(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る調剤装置1の主たる構成要素を示す分解斜視図である。
図1に示すように、この調剤装置1は、箱状の装置本体100の奥側左右に2台設けられたYキャリッジ200,200と、これらのYキャリッジ200,200にそれぞれ支持されたXキャリッジ300,300と、これらのXキャリッジ300,300にそれぞれ支持されたチャッキングユニット400,400と、前記装置本体100の手前側左右に2台設けられ、複数の錠剤カセット500,500,・・・を左右方向に並べて搭載可能なカセット棚600,600と、これらのカセット棚600,600の下部にそれぞれ配置されたカッティングユニット(カッティング機構に相当する。)700,700と、左右のカセット棚600,600の下方に、両カセット棚600,600の左右両端間に亘って配置された1台の搬送コンベアユニット800とを備えている。
以下、複数存在する構成要素については、その代表的なものについて説明する。
Yキャリッジ200は、サーボモータ210と、このサーボモータ210で駆動される縦軸方向(図1中のY方向)のボールネジ220と、ボールネジ220の左右にそれぞれ配置された縦ガイド230,230と、ボールネジ220の回転により上下動するナット240とを備えており、Xキャリッジ300は、縦ガイド230,230に案内されつつ、ボールネジ220の回転によりナット240とともに上下動するキャリッジ本体310と、このキャリッジ本体310上に、サーボモータ410と、このサーボモータ410で駆動される横軸方向(図1中のX方向)のボールネジ415と、図示しないナットとを備えている。
図2は錠剤カセット500のチャッキングユニット400に対向する側から見た斜視図、図3はその分解斜視図、図4はシート頭出し前の状態を示す側断面図,図5はシート頭出し時の状態を示す側断面図、図6はカセット本体520の本体下部540の具体的構成を示す斜視図である。なお、以下では、錠剤カセット500のチャッキングユニット400に対向する側を前、その反対側を後という。
本実施形態1における錠剤カセット500は、積載される各種PTP錠剤シート(錠剤シートに相当する。)900よりも若干幅広に形成されている。したがって、錠剤カセット500としては、各種PTP錠剤シート900の有する幅に応じて、幅寸法のみが異なるものが複数用意される。それらの具体的な構成は、いずれも図2,図3に示すように、断面凹状をなす長尺のカセット基部510と、このカセット基部510の長手方向から着脱自在に嵌合されるカセット本体520とからなっている。
カセット基部510の底板511の裏面側には、図4,図5に示すように、側面視L字状の突起512,512が前後(及び左右)にそれぞれ形成され、その底板511の後端は上方に屈曲されて弾性を有する舌片513が形成されている。前記底板511の後部の表面側には断面逆凹状の支持部材514が形成され、この支持部材514で片持ち支持される左右二条の舌片515,515がそれぞれ前部に向かって先下がりに形成されている。なお、支持部材514と、舌片515,515とは、前記図2に示すように、ともにカセット基部510の左右側壁516,517内に配置されており、この舌片515,515でPTP錠剤シート900,900,・・・の端数分がチャッキングされるようになっている。ただし、前記舌片515の条数は二条に限定されず、一条でもよいし、三条以上であってもよい。
カセット本体520は、さらに複数のPTP錠剤シート900,900,・・・を積載可能な本体上部530と、この本体上部530の下部に一体となるように取り付けられた本体下部540とからなっている。
本体下部540は、カセット本体520のカセット基部510への組み立て状態で、該カセット基部510の左右側壁516,517内に埋没して配置されるものであるが、その単体で見ると、図6に示すように、断面凹状の長尺形状をなした底板541上に前記本体上部530の一番下に積載されたPTP錠剤シート900を順次に取り出すためのリンク機構550を備えている。
このリンク機構550は、前記本体下部540の底板541の後部にあって、その幅方向の略中央部に回転可能に軸支された回転部材542と、後端側がこの回転部材542の一端側に回転可能に連結され、かつ前端側の押圧部材543が前記チャック430による押圧力を受けると、引張りバネ544aによる弾性付勢力に抗して後向きに移動可能な第一のスライド部材544と、この第一のスライド部材544と平行に配置されるとともに、後端側が前記回転部材542の他端側に回転可能に連結され、かつ前記第一のスライド部材544と逆向きに移動可能な第二のスライド部材545とを備えており、この第二のスライド部材545に、前記一番下に積載されたPTP錠剤シート900を押し出すための押出部材546が立設されている。
本体上部530は、図2〜図5に示すように、カセット本体520のカセット基部510への組み立て状態で、その後部から中間部にかけてカセット基部510の左右側壁516,517内に埋没して配置され、その中間部から前部にかけてカセット基部510の左右側壁516,517の上方に突出して配置される側面視L字状をなしており、当該突出させた前壁531が前端で互いに内側に屈曲されることにより、所定の間隙を介して対向配置されている。前壁531の上端同士は補強板532で互いに連結されている。
この本体上部530の後部には、棒状部材533が起伏可能に立設されており、PTP錠剤シート900,900,・・・の充填時に倒伏させて、前記前壁531間にPTP錠剤シート900,900,・・・を挟み込んだ状態で、この棒状部材533を起立させることで、各PTP錠剤シート900,900,・・・を整列させるようになっている。
チャッキングユニット400は、図1に示すように、キャリッジ本体310から前方(図1中のZ方向)に延びるZキャリッジ411と、このZキャリッジ411に配置されたロータリーソレノイド420と、このロータリーソレノイド420で駆動されるチャック430と、このチャック430の左右にそれぞれ配置された横ガイド440,440と、横ガイド440,440間の下部に設けられた一次バケット450と、この一次バケット450の前部に設けられたラインセンサー460と、一次バケット450の下方に設けられたシャッター470付きの二次バケット480とを備えている。Zキャリッジ411は、いずれも図示しないサーボモータと、ボールネジと、ナットとからなっている。
そして、PTP錠剤シート900の端数打ち抜きが不要である場合には、図示しないコントローラからの動作指令を受けて、チャッキングユニット400のチャック430が前方へ移動して、そのチャック430で直接に錠剤カセット500の押圧部材543を押圧することで、そのリンク機構550の第一のスライド部材544を、引張りバネ544aによる弾性付勢力に抗して後退させる。この後退させた第一のスライド部材544で、回転部材542の一端側を押圧して該回転部材542を図6中の反時計回りに回転させる。すると、この回転させた回転部材542の他端側で第二のスライド部材545を前進させる。この前進させた第二のスライド部材545で押出部材546を前向きに移動させる。
この移動された押出部材546で、錠剤カセット500の一番下側に積載されたPTP錠剤シート900の後端を押圧することにより、そのPTP錠剤シート900の先端が若干当該錠剤カセット500より突出して図4に示す状態から図5に示す状態となって、いわゆる頭出しがなされる。前記チャック430でその頭出しされたPTP錠剤シート900をチャッキングして前方に引っ張り出し、その引っ張り出したPTP錠剤シート900を一次バケット450内に落下させるためにチャック430によるチャッキングを解除する。Xキャリッジ300と、Yキャリッジ200とを用いて一次バケット450を二次バケット480上に移動させる。そして、一次バケット450の図示しない底部シャッターを開口して、PTP錠剤シート900を二次バケット480内に落下させる。ついで、二次バケット480の底部シャッター470を開口して、PTP錠剤シート900を搬送コンベアユニット800上に落下させる。
図7〜9はカッティングユニット700の構成を示す斜視図である。なお、図7中では、カッティングユニット700の縦上刃740と横上刃750とはいずれもホームポジションにあり、その説明の便宜上、駆動系を切り離して示している。また、図8中では、縦上刃740の1段目の刃743によるカッティング状態を示している。さらに、図9中では、縦上刃740の2段目の刃744によるカッティング状態を示している。図8,図9では、駆動系を省略しているが、その駆動系の構成は図7のものと同様である。図7〜図9では、チャッキングユニット400のチャック430でチャッキングされている錠剤シート900を省略している。
このカッティングユニット700は、図7に示すように、正面視ロの字状のユニット本体710と、このユニット本体710の前部左右に立設されたスライドシャフト730と、駆動部720でそれぞれ上下方向にスライド移動するように、前記左右のスライドシャフト730に架設され、縦上刃740と横上刃750とを取り付けた上刃取り付け部材735と、この上刃取り付け部材735の縦上刃740と横上刃750とにそれぞれ対向配置された、縦下刃760と横下刃770とを取り付けた下刃取り付けテーブル780とを備えている。
さらに詳しく説明すると、ユニット本体710は、底板と、この底板の左右両側に立設された側板と、この側板で支持された天板とからなっているが、この天板は前記下刃取り付けテーブル780を構成している。
駆動部720は、サーボモータ721で回転駆動される駆動ギア722と、この駆動ギア722に噛合する従動ギア723と、この従動ギア723でさらに回転駆動される左右方向の駆動シャフト724と、この駆動シャフト724の左右両端にそれぞれ固定されたピニオンギア725,725とを備えている。
スライドシャフト730,730は、前記ユニット本体710の底板に立設され、かつそれらの中間部が下刃取り付けテーブル780を挿通し、それらの上部付近が上刃取り付け部材735に取り付けられた左右のスリーブ715,715内にスライド自在に嵌合されている。このスライドシャフト730,730の下部付近には、上刃取り付け部材735と連動するセンサ790,790が挿通しており、これらのセンサ790,790で前記上刃取り付け部材735の各スライド量を検出するようになっている。
上刃取り付け部材735には、その下部に縦上刃740が着脱可能に垂設されており、前記下部に横上刃750が着脱可能に垂設されている。また、上刃取り付け部材735の左右両端には、ラック736,736が取り付けられており、これらのラック736,736は前記駆動部720のピニオンギア725,725にそれぞれ噛合するようになっている。
下刃取り付けテーブル780には、その上部に縦下刃760が水平に取り付けされており、前記上部に横下刃770が水平に取り付けられている。縦下刃760には、前記縦上刃740が挿脱可能な縦溝が形成されており、横下刃770には、前記横上刃750が挿脱可能な横溝が形成されている。
図10は縦刃と横刃の構造を示す図であって、(a)は縦上刃740の正面図、(b)は横上刃750の正面図、(c)は縦下刃760の平面図、(d)は横下刃770の平面図である。
縦上刃740は、図10(a)に示すように、平板状の刃本体741と、その上部に上刃取り付け部材735に縦向きにボルト等で取り付けるための孔742,742が設けられ、その下部に1段目の刃743と、2段目の刃744とが形成されていわゆる2段構成となっている。1段目の刃743と、2段目の刃744とは、PTP錠剤シート900をカッティングしやすいように、その移動方向に若干傾斜させている。
この1段目の刃743のカット長さL1は、採用薬品のPTP錠剤シート900における最小のミシン目940のピッチp+αに設定する(後述する図11,12参照)。この場合には、PTP錠剤シート900のミシン目940のピッチpが狭いものに対しては、最小のカッティングサイズを用いてカットすることにより、そのカットのしすぎによる端数ピースの増大をより確実に防止できる。
また2段目の刃744のカット長さL2は、採用薬品のPTP錠剤シート900における平均的なミシン目940のピッチp+α、又は採用薬品のPTP錠剤シート900で一番品種の多いミシン目940のピッチp+αに設定する。この場合には、PTP錠剤シート900のミシン目940のピッチpが広いものに対しては、PTP錠剤シート900の平均的なカッティングサイズ又は採用実績の最も多いカッティングサイズを用いてカットすることにより、そのカットの繰り返しによる処理速度の遅延をより確実に防止できる。
ここで、αを加えたのは、ミシン目940のピッチpと同一寸法の場合には、横上刃750を入れたときに、PTP錠剤シート900の縦上刃740の切り込みと、横上刃750の切り込みとの直交する部分が繋がったままで切り落とせない可能性があるので、少し余分に切り落とすようにしたものである。
横上刃750は、図10(b)に示すように、平板状の刃本体751と、その上部に上刃取り付け部材735に横向きにボルト等で取り付けるための孔752,752が設けられ、その下部に刃753が形成されている。この刃753は、PTP錠剤シート900をカッティングしやすいように、その移動方向に若干傾斜させている。この刃753のカット長さLは、採用薬品のPTP錠剤シート900における最大幅よりも若干長くなっている。
縦下刃760は、図10(c)に示すように、平板状の刃本体761と、その左部に下刃取り付けテーブル780に水平にボルト等で取り付けるための孔762,762が設けられ、その右部に前記1段目の刃743と、2段目の刃744とが挿脱可能な大きさの縦溝763が形成されている。
横下刃770は、図10(d)に示すように、平板状の刃本体771と、その後部に下刃取り付けテーブル780に水平にボルト等で取り付けるための孔772,772が設けられ、その前部に前記横上刃750が挿脱可能な大きさの横溝773が形成されている。
そして、図示しない制御装置で処方箋データに応じてカッティングするべきPTP錠剤シート900の端数が計算され、この計算値に応じた図示しないコントローラからの動作指令信号を受けてサーボモータ721が所定回転数だけ駆動される。これにより、図8に示すように、縦上刃740の1段目の刃743と縦下刃760とによるカッティングを行うものとする。この場合、当該サーボモータ721が駆動されると、その駆動ギア722が従動ギア723を所定の回転速度で駆動し、駆動シャフト724の左右両端のピニオンギア725,725を介してラック736,736が同量だけ押し下げられる。
すると、上刃取り付け部材735が水平状態を保ったまま下がって、横上刃750と縦上刃740とが同時に押し下げられる。PTP錠剤シート900の幅方向と直角方向のカッティングが必要な場合には、まず、図8に示すように、縦上刃740の1段目の刃743によるカッティングを行う。この場合には、チャック430が縦上刃740と縦下刃760との間にPTP錠剤シート900を移動させるので、ミシン目940と直角方向にそのピッチpに対応する量だけ切り込みを入れることになる(後述する図11,図12参照)。ここで、ミシン目940のピッチpが、1段目の刃743よりも広いが、2段目の刃744よりも狭い場合には、1段目の刃743で複数回カッティングを行う。
ついで、PTP錠剤シート900の幅方向のカッティングが必要な場合には、チャック430が横上刃750と横下刃770との間にPTP錠剤シート900を移動させるので、この横上刃750を押し下げて、横下刃770の横溝773に挿入することでPTP錠剤シート900のミシン目940に沿って切り込みを入れることになる。この場合、チャック430で挟み込んだ錠剤920のみが残り部となる。
或いは図9に示すように、縦上刃740の2段目の刃744によるカッティングを行う。この場合にも、サーボモータ721が駆動されると、その駆動ギア722が従動ギア723を所定の回転速度で駆動し、駆動シャフト724の左右両端のピニオンギア725,725を介してラック736,736が押し下げられる。
すると、上刃取り付け部材735が下がって、横上刃750と縦上刃740とは同時に押し下げられるが、このときには、図11,図12に示すように、チャック430が縦上刃740側にPTP錠剤シート900を移動させるので、図11,図12のミシン目940と直角方向にそのピッチpに相当する量だけ切り込みを入れることになる。ここで、ミシン目940のピッチpが、2段目の刃744よりも広い場合には、この2段目の刃744で複数回カッティングを行う。ついで、チャック430が横上刃750側にPTP錠剤シート900を移動させるので、図11,図12のミシン目940に沿って切り込みを入れることになる。したがって、チャック430で挟み込んだ錠剤920のみが残り部となる。
そして、PTP錠剤シート900の端数打ち抜きが必要である場合にも、前述したように、チャッキングユニット400のチャック430で錠剤カセット500の押圧部材543を押圧してリンク機構550で押出部材546を前向きに移動させる。
この移動された押出部材546で、錠剤カセット500の一番下側に積載されたPTP錠剤シート900の後端を押圧することにより、そのPTP錠剤シート900の頭出しがなされる。前記チャック430でその頭出しされたPTP錠剤シート900をチャッキングして前方に引っ張り出し、今度はその引っ張り出したPTP錠剤シート900をチャッキングしたまま、カッティングユニット700に搬送する。
図11はこのカッティングユニット700のチャック430でPTP錠剤シート900がチャッキングされる様子を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。また、図12は前記カッティングユニット700のチャック430で耳部のないPTP錠剤シート900がチャッキングされる様子を示す図であって、(a)(c)(d)は平面図、(b)は側面図である。
ここで、PTP錠剤シート900の端数打ち抜きを行うが、具体的には、図11に示すように、PTP錠剤シート900は、アルミ箔製のシート本体裏面915上に錠剤920を所定数載せた状態で透明な合成樹脂性のシート本体表面910が被覆されて一体となっている。このシート本体表面910側には所定ピッチpでミシン目940,940,・・・が付されており、その端部にはチャッキングユニット400のチャック430でチャッキングするための耳部930が設けられているのが通常である。
この場合には、チャック430の上刃431と下刃432とでPTP錠剤シート900の耳部930を挟み込んでPTP錠剤シート900を第一の所定位置に移動させる。そして、処方箋データに従った錠剤の端数を得るために、PTP錠剤シート900のミシン目940と直角方向に縦上刃740を押し下げることで、縦下刃760に挿入してPTP錠剤シート900の幅方向と直角方向のカッティングを行う。
さらに、PTP錠剤シート900を第二の所定位置に移動させた上で、PTP錠剤シート900のあるミシン目940に沿って横上刃750を押し下げることで、横下刃770に挿入してPTP錠剤シート900の幅方向のカッティングを行う。
なお、PTP錠剤シート900の中には、前記耳部930がないものがある。この場合には、図12(a)(b)に示すように、チャック430の上刃431と下刃432とで当該PTP錠剤シート900の前端部を挟み込んでPTP錠剤シート900を第一の所定位置に移動させる。
そして、処方箋データに従った錠剤の端数を得るために、PTP錠剤シート900のミシン目940と直角に縦上刃740を押し下げることで、縦下刃760に挿入してPTP錠剤シート900の幅方向と直角方向のカッティングを行うことになるが、かかるカッティングを行ったのでは、縦上刃740がチャック430の上下両刃と干渉することになり不具合である。
かかる干渉を防止するためには、図12(c)に示すように、チャック430のPTP錠剤シート900のチャッキング部位を当該PTP錠剤シート900の幅方向にずらしておく必要がある。そして、ミシン目940と直角方向のカッティングを行った後(太線960がその切り込み示す)、同ミシン目940に沿った方向のカッティングを行う(太線950がその切り込みを示す)。しかし、かかるチャッキング部位の移動は作業効率を低下させるおそれがある。そこで、本実施形態1では、図12(d)に示すように、チャック430の上刃431と下刃432とをそれらの幅方向に二分割することしている。
この場合には、さらに、端数がある場合でも、チャック430のPTP錠剤シート900のチャッキング部位をPTP錠剤シート900の幅方向にずらしておくことなく、ミシン目940と直角に縦上刃740を押し下げるだけで、縦下刃760に挿入してPTP錠剤シート900の幅方向と直角方向のカッティングを行うことができるので、作業効率が向上する。
このようにして、当該打ち抜いた端数分のPTP錠剤シート900を直接搬送コンベアユニット800上に落下させるようになっている。
前記PTP錠剤シート900の端数打ち抜きを行った残部は、チャック430でチャッキングしたまま、もとの錠剤カセット500に戻すが、この場合には、PTP錠剤シート900の残部は、カセット基部510の舌片515,515下の残部収納部515aに頭出しした状態で挿入して収納される。
この残部収納部515aに収納されたPTP錠剤シート900の残部は、その後、前記チャック430でその頭出しされたPTP錠剤シート900の残部をチャッキングして前方に引っ張り出して、ラインセンサー460で形状をチェックする。そして、PTP錠剤シート900の残部のさらなる端数打ち抜きが不要である場合には、そのPTP錠剤シート900の残部を、一次バケット450内に落下させるためにチャック430によるチャッキングを解除する。Xキャリッジ300と、Yキャリッジ200を用いて一次バケット450を二次バケット480上に移動させる。そして、一次バケット450の図示しない底部シャッターを開口して、PTP錠剤シート900を二次バケット480内に落下させる。ついで、二次バケット480の底部シャッター470を開口して、PTP錠剤シート900を搬送コンベアユニット800上に落下させる。
一方、PTP錠剤シート900の残部のさらなる端数打ち抜きが必要である場合にも、前述したように、前記チャック430でカセット基部510の舌片515,515下の残部収納部515aから、その頭出しされたPTP錠剤シート900の残部をチャッキングして前方に引っ張り出す。その引っ張り出したPTP錠剤シート900の残部をチャッキングしたまま、カッティングユニット700に搬送する。そして、前記縦刃と横刃とを用いてPTP錠剤シート900残部のさらなる端数打ち抜きを行って、当該打ち抜いたさらなる端数分のPTP錠剤シート900を直接搬送コンベアユニット800上に落下させる。
一方、前記PTP錠剤シート900のさらなる端数打ち抜きを行った残部は、チャック430でチャッキングしたまま、もとの錠剤カセット500に戻すが、この場合も、PTP錠剤シート900の残部は、カセット基部510の舌片515,515下の残部収納部515aに頭出しした状態で挿入して収納される。
このようにして、錠剤カセット500に積載されたPTP錠剤シート900はその端数まで無駄なく調剤に供されることとなる。
搬送コンベアユニット800は、ローラ群等801と、このローラ群等801で前後・左右方向に移動される錠剤取出バケット802,802とを備えている。そして、前記二次バケット480からシャッター470を介して落下したPTP錠剤シート900又はその残部980は、ローラ群等801で前後・左右方向に移動され、錠剤取出バケット802,802のいずれかに落下されるようになっている。
一方、前記カッティングユニット700から落下したPTP錠剤シート900の残部980又はさらなる残部980も、同様に、ローラ群等801で前後・左右方向に移動され、錠剤取出バケット802,802のいずれかに落下される。
このようにして、錠剤取出バケット802,802には、調剤されたPTP錠剤シート900又はその残部980が収納されるようになっている。
この実施形態1によれば、縦上刃740は、複数のカッティングサイズを有するように形成されているので、PTP錠剤シート900のミシン目940のピッチpが狭いものに対しては、比較的小さいカッティングサイズ(カット長L1)を有する1段目の刃743
を用いてカットすることにより、そのカットのしすぎによる端数ピースの増大を防止できる一方、PTP錠剤シート900のミシン目940のピッチpが広いものに対しては、比較的大きいカッティングサイズ(カット長L2)を有する2段目の刃744を用いてカットすることにより、そのカットの繰り返しによる処理速度の遅延をも防止できる。したがって、作業効率を向上させる一方、端数ピースを減らすことができ、その端数シートがばらばらになるのを防止できる。また、端数ピースがばらばらにならないので、薬剤の整合や監査を行いやすくなるとともに、患者が薬剤を取り扱いやすくなる。
ところで、PTP錠剤シート900の切りくずは縦下刃760と横下刃770の下方に設けられた回収ケースに回収されるが、この切りくずを捨てるために回収ケースを縦横両下刃760,770の下方から引き出すと、縦横両下刃760,770の各溝中に詰まっていた切りくずが落ちて飛散することがある。そのような場合には、掃除の手間が大変である。また、この掃除が不十分であると、飛散した切りくずが邪魔になって回収ケースを下刃の下方に引き込むことができなくなり、後のカッティングに支障をきたすことにもなる。実施形態2はかかる不具合を解消するためになされたものであって、以下詳細に説明する。
(実施形態2)
図13は本実施形態2に係るカッティングユニット700aの下部構造の斜視図、図14はその主要部の分解斜視図である。なお、以下では、カッティングユニット700aのチャッキングユニット400に対向する側を前、その反対側を後という。また、本実施形態2の各要素のうち、実施形態1と共通する要素には同一番号を付してその詳細説明を省略する。特に図13,図14では、縦下刃760、横下刃770等を含む下部構造の具体的配置が、実施形態1のそれとは左右逆配置となっており、これに伴い縦上刃740、横上刃750等を含む上部構造についても左右逆配置となっているが、それらを用いてのカッティング動作等としては略同様であるので、以下ではカッティングユニット700aの全体構成についての重複した説明を省略する。
すなわち、この実施形態2では、図13,図14に示すように、ユニット本体710の天板が下刃取り付けテーブル780を構成している。下刃取り付けテーブル780には、その上部に窪み(台座に相当する。)7601,7701が形成されている。この窪み7601内に縦下刃760が水平に取り付けられ、前記窪み7701に横下刃770が水平に取り付けられるようになっている。縦下刃760には、図示しない縦上刃が挿脱可能な縦溝763が形成されており、この縦溝763は前記窪み7601に形成された縦溝7602と連通している。横下刃770には、図示しない横上刃が挿脱可能な横溝773が形成されており、この横溝773は前記窪み7701に形成された横溝7702と連通している。すなわち、縦溝763,7602と横溝773,7702とが溝部(回収ルート)に相当するが、各溝763,7602,773,7702内の切りくずを落下させるためには、いずれも下方に広がるテーパ状とするのが好ましい。
ユニット本体710の縦下刃760及び横下刃770の下方には、回収ケース7910を着脱自在に支持するための箱状のトレイガイド7911が設けられている。このトレイガイド7911の上部と後部とは開放されており、PTP錠剤シート900の切りくずを回収する回収ケース7910をトレイガイド7911の後方に引き出し、或いはこの引き出した回収ケース7910をトレイガイド7911内に引き込むことができるようになっている。
また、トレイガイド7911の前壁背面にはマグネット7912が付設されており、例えば鋼製の回収ケース7910がトレイガイド7911内の所定位置に収納された状態にて、該回収ケース7910がマグネット7912で吸着固定されるようになっている。回収ケース7910は、上部が開放された箱状であり、その底面中央付近に棒状の押圧部材7913が立設されている。
縦下刃760及び横下刃770と、回収ケース7910との間には、開閉シャッター7920が介装されている。図15は開閉シャッター7920の閉止時における詳細構造を示す斜視図、図16は開閉シャッター7920の開放時における詳細構造を示す斜視図である。
開閉シャッター7920は、図15,図16に示すように、前部中央が若干突出した略四角形状のベース7921と、このベース7921の下面に沿って前後方向にスライド可能な翼状のシャッター本体7922とを備えている。このため、シャッター本体7922の前部左右両側と後部左側とには、それぞれ前後方向の長孔7926が形成されているとともに、ベース7921に植設されたピン7925が各長孔7926に挿通されている。また、ベース7921の後部には、シャッター本体7922の動作を律する開閉機構としてのリンク機構7930を備えている。ここで、ベース7921とシャッター本体7922とは例えば板金加工されたものであり、その連結部分に使用するピン7925については例えばカシメることで当該部分に植設するのが好ましい。これは、縦横両下刃760,770と回収ケース7910との狭隘なスペース内に配置される開閉シャッター7920の高さ寸法をできるだけ抑えるためである(後述するリンク機構7930におけるピン7932,7935についても、同様である)。
リンク機構7930は、ベース7921の後部中央付近に植設されたピン(支点に相当する。)7932まわりに回転可能に軸支された長尺の回転部材7931を備えている。回転部材7931の一端側は長尺方向の長孔7934が形成され、この長孔7934内にシャッター本体7922の後部右側に植設されたピン7935を挿通していることにより、ピン7932の左側に離間した部位がピン7935まわりにスライド可能かつ回転可能に連結されている。一方、回転部材7931の他端側は前記回収ケース7910の引き込み力を受ける押圧部材7913に当接可能な当接部7933となっている。ベース7921の当接部7933に対向する部位は、当接部7933の動作を妨げないように、適宜範囲で切り欠かれている。
また、ベース7921の前部中央の突出箇所の一部を下側に切り折りして係止部7927を形成しており、この係止部7927と対向するようにシャッター本体7922の後部中央の一部を下側に切り折りして係止部7928を形成している。これらの係止部7927,7928に、ベース7921に対してシャッター本体7922を前進させる方向に弾性付勢するバネ部材7929の両端部がそれぞれ係止されている。
以下、開閉シャッター7920の動作について説明する。初期状態としては、回収ケース7910がトレイガイド7911内に収納されているものとする。
カッティングユニット700aによるPTP錠剤シート900又は残部980のカッティングの繰り返しにより、回収ケース7910に切りくずが溜まってくると、ユーザが手で回収ケース7910を後方(図14中のA方向と逆方向である。)に引っ張ってこれを外部に取り出そうとする。すると、図14に示すように、回収ケース7910がトレイガイド7911に案内されて縦横両下刃760,770の下方から外部に引き出される。このとき、図15に示すように、回転部材7931はシャッター本体7922の後部右側にスライド可能かつ回転可能に連結されているから、前記バネ部材7929の弾性復帰力により回転部材7931は下方から見て反時計回り(図15中のB方向である。)に回転して、一端側のピン7935を長孔7934内に沿って前方にスライドさせる。ピン7935は、シャッター本体7922に取り付けられており、そのシャッター本体7922はその長孔7926がベース7921のピン7925に挿通されて前後方向にスライド可能となっているから、結局シャッター本体7922はベース7921の下面に沿って前方にスライドすることとなる。これとともに、他端側の当接部7933は回収ケース7910の押圧部材7913に当接したまま斜め後方に移動する。そして、回収ケース7910がさらに引き出されると、その押圧部材7913がリンク機構7930の当接部7933から離間する。このようにして、シャッター本体7922がベース7921に対して前進し、この前進したシャッター本体7922が前記各溝の最下端を覆うようになる結果、開閉シャッター7920は閉状態となる。
そして、ユーザが回収ケース7910から切りくずを取り除いてから、手で回収ケース7910を前方(図14中のA方向である。)に押し込む。すると、回収ケース7910がトレイガイド7911に案内されて縦横両下刃760,770の下方に引き込まれ、回収ケース7910の押圧部材7913がリンク機構7930の当接部7933に当接する。このとき、図16に示すように、回転部材7931はシャッター本体7922の後部右側にスライド可能かつ回転可能に連結されているから、前記バネ部材7929の弾性復帰力に抗して回転部材7931は下方から見て時計回りに回転して、一端側のピン7935を長孔7934内に沿って後方にスライドさせる。ピン7935は、シャッター本体7922に取り付けられており、そのシャッター本体7922はその長孔7926がベース7921のピン7925に挿通されて前後方向にスライド可能となっているから、結局シャッター本体7922はベース7921の下面に沿って後方にスライドすることとなる。これとともに、他端側の当接部7933が押圧部材7913によってベース7921内に押し込まれる。これにより、シャッター本体7922はベース7921に対して後退し、この後退したシャッター本体7922が前記各溝から退避するようになる結果、開閉シャッター7920はもとの開状態となる。
本実施形態2によれば、縦横両下刃760,770は、それぞれ前記縦横両上刃740,750を挿入可能な各溝を備えており、前記開閉シャッター7920は、シャッター本体7922と、前記回収ケース7910が前記縦横両下刃760,770の下方から引き出されたときには、バネ部材7929でシャッター本体7922が前記各溝を覆うように該シャッター本体7922を弾性付勢する一方、前記回収ケース7910が前記縦横両下刃760,770の下方に引き込まれたときには、この引き込み力で前記付勢力に抗して前記シャッター本体7922を前記各溝から退避させるリンク機構7930とを備えたので、PTP錠剤シート900の切りくずを捨てるために回収ケース7910を縦横両下刃760,770の下方から引き出したときには、開閉シャッター7920が自動的に閉じるため、その縦横両下刃760,770の各溝中に詰まっていた切りくずが落ちて飛散することがなくなり、掃除の手間がかからなくなる。また、回収ケース7910を縦横両下刃760,770の下方に引き込んだときには、開閉シャッター7920が自動的に開くため、前記縦横両下刃760,770の各溝中の切りくずを回収ケース7910に回収できるようになり、PTP錠剤シート900又は残部980のカッティングに支障をきたすことはない。
なお、上記実施形態1,2では、左右に2台のカセット棚600,600を配置しているが、前後に配置することとしてもよいし、1台、或いは3台以上のカセット棚を配置することとしてもよい。その場合には、各キャリッジ、チャッキングユニット、カッティングユニット等の台数もこれに対応したものとするのが作業効率の点から好ましい。
また、上記実施形態1では、縦上刃740は、1段目の刃743と、2段目の刃744とを備えているが、この刃の段数はさらに多くしてもよい。また、1段目の刃743と、2段目の刃744とは、PTP錠剤シート900をカッティングしやすいように、その移動方向に若干傾斜させているが、この傾斜角度をさらに大きくすることで、無数段の刃を得ることができる。また、横上刃750の刃753についても、前記縦上刃740と同様に複数段としてもよいし、さらに傾斜角度を大きくすることで、無数段の刃を得ることができる。上記実施形態2は、いずれの刃形状であってもよく、その刃によるPTP錠剤シート900又は残部980をカッティングして発生した切りくずの処理に適用することができる。
上記実施形態1では、例えば縦上刃740に1段目の刃743と2段目の刃744とを備えておき、この1段目の刃743で、PTP錠剤シート900のミシン目940と直角方向にカッティングを行った後に、このカッティング端を含むように、横上刃750で、前記カッティングの方向と直交するミシン目940に沿ってさらにカッティングを行うようにしているが、本発明の適用範囲はこれに限定されることはない。本発明では、例えばPTP錠剤シート900から3個の錠剤を残すような場合、横上刃750に1段目の刃と2段目の刃とを備えておき、この1段目の刃で、まずPTP錠剤シート900のミシン目940に沿って、カッティングを行った後に、このカッティング端を含むように、縦上刃740で、前記カッティングの方向であるミシン目940と直交する方向にカッティングを行い、さらに、このカッティング端を含むように、横上刃750で、前記カッティングの方向であるミシン目940に沿ってカッティングを行うようにしてもよい。これにより、端数ピースの数が最小のものとなる。上記実施形態2は、いずれのカッティング手順であってもよく、その手順によりPTP錠剤シート900又は残部980をカッティングして発生した切りくずの処理に適用することができる。
また、上記実施形態2では、開閉シャッター7920の開閉機構としてリンク機構7930を用いているが、このリンク機構7930の回転部材7931等の配置を左右逆にしてもよいし、さらには、サーボモータ等を用いてその他の機構を構成してもよいのはもちろんである。
また、上記実施形態1,2では、各PTP錠剤カセット500,500,・・・は、カセット棚600の棚板602上に、該各PTP錠剤カセット500,500,・・・の幅方向に列設されているが、この棚板は静止した平板状のものに限定されず、例えば所定の軸心まわりに回転する円筒形状のものであってもよい。その場合には、チャッキングユニット400を、この回転する棚板上に搭載された各PTP錠剤カセット500,500,・・・に対して相対移動させることで足りる。