JP5404534B2 - ゲスト応答性発光材料 - Google Patents
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(1) 金属イオンと該金属イオンに配位可能な蛍光原性有機配位子とが繰り返し単位を構成する配位高分子化合物(ホスト)であって、有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能であることを特徴とする配位高分子化合物。
(2) 構成要素となる蛍光原性有機配位子が、ナフタレンジイミド部位を含むことを特徴とする(1)に記載の配位高分子化合物。
(3) 構成要素となる金属イオンが、Al3+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の配位高分子化合物。
(4) 金属イオンに二座配位可能な二座配位子をさらに含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の配位高分子化合物
(5) 前記二座配位子が、テレフタル酸である、(4)に記載の配位高分子化合物。
(6) 溶液中で金属イオンを放出する化合物と該金属イオンに配位可能な蛍光原性有機配位子を溶液中で反応させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔性配位高分子化合物の製造方法。
(7) 蛍光原性有機配位子とともに、金属イオンに二座配位可能な二座配位子を溶液中で反応させる、(6)に記載の製造方法。
(8) (1)〜(5)のいずれかに記載の配位高分子化合物からなることを特徴とするセンサー用材料。
(9) (1)〜(5)のいずれかに記載の配位高分子化合物を、蛍光による変化に基づいて、揮発性有機化合物(VOC)の検出に用いたセンサー素子。
配位高分子化合物は、金属元素と有機配位子の反応により得られる高分子で、その主鎖の繰り返し単位が配位結合によって結合しているものをいう(「理化学事典 第4版」、久保、長倉、井口、江沢編集、岩波書店、1987)。本発明に使用される配位高分子化合物は、有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能である配位高分子化合物である。
前記有機化合物(ゲスト)は、揮発性有機化合物(VOC)であることが多いが、複数の成分から構成されるにおい、環境汚染物質、農薬、食品添加物、香料などでも良い。具体的には、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、ベンゾニトリル、アニソール、ホルムアルデヒド等が含まれる。ゲストとなる有機化合物は、芳香族化合物であることが望ましく、ベンゼン、ピリジン、ピロール、イミダゾール、チオフェン、フランまたは、これらの5員又は6員の(ヘテロ)芳香族化合物は、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、メチル基、エチル基、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、ニトロ基、アセチル基などの置換基を1〜5個、好ましくは1,2又は3個、特に1又は2個有していてもよい。
前記金属イオン(金属原子) としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、長周期型周期表における6族元素から12族元素の中から選択される元素のイオン(原子) が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2 種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記金属イオン二量体ユニットを形成可能とする観点からは、2価以上の金属イオンが好ましく、規則的な有機金属層を形成する観点からは、アルミニウムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、ニッケルイオン、及び亜鉛イオンから選択される金属イオンが更に好ましく、色の変化が見やすいアルミニウムイオン及び亜鉛イオンが特に好ましい。なお、前記金属イオンは、前記有機金属錯体構造体の製造の際の原料としては、該金属イオンを含む塩等の化合物を使用してもよい。塩としては、フッ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、過塩素酸塩などが挙げられる。
前記有機配位子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属イオンに架橋可能な架橋配位子が好適に挙げられる。該有機配位子が前記架橋配位子である場合には、前記金属イオンと前記有機配位子とで前記金属錯体層を形成することができる。前記有機配位子の具体例としては、比較的安定で高強度な前記有機金属層を形成する観点からは、環状構造を有する化合物が好適に挙げられる。 前記環状構造を有する化合物としては、例えば、脂環式化合物及びその誘導体、芳香族化合物及びその誘導体、ヘテロ芳香族化合物及びその誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、蛍光を発生させる部位としてナフタレンジイミド部位を有することが更に好ましい。
上述の金属化合物(金属イオン源)、蛍光原性有機配位子、任意成分としての二座配位子、溶媒を混合して拡散させるだけで得られることもあるが、ゼオライト合成と同様オートクレーブなどの耐圧容器に入れ高温・加圧下で反応させても良い。
反応時間は、反応温度は合成のスケールによって一概には決められないが、低温であるほど長時間を要し、一般に30分〜3週間である。反応を均一溶媒で実施する際は数時間程度で問題ないが、耐圧容器下、不均一条件で反応を実施する場合は長時間、具体的には1週間程度必要とする場合もある。
配位高分子化合物の合成反応をより促進させるため沸酸、塩酸、蟻酸、酢酸、硝酸など少量の酸や水酸化ナトリウムなどのアルカリを反応溶媒に加えてもよい。酸やアルカリは多量に用いると配位高分子化合物の合成を妨げる為、配位子に対して0.1〜10倍モル、好ましくは1〜5倍モル程度が良い。
溶媒に関しては水、アセトン、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン等の有機溶剤のいずれを使用しても良く混合させても良い。溶媒の使用量に関しては特に限定はないものの、重量基準で10〜2000倍程度が反応制御の容易さの点で好ましい。
反応終了後、沈殿物をろ過、遠心分離することによって、生成物を簡単に単離することができる。生成物単離後は、必要に応じ水や有機溶媒による洗浄を行う。単離された生成物を吸着材として使用するためには、これを速やかに減圧下で加熱することによって、脱溶媒することが特に好ましい。脱溶媒することにより配位高分子化合物が安定化して多孔質構造が維持される傾向にある。その加熱温度は、50〜350℃程度が好適である。なお脱溶媒せずに長時間、例えば数日間放置すると、配位高分子化合物の結晶構造が変わり、比表面積が減少し吸着材、触媒としての性能を損ねる怖れがある。
このような本発明の配位高分子化合物の形状は、特に制限されないが、粒子状或いは膜状であることが好ましい。形状が粒子状の場合、粒子の平均粒径は0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmであることがより好ましく、0.1〜50μmであることが特に好ましい。
本発明の配位高分子化合物は有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能であることから分子センサー材料として使用可能である。本発明のセンサーは、配位高分子化合物(ホスト)に有機化合物(ゲスト)が吸着した場合のセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段を有する。検出手段としては、電気的検出、光学的検出、化学的検出、電気化学的検出等の方法が適用できる。本発明にかかるセンサーに適用する検出手段としては、振動型質量検出センサーを用いて、ターゲット物質の吸脱着による質量変化を周波数変化として検出することが好ましい。振動型質量検出センサー上の電極を基板として本発明のセンサー用材料を配設することにより、高感度なセンサーとなる。振動型質量検出センサーとしては水晶振動子を用いたものが好ましい。またMEMS(Micro Mechanical Electrical System)技術を用いた小型振動子を用いた振動型質量検出センサーを用いることもできる。この場合、水晶振動子微量天秤(QCM)に比較して、集積化や回路との集積が容易である。
蛍光装置:HORIBA Fluorolog−3
測定セル:石英セル(外径1センチメートル)
測定条件:室温
測定セル: 石英セル (外径1センチメートル)
測定条件:室温
励起レーザー: PicoQuant, model LDH 370
測定セル: 石英セル (外径1センチメートル)
測定条件:室温
励起レーザー:SpectraLED-370
測定セル: 石英セル (外径1センチメートル)
測定条件:室温
尚、配位高分子化合物のX線回折の測定は、粉末X線回折装置を用い、ターゲットにMoを有するX線管球から発生したX線を試料に照射し、試料により回折された回折X線を検出することにより行なった。
使用X線:MoKα線(l = 0.71069 A)
測定温度:−50℃
結晶サイズ:0.30 x 0.20 x 0.02 ミリメートル
実施例1.多孔性配位高分子合成例
1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物(Aldrich製:試薬)5 g、4−アミノピリジン(和光純薬社製: 試薬)3.9 gのジメチルホルムアミド(DMF)溶液250 mlを120℃で12時間加熱撹拌した。室温に冷却したのち、析出した固体をろ別、ジメチルホルムアルデヒドで洗浄したのち、乾燥させることで、N, N’ −ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8-ナフタレンジイミド(dpNDI、式1の化合物)を収率80%で得た。
10 mlテフロン(登録商標)容器に硝酸亜鉛六水和物14.9 mg(0.05 mmol)、テレフタル酸(H2bdc)8.3 mg(0.05 mmol)、(dpNDI)10.5 mg(0.025 mmol)のDMF溶液5 mlを加え攪拌した。これをステンレス製オートクレーブに仕込み、120℃で48時間加熱した。室温に冷却後、析出した固体を濾別、ジメチルホルムアルデヒドで洗浄したのち、乾燥させることで、透明の結晶を得た。
上記の配位高分子化合物0.4 mgを2 mlのゲスト溶液に分散させて室温で1時間撹拌させた後、その懸濁液を石英セルに入れ、十分に分散させた状態で励起波長370 nmで発光測定を行った。今回用いたゲストは、ベンゾニトリル、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、アニソール、ヨードベンゼンである。発光量子収率測定は、専用の石英セルに同様の懸濁液を3滴入れそのサンプルを積分球の中に導入し、測定を行った。発光寿命測定も同様の懸濁液を石英セルに入れ、十分に分散させた状態で励起波長370 nm, 検出する波長をそれぞれの発光極大波長に設定し測定を行った。(図2a.各ゲスト包摂時の発光スペクトル)
Claims (5)
- 前記揮発性有機化合物が、芳香族化合物である、請求項1に記載の複合体。
- 前記芳香族化合物が、置換基を1〜5個有していてもよいベンゼン、置換基を1〜5個有していてもよいピリジン、置換基を1〜5個有していてもよいピロール、置換基を1〜5個有していてもよいイミダゾール、置換基を1〜5個有していてもよいチオフェン又は置換基を1〜5個有していてもよいフランである、請求項2に記載の複合体。
- 前記芳香族化合物が、ベンゾニトリル、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、アニソール又はヨードベンゼンである、請求項3に記載の複合体。
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