JP5381312B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
車両のエンジン始動用やバックアップ電源用といった様々な用途に鉛蓄電池が用いられている。その中でも始動用鉛蓄電池は、エンジン始動用セルモータへの電力供給とともに、車両に搭載された各種電気・電子機器へ電力を供給する。エンジン始動後、電池はオルタネータによって充電される。ここで、充電と放電とがバランスし、電池のSOCがほぼ100%に維持されるよう、オルタネータの出力電圧および出力電流が設定されている。
このような始動用の鉛蓄電池はエンジンルーム内に設置されることが殆どである。したがって、鉛蓄電池の使用温度は40℃以上、さらには80℃といった高温になる頻度も高く、鉛蓄電池は過充電傾向で使用される。
鉛蓄電池を過充電した場合、電解液中の水が酸素ガスと水素ガスに分解され電池外に排出されるため、電解液中の水分が減少する。その結果、電解液中の希硫酸濃度が上昇し、正極板の腐食劣化などにより容量低下が進行する。また、電解液面が低下し、極板が電解液より露出した場合には、放電容量の急激な低下や、負極板とストラップとの接続部が腐食するといった問題が発生する。
このように、特に始動用の鉛蓄電池において、電解液中の水分減少(以下、「減液」という)の抑制は重大な問題である。この鉛蓄電池の減液抑制を目的として、正極格子、負極格子ともに鉛−カルシウム系合金を用いた電池が実用化されている。
一方、鉛蓄電池の減液の原因は前記したような水の電気分解によるものと、単に電解液中の水分の一部が蒸発して発生した水蒸気や、電解液がミスト状となって、それぞれ電池外に放出されることによるものがある。なお、始動用の鉛蓄電池では、車両走行中に振動によって電解液面が激しく揺れ動くため、セル室内部では電解液ミストが発生しやすい。また、充電時に発生したガスが電解液面から離脱する際にも、電解液のミストが発生する。
このような、電解液中の蒸発水分や電解液ミストの、電池外への散逸による電解液の減液を抑制するために、液口栓を覆うシートを蓋に粘着剤で貼り付け、液口栓に設けられたガス排気のための排気孔をシートで覆う構成が示されている。
このように、蓋にシートを貼り合わせる構成は、既存の電池に付加的にシートを貼り合わせて実現できるため、非常に簡便であり、減液抑制の効果も高い。
一方、液式の鉛蓄電池において、酸素・水素ガスの発生を完全に防止することはできず、鉛蓄電池を放置あるいは充電するにあたっては必ず酸素・水素ガスの発生が伴っていた。
前記したような、鉛蓄電池を過充電傾向で使用し続けた場合、このような酸素・水素ガスの発生によって、電池内外で圧力差が生じ、電池内の気体が電池外に排出される。その際、この気体の排出と同時に、電池内の水蒸気や電解液ミストの排出も行われ、シート上あるいはシートと蓋との隙間で水や電解液として再び結露することによって、液口栓周囲に微量の電解液あるいは水が滲み出るという現象があった。
また、この滲み出た電解液や水が、蓋とシートの隙間を毛細管現象によって広がり、二蓋とシートとが、これらの電解液・水を介して最終的には、電解液や水が電池外に漏出したり、蓋とシートが密着するために、これら両者の間に貼り付きが発生して、ガスの電池外への排出が妨げられる場合があった。ガスの排出が妨げられた場合、電池内圧が上昇して、電槽やその内部に設けたセル間隔壁が変形する場合があった。このようなセル間隔壁の変形は、隣接するセル室を圧迫してその内容積が低下するため、この隣接するセル室で電解液面が上昇し、電解液が電池外へ漏出する場合があった。
これらの課題を解決するために、特許文献1では、液口に装着した液口栓を覆うシートを蓋に粘着剤で貼り付け、液口栓に設けられたガス排気のための排気孔をシートで覆い、前記排気孔を覆うシートは前記排気孔に対応もしくは近接した位置に、交差していないスリットを形成することが提案されている。
特許文献1で示された構造により、液口栓をシートで覆った構成を有した液式の鉛蓄電池において、蓋とシートとの間の水や電解液の微量の滲出があり、これらが密着した状態で貼り付いた場合においても、交差しないスリットを通過して電池内のガスの電池外への放出が行われることによって、電池内圧の上昇や、これによる電槽の変形を抑制することが可能となった。
特開2008−71692号公報
ところが、本願発明の発明者らは、特許文献1で示された構造を有する鉛蓄電池において、蓋とシートとの間の微量の結露水や、滲出した微量の電解液等の液体が存在すると、この液体を介して蓋とシートとが貼り付く場合があり、このような状態から、電池温度が低下したり、セル内部に存在する酸素ガスが負極に吸収された場合、セル室の内圧が、大気圧より低い、減圧状態となることを見出した。そして、一旦、減圧状態となると、電池を充電することによって、セル室内でガスを発生させたり、あるいは電池を加温する等の電池内圧を大気圧よりも増大させるような操作を行なうまで、スリットは開かず、減圧状態が維持されることが解ってきた。
なお、特許文献1の図3には、粘着剤がある程度の厚みをもって、シートと液口栓の天面との間に間隙が存在するかに示されるが、実際に特許文献1の鉛蓄電池を作成するにあたり、粘着剤の厚みは5μm〜50μm程度であって、実際のシートと液口栓の天面の間の空間は極めて狭小であり、シートと液口栓との貼り付きが発生する。また、シートと液口栓との貼り付きが抑制できる程度に粘着剤の厚みを厚く塗布した場合、シートが蓋より大幅に盛り上がった状態となり、鉛蓄電池を車両等の機器に固定する際のステーとシートとが干渉し、振動やこれによるこすれによって、シートが破れるといった問題もあり、粘着剤の厚みを厚くすることによって、シートと液口栓の天面との貼り付きを防止することは極めて困難であり、現実的ではなかった。
そして、電槽内部を隔壁で複数のセル室に区画した鉛蓄電池において、前記したように、セル室が減圧状態となった場合、セル室間で内圧が均等であることは殆どなく、セル室間での内圧差が、ほぼ不可避的に生じる。このような内圧差によって、セル室を区画する隔壁が、内圧が低い方のセル室に向かって変形するため、セル室の容積に変化が生じことになる。すなわち、内圧の低い方のセル容積はより小となり、内圧の高い方のセル室の容積はより大となる。その結果、電解液面は、内圧のより高いセル室で電解液面は当初の位置より低くなり、内圧のより低いセル室で電解液面は当初の位置より高くなる。
このような電解液面の変化によって、電解液面の高さが所定範囲を超える場合には、電池の耐漏液性能、特に、電池に振動を加えた際の耐漏液性能が急激に低下し、また、電解液面の高さが所定範囲を下回る場合には、ストラップが電解液面からの露出によって腐食し、さらに、極板面が電解液から露出することによって、電池容量が低下するという不具合を生じさせる。
また、前記したような、内圧差による隔壁の変形と電解液面の変動は、一時的なものではなく固定化される。例えば、鉛蓄電池を化成充電した後、この鉛蓄電池を在庫として長期保管した場合がそれに該当する。すなわち、化成充電によって、電池の温度が上昇した後、保管中の電池温度低下によって、シートが液口栓の天面に貼り付いた状態で、スリットも開かないため、セル室内の気体の体積収縮によってセル内圧は大気圧よりも低くなる減圧状態となる。その結果、必然的に生じるセル室間の内圧差が、電池保管中にわたって保持される。
このような状態での電池の保管期間が比較的短期間であれば、電池の使用を開始すると、電池は充電されるため、セル内で発生した酸素ガスおよび水素ガスによって、セル室の内圧は上昇し、蓋とシートとの貼り付きが内圧によって剥離し、また、スリットが開くことによって、セル室の内圧は大気圧に復元し、隔壁の変形も復元する。
一方、電池の保管期間が長期間(例として3ヶ月)にわたると、隔壁の変形は固定化され、電池内圧が大気圧に復元しても、隔壁の変形は復元しないということがわかってきた。
本発明は、前記したような、液口栓をシートで覆った構成を有した液式の鉛蓄電池において、蓋とシートとの間に存在する微量の結露水や電解液によって、蓋とシートとが密着した状態で貼り付いた場合においても、セル室が減圧状態となることを抑制することによって、セル室間の内圧差を抑制し、このような内圧差によって生じる隔壁の変形、あるいは電解液面の変動およびこれによって生じる不具合(漏液や、電解液から露出することによって生じるストラップの腐食、および負極板の酸化劣化による容量低下)を抑制することを目的とするものである。
前記した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、正極板と負極板とがセパレータを介して配置され、同極性の極板耳部がそれぞれ正極ストラップおよび負極ストラップで集合溶接されてなる極板群と、前記極板群と電解液とを収納するセル室の複数を隔壁で区画形成した電槽と、前記電槽の開口部に接合した蓋と、前記セル室に対応して前記蓋に設けた液口に装着されるとともに、前記電槽内のガスを電池外に排出するための排気孔が設けられた液口栓とを有した鉛蓄電池であって、前記排気孔を覆うよう、粘着剤あるいは接着剤等の接合剤によって、前記蓋に貼り合わされたシートを備え、前記シートは可撓性を有し、前記シートと前記蓋の貼り合せ面に、前記接合剤を有さない非接合部を備え、前記非接合部は、前記蓋と前記シートとの隙間を通して、前記排気孔からの排出ガスを、前記排気孔から離間した位置で電池外に排出するよう形成するとともに、前記シートの前記液口栓に対向した位置に複数のスリットが互いに交差してなり、前記セル室の内圧が大気圧よりも低下もしくは上昇した場合に前記スリットが開く交差スリットを形成し、かつ、前記液口栓の天面の、交差する前記スリットによって形成される片に対向する部分を、前記蓋の前記シートとの貼り合せ面よりも陥没させることによって、前記天面と前記シートのとの間に間隙部を設け、かつ、前記排気孔を前記間隙部に開口する位置に設けたことを特徴とする鉛蓄電池を示すものである。
また、本発明の請求項2に係る発明は、本発明の請求項1に係る発明は、正極板と負極板とがセパレータを介して配置され、同極性の極板耳部がそれぞれ正極ストラップおよび負極ストラップで集合溶接されてなる極板群と、前記極板群と電解液とを収納するセル室の複数を隔壁で区画形成した電槽と、前記電槽の開口部に接合した蓋と、前記セル室に対応して前記蓋に設けた液口に装着されるとともに、前記電槽内のガスを電池外に排出するための排気孔が設けられた液口栓とを有した鉛蓄電池であって、前記排気孔を覆うよう、粘着剤あるいは接着剤等の接合剤によって、前記蓋に貼り合わされたシートを備え、前記シートは可撓性を有し、前記シートと前記蓋の貼り合せ面に、前記接合剤を有さない非接合部を備え、前記非接合部は、前記蓋と前記シートとの隙間を通して、前記排気孔からの排出ガスを、前記排気孔から離間した位置で電池外に排出するよう形成するとともに、前記シートの前記液口栓に対向した位置に屈曲し、前記セル室の内圧が大気圧よりも低下もしくは上昇した場合に開く屈曲スリットを形成し、かつ、前記液口栓の天面の、前記屈曲スリットによって形成される片に対向する部分を、前記蓋の前記シートとの貼り合せ面よりも陥没させることによって、前記天面と前記シートとの間に間隙部を設け、かつ、前記排気孔を前記間隙部に開口する位置に設けたことを特徴とする鉛蓄電池を示すものである。
また、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1もしくは請求項2の鉛蓄電池において、前記正極ストラップおよび前記負極ストラップとして、アンチモンを含まない鉛もしくは鉛合金を用いることを特徴とする。
前記した本発明の構成によれば、減液特性をする目的で、液口栓の排気孔を覆うシートを蓋に貼り合わせた鉛蓄電池において、セル室内が減圧状態となり、かつセル間での内圧がばらつくことを抑制するとともに、これによるセル間の隔壁の変形が顕著に抑制され、これによる電解液面の変動、および電解液面の変動が抑制できるという、顕著な効果を奏する。また、電解液面の変動によってもたらされる、負極ストラップの腐食あるいは電池容量の低下といった不具合を抑制した、信頼性の高い鉛蓄電池を提供できるという、顕著な効果を奏する。
本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池を示す図 本発明の第1実施形態による鉛蓄電池の断面を示す図 (a)本発明の第1実施形態による他の鉛蓄電池を示す図(b)本発明の第1実施形態による他の鉛蓄電池を示す図 本発明の第1実施形態による鉛蓄電池の要部断面を示す図 本発明の第1実施形態による他の鉛蓄電池の要部断面を示す図 本発明の第1実施形態による他の鉛蓄電池の要部断面を示す図 本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池を示す図 比較例の鉛蓄電池を示す図
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による鉛蓄電池1の天面を示す図、図2は、図1における鉛蓄電池1のB−B′断面を示す図である。また、図4は、図2の一部を拡大した図である。
図2に示したとおり、正極板2、負極格子体を有した負極板3とセパレータ4、および同極性の極板をそれぞれ集合溶接する正極ストラップ9と負極ストラップ10とからなる極板群8が、鉛蓄電池1の使用を開始する初期状態において、これら正極板2および負極板3の少なくとも極板面全面を浸漬する電解液5を有する。なお、公知のように、減液によって、電解液面は低下して極板面が露出する可能性があり、本発明の鉛蓄電池1においても同様である。しかしながら、少なくとも本発明の鉛蓄電池1および後述する本発明の鉛蓄電池1′は、その使用を開始した、初期状態の時点において、極板面全面が電解液5によって浸漬されている。そして、極板群8と電解液5とが、電槽6のセル室6aに収納され、電槽6の上部に蓋7が接合されている。なお、正極ストラップ9および負極ストラップ10も電解液5に浸漬した状態とすることが、これらストラップでの腐食や発熱を抑制する上で好ましい。また、図2に示した例では、正極ストラップ9に極柱12が接続され、蓋7を貫通する端子11に接続され、負極ストラップ10には隔壁6bを介して隣接する極板群(図2には現れない。)に接続体13で接続した構成を示しているが、あくまでも例示であって、極板群8と端子11との接続構造、あるいは極板群8同士の接続構造は、他の公知の構成を適用できる。
正極格子体および負極格子体ともに、母材は鉛−カルシウム合金を用いることが好ましい。鉛−カルシウム合金は、鉛−アンチモン合金に比較して充電中のガス発生が抑制され、結果として、ガス発生に伴って発生する酸務も抑制されるからである。このような酸務は排気孔22から排出され、シート23と後述する液口栓21の天面21cとの貼り付きが生じやすくなる。このような貼り付きを抑制するためにも、正極および負極の格子には鉛−カルシウム合金を用いることが好ましい。但し、正極格子に関しては、1〜10質量%程度のアンチモンを含む鉛−アンチモン合金の薄層(厚み1〜30μm程度)を正極格子骨表面に形成したものは、鉛−アンチモン合金製の正極格子に比較して、鉛蓄電池のガス発生量の増大を抑制できるため、鉛−カルシウム合金の正極格子と同等に扱うことができる。
また、同様に、負極ストラップ10および正極ストラップ9に鉛−スズ合金等の、アンチモンを含まない(但し、0.002質量%程度の不可避的不純物としてのアンチモンを含んでもよい。)鉛合金を用いることが好ましい。
蓋7には、セル室6aに対応して液口7aが設けられ、この液口7aには、液口栓21が装着されている。液口栓21の頭部には、排気孔22が設けられる。なお、振動によって揺れ動いた電解液5が、直接、排気孔22に接触することを抑制するため、液口栓21内に防沫体21aを設けてもよい。また、この防沫体21aと排気孔22との間に、従来から知られているような、防爆用のフィルタ21bを設けてもよい。
そして、この排気孔22の上部を覆うシート23が、接合剤によって、蓋7に貼り合わされている。なお、シート23はその全面で蓋7に接合剤によって貼り合わされているのではなく、少なくとも排気孔22から排出されるガスを大気中に放出できるよう、蓋7とシート23の貼り合せ面の一部に、接合剤が存在しない、非接合部23aを設ける。なお、接合部材は、蓋7の表面あるいはシート23の表面のどちらに設けても、あるいは双方に設けてもよいが、シート23の貼り合せ工程での作業性、生産性を考慮して接合部材層を予めシート23の非接合部23aを除く部分に形成することが好ましい。
一例として、図1に示したように、すべての排気孔22から電池外へのガス排出が行われるよう、例えば、シート23両側を帯状の接合部で挟まれた、帯状の非接合部23aをシート23の端部まで設け、このシート23の端部で最終的にガスが大気に排出させる。なお、図1において、シート23の蓋7との貼り合せ面において、非接合部23aを除いた部分、すなわち、接合剤で貼り合わせて固定した部分を斜線部Aとして示した。なお、シート23を蓋7に接合する関係上、蓋7の液口7aの周囲は実質的に同一平面上に形成することが好ましい。
接合剤として、シート23を蓋7に固定可能な接合力を有した各種の粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。また、シート23は、減液抑制の目的で用いるものであるから、水分、希硫酸分等の液体や、水蒸気の透過を抑制しうる材質のものが用いられ、かつ、可撓性を有したものを用いる。
例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルムシート、あるいはPET樹脂フィルム等が用いられる。接合剤の塗布厚みは、一般的なラベルと同様、10〜40μm程度であり、これ以上、接合剤の塗布厚みを意図的に厚くすると、シート23が蓋7より盛り上がり、鉛蓄電池1を固定するためのステー等に干渉し、シート23に破れが生じる恐れがあるため好ましくない。
図1に示した例では、非接合部23aを一本の帯状に配置した例を示したが、排気孔22から鉛蓄電池1の外部にわたって連続して非接合部23aを配置すればよいので、図3(a)に示したように、液口栓21ごとに独立して非接合部23′aを形成してもよく、図3(b)に示したように、2つの非接合部23″aを形成し、それぞれの非接合部23″aが3つの液口栓21からの排出されるガスを一括して大気に排出するパターンとしもよく、排気孔22からのガス排出が可能であれば、どのような形成パターンでもよい。
排気孔22に対向してシート23を配置することにより、排気孔22が電池周囲の空気流に暴露されないため、前記したような電池周囲の空気流によって、電池内部の水蒸気や電解液ミストが排気孔22から吸い出される現象が抑制されるため、電解液中の水分蒸発や電解液ミストの電池外への散逸による、減液が抑制される。
本発明では、図1あるいは図3に示したように、シート23の液口栓21に対向した位置に複数のスリット25aが交差する、交差スリット25を設ける。そして、図4に示したように、液口栓21の天面21cの、少なくともスリット25aが交差することによって形成される片25cに対向する部分を蓋7のシート23との貼り合せ面7bよりも陥没させることによって、天面21cとシート23との間に間隙部26を設ける。また、液口栓21の排気孔22は、この間隙部26に開口する位置に設ける。
上記した構成により、シート23の非接合部23aにあたる部分が、蓋7の表面に密着し、かつ電池温度が低下する、あるいはセル室6a内で酸素ガス吸収反応が行なわれる等、セル室6aの内圧が大気圧よりも低下した場合、交差するスリット25aで形成される片25cが間隙部26の方向に吸い寄せられるよう、撓んで変形し、このような片25cの撓み変形によって、スリット25aが開き、大気がセル室6aに導入され、セル室6aの内圧は、大気圧に復元するため、隔壁6bが変形するような、セル室6a間の内圧差が抑制される。
その結果、特許文献1で示された鉛蓄電池で発生していたような、セル内圧の減圧状態にばらつきが生じて、隔壁が変形することによる電解液面の上昇・低下と、このような電解液面の上昇・低下によってもたらされる、電解液の漏液やストラップの腐食あるいは電池容量の低下といった不具合を抑制できるという、顕著な効果を奏する。
一方、シート23の非接合部23aにあたる部分が、蓋7の表面に密着した状態で、電池温度が上昇する、あるいは電池を充電した際に発生する酸素ガス・水素ガスで、セル室6aの内圧が、大気圧よりも高い、加圧状態になった場合には、交差するスリット25aで形成される片25cが鉛蓄電池1の上方に撓んで変形し、スリット25aが開き、セル室6a内のガスが大気中に放出するため、セル室6aの内圧上昇を抑制することができる。
図2および図4に示した例では、液口栓21の天面21cの一部に陥没部21dを曲面で形成することによって、シート23と液口栓21との間に、撓んだ片25cを収納するための間隙部26を形成した例を示したが、図5に示したように、陥没部21′dを天面21cから階段状に陥没した形状としてもよい。また、図4や図5に示したように、天面21cの一部に陥没部21d,21′dを設けるのではなく、図6に示したように、天面21c全体を、蓋7のシート23との貼り合せ面7bから陥没させることによって、深さ寸法hの間隙部26を形成してもよい。
また、間隙部26は、セル室6aの内圧が過度の減圧状態とならないよう、片25cが撓み変形することによって、セル室6aの内圧を開放するに必要な深さ寸法hを有していればよいので、間隙部26を形成するために必ずしも陥没部21d,21′dを設ける必要はなく、例えば、図5に示したように、平面状に形成した液口栓21の天面21cを蓋7のシート23との貼り合せ面7bより下方に位置させて、深さ寸法hを確保してもよい。
なお、深さ寸法hは、シート23の厚みよりも大きく設定することが好ましい。これは間隙部26に片25cが収納された状態で、スリット25aを確実に開かせるためである。したがって、例として、0.01mm〜0.5mm程度の厚みのシート23を用いた場合、深さ寸法hは、0.01mmを超え、シート23の厚みよりも大きく設定する。なお、本発明の作用効果を得る上で、深さ寸法hの上限を定める必要はないが、液口栓21の構造設計上の制限から、5.0mm以下とすることになる。
また、スリット25aとしては、例えば、2mm〜10mm長さで形成し、その中点で互いに直角に交差した、十字形状のものを用いることができる。なお、例示したスリット25aの形成および交差パターン、寸法等は、本発明のスリット25aの機能を損なわない範囲で改変できるが、第1の実施形態においては、スリット25aの少なくとも2本が交差することによって、撓み変形時にスリット25aが開くよう形成する。なお、先に例示したスリット25aの寸法は、液口栓21の天面21c内に包含される寸法とすることができる。
特許文献1のように、スリットが交差しない場合、セル内が減圧状態となってもスリットが開かないため、減圧状態は解消されず、本発明の効果を得ることができない。
また、スリット25aを互いに交差して形成しても、間隙部26がない場合は、片25cは下方に撓み変形できないため、スリットは開かず、減圧状態は解消しないため、本発明の効果を得ることはできない。
したがって、本発明の第1の実施形態においては、本発明の効果を得る上で、スリット25aの複数が交差して、片25cを形成し、かつ、片25cが下方に撓み変形できるよう、間隙部26を形成することが必要である。
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池1′は、本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池1のスリット25aに替えて、図7に示したような屈曲を有した屈曲スリット25′を形成したものであり、その他の構成は、前記した第1の実施形態による鉛蓄電池1の構成と変わるところはない。
屈曲スリット25′は、その始点と終点を直線で結んだ形状と一致しないため、この直線と屈曲スリット25′で囲まれる部分が片25′cとなり、片25′cの下部に間隙部26を配置することによって、第1の実施形態の片25cと同様の作用効果を発揮する。
すなわち、セル室6aの内圧が減圧方向になった場合には、片25′cが間隙部26の方向に撓み変形するため、屈曲スリット25′が開き、セル室6aの減圧が抑制され、第1の実施形態による鉛蓄電池1と同様、隔壁6bの変形による電解液面の変動と、この変動によってもたらされる各種の不具合、例として、電解液の漏液や、負極ストラップ10の腐食や、あるいは負極板3の酸化劣化による電池容量の低下といった不具合を抑制できるという、顕著な効果を奏する。
また、セル室6aの内圧が、大気圧よりも高くなった場合には、片25′cは、間隙部26とは反対方向の上方に撓み変形し、屈曲スリット25′が開くため、セル室6aの加圧が解消され、電池内圧の異常上昇を抑制できる。
屈曲スリット25′の形成パターンとして、図7には、コの字状のものを例示したが、これに限定されることなく、例えばU字状、V字状あるいは円弧状のものであってもよい。屈曲スリット25′の形成パターンとしては、スリット形成加工にしやすさ等を勘案して適切な形状のものを選択すればよい。また、屈曲スリット25′の寸法としては、第1の実施形態で述べたような長さ数mm〜十数mm程度のものであって、液口栓21の天面21cの寸法内に包含さる寸法に設定することができる。
前記した、本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池1、本発明の第2の実施形態による鉛蓄電池1′および以下に示す比較例の鉛蓄電池を作成し、後述する評価試験によって、本発明の効果を確認した。なお、本発明例および比較例の電池は、ともにJIS D5301:2006(始動用鉛蓄電池)で規定するところの80D26形鉛蓄電池(以下、電池)である。また、実施例1においては、すべての電池の正極板には、鉛−0.07質量%カルシウム−1.6質量%スズ合金を用いたエキスパンド格子を、負極板には、鉛−0.07質量%カルシウム−0.3質量%スズ合金を用いたエキスパンド格子を用いた。
極板群の構成は、袋状の微孔性ポリエチレンセパレータ内に負極板を収納した、袋詰めの負極板7枚と、正極板の7枚とを積層した構成であり、正極ストラップおよび負極ストラップとしては、アンチモン含有量が0.001wt%未満に制限された、鉛−2.5質量%スズ合金を用いた。また、極柱および接続体については、鉛−2.5質量%アンチモン−0.2質量%砒素合金を用いた。
(本発明例の電池A1)
本発明例の電池A1は、図2および図4に示した、本発明の第1の実施形態による鉛蓄電池である。液口栓21の天面21cは径25.0mmの円形であり、円形の中心(天面21cの中心)から5.0mmの円周上から、円形の中心に向かって、深さ寸法hが大となる陥没部21dを形成した。陥没した天面21cの中心と、シート23の蓋7との貼り合せ面からの距離、すなわち深さ寸法hの最大値は0.5mmである。また、排気孔22は、天面21cの中心から2.0mmの位置に径1.0mmで設けられている。
シート23はPET樹脂製の厚み0.10mmのシートであり、蓋7との接合剤として、アクリルエマルジョン系粘着剤(粘着剤層厚み20μm)を用いた。また、交差スリット25を形成するスリット25aの長さは7.0mmであって、このスリット25aの2本がそれぞれの長さ中心で、十字状に互いに直角に交差した構成とした。交差スリット25の交差した部分は、陥没部21dに対応した位置としており、交差スリット25の交差した部分から、液口栓21の天面21cまでの間隙部26の深さ寸法は、1.0mmである。なお、交差スリット25は、先端が十字形状のトムソン刃を用いて形成した。
(本発明例の電池A2)
本発明例の電池A2は、電池A1の液口栓21の天面21cの形状を図5に示した形状としたものであり、その他の仕様は、電池A1と変わらない。
すなわち、天面21cの、シート23に形成した片25cにかかる部分に、段差を設けて陥没した形状として、シート23の蓋7との貼り合せ面と、天面21cの陥没を形成した部分の深さ寸法を0.3mmとした。本発明例の電池Aを天面からみた場合、液口栓21の天面21cに形成した陥没は、天面21cの中心から半径5mmの円状に現れ、この円周内、すなわち、陥没した部分で形成された間隙部26に排気孔22が開口している。
(本発明例の電池A3)
本発明例の電池A3は、前記した本発明例の電池A1および電池A2の液口栓21の天面21cの形状を図6に示した形状としたものであり、その他の仕様は、電池A1および電池A2と変わらない。
電池A3においては、液口栓21の天面21cは、平面状に形成され、蓋7のシート23との貼り合せ面7bより、深さ寸法hを有して陥没することにより、天面21cとシート23との間に間隙部26が形成される。なお、本発明例の電池A3における間隙部26の深さ寸法hは、0.2mmである。
(本発明の電池A4)
本発明の電池A4は、本発明の電池A1で用いた交差スリット25に替えて、シート23に、図7で示した、2つの屈曲を有する、コの字状の屈曲スリット25′を形成したものである。屈曲スリット25′の寸法は、コの字の高さ寸法が2.0mmとし、コの字の幅寸法を3.0mmとしたものであり、先端コの字状のトムソン刃をシート23に圧接して形成したものである。
なお、屈曲スリット25′で形成された片25′cおよび排気孔22は、間隙部26に対応した位置に形成され、片25′cは液口栓21方向に撓み変形することによって、屈曲スリット25′が開く構成としている。
(本発明の電池A5)
本発明の電池A5は、本発明の電池A2で用いた交差スリット25に替えて、本発明の電池A4で採用した屈曲スリット25′をシート23に形成したものであり、これ以外の仕様は電池A2と変わらない。
(本発明の電池A6)
本発明の電池A6は、本発明の電池A3で用いた交差スリット25に替えて、本発明の電池A4および電池A5で採用した屈曲スリット25′をシート23に形成したものであり、これ以外の仕様は電池A3と変わらない。
(比較例の電池B1)
比較例の電池B1は、図6に示した本発明例の電池A3において、図6で示す寸法hを0.0mmとした電池であり、天面21cとシート23との間には、設計上、シート23と蓋7とを接合する粘着剤層の厚みに相当する間隙が存在する。但し、粘着剤層の厚みは前記したように、20μmであり、片25cか下方に撓んで、スリット25aが開くに十分な厚みではない。
(比較例の電池B2)
比較例の電池B2は、前記した比較例の電池B1において、シート23に形成する交差スリット25を、本発明の電池A4、電池A5および電池A6で用いた屈曲スリット25′に変えたものであり、それ以外の構成は比較例の電池B1にかわらない。
(比較例の電池C1)
比較例の電池C1は、前記した本発明例の電池A1において、シート23に形成した交差スリット25を、図8に示した、2本の互いに平行に配置された平行スリット30に変えたものである。なお、平行スリット30は、長さ3.0mmのスリットの2本が1.5mm間隔で平行に配置された構成を有し、2本のスリットに挟まれた領域は、間隙部26に対応した位置に配置される。電池C1は、この平行スリット30以外、本発明の電池A1と変わるとこはない。
(比較例の電池C2)
比較例の電池C2は、前記した本発明例の電池A2において、シート23に形成した交差スリット25を、図8に示した、2本の互いに平行に配置された平行スリット30に変えたものである。なお、平行スリット30は、長さ3.0mmのスリットの2本が1.5mm間隔で平行に配置された構成を有し、2本のスリットに挟まれた領域は、間隙部26に対応した位置に配置される。電池C2は、この平行スリット30以外、本発明の電池A2と変わるとこはない。
(比較例の電池C3)
比較例の電池C3は、前記した本発明例の電池A3において、シート23に形成した交差スリット25を、図8に示した、2本の互いに平行に配置された平行スリット30に変えたものである。なお、平行スリット30は、長さ3.0mmのスリットの2本が1.5mm間隔で平行に配置された構成を有し、2本のスリットに挟まれた領域は、間隙部26に対応した位置に配置される。電池C3は、この平行スリット30以外、本発明の電池A3と変わるとこはない。
(比較例の電池D1)
比較例の電池D1は、前記した比較例の電池B1において、シート23に形成した交差スリット25を、図8に示した、2本の互いに平行に配置された平行スリット30に変えたものである。なお、平行スリット30は、長さ3.0mmのスリットの2本が1.5mm間隔で平行に配置された構成を有し、2本のスリットに挟まれた領域は、間隙部26に対応した位置に配置される。電池D1は、この平行スリット30以外、比較例の電池B1と変わるとこはない。
上記した各電池の仕様を表1に示す。
Figure 0005381312
表1に示した各電池を60℃の温度雰囲気下で、充電電圧15.0V(最大充電電流25A)で2000時間連続充電する間、1G(30Hz)の加速度で上下方向に振動を加えた。この操作は、各電池を意図的に過充電させ、液口栓21に設けた排気孔22の周囲に意図的に水蒸気のミストを付着させ、液口栓21とシート23とが、ミストが結露して生じる水分によって容易に貼り付きやすい状態とするために行なった。
次に、上記の過充電操作を行なった各電池を、60℃の恒温槽(湿度0RH%)に168時間放置した。その後、各電池を4.8Aの定電流で充電したときの、電池内圧の最大値と電槽の変形状態を確認した。本試験では、充電によって電池内部でガスを故意に発生させ、そのときの電池内圧上昇によってシートと蓋の貼り付き状態を評価する。ガス発生に伴って、電池内圧が上昇する場合には、シートと蓋とが密着し、電池内部のガスが電池外部に排出できない状態に陥っていることがわかる。一方、電池内圧上昇が電槽変形を引き起こすようなレベルまで上昇しないときには、シートと蓋間に、電池内部のガスが電池外部に排出する経路が確保されており、安全上、問題のないことが確認できる。
その結果、すべての電池において、電池内圧上昇が見られるものの、大気圧(101.325kPa)から10kPa〜20kPaまで内圧が上昇した時点で、電池内のガスが各スリットが開いて、内圧が大気圧まで低下した。また、各電池とも、電池の使用にあたって障害となるような、内圧による隔壁や電槽の変形は認められなかった。
次に、各電池を、25℃の室温に24時間放置したときの、電池内圧の最小値と各セルの液面状態を確認した。本試験では、電池温度を高温から常温に変化させることによって、電池内部に存在する気体の体積を減少させることにより、電池内圧を大気圧より減圧した状態とし、その時の、シート23と蓋7の貼り付きによる電池内圧の減圧状態と各セルの液面状態を評価する。なお、このような試験は、エンジン車両を使用した後、車両を駐車するような使用モードや、鉛蓄電池の製造工程において、鉛蓄電池を化成充電してから、エンドユーザが鉛蓄電池を使用し始めるまでの充電放置を想定したものであって、鉛蓄電池の製造工程や、その使用モードにおいて回避できない形態である。
上記の25℃にて24時間放置した後の各電池を構成する6個のセル室の内圧の最大値と最小値およびセル室間の隔壁の変形の有無およびセル間の液面差を計測した。その結果を表2に示す。なお、表2において、セル内圧は、実際の内圧から測定時の大気圧を差し引いた値で示している。したがって、セル内圧が0kPaである場合は、セル内圧は大気圧と等しく、0kPaを超える場合、セル内圧は大気圧に対して加圧状態にあり、0kPa未満のマイナス値である場合、セル内圧は大気圧に対して減圧状態にあることがわかる。
Figure 0005381312
表2に示した結果から、比較例の電池においては、充電後の放置で電池が常温まで冷却した場合、セル内圧は大気圧よりも減圧状態となるとともに、セル間で減圧状態に差が生じ、その結果として隔壁に変形が生じてセルの内容積にセル間の差が発生して、電解液面に大幅な差が生じた。本実施例においては、初期の電解液面を上限線に調整したため、セルによっては、電解液面が上限線を大幅に超えているものが発生した。このような電池では、充電や振動によって、容易に電解液が漏液する。
また、本実施例では、初期の電解液面を上限線に調整したが、下限線に調整した場合には、比較例の電池に電解液面が下限線を大幅に下回る電池が発生した。下限線は、本実施例において、および広く知られているように、負極ストラップの上面よりも上の位置に設定されている。これは負極ストラップが電解液面より露出して腐食断線することを防止するためである。したがって、比較例の電池においては、電解液面が下限線を大幅に下回った場合、負極ストラップが電解液から露出したり、さらには負極板が電解液面より露出した状態となっていた。このような現象は、前記した負極ストラップの腐食や、負極板の酸化劣化による電池の容量低下といった不具合を発生させる。
一方、本発明例の電池は、セルが減圧状態とならず、結果として、減圧状態での内圧ばらつきと、これに起因する隔壁の変形および電解液面の変動が抑制されている。
すなわち、スリットを交差させる、あるいは屈曲させることによって、シートに片を形成し、この片が下方に撓み変形できる間隙部を形成することにより、セル内圧が低下した場合には、片が下方に撓み変形してスリットが開き、セルの減圧と、減圧から生じる前記した不具合を解消できるという、顕著な効果が得られる。
シートに片を形成した場合でも、片が下方に撓み変形できる間隙部が存在しない場合、本発明の効果を得ることはできない。
また、下方に撓み変形できる間隙部を設けても、平行スリットや単一スリットといった、片を形成しないスリットの場合、減圧によってもスリットは開かず、本発明の効果は得られない。
本実施例においては、負極ストラップおよび正極ストラップにアンチモンの含有量が、不可避不純物レベルにまで制限された鉛−スズ合金を用いたが、この鉛−スズ合金に替えて、従来からストラップ合金として広く使用されている、鉛−アンチモン(−砒素)系合金を用いることができ、この合金のストラップへの使用によって、前記した本発明の効果を損なうことはないことを別途の実験により確認した。
ただし、鉛−アンチモン系合金を正負のストラップ合金とした場合、実施例の各電池に比較して、減液量が20%〜50%程度増大する。そして、シートで排気孔を覆うように構成する主目的が、減液の抑制にあることからすると、前記した実施例で示したように、正負のストラップに、アンチモン含有量が0.001質量%以下の、減液量の増大に寄与することがない、不可避不純物レベルまで制限された鉛合金を用いることいが好ましいことは自明である。
本発明は、始動用鉛蓄電池をはじめとする、各種用途の液式の鉛蓄電池に適用することができる。
1、1′ 鉛蓄電池
2 正極板
3 負極板
4 セパレータ
5 電解液
6 電槽
6a セル室
6b 隔壁
7 蓋
7a 液口
7b 貼り合せ面
8 極板群
9 正極ストラップ
10 負極ストラップ
11 端子
12 極柱
13 接続体
21 液口栓
21a 防沫体
21b フィルタ
21c 天面
21d、21′d 陥没部
22 排気孔
23 シート
23a、23′a、23″a 非接合部
25 交差スリット
25′ 屈曲スリット
25a スリット
25c 片
25′c 片
26 間隙部
30 平行スリット

Claims (3)

  1. 正極板と負極板とがセパレータを介して配置され、
    同極性の極板耳部がそれぞれ正極ストラップおよび負極ストラップで集合溶接されてなる極板群と、
    前記極板群と電解液とを収納するセル室の複数を隔壁で区画形成した電槽と、
    前記電槽の開口部に接合した蓋と、
    前記セル室に対応して前記蓋に設けた液口に装着されるとともに、前記電槽内のガスを電池外に排出するための排気孔が設けられた液口栓とを有した鉛蓄電池であって、
    前記排気孔を覆うよう、粘着剤あるいは接着剤等の接合剤によって、前記蓋に貼り合わされたシートを備え、
    前記シートは可撓性を有し、
    前記シートと前記蓋の貼り合せ面に、前記接合剤を有さない非接合部を備え、
    前記非接合部は、前記蓋と前記シートとの隙間を通して、前記排気孔からの排出ガスを、前記排気孔から離間した位置で電池外に排出するよう形成するとともに、
    前記シートの前記液口栓に対向した位置に複数のスリットが互いに交差してなり、前記セル室の内圧が大気圧よりも低下もしくは上昇した場合に前記スリットが開く交差スリットを形成し、
    かつ、前記液口栓の天面の、交差する前記スリットによって形成される片に対向する部分を、前記蓋の前記シートとの貼り合せ面よりも陥没させることによって、前記天面と前記シートのとの間に間隙部を設け、
    かつ、前記排気孔を前記間隙部に開口する位置に設けたことを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 正極板と負極板とがセパレータを介して配置され、
    同極性の極板耳部がそれぞれ正極ストラップおよび負極ストラップで集合溶接されてなる極板群と、
    前記極板群と電解液とを収納するセル室の複数を隔壁で区画形成した電槽と、
    前記電槽の開口部に接合した蓋と、
    前記セル室に対応して前記蓋に設けた液口に装着されるとともに、前記電槽内のガスを電池外に排出するための排気孔が設けられた液口栓とを有した鉛蓄電池であって、
    前記排気孔を覆うよう、粘着剤あるいは接着剤等の接合剤によって、前記蓋に貼り合わされたシートを備え、
    前記シートは可撓性を有し、
    前記シートと前記蓋の貼り合せ面に、前記接合剤を有さない非接合部を備え、
    前記非接合部は、前記蓋と前記シートとの隙間を通して、前記排気孔からの排出ガスを、前記排気孔から離間した位置で電池外に排出するよう形成するとともに、
    前記シートの前記液口栓に対向した位置に屈曲を有し、前記セル室の内圧が大気圧よりも低下もしくは上昇した場合に開く屈曲スリットを形成し、
    かつ、前記液口栓の天面の、前記屈曲スリットによって形成される片に対向する部分を、前記蓋の前記シートとの貼り合せ面よりも陥没させることによって、前記天面と前記シートとの間に間隙部を設け、
    かつ、前記排気孔を前記間隙部に開口する位置に設けたことを特徴とする鉛蓄電池。
  3. 前記正極ストラップおよび前記負極ストラップとして、アンチモンを含まない鉛もしくは鉛合金を用いることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の鉛蓄電池。
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