JP5404534B2 - ゲスト応答性発光材料 - Google Patents

ゲスト応答性発光材料 Download PDF

Info

Publication number
JP5404534B2
JP5404534B2 JP2010130293A JP2010130293A JP5404534B2 JP 5404534 B2 JP5404534 B2 JP 5404534B2 JP 2010130293 A JP2010130293 A JP 2010130293A JP 2010130293 A JP2010130293 A JP 2010130293A JP 5404534 B2 JP5404534 B2 JP 5404534B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coordination polymer
guest
polymer compound
compound
substituents
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010130293A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011256122A (ja
Inventor
進 北川
修平 古川
洋平 高嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2010130293A priority Critical patent/JP5404534B2/ja
Publication of JP2011256122A publication Critical patent/JP2011256122A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5404534B2 publication Critical patent/JP5404534B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

本発明は、金属イオンと有機配位子からなる配位高分子化合物及びその製造方法、並びに該配位高分子化合物を用いたセンサー素子に関する。
本発明者らは、ナノメートルの大きさを持つ細孔を規則正しく並べた物質を、あたかもブロックを組むようにデザインし、化学的に合成する研究をこれまで精力的に行ってきた。その研究成果として、遷移金属カチオンとそれを連結する有機架橋配位子によって多孔性3次元構造を構成して細孔内に、常温常圧で気体の分子を、収容することができる配位高分子の合成に成功している。この配位高分子は、遷移金属カチオンと有機架橋配位子が分子レベルで直接交互に結合した有機・無機の複合物質であり、その特徴としては、常に均一な構造を保つこと、自在に分子レベルから設計し、単に室温、1気圧で混ぜるだけで合成することができること(自己集合)、数グラムでバスケットボールコートからサッカーグラウンドまでの表面積を持つといったことが挙げられ、メタンや水素等のガス貯蔵材料として期待されている。また、近年はガス貯蔵材料として以外にも機能性を有する配位子の導入、柔軟な骨格構造を利用することで触媒や分離材料としての応用研究もなされている。(特許文献1)
ところで、近年住宅の高気密化に伴い、建材、家具、塗料、接着剤などから放出されるベンゼン、トルエン、アルカン、アルコール類と言った様々な揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)によるシックハウス症候群が問題となっており、いくつかのVOCについては、濃度測定における公定法が定められている。その為、化学物質に合わせた化学センサーについての研究がなされており、化学センサーの感応材料についてもいろいろな提案がなされている。 例えば、特許文献2には、金属フタロシアニン錯体を用いたVOCセンサーについて記載がある。特許文献3には、ポリフィリン感応膜を形成し、水素イオン、フッ酸、金属イオン濃度などを測定するイオン濃度測定用イオンセンサーについて記載がある。しかしながら、検出対象となるVOCには様々な種類があるため、感応材料には特定の分子を選択的に認識する選択性が求められるが、そのような感応材料は、見出されていない。
特許3746321号公報 特開2009−216672号公報 特開2004−37430号公報
そこで本発明は、有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能であることを特徴とする配位高分子化合物及びその製造方法、並びに該配位高分子化合物を用いたことによる、様々な種類のVOCを選択的に認識するセンサー用材料を提供すること、またそれを用いたセンサー素子を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて種々の検討を行った結果、配位高分子を構成する有機架橋配位子に有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることができる部位を導入することで、具体的には、ナフタレンジイミド誘導体を用いることによって配位高分子化合物を合成した。該配位高分子化合物は、有機化合物(ゲスト)を吸着した場合、蛍光を発することを見出した。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(9)の発明を提供するものである
(1) 金属イオンと該金属イオンに配位可能な蛍光原性有機配位子とが繰り返し単位を構成する配位高分子化合物(ホスト)であって、有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能であることを特徴とする配位高分子化合物。
(2) 構成要素となる蛍光原性有機配位子が、ナフタレンジイミド部位を含むことを特徴とする(1)に記載の配位高分子化合物。
(3) 構成要素となる金属イオンが、Al3+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の配位高分子化合物。
(4) 金属イオンに二座配位可能な二座配位子をさらに含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の配位高分子化合物
(5) 前記二座配位子が、テレフタル酸である、(4)に記載の配位高分子化合物。
(6) 溶液中で金属イオンを放出する化合物と該金属イオンに配位可能な蛍光原性有機配位子を溶液中で反応させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔性配位高分子化合物の製造方法。
(7) 蛍光原性有機配位子とともに、金属イオンに二座配位可能な二座配位子を溶液中で反応させる、(6)に記載の製造方法。
(8) (1)〜(5)のいずれかに記載の配位高分子化合物からなることを特徴とするセンサー用材料。
(9) (1)〜(5)のいずれかに記載の配位高分子化合物を、蛍光による変化に基づいて、揮発性有機化合物(VOC)の検出に用いたセンサー素子。
本発明の配位高分子化合物は、電子、磁気、吸着、触媒、発光、医薬、担体、分析等をはじめとする各種分野におけるセンサー材料として好適に使用することができ、分子レベルでの検出乃至分析が可能である高性能なセンサー、取り分け揮発性有機化合物(VOC)の検出に優れるセンサー素子を提供することができる。
〔Zn2(bdc)(dpNDI)(4DMF)〕の結晶構造模式図である。 各ゲスト包摂時の発光スペクトル、発光色 白色光となる組合せ
(配位高分子化合物:ホスト)
配位高分子化合物は、金属元素と有機配位子の反応により得られる高分子で、その主鎖の繰り返し単位が配位結合によって結合しているものをいう(「理化学事典 第4版」、久保、長倉、井口、江沢編集、岩波書店、1987)。本発明に使用される配位高分子化合物は、有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能である配位高分子化合物である。
(有機化合物:ゲスト)
前記有機化合物(ゲスト)は、揮発性有機化合物(VOC)であることが多いが、複数の成分から構成されるにおい、環境汚染物質、農薬、食品添加物、香料などでも良い。具体的には、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、ベンゾニトリル、アニソール、ホルムアルデヒド等が含まれる。ゲストとなる有機化合物は、芳香族化合物であることが望ましく、ベンゼン、ピリジン、ピロール、イミダゾール、チオフェン、フランまたは、これらの5員又は6員の(ヘテロ)芳香族化合物は、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、メチル基、エチル基、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、ニトロ基、アセチル基などの置換基を1〜5個、好ましくは1,2又は3個、特に1又は2個有していてもよい。
(金属イオン)Al3+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+
前記金属イオン(金属原子) としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、長周期型周期表における6族元素から12族元素の中から選択される元素のイオン(原子) が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2 種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記金属イオン二量体ユニットを形成可能とする観点からは、2価以上の金属イオンが好ましく、規則的な有機金属層を形成する観点からは、アルミニウムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、ニッケルイオン、及び亜鉛イオンから選択される金属イオンが更に好ましく、色の変化が見やすいアルミニウムイオン及び亜鉛イオンが特に好ましい。なお、前記金属イオンは、前記有機金属錯体構造体の製造の際の原料としては、該金属イオンを含む塩等の化合物を使用してもよい。塩としては、フッ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、過塩素酸塩などが挙げられる。
(蛍光原性有機配位子)
前記有機配位子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属イオンに架橋可能な架橋配位子が好適に挙げられる。該有機配位子が前記架橋配位子である場合には、前記金属イオンと前記有機配位子とで前記金属錯体層を形成することができる。前記有機配位子の具体例としては、比較的安定で高強度な前記有機金属層を形成する観点からは、環状構造を有する化合物が好適に挙げられる。 前記環状構造を有する化合物としては、例えば、脂環式化合物及びその誘導体、芳香族化合物及びその誘導体、ヘテロ芳香族化合物及びその誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、蛍光を発生させる部位としてナフタレンジイミド部位を有することが更に好ましい。
具体的な有機配位子としては、以下の式1、式2からなる配位子がより好ましい。
Figure 0005404534
本発明の配位高分子化合物は、金属イオンと蛍光原性有機配位子から構成することもできるが、さらに金属イオンに二座配位可能な二座配位子を反応させることで、多孔性3次元構造を構成することができる。このような二座配位子は、テレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、4,4‘−ビフェニルジカルボン酸などの直線上に2つのカルボキシル基を有する化合物が挙げられ、テレフタル酸が好ましい。
(多孔性材料(配位高分子化合物)の製造方法)
上述の金属化合物(金属イオン源)、蛍光原性有機配位子、任意成分としての二座配位子、溶媒を混合して拡散させるだけで得られることもあるが、ゼオライト合成と同様オートクレーブなどの耐圧容器に入れ高温・加圧下で反応させても良い。
また反応する蛍光原性有機配位子の配位結合基は、酸のままでもアルカリ金属塩化しても良い。混合比は蛍光原性有機配位子の配位結合基に対し金属カチオンがモル比として1:1程度が好ましく、その比率よりをどちらかを過剰ないし大過剰に用いてもよい。好ましくは配位子の量を多く入れた場合の方が得られる錯体の比表面積が大きくなることもある。配位高分子化合物中のモル比は、金属イオン2モルに対し、蛍光原性有機配位子1モル、二座配位子2モルの比率となるのが好ましい。
反応温度は、通常、常温〜300℃の間である。反応温度が余りに高いときには生成物が分解する怖れがあるので、好ましくは、250℃以下である。
反応時間は、反応温度は合成のスケールによって一概には決められないが、低温であるほど長時間を要し、一般に30分〜3週間である。反応を均一溶媒で実施する際は数時間程度で問題ないが、耐圧容器下、不均一条件で反応を実施する場合は長時間、具体的には1週間程度必要とする場合もある。
(助触媒)
配位高分子化合物の合成反応をより促進させるため沸酸、塩酸、蟻酸、酢酸、硝酸など少量の酸や水酸化ナトリウムなどのアルカリを反応溶媒に加えてもよい。酸やアルカリは多量に用いると配位高分子化合物の合成を妨げる為、配位子に対して0.1〜10倍モル、好ましくは1〜5倍モル程度が良い。
(溶媒)
溶媒に関しては水、アセトン、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン等の有機溶剤のいずれを使用しても良く混合させても良い。溶媒の使用量に関しては特に限定はないものの、重量基準で10〜2000倍程度が反応制御の容易さの点で好ましい。
(配位高分子化合物の洗浄、単離操作)
反応終了後、沈殿物をろ過、遠心分離することによって、生成物を簡単に単離することができる。生成物単離後は、必要に応じ水や有機溶媒による洗浄を行う。単離された生成物を吸着材として使用するためには、これを速やかに減圧下で加熱することによって、脱溶媒することが特に好ましい。脱溶媒することにより配位高分子化合物が安定化して多孔質構造が維持される傾向にある。その加熱温度は、50〜350℃程度が好適である。なお脱溶媒せずに長時間、例えば数日間放置すると、配位高分子化合物の結晶構造が変わり、比表面積が減少し吸着材、触媒としての性能を損ねる怖れがある。
(多孔性材料の形状)
このような本発明の配位高分子化合物の形状は、特に制限されないが、粒子状或いは膜状であることが好ましい。形状が粒子状の場合、粒子の平均粒径は0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmであることがより好ましく、0.1〜50μmであることが特に好ましい。
(センサー)
本発明の配位高分子化合物は有機化合物(ゲスト)と相互作用することによって蛍光を発生させることが可能であることから分子センサー材料として使用可能である。本発明のセンサーは、配位高分子化合物(ホスト)に有機化合物(ゲスト)が吸着した場合のセンサー素子の物理的な変化を検出する検出手段を有する。検出手段としては、電気的検出、光学的検出、化学的検出、電気化学的検出等の方法が適用できる。本発明にかかるセンサーに適用する検出手段としては、振動型質量検出センサーを用いて、ターゲット物質の吸脱着による質量変化を周波数変化として検出することが好ましい。振動型質量検出センサー上の電極を基板として本発明のセンサー用材料を配設することにより、高感度なセンサーとなる。振動型質量検出センサーとしては水晶振動子を用いたものが好ましい。またMEMS(Micro Mechanical Electrical System)技術を用いた小型振動子を用いた振動型質量検出センサーを用いることもできる。この場合、水晶振動子微量天秤(QCM)に比較して、集積化や回路との集積が容易である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
蛍光センサーの評価に関しては、以下の装置及び条件に示す方法にて実施した。
蛍光装置:HORIBA Fluorolog−3
測定セル:石英セル(外径1センチメートル)
測定条件:室温
蛍光量子収率測定装置: Hamamatsu, C9920-02
測定セル: 石英セル (外径1センチメートル)
測定条件:室温
蛍光寿命測定装置: Edinburgh Instruments, model FL 920
励起レーザー: PicoQuant, model LDH 370
測定セル: 石英セル (外径1センチメートル)
測定条件:室温
りん光寿命測定装置:HORIBA FluoroCube
励起レーザー:SpectraLED-370
測定セル: 石英セル (外径1センチメートル)
測定条件:室温
<X線単結晶構造解析>
尚、配位高分子化合物のX線回折の測定は、粉末X線回折装置を用い、ターゲットにMoを有するX線管球から発生したX線を試料に照射し、試料により回折された回折X線を検出することにより行なった。
X線回折装置:極微小結晶用単結晶構造解析装置VariMax(株式会社リガク製)
使用X線:MoKα線(l = 0.71069 A)
測定温度:−50℃
結晶サイズ:0.30 x 0.20 x 0.02 ミリメートル
実施例1.多孔性配位高分子合成例
[ナフタレンジイミド配位子の合成]
1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物(Aldrich製:試薬)5 g、4−アミノピリジン(和光純薬社製: 試薬)3.9 gのジメチルホルムアミド(DMF)溶液250 mlを120℃で12時間加熱撹拌した。室温に冷却したのち、析出した固体をろ別、ジメチルホルムアルデヒドで洗浄したのち、乾燥させることで、N, N’ −ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8-ナフタレンジイミド(dpNDI、式1の化合物)を収率80%で得た。
[多孔性配位高分子化合物の合成]
10 mlテフロン(登録商標)容器に硝酸亜鉛六水和物14.9 mg(0.05 mmol)、テレフタル酸(Hbdc)8.3 mg(0.05 mmol)、(dpNDI)10.5 mg(0.025 mmol)のDMF溶液5 mlを加え攪拌した。これをステンレス製オートクレーブに仕込み、120℃で48時間加熱した。室温に冷却後、析出した固体を濾別、ジメチルホルムアルデヒドで洗浄したのち、乾燥させることで、透明の結晶を得た。
この結晶についてX線回折を行い、構造を解析した結果、亜鉛イオンとテレフタル酸が形成する2次元レイヤー構造がdpNDIによって連結されて3次元骨格を形成し、さらにその骨格同士が相互貫入した構造をしていた。空間にはDMFがゲスト分子として導入されており、組成式は〔Zn2(bdc)(dpNDI)(4DMF)〕で表されるものであることが判明した。この構造体を模式的に示したのが図1である。
得られた結晶を120℃で減圧乾燥した後、目的物である多孔性配位高分子化合物〔Zn2(bdc)(dpNDI)を得た。
[発光測定]
上記の配位高分子化合物0.4 mgを2 mlのゲスト溶液に分散させて室温で1時間撹拌させた後、その懸濁液を石英セルに入れ、十分に分散させた状態で励起波長370 nmで発光測定を行った。今回用いたゲストは、ベンゾニトリル、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、アニソール、ヨードベンゼンである。発光量子収率測定は、専用の石英セルに同様の懸濁液を3滴入れそのサンプルを積分球の中に導入し、測定を行った。発光寿命測定も同様の懸濁液を石英セルに入れ、十分に分散させた状態で励起波長370 nm, 検出する波長をそれぞれの発光極大波長に設定し測定を行った。(図2a.各ゲスト包摂時の発光スペクトル)
ベンゼンを包摂した本多孔性配位高分子化合物は青色に、トルエンを包摂した場合は水色に、パラキシレンを包摂した場合は黄緑色に、アニソールを包摂した場合は山吹色に、ヨードベンゼンを包摂した場合は赤色にとそれぞれことなった発光色を発することがわかった。(図2b.各ゲスト包摂時の多孔性配位高分子化合物の発光色)
また、導入したそれぞれのゲストのイオン化ポテンシャルを横軸に、発光極大波長を縦軸におくと直線関係にのり、発光波長はゲスト分子の電子供与性と関係していることが示唆された。(図2c.各ゲストのイオン化ポテンシャル(横軸)に対する発光極大波長(縦軸)の相関)
これら各包摂するゲストを組み合わせることで白色の発光色を出すことも可能である。(図3.白色光を出すゲスト分子の組み合わせ)
表1には、発光極大波長(λf1(nm))、発光量子収率(φf)、ゲストのイオン化ポテンシャル(IP(eV))および強度平均発光寿命(τ(ns))を示した。また、図2には、得られた発光スペクトルデータを示した。発光波長、発光量子収率はゲストの性質に依存し、発光波長は、紫色から赤色のすべての可視領域に及んだ。発光量子収率は、トルエンの時最大となり、22%となった。発光波長は、そのゲストのイオン化ポテンシャルに依存しており、イオン化ポテンシャルが小さいものほど、発光はレッドシフトした。ヨードベンゼンに関しては、この傾向に準じなかったが、発光寿命測定の結果、ヨードベンゼン以外は蛍光を発していたが、ヨードベンゼンはりん光を発していることが明らかになった。発光量子収率に関しては、ゲストのイオン化ポテンシャルが高い場合、低い場合の両方で低い値が得られたが、これは、発光種を考えることで理解できる。本件における発光種はゲストから配位高分子中のナフタレンジイミドへの電荷移動を伴った複合体であり、その複合体の安定性はゲストに依存する。ゲストのイオン化ポテンシャルが高い場合、十分な電荷移動がおこらず、その発光は弱くなる。一方、イオン化ポテンシャルが低いと、ゲストからナフタレンジイミドへの完全な電荷移動、つまり、電荷分離状態が有利となり、発光は弱くなっていると考えられる。
本発明は、ゲストの電子状態に応じて異なる発光挙動を示す多孔性配位高分子であり、ゲストの非常に小さな電子状態の差を目で識別できるレベルの発光波長の差で検出することに成功した。これは、多孔性配位高分子が有する規則的なナノ空間での強い閉じ込め効果とそれに伴う強い相互作用が鍵となっている。このような小さな差を認識できることにより高性能なセンサーを提供することが可能となる。
Figure 0005404534

Claims (5)

  1. (i)Zn 2+ イオンと
    以下の式1の蛍光原性有機配位子と
    テレフタル酸とが繰り返し単位を構成する配位高分子化合物(ホスト)、及び
    (ii)揮発性有機化合物(VOC)(ゲスト)
    が相互作用した、蛍光を発生する複合体。
    Figure 0005404534
  2. 前記揮発性有機化合物が、芳香族化合物である、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記芳香族化合物が、置換基を1〜5個有していてもよいベンゼン、置換基を1〜5個有していてもよいピリジン、置換基を1〜5個有していてもよいピロール、置換基を1〜5個有していてもよいイミダゾール、置換基を1〜5個有していてもよいチオフェン又は置換基を1〜5個有していてもよいフランである、請求項2に記載の複合体。
  4. 前記芳香族化合物が、ベンゾニトリル、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、アニソール又はヨードベンゼンである、請求項3に記載の複合体。
  5. Zn 2+ イオンと、
    以下の式1の蛍光原性有機配位子と、
    テレフタル酸と
    が繰り返し単位を構成する配位高分子化合物を、蛍光による変化に基づいて、揮発性有機化合物(VOC)の検出に用いたセンサー素子。
    Figure 0005404534
JP2010130293A 2010-06-07 2010-06-07 ゲスト応答性発光材料 Active JP5404534B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010130293A JP5404534B2 (ja) 2010-06-07 2010-06-07 ゲスト応答性発光材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010130293A JP5404534B2 (ja) 2010-06-07 2010-06-07 ゲスト応答性発光材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011256122A JP2011256122A (ja) 2011-12-22
JP5404534B2 true JP5404534B2 (ja) 2014-02-05

Family

ID=45472721

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010130293A Active JP5404534B2 (ja) 2010-06-07 2010-06-07 ゲスト応答性発光材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5404534B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11567023B2 (en) 2018-03-22 2023-01-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Molecular detection apparatus and molecular detection method

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014136972A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 国立大学法人九州大学 超分子複合体、発光体、および有機化合物検出用のセンサー素子
JP6589163B2 (ja) * 2014-03-11 2019-10-16 国立大学法人九州大学 超分子の包接体及び白色発光材料
JP6973741B2 (ja) * 2016-03-09 2021-12-01 国立大学法人九州大学 超分子発光体の発光寿命制御方法
JP7025141B2 (ja) * 2017-06-21 2022-02-24 シンロイヒ株式会社 蛍光検出方法、インク組成物、塗装体、及び対象物の識別方法
JP2019163228A (ja) 2018-03-20 2019-09-26 株式会社東芝 金属有機構造体、蛍光体膜、および分子検出装置
CN108676171B (zh) * 2018-04-28 2023-08-15 镇江市高等专科学校 一种具有橘红色荧光效应的烯烃铜配位聚合物及其制备方法
CN113354618B (zh) * 2021-06-02 2022-12-20 济南大学 一种可靶向细胞溶酶体的次氯酸荧光探针、制备方法与应用
CN113912858B (zh) * 2021-10-27 2023-02-28 西京学院 一种检测硝基化合物的多孔聚合物及其制备方法
CN114213671B (zh) * 2021-12-31 2023-01-06 南京理工大学 一种基于金属有机框架的富氮杂环类化合物荧光传感器及其制备方法和应用
CN114920946B (zh) * 2022-05-07 2023-05-26 淮阴师范学院 一种具有2D→3D聚锁结构的二元羧酸Ni(II)水致变色配位聚合物及其制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005255651A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Kyoto Univ 有機金属錯体構造体及びその製造方法、並びに、該有機金属錯体構造体を用いた機能性膜、機能性複合材料、機能性構造体及び吸脱着センサー
US7862647B2 (en) * 2008-01-04 2011-01-04 Northwestern University Gas adsorption and gas mixture separations using mixed-ligand MOF material

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11567023B2 (en) 2018-03-22 2023-01-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Molecular detection apparatus and molecular detection method

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011256122A (ja) 2011-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5404534B2 (ja) ゲスト応答性発光材料
Sun et al. Multi-responsive luminescent sensors based on two-dimensional lanthanide–metal organic frameworks for highly selective and sensitive detection of Cr (III) and Cr (VI) ions and benzaldehyde
Khan et al. Three-in-one is really better: exploring the sensing and adsorption properties in a newly designed metal–organic system incorporating a copper (II) ion
Lin et al. Photoluminescent metal–organic frameworks for gas sensing
Zhang et al. AIE-ligand-based luminescent Cd (ii)–organic framework as the first “turn-on” Fe 3+ sensor in aqueous medium
He et al. A porous metal–organic framework formed by a V-shaped ligand and Zn (II) ion with highly selective sensing for nitroaromatic explosives
Rachuri et al. Mixed ligand two dimensional Cd (II)/Ni (II) metal organic frameworks containing dicarboxylate and tripodal N-donor ligands: Cd (II) MOF is an efficient luminescent sensor for detection of picric acid in aqueous media
Tian et al. A luminescent metal–organic framework demonstrating ideal detection ability for nitroaromatic explosives
Lee et al. Chiral metallocycles: rational synthesis and novel applications
Ma et al. A dual functional MOF as a luminescent sensor for quantitatively detecting the concentration of nitrobenzene and temperature
Ghanem et al. Triptycene-based polymers of intrinsic microporosity: organic materials that can be tailored for gas adsorption
JP6628301B2 (ja) 多孔性化合物の単結晶の良否判別方法、解析対象化合物を含む溶液の調製方法、結晶構造解析用試料の作製方法、及び解析対象化合物の分子構造決定方法
JP5083762B2 (ja) 多孔性金属錯体及びその製造方法、並びに多孔性金属錯体を含むガス吸蔵材
Ma et al. Lanthanide functionalized MOF thin films as effective luminescent materials and chemical sensors for ammonia
Song et al. Spontaneous chiral resolution of a rare 3D self-penetration coordination polymer for sensitive aqueous-phase detection of picric acid
Xian et al. Eu (iii) doped zinc metal organic framework material and its sensing detection for nitrobenzene
Zhu et al. Metal–organic frameworks assembled from flexible alicyclic carboxylate and bipyridyl ligands for sensing of nitroaromatic explosives
Li et al. Effective nitenpyram detection in a dual-walled nitrogen-rich In (iii)/Tb (iii)–organic framework
Tăbăcaru et al. Nickel (ii) and copper (i, ii)-based metal-organic frameworks incorporating an extended tris-pyrazolate linker
Ding et al. Syntheses, structures, photoluminescence and photocatalysis of 2D layered lanthanide-carboxylates with 2, 2′-dithiodibenzoic acid
Mercuri et al. UiO-67-derived bithiophene and bithiazole MIXMOFs for luminescence sensing and removal of contaminants of emerging concern in wastewater
Velasco et al. Luminescent Metal–Organic Framework for the Selective Detection of Aldehydes
Wu et al. An extremely stable 2D zinc (II) coordination polymer exhibiting high sensing ability and photocatalytic degradation activities of dyes
Niu et al. Off/on fluorescent chemosensors for organotin halides based on binuclear ruthenium complexes.
Xia et al. Highly selective CH2Cl2 fluorescent sensor based on Cd (II) metal-organic framework

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5404534

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250