JP5387039B2 - 金属空気電池及びその製造方法 - Google Patents

金属空気電池及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5387039B2
JP5387039B2 JP2009039902A JP2009039902A JP5387039B2 JP 5387039 B2 JP5387039 B2 JP 5387039B2 JP 2009039902 A JP2009039902 A JP 2009039902A JP 2009039902 A JP2009039902 A JP 2009039902A JP 5387039 B2 JP5387039 B2 JP 5387039B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
hydrophobic
electrode
hydrophilic
electrolyte layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009039902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010198798A (ja
Inventor
英孝 錦織
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2009039902A priority Critical patent/JP5387039B2/ja
Publication of JP2010198798A publication Critical patent/JP2010198798A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5387039B2 publication Critical patent/JP5387039B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • Y02E60/128

Landscapes

  • Hybrid Cells (AREA)

Description

本発明は金属空気電池及びその製造方法に関する。
空気電池は、酸素を正極活物質とする電池であり、放電時には空気を外部から取り込んで用いる。そのため、正極及び負極の活物質を電池内に有する他の電池に比べ、電池容器内に占める負極活物質の割合を大きくすることが可能になる。したがって、原理的に放電できる電気容量が大きく、小型化や軽量化が容易という特徴を有している。また、正極活物質として用いる酸素の酸化力は強力であるため、電池起電力が比較的高い。さらに、酸素は資源的な制約がなくクリーンな材料であるという特徴も有するため、空気電池は環境負荷が小さい。このように、空気電池は多くの利点を有しており、携帯機器用電池、電気自動車用電池、ハイブリッド車用電池、燃料電池自動車用電池などへの利用が期待されている。
空気電池は、例えば、特許文献1に記載されているように、炭素質物層を主体とする正極を有し、当該炭素質物表面において外部から供給された酸素の酸化還元反応が行われることで、電池の充電・放電が可能とされる。正極に酸素を供給する際、外部から取り込まれる空気には、水分が含まれている。そのため、酸素とともに水分が電池内に取り込まれる。電池内に水分が取り込まれると、電池性能に悪影響を及ぼすことがある。例えばリチウム空気電池の場合、電池内部へ水分が混入すると、負極において水素が発生するとともに水酸化リチウムが生成し、電池容量の低下等が懸念される。
このような空気電池に関する技術として、例えば、特許文献2には、ブロック層および活性層を有するガス拡散電極を備えた金属空気電池が開示されている。また、特許文献3、4には、電池内部の空気取り入れ口と正極との間に、封止材や撥水膜を設けた金属空気電池が開示されている。また、特許文献5、6には、空気孔側を疎水性層(ブロッキング層、撥水層)とした正極を備える金属空気電池が開示されている。
特許第3515492号 特表2003−511829号公報 特開2002−177747号公報 特開平5−261851号公報 特開平6−267594号公報 特開平7−320744号公報
特許文献2に記載の金属空気電池では、正極として用いられるガス拡散電極に備えられるブロック層および活性層の変性炭素製品の表面に有機基を結合させ、炭素表面を親水性とすることにより、水分を吸着させている。しかしながら、金属空気電池の正極は、酸素雰囲気且つ高電位な環境に曝されるため、特許文献2に記載された電極を用いると、カーボン表面が酸化されることにより、正極中の親水性/疎水性バランスが崩れてしまうと考えられ、正極において適切に水分が吸着されなくなるという問題がある。
一方で、特許文献3、4に記載されているように、電池内部に封止材や撥水膜等の部材を設ければ、水分の捕捉・吸着を効果的に行うことができると考えられるが、かかる場合には、電池内部に当該部材を設けるための余分な空間が必要となり、電池のエネルギー密度が低下してしまうという問題がある。
上記問題は、特許文献1〜6を組み合わせても解決できなかった。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、外部からの水分混入による電池性能の低下を抑えることができる、金属空気電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
第一の本発明は、正極、非水溶媒を含む液状の電解質層、及び負極をこの順に有し、正極は、正極材料と当該正極材料を保持する親水性バインダーとを含む親水性領域、及び、正極材料と当該正極材料を保持する疎水性バインダーとを含む疎水性領域を有し、親水性領域と電解質層との間に、疎水性領域が設けられる、金属空気電池である。
ここに、「電解質層」とは、電解質成分を含む層のことであり、必要なセパレータ等まで含む概念である。「正極材料」とは、金属空気電池の正極における電気化学反応に寄与する材料のことであり、触媒や導電材等を含む概念である。「親水性バインダー」とは、親水性を示すバインダーものであれば特に限定さるものではなく、例えば絶縁性の親水性ポリマーを用いることができる。親水性ポリマーの中でもポリビニルアルコール等のアルコール系ポリマーを用いることが好ましい。「疎水性バインダー」とは、疎水性を示すバインダーであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリフッ化ビニリデンや、ポリテトラフルオロエチレン等の疎水性ポリマーを用いることが好ましい。「親水性領域」又は「疎水性領域」とは、正極に含まれる親水性バインダー又は疎水性バインダーにより、親水性とされた部分又は疎水性とされた部分をいう。「親水性領域と電解質層との間に、疎水性領域が設けられる」とは、例えば、正極を任意の位置で電解質層側部分と、電解質層側とは反対側部分(すなわち空気電池の空気供給部側となる部分)とに二分した場合、電解質側部分に疎水性領域が含まれ、電解質層側とは反対側部分に親水性領域が含まれることを意味する。
また、第一の本発明において、正極材料には高比表面積を有するカーボンブラックが含まれることが好ましい。
ここに、「高比表面積を有する」とは、10m/g以上の比表面積を有することを意味する。この場合の「比表面積」とは、窒素ガスを用いてBET法により測定された比表面積をいう。高比表面積を有するカーボンブラックを正極材料の一つとして用いることで、正極の電気化学反応に寄与し得る材料(導電材等)として機能させるほか、表面に存在するバインダーの比表面積を増大させることができ、正極に吸着される水分量や、保持可能な電解液量を増大させることができる。
第二の本発明は、親水性バインダーと正極材料と溶媒とを混合して親水性インクを作製し、当該親水性インクを支持体上に設けたのち乾燥させて親水性電極とする、親水性電極作製工程と、疎水性バインダーと正極材料と溶媒とを混合して疎水性インクを作製し、当該疎水性インクを支持体上に設けたのち乾燥させて疎水性電極とする、疎水性電極作製工程と、作製された親水性電極と疎水性電極とを積層して正極とする、正極作製工程と、正極の疎水性電極側の面に接するように非水電解液を含む液状の電解質層を設ける、電解質層設置工程と、電解質層の正極側とは反対側の面に負極を設ける、負極設置工程と、を有する、金属空気電池の製造方法である。
第三の本発明は、疎水性バインダーと正極材料と溶媒とを混合して疎水性インクを作製し、当該疎水性インクを支持体上に設けたのち乾燥させて疎水性電極とする、疎水性電極作製工程と、親水性バインダーと溶媒とを混合して親水性付与インクとする、親水性付与インク作製工程と、疎水性電極の一面に親水性付与インクを設けたのち乾燥させて正極とする、正極作製工程と、疎水性電極の他面に非水電解液を含む液状の電解質層を設ける、電解質層設置工程と、電解質層の正極側とは反対側の面に負極を設ける、負極設置工程と、を有する、金属空気電池の製造方法である。
第一の本発明によれば、正極の電解質層とは反対側(空気供給部側)に備えられるバインダーが親水性とされているので、外部から空気を取り込んで正極に酸素を供給する際、空気中に水分が含まれていても、当該水分をバインダーにより適切に捕捉・吸着することができる。従って、電池内部、特に電解質や負極へ水分が到達することを防止でき、電池性能の低下を抑えることができる。また、水分を捕捉・吸着するための他の部材を必要としない。親水性バインダーを絶縁体とすれば、高電位の影響を受けにくく、長期間にわたり水分の吸着が可能となる。一方、正極の電解質層側に含まれる疎水性バインダーにより、正極材料の保持と、電解質成分(電解液)の保持とを兼用することができる。従って、エネルギー密度が高く、且つ、電池性能が劣化し難い金属空気電池とすることができる。
また、第二の本発明によれば、親水性電極と疎水性電極とが積層されてなる正極とされ、且つ、疎水性電極が電解質層側となるように正極と電解質層とが積層されるため、外部から空気を取り込んで正極に酸素を供給する際、空気中に水分が含まれていても、正極の電解質層側とは反対側(空気供給部側)に備えられる親水性電極により、水分を適切に捕捉・吸着可能な金属空気電池が製造される。また、水分を捕捉・吸着するための別部材を設ける必要はない。従って、電池内部、特に電解質や負極へ水分が到達することを防止して電池性能の低下を抑えることができる金属空気電池を、簡易な工程で製造することができる。尚、親水性バインダーを絶縁体とすれば、高電位の影響を受けにくく、長期間にわたり水分の吸着が可能な金属空気電池を製造することができる。
さらに、第三の本発明によれば、正極の電解質層側とは反対側(空気供給部側)に親水性付与インクにより親水性が付与される。当該親水性付与インクもバインダーとして機能し得る。当該バインダーは絶縁体であり、高電位の影響を受けにくく、長期間にわたり水分の吸着が可能となる。従って、電池内部、特に電解質や負極へ水分が到達する前に、水分を適切に捕捉・吸着し長期間に亘って電池性能の低下を抑えることができる金属空気電池を、簡易な工程で製造することができる。
金属空気電池100の全体を概略的に示す図である。 金属空気電池100のうち正極10の断面を拡大して示す図である。 金属空気電池100の製造方法の一例を示すフローチャートである。 金属空気電池100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
以下本発明を、正極、負極、及び当該正極と負極との間に介在する電解質層を有するリチウム空気電池に適用した場合について説明する。但し、本発明は、水分混入による電池性能の低下を防止することを目的として、他の空気電池(亜鉛系空気電池、アルミニウム系空気電池、ナトリウム系空気電池等)にも適用することができる。
1.金属空気電池
図1は、金属空気電池100の全体を概略的に示す図である。図1に示すように、金属空気電池100は、正極10と、負極30と、正極10及び負極30の間に介在する電解質層20とを有し、これらを内包する電池ケース40を備えている。電池ケース40には、空気孔50が備えられており、ここから空気(酸素)が供給されて、正極10の電池反応に供される。また、正極10及び負極30には、それぞれ電極端子(不図示)が備えられ、金属空気電池100ではこの電極端子を介して、電池反応にて発生した電気エネルギーを外部へ取り出すことができる。図2は、金属空気電池100に備えられる正極10の一部を拡大して示す図である。図2においては、紙面右側が金属空気電池100の空気孔50側、紙面左側が電解質層20及び負極30側である。以下、金属空気電池100について、構成ごとに説明する。
(正極10)
正極10は、酸素を活物質として、酸素の酸化還元反応を行う電極である。正極10には、正極集電体11、及び正極層12が備えられている。
正極集電体11としては、多孔質支持体、網目状支持体、繊維、不織布等、従来から集電体として用いられる材質であれば特に限定されず適用できる。具体的には金属メッシュやカーボンペーパーが好ましい。図1においては、正極集電体11が正極10の空気孔50側表面に備えられる形態が示されているが、正極集電体11の設置個所についてはこれに限定されない。また、複数の正極集電体11を設けてもよい。
正極層12は、導電材料13や触媒14を含む正極材料15と、これらを結着させるバインダー16とを備えている。図2に示すように、正極層12は、空気孔50側に配設された親水性を示す正極層12a、及び、電解質層20側に配設された疎水性を有する正極層12bを備えている。
導電材料13としては、公知の導電材料を用いることできる。金属空気電池100では、特に、カーボンブラックや活性炭、カーボン炭素繊維などの高比表面積カーボン材料を用いることが好ましく、この中でも高比表面積を有するカーボンブラックを用いることがより好ましい。導電材料13は触媒14を担持する機能も有する。また、後述するように、バインダー16の比表面積は導電材料13の比表面積に依存する。従って、高比表面積の導電材料13を用いれば、バインダー16の比表面積も増大させることができ、吸着サイトを増やして、効率的に水分を吸着することができる。導電材料13の比表面積としては、10m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることが特に好ましい。本実施形態における「比表面積」とは、窒素ガスを用いてBET法により測定された比表面積をいう。また、導電材料13を多孔質体とした場合、その細孔径は5nm〜500nm程度であることが好ましい。
触媒14は、例えば、コバルトフタロシアニン等の有機錯体、MnO、CeO、金属複合酸化物等の無機セラミックス、又はこれらの複合材料等、公知の触媒を用いることができる。金属空気電池100において、触媒14の形態は特に限定されるものではなく、公知の形態とすることができる。尚、本実施形態においては正極材料15に触媒14が備えられる形態を例示したが、触媒14が備えられない形態であってもよい。
本実施形態においては、正極材料15、15、…を結着させるバインダー16として、親水性バインダー16a及び疎水性バインダー16bの双方が用いられる。親水性バインダー16aは、正極層12のうち空気孔50側に配設された正極層12aに備えられ、また、疎水性バインダー16bは、正極層12のうち電解質層20側に配設された正極層12bに備えられて、それぞれ正極材料15、15、…を結着している。
親水性バインダー16aは、正極材料15、15、…同士を結着する機能のほか、電池外部から取り込まれる水分を捕捉・吸着する機能を有する。親水性バインダー16aとしては、金属空気電池の正極に適用可能な公知の親水性バインダーを特に限定されずに用いることができる。特に、絶縁性の親水性ポリマーを用いることが好ましく、ポリビニルアルコール等のアルコール系親水性ポリマーを用いることがより好ましい。親水性バインダー16aは、正極材料15、15、…の表面に配置されて、正極材料15、15、…同士を結着しており、特に、正極材料15、15、…として高比表面積を有する導電材料13、13、…を用いると、親水性バインダー16aの比表面積も増大し、吸着有効面積が増大するため、より多くの水分を吸着することができ好ましい。また、空気孔50から取り込まれた水分を捕捉、吸着しやすい形態にする等の観点から、親水性バインダー16aは、正極10の少なくとも空気孔50側表面に備えられることが好ましい。
疎水性バインダー16bは、正極材料12、12、…同士を結着する機能のほか、電解質層20に含まれる電解液を保持し、空気をブロックする機能を有する。疎水性バインダー16bとしては、金属空気電池の正極に適用可能な公知の疎水性バインダーを特に限定されずに用いることができる。特に、ポリフッ化ビニリデンや、ポリテトラフルオロエチレン等の疎水性ポリマーを用いることが好ましい。疎水性バインダー16bは、適切に電解液を保持する等の観点から、正極10の少なくとも電解質層20側表面に備えられることが好ましい。
正極10は、例えば、上記正極材料15とバインダー16とを溶媒中で混合し、集電体11等の支持体上に塗布・乾燥することにより作製される。このとき、正極10の空気孔50側には親水性バインダー16aが含まれ、電解質層側20側には疎水性バインダー16bが含まれる。正極10の作製方法については後述の金属空気電池の製造方法にて詳しく説明する。
(電解質層20)
電解質層20は、電解質及びセパレータを有する。金属空気電池100では、正極10が炭素材料、後述する負極30が金属リチウムであるため、電解質層はリチウムイオンを伝導可能な電解質を有している。電解質としては、リチウムイオンを伝導可能な電解質として従来使用されてきた電解質を用いることができ、特にリチウム塩を有する液状電解質(電解液)が用いられる。具体的には、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiN(CFSO、LiCFSO、LiCFCOやリチウムのイミド塩等と、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の非水溶媒と、を混合したものを挙げることができる。セパレータとしては、上記電解液とともに従来使用されてきたセパレータを用いることができ、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の無機物粒子、又は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリイミド、及びポリアミド等の有機樹脂、ガラス繊維、さらには、上述の無機物粒子と有機樹脂との混合物及び成形体等とすることができる。金属空気電池100では、このような電解液をセパレータに含浸させることで、電解質層20とされる。
(負極30)
負極30には、負極集電体31、及び金属リチウム又はリチウム合金を有する負極層32が備えられている。負極集電体31としては、多孔質支持体、網目状支持体、繊維、不織布等、従来から集電体として用いられる材質であれば特に限定されず適用できる。具体的には金属メッシュが好ましい。負極層30は、例えば、厚膜や薄膜とした金属リチウムを、負極集電体31に圧着することによって作製される。
本実施形態においては、シート状の正極10、電解質層20、及び負極30が積層された形態としたが、正極10、電解質層20、及び負極30の形状については、特に限定されない。
(電池ケース40)
電池ケース40には、上記正極10、電解質層20、及び負極30を有する積層体が収容される。電池ケース40としては、従来から金属空気電池の電池ケース40として用いられてきたものを特に限定されずに適用できる。また、電池ケース40の正極10近傍には、空気孔50が設けられており、ここから空気(酸素)を取り込んで正極10の電池反応に供される。空気孔50の形態は、従来の金属空気電池と同様の形態とすることができる。電池ケース40の内部から外部には電極端子(不図示)が伸びており、それぞれ正極集電体11や負極集電体31へと接続される。電池ケース40の形状は、収容される正極10等の形状に合わせて適宜選択することができ、例えば、円筒状、矩形の筒状等とすることができる。
金属空気電池100は、例えば、上記の正極10と負極30との間に電解質層20が介在する積層体を電池ケース40内に収容することにより作製することができる。以下、金属空気電池100の製造方法について具体的に説明する。
2.金属空気電池の製造方法
金属空気電池100は、図3又は図4に示される各工程を有する製造方法によって製造され得る。
2.1.第1実施形態
図3に示す第1実施形態にかかる本発明の金属空気電池100の製造方法は、親水性電極作製工程(S1)と、疎水性電極作製工程(S2)と、正極作製工程(S3)と、電解質層設置工程(S4)と、負極設置工程(S5)と、を有する。以下、工程ごとに説明する。
(親水性電極作製工程S1)
工程S1は、正極10において水分を捕捉・吸着する部分となる親水性電極10aを作製する工程である。親水性電極10aは正極10のうち、正極層12aとなる部分と対応している。具体的には、正極材料15としてのカーボンブラック13や触媒14、親水性バインダー16a、及び溶媒を混合し、固形成分を溶媒に分散させて親水性インクを作製する。用いる溶媒としては、アセトンやDMF、NMP等、揮発性のある液体であって、沸点が200℃以下のものが好ましい。作製した親水性インクは、ドクターブレードやスプレーコート等の公知の方法によって支持体上に塗布される。当該支持体は正極10において正極集電体11としても機能し得るため、上記正極集電体11と同様の形態とすればよい。支持体上に塗布された親水性インクは、公知の方法にて乾燥されて溶媒が除去される。これにより、親水性電極10aが作製される。
(疎水性電極作製工程S2)
工程S2は、正極10において電解液を保持し、空気をブロックする部分となる疎水性電極10bを作製する工程である。疎水性電極10bは正極10のうち正極層12bとなる部分と対応している。具体的には、正極材料15としてのカーボンブラック13や触媒14、疎水性バインダー16b、及び溶媒を混合し、固形成分を溶媒に分散させて疎水性インクを作製する。工程S2では、上記工程S1と同様の溶媒を用いることができる。作製した疎水性インクは、ドクターブレードやスプレーコート等の公知の方法によって支持体上に塗布される。当該支持体は正極10において正極集電体11としても機能し得るため、上記正極集電体11と同様の形態とすればよい。支持体上に塗布された疎水性インクは、公知の方法にて乾燥されて溶媒が除去される。これにより、疎水性電極10bが作製される。
(正極作製工程S3)
工程S3は、工程S1及び工程S2で作製した親水性電極10a及び疎水性電極10bを重ね合わせて積層体を作製する工程である。こうして作製した積層体が正極10となる。尚、図1及び図2では、疎水性電極10bの支持体11の記載を省略している。
(電解質層設置工程S4)
工程S4は、工程S1〜工程S3で作製した正極10の疎水性電極10b側に電解質層20を設置する工程である。例えば、セパレータと電解液とを有する電解質層20とする場合、あらかじめ電解液に含浸させたセパレータを、正極10に積層して電解質層20を形成してもよいし、セパレータのみを正極10に積層して、下記負極設置工程S5の後や電池ケースへと収容した後にセパレータ部分に電解液を供給して電解質層20としてもよい。いずれの場合でも、電解液が電解質層20から正極10や負極30へと浸出し、電極と電解質とが接触するように形成される。
(負極設置工程S5)
工程S5は、工程S1〜工程S4で作製した正極/電解質層積層体のうち、電解質層20側の表面に、さらに負極30を設置する工程である。
工程S1〜工程S5を経て作製した積層体は、電池ケース40内へと適切に収容されて、金属空気電池100が製造される。尚、上記では工程S1〜工程S5が順に行われる形態について説明したが、本発明の金属空気電池100の製造方法はこれに限定されるものではない。
2.2.第2実施形態
図4に示すように、第2実施形態にかかる本発明の金属空気電池の製造方法は、疎水性電極作製工程(S11)と、親水性付与インク作製工程(S12)と、正極作製工程(S13)と、電解質層設置工程(S14)と、負極設置工程(S15)と、を有する。以下、工程ごとに説明する。
(疎水性電極作製工程S11)
工程S11は、正極10において電解液を保持・ブロックする部分となる疎水性電極10bを作製する工程である。工程S11は、上記工程S2と同様であるため、説明を省略する。
(親水性付与インク作製工程S12)
工程S12は、正極10に親水性を付与するインク(親水性付与インク)を作製する工程である。具体的には、親水性バインダー16aを溶媒に混合、好ましくは溶解させる。溶媒としては、親水性バインダー16aを混合、好ましくは溶解させることができるものであれば、特に限定はされるものではなく、上記工程S1にて例示した溶媒等を用いることができる。親水性付与インク中には正極材料15が含まれていても良く、含まれていなくても良い。
(正極作製工程S13)
工程S13は、工程S11で作製した疎水性電極10bの一面側に親水性付与インクを塗布し、乾燥することにより、疎水性電極10bの一面側に親水性電極10a(正極層12a)を形成して、正極10を作製する工程である。親水性付与インクの塗布方法は、上記と同様公知の塗布方法を用いることができる。疎水性電極10bに親水性付与インクを塗布しても、親水性付与インクの親水性バインダー16aが、疎水性電極10bの表面から奥深く(電解質層20側となる側)に浸透することはない。また、親水性付与インクの濃度や粘度調整により、疎水性電極10bの所望の深さまで親水性を付与することができる。すなわち、工程S13により、疎水性電極10bの表面近傍(空気孔50側となる側)のみに親水性領域を有する正極10を作製することができる。
(電解質層設置工程S14)
工程S14は、工程S11〜工程S13を経て作製した正極10の疎水性電極10b側(疎水性電極10bの親水性付与インク16aが塗布されていない側)に電解質層20を設置する工程である。工程S14は、上記工程S4と同様であるため、説明を省略する。
(負極設置工程S15)
工程S15は、工程S11〜工程S14で作製した正極/電解質層積層体のうち、電解質層20側の表面に、さらに負極30を設置する工程である。
このように、工程S11〜工程S15を経て作製した積層体を電池ケース40内へと適切に収容することによっても、金属空気電池100を製造することができる。尚、上記では工程S11〜工程S15が順に行われる形態について説明したが、本発明の金属空気電池100の製造方法はこれに限定されるものではない。
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金属空気電池及び金属空気電池の製造方法もまた本発明の技術範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
10 正極
10a 親水性電極(親水性領域)
10b 疎水性電極(疎水性領域)
11 集電体(支持体)
12 正極層
13 導電材料
14 触媒
15 正極材料
16 バインダー
16a 親水性バインダー
16b 疎水性バインダー
20 電解質層
30 負極
40 電池ケース
50 空気孔(空気供給部)
100 金属空気電池

Claims (4)

  1. 正極、非水溶媒を含む液状の電解質層、及び負極をこの順に有し、
    前記正極は、正極材料と該正極材料を保持する親水性バインダーとを含む親水性領域、及び、正極材料と該正極材料を保持する疎水性バインダーとを含む疎水性領域を有し、
    前記親水性領域と前記電解質層との間に、前記疎水性領域が設けられる、金属空気電池。
  2. 前記正極材料には高比表面積を有するカーボンブラックが含まれる、請求項1に記載の金属空気電池。
  3. 親水性バインダーと正極材料と溶媒とを混合して親水性インクを作製し、該親水性インクを支持体上に塗布したのち乾燥させて親水性電極とする、親水性電極作製工程と、
    疎水性バインダーと正極材料と溶媒とを混合して疎水性インクを作製し、該疎水性インクを支持体上に塗布したのち乾燥させて疎水性電極とする、疎水性電極作製工程と、
    作製された前記親水性電極と前記疎水性電極とを積層して正極とする、正極作製工程と、
    前記正極の前記疎水性電極側の面に接するように非水電解液を含む液状の電解質層を設ける、電解質層設置工程と、
    前記電解質層の前記正極側とは反対側の面に負極を設ける、負極設置工程と、
    を有する、金属空気電池の製造方法。
  4. 疎水性バインダーと正極材料と溶媒とを混合して疎水性インクを作製し、該疎水性インクを支持体上に塗布したのち乾燥させて疎水性電極とする、疎水性電極作製工程と、
    親水性バインダーと溶媒とを混合して親水性付与インクとする、親水性付与インク作製工程と、
    作製された前記疎水性電極の一面に前記親水性付与インクを塗布したのち乾燥させて正極とする、正極作製工程と、
    前記疎水性電極の他面に非水電解液を含む液状の電解質層を設ける、電解質層設置工程と、
    前記電解質層の前記正極側とは反対側の面に負極を設ける、負極設置工程と、
    を有する、金属空気電池の製造方法。
JP2009039902A 2009-02-23 2009-02-23 金属空気電池及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5387039B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009039902A JP5387039B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 金属空気電池及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009039902A JP5387039B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 金属空気電池及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010198798A JP2010198798A (ja) 2010-09-09
JP5387039B2 true JP5387039B2 (ja) 2014-01-15

Family

ID=42823347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009039902A Expired - Fee Related JP5387039B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 金属空気電池及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5387039B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2724307A1 (fr) * 2010-12-01 2012-06-01 Hydro-Quebec Batterie lithium-air
CA2971697A1 (en) * 2014-12-26 2016-06-30 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Electrode for metal-air battery
WO2020026623A1 (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 シャープ株式会社 電極、金属空気電池および金属空気電池の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5545492A (en) * 1992-10-14 1996-08-13 National Power Plc Electrochemical apparatus for power delivery utilizing an air electrode
FR2785093B1 (fr) * 1998-10-22 2000-12-29 Cit Alcatel Electrode a air bifonctionnelle pour generateur electrochimique secondaire

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010198798A (ja) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5088378B2 (ja) 金属空気電池、及び金属空気電池の製造方法
Wang et al. Redox‐Active Separators for Lithium‐Ion Batteries
US8632920B2 (en) Air secondary battery
JP5637317B2 (ja) 金属空気電池
JP5621815B2 (ja) 金属空気電池用空気極及び金属空気電池
JP5056942B2 (ja) 空気極および非水空気電池
JP2010257839A (ja) 空気電池用正極及び空気電池
JP5353424B2 (ja) 空気電池
JP5051244B2 (ja) 空気電池モジュール
JP5282524B2 (ja) 金属空気電池
CN112310465B (zh) 硫化物浸渍的固态电池的制造方法
JP2007123237A (ja) 非水電解質電池、非水電解質電池用電極、及びこの非水電解質電池用電極の製造方法
US11450894B2 (en) Lithium metal secondary battery having improved safety and battery module including the same
WO2014028001A1 (en) Flexible transparent air-metal batteries
JP5387039B2 (ja) 金属空気電池及びその製造方法
Saengkaew et al. Self-standing porous carbon electrodes for lithium–oxygen batteries under lean electrolyte and high areal capacity conditions
JP2014049412A (ja) 金属空気電池
JP5987792B2 (ja) 空気電池及びその製造方法
JP5636901B2 (ja) 二次電池用負極及び空気二次電池
CN111164801A (zh) 电极、蓄电元件和电极的制造方法
KR20170035639A (ko) 리튬 공기전지용 전해액 및 이를 포함하는 리튬 공기전지
JP2008016381A (ja) 電池用電極
JP7535274B2 (ja) リチウム空気電池及びこれに用いる酸素流路
JP2013037935A (ja) 金属空気電池およびその製造方法
CN116711089A (zh) 碱金属离子传导性固体电解质和其制造方法、非水电解质二次电池用分隔件和其制造方法、以及非水电解质二次电池

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20101101

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130820

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130910

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130923

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5387039

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees