JP5394323B2 - 還元作用水製造用セラミックの調整方法、還元作用水の製造方法および還元作用水 - Google Patents
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特許文献1に開示された製造方法による還元作用水(ミネラル還元水)は、カートリッジと呼ばれる容器に活性を有する天然石または焼結セラミック等を収納し、この容器に水道水を通過させることにより製造される。
本発明は、高い還元作用を長期にわたって持続する還元作用水を僅かな電気エネルギーの使用により製造することができる還元作用水の製造方法、製造される還元作用水、およびこの還元作用水の製造に用いられる還元作用水製造用のセラミックの調整方法を提供することを目的とする。
本発明に係る還元作用水は、水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に1次還元水となった前記水を回収し、前記1次還元水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に2次還元水となった前記水を回収し、以後、n−1(n=3,4…)次還元水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後にn次還元水となった前記水を回収し、前記n次還元水の水素イオン指数が11.5以上、かつ酸化還元電位が−240mV以下となるまでnを1つずつ増加させて前記n次還元水の生成を行い、ホワイトセメント100重量部と得られた前記n次還元水35〜45重量部とを混合し、混合物を1.0〜2.7cm3の大きさに小分けして固化させて還元作用水製造用セラミックとし、前記還元作用水製造用セラミックに水を接触させて得たものであり、酸化還元電位が−200mV以下、水素イオン指数が10.5以上である。
図1は1次調整工程のフローダイヤグラム、図2は2次調整工程のフローダイヤグラム、図3はn次調整工程のフローダイヤグラムである。
調整用還元水製造工程は、繰り返し行われる複数の還元水調整工程からなる。
混合に使用されるホワイトセメントは、山陽白色セメント株式会社が製造し、太平洋セメント株式会社が販売するホワイトセメント(白色セメント)である。ホワイトセメントは、山陽白色セメント株式会社(URL:http://www.sanyowhitecement.com/html/whitejyouhou.html)によれば、普通ポルトランドセメントのJIS規格(JIS R5210)に準拠しており、石灰石および粘土(ろう石、白土)から製造される。石灰石は、炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分として、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、三酸化二鉄(Fe2O3)、酸化マグネシウム(MgO)を微量含む。粘土は、主成分が二酸化ケイ素(SiO2)、準成分が酸化アルミニウム(Al2O3)および三酸化二鉄(Fe2O3)、微量成分が酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)および二酸化チタン(TiO2)である。その他、酸化マグネシウムおよび三酸化硫黄(SO3)および塩化物イオン等を微量含む。
1次調整工程は、より具体的には、ホワイトセメント50gと水道水20gとを開口径70mm、底径50mmおよび高さ80mmの円錐台形容器(以下「調整容器」という)内で混合し(S11)、1週間自然固化させる(S12)。
1次調整工程に続いて行われる調整用還元水製造工程(以下「2次調整工程」という)は、図2を参照して、ホワイトセメント100重量部と調整用1次還元水40重量部とを混合して固化させ2次セラミック固化体を得る(S21、S22)。使用されるホワイトセメントは、1次調整工程に使用されるものと同じである。この処理は、1次調整工程と同様に調整容器内で行われる。
図6、図7および図8はそれぞれ1次セラミック固化体、4次セラミック固化体および5次セラミック固化体を使用して調整用還元水を繰り返し製造したときの調整用還元水の酸化還元電位および水素イオン指数を示す図である。
次に、還元作用水製造用セラミックを得るためのセラミック成型工程について説明する。
初めに、ホワイトセメント100重量部および調整用還元水40重量部を計量し、混練容器に投入する。ホワイトセメントは、調整用還元水製造工程で使用したホワイトセメントであり、調整用還元水は、nが4以上の調整用n次還元水における繰り返し回数が3回以下のものである。調整用還元水の使用量は、35〜45重量部が好ましい。
t(分)={0.475×(25−液温)+0.5}×C ・・・(1)
で求められるt分程度加熱することも可能である。(1)式における係数Cは、湿度が高い場合は1.1を、低い場合は0.9を用いるとよい。
混練された混和物は、成型物の形状に応じた大きさに小分けされる(S42)。成型物の形状とは、角がとれた三角錐(以下「三角錐」と略す)、および直方体に分断するための円盤形等である。三角錐に応じた大きさとは、例えば底面の1辺の長さが略3cm、高さが略3cm、全体の体積が略4cm3であり、円盤形に応じた大きさとは、例えば直径が略10cm、厚さが略7mm、全体の体積が略55cm3である。他に、底面の直径が3cm、高さが3cm、全体の体積が略4cm3の円錐とすることができる。
三角錐状の成型は、表面が若干乾燥した状態になった時、再度人手による成型作業を行う。角がとれた三角形状の成型体の製造においては、固化後における成型物の外部から内部に至る空隙構造を均一化するために、上記の手による成型作業を3回程度繰り返すのが望ましい。この後、固化のために放置される(S45)。
図10は三角錐形の成形物(以下「三角錐セラミック」という)および直方体形の成形物(以下「直方体セラミック」という)の外観を示す図である。
図10からわかるように、三角錐セラミックは厳密な三角錐ではなく、三角錐を目標に人の手により成型され、その形状を例えた場合に三角錐が最も近いという程度の三角錐である。三角錐セラミックは、高さが略2.5〜3.0cm、底面の1辺の長さが略2.0〜2.5cmであり、見かけの体積は、略1.4〜2.7cm3である。
三角錐セラミックおよび直方体セラミックは、いずれも見かけ密度が2.10〜2.3g/cm3である。三角錐セラミックの好ましい見かけ密度は2.10〜2.15g/cm3であり、直方体セラミックの好ましい見かけ密度は2.20〜2.3g/cm3である。
すなわち、成型されたセラミックを満水の容器に入れ、溢れ出た水の容積をその重さから求め見かけ体積とする。この見かけ体積で水に投入前のセラミックの重量を除して見かけ密度とした。
また、三角錐セラミックは、見かけの空隙量が2.2〜2.35cm3である。直方体セラミックは、見かけの空隙量が0.65〜0.75cm3である。見かけの空隙量は、
見かけの空隙量(cm3)=重量(g)/3.15−見かけの体積(cm3)・・(2)
で求められる。ここで、3.15はポルトランドセメントの真密度(g/cm3)である。
図11は三角錐セラミックにおける予備乾燥の有無の影響を調べた図である。図11における水浸透量は、次のようにして求めた。
この計測は、1つのメスシリンダに複数の三角錐セラミックを投入して行い、その見かけの体積の和で水の浸透容積を除して水浸透量(cc/cm3)とした。
図11から、セラミックを得るセラミック成型工程の前に原料のホワイトセメントの予備乾燥を行うことは、還元作用水製造用セラミックにおける水浸透量の増加、つまり空隙の増大に効果的であることがわかる。
図12は縦型の還元作用水製造装置1の概略図、図13は横型の還元作用水製造装置1Bの概略図である。
還元作用水の製造を行うための縦型の還元作用水製造装置1は、原水槽11、処理塔12および熟成槽14からなる。
処理塔12は、円筒の本体21と、その両端を閉じる円形板状のカバー22,23とで形成されている。処理塔12の内部には、一方の端側にパンチングプレートで形成された棚板24が、本体21の中心軸に直交させて収容されている。処理塔12は、本体21の中心軸が垂直になるように配置されている。処理塔12の内部には、棚板24の上に、還元作用水製造用セラミック7kgが入れられた網の袋が多数充填されている。図12においてこの網の袋の集まり(充填層)を符合25で示す。
処理塔12の上端と熟成槽とは、配管で連結されている。
熟成槽14は、塩化ビニル樹脂でライニングされた角型の金属製の槽である。熟成槽14には、プロペラ型の撹拌翼を有する撹拌機31が備えられている。また、熟成槽14の内部には、ブライン(冷媒)が循環されるコイル32が設けられている。熟成槽14の底には、処理塔12に充填されたと同じ三角錐セラミックおよび直方体セラミックが重量比4:3で計7kg入れられた網の袋が多数置かれている(図12においてセラミックの層を符合33で示す)。熟成槽14の中に入れられたセラミックの量(重さ)は、熟成を予定する熟成槽14内の還元作用水の重さの17.5〜20.0重量%である。
原水槽11に水道水が供給される。原水槽11への水道水の供給は、溶存塩素を取り除くために、還元作用水の製造の1日前に行うのが好ましい。
ポンプ13が起動され、原水槽11から水道水が所定の流量を維持して処理塔12に送られる。
ポンプ13による水道水供給圧力は、0.01〜0.10Mpaである。
水道水は、処理塔12の下端からその内部の進入し、セラミックに接触しながら充填層25を上昇する。この間、セラミックに含まれる成分が水道水に溶出する。充填層25を上昇した水道水は、上端から熟成槽14に送られる。
続いて、熟成槽14の撹拌機31が起動される。撹拌機31の撹拌翼は、空気を巻き込むボルテックスの生成を避けるために下方から上方に吐出する型式のものである。水道水は、撹拌翼により熟成槽14内を循環して熟成が進行する。熟成槽14内は、温度計34が測定する温度によってコイル32にブラインが断続的に流され、温度が15±5℃に調整される。
なお、熟成が終了した水道水を「還元作用水」という。
横型の還元作用水製造装置1Bは、原水槽11、複数の処理塔12B,12B,12Bおよび熟成槽14からなる。横型の還元作用水製造装置1Bは、その処理塔12Bが横型である点で、縦型の還元作用水製造装置1と異なり、その他の点においては縦型の還元作用水製造装置1と同じである。
複数の処理塔12B,12B,12Bの初段は、制御部41によりその流量が制御される容積形のポンプ13を介して原水槽11に連結され、最終段は、熟成槽14に連結されている。
横型の還元作用水製造装置1Bによる還元作用水の製造は、上述した縦型の還元作用水製造装置1による還元作用水の製造と全く同じ手順で行われる。
還元作用水は、調整用還元水に換えてセラミックの原料として使用することができる。還元作用水を使用してセラミックを調整する場合にも、図9を参照して説明したセラミック成型工程と同一の処理が行われる。
還元作用水は、住宅の室内の壁紙用接着剤への添加、水性塗料への添加、陶磁器製造における土への添加、成型炭への配合、家畜の飲用水等に使用され、それぞれの用途において水よりも優れた特性を示す。
化粧紙クロス施工用接着剤に、本来添加する水と同量の還元作用水を添加し接着剤を調整する。続いて、この接着剤を新築住宅室内の内壁に塗布し、化粧紙クロスを貼り付ける。接着剤が十分に機能し化粧紙クロスが内壁に強固に貼り付けられた後、還元作用水を化粧紙クロスの表面に15cc/m2の割合で噴霧する。
表1から、還元作用水を使用することにより、合板、木質フローリングおよび集成材等の木材加工製品から放散されるホルムアルデヒドが低減することがわかる。
それぞれの混合塗料を1辺10cmの正方形ガラス板にブレードコーターで厚さ0.25mmに塗布し、塗料が乾燥し塗膜が形成された後、それぞれのガラス板を別々の容積5Lの容器にいれる。
表2から、塗料の溶剤として還元作用水を使用した場合には、通常作業の水を使用する場合に比べて容器内のホルムアルデヒド濃度を低下させる効果があることがわかる。
略間取りが同一の2棟の新築建物(建物面積略104m2)を使用し、うち1棟のリビングルームの壁に還元作用水を15cc/m2の割合で噴霧した。還元作用水の噴霧直後を経過日数0日として、2棟それぞれのリビングルームにおけるホルムアルデヒド、トルエンおよびキシレン濃度(単位体積当たりの各ガス重量)を測定した。
図14〜図16に示されるように、還元作用水を噴霧した室内におけるホルムアルデヒド、トルエンおよびキシレン濃度は、還元作用水を噴霧しない室内に比べて、顕著に低下した。
その他、還元作用水製造用セラミックの調整方法、還元作用水製造用セラミック、還元作用水製造装置1,1Bの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
Claims (6)
- 水とホワイトセメントとを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に1次還元水となった前記水を回収し、
前記1次還元水とホワイトセメントとを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に2次還元水となった前記水を回収し、
以後、n−1(n=3,4…)次還元水とホワイトセメントとを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後にn次還元水となった前記水を回収し、
前記n次還元水の水素イオン指数が11.5以上、かつ酸化還元電位が−240mV以下となるまでnを1つずつ増加させて前記n次還元水の生成を行い、
ホワイトセメントと得られた前記n次還元水とを混合し、
混合物を小分けして固化させる
ことを特徴とする還元作用水製造用セラミックの調整方法。 - 前記水と前記ホワイトセメントとの混合が、水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とで行われ、
前記n−1(n=2,3…)次還元水と前記ホワイトセメントとの混合が、水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とで行われ、
前記ホワイトセメントと得られた前記n次還元水との混合が、ホワイトセメント100重量部と得られた前記n次還元水35〜45重量部とで行われる
請求項1に記載の還元作用水製造用セラミックの調整方法。 - 水とホワイトセメントとを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に1次還元水となった前記水を回収し、
前記1次還元水とホワイトセメントとを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に2次還元水となった前記水を回収し、
以後、n−1(n=3,4…)次還元水とホワイトセメントとを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後にn次還元水となった前記水を回収し、
前記n次還元水の水素イオン指数が11.5以上、かつ酸化還元電位が−240mV以下となるまでnを1つずつ増加させて前記n次還元水の生成を行い、
ホワイトセメントと得られた前記n次還元水とを混合し、
混合物を小分けし固化させて還元作用水製造用セラミックとし、
前記還元作用水製造用セラミックに水を接触させて得る
ことを特徴とする還元作用水の製造方法。 - 前記水と前記ホワイトセメントとの混合が、水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とで行われ、
前記n−1(n=2,3…)次還元水と前記ホワイトセメントとの混合が、水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とで行われ、
前記ホワイトセメントと得られた前記n次還元水との混合が、ホワイトセメント100重量部と得られた前記n次還元水35〜45重量部とで行われる
請求項3に記載の還元作用水の製造方法。 - ホワイトセメント100重量部と得られた前記n次還元水35〜45重量部とを混合した混合物の小分けが、1.0〜2.7cm3の大きさとなるように行われる
請求項3または請求項4に記載の還元作用水の製造方法。 - 水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に1次還元水となった前記水を回収し、
前記1次還元水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後に2次還元水となった前記水を回収し、
以後、n−1(n=3,4…)次還元水35〜45重量部とホワイトセメント100重量部とを混合し固化させて固化した前記ホワイトセメントに水を接触させ所定時間放置後にn次還元水となった前記水を回収し、
前記n次還元水の水素イオン指数が11.5以上、かつ酸化還元電位が−240mV以下となるまでnを1つずつ増加させて前記n次還元水の生成を行い、
ホワイトセメント100重量部と得られた前記n次還元水35〜45重量部とを混合し、
混合物を1.0〜2.7cm3の大きさに小分けして固化させて還元作用水製造用セラミックとし、
前記還元作用水製造用セラミックに水を接触させて得た、
酸化還元電位が−200mV以下、水素イオン指数が10.5以上である
ことを特徴とする還元作用水。
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