JP5401832B2 - ナノ構造中空炭素材料を有する光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に関する。
将来が期待される光電変換素子の一つとして色素増感型太陽電池が開発されている。色素増感型太陽電池は、電力を取り出す第1の電極層及び第2の電極層と、色素が吸着した半導体材料と、該半導体材料を覆うように設けられる電荷輸送層とを含んで構成される。電荷輸送層にヨウ素溶液を用いた色素増感型太陽電池では、光電変換効率が10%を超えるものも報告されている。
電荷輸送層にヨウ素溶液を用いると、電荷輸送層に添加されたヨウ素によって電極などが腐食するおそれがあり、またヨウ素溶液が揮発することに起因して光電変換特性が低下するおそれがある。さらに電荷輸送層が液状であるため、破損による電荷輸送層に含まれる溶液の漏れ出しや、これに伴う光電変換効率の低下のおそれがある。
そこでヨウ素溶液の代わりとして、カーボンナノチューブとイオン液体とを混練して固体化した部材を電荷輸送層に用いた色素増感型太陽電池が提案されている。ヨウ素溶液の代わりにイオン液体を用いることで、電極などの腐食を抑制することができ、またイオン液体は揮発性が極めて低いので、揮発に起因する光電変換特性の低下を抑制することができる。さらに固体状の電荷輸送層を形成するので、電荷輸送層に含まれる材料の漏洩を防止することができ、これに伴う光電変換効率の低下を防ぐことができる。このように、イオン液体を固体化した部材を電荷輸送層に用いることで信頼性の高い色素増感型太陽電池を実現している(例えば特許文献1参照)。
特開2005−093075号公報
しかしながら、カーボンナノチューブとイオン液体とを含む電荷輸送層を用いた色素増感型太陽電池では、短絡電流密度が必ずしも十分ではなく、短絡電流密度のさらなる向上が望まれている。
本発明の目的は、液状材料の漏洩がなく、かつ短絡電流密度が大きい光電変換素子を提供することである。
即ち、本発明は第一に、第1の電極層と第2の電極層とを有し、該第1の電極層と該第2の電極層との間に機能層を有し、該第1の電極層、該第2の電極層及び該機能層からなる群から選ばれる少なくとも1以上の層中に、ナノ構造中空炭素材料が含まれる光電変換素子を提供する。
本発明は第二に、金属ナノ粒子を製造する第1の工程と、該金属ナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体の重合を行い、金属ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる第2の工程と、該炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を製造する第3の工程と、該ナノ構造複合材料から、金属ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を製造する第4の工程とを含む製造方法により、ナノ構造中空炭素材料が製造される前記光電変換素子を提供する。
本発明は第三に、機能層中に、ナノ構造中空炭素材料が含まれる前記光電変換素子を提供する。
本発明は第四に、機能層中に、さらにイオン液体が含まれる前記光電変換素子を提供する。
本発明は第五に、イオン液体が、ハロゲン化物アニオンを含む前記光電変換素子を提供する。
本発明は第六に、第1の電極層と第2の電極層との間に、色素が吸着した多孔質状の半導体材料を有する前記光電変換素子を提供する。
本発明は第七に、第1の電極層と機能層との間に稠密層を有し、該稠密層の該機能層側の表面の一部に、色素が吸着した多孔質状の半導体材料が付着している前記光電変換素子を提供する。
本発明は第八に、第1の電極層中に、ナノ構造中空炭素材料が含まれる前記光電変換素子を提供する。
本発明は第九に、機能層中に、フラーレン誘導体及び高分子化合物が含まれる前記光電変換素子を提供する。
本発明の光電変換素子は、液状材料の漏洩がなく、かつ短絡電流密度が大きいため、工業的に極めて有用である。
本発明の光電変換素子は、第1の電極層と第2の電極層とを有し、該第1の電極層と該第2の電極層との間に機能層を有し、該第1の電極層、該第2の電極層及び機能層からなる群から選ばれる少なくとも1層中に、ナノ構造中空炭素材料が含まれる。該ナノ構造中空炭素材料は、ナノサイズ(0.5nm〜1μm程度)の炭素材料であり、炭素部および中空部を有する。短絡電流密度を大きくする観点からは、中空部が炭素部により袋状に覆われた構造、もしくはその一部の構造であるか、またはこれらの集合体であることが好ましい。ナノ構造中空炭素材料の炭素部は、2〜100層からなる多層状の構造であることが好ましく、炭素部の厚みが、1nm〜20nmの範囲であることが好ましい。また、ナノ構造中空炭素材料の中空部の径が、0.5nm〜90nmの範囲であることが好ましい。
また、本発明において、ナノ構造中空炭素材料は、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含む製造方法により得られることが好ましい。
(1)金属ナノ粒子を製造する第1の工程。
(2)前記金属ナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体の重合を行い、前記金属ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる第2の工程。
(3)前記炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を製造する第3の工程。
(4)前記ナノ構造複合材料から、金属触媒ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を製造する第4の工程。
以下、上記の(1)、(2)、(3)および(4)の工程につき、具体的に説明する。
第1の工程において、金属ナノ粒子は、以下のようにして製造される。
一つもしくは複数の金属と一つもしくは複数の分散剤を用い、金属と分散剤を反応もしくは結合させ金属複合体を形成させる。一般的には、金属と分散剤とを適当な溶媒に溶解(得られる溶液を、以下、金属溶液と呼ぶことがある。)または分散(得られる懸濁液を、以下、金属懸濁液と呼ぶことがある。)させ、金属と分散剤が結合することによりこの金属複合体は形成される。
金属としては、炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化を促進するものであれば特に限定されないが、好ましくは、鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属を挙げることができ、より好ましくは鉄である。
金属複合体は1種以上の分散剤を含む。この分散剤は、目的とする安定性、大きさ、均一性を有する金属ナノ粒子の生成を促進されるものから選ばれる。分散剤とは、種々の有機分子、高分子、オリゴマー等である。この分散剤は、適当な溶媒に溶解もしくは分散させて用いる。
分散剤を溶解させる溶媒としては、水や有機溶媒を含む種々の溶媒が用いられ、金属と分散剤とを相互作用させる。また、単なる溶媒としてだけではなく、分散剤として作用してもよい。好ましい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n―プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、メチレンクロライド等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。
金属複合体は、金属と分散剤とから得られる複合体が溶媒分子によって囲まれていると考えられる。金属複合体は、金属溶液または金属懸濁液中で生成したのち、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥された金属複合体を得ることができる。またこの乾燥された金属複合体は、適当な溶媒を加えることで懸濁液に戻すこともできる。
金属溶液または金属懸濁液中、分散剤と触媒前駆体とのモル比を制御することができる。分散剤の官能基に対する金属原子の比は、0.01:1〜100:1(即ち、比の値が0.01〜100の範囲)が好ましく、さらに好ましくは0.05:1〜50:1(即ち、比の値が0.05〜50の範囲)である。
分散剤は、非常に小さくかつ均一な粒径の金属ナノ粒子の形成を促進させることができる。一般的に、分散剤存在下で、金属ナノ粒子は1μm以下の大きさとして形成される。好ましくは、50nm以下であって、さらに好ましくは20nm以下である。
上記の金属溶液または金属懸濁液は、金属ナノ粒子の形成を促進させるための添加物を含んでもよい。添加物として、例えば、無機酸や塩基化合物等を加えることができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが挙げられ、無機塩基化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。また、塩基性物質(例えば、アンモニア水溶液)を、pHを8〜13に調整するため、加えてもよい。より好ましくは10〜11に調整する。高いpH値では、金属が微細に分離し、金属ナノ粒子の粒径に影響を与える。
また、金属ナノ粒子の形成を促進させるための固体物質を金属とともに加えてもよい。例えば、イオン交換樹脂を金属ナノ粒子形成時に加えることができる。固体物質は、最終的な金属溶液もしくは金属懸濁液から簡単な操作によって除去することができる。
上記の金属溶液または金属懸濁液は、好ましくは、0.5時間〜14日間混合されることにより、金属ナノ粒子は得られる。また、混合温度は、好ましくは、0℃〜200℃である。混合温度は、金属ナノ粒子の粒径に影響を与える重要な因子である。
金属として鉄を用いた場合には、典型的には、塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄などの鉄化合物となり、分散剤と反応もしくは結合することにより、金属ナノ粒子となる。これらの化合物は、水系の溶媒に溶解する場合が多い。なお、金属塩を用いた金属ナノ粒子の形成によって、副生成物が生成する場合がある。典型的な副生成物としては、金属を調製したときに出る水素ガスがある。典型的な実施様態としては、金属ナノ粒子は混合工程で活性化されるか、若しくは、さらに水素を用いて還元を行う。
好ましくは、金属ナノ粒子は安定的で活性な懸濁液として形成される。金属ナノ粒子の安定性により、粒子同士の凝集を抑制する。一部もしくはすべての金属ナノ粒子が沈降したとしても、混合することによって容易に再懸濁化する。
上記において得られる金属ナノ粒子は、炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化を促進する触媒としての役割を担う。
第2の工程において、炭素材料前駆体としては、金属ナノ粒子を分散できるものであればよく、金属ナノ粒子を分散させて、炭素材料前駆体が重合されることにより、金属ナノ粒子の表面に炭素材料中間体が形成される。炭素材料前駆体として、好適な有機材料としては、分子中に芳香族環を1つもしくは複数有し重合化のための官能基を有するベンゼン誘導体、ナフタレン誘導体等が挙げられる。重合化のための官能基としては、COOH、C=O、OH、C=C、SO3、NH2、SOH、N=C=Oなどの構造を含む基が例示される。
好ましい炭素材料前駆体としては、レゾルシノール、フェノール樹脂、メラニン−ホルムアルデヒドゲル、ポリフルフリルアルコール、ポリアクリロニトリル、砂糖、石油ピッチ等が挙げられる。
金属ナノ粒子は、その表面で炭素材料前駆体が重合化するように、炭素材料前駆体と混合される。金属ナノ粒子は触媒活性であるため、その粒子近傍で炭素材料前駆体の重合の開始および/または促進の役割を担う。
炭素材料前駆体に対する金属ナノ粒子の量は、炭素材料前駆体が、均一にナノ炭素材料中間体を最大量形成するように設定してもよい。金属ナノ粒子の量は、用いる炭素材料前駆体の種類にも依存する。実施様態の例としては、炭素材料前駆体と金属ナノ粒子とのモル比は、0.1:1〜100:1(即ち、比の値が0.1〜100の範囲)が好ましく、より好ましくは1:1〜30:1(即ち、比の値が1〜30の範囲)である。このモル比、金属ナノ粒子の種類、粒径は、得られるナノ構造中空炭素材料における炭素部の厚みに影響を与える。
金属ナノ粒子および炭素材料前駆体の混合物は、金属粒子の表面に炭素材料中間体が十分に形成されるまで、十分熟成させる。炭素材料中間体を形成させるのに必要な時間は、温度、金属の種類、金属ナノ粒子の濃度、溶液のpH、用いる炭素材料前駆体の種類に依存する。
pH調整のためにアンモニアを加えることで、重合の速度を速め、炭素材料前駆体同士の架橋量が増え、効果的に重合できることがある。
熱により重合可能な炭素材料前駆体は、通常、温度が上昇するほど重合が進む。重合温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは25〜120℃である。
レゾルシノールとホルムアルデヒドゲル(鉄粒子を用いる場合で、懸濁液pHが1−14の場合)の最適な重合条件は、0〜90℃であり、熟成時間は1〜72時間である。
第3の工程において、炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を得る。炭化は、通常焼成により行う。焼成は、500〜2500℃の温度で行うことが好ましい。焼成時には、炭素材料中間体に含まれる酸素原子、窒素原子が放出され、炭素原子の再配列が起こり、炭素材料が形成される。好ましくは、炭素材料は、グラファイト様の層状構造(多層状)であり、一層は炭素原子1個の厚さの層であり、厚みが1〜100nm、より好ましくは1〜20nmの構造である。層数は、炭素材料中間体の種類、厚み、焼成温度により制御できる。また、ナノ構造中空炭素材料の炭素部の厚みは、炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化の進行度の調整によっても制御できる。
第4の工程において、ナノ構造複合材料から、金属ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を得る。除去は、典型的には、ナノ構造複合材料と、硝酸、フッ酸溶液、水酸化ナトリウムなどの酸や塩基とを接触させることによって行う。好ましくは、硝酸(例えば5規定の硝酸)と接触させるのがよく、3〜6時間リフラックスすればよい。この除去においては、ナノ中空体構造、ナノリング構造を完全に壊すことのない手法であればよい。
本発明において、ナノ構造中空炭素材料は、形状、大きさ、電気的特性において特異的である。典型的な形状としては中空部を有する略球状、もしくは少なくともその一部の構造を含む形状である。ナノ構造中空炭素材料の形状、粒径は、製造時に用いた金属ナノ粒子の形状、大きさに依存する部分が大きい。金属ナノ粒子の周囲に炭素材料が形成されることから、中空部の形状、径、ナノ構造中空炭素材料の形状、粒子径にも影響を与える。ナノ構造中空炭素材料は、前記の略球状のみならず、中空部が炭素部により袋状に覆われた構造、もしくはその一部の構造であるか、またはこれらの集合体であってもよい。
ナノ構造中空炭素材料において、その形状、炭素部が多層状の場合の層数、炭素部の厚み、中空部の径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって、測定することができる。
次に、本発明の光電変換素子が、色素増感型太陽電池である場合について、説明する。
図1は、本発明の光電変換の実施の一形態の光電変換素子1を概略的に示す図である。本実施の形態の光電変換素子1は、色素が吸着した多孔質状の半導体材料を含む光電極2と、機能層として、該光電極2を覆うように配置され、イオン液体およびナノ構造中空炭素材料を含む固体状または擬固体状の電荷輸送層3と、該電荷輸送層3側の表面に光電極2を付着させた稠密層2aと、該稠密層2aと接する第1の電極層4と、該電荷輸送層3に接する第2の電極層5とを含む。本実施の形態における光電変換素子1は、基板6上に、第1の電極層4、稠密層2a、電荷輸送層3、第2の電極層5がこの順で積層されて構成される。光電変換素子1は、第1の電極層4上に稠密層2aを形成し、該稠密層2a上に色素が吸着した多孔質状の半導体材料を含む光電極2を形成する工程と、イオン液体およびナノ構造中空炭素材料を混練して成る塗布液を該稠密層2aの該光電極2が付着した側の面上に塗布して、固体状または擬固体状の電荷輸送層3を形成する工程と、該電荷輸送層3上に第2の電極層5を形成する工程とを含む製造方法によって製造される。なお光電極2と電荷輸送層3とは、明確に層分離した状態ではなく、光電極2に形成される孔に電荷輸送層3の一部が充填されることで、電荷輸送層3が光電極2の領域にまで配置される。このように多孔質状の光電極2を用いることで、光電極2と電荷輸送層3との接触面積を可及的に大きくしている。
以下、光電変換素子1の各構成要素について、それぞれ製造方法とともに説明する。
基板6は、可撓性を示す板でも、剛性を示す板でもよく、光電変換素子1を製造する工程において変化しないものが好適に用いられる。また基板6は、高透過性(350nmより長波長側で、光の透過率が80%以上)を示すものが好ましく、通常、ガラス、プラスチックが用いられる。プラスチックを用いる場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリアリレート(PAR);アートン(登録商標)、ゼオノア(登録商標)、アペル(登録商標)やトーパス(登録商標)等の環状ポリオレフィン(COP);ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアミド(PA)等を用いることができる。これらのプラスチックには、水分や酸素によって生じる素子内部の構成材料の劣化を防ぐために、ガスバリア性を向上させるための処理(ガスバリア物質で表面をコートする処理等)がなされていてもよい。なお光を基板6以外から取込む場合には、基板6に不透明の板を用いてもよい。また基板6は、電荷輸送層3などを保護する役割も有する。
第1の電極層4は、第2の電極層5とともに光起電力の取出し電極として機能する。第1及び/又は第2の電極層は、導電性高分子、酸化物半導体および金属から成る群から選ればれる少なくとも1種から成る。第1の電極層4は、例えばインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、アンチモンスズ酸化物(Antimon Tin Oxide:略称ATO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリンなどから成る薄膜によって形成される。なお第1の電極層4には、適宜添加物をドーピングしてもよく、例えばフッ素がドープされたSnO2から成る薄膜(FTO)を第1の電極層4に用いてもよい。第1の電極層4は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法スピンコート法などによって基板6上に形成される。
光電極2は、多孔質状の半導体材料に光増感色素が吸着されている。多孔質状の半導体材料は、例えば半導体微粒子を焼成することによって形成することができる。光電極2に用いられる半導体微粒子の一次粒径は、1nm〜5000nm程度であり、好ましくは5〜500nm程度である。なお全ての一次粒径がほぼ同程度の半導体微粒子を用いて多孔質状の半導体層を形成してもよく、また一次粒径の異なる半導体微粒子を用いて多孔質状の半導体材料を形成してもよい。一次粒径の異なる半導体微粒子を用いた場合には、一次粒径の大きさ毎に微粒子の反射する光の波長が異なるので、広帯域の波長の光を反射または散乱させることができ、光電変換効率の向上を図ることができる。また、半導体微粒子の形状は、略球状でも、チューブ状や中空形状でもよい。
半導体微粒子の材質としては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ニッケル、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウム等の金属酸化物;ヨウ化銀、臭化銀、ヨウ化銅、臭化銅等の金属ハロゲン化物;硫化亜鉛、硫化チタン、硫化インジウム、硫化ビスマス、硫化カドミウム、硫化ジルコニウム、硫化タンタル、硫化モリブデン、硫化銀、硫化銅、硫化スズ、硫化タングステン、硫化アンチモン等の金属硫化物;セレン化カドミウム、セレン化ジルコニウム、セレン化亜鉛、セレン化チタン、セレン化インジウム、セレン化タングステン、セレン化モリブデン、セレン化ビスマス、セレン化鉛等の金属セレン化物;テルル化カドミウム、テルル化タングステン、テルル化モリブデン、テルル化亜鉛、テルル化ビスマス等の金属テルル化物;リン化亜鉛、リン化ガリウム、リン化インジウム、リン化カドミウム等の金属リン化物;ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物、シリコン、ゲルマニウム等が挙げられ、また、これらの2種以上の混合物であってもよい。混合物としては、例えば酸化亜鉛と酸化スズとの混合物、および酸化スズと酸化チタンとの混合物等が挙げられる。
これらの中でも、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ニッケル、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウム、酸化亜鉛と酸化スズの混合物、酸化スズと酸化チタンの混合物等の金属酸化物が比較的安価で入手しやすい観点又は光増感色素が吸着されやすい観点から好ましく、酸化チタンがより好ましい。
半導体微粒子の表面には、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理などを行ってもよい。このメッキ処理により、半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子表面部の結晶性の純度を高めたり、半導体微粒子表面に存在する鉄等の不純物を覆い隠したり、半導体微粒子の相互の連結性、結合性を高めたりすることができる。半導体微粒子の表面積が大きいほど多くの光増感色素を吸着することができるため、表面積の大きい半導体微粒子を用いることが好ましい。多孔質状の半導体材料を稠密層2a上に形成した状態での表面積は、基板6の厚み方向に垂直な平面に多孔質状の半導体材料を投影した投影面積に対して、10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限は、通常、1000倍程度である。多孔質状の半導体材料は、1種類でも、2種類以上でもよく、通常は、2種類以上の半導体材料を用い、各半導体材料を含む領域が重なりあう構造を有する。なお各領域に用いられる半導体微粒子の一次粒径を互いに異ならせることによって、前述と同様に広帯域の波長の光を反射または散乱させることができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
多孔質状の半導体材料は、例えば半導体微粒子を含むスラリーを塗布法で成膜し、さらに焼成することで形成することができる。塗布法としては、例えば、ドクターブレード、スキージ、スピンコート、ディップコートやスクリーン印刷等を用いる手法が挙げられる。塗布法で成膜する場合、スラリー中の半導体微粒子の分散状態における平均粒径は、0.01nm〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を分散させる分散媒としては、半導体微粒子を均質に分散させ得るものであればよく、水;エタノール、イソプロパノール、t−ブタノールやテルピネオール等のアルコール溶媒;アセトン等のケトン溶媒等の有機溶媒が用いられ、また、これら水や有機溶媒の混合溶媒を用いてもよい。またスラリーには、ポリエチレングリコール等のポリマー;Triton−X等の界面活性剤;酢酸、蟻酸、硝酸や塩酸等の有機酸又は無機酸;アセチルアセトン等のキレート剤を含んでいてもよい。
塗布法によってスラリーが成膜されると、次に所定の温度で焼成を行う。焼成は、基板6の耐熱温度よりも低い温度で行われる。例えばフッ素がドーピングされた酸化スズ膜(第1の電極層4)付きガラス基板であれば、450℃から550℃程度で焼成を行う。なお、比較的低温で多孔質状の半導体層を形成する方法としては、水熱処理を施すHydrothermal法、分散された半導体粒子の分散液を基板に電着する泳動電着法、半導体ペーストを基板に塗布、乾燥後にプレスするプレス法等が挙げられる。
稠密層2aは、他の領域に比べて稠密であることが好ましい。例えば、粒径10nm程度の半導体微粒子が分散されたチタニアゾルをスピンコート法により第1の電極層4上に塗布し、1μmの厚みの稠密層2aを形成し、さらに粒径が10nmよりも大きい半導体微粒子を用いて稠密層2a上に半導体材料を付着してもよい。第1の電極層4に接して密層2aを設けることで、後述する電荷輸送層3と第1の電極層4とが接する状態を防ぐため、電荷輸送層3と第1の電極層4との界面で生じる電荷再結合を抑制し、光電変換効率を向上することができる。
多孔質状の半導体材料に吸着させる光増感色素には、可視光領域および/または赤外光領域において吸収を示す材料が好適に用いられ、種々の金属錯体や有機色素の一種または二種以上が用いられる。半導体材料への吸着が早い観点からは、分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、カルボキシアルキル基等の官能基を有する光増感色素が好ましい。また、光電変換効率や耐久性に優れる観点からは、光増感色素としては金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報や特公平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体等が挙げられる。
ルテニウム錯体系色素をさらに詳しく例示すれば、cis−ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2'−ビピリジル−4,4'−ジカルボキシレート)−ルテニウム(II) ビス−テトラブチルアンモニウム、cis−ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2'-ビピリジル−4,4'−ジカルボキシレート)−ルテニウム(II)、トリス(イソチオシアネート)−ルテニウム(II)−2,2'−6',2"−ターピリジン−4,4',4"−トリカルボン酸トリス−テトラブチルアンモニウム、cis−ビス(イソチオシアネート)(2,2'-ビピリジル−4,4'−ジカルボキシレート)(2,2'−ビピリジル−4,4'−ジノニル)ルテニウム(II)などが挙げられる。
光増感色素に用いられる有機色素としては、例えば、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素、スクアリリウム系色素などが挙げられる。シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所製)などが挙げられる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、例えば、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインなどが挙げられる。トリフェニルメタン色素としては、例えば、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。クマリン系色素としては、NKX−2677(林原生物化学研究所製)等が挙げられ、具体的には以下に示す構造単位を含む化合物などが挙げられる。インドリン系等の有機色素として、具体的には以下に示す構造単位を含む化合物などが挙げられる。
Figure 0005401832
多孔質状の半導体材料に光増感色素を吸着させる方法としては、例えば、よく乾燥させた多孔質状の半導体材料が設けられた基板を、光増感色素を含む溶液に数時間浸漬する方法が用いられる。光増感色素を溶解させる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ターシャリーブチルアルコール、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トルエンなど、およびこれらの混合液を用いることができる。光増感色素の吸着は室温で行ってもよく、また加熱下で行ってもよく、さらに光増感色素を含む溶液を還流させながら行ってもよい。光増感色素の吸着は、半導体微粒子を稠密層2a上に塗布する前に行っても、また半導体微粒子を稠密層2a上に塗布した後に行ってもよく、半導体微粒子を稠密層2a上に塗布した後に行う方が好ましい。また半導体微粒子を稠密層2a上に塗布した後に加熱処理する場合、光増感色素の吸着は、加熱処理後に行うことが好ましくい。なお半導体材料の表面には水が吸着するので、この水の吸着を防止するために、加熱処理後、可及的速やかに光増感色素を吸着させる方法が特に好ましい。なお半導体材料に吸着されずに存在する未吸着の光増感色素が、電荷輸送層3中に浮遊することで増感効果が低減するおそれがあるので、このような未吸着の光増感色素を洗浄して除去する工程を設けることがさらに好ましく、これによって増感効果の低減を抑制することができる。
半導体材料に吸着する光増感色素は、1種類のものでも、複数種類の色素を混合したものでもよい。光電変換素子1の用途が光電気化学電池である場合、太陽光などの照射光の波長域のなかで、できるだけ広範囲の波長域での光電変換が可能となるように、混合する光増感色素を選ぶことが好ましい。光増感色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1gに対して0.01〜1ミリモルが好ましい。このような色素量とすると、半導体材料における増感効果が十分に得られ、半導体層に付着していない色素が浮遊することによる増感効果の低減を抑制する傾向にあることから好ましい。
光増感色素の吸着は、半導体材料全体に同一の光増感色素を吸着させてもよく、半導体材料を複数の領域に区切って、各領域毎に異なる種類の光増感色素を吸着させてもよい。例えば、半導体材料を厚み方向に3つの領域に区切り、波長300nm〜500nmの光を吸収する光増感色素を第1の領域に吸着させ、波長500nm〜700nmの光を吸収する光増感色素を第2の領域に吸着させ、700nm〜900nmの光を吸収する光増感色素を第3の領域に吸着させる等の方法で、各領域に吸収波長の異なる光増感色素を吸着させてもよい。これによって広範囲の波長域の光を光電変換可能な光電変換素子1を実現することができ、光電変換効率を向上させることができる。
半導体材料に光増感色素を吸着させたのちに、光電極2に金属酸化皮膜を形成することが好ましい。金属酸化皮膜の膜厚は、電子のトンネル効果が生じる程度が好ましく、例えば、数1nm〜数10nm程度である。金属酸化膜には、例えばTiO2、SnO2、WO3、ZnO、SiO2、ITO、BaTiO3、Nb25、In23、ZrO2、Ta25、La23、SrTiO3、Y23、Ho23、Bi23、CeO2、Al23からなる群から選択される1種または2種以上から成る膜が用いられ、これらのなかでもAl23、ZnOから成る膜が好適に用いられる。前記金属酸化物は、不純物がドープされたものや複合酸化物などであってもよい。金属酸化皮膜を形成することにより、光増感色素から注入された酸化物半導体中の電子が、電荷輸送層に移動することを防止でき、これによって光電変換効率を向上させることができる。
機能層である電荷輸送層3は、イオン液体および前記ナノ構造中空炭素材料を含むことが好ましく、固体状または擬固体状であることが好ましい。例えば、イオン液体および前記ナノ構造中空炭素材料を混練して成る塗布液を前記光電極2上に塗布することで形成される。
イオン液体は、融点の低い塩である。イオン液体としては、室温で液体であり、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンとした常温溶融性塩等が例示され、ハロゲン化物アニオンを含むことが好ましい。常温溶融性塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。常温溶融性塩のアニオンとしては、BF4 -、PF6 -、F(HF)n -、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CF3SO22 -]、ヨウ化物イオン、臭化物イオンなどが挙げられる。イオン液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオン、またはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン等からなる塩類を挙げることができる。
電荷輸送層3は、前述のイオン液体とナノ構造中空炭素材料とを混練することで得られる塗布液を、光電極2上に塗布法で塗布することで形成されることが好ましい。混練には混練機、攪拌機、分散機、ミル等を用いてもよく、混練の手法はこれらに限定されない。ナノ構造中空炭素材料とイオン液体との混合比は、用いるナノ構造中空炭素材料により適宜調整され、例えば、塗布液が非流動的になるまでナノ構造中空炭素材料を添加する。このような塗布液を用いることで、固体状または擬固体状の電荷輸送層3を形成することができる。擬固体状とは、流動性を示さない状態であって、例えば、ゲル状の状態である。ナノ構造中空炭素材料は、イオン液体に対して25重量%以上添加することが好ましく、より好ましくは、95重量%以上であり、さらに好ましくは135重量%以上である。イオン液体とナノ構造中空炭素材料とを混練して得られる塗布液を光電極2上に塗布する方法としては、ドクターブレード、スキージ、スピンコート、ディップコートやスクリーン印刷等を用いる手法が挙げられる。
イオン液体とナノ構造中空炭素材料とは、十分に混練することが好ましい。イオン液体とナノ構造中空炭素材料とが十分に混ざり合った材料で電荷輸送層3を形成すると、光電極2とナノ構造中空炭素材料との間にイオン液体が介在した状態の光電変換素子を構成することができる。このように、光電極2とナノ構造中空炭素材料との間にイオン液体が介在することで、光励起された光増感色素の電子がナノ構造中空炭素材料の触媒作用によって電荷輸送層3に移動してしまうことを防ぎ、半導体材料、第1の電極層4へと効率的に光励起された電子を移動させることができる。これによって光電変換効率の向上を図ることができる。なおイオン液体とナノ構造中空炭素材料とを十分に混練したとしても、一部のナノ構造中空炭素材料がイオン液体を介さずに光電極2に接触する状態もありうる。
第2の電極層5は、電荷輸送層3に接するように設けられる。第2の電極層は、例えば導電性高分子、酸化物半導体および金属から成る群から選ればれる少なくとも1種から成る。第2の電極層5は、例えば、ITO、ATO、FTO、およびポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリンなどから成る薄膜によって形成され、例えば、第1の電極層4と同様に、第1の電極層4の形成される基板とは別の基板に予め薄膜状に形成されていてもよく、この薄膜が形成された基板を電荷輸送層3に圧着させることで、電荷輸送層3に電気的に接続される。第2の電極層5は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などによって形成される。なお、本実施の形態における第2の電極層5は、電荷輸送層3に接して積層されるが、第2電極層の少なくとも一部が、前記電荷輸送層3に没入して配置されてもよい。具体的には、表面の一方に複数の棒状の突起を有する第2の電極層を、該突起が電荷輸送層3に挿入されるように形成してもよい。通常であれば触媒作用を示す対向電極に相当する電極を形成するところ、ナノ構造中空炭素材料が触媒として機能することで、イオン溶液を効率的に還元することができ、これによって電荷輸送層が触媒作用を示す対向電極としても機能するので、このように触媒作用を示す対向電極を形成することなく、第2電極層の少なくとも一部を前記電荷輸送層に没入させるだけで、第2の電極層起電力の取出し電極として有効に機能させることができる。またナノ構造中空炭素材料が触媒として機能することで、イオン溶液を効率的に還元することができるので、白金、ポリエチレンジオキシチオフェンなどではなく、例えば、ITOで第2の電極層5を形成したとしても、該第2の電極層5が光起電力の取出し電極として有効に機能する。

光電変換特性の長期安定性のために、光電変換素子1は封止材で封止されることが好ましい。例えば、電荷輸送層3の側面は、封止材で覆われる。該封止材としては、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル製)等のアイオノマー樹脂;ガラスフリット;SX1170(Solaronix製)等のホットメルト接着剤;Amosil 4(Solaronix製)のような接着剤;BYNEL(デュポン製)等を使用することができる。
以上説明した本実施の形態の光電変換素子1によれば、電荷輸送層3が固体状または擬固体状なので、電荷輸送層に含まれる材料の漏洩を防止することができ、これに伴う光電変換効率の低下を防ぐことができる。また電荷輸送層3にイオン液体を用いることで、ヨウ素溶液を用いた場合に生じる電極などの腐食を抑制することができ、またイオン液体は揮発性が極めて低いので、揮発に起因する光電変換特性の低下を抑制することができる。また電荷輸送層3に用いるナノ構造中空炭素材料が速やかな還元作用を生じさせる触媒として機能し、電荷の移動を大幅に促進し、光電変換効率を向上させている。このようにイオン溶液とナノ構造中空炭素材料を含む電荷輸送層を構成することで、短絡電流密度の高い光電変換素子を実現している。
また、触媒として機能するナノ構造中空炭素材料を用いることで、白金などの高コストな材料からなる電極を形成することなく、白金よりも安い材料で電極として有効に機能する電極を実現することができる。また、イオン液体に混合する材料としてナノ構造中空炭素材料を用いれば、カーボンナノチューブ、導電性ポリマーなどを用いる場合に比べて低コストになる一方、高い短絡電流密度の光電変換素子を実現することができる。また、触媒として機能するナノ構造中空炭素材料を用いることで、例えば、触媒作用を示す対向電極を用いる必要がなくなり、素子構造の簡素化を図ることで、素子の低コスト化を図ることができる。
次に、本発明の光電変換素子が、有機薄膜太陽電池である場合について、説明する。
有機薄膜太陽電池の具体例としては、
1.第1の電極層としての陰極と第2の電極層としての陽極と、該陽極と該陰極との間に電子受容性化合物を含有する機能層である第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して設けられた電子供与性化合物を含有する機能層である第2の活性層と、該陰極と該第1の活性層との間に該陰極に隣接して設けられた機能層である無機層とを有する有機光電変換素子;
2.第2の電極層としての陽極と第1の電極層としての陰極と、該陽極と該陰極との間に電子受容性化合物を含有する機能層である第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して設けられた電子供与性化合物を含有する機能層である第2の活性層と、該陰極と該第2の活性層との間に該陰極に隣接して設けられた機能層である無機層とを有する有機光電変換素子;
3.第2の電極層としての陽極と第1の電極層としての陰極と、該陽極と該陰極との間に電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する機能層である活性層と、該陰極と該活性層との間に該陰極に隣接して設けられた機能層である無機層とを有する有機光電変換素子;
4.第2の電極層としての陽極と第1の電極層としての陰極と、該陽極と該陰極との間に電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する機能層である活性層と、該陽極と該活性層との間に該陽極に隣接して設けられた有機層と、該陰極と該活性層との間に該陰極と隣接して設けられた機能層である無機層とを有する有機光電変換素子;
5.第2の電極層としての陽極と第1の電極層としての陰極と、該陽極と該陰極との間に電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する機能層である活性層と、該陰極と該活性層との間に該陰極に隣接して設けられた無機層とを有する有機光電変換素子であって、該電子受容性化合物がフラーレン誘導体である有機光電変換素子;
6.第2の電極層としての陽極と第1の電極層としての陰極と、該陽極と該陰極との間に電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する機能層である活性層と、該陽極と該活性層との間に該陽極に隣接して設けられた有機層と、該陰極と該活性層との間に該陰極と隣接して設けられた無機層とを有する光電変換素子であって、該電子受容性化合物がフラーレン誘導体である有機光電変換素子;
また、前記5.前記6.の有機光電変換素子では、フラーレン誘導体及び電子供与性化合物を含有する活性層におけるフラーレン誘導体の割合が、電子供与性化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、50〜500重量部であることがより好ましい。
有機光電変換素子としては、前記3.、前記4.、前記5.又は前記6.の素子が好ましく、ヘテロ接合界面を多く含むという観点からは、前記5.又は前記6.の素子がより好ましい。
本発明の有機光電変換素子において、陽極、陰極、活性層、無機層のいずれかにナノ構造中空炭素材料を含む。中でも、陽極に含むことが好ましい。
本発明の有機光電変換素子に含まれる陰極は金属を含むことが好ましい。陰極中にさらに、金属の酸化物、金属のハロゲン化物を含んでいてもよいが、金属の重量を100とした場合に、金属の酸化物の重量と金属のハロゲン化物の重量との合計が10以下であることが好ましく、実質的に、陰極が金属のみからなることがより好ましい。金属としては、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、セシウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ランタニド等があげられる。また、これら金属の合金や、グラファイトまたはこれらの金属とグラファイトとの層間化合物等を用いることもできる。金属の中では、アルミニルム、マグネシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、インジウム、スズが好ましい。陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。その他、金属インクや金属ペースト、低融点金属等を用いて、塗布法で金属電極を作製することもできる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。また、低コスト化や素子の軽量化の観点からは、ナノ構造中空炭素材料を用いてもよい。
本発明の有機光電変換素子に含まれる陽極は、ナノ構造中空炭素材料又は金属を含むことが好ましい。金属を含む場合、陽極中にさらに、金属の酸化物、金属のハロゲン化物を含んでいてもよいが、金属の重量を100とした場合に、金属の酸化物の重量と金属のハロゲン化物の重量の合計が10以下であることが好ましく、実質的に、陽極が金属のみからなることがより好ましい。金属としては、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、セシウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ランタニド等があげられる。また、これら金属の合金や、グラファイトまたはこれらの金属とグラファイトとの層間化合物等を用いることもできる。金属の中では、金、銀、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、スズが好ましい。腐食防止の観点からは、金が好ましい。金属を含む陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。その他、金属インクや金属ペースト、低融点金属等を用いて、塗布法で金属電極を作製することもできる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。また、低コスト化や素子の軽量化の観点からは、ナノ構造中空炭素材料を用いることが好ましい。
本発明の有機光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物を含む層を形成する際に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等が挙げられる。不透明な基板を用いる場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
前記の透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。本発明の有機光電変換素子においては、陰極が透明又は半透明であることが好ましい。
次に、有機光電変換素子の動作機構を説明する。透明又は半透明の電極から入射した光エネルギーが電子受容性化合物及び/又は電子供与性化合物で吸収され、電子とホールの結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物が隣接しているヘテロ接合界面に達すると界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子とホールが分離し、独立に動くことができる電荷(電子とホール)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
有機光電変換素子に好適に用いられる電子受容性化合物は、電子受容性化合物のHOMOエネルギーが電子供与性化合物のHOMOエネルギーよりも高く、かつ、電子受容性化合物のLUMOエネルギーが電子供与性化合物のLUMOエネルギーよりも高くなる。
前記電子供与性化合物としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。低分子化合物としては、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ポルフィリン、金属ポルフィリン、オリゴチオフェン、テトラセン、ペンタセン、ルブレン等が挙げられる。高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
前記電子受容性化合物としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。低分子化合物としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体、2、9−ジメチル−4、7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。とりわけフラーレン類及びその誘導体が好ましい。またコストや電荷輸送能の向上の観点からはナノ構造中空炭素材料を用いてもよい。
フラーレン類としては、C60、C70、カーボンナノチューブ、及びその誘導体が挙げられる。フラーレンの誘導体の具体的構造としては、以下のようなC60誘導体が挙げられる。
Figure 0005401832
本発明の有機光電変換素子における活性層には、高分子化合物を含むことが好ましく、高分子化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、前記活性層の電荷輸送性を高めるため、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物を混合して用いることもできる。中でも、活性層中に共役高分子化合物とフラーレン誘導体とを含むことが好ましい。例えば、共役高分子化合物とフラーレン誘導体とを含有する有機薄膜を活性層として用いることができる。
前記活性層は、膜厚が、通常、1nm〜100μmであり、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜200nmである。
本発明に用いられる無機層に含まれる材料としては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化ニッケル、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウム等の金属酸化物;ヨウ化銀、臭化銀、ヨウ化銅、臭化銅等の金属ハロゲン化物;硫化亜鉛、硫化チタン、硫化インジウム、硫化ビスマス、硫化カドミウム、硫化ジルコニウム、硫化タンタル、硫化モリブデン、硫化銀、硫化銅、硫化スズ、硫化タングステン、硫化アンチモン等の金属硫化物;セレン化カドミウム、セレン化ジルコニウム、セレン化亜鉛、セレン化チタン、セレン化インジウム、セレン化タングステン、セレン化モリブデン、セレン化ビスマス、セレン化鉛等の金属セレン化物;テルル化カドミウム、テルル化タングステン、テルル化モリブデン、テルル化亜鉛、テルル化ビスマス等の金属テルル化物;リン化亜鉛、リン化ガリウム、リン化インジウム、リン化カドミウム等の金属リン化物;フッ化リチウム等の金属のハロゲン化物ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物、シリコン、ゲルマニウム等が挙げられ、また、これらの2種以上の混合物であってもよい。混合物としては、例えば酸化亜鉛と酸化スズとの混合物、および酸化スズと酸化チタンとの混合物等が挙げられる。
無機層は、例えば、スラリー塗布することで形成できる。塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。本発明に用いられる機能層は、膜厚が、1nm〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
本発明に用いられる有機層は、高分子化合物からなることが好ましく、導電性が高い高分子化合物からなることがより好ましい。導電性が高い高分子化合物からなる有機層を陽極および活性層に隣接させることで、陽極と活性層の密着性を高めるととも活性層から電極へのホール(正孔)注入効率を高めることができる。高分子化合物としては、チオフェンジイル基を含む高分子化合物、アニリンジイル基を含む高分子化合物、ピロールジイル基を含む高分子化合物、フルオレンジイル基を含む高分子化合物等があげられる。
本発明に用いられる有機層は、高分子化合物と溶媒とを含む溶液を塗布することにより形成することができる。塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。有機層が有する機能としては、陽極への正孔の注入効率を高める機能、活性層からの電子の注入を防ぐ機能、正孔の輸送能を高める機能、陽極を蒸着する際の平坦性を高める機能、陽極を塗布法で作製する場合に活性層を溶媒の浸食から保護する機能、陰極から入射した光を反射する機能、活性層の劣化を抑制する機能等があげられる。
本発明の有機光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、薄膜太陽電池として動作させることができる。薄膜太陽電池を複数集積することにより薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
以上説明した有機光電変換素子によれば、ナノ構造中空炭素材料を用いることにより、電荷輸送能等を向上させることができ、短絡電流密度を向上させることができる。ナノ構造中空炭素材料の材料コストの観点からも、本発明における有機光電変換素子は素子の低コスト化を図ることができる。
次に、実施例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
<実施例1>
(1)ナノ構造中空炭素材料の製造
2.24gの鉄粉末と7.70gのクエン酸と400mlの水で0.1Mの鉄混合液を調製し、密閉容器に入れ、卓上震盪機で7日間混合した。混合期間中、適宜発生した水素ガスを容器から排出させ、金属ナノ粒子混合液を得た。6.10gのレゾルシノールと9.0gのホルムアルデヒドの混合溶液に、上記金属ナノ粒子混合液100mlを加え、激しく撹拌しながら30mlのアンモニア水溶液を滴下し、得られた懸濁液のpHは10.26であった。上記懸濁液をオイルバス上で80〜90℃に加熱して3.5時間熟成させ、炭素材料中間体を形成させた。炭素材料中間体をろ過により回収し、一晩オーブン中で乾燥させたのち、窒素雰囲気中、1150℃、3時間焼成した。得られたナノ構造複合材料を5Mの硝酸溶液で6〜8時間リフラックスさせ、酸化性混合液(H2O/H2SO4/KMnO4=1:0.01:0.003(モル比))300ml中、90℃、3時間熱処理した。さらに水で洗浄し、オーブン中で3時間乾燥して、ナノ構造中空炭素材料1.1gを得た。ナノ構造中空炭素材料は、TEM観察の結果、30〜100層の層状構造を有し、層の厚さ5〜15nm、中空部分の径は3〜10nm、粒径は20〜100nmであった。
(2)光電変換素子の作製
F(フッ素)がドープされたSnO2薄膜(第1の電極層4)が形成された透明な導電性ガラス基板6上に、触媒化成工業株式会社製のチタニアゾルPASOL HPW-10Rをスピンコート法により塗布し、450℃で30分間焼成することで、稠密層2aを形成した。焼成後、稠密層上にチタニアペースト(商品名Solaronix D、Solaronix社製)を塗布し、450℃で30分間焼成し、半導体材料を形成した。次にアセトニトリルとターシャリーブチルアルコールを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にルテニウム色素(製品名Ruthenium 535-bisTBA、Solaronox社製)を混合させた溶液に、上記の半導体材料を浸漬した。これにより10μm程度の膜厚の増感色素吸着メソポーラス二酸化チタンからなる光電極2を形成した。さらに、1.5重量%のアルミニウム−s−ブロキシドを溶解したトルエン溶液に光電極2を10分間浸漬させることで洗浄を行った。次に、イオン液体1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムアイオダイドに対して、ナノ構造中空炭素材料を150重量%添加し、乳鉢で混練することで塗布液を用意した。この塗布液を光電極2を覆うように塗布することで電荷輸送層3を形成した。さらに光起電力取り出し電極としてITO膜(第2の電極層5)が形成されたガラス基板を電荷輸送層3に圧着させることにより、実施例1の光電変換素子を作製した。
<比較例1>
電荷輸送層以外は、実施例1の光電変換素子と同様に作製した。電荷輸送層の形成に用いる塗布液は、イオン液体1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムアイオダイドに対して、単層カーボンナノチューブ(ALDRICH製)を5重量%添加し、乳鉢で混練して製造した。この塗布液を、実施例1と同様にして光電極を覆うように塗布することで電荷輸送層を形成した。
実施例1と比較例1の光電変換素子について、それぞれ短絡電流密度を測定した。短絡電流密度の測定は分光計器株式会社製の分光感度測定装置CEP−2000型を用いて、素子に対するDC電圧印加を20mV/秒の定速で掃引することにより行った。
Figure 0005401832
表1に示すように、実施例1の光電変換素子は、カーボンナノチューブを用いて作製した比較例1の光電変換素子に比べて、短絡電流密度が上昇した。双方とも、液状材料の漏洩は無かった。
本発明の実施の一形態の光電変換素子1を概略的に示す図である。
符号の説明
1 光電変換素子
2 光電極
2a 稠密層
3 電荷輸送層
4 第1の電極層
5 第2の電極層
6 基板

Claims (8)

  1. 第1の電極層と第2の電極層とを有し、該第1の電極層と該第2の電極層との間に機能層を有し、該機能層中に、中空部を有する略球状のナノ構造中空炭素材料が含まれる光電変換素子(ただし、イオン液体以外の液体を含む機能層を有する場合を除く)。
  2. 金属ナノ粒子を製造する第1の工程と、該金属ナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体の重合を行い、金属ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる第2の工程と、該炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成させ、ナノ構造複合材料を製造する第3の工程と、該ナノ構造複合材料から、金属ナノ粒子を除去して、ナノ構造中空炭素材料を製造する第4の工程とを含む製造方法により、ナノ構造中空炭素材料が製造される請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 機能層中に、イオン液体が含まれる請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. イオン液体が、ハロゲン化物アニオンを含む請求項に記載の光電変換素子。
  5. 第1の電極層と第2の電極層との間に、色素が吸着した多孔質状の半導体材料を有する請求項1〜のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 第2の電極層中に、ナノ構造中空炭素材料が含まれる請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  7. 光電変換素子が有機薄膜太陽電池である請求項1、2又は6に記載の光電変換素子。
  8. 機能層中に、フラーレン誘導体及び高分子化合物が含まれる請求項7に記載の光電変換素子。
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