本発明の非接触型データ受送信体の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
(1)第一の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状のインレット11と、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12と、被覆材12のインレット11に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)12aに設けられた保護膜20とから概略構成されている。
すなわち、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが、被覆材12で直接、被覆され、かつ、被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆されて、インレット11、被覆材12および保護膜20が、その厚さ方向において、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体10は、平面視略長方形状をなしている。
また、インレット11は、基材13と、基材13の一方の面13aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ14およびアンテナ15とから概略構成されている。
アンテナ15は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ14と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子16,17からなるダイポールアンテナである。
アンテナ15の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子16,17の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
なお、インレット11の一方の面11aは、基材13の一方の面13aに相当する。
ゆえに、インレット11の一方の面11aでは、ICチップ14およびアンテナ15が被覆材12によって被覆されている。
そして、非接触型データ受送信体10の4つの側面にて、基材13の端面、被覆材12の端面、および、保護膜20の端面が同一面をなしている。より詳細には、例えば、非接触型データ受送信体10の側面10aにて、基材13の端面13b、被覆材12の端面12b、および、保護膜20の端面20aが同一面をなしている。同様に、非接触型データ受送信体10の側面10bにて、基材13の端面13c、被覆材12の端面12c、および、保護膜20の端面20bが同一面をなしている。
被覆材12の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット11のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10cに現れない程度、かつ、インレット11が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
保護膜20は、被覆材12の一方の面12aの全面に等間隔に設けられた多数の点状の微細膜21から構成されている。
微細膜21は、これを形成する保護剤を、被覆材12の一方の面12aに、点状(ドット状)に多数等間隔に塗布して、その点状の保護剤を硬化してなる点状の膜である。
また、保護膜20を構成する微細膜21は、被覆材12を形成する接着剤が硬化する際に、被覆材12の一方の面12aに生じた気泡(細孔)12dを覆うように設けられ、気泡(細孔)12dを埋めるように設けられていることが好ましい。
ここで、図2〜6を参照して、保護膜20を構成する多数の微細膜21の配置(第一〜第五の例)について説明する。
「第一の例」
図2は、保護膜20を構成する微細膜21の配置の第一の例を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
この例では、被覆材12の一方の面12aに、保護膜20を構成する多数の平面視円形状の微細膜21が行列状に配設されている。
ここで、微細膜21が行列状に配設されているとは、被覆材12の一方の面12aにて、被覆材12の縦方向(非接触型データ受送信体10の短辺方向)に沿って延在する微細膜21の多数の列(L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,・・・)において微細膜21が等間隔に配設されているとともに、被覆材12の横方向(非接触型データ受送信体10の長辺方向)に沿って延在する微細膜21の行(l1,l2,l3,l4,・・・)において微細膜21が等間隔に配設されていることを言う。
言い換えれば、全ての列L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,・・・において微細膜21が等間隔に配置されているとは、隣り合う列の間(例えば、列L1と列L2の間)では、微細膜21が等間隔に配置されており、非接触型データ受送信体10を側面視(図2(b)の断面図参照)した場合、隣り合う列の間では、微細膜21が重なり合っていることを言う。
また、全ての行l1,l2,l3,l4,・・・において微細膜21が等間隔に配置されているとは、隣り合う行の間(例えば、行l1と行l2の間)では、微細膜21が等間隔に配置されており、非接触型データ受送信体10を側面視した場合、隣り合う行の間では、微細膜21が重なり合っていることを言う。
列L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,・・・の微細膜21の間隔は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度の間隔であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じる気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、列L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,・・・の微細膜21の間隔は100μm〜2mmであることがより好ましい。
行l1,l2,l3,l4,・・・の微細膜21の間隔は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度の間隔であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じる気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、行l1,l2,l3,l4,・・・の微細膜21の間隔は100μm〜2mmであることがより好ましい。
さらに、列L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,・・・の微細膜21の間隔(例えば、間隔D1とする。)と、行l1,l2,l3,l4,・・・の微細膜21の間隔(例えば、間隔D2とする。)とは、一致していても、異なっていてもよいが、多数の微細膜21の存在による影響を受けることなく、非接触型データ受送信体10をどの向きにも容易に撓ませることができる(多数の微細膜21が非接触型データ受送信体10を撓ませるのを阻害することがない)ことや、非接触型データ受送信体10を撓ませた場合に局所的に応力が集中して、その応力の集中した部分で非接触型データ受送信体10が破損するのを防止できることなどから、上記の間隔D1と間隔D2は等しいことが好ましい。
また、微細膜21の外径は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じる気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、微細膜21の外径は100μm〜2mmであることがより好ましい。
なお、「微細膜21が気泡(細孔)12dを覆う」とは、1つの微細膜21によって、1つの気泡(細孔)12dが覆われている場合だけでなく、2つ以上の微細膜21によって、1つの気泡(細孔)12dが覆われている場合も含まれる。また、「微細膜21が気泡(細孔)12dを覆う」とは、1つの気泡(細孔)12dの開口部の全部が覆われている場合だけでなく、1つの気泡(細孔)12dの開口部の一部が覆われている場合も含まれる。そして、非接触型データ受送信体10の耐候性が損なわれないようにするとともに、非接触型データ受送信体10の外観を良好にするためには、1つまたは2つ以上の微細膜21が、1つの気泡(細孔)12dを埋めるように設けられていることが好ましい。
「第二の例」
図3は、保護膜20を構成する微細膜21の配置の第二の例を示す概略平面図である。
この例では、被覆材12の一方の面12aに、保護膜20を構成する多数の平面視円形状の微細膜21が、被覆材12の横方向(非接触型データ受送信体10の長辺方向)に沿って多数の行状に配設され、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向(非接触型データ受送信体10の短辺方向)に沿って多数の列状に配設されていない。
ここで、微細膜21が多数の行状に配設されているとは、被覆材12の一方の面12aにて、被覆材12の横方向に沿って延在する微細膜21の行(l11,l12,l13,l14,・・・)において微細膜21が等間隔に配設されていることを言う。
また、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向に沿って多数の列状に配設されていないとは、具体的には、非接触型データ受送信体10の短辺方向に沿ってl12の微細膜21の中心を通る直線が、l11において隣り合う2つの微細膜21,21の中間点を通るように、行l11と行l12が配置されていることを言う。
言い換えれば、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向に沿って多数の列状に配設されていないとは、非接触型データ受送信体10を側面視した場合、隣り合う行の間(例えば、行l11と行l12の間)では、微細膜21が重なり合っていないことを言う。
行l11,l12,l13,l14,・・・の微細膜21の間隔は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度の間隔であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じる気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、行l11,l12,l13,l14,・・・の微細膜21の間隔は100μm〜2mmであることがより好ましい。
また、微細膜21の外径は、第一の例と同様に、100μm〜2mmであることがより好ましい。
「第三の例」
図4は、保護膜20を構成する微細膜21の配置の第三の例を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
この例では、被覆材12の一方の面12aに、保護膜20を構成する多数の平面視円形状の微細膜21が、被覆材12の横方向(非接触型データ受送信体10の長辺方向)に沿って多数の行状に配設され、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向(非接触型データ受送信体10の短辺方向)に沿って多数の列状に配設されておらず、さらに、隣り合う微細膜21が互いに接触(外接)している。
ここで、微細膜21が多数の行状に配設されているとは、被覆材12の一方の面12aにて、被覆材12の横方向に沿って延在する微細膜21の行(l21,l22,l23,l24,・・・)において微細膜21が等間隔に配設されていることを言う。
また、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向に沿って多数の列状に配設されていないとは、具体的には、非接触型データ受送信体10の短辺方向に沿ってl22の微細膜21の中心を通る直線が、l21において隣り合う2つの微細膜21,21の中間点を通るように、行l21と行l22が配置されていることを言う。
言い換えれば、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向に沿って多数の列状に配設されていないとは、非接触型データ受送信体10を側面視した場合、隣り合う行の間(例えば、行l21と行l22の間)では、微細膜21が重なり合っていないことを言う。
さらに、隣り合う微細膜21が互いに接触(外接)しているとは、行l21,l22,l23,l24,・・・において、微細膜21が互いに接触(外接)しているとともに、隣り合う行の間(例えば、行l21と行l22の間)でも、微細膜21が互いに接触(外接)していることを言う。すなわち、隣り合う行の間、例えば、行l21と行l22の間では、上述のようにl22の微細膜21の中心を通る直線が、l21において隣り合う2つの微細膜21,21の中間点を通るように配置されているから、行l21と行l22の間では、1つの微細膜21に対して、2つの微細膜21が接触(外接)している。
すなわち、この第三の例では、被覆材12の一方の面12aにおいて、多数の微細膜21が六方最密構造をなして、配設されている。
また、微細膜21の外径は、第一の例と同様に、100μm〜2mmであることがより好ましい。
このように、多数の微細膜21が、被覆材12の横方向に沿って多数の行状に配設され、各行を構成する微細膜21が、被覆材12の縦方向に沿って多数の列状に配設されず、さらに、隣り合う微細膜21が互いに接触(外接)していれば、被覆材12の一方の面12aにおいて、微細膜21が設けられていない領域、すなわち、保護膜20で覆われていない領域が少なくなるので、非接触型データ受送信体10はより耐候性に優れたものとなる。
この例では、隣り合う微細膜21は互いに接触(外接)しているのであって、決して重なり合っていない。すなわち、微細膜21は、後述する保護剤を印刷により塗布して形成されたものであるから、図4(b)(図2(b)も参照)に示すように、その断面形状が、保護剤の表面張力により被覆材12の一方の面12aと接している部分から次第に縮径する凸状をなしているので、隣り合う微細膜21は互いに、それぞれの微細膜21が被覆材12の一方の面12aと接している部分の外周にて接している。したがって、隣り合う微細膜21が接している部分(隣り合う微細膜21の境界点)では、非接触型データ受送信体10が変形し易くなっているから、非接触型データ受送信体10の可撓性が損なわれない。
なお、上述の第一〜第三の例では、平面視円形状の微細膜21が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、被覆材のインレットに接している面とは反対側の面に、多数の微細膜を密に設けることができる形状であれば、微細膜の形状は、如何なる形状であってもよく、例えば、平面視三角形状、平面視四角形状、平面視五角形状、平面視六角形状などであってもよい。
「第四の例」
図5は、保護膜20を構成する微細膜21の配置の第四の例を示す概略平面図である。
この例では、被覆材12の一方の面12aに、保護膜20を構成する多数の微細膜21がハニカム状に配設されている。
この例において、多数の微細膜21がハニカム状に配設されているとは、多数の平面視正六角形状の微細膜21が、所定の間隔をおいて最密に配設されていることを言う。
微細膜21の間隔は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度の間隔であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じる気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、微細膜21の間隔は100μm〜2mmであることがより好ましい。
微細膜21における正六角形の向かい合う2つの点の間の長さD4は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じた気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、微細膜21の長さD4は100μm〜2mmであることがより好ましい。
また、微細膜21における正六角形の向かい合う2つの辺の間の長さD5は、特に限定されないが、被覆材12の一方の面12aにおいて、どこに気泡(細孔)12dが生じたとしても、微細膜21が気泡(細孔)12dを覆うことができる程度であることが好ましい。詳細には、被覆材12の一方の面12aに生じる気泡(細孔)12dの大きさ(開口径)は100μm〜2mmであることから、微細膜21の長さD5は100μm〜2mmであることがより好ましい。
「第五の例」
図6は、保護膜20を構成する微細膜21の配置の第五の例を示す概略平面図である。
この例では、被覆材12の一方の面12aに、保護膜20を構成する多数の微細膜21がハニカム状に配設されている。
この例において、多数の微細膜21がハニカム状に配設されているとは、多数の平面視正六角形状の微細膜21が互いに接触(外接)して隙間なく配設されていることを言う。
この例でも、隣り合う微細膜21は互いに接触(外接)しているのであって、決して重なり合っていない。すなわち、微細膜21は、後述する保護剤を印刷により塗布して形成されたものであるから、上述のように、その断面形状が、保護剤の表面張力により被覆材12の一方の面12aと接している部分から次第に縮径する凸状をなしているので、隣り合う微細膜21は互いに、それぞれの微細膜21が被覆材12の一方の面12aと接している部分の外周にて接している。したがって、隣り合う微細膜21が接している部分(隣り合う微細膜21の境界点)では、非接触型データ受送信体10が変形し易くなっているから、非接触型データ受送信体10の可撓性が損なわれない。
微細膜21における正六角形の向かい合う2つの点の間の長さD4は、第四の例と同様に、100μm〜2mmであることがより好ましい。
また、微細膜21における正六角形の向かい合う2つの辺の間の長さD5は、第四の例と同様に、100μm〜2mmであることがより好ましい。
このように、多数の微細膜21が、ハニカム状に配設されていれば、被覆材12の一方の面12aにおいて、ほぼ隙間なく多数の微細膜21を設けることができるから、非接触型データ受送信体10はより耐候性に優れたものとなる。
上記の第一〜第五の例において、保護膜20の厚さ、すなわち、微細膜21の厚さは、特に限定されないが、少なくとも被覆材12の一方の面12aに生じた気泡12dを完全に埋めて、この気泡12dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体10の一方の面(外面)10cに現れず、かつ、保護膜20の被覆材12に接している面とは反対側の面(外面)20cが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
被覆材12は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても、主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン系接着剤からなるものである。
2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、エポキシ基を有するシランカップリング剤を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するエポキシ基を有するシランカップリング剤の配合量は、0.1質量%以上、2.0質量%以下である。
また、2液混合型ウレタン系接着剤としては、第一液としてのイソシアネートと、第二液としての水酸基が1級水酸基であるポリオールとを含む混合液に、さらに、アスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子を添加したものが用いられる。
この2液混合型ウレタン系接着剤では、イソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比(−NCO/−OH)が0.8以上、1.1以下となる配合比で、イソシアネートとポリオールが混合されている。また、この2液混合型ウレタン系接着剤の全量に対するアスペクト比が10以上、100以下の無機微粒子の配合量は、5質量%以上、40質量%以下である。
このような2液硬化型ウレタン系接着剤の具体例としては、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる接着剤が挙げられる。
また、被覆材12を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、被覆材12は任意の色に着色される。
基材13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
ICチップ14としては、特に限定されず、アンテナ15を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
アンテナ15は、基材13の一方の面13aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナ15をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ15をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
また、アンテナ15をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ15をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
保護膜20を形成する材料としては、使用前は液状であり、紫外線などの照射、または、加熱することにより硬化する保護剤が用いられる。
このような保護剤としては、シリカ、酸化チタンなどの無機粒子と、固形パラフィン、蝋、ワセリン(登録商標)などの有機固形物とを含有し、これらの成分を光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂に混合してなる保護剤が用いられる。この実施形態では、シリカと固形パラフィンを含有してなるものが用いられる。
非接触型データ受送信体10によれば、インレット11の一方の面11aを被覆する被覆材12の一方の面12aに保護膜20が設けられ、保護膜20が、被覆材12の一方の面12aの全面に等間隔に設けられた多数の点状の微細膜21から構成されているので、非接触型データ受送信体10を撓ませた際に、多数の微細膜21同士の間(微細膜21同士の境界部分や、微細膜21が設けられていない領域)にて、インレット11と被覆材12の積層体が撓むため、保護膜20に亀裂が生じることなく、可撓性に優れている。したがって、非接触型データ受送信体10は外観を損なうことなく、可撓性および耐候性に優れたものとなる。
また、非接触型データ受送信体10は、インレット11の一方の面11aが、被覆材12で直接、被覆され、かつ、被覆材12の一方の面12aが、保護膜20で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
なお、この実施形態では、保護膜20が、被覆材12の一方の面12aの全面に設けられた多数の点状の微細膜21からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、微細膜から構成される保護膜が、被覆材のインレットに接している面とは反対側の面における所定の領域のみに設けられていてもよい。
また、この実施形態では、非接触型データ受送信体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子16,17から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ15を有するインレット11を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図7〜図13を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図8に示すような、基材13Aと、その一方の面13aに、RFID用のアンテナ15と、このアンテナ15を通じて通信するICチップ14とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート32を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示する。
まず、図7に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の剥離基材31の一方の面31aの中央部に、剥離基材31の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル41から吐出される接着剤12Aを線状に塗布する(工程A)。
接着剤12Aとしては、上記の被覆材12を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、剥離基材31の一方の面31aに接着剤12Aを塗布する幅、すなわち、剥離基材31の一方の面31aに対する接着剤12Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤12Aによって被覆される、インレットシート32に設けられたICチップ14およびアンテナ15の大きさや数、接着剤12Aを硬化することにより形成される被覆材12に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
剥離基材31としては、剥離フィルムまたは剥離紙が用いられる。
剥離フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのプラスチックからなる厚さ30μm〜160μmの基材フィルムの一方の面および/または他方に面に、シリコンからなる厚さ1μm〜50μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材31の一方の面31aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離フィルムの具体例としては、東セロ株式会社製のトーセロセパレータSP−PET−01−BU(商品名)などが挙げられる。
剥離紙としては、グラシン紙や上質紙からなる厚さ30μm〜160μmの基材の一方の面および/または他方に面に、目止め剤が塗布され、その目止め剤からなる層の上に、シリコンからなる厚さ1μm〜50μmの剥離層が設けられたものが用いられる。すなわち、剥離基材31の一方の面31aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
このような剥離紙の具体例としては、王子タック株式会社製のL11C(商品名)などが挙げられる。
この剥離基材31の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
このように、工程Aでは、剥離基材31として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、剥離基材31の一方の面31aをなす剥離層(図示略)の上に、接着剤12Aを塗布する。
次いで、図8に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート32を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー42,43の対向する部分にて、剥離基材31の一方の面31aに塗布した接着剤12Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている剥離基材31の一方の面31a上に重ね合わせるとともに、剥離基材31とインレットシート32をローラー42,43で挟み込むことにより、図9に示すように、剥離基材31とインレットシート32の間のほぼ全域にわたって、剥離基材31の一方の面31aに塗布した接着剤12Aを展開させる(工程B)。
この工程Bでは、剥離基材31の一方の面31aに、基材13Aの一方の面13a、すなわち、インレットシート32におけるICチップ14およびアンテナ15が設けられた面(以下、「一方の面」という。)32aが対向するように、剥離基材31の一方の面31a上にインレットシート32を重ね合わせる。
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン樹脂からなる接着剤12Aを用いる。したがって、接着剤12Aは、剥離基材31とインレットシート32の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、接着剤12Aは次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート32の一方の面32a、並びに、その一方の面32aに設けられたICチップ14およびアンテナ15が接着剤12Aによって被覆されるとともに、剥離基材31の一方の面31a上に、インレットシート32が仮留めされる。なお、接着剤12Aは硬化すると、上記の被覆材12となる。
また、工程Bでは、剥離基材31とインレットシート32の間に展開させた後の接着剤12Aの厚さを、少なくともインレットシート32のICチップ14およびアンテナ15に起因する凹凸が、接着剤12Aのインレットシート32に接している面とは反対側の面12aに現れない程度、かつ、ICチップ14およびアンテナ15が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
また、工程Bにおいて、剥離基材31とインレットシート32を一対のローラー42,43で挟み込む力、すなわち、剥離基材31に対してインレットシート32を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、剥離基材31およびインレットシート32の厚さや大きさ、接着剤12Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
この工程Bにより、接着剤12Aによって、ICチップ14およびアンテナ15が完全に被覆され、剥離基材31とインレットシート32の間に、ほぼ隙間無く接着剤12Aが充填される。
次いで、接着剤12Aが完全に硬化して被覆材12となった後、図10に示すように、剥離基材31、インレットシート32および接着剤12Aからなる積層体α1から、剥離基材31を剥離して(工程C)、図11に示すように、接着剤12Aとインレットシート32が積層、一体化された積層体β1を得る。
次いで、図12に示すように、接着剤12Aのインレット11に接している面とは反対側の面(一方の面)12aに、その一方の面12aに生じた気泡12dを覆うように、上記の保護膜20を構成する微細膜21を形成する保護剤を点状(ドット状)に多数等間隔に塗布し、この保護剤を硬化させて保護膜20を形成する(工程D)。
この工程Dにおいて、接着剤12Aの一方の面12aに保護剤を点状(ドット状)に多数等間隔に塗布する方法としては、所定の間隔かつ所定の形状をなして保護剤が通過する部分が設けられた印刷版を適用したオフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、コーターによる塗布方法などが用いられる。
工程Dにおいて、保護膜20を構成する微細膜21を形成する保護剤を、被覆材12の一方の面12aに生じた気泡(細孔)12dを覆うように塗布するが、気泡(細孔)12dを埋めるように塗布することが好ましい。
また、工程Dにおいて、保護膜20を形成する保護剤を塗布する厚さを、少なくとも接着剤12Aの一方の面12aの気泡12dを完全に埋めて、この気泡12dに起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体10の外面10cに現れず、かつ、保護膜20の外面20cが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
次いで、図13に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、保護膜20、接着剤12Aおよびインレットシート32からなる積層体γ1を、その厚さ方向に(図13の一点鎖線に沿って)、アンテナ15の形状に応じて裁断し、積層体γ1を個片化し(工程E)、図1に示す非接触型データ受送信体10を得る。
ここで、積層体γ1をアンテナ15の形状に応じて裁断するとは、アンテナ15を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体10の形状に合わせて裁断することを言う。
なお、この実施形態では、長尺の第一の剥離基材31およびインレットシート32を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体10を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
また、この実施形態では、工程Dの後に、工程Eを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いた場合などには、工程Dで終了してよい。
また、この実施形態では、工程Cの後に、接着剤12Aの一方の面12aに保護膜20を形成する工程Dと、保護膜20、接着剤12Aおよびインレットシート32からなる積層体γ1を、アンテナ15の形状に応じて裁断する工程Eとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Cの後に、工程Dと、工程Eとを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Eにて、接着剤およびインレットシートからなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断した後、工程Dにて、接着剤の一方の面に保護膜を形成してもよい。
また、被覆材12に生じる気泡の密度(被覆材12の一方の面12aにおける密度)や、その気泡の大きさは、被覆材12の塗工から硬化までの間の雰囲気の湿度によって制御することができる。
(2)第二の実施形態
「非接触型データ受送信体」
図14は、本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のE−E線に沿う断面図である。
この実施形態の非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状のインレット51と、インレット51の一方の面51aを被覆する第一の被覆材53と、インレット51の他方の面51bを被覆する第二の被覆材54と、第一の被覆材53のインレット51に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)53aに設けられた第一の保護膜61と、第二の被覆材54のインレット51に接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」という。)54aに設けられた第二の保護膜62とから概略構成されている。
なお、第一の被覆材53と第二の被覆材54を総称して被覆材52といい、また、第一の保護膜61と第二の保護膜62を総称して保護膜60ということもある。
すなわち、非接触型データ受送信体50は、インレット51の両面(一方の面51aおよび他方の面51b)が、被覆材52で直接、被覆され、かつ、被覆材52のインレット51に接している面とは反対側の面(一方の面52aおよび他方の面52b)が、保護膜60で直接、被覆されて、第一の保護膜61、第一の被覆材53、インレット51、第二の被覆材54および第二の保護膜62が、その厚さ方向において、この順に積層された構造をなしている。これにより、非接触型データ受送信体50は、平面視略長方形状をなしている。
また、インレット51は、基材55と、基材55の一方の面55aに設けられ、互いに電気的に接続されたICチップ56およびアンテナ57とから概略構成されている。
アンテナ57は、各種導電体からなり、互いに対向し、その対向する側にそれぞれ給電点(ICチップ56と接続している部分)を有する一対の面状の放射素子58,59からなるダイポールアンテナである。
アンテナ57の長手方向における長さは、非接触ICカードなどの非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、放射素子58,59の長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
なお、インレット51の一方の面51aは、基材55の一方の面55aに相当し、インレット51の他方の面51bは、基材55の他方の面55bに相当する。
ゆえに、インレット51の一方の面51aでは、ICチップ56およびアンテナ57が第一の被覆材53によって被覆されている。
そして、非接触型データ受送信体50の4つの側面にて、第一の保護膜61の端面、第一の被覆材53の端面、基材55の端面、第二の被覆材54の端面、および、第二の保護膜62の端面が同一面をなしている。より詳細には、例えば、非接触型データ受送信体50の側面50aにて、第一の保護膜61の端面61a、第一の被覆材53の端面53b、基材55の端面55c、第二の被覆材54の端面54b、および、第二の保護膜62の端面62aが同一面をなしている。同様に、非接触型データ受送信体50の側面50bにて、第一の保護膜61の端面61b、第一の被覆材53の端面53c、基材55の端面55d、第二の被覆材54の端面54c、および、第二の保護膜62の端面62bが同一面をなしている。
第一の被覆材53の厚さは、特に限定されないが、少なくともインレット51のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50cに現れない程度、かつ、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
また、第二の被覆材54の厚さは、特に限定されないが、インレット51が外部からの衝撃により破損しない程度であり、例えば、10μm〜2000mmの範囲内である。
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、第一の被覆材53と第二の被覆材54の厚さの差に起因する応力が生じないようにするためには、第一の被覆材53の厚さと第二の被覆材54の厚さは等しいことが好ましい。
第一の保護膜61は、第一の被覆材53の一方の面53aの全面に等間隔に設けられた多数の点状の微細膜63から構成されている。
同様に、第二の保護膜62は、第二の被覆材54の一方の面54aの全面に等間隔に設けられた多数の点状の微細膜64から構成されている。
微細膜63,64は、これを形成する保護剤を、第一の被覆材53の一方の面53aまたは第二の被覆材54の一方の面54aに、点状(ドット状)に多数等間隔に塗布して、その点状の保護剤を硬化してなる点状の膜である。
また、第一の保護膜61を構成する微細膜63は、第一の被覆材53を形成する接着剤が硬化する際に、第一の被覆材53の一方の面53aに生じる気泡(細孔)53dを覆うように設けられ、気泡(細孔)53dを埋めるように設けられていることが好ましい。
同様に、第二の保護膜62を構成する微細膜64は、第二の被覆材54を形成する接着剤が硬化する際に、第二の被覆材54の一方の面54aに生じる気泡(細孔)54dを覆うように設けられ、気泡(細孔)54dを埋めるように設けられていることが好ましい。
第一の保護膜61を構成する微細膜63および第二の保護膜62を構成する多数の64の配置は、上述の第一の実施形態と同様である。
第一の保護膜61の厚さ、すなわち、微細膜63の厚さは、特に限定されないが、少なくとも第一の被覆材53の一方の面53aに生じた気泡53dを完全に埋めて、この気泡53dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の一方の面(外面)50cに現れず、かつ、第一の保護膜61の第一の被覆材53に接している面とは反対側の面(外面)61cが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
また、第二の保護膜62の厚さ、すなわち、微細膜64の厚さは、少なくとも第二の被覆材54の一方の面54aに生じた気泡54dを完全に埋めて、この気泡54dに起因する凹凸が、非接触型データ受送信体50の他方の面(外面)50dに現れず、かつ、第二保護膜62の第二の被覆材54に接している面とは反対側の面(外面)62cが平滑面をなす程度であり、例えば、10μm〜1000mmの範囲内である。
さらに、非接触型データ受送信体50の柔軟性(可撓性)を十分なものとし、非接触型データ受送信体50を曲げた場合に、インレット51に対して、第一の保護膜61と第二の保護膜62の厚さの差に起因する応力が生じないようにするためには、第一の保護膜61の厚さと第二の保護膜62の厚さは等しいことが好ましい。
被覆材52(第一の被覆材53と第二の被覆材54)は、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型ウレタン系接着剤からなるものである。
2液硬化型ウレタン系接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
基材55、ICチップ56、アンテナ57としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
保護膜60(第一の保護膜61と第二の保護膜62)を形成する材料としては、使用前は液状であり、紫外線などの照射、または、加熱することにより硬化する保護剤が用いられる。
このような保護剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
非接触型データ受送信体50によれば、インレット51の一方の面51aを被覆する第一の被覆材53の一方の面53aに第一の保護膜61が設けられ、インレット51の他方の面51bを被覆する第二の被覆材54の一方の面54aに第二の保護膜62が設けられ、第一の保護膜61が、第一の被覆材53の一方の面53aの全面に等間隔に設けられた多数の点状の微細膜63から構成され、第二の保護膜62が、第二の被覆材54の一方の面54aの全面に等間隔に設けられた多数の点状の微細膜64から構成されているので、非接触型データ受送信体50を撓ませた際に、多数の微細膜63,64同士の間(微細膜63,64同士の境界部分や、微細膜63,64が設けられていない領域)にて、インレット51と被覆材52の積層体が撓むため、第一の保護膜61および第二の保護膜62に亀裂が生じることなく、可撓性に優れている。したがって、非接触型データ受送信体50は外観を損なうことなく、可撓性および耐候性に優れたものとなる。
また、非接触型データ受送信体50は、インレット51の一方の面51aおよび他方の面51bが、被覆材52で直接、被覆され、かつ、被覆材52のインレット51に接している面とは反対側の面52a,52bが、保護膜60で直接、被覆された単純な構成をなしているので、容易に製造することができる。
なお、この実施形態では、第一の保護膜63が、第一の被覆材53の一方の面53aの全面に設けられた多数の点状の微細膜63からなり、かつ、第二の保護膜64が、第二の被覆材54の一方の面54aの全面に設けられた多数の点状の微細膜64からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、微細膜から構成される保護膜が、被覆材のインレットに接している面とは反対側の面における所定の領域のみに設けられていてもよい。
また、この実施形態では、非接触型データ受送信体50が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、非接触型データ受送信体は、平面視した場合、任意のカード形状、タグ形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、一対の面状の放射素子58,59から構成されるダイポールアンテナからなるアンテナ57を有するインレット51を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、アンテナは一対の枠状の放射素子から構成されるダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナなどであってもよい。
「非接触型データ受送信体の製造方法」
次に、図15〜図23を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
ここでは、図16に示すような、基材55Aと、その一方の面55aに、RFID用のアンテナ57と、このアンテナ57を通じて通信するICチップ56とが等間隔に多数設けられた、長尺のインレットシート72を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示する。
まず、図15に示すように、図中の矢印方向に搬送されている長尺の第一の剥離基材71の一方の面71aの中央部に、第一の剥離基材71の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル81から吐出される第一の接着剤53Aを線状に塗布する(工程A)。
第一の接着剤53Aとしては、上記の被覆材52を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一の剥離基材71の一方の面71aに第一の接着剤53Aを塗布する幅、すなわち、第一の剥離基材71の一方の面71aに対する第一の接着剤53Aの塗布量は、特に限定されないが、この第一の接着剤53Aによって被覆される、インレットシート72に設けられたICチップ56およびアンテナ57の大きさや数、第一の接着剤53Aを硬化することにより形成される第一の被覆材53に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
第一の剥離基材71としては、上述の第一の実施形態の剥離基材と同様のものが用いられる。
この第一の剥離基材71の剥離力は、0.05〜1.0N/50mmである。
このように、工程Aでは、第一の剥離基材71として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、第一の剥離基材71の一方の面71aをなす剥離層(図示略)の上に、第一の接着剤53Aを塗布する。
次いで、図16に示すように、図中の矢印方向に搬送されているインレットシート72を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー82,83の対向する部分にて、第一の剥離基材71の一方の面71aに塗布した第一の接着剤53Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている第一の剥離基材71の一方の面71a上に重ね合わせるとともに、第一の剥離基材71とインレットシート72をローラー82,83で挟み込むことにより、図17に示すように、第一の剥離基材71とインレットシート72の間のほぼ全域にわたって、第一の剥離基材71の一方の面71aに塗布した第一の接着剤53Aを展開させる(工程B)。
この工程Bでは、第一の剥離基材71の一方の面71aに、基材55Aの一方の面55a、すなわち、インレットシート72におけるICチップ56およびアンテナ57が設けられた面(以下、「一方の面」という。)72aが対向するように、第一の剥離基材71の一方の面71a上にインレットシート72を重ね合わせる。
また、工程Bでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン樹脂からなる第一の接着剤53Aを用いる。したがって、第一の接着剤53Aは、第一の剥離基材71とインレットシート72の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、第一の接着剤53Aは次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート72の一方の面32a、並びに、その一方の面32aに設けられたICチップ56およびアンテナ57が第一の接着剤53Aによって被覆されるとともに、第一の剥離基材71の一方の面71a上に、インレットシート72が仮留めされる。なお、第一の接着剤53Aは硬化すると、上記の第一の被覆材53となる。
また、工程Bでは、第一の剥離基材71とインレットシート72の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さを、少なくともインレットシート72のICチップ56およびアンテナ57に起因する凹凸が、第一の接着剤53Aのインレットシート72に接している面とは反対側の面53aに現れない程度、かつ、ICチップ56およびアンテナ57が外部からの衝撃により破損しない程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
また、工程Bにおいて、第一の剥離基材71とインレットシート72を一対のローラー82,83で挟み込む力、すなわち、第一の剥離基材71に対してインレットシート72を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、第一の剥離基材71およびインレットシート72の厚さや大きさ、第一の接着剤53Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
この工程Bにより、第一の接着剤53Aによって、ICチップ56およびアンテナ57が完全に被覆され、第一の剥離基材71とインレットシート72の間に、ほぼ隙間無く第一の接着剤53Aが充填される。
次いで、図18に示すように、図中の矢印方向に、第一の剥離基材71とインレットシート72からなる積層体α2を搬送しながら、インレットシート72の一方の面72aとは反対側の面(以下、「他方の面」という。)72b、すなわち、基材55Aの他方の面55bの中央部に、積層体α2の搬送方向に沿って、接着剤塗布装置のノズル84から吐出される第二の接着剤54Aを線状に塗布する(工程F)。
第二の接着剤54Aとしては、上記の被覆材52を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、インレットシート72の他方の面72bに第二の接着剤54Aを塗布する幅、すなわち、基材55Aの他方の面55bに対する第二の接着剤54Aの塗布量は、特に限定されないが、第二の接着剤54Aを硬化することにより形成される第二の被覆材54に必要とされる厚さなどに応じて、適宜調整される。
次いで、図18に示すように、図中の矢印方向に搬送されている第二の剥離基材73を、図中の矢印方向に回転する一対のローラー85,86の対向する部分にて、インレットシート72の他方の面72bに塗布した第二の接着剤54Aを介して、図中の矢印方向に搬送されている積層体α2を構成するインレットシート72の他方の面72b上に重ね合わせるとともに、積層体α2と第二の剥離基材73をローラー85,86で挟み込むことにより、図19に示すように、積層体α2と第二の剥離基材73の間のほぼ全域にわたって、インレットシート72の他方の面72bに塗布した第二の接着剤74Aを展開させて(工程G)、第一の剥離基材71と第二の剥離基材73の間に、第一の接着剤53A、インレットシート72および第二の接着剤54Aが、この順に積層、一体化された積層体β2を形成する。
第二の剥離基材73としては、上記の第一の剥離基材71と同様のものが用いられる。すなわち、第二の剥離基材73の一方の面73aは、シリコンからなる剥離層から構成されている。
この工程Gでは、第二の剥離基材73として、上記の剥離フィルムまたは剥離紙を用いているので、インレットシート72の他方の面72bに、第二の剥離基材73の一方の面73aをなす剥離層(図示略)が対向するように、インレットシート72の他方の面72b上に第二の剥離基材73を重ね合わせる。
また、工程Gでは、上記のように、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液混合型ウレタン樹脂からなる第二の接着剤54Aを用いる。したがって、第二の接着剤54Aは、積層体α2と第二の剥離基材73の間に展開させるまでの間、流動性を有しているが、反応の進行に伴って、第二の接着剤54Aは次第に流動性がなくなり、最終的には硬化する。これにより、インレットシート72の他方の面72bが第二の接着剤54Aによって被覆されるとともに、積層体α2の上に、第二の剥離基材73が仮留めされる。なお、第二の接着剤54Aは硬化すると、上記の第二の被覆材54となる。
また、工程Gでは、積層体α2と第二の剥離基材73の間に展開させた後の第二の接着剤54Aの厚さを、上述の工程Bにおいて、第一の剥離基材71とインレットシート72の間に展開させた後の第一の接着剤53Aの厚さと同程度とし、例えば、10μm〜2000mmの範囲内とする。
また、工程Gにおいて、積層体α2と第二の剥離基材73を一対のローラー85,86で挟み込む力、すなわち、インレットシート72に対して第二の剥離基材73を厚さ方向に押圧する力(圧力)は、特に限定されず、積層体α2および第二の剥離基材73の厚さや大きさ、第二の接着剤54Aの塗布量などに応じて、適宜調整されるが、1kg/cm2〜20kg/cm2であることが好ましく、より好ましくは5kg/cm2〜10kg/cm2である。
この工程Gにより、積層体α2と第二の剥離基材73の間に、ほぼ隙間無く第二の接着剤54Aが充填される。
次いで、第一の接着剤53Aが完全に硬化して第一の被覆材53となり、かつ、第二の接着剤54Aが完全に硬化して第二の被覆材54となった後、図20に示すように、積層体β2から、第一の剥離基材71と第二の剥離基材73を剥離して(工程C)、図21に示すように、第一の接着剤53A、インレットシート72および第二の接着剤54Aが、この順に積層、一体化された積層体γ2を得る。
次いで、図22に示すように、第一の接着剤53Aのインレット51に接している面とは反対側の面(一方の面)53aに、その一方の面53aに生じた気泡53dを覆うように、上記の第一の保護膜61を構成する微細膜63を形成する保護剤を点状(ドット状)に多数等間隔に塗布し、この保護剤を硬化させて第一の保護膜61を形成し、また、第二の接着剤54Aのインレット51に接している面とは反対側の面(一方の面)54aに、その一方の面54aに生じた気泡54dを覆うように、上記の第二の保護膜62を構成する微細膜64を形成する保護剤を点状(ドット状)に多数等間隔に塗布し、この保護剤を硬化させて第二の保護膜62を形成する(工程D)。
この工程Dにおいて、第一の接着剤53Aの一方の面53a、および、第二の接着剤54Aの一方の面54aに保護剤を点状(ドット状)に多数等間隔に塗布する方法としては、所定の間隔かつ所定の形状をなして保護剤が通過する部分が設けられた印刷版を適用したオフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、コーターによる塗布方法などが用いられる。
工程Dにおいて、第一の保護膜61を構成する微細膜63を形成する保護剤を、第一の被覆材53の一方の面53aに生じた気泡(細孔)53dを覆うように塗布するが、気泡(細孔)53dを埋めるように塗布することが好ましい。
同様に、第二の保護膜62を構成する微細膜64を形成する保護剤を、第二の被覆材54の一方の面54aに生じた気泡(細孔)54dを覆うように塗布するが、気泡(細孔)54dを埋めるように塗布することが好ましい。
また、工程Dにおいて、第一の保護膜61を形成する保護剤を塗布する厚さを、少なくとも第一の接着剤53Aの一方の面53aの気泡53dを完全に埋めて、この気泡53dに起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体50の外面50cに現れず、かつ、第一の保護膜61の外面61cが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
また、工程Dにおいて、第二の保護膜62を形成する保護剤を塗布する厚さを、少なくとも第二の接着剤54Aの一方の面54aの気泡54dを完全に埋めて、この気泡54dに起因する凹凸が、最終的に得られる非接触型データ受送信体50の外面50dに現れず、かつ、第二の保護膜62の外面62cが平滑面をなす程度とし、例えば、10μm〜1000mmの範囲内とする。
次いで、図23に示すように、裁断装置の切断刃(図示略)により、第一の保護膜61、第一の接着剤53A、インレットシート72、第二の接着剤54Aおよび第二の保護膜62からなる積層体δ2を、その厚さ方向に(図23の一点鎖線に沿って)、アンテナ57の形状に応じて裁断し、積層体δ2を個片化し(工程E)、図14に示す非接触型データ受送信体50を得る。
ここで、積層体δ2をアンテナ57の形状に応じて裁断するとは、アンテナ57を損傷することなく、かつ、目的とする非接触型データ受送信体50の形状に合わせて裁断することを言う。
なお、この実施形態では、長尺の第一の剥離基材71、インレットシート72および第二の剥離基材73を用いて、連続的に、上述の非接触型データ受送信体50を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いて、個別に非接触型データ受送信体を製造してもよい。
また、この実施形態では、工程Dの後に、工程Gを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、予め個片化されたインレットを用いた場合などには、工程Dで終了してよい。
また、この実施形態では、工程Gの後に、第一の接着剤53Aの一方の面53aに第一の保護膜61を形成するとともに、第二の接着剤54Aの一方の面54aに第二の保護膜62を形成する工程Dと、第一の保護膜61、第一の接着剤53A、インレットシート72、第二の接着剤54Aおよび第二の保護膜62からなる積層体δ2を、アンテナ57の形状に応じて裁断する工程Eとを、この順に行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Gの後に、さらに、工程Dと、工程Eとを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Eにて、第一の接着剤、インレットシートおよび第二の接着剤からなる積層体を、アンテナの形状に応じて裁断した後、工程Dにて、第一の接着剤の一方の面および第二の接着剤の一方の面に保護膜を形成してもよい。
また、第一の被覆材53に生じる気泡の密度(第一の被覆材53の一方の面53aにおける密度)、および、第二の被覆材54に生じる気泡の密度(第二の被覆材54の一方の面54aにおける密度)や、その気泡の大きさは、被覆材52の塗工から硬化までの間の雰囲気の湿度によって制御することができる。