JP5382574B2 - イオンバランス調整型イオナイザ - Google Patents
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Description
一方で、イオナイザは、用途に応じて各種外形寸法のものが使用されたり、急速なコンパクト化によって外形寸法の変更が頻繁に行われるといったような事情があるため、設計時に、各種の外形寸法に合わせて、上記放電電極及びセンサの適正な配置を模索しなければならない。
即ち、本発明の目的は、放電電極とセンサとの位置関係と、検出抵抗の抵抗値とを、近似式で互いに関連付けることにより、イオナイザの各種外形寸法に応じて、上記放電電極とセンサとの位置関係と、上記検出抵抗の抵抗値とを、相互に関連付けながら容易にかつ適正に決めることができるようにすることにある。
上記放電電極対における二つの放電電極は、上記送風口の中心の回りの互いに隣接する位置に配設されていて、一方の放電電極が、電極先端から送風口の中心までの距離を表す先端−中心間距離の長い短針電極であると共に、他方の放電電極が、上記先端−中心間距離の短い長針電極である。また、上記センサは、リング状をしていて、上記放電電極より風下側の位置に、リングの中心を上記送風口の中心に一致させて配設されている。
そして、上記放電電極対における短針電極と長針電極との先端間距離をLとし、短針電極先端の基準位置からセンサまでの送風口半径方向の距離であるセンサ距離をdとし、d/Lを位置率rとしたとき、上記検出抵抗の抵抗値R[MΩ]が、3.87r3−1.37r2−1.33r+1.42≦R≦−10.28r3+48.42r2−38.61r+9.50の範囲内に設定されている。
また、本発明の一つの具体的な構成態様によれば、上記送風口に、上記放電電極と異物との接触を防止するためのネット状の防護部材が設けられ、この防護部材と上記放電電極との間に上記センサが配設されている。
また、上記送風口3の入口には、上記ファン6と異物との接触を防止するネット状の防護部材7が設けられ、上記送風口3の出口側にも、上記放電電極4a,4b及び5a,5bと異物との接触を防止するネット状の防護部材8が設けられている。これらの防護部材7,8は、金属製又は合成樹脂製の線条7a,8aをリング状又は格子状に組み合わせた構造のものであるが、それ以外の構造であっても良い。防護部材7,8が金属製の線条7a,8aで形成されている場合は、安全のためにフレームグランドに接地しておくことが望ましい。
なお、上記四組の放電電極対4,5において、四つの短針電極4a,5bの先端−中心間距離a,b’は互いに等しく、また、他の四つの長針電極4b,5aの先端−中心間距離b,a’も互いに等しい。
更に、全ての放電電極対4及び5において、正側放電電極4a,5aと負側放電電極4b,5bとの電極先端間距離Lは互いに等しく、かつ、この電極先端間距離Lは、隣接する放電電極対4と5との隣り合う短針電極4aと5bとの電極先端間距離mよりも、長針電極4bと5aとの電極先端間距離nよりも小さい。
上記センサ13は、上記防護部材8に取り付けられていても良い。この防護部材8が金属製の線条8aで形成されている場合は、センサ13との間に絶縁部材を介在させることが望ましい。
なお、放電電極対4と5とにおける二つの放電電極4a,4bと5a,5bとの長短の関係は同じであるため、以下の説明では、必要時以外は放電電極対4についてのみ符号を記載し、放電電極対5に関する符号の併記は省略するものとする。
L=放電電極対における短針電極と長針電極との先端間距離
d=短針電極の先端を基準位置とした場合の、該基準位置からセンサまでの送風口半 径方向の距離(センサ距離)
位置率r=d/L
とした場合、上記センサ13と放電電極4a,4bの位置関係と、上記検出抵抗15の最小抵抗値Rsと最大抵抗値Rbとは、以下の近似式で表すことができる。
Rs=3.87r3−1.37r2−1.33r+1.42 ・・(1)
Rb=−10.28r3+48.42r2−38.61r+9.50 ・・(2)
そこで、上記短針電極4aと長針電極4bとの配置と、短針電極4aに対するセンサ13の位置が決まったら、位置率rを上記近似式に代入して最小抵抗値Rsと最大抵抗値Rbとを求め、それらの範囲内に検出抵抗15の抵抗値Rを設定すれば良い。換言すれば、上記抵抗値Rを、3.87r3−1.37r2−1.33r+1.42≦R≦−10.28r3+48.42r2−38.61r+9.50なる値に設定すれば良い。
この実験装置は、図1に示す実施形態の装置にチャージプレート17を付設したものと実質的に同じ構成であり、このチャージプレート17にファン6からのイオン化エアを吹き付けて帯電させることにより、このチャージプレート17でイオンバランスの状態を測定し、測定したイオンバランス波形19をモニタ18に表示させる。図中16は増幅器である。
また、リング状のセンサ13と検出抵抗15とにより、イオンバランスの状態に応じて発生するイオン電流I1,I2を検出し、検出したイオン電流による信号波形20を上記モニタ18に表示させ、イオンバランス波形19と近似した信号波形20が得られる検出抵抗15の最小抵抗値Rsと最大抵抗値Rbとを測定する。
センサ−チャージプレート間距離x=300mm
放電電極−センサ間距離y=10mm
正側高電圧源の制御電圧=5V
電極先端間距離L=18mm
正側及び負側の放電電極の先端−中心間距離差(a−b)=8mm
ファン駆動電圧=7.0V(最小風量)
また、図8A及び図8Bには、イオンバランス波形19及び検出信号波形20の一例として、上記センサ13が短針電極4aの先端から2mmの位置にある場合の、最小抵抗値検出時及び最大抵抗値検出時のイオンバランス波形19と検出信号波形20とが示されている。図8Aが最小抵抗値検出時、図8Bが最大抵抗値検出時である。これらの波形が得られた時の図7における位置率rの値は、d=2、L=18であるから、r=2/18≒0.11となる。
従って、イオナイザの外形寸法が各種異なる場合であっても、イオンバランス制御のための適正なイオン電流が得られる上記放電電極4a,4bとセンサ13との位置関係と、上記検出抵抗15の抵抗値Rとを、上記近似式に基づいて容易にかつ適正に決めることが可能である。
なお、実際のイオナイザの設計において、上記抵抗値Rを決める際の位置率rの好ましい範囲は0≦r≦0.5の範囲である。これは、上記センサ13が、短針電極4a,5bの先端から長針電極4b,5aの先端あるいは該先端を僅かに越えた先端近傍までの範囲内に配置されることが好ましいことを意味している。
図示の例では、上記防護部材8が大小三つの金属リング23,23aを有していて、このうちの一つである中間の金属リング23aが、上記センサ13を代用するものとして、先端−中心間距離の大きい短針電極4a,5bの電極先端の近傍に配置されている。これは、複数の金属リングからなる防護部材をイオンバランスを検出するセンサに兼用する場合、短針電極の最も近くに位置する金属リングがイオン電流の発生について最も支配的であるという実験結果に基づくものである。
上記防護部材8(従って金属リング23a)は、検出抵抗15を介してフレームグランドFGに接続され、この検出抵抗15の防護部材側の端子15aが、増幅器14を介して制御装置12に接続されている。
また、このイオナイザ1Aにおいては、防護部材8が検出抵抗15を介してフレームグランドFGに接続されているため、イオンバランスが大きく崩れてこの防護部材8に大きなイオン電流が流れた場合でも感電の心配はない。
図11及び図12からも明らかなように、このイオナイザ30は、ケース32に形成された円形の送風口33の内部に、正の高電圧の印加により正イオンを発生する複数の上記正側放電電極34aと、負の高電圧の印加により負イオンを発生する複数の上記負側放電電極34bと、正イオン及び負イオンを含むイオン化エアを送風口33から外部に送り出すファン36とを有している。
上記センサ43は、上記防護部材38に取り付けられていても良い。この防護部材38が金属製の線条38aで形成されている場合は、センサ43との間に絶縁部材を介在させることが望ましい。
L=正側放電電極と負側放電電極との先端間距離
d=放電電極の先端を基準位置とした場合の、該基準位置からセンサまでの送風口半 径方向の距離(センサ距離)
位置率r=d/L
とした場合、上記センサ43と放電電極34a,34bの位置関係と、上記検出抵抗45の最小抵抗値Rsと最大抵抗値Rbとは、以下の近似式で表すことができる。
Rs=2.26r3+3.87r2−0.19r+0.42 ・・(3)
Rb=10.27r3+3.59r2+0.70r+0.65 ・・(4)
そこで、上記正側放電電極34aと負側放電電極34bとの配置、及びこれらの放電電極に対するセンサ43の配置が決まったら、位置率rを上記近似式に代入して最小抵抗値Rsと最大抵抗値Rbとを求め、それらの範囲内にあるように検出抵抗45の抵抗値Rを設定すれば良い。換言すれば、上記抵抗値Rを、2.26r3+3.87r2−0.19r+0.42≦R≦10.27r3+3.59r2+0.70r+0.65なる範囲内に設定すれば良い。
この実験装置は、図11に示す実施形態の装置にチャージプレート47を付設したものと実質的に同じ構成で、このチャージプレート47にファン36からのイオン化エアを吹き付けて帯電させることにより、このチャージプレート47でイオンバランスの状態を測定し、測定したイオンバランス波形49をモニタ48に表示させる。図中46は増幅器である。
また、リング状のセンサ43と検出抵抗45とにより、イオンバランスの状態に応じて発生するイオン電流I1,I2を検出し、検出したイオン電流による信号波形50を上記モニタ48に表示させ、イオンバランス波形49と近似した信号波形50が得られる検出抵抗45の最小抵抗値Rsと最大抵抗値Rbとを測定する。
センサ−チャージプレート間距離x=300mm
放電電極−センサ間距離y=10mm
正側高電圧源の制御電圧=5V
電極先端間距離L=51.5mm
ファン駆動電圧=11.2V(最小風量)
また、図18A及び図18Bには、イオンバランス波形49及び検出信号波形50の一例として、センサ43が放電電極34a,34bの先端から10mmの位置にある場合の、最小抵抗値検出時及び最大抵抗値検出時のイオンバランス波形49と検出信号波形50とが示されている。図18Aが最小抵抗値検出時、図18Bが最大抵抗値検出時である。これらの波形が得られた時の図17における位置率rの値は、d=10、L=51.5であるから、r=10/51.5≒0.19となる。
従って、イオナイザの外形寸法が各種異なる場合であっても、イオンバランス制御のための適正なイオン電流が得られる上記放電電極34a,34bとセンサ43との位置関係と、上記検出抵抗45の抵抗値Rとを、上記近似式に基づいて容易にかつ適正に決めることが可能である。
なお、実際のイオナイザの設計において、上記抵抗値Rを決める際の位置率rの好ましい範囲は0≦r≦0.5の範囲である。これは、上記センサ43が、放電電極34a,34bの先端よりも送風口33の中心O寄りの位置に配置されていることが好ましいことを意味する。
図示の例では、上記防護部材38が大小三つの金属リング53,53aを有していて、このうちの一つである中間の金属リング53aが、上記センサ43を代用するものとして放電電極34a,34bの近傍に配置されている。これは、複数の金属リングからなる防護部材をイオンバランスを検出するセンサに兼用する場合、放電電極の先端部近く位置する金属リングがイオン電流の発生について最も支配的であるという実験結果に基づくものである。
上記防護部材38(従って金属リング53a)は、検出抵抗45を介してフレームグランドFGに接続され、この検出抵抗45の防護部材側の端子45aが、増幅器44を介して制御装置42に接続されている。
また、このイオナイザ30Aにおいては、防護部材38が検出抵抗45を介してフレームグランドFGに接続されているため、イオンバランスが大きく崩れてこの防護部材38に大きなイオン電流が流れた場合でも感電の心配はない。
3,33 送風口
4,5 放電電極対
4a,4b,5a,5b,34a,34b 放電電極
4a,5b 短針電極
4b,5a 長針電極
6,36 ファン
8,38 防護部材
12,42 制御装置
13,43 センサ
15,45 検出抵抗
23,23a,53,53a 金属リング
O 送風口の中心
R 抵抗値
FG フレームグランド
I1,I2 イオン電流
a,a’,b,b’ 先端−中心間距離
Claims (8)
- 異極性のイオンを発生させる二つの放電電極の組み合わせからなる放電電極対と、これらの放電電極で発生した正イオン及び負イオンを含むイオン化エアを送風口から送り出すファンと、正イオンと負イオンとのイオンバランスを検出するセンサと、該センサをフレームグランドに接続する検出抵抗と、該検出抵抗を流れるイオン電流に基づいて上記放電電極に印加される正又は負の高電圧を制御することによって正イオン又は負イオンの発生量を制御する制御装置とを備え、
上記放電電極対における二つの放電電極は、上記送風口の中心の回りの互いに隣接する位置に配設されていて、一方の放電電極が、電極先端から送風口の中心までの距離を表す先端−中心間距離の長い短針電極であると共に、他方の放電電極が、上記先端−中心間距離の短い長針電極であり、
上記センサは、リング状をしていて、上記放電電極より風下側の位置に、リングの中心を上記送風口の中心に一致させて配設され、
上記放電電極対における短針電極と長針電極との先端間距離をLとし、短針電極先端の基準位置から上記センサまでの送風口半径方向の距離であるセンサ距離をdとし、d/Lを位置率rとしたとき、上記検出抵抗の抵抗値R[MΩ]が、
3.87r3−1.37r2−1.33r+1.42≦R≦−10.28r3+48.42r2−38.61r+9.50
の範囲内にあることを特徴とするイオンバランス調整型イオナイザ。 - 上記位置率rが0≦r≦0.5の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のイオナイザ。
- 上記送風口に、上記放電電極と異物との接触を防止するためのネット状の防護部材が設けられ、この防護部材と上記放電電極との間に上記センサが配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオナイザ。
- 上記送風口に、上記放電電極と異物との接触を防止するためのネット状の防護部材が設けられ、この防護部材は、同心状に配置された複数の金属リングを有していて、リングの中心を上記送風口の中心に一致させて配設され、何れか一つの金属リングを上記位置率rが0≦r≦0.5の範囲内にあるように配置することにより、該金属リングに上記センサを代用させたことを特徴とする請求項1に記載のイオナイザ。
- 異極性の高電圧の印加により異極性のイオンを発生する複数の放電電極と、これらの放電電極で発生した正イオン及び負イオンを含むイオン化エアを送風口から送り出すファンと、正イオンと負イオンとのイオンバランスを検出するセンサと、該センサをフレームグランドに接続する検出抵抗と、該検出抵抗を流れるイオン電流に基づいて上記放電電極に印加される正又は負の高電圧を制御することによって正イオン又は負イオンの発生量を制御する制御装置とを備え、
上記放電電極は、上記送風口の中心の回りに異極性のもの同士が互いに隣接するように配設されていて、全ての放電電極における電極先端から送風口の中心までの距離を表す先端−中心間距離は互いに等しく、
上記センサは、リング状をしていて、上記放電電極より風下側の位置に、一つの上記センサがリングの中心を上記送風口の中心に一致させて配設されたイオナイザにおいて、
隣接する異極性の放電電極の先端間距離をLとし、放電電極の先端の基準位置から上記センサまでの送風口半径方向の距離であるセンサ距離をdとし、d/Lを位置率rとし、上記検出抵抗の抵抗値をR[MΩ]としたとき、以下の数式
2.26r 3 +3.87r 2 −0.19r+0.42≦R≦10.27r 3 +3.59r 2 +0.70r+0.65
が成り立つように上記放電電極とセンサとの位置関係及び上記検出抵抗の抵抗値を定める、
ことを特徴とするイオンバランス調整型イオナイザの設計方法。 - 上記位置率rが0≦r≦0.5の範囲内にあることを特徴とする請求項5に記載のイオナイザ。
- 上記送風口に、上記放電電極と異物との接触を防止するためのネット状の防護部材が設けられ、この防護部材と上記放電電極との間に上記センサが配設されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のイオナイザ。
- 異極性の高電圧の印加により異極性のイオンを発生する複数の放電電極と、これらの放電電極で発生した正イオン及び負イオンを含むイオン化エアを送風口から送り出すファンと、正イオンと負イオンとのイオンバランスを検出するセンサと、該センサをフレームグランドに接続する検出抵抗と、該検出抵抗を流れるイオン電流に基づいて上記放電電極に印加される正又は負の高電圧を制御することによって正イオン又は負イオンの発生量を制御する制御装置とを備え、
上記放電電極は、上記送風口の中心の回りに異極性のもの同士が互いに隣接するように配設されていて、全ての放電電極における電極先端から送風口の中心までの距離を表す先端−中心間距離は互いに等しく、
上記送風口に、上記放電電極と異物との接触を防止するためのネット状の防護部材が設けられ、この防護部材は、同心状に配置された複数の金属リングを有していて、上記放電電極より風下側の位置に、リングの中心を上記送風口の中心に一致させて配設され、何れか一つの金属リングが上記センサを代用しているイオナイザにおいて、
隣接する異極性の放電電極の先端間距離をLとし、放電電極の先端の基準位置から上記センサを代用する金属リングまでの送風口半径方向の距離であるセンサ距離をdとし、d/Lを位置率rとし、上記センサを代用する金属リングの位置率rが0≦r≦0.5の範囲内にあり、かつ上記検出抵抗の抵抗値をR[MΩ]としたとき、以下の数式
2.26r 3 +3.87r 2 −0.19r+0.42≦R≦10.27r 3 +3.59r 2 +0.70r+0.65
が成り立つように上記放電電極とセンサとの位置関係及び上記検出抵抗の抵抗値を定める、
ことを特徴とするイオンバランス調整型イオナイザの設計方法。
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