JP5392650B2 - 防刃防御部材、防刃片の連結構造及び防護衣 - Google Patents

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Description

本発明は、警察官・ガードマン等が警備を行う際に、暴漢の刃物による攻撃から身を守るために着用する防護衣に用いる防刃防御部材と、該防刃防御部材を構成する防刃片の連結構造、及び該防刃防御部材を用いた防護衣に関する。
従来、警察官・ガードマン等が、刃物や鋭利な凶器(アイスピック等)による攻撃の危険から身体を防護するため、制服あるいは平常の衣服の下に装着する防護衣としては、いわゆる「防刃(耐刃)チョッキ」と呼ばれるものが知られている。これは、主に胸部や腹部及び背部をのみを覆い、着用者の内臓等重要器官への致命傷を防ぐことを目的とするものであり、もともと銃撃を想定した防弾チョッキとは素材や構造が異なるものの、防弾チョッキと同様に相当に厚みのある板状の防御部材を組み合わせて構成されていたため、必ずしも着用者の身体にフィットしたものではなく、どうしても嵩張るために着用者の身体の自由を制約したり、着用時の外観が不自然となるという問題があった。
この問題に対し、これまで、防刃性を有する金属製等のパネル(防刃片)を多数繋ぎ合わせることで、着用者の身体にフィットする柔軟性を備えた防刃防御部材を構成し、これを防護衣の生地に張り付けたり挿入したりする防護衣が開発されている。
特開昭58−019700 特開2001−012899 特開2005−036373 特開2006−125796 実登第3127246号
これらの従来技術においては、防刃片の間に隙間が生じて、特にアイスピック等の鋭利な凶器の先端がその隙間から貫入することを防ぐことに特に重点が置かれ、防刃片の形状や防刃片どうしの連結方法に種々提案がなされているが、いずれも着用性と隙間発生防止を必ずしも十分に両立するものではなく、また、防刃片の形状やその連結部材の構造が複雑なものとなって、生産性が低くコストが高くなるという問題を有している。
具体的には、特許文献1(特開昭58−019700)記載の発明は、防刃片が均一な六角形であり、それらが平面状に配置されているため必然的に連結部分に隙間を生じるが、連結部材が防刃片のすべての連結部分を覆う構造のため、隙間からの凶器の貫入は防止される。しかし、個々の連結部における防刃片の動きの自由度(遊び)が小さいために着用性の制約が大きく、また、全体として構造が複雑で、特殊な形状の連結部材による連結点の数が極めて多いため、生産性が低く、製造コストも高くなるという問題を有する。
特許文献2(特開2001−012899)記載の発明は、防刃片どうしに重なり部分があるため隙間の発生は防止され、連結部材としてのリベットを緩く留めているため、ある程度の着用性も確保されている。しかし、着用性を高めるためにリベットを緩く留めるほど水平方向の防刃片の隙間を生じるため、浅い角度で侵入する凶器先端が貫入する危険度が高まるという二律背反の問題を有するだけでなく、個々の防刃片の構造が複雑でリベット連結の箇所も多いために、やはり生産性やコストの面で不利となる。また、防刃片の連結部においては、着用者の身体の動きにより金属製の防刃片とリベットが捩れる形となり、金属どうしの擦れ音に加えて捩れによる軋み音も発生するため、着用者本人にとってストレスの原因となるだけでなく、警護対象に不快感を与えたり攻撃者に容易に気付かれやすくなるために、警備・警護活動上の不都合を生じる可能性も高い。
特許文献3(特開2005−036373)記載の発明は、防刃片が平面状に配置されて連結部に防刃片の重なり部分がなく、防刃片の連結部において一部連結部材で被覆されない部分があるため、隙間の発生を抑止できず、アイスピック等の突起状の凶器による攻撃に対する脆弱性という問題を有している。
特許文献4(特開2006−125796)記載の発明は、防刃片の連結部に重なり部分を設け、連結部材であるジョイントやワッシャと合わせて隙間発生を防止しているが、連結部の構造が複雑で部品点数も多いため生産性が低い。また、平面板状の防刃片を、やはり平面板状のジョイントやワッシャにより連結する構造では、必然的に構成部品の摩擦面積が大きく、着用性を低下させるだけでなく、金属どうしの擦れ音や捩れによる軋み音も大きくなり、特許文献2の発明と同様の問題を生じる。
特許文献5(実登第3127246号)記載の発明は、防刃片の連結部に重なり部分を設けつつ、防刃片に設けた挿通孔に連結部材として金属性リングを通すことで防刃片どうしを連結するものである。本発明では、防刃片や連結部材の構造が単純なため生産性が高く、また、挿通孔の直径よりも金属製リングの断面直径を小さくすることで金属性リングの可動余地(遊び)を設け、連結部の自由度を高めて着用性を確保している。しかし、防刃片の挿通孔の中で金属性リングの自由な可動を許すが故に、2枚の防刃片の挿通孔がちょうど重なりあった場合、挿通孔の金属性リングで塞がれていない部分はまったくの無防備となり、アイスピック等の突起状の凶器の先端が容易に防刃片を貫通し得るという重大な欠陥を有する。
以上の通り、多数の小さな防刃片を連結して構成する防刃防御部材は、防刃片の隙間の発生を防止しようとすると着用性を低下させざるを得ず、従来技術では、その解決のために防刃片の連結部の構造が複雑化しがちである。また、防刃片や連結部材どうしの擦れや捩れによる音の発生という問題も十分に解決するものではない。さらに、構造の複雑化は耐久性を低下させるだけでなく、生産性の低さがコスト増加要因となり、防刃防護衣自体の普及を阻害することになる。
防刃片の隙間の発生を防止するには、防刃片の周縁部を重ね合わせることが最も効率的な解決策となるが、その際の連結部の構造は可能な限り単純であることが望ましい。同時に、防刃防御部材が着用者の身体の形にフィットし、その動きをなるべく制約しない自由度を確保するためには、防刃片の重なりを維持する範囲でその間隔の変化を許す、制御された「遊び」を確保することが求められる。
上記の課題を解決するために、本発明の防刃防御部材においては、防刃性を有する複数枚の長方形状の防刃片を、隣接する防刃片と互いに周縁部を重ねて碁盤目状に配列し、環状連結部材により連結し、該防刃片は、長方形の二つの対角線のうちいずれか一方に係る二隅に切り欠きを有するとともに、四隅の近傍にそれぞれ該環状連結部材を通す略長円形状の連結孔を有し、横方向に隣接する二枚の防刃片の連結孔の重なりと、それに対応する下段の二枚の防刃片の連結孔の重なりとを、該環状連結部材が貫通して連結することを特徴としている。
また、前記連結孔は、略長円形の長軸線が該防刃片の中心方向に偏向する傾斜をつけて配設され、略長円形の短軸方向の内径が、該連結孔を貫通した前記環状連結部材が長軸沿いに孔内を自在に移動し得る最小限の大きさとしている。
さらに、前記防刃防御部材の裏面においては、水平方向に配列される形となる前記環状連結部材の環内を連続して貫通するように紐状弾性体を配設している。
本発明に係る防刃防御部材は、連結された防刃片の間に隙間が生じないようにするための最も単純かつ簡易な構造である、隣接する防刃片と互いの周縁部を重ね碁盤目状に配列する構造を採用しており、防刃片どうしの連結にも環状連結部材のみを用いるため、全体としての構造も極めて単純かつ簡易なものである。そのため、防刃防御部材としての耐久性や信頼性に優れ、防刃片や連結部材といった部品の製造や組み立て加工も、前記従来技術に比べて容易であり、低コスト化が図れる。
また、長方形状の防刃片の、長方形の二つの対角線のうちいずれか一方に係る二隅に切り欠きを設けたことにより、水平方向に隣接する二枚の防刃片の周縁部の重なり部分と、それに対応する下段の二枚の防刃片の周縁部の重なり部分とが連結されて上下に重なる部分においても、本来は四重に重なるところが前記切り欠きの存在により最大箇所でも三重となるため、当該部分において不要に厚みを増すこともなく、連結部の可動の自由度も確保しやすい。
水平方向に隣接する二枚の防刃片は、それぞれの対応する連結孔の重なりを環状連結部材の上部に貫通されることにより連結され、一方、下段の対応する二枚の防刃片は同様に環状連結部材の下部に貫通されることにより連結され、さらに、上段及び下段の連結部は環状連結部材自体により下段が上段に懸吊される形で連結される。ここで、環状連結部材の上下方向の長さを適切に定めることにより、容易に上段の防刃片の下縁部と下段の防刃片の上縁部が重なる形で連結することができる。その結果、上下左右いずれの連結部においても防刃片の周縁部が重なる形となって、防刃片の間に隙間が生じることが防がれる。
一方、各防刃片の四隅近傍に設けられる連結孔を略長円形状とし、しかも、当該連結孔を、長円形の長軸線が該防刃片の中心方向に偏向する傾斜をつけて配設し、長円形の短軸方向の内径を、該連結孔を貫通した環状連結部材が長軸沿いに孔内を自在に移動し得る最小限の大きさとすることにより、環状連結部材が所定の限定された方向・距離の範囲内で自在に連結孔の中を移動することができる。そのため、すべての防刃片が、その周縁部の重なりを維持する範囲でその間隔の変化を許す、制御された「遊び」が確保され、着用者の身体の形状や動きに合わせた柔軟性を実現する効果を発揮する。しかも、隣接する防刃片が最も接近した場合、最も離れた場合のいずれにおいても、2枚の防刃片の連結孔は互いに交差する位置関係で重なり合うため、連結孔の重なりにおいて、環状連結部材の直径により塞がれている部分以外の連結孔の残余は、重なり合うもう一方の防刃片により塞がれている状態となる。そのため、2つの連結孔の開口部が完全に重なる状態が生じる可能性は極めて小さく、アイスピック等の鋭利な凶器の先端が防刃防御部材を貫通する事態を防ぐ効果を発揮する。
また、本発明に係る防刃防御部材の裏面において、水平方向に配列される形となる前記環状連結部材の環内を連続して貫通するように紐状弾性体を配設することにより、環状連結部材と防刃片裏面との間に紐状弾性体が挟まる形となり、環状連結部材と防刃片裏面との直接の接触による音の発生を防止するとともに、紐状弾性体自体の反発力により環状連結部材と防刃片表面、また上下段の防刃片どうしが常に圧着された状態が維持されるため、金属部材相互の接触・離反による音の発生も防止されるという効果を奏する。
さらに、紐状弾性体の張力を強めて、防刃防御部材全体を水平方向に締め付けることにより、防刃防御部材を着用者の身体の形状に合わせて段階的に体表に密着させることも可能となる。防刃防御部材が密着せず、着用者の身体表面との間に大きな間隙が生じている場合、すなわち、「カーテン」の如く垂直方向に垂れ下った状態だと、刃物等の凶器の刃を水平にして突き出すような攻撃を受けた場合に、防刃防御部材が凶器の先端に押されることにより水平に捲りあげられ、防刃片の僅かな水平方向の隙間に凶器の先端がもぐりこんで侵入する可能性も否定できない。しかし、防刃防御部材が紐状弾性体の張力によりあらかじめ身体の形状に沿って強制的に体表に密着させられていれば、防刃片の水平方向の隙間自体を極小化でき、また、凶器先端の貫徹力を隣接する複数の防刃片に分散して吸収できる可能性が高まるため、このような危険性を抑制する効果も期待できる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る防刃防御部材は、防刃性を有する複数の長方形状の防刃片と、該防刃片を連結する環状連結部材によって構成されている。図1は、縦3枚、横3枚の合計9枚の防刃片2を、それぞれの周縁部を重ね合わせる形で碁盤目状に配列し、環状連結部材5で連結した状態の防刃防御部材1を表面(着用者から見て外側)から見た正面図である。かかる防刃防御部材1は、防刃片2を次々に上下左右方向に連続的に連結していくことで任意の大きさに拡張でき、防御すべき着用者の身体部位に合わせて適切な大きさ、形状の防刃防御部材を構成する。個々の防刃片2は、正面から見て右上部と左下部に切り欠き3a及び3bを有し、また、それぞれの四隅近傍に連結孔4が設けられている。図2は、図1の防刃防御部材を裏面(着用者から見て内側)から見た背面図である。水平方向に配列された環状連結部材5の環内を連続して貫通するように紐状弾性体6が配設されており、これは各段において同様である。図3は、図2の背面図において防刃防御部材1をA―A‘の点線で示される線で切断した場合の断面図である。A―A‘の線上では、水平方向に隣接する防刃片2が周縁部で二重に重なっており、環状連結部材で連結された連結部においては、垂直方向に隣接する防刃片2の一部がさらに重なり合うため、部分的に三重に重なり合う形となっている。
防刃片2の素材としては、刃物やアイスピック等の凶器を通さない硬度を備え、かつ可能な限り軽量な特殊軽合金の薄板が望ましいが、必ずしも金属材料には限定されず、十分な防刃性と軽量さを兼ね備えた素材であれば良く、炭素繊維焼成材や表面に防刃加工を施した硬質樹脂素材等でも良い。個々の防刃片2の大きさは、連結して防刃防御部材を構成した場合に、着用者の身体にフィットして必要な柔軟性すなわち着用性を確保できる適切な大きさとし、縦5cm以下、横6cm以下の長方形とすることが望ましい。個々の防刃片2が小さいほど着用性は高くなるが、小さ過ぎると防刃防御部材1の単位面積当たりの防刃片2及び環状連結部材5の部品点数が増加して生産性が低下し、また、必然的に防刃片2の周縁部の重なり面積も縮小して防刃片2の隙間発生の防止が困難となるため、少なくとも隣接する防刃片2どうしの重なりの幅を5mm以上確保できる大きさとすることが望ましい。なお、防刃片2は、着用者の身体に接するすべての部位で均等の大きさ・形状である必要はなく、比較的曲率が小さい胴部に適用する防刃防御部材1は大きめの防刃片2で構成し、曲率の大きな腕部等に適用する防刃防御部材1は小さめの防刃片2で構成してもよい。
防刃片2の右上部および左下部の切り欠き3a、3bは、隣接する4枚の防刃片2の隅部が集まり環状連結部材5により連結される箇所において、右上に位置する防刃片2の左下隅部と左下に位置する防刃片2の右上隅部とが、互いに干渉し合わないようにするために設けたものである。該切り欠きがなければ、前記連結箇所では4枚の防刃片2がそれぞれ周縁部を重ね合わせるため4重に重なるところ、該切り欠きの存在により、ごく一部が3重に重なるだけで済み、連結箇所における防刃防御部材1の柔軟性を損なわない。
防刃片2の四隅近傍に設けられた長円形の連結孔4は、短軸方向の内径が環状連結部材5の断面直径より僅かに大きく、長軸方向の内径は該断面直径の2乃至3倍程度の長さとすることが望ましい。短軸方向の内径は、連結孔4を貫通する環状連結部材5が孔内を長軸沿いに自在に移動し得るに足り、かつ、アイスピック等の凶器の先端の侵入を許す隙間が生じない大きさとする。一方、長軸方向の内径は、環状連結部材5が自在に移動することにより防刃防御部材1の平面方向への伸縮を可能とする「遊び」を実現する大きさである。この長軸方向の内径が大きいほど、防刃防御部材1の伸縮率が増加して防護衣全体の着用性が高まるが、連結孔4自体が水平方向に隣接する防刃片2の重なり部分を超えない範囲の大きさとする。
前記連結孔4は、いずれも防刃片2の四隅近傍において、長円形の長軸線が防刃片2の中心方向に偏向する傾斜をつけて配設する。これにより、水平方向に隣接する2枚の防刃片2の重なり部分において、環状連結部材5が貫通して連結される2つの連結孔4は、互いに交差する形となるから、2つの連結孔4の一部は環状連結部材5の断面により常に塞がれた状態となり、その残余の開口部も常に重なり合うもう一方の防刃片2によって塞がれた状態となる。そのため、2つの連結孔4が完全に重なって無防備となる部分が生じる可能性は極めて小さく、アイスピック等の鋭利な凶器の先端が防刃防御部材1を貫通する事態が防がれる。
なお、図面では、防刃片2は平板な部材を用いているが、たとえば防刃片2の向かって右縁および下縁部分を、それぞれ右側および下側で隣接する防刃片2との重なり部分のみ断面下方方向に帯状の段差(図示せず)を付けて成形しても良い。これにより、下側に位置する防刃片2の厚みにより上側に位置する防刃片2の端部が浮き上がることを抑制でき、防刃防御部材1の表面を凹凸のない滑らかな形状にすることが可能となり、刃物等の凶器の先端が重なった防刃片2の隙間から侵入する可能性をさらに減らす効果も期待できる。
また、防刃片2の表面側には、プレス加工等により帯状のリブ構造(図示せず)を設けても良い。刃物等の凶器による攻撃を受けた際に、凶器の先端部が防刃片2の表面に接触して貫通を阻止された後は、表面に沿って横滑りして防刃片2の連結部に向かう可能性が高いが、当該リブ構造によりこの横滑りを阻止することにより、連結部への打撃の可能性を減少させる効果が期待できる。
なお、防刃片2には、微細な通気孔(図示せず)を設けても良い。その場合、通気孔の直径は、やはりアイスピック等の鋭利な凶器の先端の進入を許さない程度に、十分に小さいものでなければならない。
環状連結部材5の素材としては、刃物やアイスピック等の凶器により容易に剪断されない硬度を備え、かつ可能な限り軽量な特殊軽合金の線材が望ましいが、必ずしも金属材料には限定されない。また、その断面は、連結孔4内を自在に移動する際に連結孔4の縁との接触面積が小さいほど摩擦を低減でき、動きがスムーズとなるから、真円形とすることが望ましい。その構造は、たとえば特殊軽合金の線材(ワイヤ)を連結孔4に通して防刃片2を連結した後で所定の長さに切断し、該線材の両端を溶接してリング状に成形することにより実現できるが、線材両端の接続方法は溶接に限定されず、たとえば線材の両端を重ねて小型プレス機で圧着融合させれば、多数の環状連結部材5を連続的に接続して防刃片2を連結でき、生産性の向上が図れる。なお、接続後の環状連結部材5は、防刃防御部材1の断面に対して扁平なリング状に成形し、防刃防御部材1の表面および裏面からの突出する高さを抑制することが望ましい。
防刃防御部材1の裏面において、水平方向に配列される形となる前記環状連結部材5の環内を連続して貫通するように配設される紐状弾性体6の素材は、表面を編み合わせた繊維材で被覆したゴム紐が望ましいが、線状の弾性体であればゴム紐に限定されない。また、図示される如く断面が円形乃至楕円形のゴム紐であっても良いし、扁平形状の環状連結部材5の環内を通し易く、環状連結部材5と防刃片2の裏面とを直接接触させない、断面形状が扁平な幅広のゴム紐を用いても良い。ゴム紐を被覆する繊維素材は、耐摩耗性に優れ、着用者の汗によっても変質しにくく乾きやすい化学繊維を用いることが望ましい。
たとえば、防護衣の胴部において、防刃防御部材1を円筒状に成形し、紐状弾性体6も着用者の胴体を一周する円環状に配設して適度に締め上げた場合、紐状弾性体6の弾性により、着用時の防刃防御部材1は水平方向に張力が与えられ、着用者の胴体に対して垂直方向に等間隔に配設された紐状弾性体6が、防刃防御部材1を着用者の胴体の形状に沿って体表に密着させることができる。むろん、円筒状に成形された防刃防御部材1の断面内径は防刃片2の連結部の「遊び」が許容する最大径により制限されるため、当然、着用者の体格により防刃防御部材1のサイズも異なるものを用意する必要はあるが、紐状弾性体6の円環の一部で長さを調節する機構(図示せず)を設けてその締め上げ強度を加減できるようにすれば、着用者の若干の体型の違いに合わせて防刃防御部材1を体表に隙間なく密着させる微調整が可能となり、着用者にとってフィット感が向上し着用性を高めることができる。また、防刃片2どうし、あるいは防刃片2と環状連結部材5とが無用に離接することを防げるから、紐状弾性体6自体のクッション効果と相まって、部材同士の接触音の発生を抑止でき、防護衣としての使用時の静粛性を保つことができる。
なお、本発明に係る防刃防御部材1あるいは防刃片2の連結構造によれば、極めて単純かつ堅牢な構造で着用者の身体の様々な部位に適応する軽量な防刃防御部材1を自在な形状に形成することが可能であり、従来の防弾チョッキの如く胴部だけを防護するもののほかに、腕部や脚部を個別の防護するもの、あるいは胴部と腕部を合体して一種の「鎖帷子」状の防護衣を製造することもできる。
また、本発明に係る防刃防御部材1は、通気性と着用者の体表への密着性が高いため、着用者は下着の上に防刃防御部材1からなる防護衣を直接着用し、その上に制服や平常衣を着用して使用できるが、伸縮性の高い生地で製作した下地の表面に防刃防御部材1を貼り付けて防護衣を構成するか、あるいは、当該下地を重ねた積層構造の防護衣の層間に防刃防御部材1を挟み込むように配設しても良い。かかる下地用生地に、たとえばケブラー繊維に代表されるアラミド系繊維等の高強度で耐熱性の高い生地を用いれば、防刃防御部材1との相乗効果で、さらに防刃性能の高い防護衣が実現できる。
以上、本発明に係る防刃防御部材、防刃片の連結方法、及び防護衣について、上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施携帯に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の技術的思想の範囲内において、改良または変更が可能である。
本発明に係る防刃防御部材1の基本構成単位となる一部分および防刃片2の連結構造を、着用者にとって外側から見た状態を示す正面図である。 本発明に係る防刃防御部材1の基本構成単位となる一部分および防刃片2の連結構造を、着用者にとって内側から見た状態を示す背面図である。 図2中の点線A―A‘における断面図であり、図の左側が着用者にとって外側、右側が着用者にとって内側にあたる。
1 防刃防御部材
2 防刃片
3a、3b 防刃片の隅部切り欠き
4 連結孔
5 環状連結部材
6 紐状弾性体

Claims (6)

  1. 防刃性を有する複数枚の長方形状の防刃片を、隣接する防刃片と互いの周縁部を重ね碁盤目状に配列して環状連結部材により連結してなる防刃防御部材であって、
    該防刃片は、長方形の二つの対角線のうちいずれか一方に係る二隅に切り欠きを有するとともに、四隅の近傍にそれぞれ該環状連結部材を通す略長円形状の連結孔を有し、
    横方向に隣接する二枚の防刃片の連結孔の重なりと、それに対応する下段の二枚の防刃片の連結孔の重なりとを該環状連結部材が貫通して連結することを特徴とする防刃防御部材。
  2. 前記連結孔は、略長円形の長軸線が該防刃片の中心方向に偏向する傾斜をつけて配設され、
    略長円形の短軸方向の内径が、該連結孔を貫通した前記環状連結部材が長軸沿いに孔内を自在に移動し得る最小限の大きさであることを特徴とする請求項1に記載の防刃防御部材。
  3. 前記防刃防御部材の裏面において、
    水平方向に配列された前記環状連結部材の環内を連続して貫通するように紐状弾性体を配設したことを特徴とする
    請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の防刃防御部材。
  4. 防刃性を有する複数枚の長方形状の防刃片を、隣接する防刃片と互いの周縁部を重ね碁盤目状に配列して環状連結部材により連結する防刃片の連結方法であって、
    該防刃片の長方形の二つの対角線のうちいずれか一方に係る二隅に切り欠きを設けるとともに、四隅の近傍にそれぞれ該連結部材を通す略長円形状の連結孔を設け、
    横方向に隣接する二枚の防刃片の連結孔の重なりと、それに対応する下段の二枚の防刃片の連結孔の重なりとに該環状連結部材を貫通させて連結することを特徴とする防刃片の連結構造。
  5. 前記連結孔は、略長円形の長軸線が該防刃片の中心方向に偏向する傾斜をつけて配設し、
    略長円形の短軸方向の内径が、該連結孔を貫通した前記環状連結部材が長軸沿いに孔内を自在に移動し得る最小限の大きさであることを特徴とする
    請求項4に記載の防刃片の連結構造。
  6. 刃物等の凶器を用いた攻撃から着用者の身体を防護するための防護衣であって、
    前記防護衣の生地の最表面または積層構造の生地の層間に
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の防刃防御部材を配設したことを特徴とする防護衣。
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