この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
実施の形態1.
図1から図15は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は電気掃除機の斜視図、図2は集塵ユニットを取り付けた状態の掃除機本体の斜視図、図3は集塵ユニットを取り付けた状態の掃除機本体の平面図、図4は集塵ユニットを取り外した状態の掃除機本体の斜視図、図5は集塵ユニットを取り外した状態の掃除機本体の平面図、図6は図5中に示すA−A線による断面図、図7は図5中に示すB−B線による断面図、図8は集塵ユニットの斜視図、図9は集塵ユニットの側面図、図10は集塵ユニットの平面図、図11は集塵ユニットの分解斜視図、図12は図10中に示すC−C線による断面図、図13は図12中に示すD−D線による断面図、図14は図13中に示すE−E線による断面図、図15は図3中に示すF−F線による断面図である。
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2を備えている。この掃除機本体2の両側には車輪3が設けられる。掃除機本体2の後部には、電源コード4が引き出し可能に設けられる。掃除機本体2の上部には、集塵ユニット5が着脱自在に取り付けられる。なお、掃除機本体2の電源コード4を除く部分は、図2及び図3にも図示している。
掃除機本体2の前部には、ホース接続口6が設けられる。ホース接続口6には、サクションホース7の一端が接続される。サクションホース7は、可撓性を有するように蛇腹状に形成される。サクションホース7の他端には、接続パイプ8の一端が接続される。接続パイプ8は、中途にて若干折れ曲がるように形成される。接続パイプ8には、取っ手9が設けられる。取っ手9には、操作スイッチ10が設けられる。接続パイプ8の他端には、吸引パイプ11の一端が接続される。吸引パイプ11は、真直ぐの中空円筒状に形成される。吸引パイプ11の他端には、吸込口体12が、その長手方向中央部において接続される。この吸込口体12の下面は開口されて吸込口が形成されている。
図4に示すように、集塵ユニット5を取り外した状態の掃除機本体2は、電動送風機収容ユニット2aと集塵ユニット収容部2bとを備えている。電動送風機収容ユニット2aの上面側は、後方にいくほど高く前方にいくほど徐々に低くなる傾斜面状となっている。この傾斜面状に形成された電動送風機収容ユニット2aの上面側が、集塵ユニット5を着脱自在に収容するための集塵ユニット収容部2bである。
図4及び図5に示すように、集塵ユニット収容部2bの上部の一側には、本体側流出口13が形成される。また、集塵ユニット収容部2bの上部の中央には、本体側流入口14が形成される。本体側流入口14は、本体側流出口13よりも上方側に配設されている。
図6及び図7に示すように、電動送風機収容ユニット2a内における後部側の下部には、電動送風機15が収容される。電動送風機15の前方側かつ上方側には、ホース接続口6と本体側流出口13とを連通する吸入風路16が形成される。また、本体側流入口14と電動送風機15の収容箇所とを連通するようにして、排気風路17が電動送風機収容ユニット2a内に形成される。なお、電動送風機収容ユニット2a内には図示しないコードリール部も収容されている。このコードリール部には電源コード4が巻き回される。
また、電動送風機収容ユニット2a内には、電動送風機15やコードリール部以外の内部機器(例えば、制御配線基板等)も収容されている。電源コード4を外部電源に接続することで、電動送風機15等の内部機器が通電する。電動送風機15は、通電によって駆動し、操作スイッチ10に対する操作に応じて所定の吸引動作を行う。
吸込口体12、吸引パイプ11、接続パイプ8及びサクションホース7は、内部が一続きに形成されている。電動送風機15が吸引動作を行うと、床面上のごみが空気と一緒に吸込口体12に吸い込まれる。吸込口体12に吸い込まれた含塵空気は、吸込口体12、吸引パイプ11、接続パイプ8、サクションホース7の順にこれらの内部を通って、掃除機本体2に送られる。このように、吸込口体12、吸引パイプ11、接続パイプ8及びサクションホース7は、外部から掃除機本体2を通じて集塵ユニット5内へと含塵空気を導入するための風路を形成する。
集塵ユニット5は、含塵空気からごみを分離し、分離したごみを一時的に溜めておくためのものである。集塵ユニット5は、内部で含塵空気を旋回させることにより、遠心力によってごみを空気から分離する。すなわち、集塵ユニット5は、サイクロン分離機能を有している。集塵ユニット5の具体的な構成及び機能については後述する。
電動送風機15が吸引動作を開始すると、電気掃除機1に形成された各風路に、気流(吸引風)が発生する。吸込口体12に吸い込まれた含塵空気は、ホース接続口6から掃除機本体2の内部に取り込まれる。掃除機本体2の内部に流入した含塵空気は、吸入風路16を経て、本体側流出口13から集塵ユニット5に送られる。集塵ユニット5の内部に発生する気流については後述する。集塵ユニット5から排出された空気(清浄空気)は、排気風路17に流入し、排気風路17内において電動送風機15を通過する。電動送風機15を通過した空気は、排気風路17をさらに進み、排気口から掃除機本体2(電気掃除機1)の外部に排出される。
図8から図10は集塵ユニット5の外形を示している。これらの図に示すように、集塵ユニット5は大まかに言って略楕円筒状を呈する。集塵ユニット5は、図8から図10に加えて図11にも示すように、大きく分けて、排出部ケース5a、バイパス部ケース5b、流入部ケース5c及び集塵部ケース5dの4つの部分からなる。集塵ユニット5は、これらの排出部ケース5a、バイパス部ケース5b、流入部ケース5c及び集塵部ケース5dを、上からこの順で組み合わせることで構成される。
集塵ユニット5の流入部ケース5cの一側には、ユニット側流入口18が形成される。集塵ユニット5の排出部ケース5aにおける最上部の中央には、ユニット側流出口19が形成される。このユニット側流出口19は、ユニット側流入口18よりも上方に配置される。ユニット側流入口18とユニット側流出口19とは同じ側を向いて開口している。
図12に示すように、集塵ユニット5は、その中央下部に旋回室20を備えている。旋回室20の上部は、円筒部20aからなる。旋回室20の下部は、円錐部20bからなる。円筒部20aは、中空の円筒状を呈する。円筒部20aは、中心軸が上下方向を向くように配置される。円錐部20bは、先端部が切り取られた中空の円錐状を呈する。円錐部20bは、中心軸が円筒部20aの中心軸と一致するように、上下方向に配置される。
円錐部20bの上端部は、円筒部20aの下端部に接続される。円錐部20bは、下方にいくに従って径が小さくなるように、円筒部20aの下端部から下方に延びるように設けられる。このように形成された円筒部20aの内部空間と円錐部20bの内部空間とからなる一続きの空間は、旋回室20を構成する。旋回室20は、含塵空気を旋回させるための空間である。
円筒部20aの上部(旋回室20を形成する側壁の最上部)には、主流入口50が形成される。主流入口50には、主流入管52の一端が接続される。主流入管52の他端はユニット側流入口18に接続される。主流入管52は、吸入風路16を通過してきた含塵空気を、円筒部20aの内部(旋回室20)に導くためのものである。主流入管52の内部空間は、主流入風路を形成する。主流入風路は、吸入風路16から旋回室20に含塵空気を流入させるための風路の一つである。
主流入管52は、例えば、四角筒状を呈し、一直線状を呈する部材からなる。主流入管52は、その軸が、円筒部20aの中心軸に対して直交し、かつ、円筒部20a(旋回室20の側壁)の接線方向に配置される。
また、主流入口50と同様に、円筒部20aの上部(旋回室20を形成する側壁の最上部)には、副流入口51が形成される。副流入口51が配置される高さは、例えば主流入口50と同じ高さである。この場合、換言すれば、主流入口50及び各副流入口51は、旋回室20の中心軸方向の略同等な位置に設けられる。ここでは、副流入口51は5つ設けられている。
バイパス部ケース5b内の空間には、バイパス風路55が形成される。バイパス風路55は、旋回室20の旋回方向に延在するように形成される。主流入管52内の空間とバイパス部ケース5b内の空間であるバイパス風路55とは、流入部ケース5cにおける主流入管52の上壁及びバイパス部ケース5bの底面に設けられた図示しないバイパス連通口により連通されている。
このバイパス連通口は、主流入管52の風路内の含塵空気の一部を、バイパス風路55に取り込むための開口である。バイパス連通口を通過して主流入管52内からバイパス風路55に流入した含塵空気は、バイパス風路55を通過した後、副流入口51から、円筒部20aの内部(旋回室20)に取り込まれる。
これらの副流入口51とバイパス風路55とは、副流入管54により接続されている。バイパス部ケース5bにおけるバイパス風路55の底面には、副連通口53が穿設されている。副連通口53は副流入口51のそれぞれと対応して設けられる。したがって、副連通口53は副流入口51と同数だけ設けられる。ここでは、副流入口51の数は5であるので、副連通口53の数も5である。
そして、対応する副流入口51と副連通口53同士のそれぞれが、副流入管54により接続される。したがって、副流入管54が設けられる数も、副流入口51及び副連通口53と同数(ここでは5)である。これらの副流入管54は、流入部ケース5cにおける円筒部20aの上部に、円筒部20aの外周を囲むようにして設けられる。副流入管54は、副流入口51において円筒部20aの側壁の接線方向に沿うようにして接続される。
図12に示すように、旋回室20の円筒部20aの側壁には、0次開口部21が形成されている。0次開口部21は、ユニット側流入口18よりも旋回室20の中心軸方向の下方に配置される。さらに言えば、0次開口部21は、主流入口50及び全ての副流入口51よりも、旋回室20の中心軸方向の下方、すなわち、旋回室20内の空気流における下流側に配置される。
0次開口部21が形成される旋回室20の円筒部20aにおける位置は、旋回室20の中心軸に対してユニット側流入口18及びユニット側流出口19の開口している側とは反対側となる位置である。
旋回室20の円錐部20bの下端部は、中心軸に沿った下方側を向いて開口する。円錐部20bの下端部に形成されたこの開口が、1次開口部23である。したがって、この1次開口部23は0次開口部21より旋回室20内の空気流における下流側に配置されている。また、円錐部20bの外側には、隔壁25が設けられている。この隔壁25は、円筒部20aとほぼ同径の略円筒状を呈する。隔壁25の上端は、円筒部20aと円錐部20bとの接続部近傍に接続されている。
集塵部ケース5dは、下方が閉じ、上方が開口した略楕円筒状を呈する。集塵部ケース5dは、流入部ケース5cの外側及び下方側に配置される。この状態においては、流入部ケース5cの円筒部20aの0次開口部21の上端よりも下方側と、円錐部20b及び隔壁25の全体が、集塵部ケース5d内に収容される。また、隔壁25の下端部が、集塵部ケース5dの底面に形成された突起部と係合する。
こうして、流入部ケース5cと集塵部ケース5dとの間に形成された空間は、隔壁25により2つに区切られる。こうしてできた2つの空間のうち、円筒部20a及び隔壁25の外側に形成されたものが0次集塵室22であり、円錐部20bの下方及び外側であって隔壁25の内側に形成されたものが1次集塵室24である。
0次集塵室22は、旋回室20の外側全周を覆うように包囲している。また、0次集塵室22は、0次開口部21から下方に延在している。1次集塵室24は、1次開口部23の下方から円錐部20bの外側全周へ延在している。
0次集塵室22内には、複数のリブ30が設けられる。図13に示すように、これら複数のリブ30は、0次集塵室22の外周側の(すなわち集塵部ケース5dの)内側面から旋回室20の中心軸方向へと向けて突出して設けられる。さらに、これらのリブ30は、旋回室20の中心軸に対する周方向について、0次開口部21が設けられている範囲とは重ならない位置に配置される。
また、これらのリブ30は、旋回室20の中心軸から見て0次開口部21側にある第1のリブ30aと、旋回室20の中心軸から見て0次開口部21とは反対側にある第2のリブ30bとに分類される。図12及び図14に示すように、旋回室20の中心軸に沿った方向の長さについて、第1のリブ30aの方が第2のリブ30bよりも短い。旋回室20の中心軸に沿った方向において、第1のリブ30aは、0次開口部21が設けられている範囲とは重なっておらず、0次開口部21が設けられている範囲よりも下方側に配置される。一方、第2のリブ30bについては、旋回室20の中心軸に沿った方向において、0次開口部21が設けられている範囲と重なっている。
さらに、図14に示すように、リブ30の先端から当該先端に対向する円筒部20a又は隔壁25の外側面までの距離(以下これを「風路幅」という)について、旋回室20の中心軸に沿った上方側における風路幅aと下方側における風路幅bとを比較すると、風路幅aの方が風路幅bよりも大きくなるように形成されている。これは、例えば、リブ30の先端部及び0次集塵室22の外壁の一方あるいは両方について、旋回室20の中心軸に沿って下方にいくほど前記中心軸に近づくように傾斜させることで実現することができる。なお、図14中では、リブ30のうち第1のリブ30aについての風路幅について図示しているが、第2のリブ30bについても同様である。
図12及び図14に示すように、円筒部20aの上端部の中心には、メッシュ状の排出口27が設けられている。排出口27は、上部が略円筒形状を呈し下部が略円錐形状を呈する管状の側壁及びこの側壁の一部を開口して形成される微細孔により構成される。このため、管の下方のみを開口して排出口を形成する場合と比べ、旋回方向に旋回室20内の気流を吸引する力が強まり、旋回室20内の旋回気流が旋回方向に進みやすくなる。よって、旋回室20内の上方における気流の旋回力が増大し分離性能をさらに向上することができる。
この排出口27とユニット側流出口19とは、排出管26により連通される。換言すれば、前述したメッシュ状の排出口27の一部は、排出管26の側壁の一部を開口して形成される微細孔により構成される。排出管26は主に排出部ケース5aにより形成されている。なお、排出口27はバイパス部ケース5bに形成されており、旋回室20の上端壁は、バイパス部ケース5bの底面の一部により形成される。
以上のような構成を有する集塵ユニット5が集塵ユニット収容部2bに適切に取り付けられると、図15に示すように、旋回室20等の中心軸が、集塵ユニット収容部2bの斜面に合わせて斜めに配置される。そして、ユニット側流入口18及びユニット側流出口19が前記斜面に対向するように配置され、ユニット側流入口18が本体側流出口13に接続される。ユニット側流出口19は、本体側流入口14に接続される。
この際、前述したように、0次開口部21は、旋回室20の中心軸に対してユニット側流入口18及びユニット側流出口19の開口している側とは反対側に設けられている。このため、0次開口部21は、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態において、旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の上方側に配置されることになる。
また、前述したように、旋回室20の中心軸から見て0次開口部21側にあるのが第1のリブ30aであり、その反対側にあるのが第2のリブ30bである。よって、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態においては、第1のリブ30aは旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の上方側に配置され、第2のリブ30bは旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の下方側に配置される。
前記したように、リブ30は、0次集塵室22の外周側の内壁面に設けられている。したがって、第2のリブ30bに着目すると、第2のリブ30bは、集塵ユニット5が掃除機本体2に装着された状態で鉛直(重力方向)下方側となる0次集塵室22の内壁面から突出して設けられていることになる。
集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態において旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の上方側に配置されるリブ30(すなわち第1のリブ30a)は、旋回室20の中心軸に沿った方向において0次開口部21が設けられている範囲とは重ならずに0次開口部21が設けられている範囲よりも下方側に配置される。換言すれば、第1のリブ30aは、0次集塵室22の底面部から0次開口部21の下縁部までの範囲内にわたって設けられている。
また、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態において旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の下方側に配置されるリブ30(すなわち第2のリブ30b)は、旋回室20の中心軸に沿った方向において0次開口部21が設けられている範囲と重なるように設けられている。換言すれば、第2のリブ30bは、0次集塵室22の底面部から0次開口部21の下縁部よりも上方側にまでわたって設けられている。
次に、以上のような構成を有する集塵ユニット5の機能について具体的に説明する。電動送風機15の吸引動作が開始されると、含塵空気は、上述した通り、吸入風路16を通過し、本体側流出口13に達する。当該含塵空気は、本体側流出口13及びユニット側流入口18を順次通過して、主流入管52の内部、すなわち、主流入風路に流入する。主流入風路に流入した含塵空気は、その一部が主流入管を直進し、主流入口50を通過して円筒部20aの内部(旋回室20)に流入する。
一方、主流入風路に流入した含塵空気の他の一部は、主流入管52内からバイパス連通口を通過して、流入部ケース5cの上方の、バイパス部ケース5bと排出部ケース5aとに挟まれた空間であるバイパス風路55に流入する。バイパス風路55に流入した含塵空気は、バイパス風路55内を旋回室20の上方を横切るように旋回室20内の空気の旋回方向に沿って移動する。
当該含塵空気は、副連通口53を通過して下方に移動し、旋回室20の外側に形成された、副流入管54内に流入する。副流入管54内において、含塵空気は、旋回室20内の空気の旋回方向に沿って移動する。当該含塵空気は、副流入管54内から副流入口51を通過して円筒部20aの内部(旋回室20)に流入する。
主流入口50を通過した含塵空気は、円筒部20aの内周面(旋回室20の内壁面)に沿うように、旋回室20に、その接線方向から流入する。副流入口51を通過した含塵空気も同様に、円筒部20aの内周面に沿うように、旋回室20に、その接線方向から流入する。
主流入口50及び副流入口51から旋回室20に取り込まれた含塵空気は、旋回室20内において、側壁に沿って所定の方向に回る旋回気流を形成する。この旋回気流は、中心軸近傍の強制渦領域とその外側の自由渦領域とを形成しながら、その経路構造と重力とによって下向きに流れていく。
このとき、旋回室20内において、主流入口50及び副流入口51それぞれからの流れが創出する旋回気流を、旋回室20内の旋回方向に向けて順々に後ろ側から押し合うような形となるため、旋回方向の旋回風速が強まるとともに旋回気流が下降しにくくなる。そのため、副流入口51を設けない場合と比較して、容器内の上方での旋回力が増大し、分離性能を向上することができる。
この旋回気流(旋回室20内の空気)に含まれるごみには、遠心力が作用する。例えば、繊維ごみや毛髪といった比較的嵩の大きなごみ(以下、このようなごみのことを「ごみα」という)は、この遠心力によって、円筒部20aの内周面(旋回室20の内壁面)に押し付けられながら、旋回室20内を落下する。ごみαは、0次開口部21の高さに達すると旋回気流から分離され、0次開口部21を通過して0次集塵室22に送られる。
0次開口部21から0次集塵室22に進入したごみαは、旋回室20内を旋回する気流の方向(旋回方向)と同じ方向に移動しながら、0次集塵室22内を落下する。そして、ごみαは、0次集塵室22の最下部に達し、あるいは、リブ30(第1のリブ30a又は第2のリブ30b)にぶつかり、捕集される。
0次開口部21から0次集塵室22に進入しなかったごみは、旋回室20内の気流に乗って、旋回室20内を旋回しながら下方に進む。砂ごみや細かな繊維ごみといった比較的嵩の小さなごみ(以下、このようなごみのことを「ごみβ」という)は、1次開口部23を通過する。そして、ごみβは、1次集塵室24に落下して捕集される。
旋回室20内で旋回する気流は、旋回室20の最下部に達すると、その進行方向を上向きに変えて、旋回室20の中心軸に沿って上昇する。この上昇気流を形成する空気からは、ごみα及びごみβが除去されている。ごみα及びごみβが取り除かれた気流(清浄空気)は、排出口27を通過して、旋回室20の外に排出される。旋回室20から排出された空気は、排出管26内を通過して、ユニット側流出口19に達する。そして、清浄空気は、ユニット側流出口19及び本体側流入口14を順次通過して、排気風路17に送られる。
電動送風機15が吸引動作を行うことにより、上述したように、ごみαが0次集塵室22に、ごみβが1次集塵室24に集積されていく。これらのごみα及びβは、集塵部ケース5dを集塵ユニット5から取り外すことにより、簡単に捨てることができる。
以上のように構成されたサイクロン分離装置及びこれを備えた電気掃除機においては、旋回室20の側壁を開口して形成した0次開口部21を介して旋回室20と0次集塵室22を連通させることで、旋回室20の下方に0次集塵室22を連通させる場合と比べ、0次集塵室22への気流流入を抑制し、0次集塵室22内の風速を低減することができる。
また、したがって、リブ30により0次集塵室22内に入ったごみの動きを止めて偏りなくごみを溜めることが可能となる。そして、このため、ごみが旋回室20に戻ってしまい捕集性能を低下させてしまうことを抑制するとともに、0次集塵室22内における集塵量を増大させ、ごみ捨て頻度を低減することができる。
さらに、リブ30は、旋回室20の中心軸に対する周方向について、0次開口部21が設けられている範囲とは重ならない位置に、すなわち、0次開口部21とは旋回室20内の気流の旋回方向の上流側又は下流側にずらして配置される。このため、ごみが0次開口部21の近くに溜まり旋回室20に戻る気流に引っ張られやすくなることを抑制し、捕集性能をより向上させることができる。また、0次集塵室22内の全体にごみが溜まる前に、大きなごみや異物が0次開口部21の近くにとどまり0次開口部21を塞いでしまい、集塵量が低下することを未然に防止することが可能である。
また、リブ30を複数設けることで、0次集塵室22全体において、均等にごみを捕捉することができるようになるため、さらなる集塵量の増大を期待することができる。
また、0次集塵室22内におけるリブ30設置箇所の風路幅について、旋回室20の中心軸に沿った上方側ほど風路幅が広く、下方にいくほど風路幅が小さくなるようにすることで、ごみがリブ30の上寄りでひっかかってしまい、0次集塵室22の下部にごみが溜まらなくなってしまうことを防止することができる。そして、このため、0次集塵室22の下部からごみを溜めることができるため、さらに集塵量を増すことができる。
また、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態において旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の下方側にリブ30(第2のリブ30b)を配置することで、重力の影響で下方向へと移動する傾向にあるごみを捕捉しやすくなり、さらに集塵量を増すことができる。この際、0次集塵室22の内壁面のうち、鉛直方向(重力方向)の下方側となる方の内壁面から突出するように第2のリブ30bを設けることで、上記効果をより一層強めることができる。
また、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態において旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の上方側に0次開口部21が配置されるようにすることで、鉛直方向(重力方向)の下方側に形成される0次集塵室22内の集塵空間と0次開口部21との距離を大きくとることができ、0次集塵室22の集塵量を増しごみ捨て頻度を低減できる。
また、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した状態において旋回室20の中心軸に対して鉛直方向(重力方向)の上方側に配置されるリブ30(第1のリブ30a)よりも、鉛直方向(重力方向)の下方側に配置されるリブ30(第2のリブ30b)を、旋回室20の中心軸に沿って長くすることで、集塵ユニット5を掃除機本体2に装着した際に集塵空間が広くなる鉛直下方側(掃除機本体2側)に溜めるごみの量を増やすことができ、0次集塵室22の集塵量を増大しごみ捨て頻度を低減することができる。
この際、鉛直方向(重力方向)の下方側に配置されるリブ30(第2のリブ30b)の、旋回室20の中心軸に沿った方向の位置を、0次開口部21が設けられた位置と同等とすることで、0次開口部21が設けられた高さ(すなわち、ごみ捨てライン)まで第2のリブ30bによるごみを捕捉する作用を得ることができるため、さらに集塵量を増し、ごみ捨て頻度を低減することができる。
また、鉛直方向(重力方向)の上方側に配置されるリブ30(第1のリブ30a)の、旋回室20の中心軸に沿った方向の位置を、0次開口部21の下縁部より下方に設けることで、0次集塵室22内の全体にごみが溜まる前に、大きなごみや異物が0次開口部21の近くにとどまり0次開口部21を塞いでしまい、集塵量が低下することを未然に防止することが可能である。
また、上記のように、リブ30を旋回室20の中心軸に対し上方側及び下方側の両方に設けることで、0次集塵室22の全体において、より均等にごみを捕捉することができるようになるため、さらなる集塵量の増大を期待することができる。
また、以上のような作用効果により、ごみを0次集塵室22内で全体に偏りなく溜めることができるため、使用者が目視で溜まっているごみの量を確認しやすくなり、ごみ捨てのタイミングの適切な判断が容易となって、使い勝手を向上することができる。また同様の理由から、ごみ捨てのタイミングを自動で判断するためにごみ量を検知するセンサーを取り付けた場合においても、ごみが偏って溜まり集塵空間に空きがある状態でセンサーがごみを検知してしまうことを抑制することができる。よって、ごみ捨てのタイミングを適切に判断して、ごみ捨ての頻度が上がってしまうことを防止することができる。
実施の形態2.
図16及び図17は、この発明の実施の形態2に係るもので、図16は集塵ユニットを取り付けた状態の掃除機本体の図15に相当する断面図、図17は図16中に示すG−G線による断面図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成に加えて、0次集塵室の内周側の内壁面にもリブを設けるようにしたものである。
すなわち、図16及び図17に示すように、複数のリブ30のうち、集塵ユニット5が掃除機本体2に装着された状態で旋回室20の中心軸より鉛直(重力)方向上方側に設けられる第1のリブ30aは、0次集塵室22の内周側の(すなわち流入部ケース5cの円筒部20a又は隔壁25の)内壁面から旋回室20の中心軸とは反対方向へと向けて突出して設けられる。
また、集塵ユニット5が掃除機本体2に装着された状態で旋回室20の中心軸より鉛直(重力)方向下方側に設けられる第2のリブについては、実施の形態1と同様に0次集塵室22の外周側の(すなわち集塵部ケース5d)内壁面から旋回室20の中心軸とは反対方向へと向けて突出して設けられた第2のリブ30bと、0次集塵室22の内周側の(すなわち流入部ケース5cの円筒部20a又は隔壁25の)内側面から旋回室20の中心軸とは反対方向へと向けて突出して設けられた第2のリブ30cと、に二分される。
第2のリブ30bの側面と第2のリブ30cの側面とは、所定の間隔を空けて配置される。第2のリブ30cの旋回室20の中心軸に沿った方向の長さは、第1のリブ30aのものと同等である。また、集塵ユニット5が掃除機本体2に装着された状態で旋回室20の中心軸より鉛直(重力)方向下方側に設けられる第2のリブ30b及び第2のリブ30cの数の合計は、鉛直(重力)方向上方側に設けられる第1のリブ30bの数より多い。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
ここで、使用者が溜まっているごみを目視で確認しごみ捨てのタイミングを判断できるように、0次集塵室22の外周側の(集塵部ケース5dの)壁面は、透明又は半透明の材料で構成される場合が多い。ここで説明した各実施の形態においても、集塵部ケース5dは可視光線を透過する性質を有する材料から構成されている。
このような場合においては、特に0次集塵室22の重力方向上方側の壁面にリブ30を設けると、0次集塵室22内のごみが見えにくくなったり、意匠面にリブ30の稜線が出来て意匠性が悪くなる可能性がある。そこで、特に0次集塵室22の重力方向上方側については、内周側の内壁面にリブ30を設けることで前述したような不都合が生じる可能性を排除することができる。
また、特に、集塵空間が大きい鉛直(重力)方向の下方側に、上方側より多くリブ30を設置することで、下方側の集塵空間にごみが溜まりやすくなり、0次集塵室22内の全体に均等にごみを溜めることができるため、集塵量をさらに増しごみ捨て頻度を低減することができる。
さらに、また、図15に示すように、リブ30の上端を切り欠いてC面を形成することで、リブ30の上端にごみがひっかかり、0次集塵室22内の下部にまでごみが到達せず集塵量が減ってしまうことを抑制することができる。さらに、集塵ユニット5から集塵部ケース5dを取り外して0次集塵室22内のごみを排出する際に、リブ30の上端の角でごみを引き摺ってしまうことを抑制でき、ごみ捨て作業における利便性を向上することができる。
なお、各実施の形態においては、以上のような構成の集塵ユニット5をキャニスタータイプの電気掃除機1に適用した場合を例に挙げて説明したが、キャニスタータイプ以外(例えばスティックタイプやハンディタイプ等)の電気掃除機1であってもよい。