JP5391372B2 - 芳香族アミン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、芳香族アミン化合物の製造方法としては、芳香族ニトロ化合物を、ラネーニッケル、パラジウム、白金等の触媒の存在下、気相又は液相で水素還元する方法が一般的である。また、他の製造方法としては、芳香族ニトロ化合物を、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン又は第4級アンモニウム化合物で還元する方法が知られている(特許文献1参照)。
1.芳香環を有し且つ該芳香環を構成する炭素原子にハロゲン原子が結合している、下記一般式(1)〜(3)で表されるハロゲン化芳香族化合物を、R 31 −N 3 (R 31 は、アルカリ金属原子、又は−Si(R 33 )であり、R 33 は炭化水素基である)で表されるアジド化合物、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物(但し、アジド化合物を表す式におけるR 31 がアルカリ金属原子である場合には、上記無機化合物は二価の化合物である)、塩基性有機化合物及び極性溶媒の存在下に加熱して55〜120℃の温度範囲で反応させて、上記ハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
2.上記アジド化合物が、トリメチルシリルアジド、アジ化リチウム、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム及びジフェニルホスホリルアジドからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である上記1に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
3.上記銅元素を含む無機化合物が2価の化合物である上記1又は2に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
4.上記塩基性有機化合物が、アミン化合物である上記1乃至3のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
5.上記アミン化合物がアルコールアミンである上記4に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
6.上記極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である上記1乃至5のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
7.上記反応が、70〜110℃の範囲の温度で行われる上記1乃至6のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
また、本発明において、反応が終了した後の反応系には、芳香族アミン化合物及び未反応のハロゲン化芳香族化合物を主として含み、ハロゲン化芳香族化合物に由来する副生成物をほとんど含まないことから、芳香族アミン化合物の精製が容易であり、効率的に回収することができる。
芳香族アミン化合物を製造するために用いられる反応原料について、以下に説明する。
このハロゲン化芳香族化合物は、ハロゲン元素を少なくとも1つ含む化合物である。ハロゲン元素は、Cl、Br又はIであり、好ましくはBrである。この化合物は、芳香環を構成する炭素原子の1つのみにハロゲン原子1つが結合した化合物であってよいし、芳香環を構成する炭素原子の複数に、相当数のハロゲン原子が結合した化合物であってもよい。後者の場合、複数のハロゲン原子は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。本発明におけるハロゲン化芳香族化合物は、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される。
上記一般式(1)、(2)及び(3)における「他の官能基」は、本発明において高い選択性が得られることから、電子求引性基を含む。
アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル基、N−(4−n−ペンタデカンアミド)フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル基、N−[3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル]カルバモイル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
ジアリールホスホノ基としては、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
ジアリールホスフィニル基としては、ジフェニルホスフイニル基等が挙げられる。
アルキルスルフィニル基としては、3−フェノキシプロピルスルフィニル基等が挙げられる。
アリールスルフィニル基としては、3−ペンタデシルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基等が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等が挙げられる。
スルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
アシルチオ基としては、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等が挙げられる。
スルファモイル基としては、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基等が挙げられる。
チオカルボニル基としては、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基等が挙げられる。
ハロゲン化アルコキシ基としては、トリフロロメチルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン化アリールオキシ基としては、ペンタフロロフェニルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキルアミノ基としては、N,N−ジ−(トリフロロメチル)アミノ基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキルチオ基としては、ジフロロメチルチオ、1,1,2,2−テトラフロロエチルチオ基等が挙げられる。
複素環基としては、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基、5−クロロ−1−テトラゾリル基、1−ピロリル基等が挙げられる。
以下に、上記一般式(1)における好ましい化合物として、R1が臭素原子である例を示す。
このアジド化合物は、下記一般式(4)で表される化合物である。
R31−N3 (4)
[式中、R31は、アルカリ金属原子、又は、−Si(R33)3(但し、R33は、炭化水素基である。)である。]
また、本発明以外のアジド化合物としては、一般式(4)におけるR 31 が、−PO(OR 32 ) 2 (但し、R 32 は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。)で表される化合物が挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよく、好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基は、好ましくは炭素原子数6〜14のアリール基である。その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
また、アラルキル基は、上記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が上記アリール基で置換された基とすることができ、好ましくは炭素原子数7〜13のアラルキル基である。その具体例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。
この銅成分は、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物(以下、「銅化合物」という。)である。上記銅成分としては、金属銅のみを用いてよいし、銅化合物のみを用いてよいし、更には、金属銅及び銅化合物を併用してもよい。
上記銅成分の、ハロゲン化芳香族化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒に対する溶解性は、特に限定されない。
1価の銅化合物としては、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等が挙げられる。
また、2価の銅化合物としては、フッ化銅(II)、酸化銅、酢酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅化合物としては、高選択性の観点から、2価の銅化合物が好ましい。
但し、本発明において、上記一般式(4)におけるR 31 がアルカリ金属原子であるアジド化合物を使用する場合には、上記無機化合物は二価の化合物である。
この塩基性有機化合物としては、アミン化合物、含窒素環状化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミン化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基を1つ有するモノアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等の脂肪族モノアルキルアミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロイルアミン、エチルブチルアミン等の脂肪族ジアルキルアミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルミチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N,N−ジラウリルモノメチルアミン、メチルジオレイルアミン、メチルジデシルアミン等の脂肪族トリアルキルアミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノシクロアルキルアミン;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジシクロアルキルアミン;トリシクロヘキシルアミン等のトリシクロアルキルアミン;アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジフェニルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジベンジルメチルアミン等の芳香族アミン化合物等が挙げられる。
アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルキルアミノアルキルアミンとしては、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン等が挙げられる。
その他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン等が挙げられる。
芳香族ポリアミン化合物としては、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等が挙げられる。
1級アミノアルコールとしては、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、オクタノールアミン、ウンデカノールアミン等のモノアルコールアミンが挙げられる。
また、2級アミノアルコールとしては、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−ペンチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−ペンチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N−ペンチルブタノールアミン、N−メチルペンタノールアミン、N−エチルペンタノールアミン、N−プロピルペンタノールアミン、N−ブチルペンタノールアミン、N−ペンチルペンタノールアミン等のN−アルキルアルコールアミン;N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルコールアミン;N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン等のN−アルキルジアルコールアミン等が挙げられる。
この極性溶媒としては、非プロトン極性溶媒及びプロトン性極性溶媒が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。
この非プロトン極性溶媒は、その分子中にプロトン(H+)を供与する官能基がなく且つ双極子を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1つのみ用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記化合物のうち、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンが特に好ましい。
このプロトン性極性溶媒は、解離して容易にプロトン(H+)を放出するプロトン供与性基を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、アルコール、カルボン酸等が挙げられる。
アルコールとしては、一般式R−OH(但し、Rは、置換又は非置換の炭化水素基である)で表される化合物であれば、脂肪族アルコール、脂環族アルコール及び芳香族アルコールのいずれを用いてもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
上記一般式において、Rが非置換の炭化水素基である場合のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
また、上記一般式において、Rが置換の炭化水素基である場合のアルコールとしては、アミノアルコール、アルコキシアルコール、アルキルジオール、アルキルトリオール、メルカプトアルコール、アルキルメルカプトアルコール、ケトアルコール等が挙げられる。
本発明においては、反応原料である、ハロゲン化芳香族化合物、アジド化合物、金属化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒を、上記記載の割合で反応器に仕込み、加熱下に、これらを撹拌しながら非水系で反応を進めること(以下、「反応工程」という。)により、上記ハロゲン化芳香族化合物におけるハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することができる。その後、原料の種類及び得られた芳香族アミン化合物に応じて、洗浄、抽出、分離等を含む精製工程を備えることができる。
不活性ガス雰囲気とするために用いる不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられる。これらのガスは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
得られた芳香族アミン化合物の収率は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上とすることができる。即ち、反応工程後の反応液に含まれる、原料ハロゲン化芳香族化合物に由来する成分は、通常、目的とする芳香族アミン化合物、及び、未反応のハロゲン化芳香族化合物である。
そして、これらの化合物の生成比(質量比)を、1H−NMRにより分析したところ、化合物(I):化合物(II)=1:5であることが分かった。
以上より、製造された芳香族アミン化合物におけるアミノ基の水素元素源に、極性溶媒に由来する水素元素が含まれることが分かった。
下記の実施例等において得られた芳香族アミン化合物を含む反応生成物の収率は、1H−NMR(溶媒:重クロロホルム)により求めた。
実施例1
101.5ミリグラム(1.0mmol)のCuF2及び1ミリリットル(12.3mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を試験管に入れ、懸濁させた。その後、この懸濁液に81.5マイクロリットル(0.5mmol)の4−ブロモ安息香酸エチル、174.3マイクロリットル(1.25mmol)のトリエチルアミン(TEA)及び132.1マイクロリットル(1.0mmol)のトリメチルシリルアジドを、順次、加えて、試験管をセプタムで密封した。
次いで、アスピレーターとアルゴン風船を用いて、試験管内をアルゴンガスで置換した。そして、アルゴン風船を取り外し、有機合成装置を用いて、攪拌下、95℃で反応させた。24時間反応させた後、反応液をセライト濾過後、20ミリリットルの酢酸エチル及び20ミリリットルの水を用いて抽出操作を行った。次いで、酢酸エチル層を20ミリリットルの飽和食塩水を用いて洗浄させ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を減圧留去した。乾固物である残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)にて精製し、69.0ミリグラムの4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は84%であった(表1参照)。
以下に、反応スキームを示す。
CuF2に代えて、金属銅を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は82%であった(表1参照)。
CuF2に代えて、CuBrを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は73%であった(表1参照)。
CuF2に代えて、CuOを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は77%であった(表1参照)。
CuF2に代えて、酢酸銅(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は80%であった(表1参照)。
CuF2に代えて、酢酸鉄(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、NiCl2を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、AgClを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、ZnCl2を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、SnCl2・2H2Oを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、AgFを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、酢酸パラジウム(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、フッ化鉄(III)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、CoBr2を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
CuF2に代えて、ZnOを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は70%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、N−メチルピロリドン(NMP)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は73%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、ジメチルホルムアミド(DMF)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は67%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、アセトンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は61%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、テトラヒドロフラン(THF)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は42%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、メタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は55%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、エタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は45%であった(表2参照)。
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、トルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は15%であった(表2参照)。
反応温度95℃を、80℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は64%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、90℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は80%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、100℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は81%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、110℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は71%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、120℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は60%であった(表3参照)。
反応温度を、室温(22℃)とした以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表3参照)。
反応温度95℃を、60℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は57%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、70℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は73%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、80℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は75%であった(表3参照)。
反応温度95℃を、85℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は68%であった(表3参照)。
トリエチルアミン(TEA)に代えて、ジエチルアミンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は68%であった(表4参照)。
トリエチルアミン(TEA)に代えて、エチレンジアミンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は70%であった(表4参照)。
トリエチルアミン(TEA)に代えて、エタノールアミン(2−アミノエタノール)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は99%であった(表4参照)。
トリエチルアミン(TEA)に代えて、28%アンモニア水を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は38%であった(表4参照)。
基質化合物として、4−ブロモ安息香酸エチルに代えて、表5に記載の化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、アミン化合物を得た。収率は表5に併記した。
トリメチルシリルアジドに代えて、アジ化ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は72%であった(表6参照)。
反応温度95℃を、120℃に代えた以外は、実施例31と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は53%であった(表6参照)。
トリメチルシリルアジドに代えて、アジ化ナトリウムを用いた以外は、実施例26と同様にして、反応を行い、4’−アミノアセトフェノンを得た。収率は56%であった(表6参照)。
反応温度95℃を、120℃に代えた以外は、実施例33と同様にして、反応を行い、4’−アミノアセトフェノンを得た。収率は77%であった(表6参照)。
Claims (7)
- 芳香環を有し且つ該芳香環を構成する炭素原子にハロゲン原子が結合している、下記一般式(1)〜(3)で表されるハロゲン化芳香族化合物を、R 31 −N 3 (R 31 は、アルカリ金属原子、又は−Si(R 33 )であり、R 33 は炭化水素基である)で表されるアジド化合物、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物(但し、アジド化合物を表す式におけるR 31 がアルカリ金属原子である場合には、上記無機化合物は二価の化合物である)、塩基性有機化合物及び極性溶媒の存在下に加熱して55〜120℃の温度範囲で反応させて、上記ハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
- 上記アジド化合物が、トリメチルシリルアジド、アジ化リチウム、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム及びジフェニルホスホリルアジドからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 上記銅元素を含む無機化合物が2価の化合物である請求項1又は2に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 上記塩基性有機化合物が、アミン化合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 上記アミン化合物がアルコールアミンである請求項4に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 上記極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1乃至5のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
- 上記反応が、70〜110℃の範囲の温度で行われる請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
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