JP5391762B2 - 鋼板エッジ部の誘導加熱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼板のエッジ部を加熱する鋼板エッジ部の誘導加熱方法に関するものであり、特に連続的に鋼板が通板される冷間圧延ラインに誘導加熱装置を設置した場合の鋼板のエッジ部を安定的に加熱する誘導加熱方法に関する。
完全連続式冷間タンデムミル、酸洗ラインとの連続式冷間タンデムミル、単スタンドでのリバースミルなど、冷間圧延設備の如何を問わず、従来の一般的な冷間圧延機における操業においては、室温程度、すなわち高くとも40℃程度の被圧延材を使用して圧延している。
これは、被圧延材の性質としては、温度が高い程変形抵抗が低下することは考えられているものの、温度を高めることによるメリット、たとえば圧延動力の低減がほとんど無視される程度であるのに引きかえ、昇温するためのコスト的損失が、非常に大きいこと、高温の被圧延材のハンドリングが労働環境面からも問題があることなどの理由による。
一般の冷延鋼板の圧延においては、このように室温レベルの圧延材料を圧延に供するのが普通であり、耳割れも小さく操業上に大きな問題は生じない。
ところが、1%以上の珪素を含有する珪素鋼板やステンレスなどの材料においては、一般の冷延鋼板と比較して脆性材料となるため、室温で圧延加工を行うと圧延後の耳割れが顕著になり、最悪の場合には圧延中に板破断が生じてしまうという問題がある。
この問題を解決する方法として、例えば、特許文献1には、珪素鋼板を圧延するに際して、圧延機入側の材料温度につき、鋼板のエッジ部を60℃(延性―脆性遷移温度)以上の温度に昇温した被圧延材を圧延機に供給する珪素鋼板の冷間圧延方法が開示されている。
また、特許文献2には、鋼板のエッジ部を誘導加熱で昇温させる手段として、C型のインダクタ(誘導子)を用いた1対の誘導加熱装置が開示されている。この誘導加熱装置では、鋼板の左右エッジ部をC型のインダクタで上下から挟み、電源装置で加熱コイルに高周波電流を流して発生した高周波磁束で鋼板のエッジ部に誘導電流を生じさせ、誘導電流により発生するジュール熱で鋼板のエッジ部を加熱するものである。
ここで、鋼板のエッジ部を所定の温度に昇温するためには、鋼板のエッジ部とこのエッジ部を上下から挟むインダクタとが重なり合う長さ(以下、ラップ長という)が予め設定された値となるようにインダクタを支持する台車の位置を鋼板の板幅に応じてセットする必要がある。しかしながら、実操業においては、鋼板のセンタリング不良や平坦度不良により左右に鋼板が蛇行するため、ラップ長が変化してしまう。ラップ長が小さくなれば、磁束の流れを遮る渦電流の発生が少なくなるため、力率が悪化して無効電流が増加し、コイル電流が定格値まで増加しても所定の出力が出せず加熱不足が生じたり、局部異常加熱に至ってしまうことがある。加熱不足の場合には、圧延中に耳割れが生じてしまうし、また局部異常加熱の場合には、鋼板のエッジ部に熱応力による変形で耳波が生じ、耳波が大きい場合には安定圧延が困難になってしまう。このため、鋼板のエッジ部を誘導加熱で所定の温度に昇温するに際しては、ラップ長を最適な値に制御することが極めて重要となる。
このラップ長を設定値に保持する装置として、従来、例えば、図8及び図9に示す誘導加熱装置(特許文献3参照)が知られている。図8は、従来の誘導加熱装置の平面図、図9は、図8に示す誘導加熱装置の側面図である。
図8及び図9に示す誘導加熱装置101は、搬送軌道上を矢印A方向に搬送される帯状被圧延材102のエッジ部102aを加熱する加熱コイル103と、加熱コイル103を搭載したコイル台車体104と、コイル台車体104を被圧延材102の進行方向と直角の方向(図8における矢印B方向)に移動させるシリンダ(移動機構)105と、コイル台車体104に取り付けられて被圧延材102のエッジ部102aに接触するガイドローラ(接触子)107とを備え、加熱中にガイドローラ107が被圧延材102に接触するようにシリンダ105を動作させ、被圧延材102と加熱コイル103との相対位置関係を常に一定に保つようにしたものである。なお、図8及び図9中、符号106はシリンダ105に設けられたシリンダロッドである。
また、ラップ長を制御する方法として、従来、例えば、図10に示すもの(特許文献4参照)も知られている。図10は、従来の誘導加熱制御方法の説明図である。
図10に示す誘導加熱制御方法は、左右のC型のインダクタ202L,202Rの加熱コイル203L,203Rに流れる高周波電流値を検出して偏差を求め、偏差電流値と予め記憶した偏差電流値と偏差電流値を零とするに必要なインダクタ202L,202Rの台車位置補正量との関係に基づき台車位置補正値を求め、電流値の大きい側の台車位置初期設定値から台車位置補正値を減算すると共に、電流値の小さい側の台車位置初期設定値に台車位置補正値を加算して左右の台車補正位置を求め、台車204L,204Rの自動位置コントローラ205L,205R加減算した左右の台車補正位置を出力することにより、台車204L,204Rの自動位置コントローラ205L,205Rによって鋼板201のエッジ部のラップ長206L,206Rを制御し、これにより鋼板201の両エッジ部を均一にかつ目標値まで加熱するようにしている。
特開昭61−15919号公報 特開平11−290931号公報 特開昭53−70063号公報 特開平11−172325号公報
しかしながら、これら図8に示した誘導加熱装置101や図10に示した誘導加熱制御方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、これら図8に示した誘導加熱装置101や図10に示した誘導加熱制御方法では、蛇行などによって生じる鋼板(被圧延材)102,201のエッジ部の位置変化を直接的あるいは間接的に測定して、その変化量に応じてラップ長を補正するものであり、言うなればフィードバック制御を行っている。このようなフィードバック制御による方法は、鋼板のエッジ部の位置が比較的緩やかに変化する定常部では効果的であるが、鋼板の板幅が急激に変化するといった理由により鋼板のエッジ部の位置が急激に変化する場合にはその追従性に問題がある。
完全連続式冷間タンデム圧延では、通常、幅の異なる鋼板を接合し連続的に圧延を行うが、この異幅材の接合部において急激な板幅の変化が生じる。上述したフィードバック制御による方法によりこのような異幅材の接合部を加熱する場合、接合部がインダクタを通過した後にラップ長の制御を開始することになるが、台車の移動速度(一般には数十mm/sec)に比べて鋼板の搬送速度(一般には数百〜数千mm/sec以上)が速いため、制御の応答性(追従性)が十分とはいえず、接合部におけるエッジ部の温度を目標の温度に制御することは極めて困難であり、加熱不足による耳割れでの板破断が生じたり、局部異常加熱による耳波の発生によって絞り破断が発生したりする問題があった。
従って、本発明は上述の問題点をに鑑みてなされたものであり、その目的は、連続的に搬送される鋼板のエッジ部を誘導加熱装置で加熱するに際し、幅が異なる先行材と後行材の接合部においても目標温度域での加熱を安定的に行える鋼板エッジ部の誘導加熱方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法は、連続的に搬送される、幅が異なる先行材と後行材とを接合した鋼板のエッジ部を上下から挟み、上下インダクタ間を前記鋼板のエッジ部が通過する際に前記鋼板のエッジ部を加熱するC型のインダクタと、該インダクタを前記鋼板の幅方向に移動させる移動手段と、該移動手段が、前記先行材と前記後行材との接合部近傍で、前記インダクタを、前記先行材におけるラップ長が定常となる先行材定常位置から前記後行材におけるラップ長が定常となる後行材定常位置まで移動させるよう制御する制御手段とを備えた誘導加熱装置を用いた誘導加熱方法において、予め求めたラップ長と昇温量との関係に基づき、前記接合部における先行材側のラップ長と、前記接合部における後行材側のラップ長とが、前記先行材側及び前記後材側ともに安定して圧延可能なラップ長となるように、前記インダクタの前記接合部における鋼板の幅方向の位置を予め定めておき、前記接合部が前記インダクタを通過する前に、前記インダクタを前記先行材定常位置から前記予め定められた位置まで移動させ、前記接合部が前記インダクタを通過した後に、前記インダクタを前記予め定められた位置から前記後行材定常位置まで移動させるよう制御することを特徴としている。
ここで、「ラップ長」とは、鋼板のエッジ部とこのエッジ部を上下から挟むインダクタとが重なり合う長さをいう。
本発明に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法によれば、予め求めたラップ長と昇温量との関係に基づき、接合部における先行材側のラップ長と、接合部における後行材側のラップ長とが、先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なラップ長となるように、インダクタの接合部における鋼板の幅方向の位置を予め定めておき、接合部がインダクタを通過する前に、インダクタを前記先行材定常位置から前記予め定められた位置まで移動させ、接合部がインダクタを通過した後に、インダクタを前記予め定められた位置から後行材定常位置まで移動させるよう制御するので、幅が異なる先行材と後行材の接合部においても、ラップ長が先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なものに設定され、目標温度域での加熱を安定的に行うことができる。これにより、加熱不足による耳割れでの板破断が生じたり、局部異常加熱による耳波の発生によって絞り破断が発生したりする問題を回避することができる。
本発明に係る誘導加熱方法を実施する誘導加熱装置を用いた完全連続式タンデム圧延ラインの概略構成図である。 図1に示す完全連続式タンデム圧延ラインに用いられる誘導加熱装置の概略構成図である。 鋼板の幅方向エッジからの距離と昇温量比率との関係にラップ長が与える影響を示すグラフである。 本発明に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法による鋼板の幅方向エッジ位置に対する台車端部位置の制御方法を説明するためのグラフである。 本発明に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法による鋼板の幅方向エッジから5mmの位置及び25mmの位置の昇温量変動を説明するためのグラフである。 鋼板の幅方向エッジ位置を直接的あるいは間接的に測定してその変化量に応じてラップ長を補正する従来技術による鋼板の幅方向エッジ位置に対する台車端部位置の制御方法を説明するためのグラフである。 鋼板の幅方向エッジ位置を直接的あるいは間接的に測定してその変化量に応じてラップ長を補正する従来技術による鋼板の幅方向エッジから5mmの位置及び25mmの位置の昇温量変動を説明するためのグラフである。 従来の誘導加熱装置の平面図である。 図8に示す誘導加熱装置の側面図である。 従来の誘導加熱制御方法の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る誘導加熱方法を実施する誘導加熱装置を用いた完全連続式タンデム圧延ラインの概略構成図である。
図1に示す完全連続式タンデム圧延ライン1には、鋼板Sを払い出すペイオフリール2と、ペイオフリール2から先に払いだされた鋼板S(先行材)の尾端とペイオフリール2から後に払いだされた鋼板S(後行材)の先端とを溶接によって接合する溶接機3とが設けられており、溶接機3で接合された鋼板Sは連続的に圧延機6に搬送される。本実施形態においては、先行材の幅と後行材の幅とは異なっており、たとえば、先行材の幅は後行材の幅よりも広くなっている。圧延機6の入側には、ルーパ4が設置され、圧延速度の加減速が生じた場合においても鋼板Sを安定的に圧延機6に供給するようになっている。
ルーパ4の出側であって圧延機6の入側には、幅が異なる先行材と後行材とを接合した鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sb(図2参照)を加熱する誘導加熱装置5が設けられている。鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbは、誘導加熱装置5により加熱されて所定の温度にまで昇温され、鋼板Sは圧延機6に搬送される。誘導加熱装置5の詳細については、後述する。
圧延機6は、多段(本実施形態にあっては5台)の圧延スタンド6a〜6eを鋼板Sの搬送方向に連続的に設置してなり、鋼板Sを所定の板厚にまで圧延する。各圧延スタンド6a〜6eの入側及び出側には、潤滑及びロール冷却用のクーラントヘッダー7a〜7eが設置されている。各クーラントヘッダー7a〜7eは、通常、圧延油(クーラント)として2〜10%程度の濃度に調整された温度40〜60℃前後のエマルション油を鋼板S及び各圧延スタンド6a〜6eのロールに噴射する。このように冷間圧延では、潤滑及びロールの冷却のためにクーラントを使用することが必要である。このため、圧延機6の入側にて誘導加熱装置5によって鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbを加熱して昇温させてもクーラントによる冷却によって、圧延機6に噛み込まれる前に鋼板Sの温度は低下する。このため、鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbの耳割れを防止するためには、予めクーラント冷却による温度低下分を考慮し、冷却後も延性―脆性遷移温度以上の温度が確保できるように誘導加熱装置5による加熱量を制御する。
そして、圧延機6によって圧延された鋼板Sは、テンションリール8で巻き取られ、巻き取られた鋼板Sはコイルとして次工程へ送られる。
次に、誘導加熱装置5の詳細について図2を参照して説明する。図2は、図1に示す完全連続式タンデム圧延ラインに用いられる誘導加熱装置の概略構成図である。
誘導加熱装置5は、図2に示すように、鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbを上下から挟む一対のC型のインダクタ51a,51bを備えている。これらインダクタ51a,51bのインダクタ部58a,58bには、加熱コイル52a,52bが設けられ、加熱コイル52a,52bは、上下インダクタ間を鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbが通過する際にこれらエッジ部Sa,Sbを加熱するようになっている。加熱コイル52a,52bは、整合盤55を介して高周波電源56に接続され、高周波電源56には計算ユニット57が接続されている。計算ユニット57は、鋼板Sの板厚、ライン速度及び鋼種に基づいて加熱条件を設定し、その加熱条件から高周波電源56に制御出力を指示する。高周波電源56はその制御出力に基づいて整合板55を介して加熱コイル52a,52bに高周波電流を流し高周波磁束を生じさせる。この高周波磁束により鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbに誘導電流を生じさせ、誘導電流により発生するジュール熱で鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbを加熱する。
また、誘導加熱装置5には、両インダクタ51a,51bをそれぞれ鋼板Sの幅方向(図2における矢印W方向)に移動させる台車(移動手段)53a,53bが設けられている。インダクタ51a,51bは台車53a,53b上に設置され、台車53a,53bが鋼板Sの幅方向に移動することによってインダクタ51a,51bが鋼板Sの幅方向に移動するようになっている。
そして、誘導加熱装置5には、台車53a,53bの鋼板Sの幅方向への移動を制御してラップ長Lを制御する位置コントローラ(制御手段)54a,54bが設けられている。ここで、「ラップ長」とは、鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbとこのエッジ部Sa,Sbを上下から挟むインダクタ51a,51bとが重なり合う長さをいう。位置コントローラ54a,54bは、台車53a,53bが、鋼板Sの先行材と後行材との接合部近傍で、インダクタ51a,51bを、先行材におけるラップ長Lが定常となる先行材定常位置P1から後行材におけるラップ長Lが定常となる後行材定常位置P2まで移動させるよう制御するが、その制御方法の詳細については後述する。計算ユニット57は、位置コントローラ54a,54bに接続されている。計算ユニット57は、後述する予め定められた位置P3を演算するとともに、台車53a,53bの移動速度から行材定常位置P1から後行材定常位置P2まで台車53a,53bが移動するのに必要な時間を演算し、この演算された移動時間と、予め定められた位置P3と、ライン速度と、接合部のトラッキング情報とを位置コントローラ54a,54bに入力する。
図3は、鋼板Sの幅方向エッジからの距離と昇温量比率との関係にラップ長Lが与える影響を示すグラフである。即ち、図3には、インダクタ部58a,58bの板幅方向の寸法が100mmの誘導加熱装置5で、板厚が2.7mm、Si含有量が3.3質量%の珪素鋼板Sを周波数700Hzで同一電力が負荷される条件でラップ長Lを25mm、50mm、75mm、100mmと変更させて加熱した場合の、鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sb近傍の幅方向昇温量分布を示している。図3においては、ラップ長Lが100mm(インダクタ部58a,58bの幅全長に鋼板Sのエッジ部Sa,Sbが進入した状態)で加熱した場合の鋼板Sの幅方向エッジからの距離が25mmの位置での昇温量を100%基準として正規化した場合の昇温量比率が示されている。図3を参照すると、ラップ長Lが短くインダクタ51a,51bとエッジ部Sa,Sbとの重なり代が小さくなるほど、鋼板Sの幅方向エッジからのいずれの距離においても昇温量比率が小さくなることがわかる。そして、ラップ長Lが25mmの場合と75mmの場合とを比較すると、鋼板Sの幅方向エッジからの距離が25mmの位置の場合にはラップ長Lが75mmと比べてラップ長Lが25mmのときには昇温量比率が20%以上小さくなり、また、鋼板Sの幅方向エッジからの距離が5mmの位置の場合にはラップ長Lが75mmと比べてラップ長Lが25mmのときには昇温量比率が10%小さくなっている。これは、ラップ長Lが小さくなるにつれて、磁束の流れを遮る渦電流の発生が少なくなるため、力率が悪化し無効電流が増加するためである。
通常の完全連続式タンデム圧延ラインにおいて、異なる幅の先行材と後行材とを接合する場合、板幅方向片側で50mm、板幅方向両側で100mm程度の幅変更が常時実施される。この場合において、先行材と後行材との接合部では、前述したように、ラップ長Lの変化によって鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sb近傍の幅方向昇温量分布が大きく変化することになり、先行材から後行材で板幅が減少する場合には加熱不足による耳割れ破断、逆に先行材から後行材で板幅が増加する場合にはエッジ異常加熱による形状不良(耳波)により絞り破断が発生する場合がある。ここで、図8乃至図10に示したような、エッジ部の位置変化を直接的あるいは間接的に測定して、その変化量に応じてラップ長を補正するフィードバック制御では、台車の移動速度(一般には数十mm/sec)に比べて鋼板の搬送速度(一般には数百〜数千mm/sec以上)が速いため、制御の応答性(追従性)が十分とはいえず、接合部におけるエッジ部の温度を目標の温度に制御することは極めて困難である。
この問題を解決するため、本実施形態では、誘導加熱装置5における位置コントローラ54a,54bによるラップ長Lの制御は次のように行っている。
即ち、位置コントローラ54a,54bは、台車53a,53bが、鋼板Sの先行材と後行材との接合部近傍で、インダクタ51a,51bを、先行材におけるラップ長Lが定常となる先行材定常位置P1(図4参照)から後行材におけるラップ長Lが定常となる後行材定常位置P2(図4参照)まで移動させるよう制御する。この際に、計算ユニット57は、予め求めたラップ長Lと昇温量との関係に基づき、接合部における先行材側のラップ長Lと接合部における後行材側のラップ長Lとが、先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なラップ長となるように、インダクタ51a,51bの接合部における鋼板Sの幅方向の位置P3(図4参照)を予め定める。そして、位置コントローラ54a,54bは、計算ユニット57からの情報に基づいて、台車53a,53bが、接合部がインダクタ51a,51bを通過する前に、インダクタ51a,51bを先行材定常位置P1から予め定められた位置P3まで移動させ、接合部がインダクタ51a,51bを通過した後に、インダクタ51a,51bを予め定められた位置P3から後行材定常位置P2まで移動させるよう制御する。
この制御方法につき、具体的に図4及び図5を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る鋼板の幅方向エッジ位置(板端位置)に対する台車端部位置(台車位置)の制御方法を説明するためのグラフである。図5は、本実施形態に係る鋼板の幅方向エッジから5mmの位置及び25mmの位置の昇温量変動を説明するためのグラフである。図4及び図5においては、時間0secが接合部に対応し、板端位置、台車位置は鋼板Sの幅方向中央(ラインセンター)からの距離と台車位置との差がラップ長Lを示している。また、図5においては、昇温量変動につき定常状態を100%基準として正規化して示してある。
先ず、図4においては、先行材の板幅が1200mm(片側600mm)で後行材の板幅が1100mm(片側550mm)であり、先行材におけるラップ長Lは板端位置が600mmで台車位置が525mm(先行材定常位置P1)であることから75mmとなっておりこのラップ長Lを75mmを定常状態として誘導加熱装置5は鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbを加熱している。
そして、先行材の板幅が1200mm(片側600mm)から後行材の板幅が1100mm(片側550mm)の板幅減少に伴い台車53a,53bの幅端位置(台車位置)を変化させる。この際に、位置コントローラ54a,54bは、計算ユニット57からの情報に基づいて、接合部がインダクタ51a,51bを通過する前に、台車53a,53b(インダクタ51a,51b)を台車位置525mm(先行材定常位置P1)から台車位置500mm(予め定められた位置P3)まで移動させる。この台車位置500mm(予め定められた位置P3)は、予め求めたラップ長Lとこのラップ長Lに対する昇温量との関係に基づき、接合部における先行材側のラップ長Lと接合部における後行材側のラップ長Lとが、先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なラップ長となるように予め定められた位置である。台車位置500mm(予め定められた位置P3)は、計算ユニット57によって演算されて位置コントローラ54a,54bに入力される。これにより、接合部におけるラップ長Lは、後行材の板幅が片側550mmであり台車位置が500mmであるから50mmとなる。
ここで、位置コントローラ54a,54bが台車53a,53bの移動を開始する移動開始点は、位置コントローラ54a,54bに計算ユニット57から入力された、台車53a,53bの移動速度から行材定常位置P1から後行材定常位置P2まで台車53a,53bが移動するのに必要な時間を演算し、この演算された移動時間と、ライン速度と、接合部のトラッキング情報とから位置コントローラ54a,54bが決定する。通常は、トラッキング誤差などを考慮し、若干早めのタイミングから台車53a,53bの移動を開始させる。
そして、接合部におけるラップ長Lは、後行材の板幅が片側550mmであり台車位置が500mm(予め定められた位置P3)であるから50mmに保持される。
その後、位置コントローラ54a,54bは、計算ユニット57からの情報に基づいて、接合部がインダクタ51a,51bを通過した後に、台車53a,53b(インダクタ51a,51b)を台車位置500mm(予め定められた位置P3)から台車位置475mm(後行材定常位置P2)まで移動させる。これにより、後行材におけるラップ長Lは、後行材の板幅が片側550mmであり台車位置が475mmであるから75mmとなる。そして、このラップ長Lを75mmを定常状態として誘導加熱装置5は鋼板Sの幅方向両エッジ部Sa,Sbを加熱する。
図5には、本実施形態に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法による鋼板の幅方向エッジから5mmの位置及び25mmの位置の昇温量変動が示されている。図5を参照すると、先行材についての昇温量変動は、鋼板の幅方向エッジから5mmの位置ではほとんどなく、幅方向エッジから25mmの位置でも接合部がインダクタ51a,51bを通過する直前で約7%上昇しているだけで安定域(昇温量変動が±10%)内であることがわかる。また、後行材についての昇温量変動は、鋼板の幅方向エッジから5mmの位置ではほとんどなく、幅方向エッジから25mmの位置でも接合部がインダクタ51a,51bを通過した直後で約10%低下しているだけで安定域内であることがわかる。
以上のように、本実施形態に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法にあっては、予め求めたラップ長Lと昇温量との関係に基づき、接合部における先行材側のラップ長Lと、接合部における後行材側のラップ長Lとが、先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なラップ長となるように、インダクタ51a,51bの接合部における鋼板Sの幅方向の位置P3を予め定めておき、接合部がインダクタ51a,51bを通過する前に、インダクタ51a,51bを先行材定常位置P1から予め定められた位置P3まで移動させ、接合部がインダクタ51a,51bを通過した後に、インダクタ51a,51bを予め定められた位置P3から後行材定常位置P2まで移動させるよう制御する。これにより、幅が異なる先行材と後行材の接合部においても、ラップ長Lが先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なものに設定され、目標温度域での加熱を安定的に行うことができる。これにより、加熱不足による耳割れでの板破断が生じたり、局部異常加熱による耳波の発生によって絞り破断が発生したりする問題を回避することができる。
一方、図6は、鋼板の幅方向エッジ位置を直接的あるいは間接的に測定してその変化量に応じてラップ長を補正する従来技術による鋼板の幅方向エッジ位置に対する台車端部位置の制御方法を説明するためのグラフである。図7は、鋼板の幅方向エッジ位置を直接的あるいは間接的に測定してその変化量に応じてラップ長を補正する従来技術による鋼板の幅方向エッジから5mmの位置及び25mmの位置の昇温量変動を説明するためのグラフである。
この従来技術においては、鋼板の幅方向エッジ位置を直接的あるいは間接的に測定してその変化量に応じてラップ長を補正するようにしているため、図6に示すように、先行材では接合部まで台車位置は525mm(先行材定常位置P1)、ラップ長Lは75mmで変化せず、定常状態での加熱が可能である。しかし、接合部がインダクタ51a,51bを通過した途端、板幅が先行材1200mm(片側600mm)から後行材1100mm(片側550mm)に急激に減少することになるが、台車位置はすぐに変化しないため、後行材の先端部(接合部がインダクタ51a,51bを通過した直後)はラップ長Lが25mmと極めて小さくなる。この際に、図7に示すように、後行材の先端部についての昇温量変動は、鋼板の幅方向エッジから5mmの位置で約6%低下し、幅方向エッジから25mmの位置で20%以上低下する。この幅方向エッジから25mmの位置での昇温量の20%以上の低下は安定域を超え、このような非定常部では圧延破断の発生率が高くなり、安定圧延を行う上で問題となる。
図1に示す完全連続式タンデム圧延ラインにおいて、Si含有量3.0%以上の珪素鋼板の行うに際し、圧延機の入側に設置された誘導加熱装置による誘導加熱方法を変えて圧延実験を行った。1つは実施例で図4に示した本発明による幅方向エッジ位置に対する台車端部位置の制御方法で誘導加熱を行い、もう1つは比較例で図6に示した幅方向エッジ位置に対する台車端部位置の制御方法で誘導加熱を行った。それぞれの方法で200本のコイルの圧延を行い、圧延時の破断発生率を調査した。その結果を表1に示す。
Figure 0005391762
表1を参照すると、圧延時の破断発生率が比較例では3.0%であるのに対して実施例では0.5%と、実施例の圧延時の破断発生率が比較例のそれに対して1/6に大きく低減していることがわかる。
このように、本発明に係る鋼板エッジ部の誘導加熱方法及び誘導加熱装置によれば、幅が異なる先行材と後行材の接合部においても、ラップ長が先行材側及び後材側ともに安定して圧延可能なものに設定され、目標温度域での加熱を安定的に行うことができる。これにより、加熱不足による耳割れでの板破断が生じたり、局部異常加熱による耳波の発生によって絞り破断が発生したりする問題を回避することができる。
1 完全連続式タンデム圧延ライン
2 ペイオフリール
3 溶接機
4 ルーパ
5 誘導加熱装置
6 圧延機
6a〜6e 圧延スタンド
7a〜7e クーラントヘッダー
8 テンションリール
51a,51b インダクタ
52a,52b 加熱コイル
53a,53b 台車
54a,54b 位置コントローラ(制御手段)
55 整合盤
56 高周波電源
57 計算ユニット
58a,58b インダクタ部
101 誘導加熱装置
102 帯状被圧延材
102a エッジ部
103 加熱コイル
104 コイル台車体
105 シリンダ
106 シリンダロッド
107 ガイドローラ
202L,202R インダクタ
203L,203R 加熱コイル
204L,204R 台車
205L,205R 自動位置コントローラ
206L,206R ラップ長
S 鋼板
Sa,Sb エッジ部
L ラップ長

Claims (1)

  1. 連続的に搬送される、幅が異なる先行材と後行材とを接合した鋼板のエッジ部を上下から挟み、上下インダクタ間を前記鋼板のエッジ部が通過する際に前記鋼板のエッジ部を加熱するC型のインダクタと、該インダクタを前記鋼板の幅方向に移動させる移動手段と、該移動手段が、前記先行材と前記後行材との接合部近傍で、前記インダクタを、前記先行材におけるラップ長が定常となる先行材定常位置から前記後行材におけるラップ長が定常となる後行材定常位置まで移動させるよう制御する制御手段とを備えた誘導加熱装置を用いた誘導加熱方法において、
    予め求めたラップ長と昇温量との関係に基づき、前記接合部における先行材側のラップ長と、前記接合部における後行材側のラップ長とが、前記先行材側及び前記後材側ともに安定して圧延可能なラップ長となるように、前記インダクタの前記接合部における鋼板の幅方向の位置を予め定めておき、
    前記接合部が前記インダクタを通過する前に、前記インダクタを前記先行材定常位置から前記予め定められた位置まで移動させ、前記接合部が前記インダクタを通過した後に、前記インダクタを前記予め定められた位置から前記後行材定常位置まで移動させるよう制御することを特徴とする鋼板エッジ部の誘導加熱方法。
    ここで、ラップ長とは、鋼板のエッジ部とこのエッジ部を上下から挟む上下インダクタとが重なり合う長さをいう。
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