JP5390385B2 - コンブ目植物の胞子体の生産方法およびそれに用いる基材 - Google Patents

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Description

本発明は、コンブ目植物の胞子体の生産方法およびそれに用いる基材に関する。
コンブ目(Laminariales)の植物には、マコンブ(Laminaria (Saccharina) japonica)やワカメ(Undaria pinnatifida)などの食用とされる海藻が数多く含まれる。これらのコンブ目植物は、無性の巨視的な胞子体世代(複相:2n)と、有性の微視的な配偶体世代(単相:n)とを交互に繰り返して繁殖する。いわゆる「コンブ」や「ワカメ」などとして人々に認識されている複相の胞子体は、成熟すると単相(n)の遊走子(胞子)を放出する。放出された遊走子は、海底の岩盤などに付着してメスの配偶体(雌性配偶体)またはオスの配偶体(雄性配偶体)になる。雌性配偶体は成熟すると卵を放出し、雄性配偶体は成熟すると精子を放出する。この卵と精子が結合した受精卵は、生長して再び複相(2n)の胞子体になる。
食用となるコンブ目植物には、漁で採取されるだけでなく養殖されているものもある。従来のコンブ目植物の養殖方法として、天然の胞子体から放出された遊走子を種苗糸に付着させる方法、および天然の胞子体から放出された遊走子を中間育成し、それにより得られた幼体を直接育成施設に取り付ける方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。これらの方法では、天然の胞子体から放出された遊走子(またはこの遊走子から得られた幼体)を種苗糸などの種苗基材に付着させ、これらの遊走子(または幼体)を種苗基材に付着させた状態で生長させる。
遊走子を種苗基材に付着させる際により安定して付着させることを目的として、ウレタン樹脂やアクリル樹脂などを主成分とする被覆剤で種苗基材を被覆する技術が開示されている(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。また、種苗基材にカルボニル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする被覆剤で被覆する技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、陸上における海藻の養殖方法として、海藻から放出させた胞子を集塊化させる方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この方法では、海藻の胞子を平板上に高密度で播種することで胞子同士を互いに付着させ、形成された胞子(またはそれらが発芽した発芽体)の集塊を浮遊させた状態で培養する。この方法により、種苗糸などの種苗基材を用いることなく海藻を養殖することができる。
特開2006−325563号公報 特開平7−157713号公報 特開平9−227826号公報 特開2006−180721号公報 特開2002−176866号公報
しかしながら、上記従来の養殖方法には、天然の胞子体から放出された遊走子(胞子)を使用しなければならないという問題があった。
近年、海洋環境の変化に伴うコンブ目植物の資源量の減少が指摘されており、培養保存されている配偶体株を養殖種苗として用いることが期待されている。しかし、上記従来の養殖方法では、種苗基材に対する付着率が低いため、コンブ目植物の配偶体や胞子体を種苗として用いることができなかったのである。
本発明の目的は、コンブ目植物の配偶体または胞子体を種苗として用いることができるコンブ目植物の胞子体の生産方法、およびそれに用いる種苗基材を提供することである。
本発明者は、種苗を付着させる基質に高分子ゲルを用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のコンブ目植物の胞子体の生産方法に関する。
[1]コンブ目植物の雌性配偶体および雄性配偶体を準備するステップと、前記雌性配偶体および前記雄性配偶体を高分子ゲルに付着させるステップと、前記雌性配偶体を成熟させて卵を形成させるステップと、前記雄性配偶体を成熟させて精子を形成させるステップと、前記卵と前記精子とを受精させて、胞子体を発生させるステップと、前記胞子体を生長させるステップとを含む、コンブ目植物の胞子体の生産方法。
[2]コンブ目植物の胞子体を準備するステップと、前記胞子体を高分子ゲルに付着させるステップと、前記胞子体を生長させるステップとを含む、コンブ目植物の胞子体の生産方法。
[3]前記雌性配偶体および前記雄性配偶体を準備するステップにおいて、前記雌性配偶体および前記雄性配偶体は細分化されている、[1]に記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
[4]前記胞子体を準備するステップにおいて、前記胞子体は細分化されている、[2]に記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
[5]前記高分子ゲルは種苗糸を被覆している、[1]〜[4]のいずれかに記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
[6]前記高分子ゲルは、粒径が100μm〜5cmの範囲内の粒状体である、[1]〜[4]のいずれかに記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
また、本発明は、以下のコンブ目植物の胞子体を生産するための基材に関する。
[7]高分子ゲルで被覆されている種苗糸、または粒径が100μm〜5cmの範囲内の高分子ゲルの粒状体である、コンブ目植物の胞子体を生産するための基材。
[8]前記高分子ゲルは、アニオン性または中性である、[7]に記載の基材。
[9]前記高分子ゲルは、アニオン性の高分子ゲルであって、アニオン性基が塩である、[7]に記載の基材。
本発明により、配偶体または胞子体を種苗としてコンブ目植物の胞子体を養殖することができる。したがって、培養保存されている配偶体株(またはこの株から得られた胞子体)を種苗とすることができるので、胞子体の採取や遊走子の単離などの作業を行うことなく効率的に安定した品質のコンブ目植物の胞子体を生産することができる。
図1Aはポリアクリル酸ナトリウムゲルに付着した配偶体を示す写真、図1Bはポリアクリルアミドゲルに付着した配偶体を示す写真、図1Cはアルギン酸ナトリウムゲルに付着した配偶体を示す写真
以下、本明細書において「コンブ目植物」とは、コンブ目(Laminariales)に含まれるすべての種を意味する。例えば、コンブ目植物には、マコンブ(Laminaria (Saccharina) japonica)やホソメコンブ(L. (S.) religiosa)、リシリコンブ(L. (S.) ochotensis)、ミツイシコンブ(L. (S.) angustata )、ナガコンブ(L. (S.) longissima)、オニコンブ(L. (S.) diabolica)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(U. peterseniana)、ヒロメ(U. undarioides)、カジメ(Ecklonia cava)、アラメ(Eisenia bicyclis)、ガゴメ(Kjellmaniella crassifolia)などが含まれる。
[高分子ゲル]
本発明は、コンブ目植物の胞子体を生産する際に、種苗を付着させる基質に高分子ゲルを用いることを特徴とする。これにより、本発明の生産方法は、従来から用いられていた遊走子だけでなく、コンブ目植物の配偶体(雌性配偶体および雄性配偶体)や胞子体も種苗とすることができる。
高分子ゲルの種類は、コンブ目植物の配偶体および胞子体が付着可能でかつ生長可能なものであれば特に限定されない。このような高分子ゲルには、ポリアクリル酸ナトリウムゲルやポリアクリルアミドゲル、アルギン酸ナトリウムゲル、アルギン酸カリウムゲルなどのアニオン性または中性の高分子ゲルが含まれる。後述する実施例に示すように、アニオン性基が塩であるアニオン性高分子ゲル(例えば、ポリアクリル酸ナトリウムゲル)は、種苗を付着させる基質として特に好ましい。また、高分子ゲルの性能を向上させるために、高分子ゲルに任意の添加剤を加えてもよい。例えば、高分子ゲルの強度を向上させるために、カルボキシメチルセルロースを高分子ゲルに添加してもよい。
高分子ゲルの硬さは、配偶体や胞子体の体の一部がゲル内部に入り込める程度であることが好ましい。このようにすることで、コンブ目植物の配偶体や胞子体は、その体の一部をゲル内部に埋没させることができるため、短期間でより強固に高分子ゲル(すなわち、後述する基材)に付着することができる。高分子ゲルの硬さは、その架橋度を制御することで調整することができる。
生産性を向上させるためには、コンブ目植物の配偶体(または胞子体)の生長および成熟を促進させる栄養塩類を基質(高分子ゲル)に加えることが好ましい。例えば、このような栄養塩類として、硫酸ナトリウムやグリセロリン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの栄養塩類の量は、特に限定されず、生産するコンブ目植物の種類や生産する環境に応じて適宜設定すればよい。
食用を目的としてコンブ目植物の胞子体を生産する場合は、基質とする高分子ゲルは、食品添加物として安全性が確認されているものから構成されることが好ましい。回収した胞子体に高分子ゲルが付着しても、人体に対する安全性が損なわれないためである。このような観点から、アクリル酸ナトリウムやアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどの食品添加物に指定されている物質は、種苗を付着させる基質の材料として好適である。また、同様の観点から、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムなどをゲル化する際には、塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの食品添加物に指定されている多価イオンを用いることが好ましい。
また、環境負荷を低減する観点からは、基質とする高分子ゲルは、化石燃料を原料とする合成高分子ではなく生体由来の天然高分子から構成されることが好ましい。このような生体高分子からなる高分子ゲルは、ある程度の時間が経過すると自然に分解されるためである。このような生体高分子として、褐藻に含まれるアルギン酸(およびその誘導体)などが挙げられる。
[基材]
本発明の生産方法において種苗を付着させる基材は、その表面に前述の高分子ゲルを有するものであれば特に限定されない。このような基材の例には、高分子ゲルで被覆されている種苗糸や高分子をその表面に有する粒状体などが含まれる。
高分子ゲルで被覆されている種苗糸とは、例えば、合成繊維などからなる種苗糸を前述の高分子ゲルで被覆したものである。高分子ゲルで被覆される種苗糸本体の材質は、特に限定されず、例えばアセタール化されたボリビニルアルコール(ビニロン)である。また、種苗糸本体の太さは、特に限定されず、生産するコンブ目植物の種類や生産する環境に応じて適宜設定すればよい。現在コンブ目植物の養殖に用いられている種苗糸(例えば、クレモナ糸(登録商標))ももちろん使用することができる。
種苗糸を被覆する高分子ゲルは、生産するコンブ目植物の種類などに応じてその種類や厚さなどを適宜設定すればよい。通常、海水中では、種苗糸本体を被覆する高分子ゲルは、時間の経過と共に分解され、やがて種苗糸本体から脱離してしまう。したがって、被覆する高分子ゲルが厚すぎる場合は、コンブ目植物の胞子体が種苗糸本体に付着する前に高分子ゲルが分解されてしまうため、胞子体が高分子ゲルと共に種苗糸本体から脱離してしまう可能性が高くなる。後述する実施例に高分子ゲルで被覆されている種苗糸の一例を示す(実施例3参照)。
高分子ゲルで被覆されている種苗糸は、従来の種苗糸と同様の形態をしているため、従来の生産方法とほぼ同様に用いることができる。例えば、陸上の施設において、高分子ゲルで被覆されている種苗糸の表面に種苗(遊走子、配偶体または胞子体)を付着させて、幼胞子体まで生育させる。次いで、この幼胞子体が付着した種苗糸を養成網に挟み込み、この養成網を海中に沈めて幼胞子体を生長させることで、コンブ目植物の胞子体を生産することができる。
このような高分子ゲルで被覆されている種苗糸では、種苗糸表面が高分子ゲルで被覆されるため、種苗糸表面の物理的な凹凸が減少している。したがって、高分子ゲルで被覆されている種苗糸は、従来の種苗糸に比較して他の水棲生物の付着を抑制することができる。
高分子をその表面に有する粒状体とは、例えば、球状または多面体状の樹脂粒子や金属粒子を前述の高分子ゲルで被覆したものや、前述の高分子ゲルからなる球体または多面体などである。内部に樹脂粒子を有する粒状体の場合、この樹脂粒子の材質や大きさなどは特に限定されず、生産するコンブ目植物の種類や生産する環境に応じて適宜設定すればよい。これらの高分子ゲルを含む粒状体の大きさは特に限定されず、粒径が100μm〜5cm程度であればよい。前述のように、高分子ゲルが厚すぎる場合は、コンブ目植物の胞子体が樹脂粒子や他の胞子体の付着器などに付着する前に高分子ゲルが分解されてしまうため、胞子体が高分子ゲルと共に粒状体から脱離してしまう可能性が高くなる。
高分子をその表面に有する粒状体は、例えば、特許文献5に記載されているような陸上養殖において種苗の集塊を形成するのに好適に使用されうる。
以上のような基材では、配偶体や胞子体は、その表面に付着するだけでなく、その一部がゲル内部に埋没するように付着するため、短期間でより強固に基材に付着することができる。
[種苗]
本発明の生産方法では、コンブ目植物の遊走子、配偶体(雌性配偶体および雄性配偶体)または胞子体を種苗とすることができる。この中では、コンブ目植物の配偶体または胞子体を種苗とすることが好ましい。配偶体の優良株またはそれから得られた幼胞子体を種苗とすることで、高品質のコンブ目植物の胞子体を安定して生産することができるためである。
配偶体を種苗とする場合は、天然の胞子体由来の遊走子を培養して準備した配偶体を種苗としてもよいが、前述の理由により培養保存されている配偶体株を種苗とすることが好ましい。遊走子から配偶体を得る方法および配偶体を培養保存する方法は、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。後述する実施例に配偶体を培養保存する方法の一例を示す。
胞子体を種苗とする場合は、天然の胞子体や天然の胞子体由来の遊走子を培養して準備した幼胞子体を種苗としてもよいが、前述の理由により培養保存されている配偶体株を培養して得られる幼胞子体を種苗とすることが好ましい。遊走子または配偶体株から幼胞子体を得る方法は、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。
[手順]
本発明の生産方法は、コンブ目植物の種苗(遊走子、配偶体または胞子体)を前述の基材表面の高分子ゲルに付着させるステップを含むことを特徴とする。以下、コンブ目植物の配偶体を種苗とした場合および胞子体を種苗とした場合の手順の一例について説明する。
(配偶体を種苗とする場合)
配偶体を種苗とする場合は、例えば(1)コンブ目植物の雌性配偶体および雄性配偶体を準備し、(2)準備した配偶体を基材表面の高分子ゲルに付着させ、(3)高分子ゲルに付着した配偶体を成熟させて卵および精子を形成させ、(4)形成された卵と精子とを受精させて胞子体を発生させ、(5)発生した胞子体を生長させればよい。
ステップ(1)において、コンブ目植物の雌性配偶体および雄性配偶体を準備する方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法を適宜採用すればよい。後述する実施例に配偶体を準備する方法の一例を示す。
ステップ(2)において、配偶体を高分子ゲルに付着させる方法は、配偶体を高分子ゲルに付着させうるのであれば特に限定されず、例えば配偶体を撒いた培養液中に基材を浸漬すればよい。このとき、ステップ(1)で準備した配偶体を細断するなどして細分化した後に、高分子ゲルに付着させることが好ましい。細分化された各配偶体が高分子ゲルに付着しやすくなるためである。配偶体を細分化する方法は特に限定されず、例えばカミソリやミキサーなどで細断すればよい。また、高分子ゲルに付着させる配偶体の数は、コンブ目植物の種類や基材の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、高分子ゲルで被覆されている種苗糸を基材とする場合は、1cmあたりに20個体も付着させれば十分である。付着する配偶体の数が多すぎると、以後のステップにおいて間引きをする必要が生じる。表面に付着した配偶体は、その一部がゲル内部に埋没することにより短期間で強固に基材に付着する。後述する実施例に配偶体を高分子ゲルに付着させる方法の一例を示す。
ステップ(3)において配偶体を成熟させる方法、およびステップ(4)において胞子体を発生させる方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法を適宜採用すればよい。通常は、ステップ(2)において配偶体を基材に付着させた後、そのまま適切な培養液中で配偶体を成熟させれば、ステップ(3)およびステップ(4)を人為的に行うことなくステップ(5)に進むことができる。
ステップ(5)において、胞子体を生長させる方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法を適宜採用すればよい。例えば、高分子ゲルで被覆されている種苗糸を基材とする場合は、胞子体が付着した種苗糸を養成網に挟み込み、この養成網を海中に沈めて胞子体を生長させればよい。また、高分子ゲルをその表面に有する粒状体を基材とする場合は、特許文献5に記載されているように、基材を中心として形成された胞子体の集塊を浮遊させた状態で培養すればよい。胞子体は、最初は基材表面の高分子ゲルに付着するが、生長するに伴い付着器を延ばして基材本体(高分子ゲルで被覆された種苗糸の場合は、種苗糸本体)または他の胞子体の付着器に付着する。したがって、ある程度胞子体が生長した後であれば、高分子ゲルは分解されても問題とならない。
(胞子体を種苗とする場合)
胞子体を種苗とする場合は、例えば(1)コンブ目植物の(幼)胞子体を準備し、(2)準備した(幼)胞子体を基材表面の高分子ゲルに付着させ、(3)付着した胞子体を生長させればよい。
ステップ(1)において、コンブ目植物の胞子体を準備する方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法を適宜採用すればよい。
ステップ(2)において、胞子体を高分子ゲルに付着させる方法は、胞子体を高分子ゲルに付着させうるのであれば特に限定されず、例えば胞子体を撒いた培養液中に基材を浸漬すればよい。このとき、ステップ(1)で準備した胞子体を細断するなどして細分化した後に、高分子ゲルに付着させることが好ましい。細分化された各胞子体が高分子ゲルに付着しやすくなるとともに、細分化された胞子体がそれぞれ成熟胞子体となるので、生産性が向上するためである。胞子体を細分化する方法は特に限定されず、例えばカミソリやミキサーなどで細断すればよい。また、高分子ゲルに付着させる胞子体の数は、コンブ目植物の種類や基材の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、高分子ゲルで被覆されている種苗糸を基材とする場合は、1cmあたりに20個体も付着させれば十分である。付着する胞子体の数が多すぎると、以後のステップにおいて間引きをする必要が生じる。表面に付着した胞子体は、その一部がゲル内部に埋没することにより短期間で強固に基材に付着する。
ステップ(3)において、胞子体を生長させる方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法を適宜採用すればよい。例えば、高分子ゲルで被覆されている種苗糸を基材とする場合は、胞子体が付着した種苗糸を養成網に挟み込み、この養成網を海中に沈めて胞子体を生長させればよい。また、高分子をその表面に有する粒状体を基材とする場合は、特許文献5に記載されているように、基材を中心として形成された胞子体の集塊を浮遊させた状態で培養すればよい。胞子体は、最初は基材表面の高分子ゲルに付着するが、生長するに伴い付着器を延ばして基材本体(高分子ゲルで被覆された種苗糸の場合は、種苗糸本体)または他の胞子体の付着器に付着する。したがって、ある程度胞子体が生長した後であれば、高分子ゲルは分解されても問題とならない。
以上のように、本発明の生産方法によれば、種苗を付着させる基質に高分子ゲルを用いることで、コンブ目植物の配偶体または(幼)胞子体を種苗とすることができる。特に、室内で培養保存されている非遊泳性の糸状配偶体を種苗とすることで、高品質の産物を安定して効率よく生産することができる。また、培養保存されている非遊泳性の糸状配偶体を種苗とすることで、種苗生産の現場において「胞子体の採取」や「遊走子の単離」などの作業の労力を軽減させることができる。さらに、陸上養殖(特許文献5参照)においても、高分子ゲルの粒状体を基材とすることで種苗の集塊を容易に形成することができる。
以下、本発明を実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[実施例1]
実施例1では、ホソメコンブ(Laminaria (Saccharina) religiosa)の配偶体(種苗)を3種類の本発明の基材(ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体、ポリアクリルアミドゲルの粒状体、アルギン酸ナトリウムゲルの粒状体)に付着させた後、各基材について配偶体の付着状況および生存状況を観察した結果を示す。
1.配偶体の調製
天然採取したホソメコンブの成熟胞子体(コンブ母藻)から遊走子を単離した。単離した遊走子を無菌培養し、配偶体の段階で保存した(ASP12 NTA(−Fe)培養液、14℃、明14時間−暗10時間サイクル)。実験を開始する前に、無菌保存されていた雌性配偶体および雄性配偶体を市販のカミソリを用いて細断し、ナイロンメッシュ(オープニング:100μm)に通して、細分化された雌性配偶体および雄性配偶体を調製した。
2.基材の調製
(ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体)
アクリル酸(モノマー)6.8g、メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)0.62gおよび過硫酸カリウム(開始剤)0.27gを純水100mlに溶解させ、アクリル酸モノマー水溶液を調製した。また、外寸縦150mm、横150mm、幅10mmのコの字型の枠を厚さ5mmのシリコンゴムシートで作製し、このシリコン枠を縦150mm、横150mmのガラス板2枚で挟んで重合容器を作製した(ガラス板間の間隔は5mm)。調製したアクリル酸モノマー水溶液を開口部から重合容器内に20ml入れ、60℃で3時間加熱して熱重合によりゲル化させ、ポリアクリル酸ゲルを調製した。次いで、重合容器から取り出したポリアクリル酸ゲルを2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、70℃で3時間加熱してポリアクリル酸ナトリウムゲルを調製した。調製したポリアクリル酸ナトリウムゲルを縦20mm、横20mmの正方形に切り出し(厚さは5mm+α)、これを200ml以上の量の純水に浸し、数時間ごとに同量の純水に交換した。3日以上かけて未反応物を除去し、平衡膨潤させてポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体を調製した。
(ポリアクリルアミドゲルの粒状体)
アクリルアミド(モノマー)3.6g、メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)0.3gおよび過硫酸カリウム(開始剤)0.014gを純水50mlに溶解させ、アクリルアミドモノマー水溶液を調製した。調製したアクリルアミドモノマー水溶液を前述の重合容器内に開口部から20ml入れ、60℃で3時間加熱して熱重合によりゲル化させ、ポリアクリルアミドゲルを調製した。次いで、重合容器から取り出したポリアクリル酸ゲルを縦20mm、横20mmの正方形に切り出し(厚さは5mm+α)、これを200ml以上の量の純水に浸し、数時間ごとに同量の純水に交換した。3日以上かけて未反応物を除去し、平衡膨潤させてポリアクリルアミドゲルの粒状体を調製した。
(アルギン酸ナトリウムゲルの粒状体)
アルギン酸ナトリウム2gを70℃の純水48mlに保温および攪拌しながら少量ずつ加えて溶解させ、アルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。同様に、塩化カルシウム1gを純水99mlに溶解させて塩化カルシウム水溶液を調製した。また、外寸縦150mm、横150mm、幅10mmのコの字型の枠を厚さ5mmのシリコンゴムシートで作製し、このシリコン枠を縦150mm、横150mmのガラス板に載せて重合容器を作製した(シリコン枠の高さは5mm)。調製したアルギン酸ナトリウム水溶液を前述の重合容器の枠内に注ぎ、均一の厚みになるまで静置した。次いで、シリコン枠内のアルギン酸ナトリウム水溶液に前述の塩化カルシウム水溶液を噴霧してアルギン酸ナトリウム水溶液をゲル化させ、アルギン酸ナトリウムゲルを調製した。次いで、重合容器から取り出したアルギン酸ナトリウムゲルを縦20mm、横20mmの正方形に切り出し(厚さは5mm+α)、アルギン酸ナトリウムゲルの粒状体を調製した。
3.実験方法
上記「2.基材の調製」で準備した各基材(高分子ゲル)を人工海水(ダイゴ人工海水:日本製薬)で平衡膨潤させた。次いで、平行膨潤させた各基材(高分子ゲル)を6穴プレートのそれぞれ異なるウェルに入れた。次いで、上記「1.配偶体の調製」で準備した細分化された雌性配偶体および雄性配偶体を各ウェルに入れて静置した(15℃、明14時間−暗10時間サイクル)。
配偶体を各ウェルに入れてから6日後に、倒立顕微鏡を用いて配偶体の付着状況および生存状況を観察した。付着状況については、ピペッターを用いてウェル内の人工海水を流動させて、配偶体が基材(高分子ゲル)表面から脱離するかどうかで判断した。生存状況については、細胞質の収縮や流出、細胞の伸展異常などの異常な状態を配偶体が示しているかどうかで判断した。
4.結果
図1は、各基材に付着した配偶体の様子を示す写真である。図1Aは、ポリアクリル酸ナトリウムゲルに付着した配偶体を示す写真、図1Bはポリアクリルアミドゲルに付着した配偶体を示す写真、図1Cはアルギン酸ナトリウムゲルに付着した配偶体を示す写真である。これらの写真に示されるように、各基材に付着した配偶体は、異常な状態を示すことなく正常な状態で生存していることが確認された。
表1は、各ウェルにおける配偶体の付着状況および生存状況を示す表である。なお、ポリアクリル酸ナトリウムゲルについては、白色不透明のゲルを裏返して配偶体の生存状況を観察したため、配偶体の付着状況については調べることができなかった。
本実施例により、ホソメコンブの配偶体は3種類の高分子ゲルに対して概ね良好な付着性を示すこと、およびホソメコンブの配偶体は3種類の高分子ゲル上において正常に生育できることがわかる。
[実施例2]
実施例2では、ホソメコンブの配偶体(種苗)を4種類の本発明の基材(ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体、ポリアクリルアミドゲルの粒状体、表面グラフト化ポリアクリルアミドゲルの粒状体、アルギン酸ナトリウムゲルの粒状体)に付着させた後、各基材について付着した配偶体の数および発芽した胞子体の数を計測した結果を示す。
1.配偶体の調製
実施例1と同様の手順で、細分化された雌性配偶体および雄性配偶体を準備した。
2.基材の調製
(ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体)
実施例1と同様の手順で、ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体(ブロック)を調製した。
(ポリアクリルアミドゲルの粒状体)
実施例1と同様の手順で、ポリアクリルアミドゲルの粒状体(ブロック)を調製した。
(表面グラフト化ポリアクリルアミドゲルの粒状体)
実施例1と同様の手順でアクリルアミドモノマー水溶液を調製した。次いで、外寸縦150mm、横150mm、幅10mmのコの字型の枠を厚さ5mmのシリコンゴムシートで作製した。また、縦150mm、横150mmのガラス板に同サイズのシリコンゴムシート(厚さ1mm)を吸着固定して、シリコンゴムシート固定ガラス板を2枚作製した。2枚のシリコンゴムシート固定ガラス板(シリコンゴムシートが内側)の間にシリコン枠を挟んで重合容器を作製した(シリコンゴムシート間の間隔は5mm)。調製したアクリル酸モノマー水溶液を前述の重合容器内に開口部から20ml入れ、60℃で3時間加熱して熱重合によりゲル化させ、表面グラフト化ポリアクリルアミドゲルを調製した。次いで、重合容器から取り出した表面グラフト化ポリアクリルアミドゲルを縦20mm、横20mmの正方形に切り出し(厚さは5mm+α)、これを200ml以上の量の純水に浸し、数時間ごとに同量の純水に交換した。3日以上かけて未反応物を除去し、平衡膨潤させてポリアクリルアミドゲルの粒状体を調製した。
(アルギン酸ナトリウムゲルの粒状体)
実施例1と同様の手順で、アルギン酸ナトリウムゲルの粒状体(ブロック)を調製した。
3.実験方法
上記「2.基材の調製」で準備した各基材(高分子ゲルのブロック)の中央にワイヤーを通し、各基材を丸底フラスコ(容量500ml)内に吊り下げた。また、比較例として、長さ15cmに裁断した直径2mmのクレモナ糸(株式会社クラレ)も丸底フラスコ内に吊り下げた。次いで、上記「1.配偶体の調製」で準備した細分化された雌性配偶体および雄性配偶体を丸底フラスコ内に均等に撒き、通気培養した(PES培養液450ml、14℃、明14時間−暗10時間サイクル)。
培養を開始してから3日後に各基材に付着した配偶体の数を計測し、17日後に各基材上で発芽した胞子体の数を計測し、19日後に発芽した各胞子体のサイズを計測した。
4.結果
表2は、各基材について、基材に付着した配偶体の数、発芽した胞子体の数、および発芽した各胞子体のサイズを計測した結果を示す表である。「幼胞子体サイズ」のかっこ内の数値は、平均値を示している。
ホソメコンブの雌性配偶体および雄性配偶体は、基材表面に付着すると菌糸のように伸長する。好適な条件下では数週間後に、雌性配偶体および雄性配偶体は、造卵器および造精器をそれぞれ形成し、卵および精子をそれぞれ放出する。通常、受精卵は、雌性配偶体から遊離して別の場所に付着して発芽し、胞子体となる。したがって、基材表面に付着した配偶体の数と基材上で発芽した幼胞子体の数との間には必ずしも相関関係があるとは限らない。表2から、本実施例においてもこのことが当てはまることがわかる。
表2から、ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体は、付着した配偶体の数および発芽胞子体の数の点から特に優れていることがわかる。また、発芽した胞子体の生長の程度を示す葉長についても、ポリアクリル酸ナトリウムゲルの粒状体は、比較例のクレモナ糸に比べて1.5〜1.8倍と優れていることがわかる。
本実施例により、ホソメコンブの配偶体は本発明の基材に対して良好な付着性を示すこと、ホソメコンブの受精卵は本発明の基材上において良好に発芽できること、および発芽した胞子体は本発明の基材上において良好に生長できることがわかる。
[実施例3]
実施例3では、ホソメコンブの配偶体(種苗)を2種類の本発明の基材(ポリアクリル酸ナトリウムゲルで被覆した種苗糸、アルギン酸ナトリウムゲルで被覆した種苗糸)に付着させた後、各基材について発芽した胞子体の数を観察した結果を示す。
1.配偶体の調製
実施例1と同様の手順で、細分化された雌性配偶体および雄性配偶体を準備した。
2.基材の調製
(ポリアクリル酸ナトリウムゲルで被覆した種苗糸)
アクリル酸ナトリウム(モノマー)4.7g、メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)0.3gおよび過硫酸カリウム(開始剤)0.13gを純水50mlに溶解させ、アクリル酸ナトリウム水溶液を調製した。
長さ15cmに裁断した直径2mmのクレモナ糸を、前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に3分間浸漬した。次いで、クレモナ糸を空気中に引き上げた後に、60℃に設定した定温恒温乾燥機(NDO-450SD:東京理化器械株式会社)内で3時間加熱して、クレモナ糸周囲のアクリル酸ナトリウムを熱重合によりゲル化させた。得られた種苗糸(ポリアクリル酸ナトリウムゲル被覆クレモナ糸)を200mlのろ過海水に浸漬し、3時間ごとに合計3回ろ過海水を交換して未反応物を取り除いた。
(アルギン酸ナトリウムゲルで被覆した種苗糸)
アルギン酸ナトリウム4gを70℃に温めた純水100mlに攪拌した状態で少量ずつ加えて溶解させて、アルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。また、塩化カルシウム1gを純水100mlに溶解させて、塩化カルシウム水溶液を別個に調製した。
長さ15cmに裁断した直径2mmのクレモナ糸を、前述のアルギン酸ナトリウム水溶液に3分間浸漬した。次いで、このクレモナ糸を空気中に引き上げて30秒間その状態を維持した後に、塩化カルシウム水溶液に浸漬してクレモナ糸周囲のアルギン酸ナトリウムをゲル化させた。得られた種苗糸(アルギン酸ナトリウムゲル被覆クレモナ糸)は、そのまま培養実験に供した。
3.実験方法
上記「2.基材の調製」で準備した各基材(処理済のクレモナ糸)をそれぞれ2本ずつ丸底フラスコ(容量500ml)内に吊り下げた。また、比較例として、未処理のクレモナ糸も丸底フラスコ内に吊り下げた。次いで、上記「1.配偶体の調製」で準備した細分化された雌性配偶体および雄性配偶体を丸底フラスコ内に均等に撒き、通気培養した(PES培養液450ml、14℃、明14時間−暗10時間サイクル)。配偶体を撒いてから20時間後に、各基材を新たに準備した丸底フラスコに移し、同様の条件で通気培養した。各基材を移してから14日後に、丸底フラスコ内の培地を新たな培地に交換した。以後、7〜10日ごとに丸底フラスコ内の培地を新たな培地に交換した。
培養を開始してから54日後に、各基材について単位長さ(1cm)あたりの発芽胞子体の数を計測した。
4.結果
表3は、各基材について、単位長さ(1cm)あたりの発芽胞子体の数を計測した結果を示す表である。「サンプル1」および「サンプル2」とは、2本の糸のそれぞれを意味する。
表3に示すように、本発明の基材(ポリアクリル酸ナトリウムゲル被覆クレモナ糸およびアルギン酸ナトリウムゲル被覆クレモナ糸)には、比較例の基材(未処理クレモナ糸)に比べて2〜4倍の数の胞子体が発芽していた。また、各基材についてサンプル1とサンプル2とを比較したところ、比較例の基材では発芽胞子体の数が大きくばらついていたが、本発明の基材では発芽胞子体の数がほとんど同じであった。
本実施例により、本発明の基材は、従来の基材と異なり、ホソメコンブの配偶体を種苗としても胞子体を安定して発芽させうることわかる。
本出願は、2007年8月1日出願の特願2007−201216に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明は、培養保存されている配偶体株を種苗として安定した品質のコンブ目植物の胞子体を効率的に生産することができるため、コンブやワカメなどの養殖業に有用である。

Claims (8)

  1. コンブ目植物の雌性配偶体および雄性配偶体を準備するステップと、
    前記雌性配偶体および前記雄性配偶体を高分子ゲルの表面に直接付着させるステップと、
    露出した状態で前記高分子ゲルの表面に付着している前記雌性配偶体を成熟させて卵を形成させるステップと、
    露出した状態で前記高分子ゲルの表面に付着している前記雄性配偶体を成熟させて精子を形成させるステップと、
    前記卵と前記精子とを受精させて、胞子体を発生させるステップと、
    前記胞子体を生長させるステップと、
    を含み、
    前記高分子ゲルは、粒径が100μm〜5cmの範囲内の粒状体である、
    コンブ目植物の胞子体の生産方法。
  2. コンブ目植物の胞子体を準備するステップと、
    前記胞子体を高分子ゲルの表面に直接付着させるステップと、
    露出した状態で前記高分子ゲルの表面に付着している前記胞子体を生長させるステップと、
    を含み、
    前記高分子ゲルは、粒径が100μm〜5cmの範囲内の粒状体である、
    コンブ目植物の胞子体の生産方法。
  3. 前記雌性配偶体および前記雄性配偶体を準備するステップにおいて、前記雌性配偶体および前記雄性配偶体は細分化されている、請求項1に記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
  4. 前記胞子体を準備するステップにおいて、前記胞子体は細分化されている、請求項2に記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
  5. 前記高分子ゲルは、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドもしくはアルギン酸またはこれらの塩を含む、請求項1に記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
  6. 前記高分子ゲルは、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドもしくはアルギン酸またはこれらの塩を含む、請求項2に記載のコンブ目植物の胞子体の生産方法。
  7. 高分子ゲルで被覆されている種苗糸、または粒径が100μm〜5cmの範囲内の高分子ゲルの粒状体であるコンブ目植物の胞子体を生産するための基材であって、
    前記高分子ゲルは、アニオン性または中性であり、かつポリアクリル酸、ポリアクリルアミドもしくはアルギン酸またはこれらの塩を含む、基材。
  8. 前記高分子ゲルは、アニオン性の高分子ゲルであって、アニオン性基が塩である、請求項に記載の基材。
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