のステーションは、複数色のトナー像の形成順序において最終ステーションであることが特に好ましく、その場合第1〜第3のステーションの形成するトナー像の色の順番は任意である。
又、上記各実施例では、廃トナー容器はプロセスカートリッジに設けられて画像形成装置の本体に対して着脱可能とされていたが、少なくとも廃トナー容器が画像形成装置の本体に対して着脱可能とされていれば、本発明は非常に有効に作用する。但し、廃トナー容器が画像形成装置の本体に固定されており、例えば廃トナー容器が一杯になったときに所定の操作により廃トナー容器からトナーを除去、回収するようになっているような場合であっても、本発明を適用して上記同様の効果を得ることができる。