JP5397597B2 - 洗浄方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の発明は、洗浄水に圧縮空気を混合させ、洗浄水に対して脈動や衝撃波を加えて洗浄するという技術である。
また、特許文献2に記載の発明は、いずれか1つの孔部に洗浄液導出口を臨ませ、他の孔部には圧縮気体導出口を臨ませ、洗浄液と圧縮空気を供給して洗浄するという技術である。
更に、特許文献3に記載の発明は、洗浄槽、ワーク保持手段、洗浄液中に気体を噴出させるバブリング手段、洗浄液のスプレー装置、ワーク保持手段を揺動する揺動駆動手段等を有し、スプレー装置による洗浄と、ワーク保持手段の揺動による洗浄を行うという技術である。
また、特許文献1、2に記載の技術では、次のような問題があった。すなわち、シリンダヘッド等の複雑な内部形状を有する物(ワーク)を洗浄する場合であって、異物、特に切粉が引っ掛かりやすい狭小部を洗浄するためには、洗浄液の噴射圧力と噴射流量(流速)を高める必要がある。このときの洗浄液の流速は、狭小部以外に付着した異物を洗浄するためには必要以上に高い値となる。しかし、狭小部に引っ掛かった切粉のように洗浄除去しにくい箇所、異物の洗浄のために上記のように高い流速で洗浄するので、全体洗浄のための洗浄液流速に係るエネルギ効率としては低い値となる。加えて、ワーク内部に注入した洗浄液は、洗浄液を注入している穴以外の大小様々な穴から切粉と共に不規則に排出されるので、ワーク内部の所望部分の洗浄液流速をコントロールすることが難しく、したがってこの点からも高い流速が必要となり、洗浄液の流速に係るエネルギ効率は低くなった。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
洗浄液としては水が、また発泡用ガスとしては加圧により洗浄液に溶けやすく減圧によりガス化しやすいガス、例えば炭酸ガス(二酸化炭素)が好適である。
(2) 前記ワークを、その複数の穴部のうち開口の大きな穴部を有する面を上側に向けて保持固定し、この保持固定状態でワーク下側に開口する穴部からワーク内部に気泡を送給しつつ、前記洗浄を行うことを特徴とする(1)項に記載の洗浄方法。
気泡は発泡用ガスと同じガスで発生させることが望ましく、このようにすれば、気泡と発泡用ガスとを同じガス供給源から供給可能となる。
(3) 前記洗浄を、液槽内の液中に前記ワークを浸漬させた状態で行うことを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の洗浄方法。
液槽内の液としては例えば水が用いられる。
本項に記載の発明においては、ワークの温度はほぼ液槽内の液温と等しくなるので、洗浄液につき、ワークの温度よりも低い温度とは液温よりも低い温度を指し、洗浄液の温度はこの液温よりも低い温度に設定される。
本項に記載の発明によれば、ワークの外部(ワーク外面)も洗浄できるという効果がある。また、ワーク内部から排出された異物、ワーク外部も洗浄した場合にはこの洗浄によりワーク外面から除去された異物は水槽内に貯まるので、それら異物の廃棄が容易になるという効果もある。
また、ワークの保持固定と洗浄液の発泡促進のための加熱とを同時にできる。
(2)項に記載の発明によれば、ワーク内部の異物の排出除去性を著しく高めることができる。
なお、(3)項に記載の発明は、本発明(特許請求の範囲に記載した発明)ではないので、上記課題を解決するための手段の欄に、その効果を述べた。
図1〜図3は、本発明による洗浄方法の一実施形態の説明図で、図1は洗浄準備時の、図2は第1工程における洗浄時の、図3は第2工程における洗浄時の、各様子を示している。
各図において、Wは内周側に空間Wsが形成され、外周に上記空間Wsに通じる複数の穴部1(1a〜1d)が開口するワーク、ここではシリンダヘッドである。シリンダヘッドは、内周側に空間(ウオータジャケット)が形成され、内部形状が複雑である一方、その空間に通じる大小複数の穴部が外周に開口する内燃機関の部品であって、本発明方法により洗浄されるワークWとして好適である。
本実施形態では、ワークWはその複数の穴部1(1a〜1d)のうち開口の大きな穴部(以下、大穴部と記す。)1aを有する面を上側に向けて保持固定する。ワークWの大穴部1aを上向きにすれば、洗浄時においてワークW内部の異物(切粉等)4はこの大穴部1aから溢れ出る後述する洗浄液、気泡と共にワークW外に排出し易くなり、ワークW内部からの異物4の排出除去性が高められるからである。
また、この保持固定状態で、ワークW下部に配設された気泡発生装置2のノズルからの気泡3をワークW下側に開口する穴部1bからワークW内部に送給可能にされる。ワークW下部からワークW内部に気泡3を送給すれば、このワークW下部からの気泡3の浮力によりワークW内部の異物4が同ワークWの大穴部1aから排出され易くなり、異物4の排出除去性が更に高められるからである。
上記狭小部7は、ワーク押圧部5aに組み込まれた電熱線等の局部加熱手段8によってワークWの上面押圧部分を介して加熱可能である。後述する洗浄液の発泡を促進し、発泡による洗浄力を増大させるには被洗浄箇所の加熱が有効であるが、上記のように狭小部7は加熱可能であるので、高い洗浄力をもって洗浄可能となる。
まず、第1工程においては、図2に示すように、前側ノズル9aを前側穴部1cからワークW内部に進入させ(矢印ウ参照)、同ワークW内部に洗浄液10を注入すると共に、気泡発生装置2からの気泡3をワークW内部に送給し、ワークW内部を洗浄する。
洗浄液10をワークWよりも低い温度にしたのは、次の理由による。
洗浄液10をワークWよりも低い温度にすれば、ワークW内に注入された洗浄液10はワークWにより温められ、同洗浄液10中の発泡用ガスによる気泡11がワークW接触面で多く発生し、ワークWと洗浄液10の間に気泡層が形成される。洗浄液10はその気泡層表面に接して流れ、ワークWに直接接して流れるよりも流速の低下を防ぐことができる。したがって、その分、洗浄液10の流速を上げる必要がなくなり、エネルギ損失が小さいまま(エネルギ効率高く)、洗浄できるようになるからである。
発泡用ガスとしては、加圧により洗浄液10に溶けやすく減圧によりガス化しやすいガス、例えば炭酸ガス(二酸化炭素)が好適である。
気泡発生装置2が発生する気泡3も、本実施形態では炭酸ガスによる気泡3が用いられているが、これのみに限定されない。
すなわち洗浄液10が、上記のようにワークW内部に注入され、ワークWの底部及び側部に開口する穴部1b,1dからの流れ出し、被洗浄物である異物4をワークW内部から排出、除去することでワークW内部を洗浄する。
洗浄液10中の発泡用ガスによる気泡11は、ワークW内面からの異物4の離脱を容易にすると共に、上記のように小さなエネルギ損失で洗浄可能とする。
この洗浄液面の上昇により、気泡発生装置2からの気泡3の洗浄液10中の混入量が増し、洗浄力を高める。洗浄液面がワークW上部に開口する大穴部1aにまで達すると、洗浄液10中の気泡量は増大すると共に狭小部7にまで達し、洗浄液10中の気泡11による洗浄効果と相俟って狭小部7の洗浄は効果的に行われる。
洗浄液10が、上記のようにワークW内部に満たされ、更に注入されると、洗浄液10はワークW上部に開口する穴部、主に大穴部1aから溢れ出し、また、ワークW側方の穴部1から流出し、洗浄液10、気泡11、気泡3と共に異物4をワークW内部から排出、除去してワークW内部を洗浄する。
このとき、後側ノズル9bは退避中であるので、この後側ノズル9bに対向するワークW側方の穴部1dからも異物4は排出、除去される。
この第2工程における洗浄は、後側ノズル9bによるワークWの後側穴部1d側(図中、右方側)からの洗浄液10の注入により行うこと、洗浄時において前側ノズル9aは退避中であるので、この前側ノズル9aに対向するワークW側方の穴部1cからも異物4が排出、除去されること等を除いて、上述した第1工程における洗浄と同様である。
また本実施形態によれば、ワークW外周部分を介してワークW内部の狭小部7を加熱するようにしたので、狭小部7において洗浄液10の発泡が促進され、狭小部7において高い洗浄力をもって洗浄できる。しかも、このような加熱をワークWの保持固定と同時にできるようにしたので、ワークWの保持固定と狭小部7の加熱の簡易化が図れる。
更に本実施形態では、開口の大きな穴部1(大穴部1a)を有する面を上側に向けて保持固定し、この状態でワークW下側からワークW内部に気泡3を送給しつつ、洗浄を行うようにした。したがって本実施形態によれば、異物4は気泡3の浮力をうけて上昇し易くなり、ワークW上部の大穴部1aから溢れ出る洗浄液10、気泡11、気泡3と共にワークW外に排出し易くなって、ワークW内部の異物4の排出除去性を著しく高めることができる。
図4は、実際のシリンダヘッドをワークWとして例示した図(シリンダヘッド横断面を示す。)である。上記狭小部7としては、この図中、例えば丸印を付した箇所41が挙げられる。このワークW内部の狭小部41に、異物が引っ掛かっているような場合であっても、本実施形態によればこれを洗浄、除去できる。
この場合、保持機構5のワーク押圧部5aの上部辺りから上方部分については、この高さが、ワークW上部に開口する大穴部1aからの洗浄液10の溢れ出し、異物4の排出を妨げる洗浄液面レベルを超えているので、つまり、大穴部1aからの洗浄液10の溢れ出し、異物4の排出を妨げないので、必ずしも洗浄用液槽内の液中に浸漬させる必要はない。
Claims (2)
- 内周側に空間が形成され、外周に前記空間に通じる複数の穴部が開口するワークの内部を洗浄する方法であって、
前記ワークの一側方又はその近傍に開口する穴部から洗浄液を注入してそのワークの内部を洗浄する第1工程と、
前記ワークの他側方又はその近傍に開口する穴部から前記洗浄液を注入し、そのワークの内部の洗浄を前記第1工程における洗浄とはほぼ反対側から行う第2工程とを備え、
前記洗浄液は、前記ワークの内部に注入されることにより発泡する発泡用ガスが混入され、前記ワークよりも低い温度に設定され、
前記ワークの内部の狭小部又はその近傍部分に対応するワーク外周部分を加熱、押圧することにより、このワークの保持固定及び前記狭小部又はその近傍部分への加熱を行うことを特徴とする洗浄方法。 - 前記ワークを、その複数の穴部のうち開口の大きな穴部を有する面を上側に向けて保持固定し、
この保持固定状態でワーク下側に開口する穴部からワーク内部に気泡を送給しつつ、前記洗浄を行うことを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
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