JP5383129B2 - レンズ鏡筒およびそれを備えた撮像装置 - Google Patents
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特に、レンズ鏡筒を構成するレンズ群のうち最も被写体側に配置されるレンズの径は大きくなる傾向にある。
また一方で、カメラやビデオ装置自体の小型化が進んでおり、小型化になるにつれ光学性能を満足するためにレンズの位置精度が厳しいものになっている。
レンズ鏡筒を構成する部品の精度やレンズ性能を上げるだけでは、上記光学性能を満足することができないため、個々の鏡筒に合わせてレンズ位置を調整する必要がでてきている。
例えば、レンズ軸を調芯するような偏芯調整や、レンズ軸の傾きを調整する傾き調整、あるいは隣接するレンズとのレンズ間隔を調整するトラッキング調整などが行われている。
このレンズ枠構造では、空間内を調整範囲内で移動可能なように構成された筐体に対し、光学特性を見ながら最適な場所へ位置調整されたレンズ枠と筐体とを接着剤により直接接着するように構成されている。
すなわち、レンズ径が比較的大きいレンズの場合には、レンズの重さが重いために、鏡筒に衝撃力などの外力が加わった際に、この外力に接着力が負けてレンズを保持しているレンズ枠が筐体から脱落してしまう場合が生じる。
上記したようにレンズ枠は調整可能なように筐体との間に空間が設けられていることから、このようにレンズ枠が筐体から脱落するとレンズ枠は空間内で自由に動いて、個々の鏡筒に合わせて調整したレンズ位置に狂いが生じることとなる。これらを避けるため、従来では接着剤塗布量を多くするなどにより対応していたが、このような対応では接着量の管理が難しいだけでなく、固着に時間を要することとなり、最適な対策とは言えなかった。
本発明のレンズ鏡筒は、レンズを保持するレンズ枠と、前記レンズ枠を支持する調整枠とを備え、
前記レンズ枠は、前記調整枠に設けられた受け面に対して傾き調整可能に支持される調整面を備え、該調整面によって、前記レンズ枠を基準軸に対してレンズの光軸の傾き調整が可能に構成されたレンズ鏡筒であって、
前記レンズ枠は前記レンズの外周においてラジアル方向に延出した延出部を備える一方、前記調整枠はラジアル方向に延出した凸部を備え、
前記延出部と前記凸部とが、前記レンズ枠を前記調整枠に設置した際に、光軸方向に重なる位置においてスラスト方向で空間部を形成し、
前記空間部内において、前記調整枠により位置調整が行われたレンズ枠を、該空間部内に充填された接着剤により前記調整枠に対し接着可能であることを特徴とする。
また、本発明のレンズ鏡筒は、前記調整枠を固定する基準枠が、更に設けられていることを特徴とする。
また、本発明のレンズ鏡筒は、前記基準枠と前記調整枠とが、一体的に形成されていることを特徴とする。
また、本発明のレンズ鏡筒は、前記延出部はラジアル方向に連続する凹凸形状を有する延出部を備えることを特徴とする。
また、本発明のレンズ鏡筒は、前記調整面はスラスト方向に高さを変えた複数の面によって構成され、
前記レンズ枠と前記調整枠との相対的な回転により、前記調整面における複数の面のうちのいずれかの面を、前記受け面に当接させ、トラッキング調整が可能であることを特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、上記したいずれかに記載のレンズ鏡筒を備えていることを特徴とする。
その実施形態の具体例として、例えば、レンズを保持するレンズ枠と、前記レンズ枠を支持する調整枠とを備え、前記レンズ枠を基準軸に対して位置調整可能に構成されたレンズ鏡筒を、つぎのように構成することができる。
前記レンズ枠を、該レンズ枠の外周部からラジアル方向に延出した延出部を備えた構成とする。
一方、前記調整枠はラジアル方向に延出した凸部を備えた構成とし、これらの延出部と凸部とが、前記レンズ枠を前記調整枠に設置した際に、光軸方向に重なる位置においてスラスト方向で空間部を形成する構造とする。
そして、前記空間部内においてレンズ枠の位置調整が行われた後、該空間部内に接着剤を充填して前記調整枠に対しレンズ枠を接着可能に構成する。
また、このような構成によれば、スラスト方向上側に外力が加わっても、脱落できる空間を無くしたことにより、レンズ枠が脱落する恐れが生じない。
さらに、このような構成によれば、最低限、空間を充填するだけの接着さえされていればよいので、接着剤を無駄に増やす必要もなく、接着量の管理が容易となる。
[実施例1]
実施例1においては、本発明の構成を適用したレンズ鏡筒の構成例について説明する。
本実施例におけるレンズ鏡筒は、レンズ鏡筒を構成する不図示の他のレンズ群に合わせて、調整レンズ2を光軸と平行な方向へ移動させ、あるいは調整レンズ2の光軸を基準軸に対して傾けることで、光学精度を満たす位置に調整するものである。
なお、以下の説明において、光軸と平行な方向への移動による調整をトラッキング調整と記載し、調整レンズ2の光軸を基準軸に対して傾ける調整を傾き調整と記載する。
図1に、本実施例におけるレンズ鏡筒の構成例を説明する分解斜視図を示す。
図1において、1はレンズ枠、1aは延出部、1b〜1fは調整面、2は調整レンズ、3は調整枠、3aは受け面、3bは凸部、3cは凸部の左部に設けられた開口部、4は基準枠である。
本実施例において、中央の開口部に調整レンズを保持するレンズ枠1を備えている。
このレンズ枠1には、ラジアル方向に延出した延出部1aを120度等分で3箇所設けられている。
また、レンズ枠1の外周面には、トラッキング調整幅に合わせて高さを違えて並べられた5つの調整面1b〜1fを(図6参照)、120度等分で3箇所に設けられている。
この調整面1b〜1fの各々はその面が傾き調整するのに最適なある中心点からのR面で構成されている(図4参照)。このメカニズムについては後に記載する。
3は前述のレンズ枠1を調整可能に保持している調整枠である。
内周部にレンズ枠1に設けられた調整面1b〜1fのいずれかの面が当接しレンズ枠を支持している受け面3aを有し、120度等分で3箇所設けられている。また調整枠3は後述の基準枠4にビス締めなどで固定される。
4はこの調整レンズ群を構成する基準となっている基準枠である。
不図示だが、この基準枠4が他のレンズ群と連結し、複数群からなるレンズ鏡筒として構成されている。
図4に、調整枠3の受け面3aの位置およびレンズ枠1の延出部1a部を説明する図3におけるA−A断面図を示す。
図6は本実施例のレンズ鏡筒におけるレンズ枠1の詳細斜視図である。
調整枠3の受け面3aに、レンズ枠1の調整面1b〜1fのいずれかの面を当接させる。
図6に示されるように、調整面1b〜1fは階段状に形成されており、調整枠3の受け面に当接させる面を変えることで、レンズ枠をスラスト方向に移動することが可能に構成されている。
これらにより、トラッキング調整が行われる。
なお、本実施例では、5つの調整面を持ち、5箇所において、調整可能なように構成しているが、このような構成に限定されるものではなく、この面の数や段差は光学特性に合わせて任意に設定可能である。
さらに、図4に示されるように、調整面1b〜1fはその面形状がある頂点を中心にしたR形状となっている。
これらによって、受け面3aに当接させた状態で、上記ある頂点を中心に円弧状(図中矢印方向)に動くことが可能となり、基準軸に対しレンズの光軸を傾けることが可能になっている。
これらにより、傾き調整が行われる。
以上のようにして、トラッキング調整および傾き調整を行い、各々のレンズ鏡筒に最適なレンズ位置を決定している。
図2は、本実施例のレンズ鏡筒の組み立て時における構成を示す上面図である。図3は、本実施例のレンズ鏡筒の位置調整時における構成を示す上面図である。まず、調整枠3は基準枠4に対して、ビス締め等によって固定される。この状態から、レンズ枠を組み付ける方法を以下に記載する。
凸部3bの左部に設けられた開口部3c位置と、レンズ枠2の延出部1aの位置とが合う位相において、レンズ枠1を調整枠2に対して落としこむ。
この位置から、レンズ枠1を時計周りに回転させると、回転させるたびに、受け面3aに対して、調整面1b、1c、1d、1e、1fの順に当接面を変更することが可能になっている。
上記のようにしてレンズ枠1の回転位置を変更することで、トラッキング調整を行うことができる。
かつ、スラスト方向で空間を持つような構成としてある(図5における空間をBとする)。
この空間Bがあることによって、トラッキング調整や、傾き調整を行うために、レンズ枠1を移動させても延出部1aが凸部3bに干渉することがない。
トラッキング調整・傾き調整を終え、最適なレンズ位置に調整されたレンズ枠1は、この位置において接着剤により接着され固定される。
接着の方法は、図5に示されるように、前述のレンズ枠1の延出部1aと調整枠3の凸部3bとのスラスト空間Bを充填するように接着剤を充填し、固着させる。
図5における5が接着剤を示している。接着剤は紫外線硬化剤などの粘性があって、硬化後は体積をもつ接着剤により行う。
ところが、従来の構造では、トラッキング調整・傾き調整が可能なように構成しようとすると、前述したようにレンズ枠と筐体との間にスラスト方向の空間が必要になることが原因で、スラスト方向上側の外力が加わった際には、この空間内で脱落する恐れがあった。
従来の構成によれば、脱落しないように接着面積を増やすことによって対策していたが、本発明では最低限、空間を充填するだけの接着さえされていればよいので、接着剤を無駄に増やす必要もなく、また接着量の管理も容易となっている。
これによって、レンズ鏡筒に外力が加わってもレンズ枠が脱落する恐れのないように構成することが可能となる。
実施例2においては、基準枠4と調整枠3とを一体部品として構成した調整基準枠13を備えたレンズ鏡筒の構成例について説明する。
図7に、本実施例におけ調整基準枠を備えたレンズ鏡筒の構成例を説明する図を示す。
図8は、本実施例のレンズ枠の位置調整時における構成を示す分解斜視図である。
図7および図8において、13は調整基準枠、13aは受け面、13bは凸部、13cは調整基準枠13の開口部である。なお、実施例1と同様の部品については、説明は割愛する。
これに対して、本実施例においては、これらを一体的に形成して一体部品とした調整基準枠13を構成する。
実施例1の調整枠と同様に、本実施例の調整基準枠13は、内周部に受け面13a、およびラジアル方向に延出した凸部13bを備えている。
不図示であるが、この調整基準枠13が他のレンズ群と連結することで、複数群からなるレンズ鏡筒として構成されている。
レンズ枠1の調整はこの調整基準枠13を基準にして行われる。
調整基準枠13の開口部13c位置にレンズ枠1の延出部1a位置が一致する位相において、レンズ枠を調整基準枠に落としこむ。
この状態から時計方向に回転させることによって、トラッキング調整を行い、さらにその位置において傾き調整を行い、最適なレンズ位置を決定する(図8参照)。
実施例1と同様に、延出部1aの下側にスラスト空間を設けて、凸部13bが重なるような状態になる。
レンズ位置が決定したら、延出部1aと凸部13bとの間のスラスト空間に接着剤を充填して固着させることによって、レンズ枠1を固定する。
調整基準枠13は、この構成においては、加工上(型構成上)の問題で、凸部13bの下部に開口部13cが開いてしまうため、接着剤の漏れ防止のため、粘性の高い物を使用した方がよい。
本実施例の構成では、トラッキング調整すると共に、その調整を行った調整面内において、前記傾き調整が可能であって、衝撃などの外力に対して脱落を防止することができる上、部品点数を最小限で構成することが可能となる。
また、本実施例では、階段状に設けられた調整面1b〜1fをレンズ枠1に設け、その支持面となる受け面3a,13aを調整枠もしくは調整基準枠に設けているが、両者が逆になっていても構わない。
具体的には、例えば、前記レンズ枠または前記調整枠のいずれか一方に調整面を設けられる。
そして、前記レンズ枠と前記調整枠との相対的な回転により、前記いずれかの一方の枠に設けられた前記調整面における複数の面のうちのいずれかの面を、前記いずれかの他方の枠に設けられた受け面に当接させ、トラッキング調整を可能に構成してもよい。
1a:延出部
1b〜1f:調整面
2:調整レンズ
3:調整枠
3a:受け面
3b:凸部
3c:凸部の左部に設けられた開口部
4:基準枠
13:調整基準枠
13a:受け面
13b:凸部
13c:調整基準枠の開口部
Claims (6)
- レンズを保持するレンズ枠と、前記レンズ枠を支持する調整枠とを備え、
前記レンズ枠は、前記調整枠に設けられた受け面に対して傾き調整可能に支持される調整面を備え、該調整面によって、前記レンズ枠を基準軸に対してレンズの光軸の傾き調整が可能に構成されたレンズ鏡筒であって、
前記レンズ枠は前記レンズの外周においてラジアル方向に延出した延出部を備える一方、前記調整枠はラジアル方向に延出した凸部を備え、
前記延出部と前記凸部とが、前記レンズ枠を前記調整枠に設置した際に、光軸方向に重なる位置においてスラスト方向で空間部を形成し、
前記空間部内において、前記調整枠により位置調整が行われたレンズ枠を、該空間部内に充填された接着剤により前記調整枠に対し接着可能であることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記調整枠を固定する基準枠が、更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 前記基準枠と前記調整枠とが、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡筒。
- 前記延出部はラジアル方向に連続する凹凸形状を有する延出部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
- 前記調整面はスラスト方向に高さを変えた複数の面によって構成され、
前記レンズ枠と前記調整枠との相対的な回転により、前記調整面における複数の面のうちのいずれかの面を、前記受け面に当接させ、トラッキング調整が可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒を備えていることを特徴とする撮像装置。
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