JP5387661B2 - 光学的測定の解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、媒体中に粒子群が移動可能に分散してなる試料中における粒子群の拡散に関する情報を、光学的手法を用いて計測する光学的測定装置を用いた解析方法に関し、更に詳しくは、液体またはゲル中に存在する粒子群の密度分布による過渡的な回折格子を利用して、その粒子群の粒子径、または液体もしくはゲルの粘度を計測する光学的測定における解析装置に関する。
粒子群の拡散に関する情報を測定する方法として、本発明者らは、粒子群が媒体中に分散した試料を収容する容器に、複数の電極片の一端部を電気的に接続した櫛型の電極の一対を、それぞれの電極の各電極片の他端どうしが互いに微小間隔を開けて対向するように配置し、その電極対に対して電圧を印加することによって、互いに対向する電極片の間に規則的に並ぶ電界分布を発生させ、容器内の試料中の粒子群に泳動力を作用させて粒子群の密度分布による回折格子を生成させ、その回折格子の生成後に電極対への電圧の印加を停止することにより粒子群を拡散させて当該回折格子の消滅させるとともに、その間、容器の回折格子の生成部位に対して光を照射して得られる回折光の強度を検出し、回折格子の消滅過程における回折光強度の経時的変化から、試料中の粒子の拡散に関する情報を評価する装置並びに方法を提案している(例えば特許文献1参照)。
また、本発明者らは、以上の提案に基づく方法により計測された回折光の経時的変化から拡散係数ないしは粒子径等の情報を得るための演算を極めて簡単とし、しかも正確に求める得ることを明らかにした(例えば非特許文献1参照)。
すなわち、粒子群の密度分布による回折格子の消滅過程での回折光強度をIとし、その初期値(消滅開始直後)の回折光強度をI、被測定粒子の拡散係数をDとするとともに、グレーティング周期をΛとして、
で近似することができる。そして、このようにして回折格子の消滅過程における回折光強度の計測値Iから求められる拡散係数Dを、下記のアインシュタインストークスの関係式を用いて被測定粒子群の粒子径dを求めることができる。
なお,(C)式においてkはボルツマン定数、Tは絶対温度、ηは被測定粒子群を分散させている媒体(液)の粘度である。
国際公開第WO 2007/010639号パンフレット "Nanoparticle size analysis with relaxation of induced grating by dielectrophoresis" Yukihisa Wada, shinichro Totoki, Masayuki Watanabe, Naoji Moriya, Yoshio Tsunazawa, and Haruo Shimaoka, OPTICS EXPRESS, 12 June 2006 / Vol.14,No.12, pp 5755−5764
ところで、前記した本発明者らによる提案方法である、媒体中の粒子群を電気的に偏在させて密度分布を生じさせることにより形成される回折格子の消滅過程での回折光強度の時間的変化から粒子群の拡散に関する情報を得る手法においては、粒子の直径に分散がある場合や、複数の異なる粒子径の粒子が混合した試料の場合、計測される回折光強度は単純に拡散係数の関数の線形結合とはなっておらず、したがって回折光強度の時系列データから粒子径の分散を簡便かつ直接的に決定する方法がなく、また、複数の粒子径を含む多分散系を解析する場合に用いられる、粒度存在比を変数にするNNLS(Non Negative Least Square)法を適用する場合にも、各粒度存在比に対する回折光強度の独立性が低いため、収束解を得にくいとった問題があった。
本発明はこのような問題を解決し、NNLS法による粒度解析の収束性を良好なものとし、簡便に粒度の分散性を評価することのできる解析装置の提供をその課題としている。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の光学的測定方法における解析装置は、媒体中に移動可能に粒子群が分散してなる液体またはゲル試料を保持する容器と、直流、周波数変調、電圧変調を含む所定のパターンもしくは任意に設定できるパターンの電圧を発生する電源と、上記容器に設けられ、上記電源からの電圧を印加することにより容器内に規則的に並ぶ電界分布を発生させる電極対と、その電極対への電源からの電圧の印加の制御により、上記容器内の試料中の粒子群に作用する泳動力により生じる粒子群の密度分布に起因する回折格子の生成と、その消滅を制御する制御手段と、容器内の上記回折格子の生成部位に向けて光を照射する光源と、その光の上記回折格子による回折光を検出する光検出器と、上記光検出器により検出される回折光強度の時間的変化から試料中の粒子群の粒径解析を行う光学的測定法手段とを有し、前記光学的測定手段は、粒径解析に際して、複数の粒径に対して粒径分布を設定し、刻々と検出される上記回折光強度の平方根の時系列データを計算することにより、粒子群の粒径分布を求めることによって特徴づけられる。
また、同じ課題を解決するため、請求項2に係る発明の光学的測定方法における解析装置は、媒体中に移動可能に粒子群が分散してなる液体またはゲル試料を保持する容器と、直流、周波数変調、電圧変調を含む所定のパターンもしくは任意に設定できるパターンの電圧を発生する電源と、上記容器に設けられ、上記電源からの電圧を印加することにより容器内に規則的に並ぶ電界分布を発生させる電極対と、その電極対への電源からの電圧の印加の制御により、上記容器内の試料中の粒子群に作用する泳動力により生じる粒子群の密度分布に起因する回折格子の生成と、その消滅を制御する制御手段と、容器内の上記回折格子の生成部位に向けて光を照射する光源と、その光の上記回折格子による回折光を検出する光検出器と、上記光検出器により検出される回折光強度の時間的変化から試料中の粒子群の粒径解析を行う光学的測定手段とを有し、前記光学的測定手段は、粒径解析に際して、複数の粒径に対して粒径分布を設定し、刻々と検出される上記回折光強度の自然対数の時系列データを計算することにより、粒子群の粒径分布を求めることによって特徴づけられる。
なお,前記刻々と検出される回折光強度とは,検出器で計測される光強度そのものというわけではない。光検出器で計測される光強度には,有限な回折格子により発生する微弱な回折リップルや散乱光,さらには遮光しきれない外光などの余剰光も含まれている。したがって,前記平方根処理される回折光強度および自然対数処理される回折光強度とは,検出器によって計測される光強度全体から粒子密度回折格子形成前から既に計測される初期余剰光との差分を意味している。
ここで、以上の請求項1または2に係る発明においては、粒子の分散をキュムラントの展開定理を利用して解析する方法を好適に採用することができる(請求項3)。
本発明は、前記した非特許文献1等において既に導いた粒子径(拡散係数)と、回折格子の消滅過程、つまり粒子群の拡散開始後における回折光強度の関係に関する近似式を、複数粒径混合系への拡張を行うために検討し、測定データに単純な数学的加工を行うことで、容易に多分散解析を実現する方法を見いだし、この発明に至ったものであり、以下にその解析方法を具体的に説明する。
単一周期Λの正弦波状密度変調からなる粒子密度変調回折格子のN周期からの無限遠での回折光電界振幅Eは、以下の式で表される。
この(1)式においては、回折格子に入射する光の単位面積強度は均一であり、回折格子の1周期に入射する電界の振幅を1としている。
(1)式において、xは回折格子面内で格子グループと垂直な方位、φ,μはそれぞれ粒子濃度変調における位相および吸収係数の振幅を示し、θは回折角、kは波数ベクトルで、プローブ光の波長λを用いて、
で表される。
粒子濃度変調における位相および吸収係数の振幅φ,μは、粒子密度変調の濃度振幅
u(t)=u・exp[−qt]
に比例するため、粒子群の拡散開始時刻t=0における定数振幅μ,φを用いて、
ただし、qは前記したように
であり、積分変数xとは独立している。
1次回折光の場合、回折角θは以下の条件を満たす。
(2)式および(3),(4)式を(1)式に代入すると、右辺は
となる。
泳動現象による粒子密度変調は大きくないため、φ,μ≪1、すなわちφ,μ≪1と見なすことができ、φ,μのまわりで3次の項までテイラー展開を行うことで、以下に示す(8)式を得る。
この関係は、吸収が存在しない場合には、
吸収が存在する場合には、
となる。
ここで、φ,μ≪1の条件では、本来、φ・μ/4およびφ・μ/4は、1次の項に比べ無視できると考えられるので、
となる。
(9)式,(11)式に(3),(4)式を代入すると、
粒子による吸収が無視できる場合には
粒子に吸収がある場合には
と表すことができる。
これらの電界による光強度は以下の式によって求めることができる。
さて、ここまでは単一の拡散係数Dを有する粒子群に対して解析の展開を行ってきたが、粒子群がm種の拡散係数(粒径)からなる多分散系では、(12)式および(13)式は以下のように拡張される。
粒子による吸収が無視できる場合
粒子に吸収がある場合
ここで、Dは、m種の拡散係数をD〜D(1〜m番目の拡散係数)と定義づけしたとき、p番目の拡散係数で、φ,μは、p番目の粒径(p番目の拡散係数に相当する粒径)の粒子群の存在確率を含めた電界位相、電界振幅変調であり、同一素材の粒子の集合であれば、粒子集合に占める当該粒径粒子の体積和に比例する。従って、(14)式から、
粒子による吸収が無視できる場合
粒子に吸収がある場合
と表すことができる。
(17)式および(18)式はφ,μ,Dに関する多項式となるが、異なるp(=1Λm)に関する組み合わせ項が発生する。
粒径存在比を最小二乗法などの数値解析法によって解く場合には、目標となるIを変数(この場合にはφ,μ)による変数微分係数をもとに、解に近づくアルゴリズムを用いる場合が多いが、変数の少ない(17)式においても、∂I/∂φには、全ての変数が残る項数mの多項式である。
(18a)
このため、光強度に対するp番目の粒径の粒子群による電界寄与の独立性は著しく低くなり、粒径存在比を最小二乗法などの数値解析法によって解く場合に、解の収束性が著しく低下する。NNLSによる繰り返し漸近計算では,1回の漸近計算あたり,m個の変数に対して,各々m次多項式を計算するため,m×m回の計算を行うことになる。漸近計算の繰り返し数がMであれば,計算回数はM×mに達する。
しかしながら、(17)式の場合であれば、両辺の平方根をとることで下記の(19)式に変形でき、これはφ,μ,Dに関する多項式において、同一のp(=1Λm)に関する項の単純和である。
このように変形することで、p番目の粒径の粒子群による電界寄与の独立性は大幅に向上し、粒径存在比を最小二乗法などの数値解析法によって解く場合に、回の収束性が向上する上,M回の繰り返し漸近計算においても計算回数はM×m回と大幅に削減される
また,同様に式(17)の両辺の自然対数をとると,
(19a)
式(19a)から∂I/∂φを求めると
(19b)
であることが示される。さらに式(19b)の逆数を考えると
(19c)
これは,p=jの項において定数であるため,項数m−1項の多項式となる。したがってM回の繰り返し漸近計算を行う場合の計算回数は,M×m×(m−1)となり,式(18a)を計算する場合に必要なM×mに比べ削減されていることが分かる。
さらに回折光強度の対数で計算することにより,以下の利点も得られる。すなわち数学的には同等である拡散初期における回折光の1/e減衰と拡散終末期の回折光の1/e減衰とが同じ重みで解析されることから,あらゆる計測時間領域を同じ比率で一致させるような解析がなされることが期待できる。
また、(19)式の右辺は、以下に示すモーメント母関数の左辺と比較すると、数学的に同等であることが分かる。
ここで、Γは確率変数、PはΓに関する確率、<>は期待値であり、<Γ>をk次のモーメントと言う。
また、モーメント母関数はキュムラントの展開定理より下記の(21)式が示される。
ここで、Kをk次のキュムラント係数といい、2次のキュムラント係数を分散といい、更に1次〜3次のキュムラント係数は、それぞれ1次〜3次のモーメントに等しいことから、分散の平方根が標準偏差となることが示されている。
従って、(19)式、(20)式,(21)式、1次〜3次のキュムラント係数は、それぞれ1次〜3次のモーメントに等しいことからΓ=−qとして、
これはすなわち、回折光強度の平方根の対数に等しい線形多項式近似を行った際の2次の係数が分散を表し、拡散係数の標準偏差を与えることを示している。
すなわち、動的散乱法と同様にキュムラント法による粒度回折が可能であり、この方法により極めて容易に粒度解析ができることになる。
なお、(18)式は残念ながら平方根をとっても同一のp(=1Λm)に関する項の単純和とはならないが、一般に液中に分散し、透過光を計測できる程度の粒子は、吸収係数が小さくなければならない制限から、φと比較してμの値は小さく(17)式を適用しても誤差は少ない。
以上の解析から明らかなように、粒子群の密度分布による回折格子の消滅過程における時系列の回折光強度データの平方根に基づき、粒径解析を行うことで、最小二乗法による粒度解析の収束性がよく、かつ、キュムラントの展開定理を利用して簡便に粒度の分散性を評価することが可能となる。
本発明が適用される光学的測定装置の全体構成図で、光学的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。 図1の装置における電極対のパターンの例を示す図である。 図1の装置による計測時の電極対への印加電圧波形の例と、粒子群の密度分布が作る回折格子による回折光強度の時間的変化の例を示すグラフである。 本発明の実施例並びに比較例の粒度解析に供した粒子群の密度分布による回折光強度の時間的変化の実測結果を表すグラフである。 [表1]の初期粒径分割を用いて、本発明の実施例1による粒度解析の結果を示すグラフである。 図5の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 [表1]の初期粒径分割を用いて、比較例による粒度解析の結果を示すグラフである。 図7の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 同じく図7の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 [表3]の初期粒径分割を用いて、本発明の実施例1による粒度解析の結果を示すグラフである。 図10の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 同じく図10の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 比較例の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 [表1]の初期粒径分割を用いて、実施例2による粒径解析の結果を示すグラフある。 図14の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 同じく図14の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 [表3]の初期粒径分割を用いて、実施例2による粒径解析の結果を示すグラフある。 図17の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 同じく図17の解析結果をもとに逆算した光強度変化(破線)と実際のデータ(実線)との比較を示すグラフである。 本発明の実施例3の結果を表すグラフであり、回折光強度の実測データと、NNLS法による解析結果から逆算した光強度変化、およびキュムラント法による解析結果から逆算した光強度変化を併記して示すグラフである。 図20の回折光強度の実測データをもとに、11種類の粒径分割を行い、実施例1で用いた解析方法と同等のNNLSによる粒度解析結果と、キュムラント法による粒度解析結果を併せて示すグラフである。
1 試料キュベット
2 電極対
21,22 電極
21a,22a 電極片
21b,22b 接続部
3 電源
4 照射光学系
5 検出光学系
6 データ処理・制御部
P 粒子の高密度領域
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について述べる。
図1は本発明を適用可能な光学的測定装置の全体構成図であり、図2はその試料キュベット1内に配置されている電極対2のパターンの例を示す図である。
装置は、媒体中に媒体中に粒子群が移動可能に分散した試料、例えば液体中に粒子が分散した試料や、粒子群が移動可能に分散したゲルからなる試料等を収容するための試料キュベット1と、この試料キュベット1内に配置されている電極対2に対して電圧を印加する電極電源3と、試料キュベット1に対して光を照射する照射光学系4と、電極対2への電圧の印加により試料キュベット1内に生じる粒子群の密度分布による回折格子からの回折光を測定する検出光学系5、その検出光学系5の出力を収集して各種解析を行うとともに、装置の測定動作を制御するデータ処理・制御部6を主体として構成されている。
試料キュベット1はガラス等の透明材料によって構成され、その内部に同じく透明材料からなる板状部材20が固定配置されており、この板状部材20の表面に電極対2が形成されている。
電極対2は、図2に示すように、それぞれが櫛形をした電極21,22からなり、各電極21,22はそれぞれ、互いに平行な複数の直線状の電極片21a・・21a,22a・・22aと、これらの各電極片21a・・21a,22a・・22aを相互に電気的に接続する接続部21b,22bによって構成されている。
各電極21,22は、それぞれ、2本の直線状の電極片21aまたは22aが互いに隣接配置された電極片偏在領域と、電極片が存在しない電極片不存在領域を交互に形成した形状としている。そして、一方の電極片偏在領域の2本の電極片21aまたは22aが、他方の電極片不存在領域に入り込んだ状態とし、全体として各電極片21aと22aが、一定の間隔を開けて互いに平行に2本ずつ交互に位置した状態となっている。
以上の電極対2には、電源3からの電圧が印加され、この電圧の印加により試料キュベット1内に収容されている試料内に電界分布が発生し、その電界分布により、後述するように試料中の粒子が泳動し、粒子群の密度分布による回折格子が生成される。この例において電源3は交流電源であり、粒子は誘電泳動力によって移動する。
照射光学系4は、ほぼ単色化された光を概略平行光束に整形した状態で出力し、その出力光は試料キュベット1内の電極対2に向けて照射される。照射光学系4の光源は、レーザ、LEDなどの単色光のみを放射するものが簡便であるが、連続波長光源をバンドパスフィルタや分光器などで疑似単色化した光でもよく、例えば可視波長領域ではスペクトルバンド幅は数十nm程度以下であればよい。この例では、レーザ4aとコリメートレンズ1bによって構成されている。
検出光学系5は、照射光学系4からの光のうち、試料キュベット1内の粒子群の密度分布による回折格子で回折した例えば1次の回折光が出射される方位に配置される。この検出光学系5は、例えば集光レンズ5aとピンホール5b、および光検出器5cによって構成される。この検出光学系5によって、試料キュベット1内の粒子群の密度分布による回折格子で回折した光強度の変化が時系列に計測される。
以上の構成において、電極対2を構成する各電極21,22間に、電源3からの交流電圧を印加すると、その電極パターンに応じた電界の分布が試料キュベット1内の試料内に形成され、その電界の分布に基づく誘電泳動により、粒子群の密度分布が生じる。すなわち、図2の電極対2において、逆極性の電極片が隣接している部分、つまり図2に示されるように、一方の電極21の電極片21aと他方の電極22の電極片22aとが隣接している部分に、粒子の高密度領域Pが形成される。この粒子群の高密度領域Pは、電極片21aと22aと平行に、かつ、電極片21aまたは22aの配設ピッチの2倍のピッチで空間的に繰り返し形成されることになり、その複数の粒子群の高密度領域Pにより回折格子が生成される。このような回折格子の生成状態において電極対2に対する電圧の印加を停止することにより、粒子は拡散を開始し、試料中の粒子群の空間密度は均一化していき、粒子群の密度分布による回折格子はやがて消滅する。
粒子群の密度分布による回折格子に対して照射光学系4からの平行光束を照射することにより、その光は回折格子によって回折を受ける。図2の電極パターンでは、粒子群の密度分布による回折格子の格子間隔は、電極片21a,22aが作る回折格子の格子間隔の2倍となって、両者の格子定数が相違するため、粒子群の密度分布で作られる回折格子による回折光と、電極片21a,22aが作る回折格子による回折光は、互いに異なる方位に出現するため、ピンホール5a並びに光検出器5bを所要の位置に配置することにより、粒子群の密度分布で作られる回折格子による回折光のみを検出することができる。
このようにして検出される粒子群の密度分布による回折格子からの回折光の強度は、その回折格子の消滅過程で次第に弱くなっていく。図3に電極対2に対して印加される電圧波形と、粒子群の密度分布が作る回折格子による回折光強度の時間的変化の例をグラフで示す。この例では、一定の電圧Vの正弦波様の交流電圧を電極対2に印加し、粒子に誘電泳動力を作用させた例を示している。
さて、以上の測定装置を用いて、実際に以下に示す計測を行い、本発明の実施例と比較例の双方の解析方法で解析した結果を以下に示す。
<実施例1および比較例>
被測定粒子として、メーカーから通知されている粒子直径が5μmと17μmのシリカ粒子を、水に分散させた混合液を調製して、図1に示す装置の試料キュベット1に収容し、電極対2に交流電圧を印加して粒子を誘電泳動させ、粒子の密度分布による回折格子を生成させた後、電圧の印加を停止して粒子を拡散させた。その粒子の拡散による回折格子の消滅過程で、回折格子の1次回折光を刻々と計測し、その計測データを用いて粒度解析を行った。
回折光強度の実測データを図4に示す。このデータを元に、17種の粒径に分割し、回折光強度の平方根を用いて粒度解析を行った結果(実施例1)と、回折光強度をそのまま用いて粒度解析を行った結果(比較例)とを比較した。解析には、市販のソフトウエアであるMathCAD(商品名;MathSoft Inc.製)の組み込み関数Genefit(商品名)を用い、同一のコンピュータを使用して、粒径分割・粒度分布の初期値を互いに等しくし、解析方法以外は全く同じ条件とした。実施例1の解析方法は、基本的に前記した式(19)によるものである。
まず、初期粒径分割を[表1]に示す値で行った結果について説明する。
図5に回折光強度の平方根を用いた粒度分布解析結果(実施例1)を示し、図6にその解析結果から計算(逆算)される光強度の変化と、実データとの比較を示す。図6において破線が逆算結果である。
一方、回折光強度をそのまま用いた粒度分布解析結果(比較例)を図に示し、その解析結果から計算(逆算)される光強度の変化と実データとの比較を図および図に示す。
また、[表2]には、以上の実施例1および比較例の各解析に要した時間を示す。
次に、上記と同じ図4のデータを用いて、初期粒径分割を[表3]に示す値で行った結果について説明する。
図1に回折光強度の平方根を用いた場合(実施例1)の粒度分布解析結果を示し、図1および図1には、その解析結果を用いて計算(逆算)した光強度の変化(破線)と実データ(実線)との比較を示す。
また、図1には回折光強度をそのまま用いた場合(比較例)の粒度分布解析結果を用いて計算(逆算)した光強度の変化(破線)と実データ(実線)との比較を示す。そして、[表4]には、これらの各解析に要した時間を示す。
以上の各解析結果から明らかなように、いずれの場合にも回折光強度の平方根に基づいて解析を行う実施例1のほうが、逆算結果と実データとの相違が示すようにより正確な解析結果を得ることができ、しかも、より短時間で解析を終了することができることが明らかとなった。
<実施例2>
図4に示した回折光強度の実測データに対して、回折光強度の自然対数を用いた場合の解析結果について説明する。
初期粒径分割を前記した[表1]と同じとして、回折光強度の対数を元に粒度解析を行った結果を図1に示し、その解析結果を用いて計算(逆算)した光強度の変化(破線)と実データ(実線)との比較を図1および図1に示す。更に、解析に要した時間を上記した比較例との比較において[表5]に示す。
同様に前記した[表3]の初期粒径分割を用い、回折光強度の対数を元にした粒度解析結果を図17に示し、その回折結果を用いて逆算した光強度の変化(破線)と実データ(実線)との比較を図18および図19に示し、更に、その解析に要した時間を上記の比較例との比較において[表6]に示す。
以上の回折光強度の対数を元にした解析においても、解析結果から求めた光強度の変化は実際の回折光強度変化とよく一致しており、正確な解析が行えていると推定することができる。また、光強度そのものを用いて解析する場合に比して、より短時間で解析を完了することも確認できた。
更に、この自然対数を用いた解析結果と、実施例1の平方根を用いた解析結果とを比較すると、自然対数を用いた実施例2の方が解析時間は長くなるものの、僅かではあるが、逆算結果が実データにより一致しており、また、5nm近傍の粒径の分布が存在するように解析している点も、実際に試料中に含有される2種の粒径分布に対して合理的な解析結果となっている。
<実施例3>
直径60nmのポリスチレン粒子を計測し、回折光の平方根に基づき、実施例1の方法による粒度解析と、キュムラント法による解析を比較した。この実施例3の解析方法は、前記した式(23)に基づくものである。
回折光強度の変化の実測データを図2に示し、11種類の粒径分割を行い、実施例1で用いた解析方法と同等のNNLSによる粒度解析結果と、キュムラント法による解析結果を図2に示す。なお、図2には、回折光強度の実測データと、NNLS法による解析結果から逆算した光強度変化、および、キュムラント法による解析結果から逆算した光強度変化を併記しているが、これら三者はほぼ重畳した状態となっている。
これらの解析結果は、いずれの解析方法でもほぼ同じと言える。しかし、解析時間はキュムラント法では数10ミリ秒で解析が完了したに対し、NNLS法を用いた解析では9秒を要した。これは、キュムラント法を適用できるよう解析式を変形した効果が現れたものと考えられる。
本発明によれば、被測定粒子が多分散系の粒子等、複数の異なる粒径の粒子が混在している試料であっても、NNLS法当による解析手法を用いて収束性の良好な解析を行うことができ、また、キュムラントの展開定理を利用して簡便に粒度の分散性を高い精度のもとに評価することが可能となる。

Claims (3)

  1. 媒体中に移動可能に粒子群が分散してなる液体またはゲル試料を保持する容器と、直流、周波数変調、電圧変調を含む所定のパターンもしくは任意に設定できるパターンの電圧を発生する電源と、上記容器に設けられ、上記電源からの電圧を印加することにより容器内に規則的に並ぶ電界分布を発生させる電極対と、その電極対への電源からの電圧の印加の制御により、上記容器内の試料中の粒子群に作用する泳動力により生じる粒子群の密度分布に起因する回折格子の生成と、その消滅を制御する制御手段と、容器内の上記回折格子の生成部位に向けて光を照射する光源と、その光の上記回折格子による回折光を検出する光検出器と、上記光検出器により検出される回折光強度の時間的変化から試料中の粒子群の粒径解析を行う光学的測定手段とを有し、
    前記光学的測定手段は、粒径解析に際して、複数の粒径に対して粒径分布を設定し、刻々と検出される上記回折光強度の平方根の時系列データを計算することにより、粒子群の粒径分布を求めることを特徴とする光学的測定法における解析装置。
  2. 媒体中に移動可能に粒子群が分散してなる液体またはゲル試料を保持する容器と、直流、周波数変調、電圧変調を含む所定のパターンもしくは任意に設定できるパターンの電圧を発生する電源と、上記容器に設けられ、上記電源からの電圧を印加することにより容器内に規則的に並ぶ電界分布を発生させる電極対と、その電極対への電源からの電圧の印加の制御により、上記容器内の試料中の粒子群に作用する泳動力により生じる粒子群の密度分布に起因する回折格子の生成と、その消滅を制御する制御手段と、容器内の上記回折格子の生成部位に向けて光を照射する光源と、その光の上記回折格子による回折光を検出する光検出器と、上記光検出器により検出される回折光強度の時間的変化から試料中の粒子群の粒径解析を行う光学的測定手段とを有し、
    前記光学的測定手段は、粒径解析に際して、複数の粒径に対して粒径分布を設定し、刻々と検出される上記回折光強度の自然対数の時系列データを計算することにより、粒子群の粒径分布を求めることを特徴とする光学的測定法における解析装置。
  3. 粒子の分散をキュムラントの展開定理を利用して解析することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の光学的測定方法における解析装置。
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