はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=0、1、2、3・・・)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
手段0.第1挿入孔を有する第1部材と、第2挿入孔及び、前記第1挿入孔と前記第2挿入孔とが連通する内部空間を形成する収容部を有し、前記第1部材に対して予め設定された結合位置に配置された場合に、前記第2挿入孔が前記第1挿入孔に対応して配置される第2部材と、該第2部材が前記結合位置に配置された状態で、前記第1挿入孔内、前記第2挿入孔内及び前記収容部の内部空間に亘って延在した状態で係止される係止手段と、を有し、前記係止手段には、前記第2部材と係止される連結手段が設けられ、前記連結手段による前記第2部材との係止は、破壊することによってのみ解除できる構成とされ、前記第2部材の収容部は、前記内部空間内の前記係止手段の少なくとも一部の存在を外部から視認可能な構成とされ、前記第2部材の収容部及び前記係止手段は、前記第1部材と前記第2部材との結合が解除された場合に、前記係止手段の少なくとも一部が前記収容部内に残り、且つ前記係止手段の少なくとも一部を取り除くためには痕跡が残る構成とされ、前記連結手段の一端は、前記収容部内から離脱不能に収容されたことを特徴とする遊技機。
手段1.第1挿入孔303を有する第1部材271と、第2挿入孔343及び第2挿入孔343が連通する内部空間を形成する収容部Rを有し、第1部材271に対して予め設定された結合位置に配置された場合に、第2挿入孔343が第1挿入孔303に対応して配置される第2部材272と、第2部材272が結合位置に配置された状態で、第1挿入孔303内、第2挿入孔343内及び収容部Rの内部空間に亘って延在した状態で係止される係止手段351と、を有し、第2部材272の収容部Rは、内部空間内の係止部材351の少なくとも一部の存在を外部から視認可能な構成とされ、第2部材272の収容部R及び係止手段351は、第1部材271と第2部材272との結合が解除された場合に、係止手段351の少なくとも一部が収容部R内に残り、且つ係止手段351の少なくとも一部を取り除くためには痕跡が残る構成とされたことを特徴とする遊技機。
手段1に記載の発明によると、第1部材271に対して第2部材272を予め設定された結合位置に配置し、第2挿入孔343の入口側を第1挿入孔303に対向させて第1挿入孔303と第2挿入孔343を配置し、係止手段351を第1挿入孔303側から挿入して、第1挿入孔303内と第2挿入孔343内に亘って延在した状態で係止させ、第1部材271と第2部材272とを互いに結合することができる。
そして、係止手段351の係止を解除して、係止手段351を第1挿入孔303と第2挿入孔343を通過させて収容部Rの室内空間内に移動させた場合に、係止手段351の少なくとも一部が収容部R内に収容され、第1部材271と第2部材272との結合を解除することができる。
第1部材271と第2部材272との結合解除によって、収容部Rには、係止手段351の少なくとも一部の存在を外部から視認可能で且つ外部に容易に取り出すことが困難な状態で係止手段351の少なくとも一部が収容される。従って、第1部材271と第2部材272との結合が解除された痕跡を第2部材272に明確に残すことができ、第1部材271との結合が解除された第2部材272を用いて、結合解除の痕跡が存在しない結合構造が作られるのを防ぐことができる。
手段2.手段1に記載の遊技機1において、係止手段351は、第1挿入孔303内、第2挿入孔343内及び内部空間Rに亘って延在して係止された状態から、その一部が分離される分離部352bを有することを特徴とする。
手段2に記載の発明は、係止手段351の係止を解除する具体的な構成を示したものであり、これによれば、例えば係止手段351を係止状態から挿入方向に付勢して分離部352bを分離し、係止手段351の係止を解除することができる。そして、係止手段351を挿入方向に移動させて第1部材271と第2部材272との結合を解除し、係止手段351の少なくとも一部を収容部R内に収容させることができる。従って、係止手段351の係止を解除して第1部材271と第2部材272との結合を解除し、係止手段351の少なくとも一部を第2部材272の収容部R内に収容させる一連の作業を簡単に行うことができる。
手段3。手段1又は2に記載の遊技機1において、第2挿入孔343は、係止手段351の少なくとも一部を第1挿入孔303と第2挿入孔343を通過させて収容部R内に移動させた場合に、係止手段351の少なくとも一部が第2挿入孔343から収容部R内の床面に落下する高さ位置に形成されていることを特徴とする。
手段3に記載の発明によると、係止手段351を第1挿入孔303と第2挿入孔343を通過させて、収容部R内に移動させた場合に、収容部R内で第2挿入孔343から係止手段351の少なくとも一部が収容部Rの床面に落下し、係止手段351の少なくとも一部を第2挿入孔343の高さ位置よりも低い位置に配置することができる。従って、収容部R内における係止手段351の少なくとも一部の姿勢状態を不正に操作して、第2挿入孔343と第1挿入孔303を通して収容部R内から係止手段351の少なくとも一部が取り出されるのを防ぐことができる。
手段4.手段1〜3のいずれか1に記載の遊技機1において、係止手段351は、第1挿入孔303側から第1挿入孔303と第2挿入孔343に挿入した場合に第1部材271と第2部材272とを結合し、かかる結合状態から挿入方向に押し移動させた場合に第1挿入孔303と第2挿入孔343内を通過して収容部R内に収容され第1部材271と第2部材272との結合を解除する第1結合ピン352と、第1結合ピン352による第1部材271と第2部材272との結合を解除した後に、第1挿入孔303側から第1挿入孔303と第2挿入孔343に挿入した場合に第1部材271と第2部材272とを結合する第2結合ピン353とを有することを特徴とする。
手段4に記載の発明によると、係止手段351が第1結合ピン352と第2結合ピン353という複数の結合ピンを有するので、第1結合ピン352による第1部材271と第2部材272との結合を解除した後に、第2結合ピン353によって第1部材271と第2部材272とを結合することができる。従って、第1結合ピン352による第1部材271と第2部材272との結合が解除された場合に、解除状態が維持されるのを防ぐことができ、第2結合ピン353によって再び結合状態とすることができる。
手段5.手段1〜4のいずれか1に記載の遊技機1において、係止手段351と第2部材272との間を連結し、破壊によってのみ連結解除できる連結手段354を有することを特徴とする。
手段5に記載の発明によると、連結手段354によって、係止手段351と第2部材272との間が連結されているので、係止手段351の係止を解除して第1部材と第2部材との結合を解除する場合に、連結手段354を破壊して切り離す必要があり、連結手段354を切断した痕跡が係止手段354又は第2部材272に必ず残される。
従って、係止手段351によって結合された第2部材272から、連結手段354を切り離した痕跡が存在しない第2部材272を用意することはできない。
例えば、連結手段354によって係止手段351と第2部材272とが連結されている場合には、係止手段351の係止を解除して第1部材271と第2部材272との結合を解除することによって、第2部材272には、連結手段354を切り離した痕跡が残され、更に係止手段351の少なくとも一部が収容部R内に収容された状態とされ、第2部材272にのみ結合解除の痕跡を残すことができる。
従って、係止手段351による結合が解除された第2部材272を使用して結合解除の痕跡が存在しない不正な結合構造が作られるのを防ぐことができる。また、第1部材271には、結合解除の痕跡が残らないので、適切に再利用することができる。従って、不正行為を防止しつつ資源の有効活用を図ることができる。
手段6.手段5に記載の遊技機1において、連結手段354は、一端が第2部材272の収容部R内に接続されていることを特徴とする。
手段6に記載の発明によると、連結手段354の他端が第2部材272の収容部R内に接続されているので、その接続部分を覆って外部から隔離することができる。従って、かかる接続部分で切断や溶断されて、連結手段354が取り外されるのを防ぐことができる。従って、係止手段351による結合が解除された第2部材272を使用して連結部材354に取り外しの痕跡が存在しない不正な結合構造が作られるのを防ぐことができる。
手段7に記載の発明は、手段4に記載の遊技機1において、連結手段354は、第1結合ピン352と第2結合ピン353を直列に連結する第1連結部354aと、第2結合ピン353と第2部材272とを連結する第2連結部354bを有することを特徴とする。
手段7に記載の発明によると、第1結合ピン352と第2結合ピン353が第1連結部354aによって直列に連結されているので、第1結合ピン352による結合が解除された場合に、第1結合ピン352が切り離された痕跡を連結手段354に残すことができる。従って、係止手段351による結合が解除された第2部材272を使用して結合解除の痕跡が存在しない不正な結合構造が作られるのを防ぐことができる。
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放又は閉鎖することができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図3に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータに連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。これら各リール42L,42M,42Rは同様の構成をしているため、ここでは左リール42Lを例に挙げて図6に基づいて説明する。なお、図6は左リール42Lの組立斜視図である。
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51が形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を表示窓31Lから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
ここで、各リール42L,42M,42Rに付される図柄について説明する。図7には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。各リール42L,42M,42Rに対応して番号が1〜21まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7」図柄(例えば、左ベルト第20番目)と「青年」図柄(例えば、左ベルト19番目)とがある。また、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「BAR」図柄(例えば、左ベルト第14番目)がある。また、リプレイゲームに移行するための第3特別図柄としての「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト第11番目)がある。また、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」図柄(例えば、左ベルト第9番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト第8番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト第4番目)がある。そして、図7に示すように、各リール42L,42M,42Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、主表示部を構成する。但し、可変表示手段はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
ここで、入賞となった場合の各図柄に関する払出枚数について説明する。小役図柄に関し、「スイカ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、「ベル」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には8枚のメダル払出、左リール42Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダル払出が行われる。即ち、中リール42M及び右リール42Rの「チェリー」図柄はメダル払出と無関係である。また、「チェリー」図柄に限っては、他の図柄との組合せとは無関係にメダル払出が行われるため、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払出が行われる。
また、その他の図柄に関しては、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7」図柄又は「青年」図柄が同一図柄にて有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「BAR」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダル払出が行われる。なお、本実施形態においては、例えば「7」図柄と「チェリー」図柄とが同時に成立する場合が生じ得るが、かかる場合におけるメダル払出は15枚である。これは、1回のメダル払出における上限枚数が15枚に設定されているためである。
更に、第3特別図柄の組合せである「リプレイ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われない。その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合には、一切メダル払出は行われない。
遊技パネル30の下方左側には、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー52が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー71の右側には、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、各リール42L,42M,42Rが定速回転となると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、投資価値を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ84によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。すなわち、セレクタ84にはメダル通路切替ソレノイド83が設けられ、そのメダル通路切替ソレノイド83の非励磁時には排出用通路82側とされ、励磁時には貯留用通路81側に切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返還される。
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ84内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ84が機械的に連動して動作され、当該セレクタ84内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダルが存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
スタートレバー71の左側には、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ84により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯蓄されると共に残数表示部35に貯蓄枚数が表示される。この貯留枚数には上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
メダル受け皿18の上方には、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
リールユニット41の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。
主制御装置131は台座装置210を介して筐体11の背板11cに取り付けられるようになっており、以下にはこれら主制御装置131と台座装置210とにより構成される主基板ユニット200について説明する。図8は(a)が主基板ユニット200の平面図、(b)が(a)の下方から見た側面図、図9は同主基板ユニット200を表側から見た斜視図、図10は同主基板ユニット200を裏側から見た斜視図、図11は同主基板ユニット200の分解斜視図である。まずは、これら図8〜図11を用いて主基板ユニット200の概要について説明する。なお以下の主基板ユニット200の説明では、特に指定しない限り図8の状態を基準に左右方向を記述する。
主基板ユニット200において、台座装置210は、筐体11の背板11c内側に固定される固定ベース板211と、この固定ベース板211に回動可能に支持される可動ベース板212とを有している。また、主制御装置131は、表裏一対のケース体271,272を有し、それら各ケース体271,272間に挟まれるようにして主基板273が収容されている。固定ベース板211、可動ベース板212及び各ケース体271,272は何れも、主基板273に合わせるようにして略横長四角状をなし、ポリカーボネート樹脂等の透明な合成樹脂材料により成形されている。なお以下の説明では、表側のケース体271を表ケース体(第1部材)、裏側のケース体272を裏ケース体(第2部材)とも言う。表ケース体271及び裏ケース体272により基板ボックスが構成されている。そして、筐体11の背板11cに台座装置210を組み付け、更に台座装置210の可動ベース板212上に主制御装置131を装着することで、主基板ユニット200が筐体11に取り付けられるようになっている。
台座装置210の構成について図12を用いて詳述する。図12は、台座装置210を構成する固定ベース板211と可動ベース板212とを拡大して示す分解斜視図である。
固定ベース板211において、底板部213には、左端部及び右端部に起立部214,215がそれぞれ形成されている。そのうち左端部側の起立部214には軸支部216が2カ所に設けられ、各軸支部216には上下方向に貫通する軸孔216aが設けられている。各軸支部216の軸孔216aには例えば鋼鉄製の支柱ピン217が組み付けられる構成となっている。右端部側の起立部215には上下2カ所に係止爪部218が設けられている。
底板部213には縦横に交差するようにして複数のリブ221が形成されており、その複数のリブ221のうち中央部で左右方向に延びるリブ221上には左右両側に離れた2カ所に底孔部222a,222bが形成されている。固定ベース板211を筐体11の背板11cに取り付ける際には、底孔部222a,222bにネジ223が装着されてこのネジ223が筐体11の背板11cにねじ込まれる。更に、底孔部222a,222bには、ネジ223の頭部を覆い隠すようにしてキャップ体224が組み込まれるようになっている。図15に示すように、キャップ体224には、その軸方向に延びる突起部224aと、弾性変形可能な係止爪部224bとが2カ所ずつ形成されている。
底板部213の裏面側には、その中央部に、筐体11の背板11c外側から固定ベース板211を固定するための固定金具225が取り付けられている。固定金具225の取り付け状態は図10を併せ参照されたい。固定金具225は、略四角板状をなしており、左右2カ所で小ネジ226により底板部213に取り付けられる構成となっている。また、固定金具225の中心部にはネジ孔227が形成されている。固定金具225の四隅には、底板部213側に設けられた小突起(図示略)と係合状態となる位置決め孔228が設けられている。また、図10に示すように、底板部213の裏面には、筐体11の背板11cに対する位置決めのための突起部229が複数箇所(本実施の形態では2カ所)に設けられている。
ここで、図17(図8のA−A線端面図)には、筐体11の背板11cに対する固定ベース板211の取付構造を示す。図17に示すように、底板部213の裏面に設けられた突起部229は、筐体11の背板11cに設けられた位置決め孔部231に挿入され、これにより筐体11の背板11cに対して固定ベース板211が位置決めされる。そして、固定ベース板211の表側(すなわち背板11cの内側)から底孔部222a,222bにネジ223が螺着されることで、固定ベース板211が背板11cに固定される。ネジ223の螺着後、底孔部222a,222bにキャップ体224が組み込まれる。このとき、キャップ体224は底板部213の上面から突出することなく、底孔部222a,222b内に没入した状態で保持される。キャップ体224が底孔部222a,222bに組み込まれた状態では、当該キャップ体224の係止爪部224bが底板部213側と係止状態となり、キャップ体224の抜け落ちが防止されるようになっている。これにより、ネジ223を緩めることが困難なものとなっている。
また、筐体11の背板11cには挿通孔232が形成されており、その挿通孔232には背板11c外側からネジ233が挿入され、そのネジ先端部が、固定ベース板211裏側の固定金具225に設けたネジ孔227にねじ込まれる。これにより、仮に背板11c内側から前記ネジ223を取り外すことができたとしても、背板11c外側からもネジ233を取り外さない限りは固定ベース板211を取り外すことができないようになっている。要するに本実施の形態では、固定ベース板211の表側に螺着されたネジ223にキャップ体224を組み込むことで固定ベース板211の取り外しを困難にしているだけでなく、背板11c外側から固定ベース板211をネジ固定することで固定ベース板211の取り外しをより一層困難なものとしている。
一方、可動ベース板212において、底板部241の長辺部(図の上下両端部)には側板部242,243が形成され、短辺部の一側(図の左側)には前記側板部242,243と連なるようにして段差部244が形成されている。これら側板部242,243及び段差部244は主制御装置131に合わせた高さを有する。側板部242,243の先端部には内側に折り曲げ形成された返し部242a,243aが複数箇所(本実施の形態では各6カ所)に設けられている。底板部241の右端部は、主制御装置131をスライド装着するための基板装着口245となっている。この場合、主制御装置131を基板装着口245から装着し、段差部244に当たるまでスライドさせることで、主制御装置131が可動ベース板212上の所定位置に装着されるようになっている。
段差部244には、主制御装置131のスライド方向に開口する開口部246と、その上面部(底板部241に対しての上面部分)に形成された係止孔部247と、係止孔部247を挟むようにして形成された一対の貫通孔248とが設けられている。係止孔部247と貫通孔248とが設けられた段差部244の上面部は、後述する封印シールSの貼付面となっており、その貼付面を囲むようにして囲い枠331が形成されている。
また、可動ベース板212の左端部には回動軸部249が設けられ、その回動軸部249には軸孔249aが形成されている。かかる構成において、前記固定ベース板211の軸支部216と可動ベース板212の回動軸部249とが位置合わせされ、その状態で軸支部216及び回動軸部249の軸孔216a,249aに支柱ピン217が挿通される。これにより、固定ベース板211に対して可動ベース板212が回動可能に支持される。
軸支部216の軸孔216aの孔径(設計寸法)は支柱ピン217の外径よりも僅かに小さく、回動軸部249の軸孔249aの孔径は支柱ピン217の外径よりも僅かに大きくなっており、支柱ピン217を挿通させる際にはこの支柱ピン217が軸支部216の軸孔216aに圧入される。このとき、支柱ピン217の頭部は軸支部216と面一の状態、又は軸孔216a内に没入した状態となり、支柱ピン217の抜き外しが不可能となっている。それ故、可動ベース板212は固定ベース板211に対して回動可能であるが、分離(連結解除)は不可能となっている。但し上記構成とは逆に、回動軸部249の軸孔249aの孔径(設計寸法)を支柱ピン217の外径よりも僅かに小さくして、支柱ピン217を回動軸部249の軸孔249aに圧入する構成であってもよい。回動軸部の構成としては要は、可動ベース板212が固定ベース板211に対して回動可能で、且つ分離不可能(連結解除不可能)となるよう構成すればよい。
底板部241上には、第1封印部を構成する複数(本実施の形態では4個)の封印結合部251が縦一列に並ぶようにして立設されている。封印結合部251は、その底部が底板部241にて塞がれた筒体状をなしており、図の手前側にのみ開口している。この封印結合部251を含む第1封印部の構成については後述する。
次に、主制御装置131の構成について詳述する。図13は、主制御装置131を構成する各ケース体271,272と主基板273とを拡大して示す分解斜視図である。
主基板273上には、図示しない配線パターンが施されるとともに、CPUやROM等のICチップ274を含む各種電子部品、入出力コネクタ275、検査用コネクタ276等が実装されている。特に、ICチップ274は、基板面に対してチップが立った状態で実装される、いわゆるZIP(Zigzag In-line Package)タイプ構造又はSIP(Single In-line Package)構造等の縦型素子が採用されており、チップ側面には製造メーカ、品番といった識別情報や固有情報等が印刷されている。主基板273は、隅角部に複数設けた小孔を通じてネジ277により表ケース体271に固定されるようになっている。
表ケース体271は、主基板273上の比較的背の高い電子部品等を収容可能とする主基板収容部を有しており、周縁部には一段低い段部281が形成されている。段部281には、主基板273上の入出力コネクタ275を挿通させるための複数のコネクタ挿通孔282が形成されている。なお、符号283は、主基板273上の検査用コネクタ276に通ずる開口部である。図示は省略するが、表ケース体271の天井部分等には多数の通気孔が形成されている。
また、表ケース体271の長辺部において上下各縁部には、表ケース体271の側壁に沿って直線状に延びる突条部285が設けられ、その突条部285の内側には複数の長孔286が所定間隔で一列に並ぶようにして設けられている。
表ケース体271の左端部(主基板収容部よりも左側)には縦長四角状の切欠角孔部290が設けられており、その切欠角孔部290には、第1封印部を構成する複数(本実施の形態では4個)の封印結合部291が縦一列に並ぶようにして設けられている。その周辺構成を図14に拡大して示す。封印結合部291は筒体状をなし、左右両側の連結部292にて表ケース体271に連結されている。連結部292を切断することにより、封印結合部291を表ケース体271から切除できるようになっている。
かかる場合、第1封印部を構成する封印結合部291は、表ケース体271に形成された切欠角孔部290に設けられているため、基板ボックスの側方に張り出すように封印部が設けられる従来一般的な構成とは異なり、封印結合部291が側方にはみ出て邪魔になる等の不都合は生じない。また、封印結合部291が側方にはみ出ていないため、主制御装置131を単体で取り扱う場合等において、封印結合部291をぶつけて破損させてしまう等のおそれも生じない。
表ケース体271の左端部は、主制御装置131を前記可動ベース板212にスライド装着する際の先頭部となっており、当該先端部には係止爪部295が設けられると共に、係止爪部295を挟むようにして一対のネジ孔部296が設けられている。主制御装置131を前記可動ベース板212に装着する際、係止爪部295が前記可動ベース板212に設けた係止孔部247に係止される。また、ネジ孔部296と前記可動ベース板212に設けた貫通孔248との位置が合い、その状態で貫通孔248及びネジ孔部296に小ネジ297が螺入されるようになっている。
表ケース体271の切欠角孔部290の左側には、封印シールSの貼付面を区画形成する囲い枠332が形成されている。主制御装置131を前記可動ベース板212に装着した際には、表ケース体271の囲い枠332と、前記可動ベース板212に形成した囲い枠331とが一体となり、全体として長方形枠状の囲い枠が形成されるようになっている。
図13の説明に戻り、表ケース体271の右端部には、第2封印部を構成する封印結合部301が設けられている。封印結合部301は表ケース体271の右端部から側方に突出し、後部が開放された矩形の箱体302を有する。箱体302は、表ケース体271と同一の材料であるポリカーボネート樹脂等の透明な合成樹脂材料によって構成されており、表ケース体271と一体に形成されている。
箱体302の前面部には、挿入孔(第1挿入孔)303が前後に貫通して形成されている。そして、箱体302の側面部には、後端から前方に向かって切り欠かれた切欠部304が形成されている。挿入孔303と切欠部304は、それぞれ箱体302の高さ方向略中央位置に位置するように形成されている。
一方、裏ケース体272において、底板部311を挟んで図の上下両側部には、基板高さ方向に起立し先端部がL字状に形成された複数の引掛け部312が所定間隔で設けられている。引掛け部312は、前記表ケース体271の長孔286と同じ間隔で設けられており、表ケース体271の長孔286と裏ケース体272の引掛け部312とにより両ケース体271,272の組付が行われるようになっている。
図18(図8のB−B線端面図)には、表ケース体271と裏ケース体272との組付構造を示す。図18に示すように、裏ケース体272の引掛け部312は表ケース体271の長孔286に挿通され、その状態で引掛け部312が表ケース体271側の長孔286に形成された係止部286aに係止される。これにより、裏ケース体272に対して表ケース体271が浮き上がることなく保持される。因みに、図18は主制御装置131が台座装置210に組み付けられ、裏ケース体272に対して表ケース体271を横方向にスライドさせることが不可能な状態を図示しているが、台座装置210に組み付けていない状態を仮定すると、表ケース体271を一旦図18の右方向にスライドさせ、その後上方に持ち上げることで裏ケース体272に対して表ケース体271を分離させることができる(図18中の矢印Pに沿って表ケース体271を移動させる)。
可動ベース板212において、図18の左端部には返し部212aが設けられており、この返し部212aは固定ベース板211の軸支部216の下方(実際には図12に示す孔部216b)に入り込む構成となっている。従って、支柱ピン217が途中で切断されたり、同支柱ピン217が引き抜かれたりしても、それだけでは固定ベース板211に対して可動ベース板212が浮き上がらないようになっている。
再び図13の説明に戻り、裏ケース体272の左端部には、底板部311よりも左方に延出するようにして上下一対の延出部314a,314bが設けられている。延出部314a,314bは上下に分離して設けられており、両延出部314a,314b間のスペースは、前記可動ベース板212に設けた複数の封印結合部251との干渉を避けるための空きスペースとなっている。
また、裏ケース体272の右端部には、第2封印部を構成する封印結合部317が設けられており、更に、第2封印部を封印状態とするための係止部材351が設けられている。封印結合部317は、蓋体318と、箱体341とからなる。蓋体318は、裏ケース体272の右端部から突出して底板部311と略面一に延在する平板形状を有しており、裏ケース体272と同一の材料であるポリカーボネート樹脂等の透明な合成樹脂材料によって裏ケース体272と一体に形成されている。
蓋体318の前面には、凹部318aが凹設されており、その凹部318aの周りを囲むようにフランジ枠319が突設されている。フランジ枠319は、蓋体318の外端縁に沿って周状に連続して、蓋体318の前面から前方に向かって突出している。蓋体318は、表ケース体271を裏ケース体272に対して予め設定された結合位置に配置して表ケース体271と裏ケース体272を組み合わせた場合に、封印結合部301の箱体302の後部を閉塞する。
箱体341は、表ケース体271と同一である透明な合成樹脂材料によって構成されており、後部が開放された矩形の箱形状をなし、蓋体318の前面に溶着又は接着されて裏ケース体272に一体に固定され、蓋体318によって箱体341の後部が閉塞され、蓋体318との協働により、閉塞された室内空間を有する収容部Rを形成する。
箱体341は、表ケース体271と裏ケース体272を組み合わせた場合に、封印結合部301の箱体302の内方に収容され、箱体302によって外側が完全に覆われる。箱体341の前面には、挿入孔(第2挿入孔)343が前後に貫通して形成されている。挿入孔343は、表ケース体271と裏ケース体272を組み合わせた場合に、挿入孔343の入口側が封印結合部301の挿入孔303と対向して同軸上に配置される位置に形成されている。そして、挿入孔343の出口側が収容部Rに連通するようになっている。
箱体341の側面部には、後端から前方に向かって切り欠かれた切欠部344が形成されている。切欠部344も同様に、箱体341が蓋体318に固着された状態で、表ケース体271と裏ケース体272を組み合わせた場合に、切欠部334が封印結合部301の切欠部304と対向して同軸上に配置される位置に形成されている。
箱体341と蓋体318との協働によって内方に形成される収容部Rは、係止部材351の後述する第1結合ピン352を収容し、収容部R内で第1結合ピン352が自由に移動可能な大きさの室内空間を有する。
係止部材351は、表ケース体271に設けられた封印結合部301と裏ケース体272に設けられた封印結合部317とを結合して、表ケース体271と裏ケース体272とを互いに結合し、また、封印結合部301と封印結合部317の結合を解除して、表ケース体271と裏ケース体272との結合を解除可能な構成を有する。
係止手段である係止部材351は、図21に示すように、第1結合ピン352、第2結合ピン353、連結手段354を有し、可撓性を有する合成樹脂製材料によって一体に形成されている。第1結合ピン352は、表ケース体271と裏ケース体272を組み合わせた状態で、挿入孔303側から挿入した場合に挿入孔303内と挿入孔343内に亘って延在した状態で係止され、表ケース体271と裏ケース体272との相対的な横方向へのスライドを規制して表ケース体271と裏ケース体272との分離を阻止し、表ケース体271と裏ケース体272を互いに封印結合できるように構成されている。
第1結合ピン352は、挿入孔303、343に挿入可能な外径を有する軸部352aと、軸部352aの基端に切り離し可能に設けられ、挿入孔303、343よりも大径の鍔部(分離部)352bと、軸部352aの先端に対をなして設けられ軸方向に沿って平行に延在し、先端側を互いに接近する方向に弾性変形可能な一対の腕部352cと、各腕部352cの先端にそれぞれ設けられ、各腕部352cから互いに離反する方向に突出して段差面が鍔部352と対向し、基端側から先端側に向かって移行するに従って漸次互いに接近する方向に傾斜する傾斜面が形成された爪部352dを有する。
第1結合ピン352は、一対の腕部352cの先端を互いに接近する方向に付勢した場合に、弾性変形して一対の爪部352dの互いに最も離間した箇所間の距離が挿入孔303、343の内径よりも短くなる位置まで接近させることができるようになっている。
また、第1結合ピン352は、鍔部352bを切り離して挿入方向に移動させた場合に、挿入孔303、343を通過して収容部R内に進入し、収容部R内で自由に移動可能な状態で収容される。
第2結合ピン353は、第1結合ピン352と同様に、表ケース体271と裏ケース体272を組み合わせた状態で、挿入孔303側から挿入して挿入孔303内と挿入孔343内に亘って延在させた場合に、封印結合部301の箱体302と封印結合部317の箱体341にそれぞれ係止され、表ケース体271と裏ケース体272との相対的な横方向へのスライドを規制して表ケース体271と裏ケース体272との分離を阻止し、表ケース体271と裏ケース体272を互いに封印結合できるようになっている。
第2結合ピン353は、挿入孔303、343に挿入可能な太さを有する軸部353aと、軸部353aの基端に設けられ、軸部353aに対して拡径されて挿入孔303、343よりも大径の略円板形状を有する鍔部353bと、軸部353aの先端に対をなして設けられ軸部353aの先端側から基端側に向かって移行するに従って漸次互いに離反する方向に突出する一対の爪部353cを有する。
第2結合ピン353は、一対の爪部353cの先端を互いに接近する方向に付勢した場合に、弾性変形して一つの爪部353cの互いに最も離間した箇所間の距離が挿入孔303、343の内径よりも短くなる位置まで接近させることができるようになっている。
連結手段354は、第1結合ピン352と第2結合ピン353を、基板ボックスに連結するものであり、本実施の形態では、基板ボックスを構成する裏ケース体272に連結している。連結手段354は、第1結合ピン352と第2結合ピン353を直列に連結する紐状の第1連結部354a、及び、第2結合ピン353と裏ケース体272の蓋体318を連結する紐状の第2連結部354bを有する。第2連結部354bの基端には、略円盤形状を有する基端部354cが設けられており、蓋体318の凹部318aに挿入した場合に、基端部354c全体が収容されて、一方端面及び外周面が凹部318aの底面及び内周面に対向するようになっている。
ここで、主制御装置131及び台座装置210の不正な取り外し行為等を抑制するための封印構造について説明する。本実施の形態では、封印構造が各々異なる2種類の封印部が設けられており、便宜上それらを第1封印部、第2封印部と言い分けて順に説明する。
図19は図8のC−C線端面図に相当し、第1封印部の断面構造を示す。図20は図8のD−D線端面図に相当し、第2封印部の断面構造を示す。
先ず第1封印部の構成を図19に基づいて説明する。図19において、(a)は封印前の状態を、(b)は封印状態を、(c)は封印解除の状態を、それぞれ示している。第1封印部は、表ケース体271に設けられた封印結合部291と可動ベース板212に設けられた封印結合部251との結合により封印状態となり得るものであり、便宜上、前者を「差込側結合部291」、後者を「受け側結合部251」と言い換えて説明を進める。
図19(a)に示すように、表ケース体271の差込側結合部291には、その上下方向に貫通する孔部291a(便宜上、上孔部と言う)が形成されており、可動ベース板212の受け側結合部251には、前記上孔部291aに同軸で連通する孔部251a(便宜上、下孔部という)が形成されている。上孔部291aの入口部には段差部291bが設けられ、下孔部251aの入口部には上孔部291aよりも拡径された拡径部251bが設けられている。
なお、符号251c,291cは、受け側結合部251、差込側結合部291にそれぞれ設けられた半円状の返し部であり(返し部251cは主制御装置131のスライド方向前方に、返し部291cは主制御装置131のスライド方向後方に設けられている)、この返し部251c,291cにて各結合部251,291が当接する。返し部251c,291cにより、各結合部251,291の対向接合面が隠されるようになっている。
封印処理の実施時においては、図19(b)に示すように、差込側結合部291及び受け側結合部251の各孔部291a,251aに、例えば合成樹脂製で略中空円筒状をなす封印ピン部材321が差し込まれる。封印ピン部材321は、図16に示すように、中空状の筒部321aと、フランジ状の頭部321bと、筒部321aに例えば2カ所設けられ弾性変形可能な係止爪部321cとを有しており、通常状態では係止爪部321cが筒部321aの外周よりも外方に突出し、外力を加えることで係止爪部321cが筒部321a内に没入することができる構造となっている。封印ピン部材321の頭部321bには、主制御装置131毎の識別情報(例えば識別コード)が付されている。
封印ピン部材321の差し込み時には、封印ピン部材321の係止爪部321cが弾性変形し、頭部321bが上孔部入口の段差部291bに当たるまで差し込まれる。このとき、封印ピン部材321の係止爪部321cが下孔部251aの拡径部251bに至ることで、当該係止爪部321cが起き上がり、係止爪部321cの後端面が差込側結合部291の先端面に係止される。これにより、第1封印部の封印が完了し、封印後の封印ピン部材321の抜け落ちが防止される。
主制御装置131の不具合発生時や検査時などに際し、第1封印部の封印を解除する場合には、図19(c)に示すように、差込側結合部291と表ケース体271とを連結する連結部292をニッパ等の工具により切断する。このとき、受け側結合部251には封印ピン部材321の先端部が挿入されているだけであり、これら各部材251,321は何ら係止状態にないため、前記連結部292の切断により差込側結合部291と封印ピン部材321とが表ケース体271から容易に切除できる。切除された差込側結合部291と封印ピン部材321とは、封印ピン部材321の係止爪部321cを指又は工具等で押さえて弾性変形させることで容易に分離することができる。分離された封印ピン部材321は何ら変形や破壊を伴っていることはなく、同一の封印ピン部材321が次回の封印に用いられる。
前述したとおり封印ピン部材321の頭部321bには主制御装置131毎の識別情報が付されているため、封印ピン部材321の再使用により再度封印処理が行われた後には、前記識別情報を確認することで正規の手順通りに封印処理が行われたかどうかが確認できる。
第1封印部の封印を解除する際、切断(破壊)される箇所は表ケース体271側の連結部292のみであり、封印相手側、すなわちこの場合は可動ベース板212はどこも破壊されない。つまり、表ケース体271と可動ベース板212間の封印処理及びその解除が繰り返し実施されたとしても、可動ベース板212は破壊もされず、封印履歴も残らない。従って、主制御装置131を交換する場合にも、可動ベース板212(すなわち台座装置210)がそのまま再使用できる。
なお、第1封印部において、4つある封印箇所のどれを用いるかは予め順序が決められており、例えば図8において上から順に1つずつ封印が行われる。封印後に切断処理(破壊処理)が施された封印箇所ではその封印履歴が残り、過去に何回の封印処理が行われたかが容易に確認できるようになっている。
次に、第2封印部の構成を図20に基づいて説明する。第2封印部は、表ケース体271に設けられた封印結合部301と裏ケース体272に設けられた封印結合部317を係止部材351で結合することにより封印状態となり得るものであり、便宜上、前者を「差込側結合部301」、後者を「受け側結合部317」と言い換えて説明を進める。
図20(a)は、第1結合ピン352を挿入する前の状態(すなわち、第2封印部を封印する前の状態)を示し、図20(b)は、第1結合ピン352を挿入した状態(すなわち、第2封印部を封印した状態)を示し、図20(c)は、第1結合ピン352を切り離して収容部R内に収容した状態(すなわち、第2封印部を開封した状態)を示す。なお、図20では図中左側が基板ボックスの前方であり、図中右側が基板ボックスの後方である。
図20(a)に示すように、係止部材351の基端部354cと箱体341が裏ケース体272の蓋体318に固定されている。基端部354cは、蓋体318の凹部318aに挿入されて基端部354c全体が収容されている。そして、基端部354cの一方端面及び外周面が凹部318aの底面及び内周面に接着又は溶着されて蓋体318に一体に固定されている。
箱体341は、係止部材351の基端部354cが蓋体318に固定された箇所を覆うように、裏ケース体272の蓋体318に固定され、蓋体318との協働により、閉塞された室内空間を有する収容部Rを形成している。
箱体341は、切欠部344を通して連結手段354の第2連結部354bが収容部Rから箱体341の外部に引き出され、第1結合ピン352及び第2結合ピン353が箱体341の外部に配置された状態で、箱体341の後部が蓋体318の前面に当接されて、かかる当接部分を蓋体318に接着又溶着されて固定されており、痕跡を残さずに蓋体318から取り外すことができないようになっている。若しくは、基端部354cが第2連結部354cの引き出し穴である切欠部344から抜け出ない構成であっても良い。
封印結合部317の箱体341は、差し込み側結合部301の箱体302の内方に収容されて、箱体302によって外側全体を覆われており、外部から直接触れることができないようになっている。そして、箱体302の挿入孔303と箱体341の挿入孔343が同軸で連通する位置に配置されている。
第2封印部の封印処理の実施時においては、差し込み側結合部301の挿入孔303及び受け側結合部317の挿入孔343に係止部材351の第1結合ピン352が差し込まれる。
第1結合ピン352の差し込み時には、第1結合ピン352の腕部352cが弾性変形して、図20(b)に示すように、鍔部352bが箱体302の前面に当接するまで差し込まれる。そして、第1結合ピン352の爪部352dが受け側結合部317の挿入孔343から収容部R内に突出することで、腕部352cの弾性変形が元に戻り、爪部352dの段差面が挿入孔343の後端面に係止される。
これにより、第1結合ピン352を、挿入孔303内と挿入孔343内に亘って延在させ、抜き取り不可能な状態で差し込み側結合部301と受け側結合部317に係止させて、第2封印部を封印することができる。
主制御装置131の不具合発生時や検査時などに際し、第2封印部の封印を解除する場合には、図20(c)に示すように、第1結合ピン352の軸部352aから鍔部352bを切り離して、封印結合部301及び封印結合部317への第1結合ピン352の係止を解除し、鍔部352bが切り離された第1結合ピン352を、挿入孔303、343を通過させて収容部R内に収容させる。これにより、差し込み側結合部301と受け側結合部317の結合を解除して第2封印部の封印を解除でき、表ケース体271と裏ケース体272との結合を解除することができる。
第1結合ピン352は、軸部352aと軸部352aに外嵌された鍔部352bとの間に、周方向に所定間隔をおいて設けられた複数の切離部によって軸部352aと鍔部352bとを互いに接続する構成を有しており、図20(b)に示す差し込み状態から第1結合ピン352の軸部352aを、図示しない棒状部材等を用いて軸方向に押し移動させた場合に、軸部352aと鍔部352bとの間の切離部にせん断力を作用させて、軸部352aから鍔部352bを切り離すことができ、鍔部352bが切り離された第1結合ピン352を、挿入孔303、343を通過させて受け側結合部317の収容部R内に収容させることができる。
挿入孔303、343を通過して受け側結合部317の収容部R内に収容された第1結合ピン352は、差し込み側結合部301の箱体302と受け側結合部317の箱体341を透過して、その存在を外部から視認することができる。従って、第1結合ピン352が収容部R内に収容されている場合には、かかる裏ケース体272は第2封印部の封印が解除されたものであることを容易に把握することができる。
収容部Rは、箱体341を蓋体318に溶着又は接着により固定することによって形成されており、箱体341や蓋体318を破壊することなく、収容部R内から第1結合ピン352を取り出すことは困難である。従って、差し込み側結合部301と受け側結合部317との結合が解除された場合には、受け側結合部317に結合解除の痕跡を確実に残すことができ、結合解除の痕跡が存在しない不正な裏ケース体272が作られるのを防ぐことができる。従って、例えば複数の中古機等から裏ケース体272を取り外して、第2封印部の開封の痕跡が存在しない不正な基板ボックスが作られるのを防ぐことができる。即ち、係止部材351と第2部材272との係止を外すためには、係止部材351又は第2部材272のどちらか一方を破壊させなければならない。そのため、複数の基板ボックスを取り出しても、係止部材351又は第2部材272のどちらかが破壊されているので、開封隠蔽のための新たな第2部材272又は係止部材351を用意することはできない。
係止手段と第2部材は連結されているため、係止手段の第2部材の係止を外すためには係止手段又は第2部材のどちらか一方を破壊させなければならない。そのため、複数の基板ボックスを取り出しても、係止手段と第2部材のどちらかが破壊されているので、開封隠滅のための新たな第2部材又は係止手段を用意することができない。
また、挿入孔303、343は、それぞれ箱体301、341の高さ方向略中央位置に形成されており、第1結合ピン352を挿入孔303、343を通過させて収容部R内に移動させた場合に、挿入孔343から収容部Rの床面に落下する高さ位置に形成されている。従って、収容部R内で第1結合ピン352を下方に落下させて、挿入孔303、343の高さ位置よりも低い位置に配置させることができる。従って、収容部R内における第1結合ピン352の姿勢状態を不正に操作して、挿入孔303、343を通して収容部R内から第1結合ピン352が取り出されるのを防ぐことができる。
第2封印部を開封した後、第2結合ピン353を使用して再び第2封印部を封印することができる。第2封印部を再び封印する場合においては、連結手段354の第1連結部354aを切断して第2結合ピン353から鍔部352bを取り除き、第2結合ピン353を差し込み側結合部301の挿入孔303及び受け側結合部317の挿入孔343に差し込む。
第2結合ピン353の差し込み時には、第2結合ピン353の爪部353cを弾性変形させて、鍔部353bが箱体302の前面に当接するまで差し込まれる。そして、第2結合ピン353の爪部353cが受け側結合部317の挿入孔343から収容部R内に突出することで、爪部353cの弾性変形が元に戻り、爪部353cが挿入孔343の後端面に係止される。これにより、第2封印部の封印が完了し、第2結合ピン353の抜き取りが防止される。
図9等に示すように、主基板ユニット200の左側部において、可動ベース板212及び表ケース体271の囲い枠331,332に囲まれたシール貼付面には、可動ベース板212と表ケース体271とに跨るようにして長方形状の封印シールSが貼付されている。封印シールSは、一旦貼付された後に剥がされるとシールラベルから粘着剤が剥がれ、再度貼付することができないものであり、封印シールSが剥がされた場合にはその形跡が残ることから、可動ベース板212から主制御装置131が取り外されたかどうかが確認できるものとなっている。封印シールSが貼付された図示の状態では、可動ベース板212に形成された係止孔部247と挿入孔248とが覆い隠されるようになっている。
上記のとおり封印シールSは再貼付不可能な構成となっているが、封印シールSを剥がした後に別のシール部材を貼付するような不正行為があり、こうした不正行為を抑制するには、封印シールSの剥がし行為を抑制することが一対策であると考えられる。そこで本実施の形態では、シール剥がし対策として、可動ベース板212の表面と表ケース体271の表面とからなるシール貼付面を囲い枠331,332で囲み、更にそのシール貼付面の周縁部を湾曲状に形成している。具体的には、封印シールSの長辺部に合わせてテーパ面が形成されることによってシール貼付面が湾曲形成されている。
シール貼付面に封印シールSを貼付した場合、封印シールSの周縁部はシール貼付面の湾曲部に入り込み、封印シールSの周縁部を爪等で引っ掛けたりすることが困難になる。そのため、封印シールSを不正に剥がすことに対する抑止効果が得られる。
次に、主基板ユニット200を筐体11の背板11cに取り付けた状態で主制御装置131を台座装置210から取り外す手順を図22に基づいて説明する。図22の(a)は、固定ベース板211に対して可動ベース板212を重ね合わせた状態(すなわち、通常の使用状態)を示し、(b)は、固定ベース板211に対して可動ベース板212を手前側に回動させた状態を示し、(c)は、可動ベース板212の回動状態で同可動ベース板212から主制御装置131をスライドさせた状態を示す。なお、図22では下側がスロットマシン前方であり、上側がスロットマシン後方である。
(a)の状態では、固定ベース板211と可動ベース板212とが重なった状態となっており、固定ベース板211の係止爪部218が主制御装置131(実際には表ケース体271)の上面に係止されている。このとき、主制御装置131はその表面部分がスロットマシン10の前方側を向いており、主基板表面、すなわちICチップ等の搭載面は前方より視認される。
また、(b)に示す可動ベース板212の回動時には、固定ベース板211の係止爪部218の係止が解除され、その状態で固定ベース板211に対して可動ベース板212が図示の如く回動される。このとき、可動ベース板212は支柱ピン217を回動中心として最大90度程度回動され、可動ベース板212とともに主制御装置131の回動先端部側が手前側に引き寄せられる。かかる状態では、主制御装置131の裏面側(すなわち主基板273の裏面)を視認することが可能となり、各種電子部品や電気配線等に異常や不正が無いか等の確認を行うことができる。
(b)の如く可動ベース板212と主制御装置131とを固定ベース板211に対して回動させた時、主制御装置131は真正面側より視認される状態から、斜め横方より視認される状態に移行する。従って、主制御装置131の真正面からは視認しづらい箇所、すなわち主基板273の基板面に概ね垂直となる直立面部に付された情報等であっても、可動ベース板212の回動により視認容易とすることができる。例えば、主基板273上に実装された縦型のICチップ274では、チップ側面に印刷された製造メーカや品番等の情報が容易に視認できるようになる。
なお因みに、実際のスロットマシン10の構成では、図5等に示すように、主制御装置131の前方空間が開放されており、可動ベース板212の前方側への回動動作には何ら支障が生じることはない。仮に前面扉12の裏面にスロットマシン後方に突出する装置や機構が設けられていても、前面扉12の開放に伴い主制御装置131の前方空間が開放され、やはり可動ベース板212の回動動作に支障は生じない。
また、図22の(c)に示す主制御装置131のスライド時には、第1封印部(可動ベース板212と表ケース体271間の封印)が開封される。更に、表ケース体271の左端部に設けた係止爪部295の係止やネジ孔部296でのネジ固定が解除される。そして、その状態で可動ベース板212上を主制御装置131がスライド動作される。これにより、可動ベース板212の回動先端部側(図12の基板装着口245)から主制御装置131を離脱させることが可能となる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
第2封印部の封印を解除することによって第1結合ピン352が受け側結合部317の収容部R内に収容され、第1結合ピン352の存在を外部から視認可能で且つ外部に容易に取り出すことが困難な状態とする構成としたので、裏ケース体272にその開封の痕跡を確実に残すことができる。
また、連結手段354の基端部354cを裏ケース体272に連結する構成としたので、第2封印部を開封した場合に、第1結合ピン352、及び、第1結合ピン352が切り離された係止部材351の両方を裏ケース体272に残すことができる。
従って、第2封印部の開封の痕跡を裏ケース体272に確実に残すことができ、例えば複数の中古機等から裏ケース体272を取り外して、開封の痕跡が存在しない不正な基板ボックスが作られるのを防ぐことができる。
また、表ケース体271には、開封の痕跡が残らないので、表ケース体271は、メーカ回収後に適切に再利用することができる。従って、不正行為を防止しつつ資源の有効活用を図ることができる。
第2封印部は、係止部材351の基端部354cと蓋体318との接続部分を収容部R内に設けて、外部から隔絶する構成としたので、切断の痕跡が目立たない箇所である基端部354cと第2連結部354bとの接続部分が工具等を用いて切断されたり、かかる接続部分が溶かされて、係止部材351が裏ケース体272から取り外されるのを防ぐことができる。
第2封印部は、蓋体318から連結手段354と同方向に突出するようにフランジ枠319を設けたので、仮に痕跡を残さずに箱体343が蓋体318から取り外された場合に、カッタなどの工具を蓋体318の前面に沿って当てて痕跡が残らないように連結手段354が切断されるのを防ぐことができる。また、フランジ枠319は、箱体341を取り外す動作を困難なものにしている。例えば、箱体341の根元にカッタを入れることができない。
第2封印部の係止部材351は、第1結合ピン352と第2結合ピン353という複数の結合ピンを有するので、第1結合ピン352による封印を解除した後に、第2結合ピン353を用いて再封印することができる。
また、第1結合ピン352と第2結合ピン353とが連結手段354によって直列に連結された構成としたので、第1結合ピン352による封印が解除された場合に、第1結合ピン352が切り離された痕跡を残すことができる。
第2封印部の連結手段354は、連結手段354の基端部354cを蓋体318の凹部318aに挿入して収容した状態で溶着又は接着により固定する構成としたので、基端部354cが蓋体318に接する面積を増加させることができる。従って、蓋体318に対する基端部354cの固定強度を向上させることができ、より強固に固定できる。また、蓋体318から基端部354cが容易に外されるのを防ぎ、取り外しの痕跡が存在しない係止部材351が作られて不正な基板ボックスの作成に流用されるのを防ぐことができる。
第2封印部は、受け側結合部317の箱体341が差し込み側結合部301の箱体302の内方に収容されて、箱体302によって外側全体が覆われた構成を有し、箱体341に外部から直接触れることができないようになっているので、第1結合ピン352が収容部R内から不正に取り出されるのを困難化し、また、連結手段354の基端部354cが蓋体318から不正に取り外されるのを困難化することができる。
筐体11の背板11cに取り付けられる主基板ユニット200において、主制御装置131を搭載した可動ベース板212を固定ベース板211に対して回動可能としたため、可動ベース板212の回動時には主制御装置131の裏面(主基板裏面)が開放される。それ故、当該裏面側において各種電子部品や電気配線等に異常や不正が無いか等の確認を行うことができる。また、可動ベース板212の回動時には、主制御装置131の基板面が傾くことによって主基板273上に実装された縦型素子(ICチップ274)の側面情報を容易に読みとることができ、当該素子が正規品できるあることなどの確認が可能となる。その結果、主制御装置131で不正行為が行われていないことなどの確認が可能となり、ひいては主制御装置131を適正に管理することができるようになる。
縦型素子以外に、基板表面に平行に電子部品が実装される場合には、その電子部品の下側(すなわち電子部品と基板との間)に別の不正電子部品(不正IC)を取り付けるような不正行為も存在するが、上記のとおり主制御装置131を搭載した可動ベース板212を固定ベース板211に対して回動可能としたため、かかる不正行為の対策も実現できる。つまり、主制御装置131の表側を正面から見ただけでは、正規の電子部品の下に隠された不正ICを見つけることは困難であるが、可動ベース板212を回動させることにより不正ICを容易に見つけることができる。
筐体11の内周面のうち背板11cに主基板ユニット200を取り付けたことの効果として、主制御装置131を不正に取り外ししにくい、主制御装置131を装着したままで当該主制御装置131に対する不正作業がしにくい、主制御装置131と筐体11の前面開放部との距離が長くなるため筐体11の前面開放部を介して不正な信号線を主制御装置131に接続するような不正行為がしにくい、前面扉12の解放時には主制御装置131が正面に見えるため基板表面の不正が見つけやすい、側板11d,11eよりも横幅寸法が大きいため比較的大型の制御装置でも装着できる、等の効果が得られる。
可動ベース板212を回動させた状態において可動ベース板212上で主制御装置131をスライドさせることにより、当該可動ベース板212の回動先端部側から主制御装置131が着脱可能となるよう構成したため、可動ベース板212の回動先端部を手前側に引き寄せた状態で主制御装置131を容易に装着又は離脱させることができる。従って、主制御装置131の検査時や交換時における作業性を向上させることができる。
筐体11の背板11cを挟んで筐体外側からネジ233を用いて固定ベース板211を締結するようにしたため、例えば遊技ホールにおいて多数のスロットマシン10が設置された状態では、固定ベース板211の取り外しが極めて困難となり、結果として主制御装置131の不正な取り外しが抑制できる。これにより、主制御装置131だけでなく台座装置210もまとめて持ち去る(盗み取る)ような不正行為を抑制できる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態では、係止部材351の基端部354cを裏ケース体272の蓋体318に対して取り外し不可能に連結する構成としたが、第2封印部の封印が解除された場合に基板ボックスにその開封の痕跡が残るものであればよく、例えば基板ボックスを構成する表ケース体271に係止部材351を連結した構成を採用してもよい。係止部材351を表ケース体271に連結した構成であっても、第2封印部の封印を解除した場合に、第1結合ピン352を収容部R内に収容することができ、裏ケース体272に開封の痕跡を残すことができる。そして、表ケース体271には、第1結合ピン352が切り離された係止部材351が残され、表ケース体271にも開封の痕跡を残すことができる。従って、例えば複数の中古機等から係止部材351を取り外して、開封の痕跡が存在しない不正な基板ボックスが作られるのを防ぐことができる。
(b)上記実施の形態では、係止部材351の基端部354cと蓋体318との接続部分を収容部R内に設ける構成としたが、例えば、基板ボックスの内方に隠された場所であって、基板ボックスを開いた場合、すなわち表ケース体271と裏ケース体272とを分離した場合に、接続部分が露出する場所に設けてもよい。基板ボックスを開いた場合に露出する場所に接続部分を設けた構成であっても、基板ボックスを開かない限り、接続部分が露出されないので、接続部分を蓋体318から切り離して係止部材351を取り外すといった不正行為を防ぐことができる。
(c)上記実施の形態では、係止部材351の基端部354cを蓋体318の凹部318aに挿入して溶着又は接着により固定する構成としたが、取り外し不可能な状態で固定できる構成であればよく、例えば凹部318内に基端部354cを挿入した後に、凹部318a内に紫外線硬化樹脂を充填して紫外線を照射し、基端部354cを蓋体318に固定する構成としてもよい。このように紫外線硬化樹脂を用いて係止部材351の基端部354cを蓋体318に固定した構成であっても、基端部354cを凹部318aに挿入して収容した状態で固定することができ、基端部354cが接する面積を増加させ、蓋体318に対する基端部354cの固定強度を向上させることができ、強固に固定できる。従って、蓋体318から基端部354cが容易に外されるのを防ぎ、取り外しの痕跡が存在しない係止部材351が作られて不正な基板ボックスの作成に流用されるのを防ぐことができる。
(d)上記実施の形態では、連結手段354の基端部354cを蓋体318の凹部318aに接着等によって固定する構成としたが、外部から取り外し不可能な構成であればよく、例えば収容部R内にねじ止めする構成としてもよい。収容部R内は外部から隔絶されており、基端部354cを固定するねじに触れることができないので、ねじを緩めて取り外されることはない。
(e)上記実施の形態では、連結手段354の基端部354cを蓋体318に固定して外部から取り外し不可能な構成としたが、これに代えて、連結手段354が引っ張られた場合に、蓋体318の一部が破壊されて連結手段354の基端部354cが蓋体318から取り外される構成としてもよい。なお、上述のように可動ベース板212が回転可能なことから、裏ケース体272の裏面を確認することができるため、脆弱部の破壊状態を確認することができる。
図23は、連結手段354の基端部354cを蓋体318に固定する他の実施例を示す図であり、図24は、図23のE−E線断面図である。
例えば、図23及び図24に示すように、連結手段354の基端部354cが固定されている部分を囲むように蓋体318にミシン目を設けて脆弱部を形成し、予め設定された値以上の引張力で連結手段354が引っ張られた場合に、脆弱部が破壊されて蓋体318の一部と共に蓋体318から取り外される構成としてもよい。
これにより、蓋体318から蓋体318の一部を切り離して、元に戻すことが不可能な開口穴を形成することができる。従って、連結手段354が取り外された痕跡を明確に残すことができる。
(f)上記実施の形態では、連結手段354が中実の紐状部材である構成としたが、密閉された中空部を有する透過性材料からなるチューブ形状とし、その中空部に視認性の高い色彩を有する液体と加圧気体とを封入した構成とし、連結手段354が切断された場合に加圧気体によって液体を中空部から飛び出させる構成としてもよい。これにより、例えば連結手段354の中空部に液体が封入されていないものがあった場合には、連結手段354が切断されたものであると簡単に判断することができる。
(g)上記実施の形態では、第1部材が表ケース体271、第2部材が裏ケース体272である場合を例に説明したが、第1部材を主制御装置131、第2部材を台座装置210とし、主制御装置131と台座装置210を係止部材351により結合する場合にも適用することができる。
(h)上記実施の形態では、主基板ユニット200を筐体11の背板11cに取り付ける構成としたが、これに代えて、主基板ユニット200を筐体11の左右何れかの側板11d,11eに取り付ける構成としても良い。筐体11の左右何れかの側板11d,11eに取り付けたとしても、固定ベース板211に対して回動ベース板112を回動可能とすることにより、主制御装置131を手前側(すなわちスロットマシン10の前方)に引き寄せることが可能となり、上述のとおり優れた効果を奏する。
(i)上記実施の形態では、固定ベース板211と可動ベース板212とを、軸孔に圧入した支柱ピン217を用いて回動連結したが、この構成を変更する。例えば、固定ベース板211又は可動ベース板212の何れかに支柱部を一体成形し、この支柱部により固定ベース板211と可動ベース板212と回動連結する構成であっても良い。各ベース板211,212が回動可能で且つ分離不可能(連結解除不可能)となる構成であれば、任意の構成が適用できる。
(j)上記実施の形態では、主基板ユニット200において、固定ベース板211と可動ベース板212を主制御装置131(基板ボックス)に合わせてほぼ同じ大きさとしたが、この構成を変更する。例えば、可動ベース板212を主制御装置131(基板ボックス)よりも小さくする。具体的には、可動ベース板212の長手方向の長さを主制御装置131の長さの2/3にする、1/2にする、1/3にする等の構成が考えられる。又は、可動ベース板212の底板部241を中心部を含んで一部切り欠く、底板部241に透視窓を設けるなどの構成であっても良い。何れにしても、可動ベース板212が主制御装置131の裏面が容易に確認できるようにして回動される構成であれば良い。固定ベース板211に関しても、主制御装置131を確実に装着できることを前提に、主制御装置131よりも小さくしたり、或いは大きくしたりしても良い。
(k)上記実施の形態では、固定ベース板211の短辺部に軸支部を設けたが、同固定ベース板211の長辺部に軸支部を設ける構成としても良い。この場合、可動ベース板212の手前側への引き込み量は減るが、スロットマシン前方から見た時の主制御装置131の対面角度が変わることは同じであり、主基板273の確認をやはり好適に実施できる(ICチップ274の側面情報読み取りも同様)。
(l)上記実施の形態では、台座部材210を構成する固定ベース板211及び可動ベース板212を何れも透明な合成樹脂材料にて成形する構成としたが、固定ベース板211を有色の樹脂材料に変更したり、同固定ベース板211を樹脂材料以外、例えば金属等で成形したりしても良い。また、可動ベース板212は、主制御装置131の裏面を視認できればよいため、例えば可動ベース板212の底板部241に視認窓を設けるなどの構成を付加すれば、有色の樹脂材料に変更したり、樹脂材料以外、例えば金属等に材料変更したりしても良い。
(m)上記実施の形態では、可動ベース板212上で主制御装置131をスライド方向に案内し且つ同主制御装置131を一体保持するべく、その側板部242,243の長手方向全体にわたって返し部242a,243aを設けたが(図12参照)、基板装着口245寄りの返し部242a,243aを一部除去しても良い。例えば図12の構成において、右から2つ分の返し部242a,243aを除去する。返し部242a,243aを一部除去することにより、可動ベース板212上での主制御装置131の必要スライド量が少なくなり、主制御装置131の着脱が容易となる。
(n)第2台座部材(可動ベース板212)を左右両側に回動(開放)可能な両開き構成としても良い。具体的には、固定ベース板211の左右両端部側にそれぞれ回動軸部を設け、可動ベース板212を各回動軸部を中心に互いに逆となる2方向に回動可能とする。これにより、主制御装置131(制御基板装置)の例えば左右両端部において作業者等が望む方を手前側に引き寄せることが可能となる。
(o)第2台座部材(可動ベース板212)を、第1台座部材(固定ベース板211)に回動可能に連結される回動基部と、制御基板装置(主制御装置131)を搭載する基板搭載部とにより構成し、回動基部に対して表裏反転可能に基板搭載部を連結する構成としても良い。本構成によれば、回動基部を第1台座部材に対して回動させ、更に基板搭載部を回動基部に対して表裏反転させることで、制御基板装置の筐体対向面を容易に確認できるようになる。
(p)上記実施の形態では、主基板ユニット200において、固定ベース板211に対して可動ベース板212を回動可能に設けたが、この構成を以下のように変更する。例えば、固定ベース板211と可動ベース板212との間に伸縮自在の脚部(具体的に、X型伸縮リンク)を設け、その脚部を縮めておくことで各ベース板211,212を重なった状態で保持し、脚部を伸ばすことで固定ベース板211から可動ベース板212を離して主制御装置131を手前側に引き寄せるようにする。この場合、固定ベース板211に対して平行移動させるようにして可動ベース板212を移動させることが可能となる。また、固定ベース板211と可動ベース板212との間に左右2個の脚部を設け、それら脚部を各々独立して伸縮させるようにする。この構成によれば、主制御装置131を左右片方に傾いた状態で引き寄せることができる。
(q)筐体11の内部にランプ等の照明手段を設けておき、固定ベース板211に対して可動ベース板212を回動させた時にランプ等(照明手段)を点灯させるようにする。これにより、主制御装置131や台座装置210に対する不正行為の有無などが容易に確認できるようになる。照明手段は、筐体11に取り付けるか、或いは台座装置210に取り付ければよい。
(r)上記実施の形態では、主基板ユニット200の第1封印部において、差込側結合部291を表ケース体271に4連で並設すると共に、それに対応させて受け側結合部251を可動ベース板212に4連で並設したが、この構成を変更する。4連の受け側結合部のうち少なくとも1つを裏ケース体272に設ける。この構成としても、適切な封印構造が実現できることに変わりない。
(s)主制御装置131の封印部にかかる構成は他に変更できる。封印部を設ける場所についても、基板ボックス(ケース体271,272)の左右の両短辺部に設ける他に、同基板ボックス(ケース体271,272)の長辺部に設けても良い。また、封印ネジを用いる構成に代えて、封印金具片を封印連結部に差し込む構成等であっても良い。
(t)上記実施の形態では、筐体11の背板11cに固定ベース板211を固定するために、筐体内側からは左右2カ所のネジ223による締結を行い、筐体外側からは中央1カ所のネジ233による締結を行う構成としたが、この構成を変更する。例えば、筐体外側からのみ固定ベース板211を締結する構成としても良い。かかる場合、締結箇所(具体的には固定金具225の設置場所)を2カ所以上としても良い。
(u)上記実施の形態では、主基板273を内包した主制御装置131について台座装置を回動させる構成を採用したが、主制御装置131以外の他の制御装置にも同様の構成を設けても良い。
(v)上記実施の形態では、台座装置210を2体の台座部材(固定ベース板211と可動ベース板212)により構成し、そのうち一方の台座部材(可動ベース板212)上に主制御装置131を搭載したが、これを以下のように変更する。台座装置を1体の台座部材にて構成するとともに、その台座部材を筐体11の背板11cに固定する。そして、この台座部材に対して回動可能(又は変位可能)に主制御装置を連結する。この構成にあっても、主制御装置の裏面(筐体対向面)の確認を容易化できることに変わりない。
(w)遊技機としては前記スロットマシン以外にも適用が可能であり、要は、遊技機前面側に開放された筐体を有し、その筐体内部に制御基板装置が収容される構成の遊技機であれば本発明が好適に実現できる。
(x)上記実施の形態では、箱体344を別パーツとして蓋体318に溶着したが、箱体を備えたケース下を成形して蓋体を溶着しても良い。
(y)係止部材351は、両端にピンが形成されているものでも良く、第2部材272と係止部材351が取り外し不可能であればどのような構成でも良い。 (z)係止部材351は、それ自身が係止されて、その係止部が収容部Rに残る結束バンドであっても良い。その場合、係止部は第2部材272に係止せずに、収容部Rに収容されて取り出し不可能となる。即ち、第2部材に係止しなくとも同様の効果を発揮する。