以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、以下に開示する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下においては、人体の局部へ温水を噴射する温水洗浄装置に本発明を適用した例を説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。
(実施形態1)
本実施形態に係る温水吐水装置は、吐出口から温水を吐出させる温水吐水装置であって、水加熱器と温水タンクと切替弁とポンプとを備え、水加熱器で水を昇温させることにより生成した温水の供給先を、切替弁によって吐出口又は温水タンクのいずれか一方とする点に特徴がある。そして、本実施形態に係る温水吐水装置が吐出口から温水を吐出させる場合には、水加熱器で生成された温水を温水タンクへ貯留するとともに、温水タンクに所定量以上の温水が貯留されてから、ポンプによって温水タンク内の温水を吐出口へ送り、吐出口から温水を吐出させる。また、温水が温水タンクに所定量以上貯留される前に吐出口から温水を吐出させる場合には、水加熱器で生成された温水を直接吐出口へ吐出させる。
図1は、実施形態1に係る温水吐水装置の概略図である。温水吐水装置1は、洋式便器に取り付けられる温水洗浄装置であり、例えば、用便後における人体の局部へ温水を吐出させて洗浄するものである。温水吐水装置1は、水加熱器2と、温水タンク3と、ポンプ4と、切替弁5とを含んで構成されており、シャワーノズルに設けられた吐出口6から温水を吐出させる。さらに、本実施形態において、温水吐水装置1は、第1の給水通路7と、第2の給水通路8と、弁装置9と、制御装置10と、導水通路11と、を備える。
温水吐水装置1の導水通路11は、止水栓50を介して給水管51と接続される。ここで、給水管51は、温水吐水装置1へ水を供給する給水源である。導水通路11は、給水管51から温水吐水装置1へ水を導く通路であり、止水栓50が開かれると、給水管51内の水が止水栓50を通って導水通路11内へ流入する。止水栓50は、導水通路11と給水管51とが接続されると開かれて、温水吐水装置1の使用中は特段の事情がない限り開かれた状態で維持される。
導水通路11には、弁装置9が設けられる。弁装置9は、制御装置10によって動作が制御、すなわち開閉が制御される。これによって、弁装置9は、導水通路11を開閉する。温水吐水装置1が待機状態である場合、すなわち、吐出口6から温水を吐出させない場合には弁装置9が閉じており、温水吐水装置1が吐出口6から温水を吐出させる場合には弁装置9が開き、給水管51からの水が導水通路11を介して水加熱器2へ供給される。なお、弁装置9に流量調整機能を有するものを用いて、水加熱器2へ供給される水の流量を調整してもよい。このようにすれば、弁装置9によって吐出口6から吐出される温水の流量を調整できる。
水加熱器2は、給水源、すなわち給水管51から供給される水を加熱して昇温させる。本実施形態において、水加熱器2は、内部に加熱通路21を備えるとともに、電気が通電されることによって発熱するヒーター22が、加熱手段として加熱通路21に近接して設けてある。加熱通路21は、導水通路11と接続されており、導水通路11内の水が内部に導入される。ヒーター22は、制御装置10によって動作が制御、すなわち、通電の有無や通電量が制御される。
本実施形態において、ヒーター22は発熱密度に優れた板状のセラミックヒーターを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、シーズヒーターやマイカヒーター等、様々な形式のヒーターを用いることができる。本実施形態において、加熱通路21は、ヒーター22との接触面積を拡大するため、複数の折り返し部を有する往復の形状としてある。水加熱器2が温水を生成する場合、弁装置9が開かれて給水管51からの水が導水通路11を介して水加熱器2の加熱通路21へ導入されるとともに、ヒーター22に通電される。そして、ヒーター22が通電されることにより生み出される熱によって加熱通路21を流れる水を昇温させる。これによって、給水管51から水加熱器2へ供給される水は、水加熱器2の加熱通路21を通過する過程で昇温する。このようにして、水加熱器2は加熱通路21の入口から出口の間で水を昇温させることにより、温水を連続して生成する。
なお、本実施形態においては、加熱通路21の下流側に、吐出温度検知手段としてのサーミスタ24が設けられる。サーミスタ24の出力は制御装置10に入力される。そして、制御装置10は、サーミスタ24が検出した温度に基づき、水加熱器2が吐出する温水の温度と所定の目標温度との偏差が0になるように、水加熱器2が有するヒーター22へ供給する電力を制御する。なお、サーミスタ24は必ずしも設ける必要はない。この場合、制御装置10は、例えば、水温や気温に応じてヒーター22の加熱量を制御するようにしてもよい。
水加熱器2の吐出口、すなわち、水加熱器2が有する加熱通路21の出口21eと吐出口6とは、第1の給水通路7でつながれている。水加熱器2によって生成され、吐出された温水は、第1の給水通路7を通って吐出口6から吐出される。本実施形態において、温水吐水装置1は温水洗浄装置なので、吐出口6は、シャワーノズルの先端近傍に設けられている。温水吐水装置1を手洗い装置に適用する場合、吐出口6は蛇口となる。このように、吐出口6は、温水吐水装置1の適用対象に応じて変化する。
第1の給水通路7には、切替弁5が設けられる。上述したように、第1の給水通路7は、水加熱器2と吐出口6とをつなぐので、切替弁5は水加熱器2の吐出口側に配置されて、水加熱器2と吐出口6との間に設けられることになる。切替弁5は制御装置10によって動作が制御される。切替弁5は、1個の入口5iと2個の出口5e1、5e2とを有しており、入口5iは水加熱器2側の第1の給水通路7を介して、水加熱器2の吐出口とつながれる。出口5e1は吐出口6側の第1の給水通路7を介して吐出口6とつながれている。出口5e2は第2の給水通路8とつながれている。ここで、第2の給水通路8は、切替弁5の出口5e2と第1の給水通路7とをつないでおり、途中に温水タンク3及びポンプ4が設けられる。第2の給水通路8は、第1の給水通路7をバイパスして、水加熱器2の吐出口側と吐出口6とをつなぐことになる。
このように、切替弁5の一方の出口5e1は吐出口6とつながれており、他方の出口5e2は温水タンク3とつながれるので、切替弁5は、水加熱器2で生成されて入口5iへ流入する温水の供給先を、吐出口6又は温水タンク3のいずれか一方に切り替えることができる。例えば、切替弁5が、水加熱器2から生成された温水の供給先を吐出口6にすると、水加熱器2で生成された温水は直接吐出口6へ供給されて吐出される。また、切替弁5が、水加熱器2から生成された温水の供給先を温水タンク3にすると、水加熱器2で生成された温水は温水タンク3へ一時的に貯留される。ポンプ4は、温水タンク3と吐出口6との間、より具体的には温水タンク3の出口3eと第1の給水通路7との間に設けられる。ポンプ4は、制御装置10によって動作が制御される。ポンプ4は、温水タンク3内に貯留された温水を汲み上げて、吐出口6に吐出する。すなわち、ポンプ4は、温水タンク3に貯留された温水を吐出口6へ導く。温水タンク3には、排出弁12が設けられており、温水タンク3内に残った温水は排出弁12から排出される。なお、排出弁12の動作は、制御装置10によって制御される。
ここで、ポンプ4が吐出する温水の吐出先を、吐出口6と排出経路とのいずれか一方に切り換える弁等をポンプ4の吐出口の下流に設け、前記弁を切り換えることにより、温水タンク3内に残った温水を排出する機能をポンプ4に担わせてもよい。すなわち、温水タンク3内に残った温水を排出する場合、前記弁によってポンプ4の温水の吐出先を排出経路へ切り換えるとともに、ポンプ4を動作させる。これによって、ポンプ4が汲み上げた温水タンク3内の温水は、排出経路に排出される。
制御装置10は、例えば、MCU(Micro Computer Unit)で構成されており、上述したように、水加熱器2及び温水タンク3及び切替弁5及び弁装置9の動作を制御する。温水吐水装置1は、使用者が操作盤30を用いて動作させる。操作盤30は制御装置10と電気的に接続されている。そして、使用者が操作盤30を用いて制御装置10に操作指令を入力すると、制御装置10は、水加熱器2や温水タンク3や切替弁5や弁装置9の動作を制御する。操作盤30は、温水吐水装置1の吐出口6から温水を吐出させるための開始スイッチ31と、吐出口6からの温水の吐出を停止させるための停止スイッチ32と、吐出口6から吐出させる温水の流量を調整する流量調整スイッチ33とを有する。また、制御装置10にはサーミスタ24が電気的に接続されており、サーミスタ24が取得した情報、すなわち、水加熱器2が生成した温水の温度に基づいて、水加熱器2の加熱量を制御する。
操作盤30の流量調整スイッチ33によって、吐出口6から吐出する温水の流量を調整できる。温水タンク3内の温水を吐出口6から吐出させる場合、例えば、流量調整スイッチ33からの入力信号に応じて制御装置10がポンプ4の吐出能力を調整することで、吐出口6から吐出する温水の流量を調整する。また、水加熱器2で生成された温水を直接吐出口6から吐出させる場合、例えば、弁装置9に流量調整機能を設けて、給水源から水加熱器2へ供給される水の流量を調整することにより、吐出口6から吐出する温水の流量を調整してもよい。また、水加熱器2自体に流量調整機能を設けたり、水加熱器2が備える加熱通路21の出口21eの下流に流量調整弁を設けたりして、吐出口6から吐出する温水の流量を調整してもよい。
水加熱器2は、加熱通路21を水が通過する間に、温水吐水装置1の目標とする温度(目標温度:例えば、温水吐水装置1の仕様上要求される温度であり、40℃程度)まで水を昇温させる。ここで、水加熱器2のヒーター22へ投入できる電力には制限があるので、ヒーター22の発熱量には上限がある。このため、水加熱器2が単位時間あたりに目標温度の温水を生成できる量(以下、温水流量という)には上限がある。このため、水加熱器2で実現可能な温水流量を超えて目標温度の温水を吐出口6から吐出することはできず、水加熱器2で実現可能な温水流量を超える場合には、目標温度よりも低い温度の温水となってしまう。
そこで、本実施形態では、温水吐水装置1が水加熱器2と温水タンク3と切替弁5とポンプ4とを備える。そして、温水吐水装置1の使用要求がある場合、すなわち、吐出口6から温水を吐出させる場合、温水吐水装置1の切替弁5は、水加熱器2が生成する温水の供給先を温水タンク3として、水加熱器2で生成された温水を温水タンク3に所定量貯留する。そして、所定量以上の温水が温水タンク3に貯留されたら、温水吐水装置1のポンプ4は、温水タンク3内の温水を汲み上げて、吐出口6へ吐出する。
このように、温水吐水装置1は、自身に対する使用要求がある場合、水加熱器2で生成された温水を一旦温水タンク3に貯留してから、温水タンク3内の温水をポンプ4で吐出口6へ吐出する。すなわち、温水吐水装置1は、バッファータンクとして機能する温水タンク3を有するので、温水タンク3が空になるまでは、水加熱器2が実現可能な温水流量を超えた流量で目標温度の温水を吐出口6から吐出させることができる。これによって、温水吐水装置1は、吐出口6から吐出される温水の流量を十分に確保できるので、使用者は、快適な洗浄感を得られる。また、小流量から大流量まで温水の流量の調整範囲を広くできるので、温水吐水装置1の使用者の多様な要求に応えることもできる。
ここで、温水タンク3の容量を、温水吐水装置1を1回使用する場合に使用される温水の最大量としておけば、温水吐水装置1の1回の使用においては、必要十分な量の温水を吐出口6から吐出できると考えられる。なお、温水タンク3の容量は、例えば、温水吐水装置1の1回の使用で要求される最大の流量、及び最大の使用時間に基づいて設定できる。
また、本実施形態においては、空の温水タンク3に温水が供給される前(あるいは、温水タンク3に所定量以上の温水が貯留される前)に吐出口6から温水を吐出させる場合、温水吐水装置1の切替弁5は、水加熱器2が生成する温水の供給先を吐出口6とする。そして、温水吐水装置1は、水加熱器2が生成した温水を直接吐出口6から吐出させる。これによって、水加熱器2が実現可能な温水流量の範囲内で目標温度の温水を吐出口6から吐出させることができる。この場合、水加熱器2が実現可能な温水流量を超えた流量で目標温度の温水を吐出口6から吐出させることはできないが、温水を吐出口6から吐出させる要求があった時点から実際に温水が吐出口6から吐出されるまでの遅れ時間を極小にすることができる。その結果、温水吐水装置1の使用者が受ける、待たされる感覚を低減できる。
従来の温水洗浄装置で広く用いられている温水タンク貯湯方式は、温水タンク内に貯留されている温水を所定の温度に保温するため、常時ヒーターで温水を加熱しているので、ヒーターの消費電力が増加する。この保温に要する電力は、温水タンク貯湯方式の温水洗浄装置で消費される全電力のおよそ80%であり、残りのおよそ20%が水を所定の温度まで昇温させることや温水の吐出等に必要な電力である。
本実施形態では、温水吐水装置1の使用要求があった場合にのみ水加熱器2を動作させ、これによって生成され温水タンク3に貯留された温水をポンプ4で、又は水加熱器2によって生成された温水を直接吐出口6から吐出する。このため、温水吐水装置1は、温水タンク貯湯方式では必要になる保温のための電力が不要になる。その結果、温水吐水装置1は、温水タンク貯湯方式と比較して消費電力を大幅に低減させることができるので、環境負荷を大幅に低減させることができる。次に、本実施形態に係る温水吐水装置の制御の一例を説明する。
図2は、本実施形態に係る温水吐水装置が適用されたトイレの全体構成図である。図3は、本実施形態に係る温水吐水装置の制御の一例を示すフローチャートである。図1に示す温水吐水装置1は、洋風便器60の温水洗浄器に適用される。洋風便器60は、便座61及び便座61への着座を検出する着座センサ62を備える。着座センサ62を用いることにより、温水吐水装置1を、主として洋風便器で用いられる温水洗浄装置に適用する場合には、温水吐水装置1の使用者を簡単に検知できるので、将来における使用を比較的簡単に予測できる。
着座センサ62は、例えば、便座61へ着座した使用者を光学的に検出する方式のものを用いることができるが、これに限定されるものではない。本実施形態では、便座61へトイレの使用者が着座したことをもって温水吐水装置1の使用を予測し、図1に示す温水タンク3への温水の貯留を開始して、温水吐水装置1の使用に備える。本実施形態においては、着座センサ62として、便座61へ着座した使用者を光学的に検出する方式のものを用い、便座61へ着座した使用者を検出するとON信号を出力し、それ以外の場合はOFF信号を出力するものを用いる。なお、トイレの使用者の着座を検出する手法はこれに限定されるものではない。例えば、トイレの使用者の接近を検知して自動で便座61や便座カバーを開閉する機構を利用して、人の接近があり、かつ便座カバー61が開かれない場合には、便座61へ使用者が着座したとみなしてもよい。
ステップS101で、図1、図2に示す制御装置10は、着座センサ62からの信号を取得する。そして、着座センサ62からのON信号が検出された場合、制御装置10は、トイレの使用者が便座61に着座したと判定する(ステップS101、Yes)。一方、着座センサ62からのOFF信号が検出された場合、制御装置10は、トイレの使用者は便座61に着座していないと判定する(ステップS101、No)。制御装置10がステップS101でNoとした場合、温水吐水装置1は使用されないと予測できるので、本実施形態に係る温水吐水装置の制御を終了する。これによって、温水吐水装置1が使用されないと予測できる場合には温水を生成しないので、無用な電力消費を抑制して、環境負荷を低減できる。
ステップS101でYesと判定された場合、ステップS102へ進む。ステップS102において、制御装置10は、図1に示す水加熱器2のヒーター22へ通電するとともに、弁装置9を開いて水加熱器2の加熱通路21へ給水源から水を供給する。これによって、給水源から水加熱器2へ供給された水は、加熱通路21を通過する過程で加熱され、所定温度の温水が生成される。生成された温水は、加熱通路21の出口21eから流出する。ここで、本実施形態では、切替弁5は、初期状態においては水加熱器2で生成された温水の供給先を温水タンク3としているので、上述した弁装置9及び水加熱器2の動作によって生成された温水は、切替弁5を通過して温水タンク3に貯留される。
次に、ステップS103へ進み、制御装置10は、操作盤30に設けられている開始スイッチ31がONになったか否かを判定する。開始スイッチ31がONになった場合、温水吐水装置1を使用して吐出口6(より具体的にはシャワーノズルに設けられる吐出口)から温水を吐出させる意思を、便座61に着座したトイレの使用者が有していると判断できる。したがって、制御装置10が開始スイッチ31のONを検出した場合(ステップS103、Yes)、ステップS104へ進み、制御装置10は、図1に示す切替弁5を動作させ、水加熱器2で生成された温水の供給先を吐出口6に切り替える。これによって、水加熱器2で生成された温水が吐出口6から吐出されて、洗浄が開始される。
ステップS105へ進み、制御装置10は、操作盤30に設けられている停止スイッチ32がONになったか否かを判定する。停止スイッチ32のONが検出されない場合(ステップS105、No)、開始スイッチ31はONの状態であるので、温水吐水装置1の使用を継続する意思を、便座61に着座したトイレの使用者が有していると判断できる。この場合、ステップS105へ戻り、制御装置10は、停止スイッチ32のONが検出されるまで弁装置9を開き、かつ水加熱器2によって水を加熱し、さらに、水加熱器2で生成された温水の供給先が吐出口6である状態を切替弁5に維持させて、吐出口6から温水を吐出させる。
停止スイッチ32のONが検出された場合(ステップS105、Yes)、温水吐水装置1の使用を終了する意思を、便座61に着座したトイレの使用者が有していると判断できる。この場合、ステップS102へ戻り、ステップS102以降の手順を実行する。
次に、ステップS103に戻って説明する。制御装置10が開始スイッチ31のONを検出しない場合(ステップS103、No)、この時点においては、温水吐水装置1を使用して吐出口6から温水を吐出させる意思を、便座61に着座したトイレの使用者は有していないと判断できる。この場合、ステップS106へ進み、制御装置10は、温水タンク3内に所定量(本実施形態では満水)以上の温水が貯留されたか否かを判定する。例えば、温水タンク3に水位検出センサを設けて、制御装置10が、この水位検出センサの位置以上に温水が貯留されたことを検出したら所定量以上の温水が温水タンク3内に貯留されていると判定することができる。また、水加熱器2が実現可能な温水流量は予め分かっているので、温水タンク3へ温水が流入した時間に前記温水流量を乗ずることで、温水タンク3へ温水が流入した時間における温水タンク3に貯留された温水の量を求めることができる。この量が前記所定量以上である場合に、所定量以上の温水が温水タンク3内に貯留されていると判定することができる。
ステップS106において、制御装置10が、温水タンク3内に所定量以上の温水が貯留されていないと判定した場合(ステップS106、No)、ステップS107に進む。ステップS107において、制御装置10は、トイレの使用者が便座61に着座しているか否かを判定する。制御装置10が、便座61への着座を検出した場合(ステップS107、Yes)、制御装置10は、ステップS103以降の手順を実行する。制御装置10が、便座61への着座を検出しない場合(ステップS107、No)、ステップS117に進み、制御装置10は、以降の手順を実行する。ステップS117以降の手順については後述する。
ステップS106において、制御装置10が、温水タンク3内に所定量以上の温水が貯留されたと判定した場合(ステップS106、Yes)、ステップS108に進む。ステップS108において、制御装置10は、水加熱器2が備えるヒーター22への通電を停止して、水加熱器2による温水の生成を停止させる。これによって、温水吐水装置1の消費電力を抑制できる。また、ステップS108において、制御装置10は、弁装置9を閉じて水加熱器2への通水を停止させる。
次に、ステップS109に進み、制御装置10は、開始スイッチ31がONになったか否かを判定する。制御装置10が開始スイッチ31のONを検出していない場合(ステップS109、No)、ステップS110へ進み、制御装置10は、トイレの使用者が便座61に着座しているか否かを判定する。ステップS110において、制御装置10が、便座61への着座を検出した場合(ステップS110、Yes)、制御装置10は、ステップS109以降の手順を実行する。ステップS110において、制御装置10が、便座61への着座を検出しない場合(ステップS110、No)、ステップS117に進み、制御装置10は、以降の手順を実行する。ステップS117以降の手順については後述する。
ステップS109において、制御装置10が開始スイッチ31のONを検出した場合(ステップS109、Yes)、制御装置10は、ステップS111へ進み、ポンプ4を動作させる。これによって、ポンプ4が温水タンク3内の温水を汲み上げて吐出口6へ吐出するので、吐出口6から温水が吐出される。次に、ステップS112へ進み、制御装置10は、温水タンク3が空(貯水量が0)になったか否かを判定する。この場合、温水タンク3へ水位検出センサを設けて判定してもよいし、ポンプ4による温水の吐出流量と吐出時間との積から、温水タンク3から排出された温水の量を推定して判定してもよい。
制御装置10が温水タンク3は空になったと判定したら(ステップS112、Yes)、ステップS113へ進み、制御装置10は、ポンプ4による温水の吐出を停止させ、切替弁5を吐出口6側に切り換える、さらに、制御装置10は、図1に示す水加熱器2のヒーター22へ通電するとともに、弁装置9を開いて水加熱器2の加熱通路21へ給水源から水を供給する。これによって、給水源から水加熱器2へ供給された水は、加熱通路21を通過する過程で加熱され、所定温度の温水となった後、吐出口6から吐出される。その後、ステップS105へ戻り、制御装置10は、ステップS105以降の手順を実行する。このようにすれば、停止スイッチ32がONになるまでは、温水タンク3が空になった後でも吐出口6から温水を吐出できるので、湯切れを回避できる。
制御装置10が温水タンク3は空になっていないと判定したら(ステップS112、No)、ステップS114へ進み、制御装置10は、停止スイッチ32がONになっているか否かを判定する。制御装置10が、停止スイッチ32はONになっていないと判定した場合(ステップS114、No)、ステップS112へ戻り、制御装置10は、ステップS112以降の手順を実行する。
制御装置10が、停止スイッチ32はONになっていると判定した場合(ステップS114、Yes)、ステップS115へ進み、制御装置10は、ポンプ4の動作を停止させることにより、吐出口6からの温水の吐出を停止させる。これによって、温水吐水装置1による洗浄動作が終了する。次に、ステップS116へ進み、制御装置10は、トイレの使用者が便座61に着座しているか否かを判定する。ステップS116において、制御装置10が、便座61への着座を検出した場合(ステップS116、Yes)、トイレの使用者は、再度開始スイッチ31をONさせて、吐出口6から温水を吐出させる可能性がある。このため、制御装置10は、ステップS109へ戻り、以降の手順を実行する。
制御装置10が、便座61への着座を検出しない場合(ステップS116、No)、ステップS117へ進み、制御装置10は、吐出口6からの温水の吐出を停止させてから所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、例えば、温水タンク3内の温水の温度が、温水吐水装置1の仕様上許容できない温度まで低下する時間とすることができる。
前記所定時間が経過していないと制御装置10が判定した場合(ステップS117、No)、制御装置10は、スタートに戻る。この場合、温水タンク3に温水が残留していると、そのままの状態が維持される。これによって、前記所定時間が経過する前に温水吐水装置1が使用される場合には、温水タンク3所定量以上の温水が貯留されるまでの時間を短縮できる。
前記所定時間が経過したと制御装置10が判定した場合(ステップS117、Yes)、制御装置10は、図1に示す排出弁12を開いて、温水タンク3に残留している温水を排出する(ステップS119)。制御装置10は、排出弁12を所定の時間開いた後、排出弁12を閉じて、次の使用に備える。所定の時間は、温水タンク3内の温水がすべて排出できる時間であり、例えば、満水状態の温水タンク3を空にできる時間とする。
前記所定時間が経過すると温水の温度が低下するので、このような温水が温水タンク3内に残留していると、次に温水吐水装置1が使用される際に水加熱器2で生成された温水が温度の低下した温水に混入することになる。すると、ポンプ4によって汲み上げられ、吐出口6から吐出される温水タンク3内の温水の温度が低下するおそれがある。したがって、前記所定時間が経過した後は、温水タンク3内の温水を排出して、吐出口6から吐出される温水の温度低下を抑制する。
このように、前記所定時間が経過した後は、温水タンク3内を空にしておくことが好ましい。したがって、前記所定時間が経過した後は、温水タンク3内に温水が残留しているか否かに関わらず、排出弁12を開くことが好ましい。これによって、前記所定時間が経過した後は、確実に温水タンク3内を空にできるので好ましい。また、排出弁12を設けずに、制御装置10がポンプ4を動作させることにより温水タンク3内に残留した温水を排出してもよい。この場合、図1に示すポンプ4の出口側に、吐出口6へ温水を吐出する経路とは別経路を設けて温水タンク3内の温水を排出してもよい。このようにすれば、温水タンク3内の温水を効率よく排出できる。また、前記所定時間が経過した後に温水タンク3内に残留している温水を、吐出口6の洗浄に用いてもよい。このようにすれば、温水タンク3内に残留する温水を有効利用できるため、より環境負荷を低減できる。
温水吐水装置1は、前記所定時間が経過した後、温水タンク3内に残留する温水を排出する。一方、温水吐出装置1は、使用時に温水を生成するため、温水タンク3内の温水を保温する必要はない。このため、温水吐水装置1は、温水の保温が必要な温水タンク貯湯方式と比較すると、装置全体で見た場合には消費電力を大幅に低減できる。これにより、温水吐水装置1は、温水タンク3内に残留した温水を排出するとはいっても、温水タンク方式と比較して環境負荷を大幅に低減できる。さらに、上述したように、温水タンク3内に残留した温水を、例えば、吐出口6の洗浄に利用すれば、環境負荷はさらに低減できる。
(変形例1)
変形例1に係る温水吐水装置の制御は、上述した実施形態1に係る温水吐水装置の制御において、ポンプ4が温水タンク3内の温水を吐出口6へ送り、吐出口6から温水を吐出させている最中に、水加熱器2は給水源から供給される水を昇温させるとともに、切替弁5は、水加熱器2で生成された温水の供給先を温水タンク3に切り替えるようにする。これによって、温水タンク3に温水を補給できるので、水加熱器2が実現可能な温水流量を超えた流量で目標温度の温水を吐出口6から吐出させることが可能な時間を長くすることができる。
この場合、上述した本実施形態に係る温水吐水装置の制御におけるステップS112の後に、制御装置10が、水加熱器2のヒーター22へ通電するとともに、弁装置9を開いて水加熱器2の加熱通路21へ給水源から水を供給して、温水タンク3内へ補充するための温水を生成する温水補充手順を追加すればよい。また、上述したステップS115の後に、制御装置10が、水加熱器2のヒーター22への通電を停止するとともに、弁装置9を閉じて水加熱器2による温水の生成を停止させる温水補充停止手順を追加すればよい。
温水補充手順を実行する場合、本実施形態において、切替弁5は初期状態で水加熱器2が生成した温水を温水タンク3へ供給するように設定されているため、水加熱器2が生成した温水は切替弁5を通って温水タンク3内へ流入する。なお、温水補充手順を実行する際に、切替弁5の状態が水加熱器2によって生成された温水が吐出口6へ供給するようになっている場合、制御装置10は、水加熱器2が生成した温水を温水タンク3へ供給するように切替弁5を動作させる。これによって、変形例1に係る温水吐水装置の制御が実現できる。
(変形例2)
また、温水タンク3が満水となる前に吐出口6から温水を吐出させる必要がある場合、温水タンク3内にある程度温水が貯留されたら、ポンプ4で温水タンク3内の温水を吐出口6へ吐出し、吐出口6から温水を吐出させてもよい。そして、ポンプ4が温水を吐出している最中に、水加熱器2は給水源から供給される水を昇温させるとともに、切替弁5は、水加熱器2で生成された温水の供給先を温水タンク3に切り替えるようにしてもよい。これによって、温水タンク3が満水となる前に吐出口6から温水を吐出させることができるので、温水タンク3内へ温水の貯留を開始してからポンプ4によって温水の吐出を開始できるまでの時間を短縮できる。次に、本変形例に係る温水吐水装置の制御の一例を説明する。
図4は、温水タンクに設けられた水位検出センサを示す模式図である。図5は、変形例2に係る温水吐水装置の制御の一例を示すフローチャートである。本変形例に係る温水吐出装置の制御を実現する場合、温水タンク3に基準水位検出センサ17と満水位検出センサ18とを設ける。基準水位検出センサ17は、温水タンク3の基準水位BPを検出し、満水位検出センサ18は、温水タンク3の満水位を検出する。ここで、基準水位BPは、満水位FPよりも低い水位である。
基準水位検出センサ17及び満水位検出センサ18は、制御装置10と電気的に接続される。制御装置10は、基準水位検出センサ17が検出した信号や満水位検出センサ18が検出した信号を取得することにより、温水タンク3の基準水位BPや満水位FPを検出する。
本変形例に係る温水吐出装置の制御のステップS201〜ステップS205は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS101〜S105と同様である。また、本変形例に係る温水吐出装置の制御のステップS207は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS106と同様であり、本変形例に係る温水吐出装置の制御のステップS208〜ステップS218は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS108〜S118と同様である。このため、共通するステップは説明を省略する。
本変形例に係る温水吐出装置の制御のステップS203において、制御装置10が開始スイッチ31のONを検出しない場合(ステップS203、No)、この時点においては、温水吐水装置1を使用して吐出口6から温水を吐出させる意思を、便座61に着座したトイレの使用者は有していないと判断できる。この場合、ステップS206へ進み、制御装置10は、基準水位検出センサ17が検出した信号を取得し、温水タンク3内に基準値(本変形例では基準水位BPに相当する量)の温水が貯留されたか否かを判定する。
ステップS206で、温水タンク3内に基準量の温水が貯留されていないと制御装置10が判定した場合(ステップS206、No)、ステップS203へ戻り、制御装置10は以降の手順を実行する。これによって、温水タンク3が満水となる前に開始スイッチ31がONになった場合には、水加熱器2が生成した温水を直接吐出口6から吐出させることができる。その結果、温水タンク3内へ温水の貯留を開始してからポンプ4によって温水の吐出を開始できるまでの時間を短縮できる。ステップS206で、制御装置10が基準量の温水が貯留されていると判定した場合(ステップS206、Yes)、ステップS207へ進む。
ステップS207において、制御装置10は、満水位検出センサ18からの信号を取得し、温水タンク3が満水であるか否かを判定する。温水タンク3が満水である場合(ステップS207、No)、ステップS209に進み、制御装置10は以降の手順を実行する。このようにすることで、ステップS209において開始スイッチ31がONされた場合には、温水タンク3に温水を補給しながら吐出口6から温水を吐出させることができる。その結果、水加熱器2が実現可能な温水流量を超えた流量で目標温度の温水を吐出口6から吐出させることが可能な時間を長くすることができる。なお、本変形例に係る温水吐出装置の制御において、ステップS215で制御装置10がポンプ4を停止させるときに、水加熱器2に通電され、かつ弁装置9が開いている場合、制御装置10は水加熱器2への通電を停止し、かつ弁装置9を閉じる。これによって、温水の過剰な生成を回避する。
以上、本実施形態及びその変形例では、温水吐水装置の使用要求があった場合にのみ水加熱器を動作させる。このため、温水吐水装置は、温水を保温する必要はなく、消費電力を大幅に低減させることができる。また、本実施形態及びその変形例では、水加熱器によって生成された温水を温水タンクに貯留し、この温水をポンプでくみ上げて吐出することで、吐出口から温水を吐出させる。このため、水加熱器が実現可能な温水流量に依存することなく、吐出口から吐出できる温水の流量を設定できるので、水加熱器が実現可能な温水流量を超えた流量で吐出口から温水を吐出させることができる。このように、本実施形態及びその変形例によれば、吐出口から吐出できる温水の流量を確保しつつ消費電力の低減を実現できる温水吐水装置を提供できる。なお、本実施形態で開示した構成は、以下の実施形態においても適宜適用できる。
また、本実施形態及びその変形例に係る温水吐水装置の適用対象は温水洗浄装置に限定されるものではなく、例えば、手洗い装置に対して適用することもできる。また、近年は、便器の洗浄水を貯留するタンクを有さない、いわゆるタンクレスの水洗トイレも普及しているが、このような水洗トイレにおいては手洗い装置を別途取り付ける必要がある。このような水洗トイレの手洗い装置に本実施形態及びその変形例に係る温水吐水装置を適用してもよい。この場合、温水洗浄装置用の温水吐水装置と、手洗い装置用の温水吐水装置とを別個に用意してもよい。また、本実施形態及びその変形例に係る温水吐水装置は、風呂や洗面台のシャワーに適用してもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る温水吐水装置は、実施形態1に係る温水吐水装置と略同様の構成であるが、さらに温水タンク用加熱器を温水タンクに設け、給水源からの水を温水タンクへ導いて、温水タンク用加熱器により給水源から供給される水を加熱するとともに、水加熱器で給水源から供給される水を加熱して温水タンクへ吐出する点が異なる。他の構成は実施形態1と同様である。
図6は、実施形態2に係る温水吐水装置の概略図である。温水吐水装置1aは、実施形態1に係る温水吐水装置1において、弁装置9よりも止水栓50側の導水通路11と温水タンク3とを給水分岐通路14でつなぎ、また、給水分岐通路14にこれを開閉する給水分岐弁13を設け、さらに、温水タンク3内に温水タンク用加熱器15を設けたものである。給水分岐弁13は、止水栓50と弁装置9とをつなぐ導水通路11から、給水源である給水管51からの水を分岐させて温水タンク3へ導くためのものである。
温水タンク3に設けられる温水タンク用加熱器15は、電気が通電されることによって発熱して、温水タンク3内の水を加熱するものであり、水加熱器2を構成するヒーター22と同様に、セラミックヒーターやシーズヒーター、あるいはマイカヒーター等、様々な形式のヒーターを用いることができる。給水分岐通路14は、給水源と温水タンク3とをつなぐものであり、より具体的には、給水源である給水管51と弁装置9との間と、温水タンク3とをつなぐ。そして、給水分岐通路14は、途中に設けられる給水分岐弁13が給水分岐通路14を開くことにより、給水源からの水を温水タンク3内へ導く。
給水分岐弁13は、制御装置10によって動作が制御される。また、給水分岐弁13は、流量調整機能を有していてもよい。温水タンク3には、温水タンク3内に貯留される温水の温度を検出する温度センサ(例えばサーミスタ)16が設けられる。温度センサ16は、制御装置10と電気的に接続されており、制御装置10は、温度センサ16によって検出された温水タンク3内の温水の温度に基づき、温水タンク3内に貯留される温水の温度が所定の目標温度となるように、温水タンク用加熱器15に供給する電力を制御する。
温水吐水装置1aが吐出口6から温水を吐出させる場合、制御装置10は水加熱器2に通電して、給水源から供給される水を昇温させるとともに、切替弁5を動作させて、水加熱器2で生成された温水の供給先を温水タンク3とする。これによって、水加熱器2が生成した温水を温水タンク3内へ貯留する。なお、初期状態において、水加熱器2で生成された温水の供給先を温水タンク3としている場合、切替弁5の動作は不要である。同時に、制御装置10は、給水分岐通路14が開かれるように給水分岐弁13を動作させて、給水源からの水を温水タンク3へ供給し、さらに、温水タンク用加熱器15に通電して温水タンク3内の水を昇温させる。
水加熱器2が実現可能な温水流量は少ないため、温水タンク3を満水にするにはある程度の時間を要するが、本実施形態では、水加熱器2によって生成された温水とともに給水源からの水を温水タンク3内へ導入して、温水タンク用加熱器15で昇温させる。これによって、所定量以上、かつ目標温度の温水を温水タンク3内へ貯留するまで(例えば、温水タンク3内を目標温度の温水で満水とするまで)の時間を短縮できる。その結果、便座61への着座が検出されてから早い時期に、温水吐水装置1aを使用する要求が発生した場合でも、最大流量で吐出口6から温水を吐出させやすくなる。
また、便座61への着座が検出された直後に、温水吐水装置1aを使用したい要求が発生した場合、まず、水加熱器2が生成した温水を直接吐出口6から吐出させるが、本実施形態では、この間に温水タンク3へ給水源から水を導入して、温水タンク用加熱器15で温水タンク3内の水を昇温させてもよい。そして、温水タンク3内に所定量(例えば、満水)の温水が生成されたら、ポンプ4を駆動して温水タンク3内の温水を吐出口6に吐出してもよい。このとき、弁装置9を閉じて水加熱器2からは温水が吐出されないようにする、あるいは切替弁5を動作させて水加熱器2が生成した温水の供給先を温水タンクとなるようにして、水加熱器2が生成した温水を吐出口6から吐出させないようにする。このようにすれば、途中から水加熱器2が実現可能な温水流量を超えた流量で吐出口6から温水を吐出させることができるので、温水吐水装置1aの使用者のより幅広い要求に応えやすくなる。次に、本実施形態に係る温水吐水装置の制御の一例を説明する。
図7は、実施形態2に係る温水吐水装置の制御の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る温水吐出装置の制御のステップS301は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS101と同様である。本変形例に係る温水吐出装置の制御のステップS303〜ステップS305は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS103〜S105と同様である。本実施形態に係る温水吐出装置の制御のステップS306、ステップS307は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS106、ステップS107と同様である。本変形例に係る温水吐出装置の制御のステップS311〜ステップS320は、上述した実施形態1に係る温水吐出装置の制御のステップS109〜S118と同様である。このため、共通するステップは説明を省略する。
本実施形態に係る温水吐出装置の制御のステップS302において、制御装置10は、図6に示す水加熱器2への通電、より具体的には、水加熱器2のヒーター22への通電、及び弁装置9を開くことに加え、給水分岐弁13を開き、かつ温水タンク用加熱器15に通電(温水タンク用加熱器ON)する。これによって、制御装置10は、給水源から給水タンク3内へ水を供給するとともに、供給された水を温水タンク用加熱器15によって昇温させる。
本実施形態に係る温水吐出装置の制御のステップS306において、温水タンク3内は満水であると制御装置10が判定した場合(ステップS306、Yes)、ステップS308へ進む。ステップS308において、制御装置は、水加熱器2への通電を停止すとともに、弁装置9及び給水分岐弁13を閉じる。温水タンク3が満水になった以上、水加熱器2によって生成された温水及び給水源からの水を温水タンク3へ供給する必要はないからである。なお、この段階で、温水タンク用加熱器15への通電は継続し、温水タンク3内の温水を、予め定めた設定温度まで昇温させる。
次に、ステップS309へ進み、制御装置10は、図7に示す温度センサ16からの信号を取得し、温水タンク3内の温水の温度が予め定めた設定温度になっているか否かを判定する。温水タンク3内の温水の温度が設定温度に到達していないと制御装置10が判定した場合(ステップS309、No)、制御装置10は、温水タンク3内の温水の温度が設定温度に到達するまで、温水タンク用加熱器15への通電を継続する。
温水タンク3内の温水の温度が設定温度に到達したと制御装置10が判定した場合(ステップS309、Yes)、ステップS310へ進む。ステップS310において、制御装置10は、温水タンク用加熱器15をOFF、すなわち、温水タンク用加熱器15への通電を停止し、温水タンク用加熱器15による加熱を停止させる。上述した手順により、本実施形態に係る温水吐出装置の制御では、所定量以上、かつ目標温度の温水を温水タンク3内へ貯留するまでの時間を短縮できる。
以上、本実施形態は、温水タンクの水を昇温させる温水タンク用加熱器を備える。そして、本実施形態では、水加熱器によって生成された温水とともに給水源からの水を温水タンク内へ導入して、温水タンク用加熱器で昇温させる。これによって、本実施形態によれば、実施形態1が奏する効果の他に、温水タンク内に所定量以上、かつ目標温度の温水を貯留するまでの時間を短縮できるという効果が得られる。