JP5390265B2 - 真空断熱材およびそれを用いた断熱箱体並びに機器 - Google Patents

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本発明はポリマーブレンド材からなる長繊維ウェブ、特に保温・保冷機能を向上させる真空断熱材およびそれを用いた断熱箱体並びに機器に関する。
近年、地球温暖化に対する観点から、家電品の消費電力量削減の必要性が望まれている。その中でも冷蔵庫、エアコン等は特に消費電力量の多い製品であり、消費電力量の削減が地球温暖化対策として必要な状況にある。冷蔵庫を例に挙げると、冷蔵庫の消費電力は庫内の負荷量が一定であれば、冷却用圧縮機の効率と、庫内からの熱漏洩量に関係する断熱材の断熱性能によってその大部分が決まる。そのため、冷蔵庫の技術開発においては圧縮機の効率と共に断熱材の性能向上が求められる。
近年では、高性能な断熱材として真空断熱材があり無機繊維のグラスウール(平均繊維径:3〜5μm)を芯材にした真空断熱材が製品化されている。真空断熱材としては、ガスバリア性の外包材中に断熱性に優れる芯材を入れ、内部を真空状態にすることで作製される。しかし、グラスウールを用いる芯材の場合には、粉塵、CO排出量、エコリサイクル等への環境負荷が問題視されてきている。一方、環境負荷に優れる有機繊維を用いた真空断熱材の芯材として、各種の提案がなされている。
例えば、グラスウールと熱可塑性樹脂の繊維とを含有する真空断熱材用のコア材で、熱可塑性樹脂の繊維がポリプロピレン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレンを加熱溶融および加圧によりグラスウールと接着させる構成とすることで吸着剤を封入せずに、耐圧性が高く形状維持の優れた断熱性能を示す真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリエステル繊維を含有する芯材を収容する内包材が減圧状態の外包材に収容した真空断熱材であり、ポリエステル繊維の太さが1〜6デニール、内包材がポリエチレンテレフタレート、芯材の密度が150〜300Kg/mとすることで製造時およびリサイクル時の環境負荷が低く、取り扱い性や生産効率に優れる良好な断熱性の真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、融点の異なる2種のポリエステル繊維を含む繊維集合体をシート状の真空断熱材の芯材として、繊維集合体がサーマルボンド法、ニードルパンチ法でシート状に加工され、低融点のポリエステル繊維が110〜170℃、高融点のポリエステル繊維がさらに20℃以上高く、繊維太さが1〜6デニールで配合割合が10:90〜30:70とすることにより、製造時やリサイクル時の環境負荷が低く作業性に優れる良好な断熱性の真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、芯材が繊維太さ1〜6デニールのポリエステル繊維を50重量%以上含有するシート状繊維集合体であり、平均繊維径が9〜25μm、繊維集合体がニードルパンチ法によりシート状に加工され、芯材の密度が150〜300Kg/mとすることにより、製造時およびリサイクル時の環境負荷が低く、取り扱い性や生産効率に優れる良好な断熱性の真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、芯材が有機繊維からなるシート状繊維集合体であり、芯材の真空引き後の真空断熱材厚みが0.1〜5mm、ガス吸着物質がポリエステル繊維不織布で覆われ、目付けが30〜200g/m2で芯材がポリエステル繊維とすることにより、製造時およびリサイクル時の取り扱い性が容易で真空引き後の曲面加工性および断熱性に優れる真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
図5に従来の真空断熱材6の断面模式図を示す。グラスウールの芯材やポリエステル単繊維の芯材5をゲッター剤4と共に外包材2で減圧封止する構成の真空断熱材である。
特開2003−155651号公報 特開2006−283817号公報 特開2006−57213号公報 特開2008−57793号公報 特開2006−153199号公報
前記特許文献1に記載された真空断熱材は、グラスウールと熱可塑性樹脂の繊維を加熱溶融(約180〜220℃)および加圧(約1Kg/cm)することで、グラスウールに接着する芯材としたものである。そのため、熱可塑性樹脂の繊維が有機バインダー機能を有するため、アウトガスの影響で断熱性能が低下する。また、グラスウールと熱可塑性樹脂を満遍なく混合開繊して綿状混合物の積層体を芯材とした場合に、熱可塑性樹脂の繊維では繊維同士の接合点面積が増加し、熱移動経路が増して断熱性能が低下する。
即ち、グラスウールおよび熱可塑性樹脂の繊維では、芯材が混合繊維の積層体と各々繊維の積層体では熱伝導率が異なり、記載されるような混合の場合には断熱性が低い。また、真空断熱材の折り曲げ性は述べられていないが、グラスウールの芯材では被取り付け部の形状に沿う曲げが困難で、無理に曲げるとグラスウールの切断と曲げ部で芯材厚みが減少して断熱性能が劣化する。さらに、グラスウール含有の芯材では、人体への粉塵影響、CO排出量の増加、循環型リサイクルの困難性等、環境負荷が大きい。
また、特許文献2に記載された真空断熱材では、環境負荷が小さくリサイクル性が優れる。しかし、芯材がポリエステル繊維では分子中にエステル結合を有し、吸水率が0.4〜0.5%と高い。真空断熱材としては、総ガス量の大部分が水分でありポリエステル繊維が水分を吸着して熱伝導率が高くなる。そのため、真空断熱材を作製する直前に水分除去や再吸着の処理が必要となる。
特許文献3に記載された真空断熱材では、環境負荷が小さくリサイクル性が優れる。しかし、芯材が融点の異なる2種のポリエステル繊維集合体では、分子中にエステル結合の極性基を有し吸水率が約0.4〜0.5%と高く、芯材の水分量が熱伝導率に影響し真空断熱材の作製直前に水分除去が必要になる。また、繊維集合体がサーマルボンド法やニードルパンチ法によりシート状に加工され、低融点のポリエステル繊維が110〜170℃の加温および高融点のポリエステル繊維が20℃以上高い加温処理で、記載されるように熱伝導率が4mW/m・K以上と高く断熱性能が低い。
特許文献4に記載された真空断熱材では、環境負荷が小さくリサイクル性に優れる。しかし、芯材の繊維太さが1〜6デニールのポリエステル繊維を50重量%以上含有するシート状繊維の集合体では分子中にエステル結合の極性基を有し、吸水率が0.4〜0.5%と高く芯材の水分量が熱伝導率に影響する。ポリエステル繊維集合体に含有される他の繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、アラミド、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリウレタンの合成繊維や無機繊維や天然繊維である。
特許文献5に記載された真空断熱材では、環境負荷が小さくリサイクル性が優れる。しかし、芯材が有機繊維からなるシート状繊維集合体であり、芯材の真空引き後の厚みが0.1〜5mm厚で、ガス吸着材袋がポリエステル繊維の不織布、芯材がポリエステル繊維で分子中にエステル結合を有し吸水率が0.4〜0.5%と高く、芯材の水分により熱伝導率が高くなり断熱性能が悪化する。
特許文献2〜5に係る真空断熱材では、熱伝導率がいずれも3mW/m・K以上と高く断熱性能が低い。断熱性能が低い真空断熱材を冷蔵庫等に搭載すると、熱漏洩量が多く、冷蔵庫の消費電力量が増大する。さらに、冷蔵庫等の断熱箱体として使用する場合には、発泡ウレタン充填時の反応温度が約100℃となるため、ポリエステル繊維同士の融着が発生して空隙が少なくなり、真空断熱材の熱伝導率が更に悪化する。
これに対して、特許文献1に係るグラスウールを用いた真空断熱材では、平均繊維径が3〜5μmの極細繊維で熱伝導率が約2mW/m・Kと優れる。しかしながら、グラスウールを用いた真空断熱材の場合、上述したように環境負荷が高い。従って、グラスウールを用いた真空断熱材の使用はなるべく控えた方が良い。
また、真空断熱材としての真空引き後の厚みが0.1〜5mmの場合、厚みが不十分であり、断熱性の効果が低い。その結果、上述したように、熱伝導率がいずれも4mW/m・K以上と高い値である。これに対して、グラスウールを用いた真空断熱材では、真空引き後の厚みが約10mmであり、上述したように、高い断熱性能が得られる。
このように、グラスウールの芯材を用いた真空断熱材の場合、断熱性は良いが環境負荷が高い。また、ポリエステル単繊維の芯材を用いる場合、環境負荷は低いが、断熱性が低い。即ち、断熱性能が高く且つ環境負荷の低い芯材を提供することが困難であり、環境負荷の低い有機繊維であって且つグラスウール並みの断熱性能を備えた真空断熱材が求められる。
また、真空断熱材を各種の製品に適用する際、夫々の製品の形態に合わせた形状に変形させる必要がある。例えば、断熱箱体の角部に真空断熱材を適用する場合、角部にそって真空断熱材を折り曲げる。ここで、グラスウールやポリエステル単繊維の芯材を用いた真空断熱材の場合、繊維切断や曲げ部の厚みが減少し、真空断熱材への断熱性能が低下する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、有機繊維では不十分であった真空断熱材の高性能化および発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えることが可能な、環境負荷に優れる真空断熱材を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は次のような構成を採用する。
有機繊維集合体からなる芯材と、ゲッター剤と、前記芯材および前記ゲッター剤を収納するガスバリア性の外包材とを備え、前記外包材の内部を真空封止した真空断熱材において、前記芯材は、アモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成した長繊維ウェブによって形成されている構成とする。さらに、前記ポリマーブレンド材は、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート並びに長鎖炭化水素基を含有するポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリアミドイミドのうち少なくとも2種を用いて形成されている構成とする。さらに、前記長繊維ウェブは、前記溶融紡糸の方法としてメルトブローン法またはスパンボンド法により形成される構成とする。さらに、前記長繊維ウェブは、繊維同士が未接着の状態である構成とする。さらに、前記長繊維ウェブの平均繊維径が6〜20μmである構成とする。さらに、前記長繊維ウェブの密度が150〜300Kg/mである構成とする。さらに、前記外包材は内部に内袋が設けられており、前記長繊維ウェブが前記内袋に収納され、前記内袋を含む前記外包材の内部が減圧密封されている構成とする。
また、真空断熱材を含む断熱箱体であって、真空断熱材として上述した構成のいずれかを含む構成とする。さらに、前記真空断熱材が、前記断熱箱体において着脱可能な空間内に収容されている構成とする。さらに、前記真空断熱材が、前記断熱箱体の角部に沿って折り曲げて配設されている構成とする。さらに、断熱箱体を含む機器であって、断熱箱体として上述した構成のいずれかを含む構成とする。
本発明により、有機繊維では不十分であった真空断熱材の高性能化および発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えることが可能な、環境負荷に優れる真空断熱材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る真空断熱材の断面模式図である。 本発明の実施形態に係る真空断熱材を備えた断熱箱体一部の断面模式図である。 本発明の実施形態に係る各実施例及び比較例を示す表である。 本発明の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の縦断面図である。 従来技術に係る真空断熱材の断面模式図である。
本実施形態に係るポリマーブレンド材の芯材について、以下詳細に説明する。芯材に用いるブレンド繊維(2種類以上のポリマーが混合されてなる繊維である)とは、アモルファスからなる2種以上の熱可塑性樹脂を混合して溶融紡糸で繊維化し、その長繊維ウェブがサーマルボンド等の接着加工が施されていない芯材の形態である。また、ブレンドされた熱可塑性樹脂は、通常のエクストルーダー(押出機)やニーダーによる溶融混合によってブレンドされて生成される。ここで、ポリマーブレンドとは、複数のポリマーを混合することで新しい特性を持たせた高分子のことであり、ポリマーアロイとも呼ばれる。具体的な例示で云えば、一方のポリマーをクラスター状に分散させる等の物理的なプロセスでポリマーアロイを作る技術をポリマーブレンドと称する。図3に示すポリマーブレンドのI樹脂がベースとなるポリマーであり、II樹脂がブレンドされるポリマーである。
ベースとなるポリマーに対してブレンドされるポリマーの比率(重量比)は、10重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。同様に、上記比率は、90重量%以下が好ましく、より好ましくは70重量%以下である。ブレンド比率が10重量%未満であると、長繊維の耐熱性が劣り好ましくない。また、上記比率が70重量%を超えると、長繊維の剛性が低下し好ましくない。
さらに、ポリマーブレンド材としては、アモルファスからなるポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート並びに長鎖炭化水素基を含有するポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリアミドイミドの前駆体を用いる。具体的には、芯材、ゲッター剤、外包材を有し外包材が減圧封止される真空断熱材において、芯材がアモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成した未接着の長繊維ウェブを配したことにある。図3の説明で後述するが、ベース材にブレンド樹脂をブレンドする意味は、ベース材だけでは、真空断熱材周辺に充填される発泡ポリウレタンの発泡温度(例えば、100℃)に耐えられないので、その耐熱性能を改善するためにブレンド樹脂をブレンドする。
真空断熱材の芯材は、大気圧からその形状を保持するスペーサの機能を持ち、真空減圧時の圧縮応力を受けても空隙の高い繊維体が必要になる。また、断熱性の指標である熱伝導率が芯材の種類で大きく異なり、吸湿性が低く高剛性の繊維とするのにアモルファスからなる樹脂が好ましい。これは、熱伝導率はミクロ的には周期的に分子が並び易い秩序性の高い結晶質よりも溶融状態で分子がランダムに冷却される長繊維が、ランダム状態で固化したアモルファス構造が熱伝導率の低減に有用と推察されるからである。
その一例として、樹脂の熱伝導率から判断すると、例えば、結晶性のポリプロピレンが約240mW/m・Kであるのに対し、アモルファスのポリスチレンが約150mW/m・K、ポリカーボネートが約200mW/m・K、ポリイミド系が約100mW/m・Kと低くなる。本実施形態に係るポリマーブレンド材に用いる熱可塑性樹脂は、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートの市販品および冷蔵庫棚板等の粉砕物であるポリスチレンのリサイクル再生材やPETボトルやPETフィルム等の粉砕物であるポリエチレンテレフタレートのリサイクル再生材やコンパクトディスク等の粉砕物であるポリカーボネートのリサイクル再生材も使用できる。
また、長鎖炭化水素基を含有のポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリアミドイミドの前駆体である熱可塑性樹脂は市販されていないため、ポリマー合成後に貧溶剤および水に滴下させて作製した粉末状やフレーク状の樹脂を用い、ブレンド時の加熱により脱水閉環されるポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリアミドイミドである。熱可塑性樹脂のポリイミド市販品として、日本ジーイープラスチックス社製のウルテムがある。しかし、溶融温度が350℃以上と高くポリマーブレンド繊維とすることが困難である。ブレンド繊維には耐熱性が低いポリスチレンやポリエチレンテレフタレートも使用するため、高温では加熱減量が始まり熱劣化により熱伝導率が劣化するからである。
そこで、熱劣化等が発生しない300℃以下で溶融可能な熱可塑性樹脂のポリイミド系を検討した結果、長鎖炭化水素基を含有するポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリアミドイミドの前駆体がブレンド繊維に用いられ、目的が達成されることを見出した。上記の熱可塑性樹脂の可溶な溶剤には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ブチルラクトン等の極性溶剤がある。これらの溶剤中で、ジアミン成分等と酸無水物成分を用い、酸無水物成分を過剰にして合成したものである。
ジアミン成分には、長鎖炭化水素基を有する1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等があり炭素鎖長が奇数ほど低温での溶融化には好ましい。その他ジアミン等として、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン等をあげることができる。
また、酸無水物成分として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ニ無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸ニ無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、ビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ニ無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸ニ無水物等がある。
さらに、長繊維の形成方法は公知の方法が適用され、紡糸工程およびウェブ形成工程がある。この他、サーマルボンド等の接着工程があるが、熱伝導率の観点から接着レスの長繊維ウェブが好ましい。繊維同士が接着されている場合、その接着部において繊維同士の熱伝導性が上がるため、結果的に全体としての熱伝導率が上がり、断熱性が損なわれるからである。他方、繊維同士が接着されていれば、完成した長繊維の取り扱いが容易になる。従って、生成された長繊維の取り扱いの容易性を優先する場合は、接着工程を設けても良い。上記紡糸法には湿式、乾式、直接式があり、湿式が紡糸短繊維を水中に懸濁しウェブを形成する方法、乾式がエアレイ法やカード法である。
しかし、本実施形態においては直接式で溶融樹脂(ペレットやフレーク等)から紡糸されるメルトブローン法やスパンボンド法を用いることが好ましい。ここで、メルトブローン法とは、高温の空気を当てながら形成し、繊維をより細くすることができる方法であり、スパンボンド法とは、熱可塑性高分子を溶融させ、連続した長繊維状に吐出しながら形成する方法である。ポリイミド繊維には、高温(350〜400℃)で前駆体溶液をノズルから紡糸させて、溶剤を除去し加熱形成する湿式紡糸も知られているが、ブレンド繊維として前駆体溶液での繊維化は難しい。
本実施形態に係るポリマーブレンド材に使用する樹脂として、例えば、汎用ポリスチレンの場合で説明すると、側鎖のベンゼン環が嵩高く分子鎖が剛直で絡み難く脆く、曲げ弾性率が約3000MPaと高いものが好ましい。ポリスチレンは、疎水性の非極性基を有し吸湿性が低く、繊維化できれば分子量に制限がなく約6万〜35万が好ましい。しかし、ポリスチレンの代りに、例えば、結晶性樹脂のポリエチレンやポリプロピレンで吸湿性は低いが、曲げ弾性率も低く減圧時の圧縮応力で高空隙が難しく、熱伝導率が5mW/m・K以上と高くなってしまう。
繊維状態が短繊維では、ポイント繊維集合体の長さが短いと熱伝導率が劣るため、長繊維(連続した不定の長さの繊維である)で6〜20μmの平均繊維径が好ましい。また、繊維の剛さが繊維直径の4乗とヤング率の積に比例し、長径を1/2にすると剛さが1/16まで小さくなり、約6μm以上が好ましい。逆に、繊維径が大きすぎると繊維の接触が線に近く、接触熱抵抗の低減により熱伝導率が高く、約20μm以下が好ましい。
なお、平均繊維径は、走査式電子顕微鏡で約10本の繊維を含む視野の繊維直径を測定した。さらに、芯材の密度は150Kg/m以下で芯材の強度が低下し、300Kg/m以上では重く空隙率の点から熱伝導率が高い。芯材の密度は、軽すぎても重すぎても断熱性が低下する傾向にあり、密度が150〜300Kg/mが好ましい。芯材の密度は、外包材に収容した真空引き後の密度で真空断熱材を作製した重量から、外包材とゲッター剤の重量を差し引き、芯材重量と真空断熱材の体積から密度を算出したものである。
本実施形態に係るポリマーブレンド長繊維は、例えば、ポリスチレンとポリイミド前駆体を用いて、2軸押出し混練機で混練したポリマーブレンド材を、溶融紡糸で複合ノズルから押出し延伸により直接形成させる未接着の長繊維ウェブである。ポリスチレンでは、曲げ弾性率が高いGPPS(General Purpose PolyStyrene)、樹脂の溶融粘度(メルトフローレート:MFR)が良流動から高流動のペレットが好ましい。上記GPPSとしては、PSジャパン社製のPSJ−ポリスチレン(登録商標)等を用いることができる。
ポリスチレンとポリイミド前駆体のブレンド樹脂は、押出し温度が約250〜300℃でポリスチレン/ポリイミドのブレンド繊維に紡糸される。その際、温度が低いと押し出しトルクが増大し、温度が高いとゲル化しやすく繊維化されにくい。ポリマーブレンド長繊維としては、接着結合されていない芯材であり、配向した長繊維ウェブが生ずるように形成捕集される。具体的には、溶融紡糸法のメルトブローンやスパンボンドで異なる2種の熱可塑性樹脂からなるポリマーブレンド材をノズル先端から押出して空気の噴射により繊維を延伸しコレクター上に付着させて、繊維同士が未接着である長繊維ウェブを形成する。
なお、繊維の形状は、円形に限らずY形状、楕円形状、星形状、多角形状等でも良く、しかも、アモルファス樹脂は、成形収縮率が小さく繊維径のバラツキが少ない長繊維ウェブである。当然ながら、粉砕物のリサイクル再生材を用い、長繊維ウェブを単独もしくは併用させて真空断熱材に使用できる。また、支障のない範囲であれば、相溶化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤の補助成分を添加することも可能である。
本実施形態に係るポリマーブレンド芯材は、無機のグラスウールや有機のポリエステル単繊維に比べ、外包材を溶着する温度以下の加温(約60〜80℃)処理で折り曲げが可能な真空断熱材が得られる。アモルファスの長繊維は、ガラス転移温度付近で軟化し易い。即ち、ヤング率が低下する。その結果、加温による伸度増加状態での折り曲げ等の形状の変更が容易になると考えられる。これに対して、グラスウールでは折り曲げ難く、ポリエステル単繊維ではガラス転移温度付近で非晶域が結晶域に連結し拘束され易く加温による軟化が難しい。
また、グラスウールやポリエステル単繊維の芯材では吸湿性が高いため、外包材へ挿入する前に約300℃や約70℃の乾燥処理が必要である。それに対し、ブレンド繊維のアモルファス樹脂は、吸湿性が低く乾燥処理が特に必要ない。これにより、製造時の工程数を削減できるため、生産性を向上することができる。
外包材は、内部に気密部を設け芯材が覆う材料構成であり、減圧封止において芯材形状が反映される材質が好ましい。外包材はラミネートフィルムを袋状とするものが用いられ、衝撃対応の最外層とガスバリア性確保の中間層と熱融着によって密閉する最内層を有する。例えば、最外層にポリアミドフィルムで耐突き刺し性を向上し、中間層にアルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体フィルムを設け、最内層に高密度ポリエチレンが挙げられる。
具体的には、最外層にポリエチレンテレフタレート、中間層にアルミニウム箔、最内層に高密度ポリエチレンからなるラミネートフィルムや最外層にポリエチレンテレフタレート、中間層にアルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体、最内層に高密度ポリエチレンからなるラミネートフィルムである。
真空断熱材の信頼性を向上させるには、ゲッター剤を用いる。ゲッター剤とは吸着剤のことであり、二酸化炭素、酸素、窒素等のガス、水蒸気を吸収するものであればよく、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、モレキュラーシーブス、シリカゲル、酸化カルシウム、ゼオライト、疎水性ゼオライト、活性炭、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の吸収剤が使用される。
前記の真空断熱材は、断熱箱体を有する冷蔵庫等にも使用できる。冷蔵庫は外箱と内箱とで空間を作製し、空間内に真空断熱材を挿入し発泡ウレタンを充填する。真空断熱材と発泡ウレタンの挿入は、あらかじめ内箱と外箱とで形成される空間に真空断熱材を設置し、発泡ウレタンを注入させて一体成型する方法、または真空断熱材と発泡ウレタンをあらかじめ一体成型した真空断熱材を作製し、内箱あるいは外箱に貼り付け両者で挟持する方法があり、断熱性能を必要とする機器に応じて適宜使用される。
前記の真空断熱材は、保温や保冷の必要な各製品に適用できる。例えば、冷蔵庫、車両、建築建材、自動車、医療用機器等である。特に、熱交換部を含み断熱性が必要な機器全般に有効である。冷蔵庫等に本実施形態に係る真空断熱材を適用することで保温や保冷機能を向上させ、熱漏洩量および消費電力量の低減が期待できる。冷蔵庫等には、家庭用や業務用の冷蔵冷凍庫、自動販売機、商品陳列棚、保冷庫、クーラーボックス等が含まれる。また、車両に適用することで、省スペース化の真空断熱材の設置により車内空間が拡大され、断熱効果を持たせ結露等を防ぐことができる。
次に、本実施形態に係る真空断熱材および該真空断熱材を挿入した冷蔵庫の構造と作製について、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態に係る真空断熱材1の断面模式図を示す。この真空断熱材1は、アモルファスからなるブレンド長繊維の芯材3にゲッター剤4と共に外包材2で減圧封止される構成である。真空断熱材1によれば、アモルファスのブレンド長繊維の芯材3を用いて、断熱性能と環境負荷が両立される熱伝導率の低い真空断熱材が得られる。また、真空断熱材1を、外包材の溶着温度以下の約60〜80℃で加温しながら曲げることで外包材への歪みが少なく、熱伝導率が低い曲げ形状の真空断熱材も作製可能になり、断熱箱体並びに冷蔵庫等および機器に使用できる真空断熱材を得ることができる。
図2に、本実施形態に係る真空断熱材1を備えた断熱箱体7の模式図を示す。この断熱箱体7は、鉄板をプレス成型した箱体9の内面側の一部に、アモルファスのブレンド長繊維芯材を入れた真空断熱材1を挿入し、さらに、空隙部分に発泡ウレタン8を発泡充填した構成である。また、図2の例においては、箱体9の形状に合わせて、芯材3に折り曲げ部3´が設けられている。即ち、芯材3は、箱体9の形状に合わせて、折り曲げ部3´で折り曲げられている。
本実施形態に係る真空断熱材は、アモルファスのポリマーブレンド長繊維であり、実施例1〜6として製作したものについて、熱伝導率および熱伝導率の経時劣化、耐熱性(発泡ウレタン反応時の耐温度)、折り曲げ性、環境負荷(粉塵、CO排出量、エコリサイクル性)を確認した。また、ブレンド長繊維以外の芯材を用いたものを比較例1〜4で作製して、同様に確認した。その結果を図3に示し、夫々の実施例及び比較例について、以下に説明する。
[実施例1]
実施例1に係る真空断熱材は、以下のように作製されたものである。アモルファスからなるポリマーブレンド樹脂として、汎用のポリスチレンと長鎖炭化水素基を含有するポリイミド前駆体を用いた。上記汎用のポリスチレンとしては、PSジャパン社製のPSJ−ポリスチレン(登録商標)を用いた。
前駆体の合成法は、撹拌機を付与した容器に長鎖炭化水素基を有するジアミン成分として、1,7−ジアミノヘプタンおよび酸無水物成分として、過剰の3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物をN−メチル−2−ピロリドンの溶剤中で窒素ガス雰囲気下により6時間撹拌して重縮合後、得られた溶液をメタノール等の貧溶剤に滴下し形成した粉末樹脂をブレンド材に用いた。
ポリスチレンとポリイミド前駆体を70:30の重量比で、2軸押し出し混練機を用いて260℃で混練したポリマーブレンド材をメルトブローンにより、紡糸温度が約290℃で溶融閉環し紡糸ノズルを通して、ブレンド長繊維を作製した。その方法は、紡糸ノズルから紡糸される繊維を空気噴射で冷却制御されるエジェクターから繊維をコレクター上に付着させ、略円形状の長繊維ウェブを形成した。その平均繊維径は、約11.2μmで密度が約240Kg/mである。
さらに、ガスバリア性フィルムからなる外包材の中に、形成した未接着の長繊維ウェブの芯材を重ねて入れ、ガス吸着のゲッター剤を挟め、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールにより真空封止した。上記ゲッター剤としてはモレキュラーシーブス13Xを用いた。
得られた真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)の熱伝導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて10℃で測定した。熱伝導率が2.4mW/m・K、さらに、真空断熱材を60℃の恒温槽中に30日間放置後、熱伝導率を再測定したところ3.8mW/m・Kであった。上記から、アモルファス樹脂のポリスチレンとポリイミドからなるブレンド長繊維を用いた真空断熱材では、熱伝導率が低く断熱性能と環境負荷に優れる。即ち、発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えられる真空断熱材を提供できる。
[実施例2]
実施例2に係る真空断熱材は、曲げ形状を有し、以下のように作製されたものである。冷蔵庫のトレー等から回収されるアモルファスのリサイクル材である再生ポリスチレンと長鎖炭化水素基を含有するポリイミドシロキサン前駆体を用いた。前駆体の合成法は、撹拌機を付与した容器に、長鎖炭化水素基を有するジアミン成分として、1,9−ジアミノノナンとビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンおよび酸無水物成分として、過剰の3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物をN−メチル−2−ピロリドンの溶剤中で、窒素ガス雰囲気下で8時間撹拌して重縮合させ、得られた溶液をメタノール等の貧溶剤に滴下して得られた粉体樹脂をブレンド材に用いた。
再生されたポリスチレンとポリイミドシロキサン前駆体を50:50の重量比で、2軸押し出し混練機を用いて260℃で溶融混練および閉環したポリマーブレンド材をメルトブローンにより、紡糸温度約280℃で紡糸ノズルを通し、ブレンド長繊維を作製した。その方法は、紡糸ノズルから紡糸された繊維を空気噴射で冷却制御されるエジェクターから繊維をコレクター上に付着させ、略円形状の長繊維ウェブを形成した。その平均繊維径は、約6.5μmで密度が約150Kg/mである。
さらに、ガスバリア性フィルムからなる外包材の中に、形成した未接着の長繊維ウェブの芯材を重ねて入れ、ガス吸着のゲッター剤を挟め、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールにより真空封止した。上記ゲッター剤としては、疎水性ゼオライトHiSiv−3000を用いた。得られた真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)を曲げ試験機の支持台圧子に挟み、約60〜80℃の温度で加温しながら曲げ形状の真空断熱材を作製し、英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて10℃で熱伝導率を測定したところ、2.6mW/m・Kであった。
また、折り曲げ性について曲げ試験機を用い、試験条件(速度が10mm/min、支点間距離が100mmで支持台および圧子がφ20mmの丸棒を加温)で変位量40mmの最大曲げ荷重(N)を測定した。その結果、折り曲げ性は72.5Nと低く、60℃の恒温槽中に30日間放置後の熱伝導率を再測定したところ、4.2mW/m・Kであった。上記から、アモルファスからなる再生ポリスチレンとポリイミドシロキサンからなるブレンド長繊維を用いた真空断熱材では、熱伝導率が低く断熱性能と環境負荷に優れ、発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えられる真空断熱材を提供できる。
[実施例3]
実施例3に係る真空断熱材は、以下のように作製されたものである。アモルファスからなるポリマーブレンド樹脂として、ポリエチレンテレフタレートとポリカーボネートを10:90の重量比で、2軸押し出し混練機を用いて260℃で溶融混練および閉環してポリマーブレンドを生成する。ここで、上記ポリエチレンテレフタレートとしては、三菱化学社製のノバペックス(登録商標)を用いた。また、上記ポリカーボネートとしては、帝人化成社製のパンライト(登録商標)を用いた。
このように生成されたポリマーブレンド材をスパンボンドにより、紡糸温度約280℃で溶融して紡糸ノズルを通すことにより、ブレンド長繊維が作製される。具体的には、紡糸ノズルから紡糸された繊維を空気噴射で冷却制御されるエジェクターから繊維をコレクター上に付着させ、略円形状の長繊維ウェブを形成した。その平均繊維径は、約20.0μmで密度が約300Kg/mである。さらに、ガスバリア性フィルムからなる外包材の中に、形成した未接着の長繊維ウェブの芯材を重ねて入れ、ガス吸着のゲッター剤を挟め、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールにより真空封止した。上記ゲッター剤としては、モレキュラーシーブス13Xを用いた。
得られた真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)の熱伝導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて10℃で測定した。熱伝導率が2.9mW/m・K、さらに、真空断熱材を60℃の恒温槽中に30日間放置後、熱伝導率を再測定したところ4.8mW/m・Kであった。上記から、アモルファス樹脂のポリエチレンテレフタレートとポリカーボネートからなるブレンド長繊維を用いた真空断熱材では、熱伝導率が低く断熱性能と環境負荷に優れる。即ち、発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えられる真空断熱材を提供できる。
[実施例4]
実施例4に係る真空断熱材は、以下のように作製されたものである。アモルファスからなるポリマーブレンド樹脂として、汎用のポリスチレンと長鎖炭化水素基を含有するポリアミドイミド前駆体を用いた。汎用のポリスチレンとしては、PSジャパン社製のPSJ−ポリスチレン(登録商標)を用いた。前駆体の合成法は、撹拌機を付与した容器に長鎖炭化水素基を有するジアミン成分として、1,7−ジアミノヘプタンとアジピン酸ジヒドラジドおよび酸無水物成分として、過剰の3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物と3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ニ無水物をN−メチル−2−ピロリドンの溶剤中において、窒素ガス雰囲気下で8時間撹拌して重縮合後、得られた溶液をメタノール等の貧溶剤に滴下し形成した粉末樹脂をブレンド材に用いた。
ポリスチレンとポリアミドイミド前駆体を60:40の重量比で、2軸押し出し混練機を用いて260℃で溶融混練および閉環したポリマーブレンド材をメルトブローンにより、紡糸温度が約300℃で紡糸ノズルを通し、ブレンド長繊維を作製した。その方法は、紡糸ノズルから紡糸された繊維を空気噴射で冷却制御されるエジェクターから繊維をコレクター上に付着させ、略円形状の長繊維ウェブを形成した。その平均繊維径は、約13.2μmで密度が約260Kg/mである。
さらに、ガスバリア性フィルムからなる外包材の中に、形成した未接着の長繊維ウェブの芯材を重ねて入れ、ガス吸着のゲッター剤を挟め、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールにより真空封止した。上記ゲッター剤としては、疎水性ゼオライトHiSiv−3000を用いた。
得られた真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)の熱伝導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて10℃で測定した。熱伝導率が2.7mW/m・K、さらに、真空断熱材を60℃の恒温槽中に30日間放置後、熱伝導率を再測定したところ4.6mW/m・Kであった。上記から、アモルファス樹脂のポリスチレンとポリアミドイミドからなるブレンド長繊維を用いた真空断熱材では、熱伝導率が低く断熱性能と環境負荷に優れる。即ち、発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えられる真空断熱材を提供できる。
[実施例5]
実施例5に係る真空断熱材は、曲げ形状を有し、以下のように作製されたものである。アモルファスからなるポリマーブレンド樹脂として、ポリカーボネートと長鎖炭化水素基を含有するポリイミドシロキサン前駆体を用いた。ポリカーボネートしては、帝人化成社製のパンライト(登録商標)を用いた。前駆体の合成法は、撹拌機を付与した容器に長鎖炭化水素基を有するジアミン成分として、1,9−ジアミノノナンと1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサンおよび酸無水物成分として、過剰の3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物をN−メチル−2−ピロリドンの溶剤中で窒素ガス雰囲気下により7時間撹拌して重縮合後、得られた溶液をメタノール等の貧溶剤に滴下し形成した粉体樹脂をブレンド材に用いた。
ポリカーボネートとポリイミドシロキサン前駆体を50:50の重量比で、2軸押し出し混練機を用いて260℃で溶融混練および閉環したポリマーブレンド材をメルトブローンにより、紡糸温度が280℃で紡糸ノズルを通し、長繊維を作製した。その方法は、紡糸ノズルから紡糸された繊維を空気噴射で冷却制御されるエジェクターから繊維をコレクター上に付着させ、略円形状の長繊維ウェブを形成した。その平均繊維径は、約9.9μmで密度が約190Kg/mである。
さらに、ガスバリア性フィルムからなる外包材の中に、形成した未接着の長繊維ウェブの芯材を重ねて入れ、ガス吸着のゲッター剤を挟め、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールして真空封止で真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)を得た。上記ゲッター剤としては、疎水性ゼオライトHiSiv−3000を用いた。
その後、曲げ試験機の支持台圧子に真空断熱材を挟み、約60〜80℃の温度で加温しながら曲げ形状の真空断熱材を作製し、英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて10℃で熱伝導率を測定したところ、2.4mW/m・Kであった。また、折り曲げ性を曲げ試験機を用い、試験条件(速度が10mm/min、支点間距離が100mmで支持台および圧子がφ20mmの丸棒を加温)で変位量40mmの最大曲げ荷重(N)を測定した。その結果、折り曲げ性は74.4Nと低く、60℃の恒温槽中に30日間放置後の熱伝導率を再測定したところ、4.5mW/m・Kであった。上記から、アモルファス樹脂ポリカーボネートとポリイミドシロキサンからなるブレンド長繊維を用いた真空断熱材では、熱伝導率が低く断熱性能と環境負荷に優れる。即ち、発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えられる真空断熱材を提供できる。
[実施例6]
実施例6に係る真空断熱材は、以下のように作製されたものである。アモルファスからなるポリマーブレンド樹脂として、PETボトル等からリサイクルした再生ポリエチレンテレフタレートと長鎖炭化水素基を含有するポリイミド前駆体を用いた。前駆体の合成法は、撹拌機を付与した容器に長鎖炭化水素基を有するジアミン成分として、1,9−ジアミノノナンおよび酸無水物成分として、過剰の3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物と3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ニ無水物をN−メチル−2−ピロリドンの溶剤中で窒素ガス雰囲気下により6時間撹拌して重縮合後、得られた溶液をメタノール等の貧溶剤に滴下し形成した粉末樹脂をブレンド材に用いた。
再生ポリエチレンテレフタレートとポリイミド前駆体を30:70の重量比で、2軸押し出し混練機を用いて270℃で溶融混練および閉環したポリマーブレンド材をスパンボンドにより、紡糸温度が約290℃で紡糸ノズルを通し、ブレンド長繊維を作製した。その方法は、紡糸ノズルから紡糸された繊維を空気噴射で冷却制御されるエジェクターから繊維をコレクター上に付着させ、略円形状の長繊維ウェブを形成した。その平均繊維径は、約14.7μmで密度が約230Kg/mである。
さらに、ガスバリア性フィルムからなる外包材の中に、形成した未接着の長繊維ウェブの芯材を重ねて入れ、ガス吸着のゲッター剤を挟め、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールにより真空封止した。上記ゲッター剤としては、疎水性ゼオライトHiSiv−3000を用いた。
このようにして得られた真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)の熱伝導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて10℃で測定した。熱伝導率が2.8mW/m・K、さらに、真空断熱材を60℃の恒温槽中に30日間放置後、熱伝導率を再測定したところ4.9mW/m・Kであった。上記から、アモルファス樹脂の再生ポリエチレンテレフタレートとポリイミドからなるブレンド長繊維を用いた真空断熱材では、熱伝導率が低く断熱性能と環境負荷に優れ、発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐えられる真空断熱材を提供できる。
[比較例1]
実施例と対比すべき例である比較例1に係る真空断熱材として、実施例で用いた前記のポリマーブレンド長繊維の代りに、ポリスチレン単繊維を用いサーマルボンド法で熱接着して、シート状のポリスチレン芯材(平均繊維径:約12.5μm、密度:約180Kg/m)を作製した。その芯材をガスバリア性の外包材に、ガス吸着のゲッター剤と共に入れ真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内で内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールで真空封止して、真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)を作製した。上記ゲッター剤としては、モレキュラーシーブス13Xを用いた。
このようにして得られた真空断熱材は、熱伝導率が4.8mW/m・Kで、60℃の恒温槽中に30日間放置した熱伝導率を再測定したところ、8.5mW/m・Kと大きく劣化した。従って、図3に示すように、ポリスチレン単繊維をサーマルボンドで接着した芯材は環境負荷が小さく、繊維同士の融着により熱伝導率が高く断熱性能の劣化が大きくなる。また、真空断熱材に発泡ウレタンを充填したところ反応時の温度に耐えられずパネル変形が発生した。
[比較例2]
比較例2に係る真空断熱材として、実施例で用いた前記のポリマーブレンド長繊維の代りに、ポリエチレンテレフタレートの単繊維集合体を芯材(平均繊維径:約17.2μm、密度:約210Kg/m)に用いた。上記ポリスチレンテレフタレートとしては、三菱化学社製のノバペックス(登録商標)を用いた。その芯材をガスバリア性の外包材に、ガス吸着のゲッター剤と共に入れ真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内で内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールで真空封止して、真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)を作製した。上記ゲッター剤としては、モレキュラーシーブス13Xを用いた。
このようにして得られた真空断熱材は、熱伝導率が4.5mW/m・Kと高く、60℃の恒温槽中に30日間放置した熱伝導率を再測定したところ、8.2mW/m・Kと大きく劣化した。従って、図3に示すように、ポリエチレンテレフタレート単繊維の芯材は環境負荷が小さく、吸湿による水分付着で熱伝導率が高く断熱性能の劣化が大きい。また、真空断熱材に発泡ウレタンを充填したところ、反応時の温度に耐えられずパネル変形が発生した。
[比較例3]
比較例3に係る真空断熱材においては、芯材として実施例で用いた前記のポリマーブレンド長繊維の代りに、平均繊維径が4.1μmで、密度が250Kg/mである極細のグラスウールを用いた。この場合、吸湿性が高いため、300℃で1時間乾燥させることにより水分除去処理した。芯材とガスバリア性の外包材にガス吸着のゲッター剤を共に入れ、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れ、チャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールして真空封止により真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)を作製した。上記ゲッター剤としては、モレキュラーシーブス13Xを用いた。
このようにして得られた、曲げ形状の真空断熱材は折り曲げ性を実施例2と同様に測定をしたところ、最大曲げ荷重が144Nと高く曲げ難く、さらに、真空断熱材を60℃の恒温槽中に30日間放置後、熱伝導率を再測定したところ、外包材に歪みが生じ内部真空度の低下により断熱性能が5.4mW/m・Kまで劣化した。表3に示すように、グラスウールの芯材は環境負荷が大きく初期の熱伝導率は低いが、曲げ形状の真空断熱材を60℃の恒温槽中に30日間放置すると外包材の歪みにより熱伝導率が劣化する。
[比較例4]
比較例4に係る真空断熱材においては、芯材として実施例で用いた前記のポリマーブレンド長繊維の代りに、平均繊維径が16.5μmで、密度が180Kg/mである結晶性のポリプロピレン単繊維の芯材を用いた。この芯材をガスバリア性の外包材にガス吸着のゲッター剤と共に入れ、真空包装機のロータリーポンプで10分、拡散ポンプで10分、真空チャンバー内に入れチャンバーの内部圧力が1.3Paになるまで排気後、外包材の端部をヒートシールで真空封止により真空断熱材(大きさ:500mm×500mm×10mm)を作製した。上記ゲッター剤としては、モレキュラーシーブス13Xを用いた。
このようにして得られた、曲げ形状の真空断熱材は折り曲げ性を実施例2と同様に測定をしたところ、最大曲げ荷重が85.5Nとやや曲げ難く、初期熱伝導率が3.8mW/m・Kで60℃の恒温槽中に30日間放置後の熱伝導率を再測定したところ、空隙率の低下により6.2mW/m・Kまで劣った。図3に示すように、ポリプロピレン単繊維の芯材は環境負荷が小さく、熱伝導率の劣化が大きく、発泡ウレタンを充填したところ反応時の温度でパネルがやや変形した。
このように、比較例としての従来技術に係る真空断熱材に比して、実施例1〜6に係る真空断熱材はいずれも良好な性能を示した。次に、本実施形態に係る真空断熱材を適用した装置の例について、実施例7〜9として説明する。
[実施例7]
実施例7は、図4に示すように、本発明の真空断熱材を冷蔵庫に用いた例である。冷蔵庫は、真空断熱材およびその他の断熱材により断熱されている。冷蔵庫において、外気温との温度差が特に大きいのは、コンプレッサー周辺部と、冷蔵庫背面の内箱の外面側である。この部位に本実施形態に係る真空断熱材1を使用することが有効である。
真空断熱材には、アモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成した長繊維ウェブの芯材を設け、変形部と平面部を組み合わせて作製したものを用いた。真空断熱材は、断熱壁の曲げ部に沿って配設した真空断熱材である。真空断熱材を曲げ部の内箱側に設置する場合は、内箱の形状に沿って内箱に密着するように設置してある。また、真空断熱材は、曲げ部の外箱側に設置する場合は、外箱の形状に沿って設置してある。断熱壁の曲げ部は断熱壁の変形部を構成する部分である。なお、外箱の背面部および冷蔵庫扉の1つには、やはり真空断熱材を配置してある。
箱体にポリオールとイソシアネートとを、高圧発泡機を用い注入充填して冷蔵庫の断熱材を作製した。発泡断熱材の発泡ウレタンフォームは、ポリオールに平均水酸基価が450のm−トリレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを40重量部、平均水酸基価が470のオルト‐トリレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを30重量部、平均水酸基価が380のo−トリレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを30重量部の混合ポリオール成分100重量部に、シクロペンタン15重量部に水1.5部および反応触媒としてテトラメチルヘキサメチレンジアミン1.2重量部とトリメチルアミノエチルピペラジン2部、整泡剤として有機シリコーン化合物X−20−1614を2重量部、イソシアネートとしてミリオネートMRのジフェニルメタンイソシアネート多核体を125部用いて発泡充填した。
前記断熱後の冷蔵庫の熱漏洩量および消費電力量を測定した。冷蔵庫の熱漏洩量は、冷蔵庫の動作状態と反対の温度条件を設定して庫内からの熱漏洩量として測定を行った。具体的には、−10℃の恒温室内に冷蔵庫を設置し、庫内温度を所定の測定条件(温度差)になるようにヒータにそれぞれ通電して、冷蔵庫の消費電力と冷却性能を比較する温度条件で測定した。冷蔵庫の消費電力量はJIS測定基準で行った。
上記測定の結果、真空断熱材を挿入しなかった冷蔵庫に比べて、熱漏洩量で約5.5%、消費電力量で約8%低減可能な冷蔵庫を提供できた。なお、前記の発泡ウレタンは、本発明の断熱材1と共に、冷蔵庫および断熱箱体に使用することが可能であり、発泡ウレタン以外にフェノールやスチレンのフォームも例示されるが、シクロペンタンおよび水を混合発泡剤とする発泡ウレタンが好ましい。
[実施例8]
実施例8は、真空断熱材と発泡ウレタンを併用させた車両の断熱材として使用する例である。車両においては、軽量化と耐圧性向上を図るため、その側面および屋根構造体には曲面を有する構造体もある。従来の真空断熱材ではグラスウールの芯材が用いられているが、グラスウールの芯材は環境負荷が大きく、また、曲げると外包材に歪みが生じ内部真空度の低下で断熱性能が劣化する。
また、有機繊維のポリエチレンテレフタレート単繊維の芯材は環境負荷に優れるが、発泡ウレタンと併用させる断熱材とすると、反応温度で真空断熱材がやや変形してしまう。そこで、本発明のアモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成する長繊維ウェブの芯材を用いた真空断熱材は、構造体の曲面に沿って貼り付けることおよび発泡ウレタンとの反応温度にも耐えられる。また、環境負荷が小さい断熱材で車両の断熱効果を有し結露等も発生せず、断熱材としての厚さを低減することができ車両の室内空間が広くなる効果も見られるため、車両用の断熱材としても有効である。
[実施例9]
実施例9は、真空断熱材と発泡ウレタンを併用させた自動販売機の断熱材として使用する例である。自動販売機においては、消費電量低減と空間容積の向上を図るため、平板形状および曲げ形状の真空断熱材を有する構造となっている。従来の真空断熱材では、グラスウールの芯材は環境負荷が大きく、また、曲げると外包材に歪みが生じ内部真空度の低下で断熱性能が劣化する
また、有機繊維のポリエチレンテレフタレート単繊維の芯材は環境負荷に優れるが、発泡ウレタンと併用させる断熱材とすると、反応温度で真空断熱材がやや変形してしまう。そこで、本発明のアモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成する長繊維ウェブの芯材を用いた真空断熱材は、構造体の曲面に沿っても貼り付けることが可能で、発泡ウレタンを充填させても耐えられる真空断熱材であり、空間容積向上の断熱材としても有効である。
このように、本実施形態に係る真空断熱材においては、アモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成する長繊維ウェブを芯材として用いることにより、グラスウールを芯材として用いる真空断熱材と同等の熱伝導率(2mW/m・K)を示す高性能な真空断熱材を提供することができる。また、有機繊維のポリエステル単繊維等で課題であった熱伝導率の低減および発泡ウレタン充填時の反応温度にも耐え、環境負荷および断熱性能の両立が図れる真空断熱材を得た。真空断熱材を冷蔵庫等に搭載し、発泡ウレタンを充填することで熱漏洩量および消費電力量が低減し、保温・保冷等の熱交換部を含む断熱箱体やそれを用いた機器に有効である。
1 真空断熱材
2 外包材
3 アモルファスのブレンド長繊維芯材
3´ 折り曲げ部
4 ゲッター剤
5 グラスウール又はポリエステル単繊維
6 従来真空断熱材
7 断熱箱体
8 発泡ウレタン
9 箱体
10 冷蔵庫
11 冷蔵庫内箱
12 冷蔵庫外箱

Claims (10)

  1. 有機繊維集合体からなる芯材と、ゲッター剤と、前記芯材および前記ゲッター剤を収納するガスバリア性の外包材とを備え、前記外包材の内部を真空封止した真空断熱材において、
    前記芯材が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートのうちの1種並びに長鎖炭化水素基を含有するポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリアミドイミドのうちの1種の少なくとも2種を用いて形成されているアモルファスからなるポリマーブレンド材を溶融紡糸で形成した長繊維ウェブによって構成されていることを特徴とする真空断熱材。
  2. 請求項1において、
    前記長繊維ウェブは、メルトブローン法またはスパンボンド法の溶融紡糸により形成されていることを特徴とする真空断熱材。
  3. 請求項1または2において、
    前記長繊維ウェブは、繊維同士がバインダーで固められていないことを特徴とする真空断熱材。
  4. 請求項1、2または3において、
    前記長繊維ウェブの平均繊維径が6〜20μmであることを特徴とする真空断熱材。
  5. 請求項1、2、3または4において、
    前記長繊維ウェブの密度が150〜300Kg/m 3 であることを特徴とする真空断熱材。
  6. 請求項1、2、3、4、または5において、
    前記外包材の内部に内袋が設けられており、前記長繊維ウェブが前記内袋に収納され、前記内袋を含む前記外包材の内部が減圧密封されていることを特徴とする真空断熱材。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の真空断熱材が設置された空間に発泡断熱材を充填してなる断熱箱体
  8. 請求項7において、
    前記真空断熱材が、前記断熱箱体において着脱可能な空間内に収納されていることを特徴とする断熱箱体。
  9. 請求項7または8において、
    前記真空断熱材が、前記断熱箱体の角部に沿って折り曲げて配置されていることを特徴とする断熱箱体。
  10. 請求項7乃至9のいずれかに記載の断熱箱体を含むことを特徴とする機器
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