図1は、この発明の第1の実施の形態による弁構造体を備える受水槽を示す概略断面図であって、(1)は弁構造体が閉状態を示すものであり、(2)は弁構造体が開状態の場合を示すものである。
図1の(1)を参照して、この実施の形態による弁構造体11は、主に銅合金鋳物で形成されており、受水槽1内の上部でパイロット配管10と接続して設置されている。弁構造体11に接続されるレバー機構50に対してチェーン52を介して接続され、水面2に浮遊するフロート体41は、水面2の高さに応じて上下する。それに伴い、後述するように弁構造体11が開状態又は閉状態となり、その結果、定水位弁8も開状態又は閉状態となる。これにより、給水が開始又は閉止されて、受水槽1内の水位を所定の範囲に制御する。尚、後述するフック57によってチェーン52の実質的な上下の長さはL1となるように設定されている。
受水槽1には、弁構造体11に接続された給水管3と、受水槽1内の水面2が二点鎖線で示すオーバーフロー水位を超えた場合、受水槽1内の水を槽外へ排出するためのオーバーフロー管4と、対象場所に受水槽1内の水を供給するための供給管5と、受水槽1の底面に取付けられて、水位検知センサーに接続された水抜き管6とが設けられている。更に、受水槽1の上部には、マンホール7と水位検知用電極9とが取付けられている。
図1の(1)で示す弁構造体11が閉状態においては、受水槽1内の水面2が止水位となっている。
次に、図1の(2)を参照して、図1の(1)の閉状態から水の使用等によって受水槽1内の水面2が低下し、水位が給水位となった状態である。この状態において、弁構造体11は開状態となる。フロート体41の重量が作用して、弁構造体11内の後述する弁体24が開状態となるため、弁構造体11からパイロット配管10中の水が排出される。その結果、定水位弁8が開き、給水管3から受水槽1へ給水が行なわれる。そして、給水管3からの給水によって受水槽1内の水面2が上昇し、図1の(1)で示した止水位に達すると、再度フロート体41が水面2に浮遊してその重力が作用しなくなる。その結果、弁構造体11が閉状態となり、定水位弁8が閉止される。
このように、フロート体41の上下位置に応じて、弁構造体11の開閉状態が変わり、それに応じて最終的に定水位弁8の給水状態及び給水停止状態が決定されるため、受水槽1の水面2の制御が自動的に行われことになる。
次に、弁構造体11の構造について説明する。
図2は、図1で示した弁構造体の全体図を示す概略断面図である。
図を参照して、この実施の形態における弁構造体11は、弁構造体11の下部に位置し、後述するスピンドル29の下方に接続されたレバー機構50と、レバー機構50の端部に接続されたフロート手段39とからなる。
レバー機構50は、弁構造体11の弁箱20の右下方に垂直状態で固定接続された第1支持部材45と、弁箱20の左下方に垂直状態で固定接続された第2支持部材46と、第1支持部材45の下方に回動自在に右端部で接続され、スピンドル29の下方にその中間部分が回動自在に接続されたレバー48と、レバー48の左端部に回動自在に垂直状態でその上部で接続された連結部材47と、連結部材47の下部に回動自在に左端部で接続され、第2支持部材46の下方に回動自在に支点51で接続されたレバー49とから構成される。
フロート手段39は、フロート体41と、フロート体41にその一端56が接続されるチェーン52と、レバー機構50の右端部に取り付けられ、チェーン52の一端56以外の部分を脱着自在に掛止できるフック57とを含むものである。
受水槽1の水面2の水位の上下変動により、フロート体41及びレバー機構50が上下変動し、弁構造体11を開閉させる構造となっている。
フック57は一部分が開閉式になっており、開閉部分は安全のため、バネによって、軽易な接触などでは簡単に開かない構造となっている。チェーン52は、チェーン52の中央部付近のリンク55cと、リンク55aとをフック57に掛止している。チェーン52の長さを短くしたいときには、リンク55aからリンク55bまでの間で、余剰分のチェーン52を二重にして、フック57に掛止することで、容易に長さを変えることができるようになっている。
従って、このようにチェーン52を止水水位に応じてその長さを切断する必要がないので、工具等を受水槽1内に落下させて水質を劣化させる虞がない上に、フロート体41が水面2上に浮いたときに、レバー機構50の先端に作用するチェーン52等の重量が常に一定となり、弁構造体11の作動が安定する。
又、全体重量を変えることなく、レバー機構50に対するフロート体41の上下位置を変えることができるため、従来の弁構造体では水位を正確に調整することができなかったが、止水位を調整変更することができるようになる。そのため、制御する水位を容易に変えることが可能となる。
図3は、図2で示した弁構造体の閉状態の内部構造を示す拡大断面図である。
図を参照して、弁構造体11は、筒形状を有し、その側面にパイロット配管10に接続される給液口21が形成されると共にその底面に弁座17を介して排液口23が形成される弁箱20と、弁箱20内に上下に摺動自在に設置され、弁座17に係合する弁体24と、弁体24を閉状態にするために付勢する付勢手段27と、弁体24に接続され、第1の外力が加わった時には弁体24に当接してこれを移動させて開状態にし、第1の外力未満の第2の外力が加わった時には弁体24に当接するが閉状態を維持し、第2の外力未満の第3の外力が加わった時には当接部分が弁体24と離れて位置する弁体制御手段35とから構成される。
弁箱20の上部は弁蓋25で閉鎖されている。弁体24はその下部に取付けられたパッキン38を含み、弁体24は、パッキン38を介して弁座17と当接して配置されている。又、弁体24は、その下方に接して固定されているガイド30を含む。
弁体制御手段35は、ガイド30の内部を上下に所定範囲で摺動自在となるように配置されたスピンドル29と、スピンドル29を下方向に付勢するスピンドル付勢手段28と、スピンドル29の下方側面に固定され、ガイド30の下方に位置する押圧体34とを含み、押圧体34は、第3の外力が弁体制御手段35に加わった時にはスピンドル付勢手段28の付勢力によってガイド30との間に所定の隙間31が保持されるように配置されるものである。
尚、ガイド30は、弁体24のパッキン38を下方から押圧できるように配置されている。ガイド30の内側には、レバー機構50と連結されたスピンドル29が摺動自在に設置されている。スピンドル29の上部は、弁体24の内部にあって、スピンドル29に係合した抜け止め用のナットの上部を押圧するコイルバネよりなるスピンドル付勢手段28が配置され、これによってスピンドル29を常に下方へ押している。一方、スピンドル29の下部には隙間31をもって、調整ナット32とロックナット33とから構成される押圧体34が配置されている。
従って、レバー機構50を通して伝わる外力は、スピンドル29及び押圧体34を介してガイド30に伝達され、さらにガイド30を介して弁体24に伝達される。これにより、弁構造体11は外力との接続が容易となり、使用勝手が向上する。
又、弁体制御手段35を構成する押圧体34は、第1の外力未満の第2の外力が加わった時には弁体24(のガイド30)に当接するが閉状態を維持するため、水面2が波動運動を起こすときの弁体24の過度の開閉動作が減少することになる。そのため、弁体24の動作が安定し、弁構造体11の耐久性が向上することになる。
付勢手段27はコイルバネよりなり、弁蓋25の内部にあって、弁体24の上部を常に閉止する下方向に押し付けている。付勢力調整手段26が、付勢手段27の付勢力を調整するために、付勢手段27の上部に設置されている。付勢力調整手段26は、弁蓋25内に配置され、コイルバネ27を押さえ付ける軸体36と、弁蓋25の上部に固定設置され、軸体36の上下位置を定めるロックナット37を含み、付勢力を調整できるようになっている。付勢手段27の付勢力は、スピンドル付勢手段28の付勢力よりも必ず大きくなるように設定されている。
従って、弁体24は、弁箱20内部にあって、内部の水圧力を受けて閉止する構造になっており、又、付勢手段27による付勢力を受けて確実に閉止するように構成されている。図1で示したように弁構造体11を定水位弁8と接続させた場合、パイロット配管10を流れるパイロット水の流量及び圧力は一般的に小さく、給水圧力が低い場合には更に低圧となるが、水圧が低い場合でも、付勢手段27の付勢力によって確実に閉止するようになっている。
又、付勢手段27の付勢力を調整する付勢力調整手段26により、付勢力を所望の値に設定することも可能である。これにより、使用時の給液口21の水圧に合せた弁体24の閉止力の調整が容易となる。
一方、弁体24を開く力は、フロート体41の重量とレバー機構50の倍力機構によって、給液口21の最高水圧時にも確実に開くように構成されている。
使用に際して、弁構造体11が閉止状態にあるとき、すなわち、受水槽1の水面2が所定液面まで上がると、フロート体41が上がり、上方向にレバー機構50が上がり始める。すなわち、第2の外力未満の第3の外力が弁体制御手段35に加わった状態である。それに伴い、レバー機構50と連結されたスピンドル29は、下方向に徐々に押下げられることになる。その結果、押圧体34の調整ナット32とガイド30との間に隙間31が生じ、その距離L3は0より大きくなる。そのため、ガイド30と一体になった弁体24は押上げる力は生じず、閉状態を維持することになる。
図4は、図3で示した弁構造体の閉状態から、レバー機構が第1段階まで押下げられた状態の弁構造体の内部構造を示す拡大断面図である。
図を参照して、レバー機構50は、図3で示した弁構造体11の閉状態から液面が下がり、第1段階まで押下げられた状態にある。すなわち、第1の外力未満の第2の外力が弁体制御手段35に加わった状態である。第1段階とは、レバー機構50が押下げられたことで、スピンドル29が押上げられ、押圧体34を構成する調整ナット32の上端とガイド30の下端との間の隙間31がなくなり、L3が0となった状態のことである。スピンドル29が押上げられることにより、スピンドル付勢手段28が撓むものの、ガイド30と一体になった弁体24は閉止したままで、上昇しない状態にある。すなわち、弁構造体11は、閉状態を維持している。
図5は、図4で示した弁構造体の閉状態から、レバー機構が更に第2段階まで押下げられて開状態になったときの弁構造体の内部構造を示す拡大断面図である。
図を参照して、レバー機構50は、図4で示した弁構造体11の閉状態から液面が下がり、第2段階まで押下げられた状態にある。すなわち、第1の外力が弁体制御手段35に加わった状態である。第2段階とは、レバー機構50が更に押下げられたことで、スピンドル29も更に押上げられ、押圧体34を構成する調整ナット32の上端とガイド30の下端との間の隙間31がなくなり、L3が0の状態で、スピンドル29の押上力が付勢手段27及び弁箱20内の液圧の付勢力に勝り、弁体24を押上げる状態である。すなわち、弁座17とパッキン38の間に隙間を生じさせ、給液口21を介して弁構造体11内の水を排液口23から排出させる状態のことである。
図6は、図2〜図5で示した弁構造体の開閉状態とレバー機構の位置との関係を示す概略模式図である。
尚、図2で示したレバー機構50の先端に連結されたチェーン52及びフロート体41の上下変動、すなわち、受水槽1の水位と弁構造体11の開閉動作の関係を、レバー機構50の作動状態を中心に説明する。
図を参照して、弁構造体11に接続されたレバー機構50のレバー49は、水面の変動に応じて、レバー49の右端部に上述のような外力が伝わり、支点51を回転中心として変動する。
まずレバー機構50は、弁構造体11と垂直状態に接続された第2支持部材46と、支点51で接続されている。弁構造体11には、水面の変動に応じて、図2で示したフロート体41やチェーン52とフック57で接続されたフロート手段39及びレバー機構50を介して外力が加わることになる。水位の変動に応じて、チェーン52及びフロート体41も変動し、チェーン52と接続されたレバー機構50は、支点51を回転中心として変動する。
レバー機構50の先端が位置Aにある状態では、弁構造体11は閉止した全閉状態にある。前述のごとく、この状態から水位が下降し、レバー機構50が下がっても、位置Bの給水開始状態に至る間は、スピンドル29が押上げられても、スピンドル付勢手段28が撓み、隙間31が小さくなるだけで弁体24は開かない。この間、弁構造体11は全閉状態を維持することになる。
次に、位置Bの状態を超えて、更にレバー機構50が下がり、スピンドル29が押上げられると隙間31が0となり、弁体24が開き始めて、給水が開始する。弁構造体11は開状態へ移行する。
更に、位置Cの状態にまで、更にレバー機構50が下がると、弁体24は完全に開き、弁構造体11は全開状態となる。
逆に、水位が上昇する過程においては、レバー機構50が上がることになる。これにより、位置Cから位置Bに至る間は、弁構造体11が全開状態から水位の上昇と共に、弁体24が閉じていくことになる。
次に、位置Bの状態になると、弁構造体11は全閉状態となる。そして、レバー機構50が更に上がり、位置Bから位置Aに至る間は、弁体24は閉止したままで、スピンドル付勢手段28が圧縮状態から徐々に伸びていき、隙間31が生じていく過程である。この間、弁構造体11は全閉状態を維持することになる。
従って、レバー機構50がその先端位置AからBまでの間、水位の変動により、変化しているにも関わらず、弁体24は閉止状態が保たれる。よって、水面が所定の範囲にある時、弁構造体11は閉状態が維持されることになるので、弁構造体11の開閉動作が安定し、耐久性が向上すると共にシステムの信頼性が向上する。
図7は、図1で示した弁構造体の他の使用形態を示す概略断面図であって、(1)は弁構造体が閉状態を示すものであり、(2)は弁構造体が開状態を示すものである。
図7の(1)を参照して、レバー機構50の先端に全長L2のチェーン52を介して、フロート体41が吊下げられている。図2で示したチェーン52の中央部付近のリンク55cをフック57から取外した状態である。よって、弁構造体11からの給水が停止される受水槽1の止水位は、図1で示した止水位よりも低くなっている。
尚、チェーン52の付替えにおいては、まずマンホール7を介してレバー機構50からチェーン52をフック57から取外した後、チェーン52及びフロート体41を受水槽1外に取出す。そして、チェーン52の実質的な長さを所望の長さに調整した後、再度フック57に取付ければ良い。
従って、簡易に水位調整ができると共に、工具等を用いて長さ調整する必要が無いので、工具等が受水槽1内に落下して水質を劣化させる虞が無い。
図7の(2)を参照して、図7の(1)の状態から水の使用等によって受水槽1内の水面2が低下し、給水位以下となった状態である。そのため、弁構造体11が開状態となり、給水が行われている。チェーン52を長く使用することによって、給水位も低くなる。
従って、同一のチェーン52の長さのみを変更することによって、全体重量を変えることなく、レバー機構50に対するフロート体41の上下位置を変えることができる。そのため、弁構造体11の動作に影響を与えることなく、制御する水面2の位置を容易に変えることが可能となる。
これによって、例えば夏休み中の学校や休日の企業ビル等のように、水道水の使用量が普段より少ない場合であっても、これに応じて受水槽1内に貯留する水量を容易に少なくできるため、受水槽1内の水が長時間貯留される虞が低減する。尚、水道水には、種々の細菌を消毒するため塩素が加えられている。塩素は汚れた水等、細菌を多く含む水が混入した時、又は受水槽1内の水があまり使用されずに長時間貯留される時に塩素濃度が低下し、種々の細菌に汚染されることがある。そのため、上述のように受水槽1内の水が長時間貯留される虞が低減することによって、このような塩素濃度の低下、又は種々の細菌による汚染等による飲用時の事故が発生し難くなる。
図8は、図2で示した弁構造体の使用状況の別の形態を示す概略断面図である。
図を参照して、止水位になった後も、定水位弁8が完全に止水するまでに時間遅れがあるため、水面2が止水位よりも高くなった状態である。水面2が上昇し、所望の止水位を超えた状態にあるので、フロート体41は水面2に浮いた状態にある。そのため、チェーン52が撓んだ状態となっている。
又、定水位弁8の給水容量に比較して、受水槽1の底面積が小さい場合にも、水面2が止水位よりも上昇してしまうこともある。その際、チェーン52が撓んで、受水槽1内の水位検知用電極9やはしご等に絡まる虞が生じることがある。
図9は、このような問題を解決するためのものであり、この発明の第2の実施の形態による弁構造体を示す概略断面図である。
図を参照して、この実施の形態においては、弁構造体11の内部構造は、第1の実施の形態による弁構造体11と基本的に変わらないが、フロート手段39が異なっているので、相違点を中心に説明する。
フロート手段39は、レバー機構50に接続された線条体40と、線条体40の一端に接続されたフロート体41と、線条体40の他端に接続され、線条体40に所定以上の張力を常に加えるが、水面2にフロート体41が浮かんでいるときにはフロート体41を吊り上げてしまわない程度の張力を発生する張力手段42とを含むものである。
この実施の形態において、滑車63aが、レバー機構50の先端部分に配置されている。滑車63aを介した線条体40は、垂直に降下して、一端56でフロート体41と連結されている。又、張力手段42である定張力巻取り装置64が、レバー機構50の他端側に取付けられている。ストッパー67が、レバー機構50の先端部分の手前の下方に配置されている。ストライカー65は、定張力巻取り装置64と滑車63aとの間の線条体40上にあり、その固定位置を容易に調整できる構造にある。
使用に際して、水面2が上がり、フロート体41が図9に示したように二点鎖線のように上昇すると、定張力巻取り装置64により線条体40が巻き取られるようになっている。逆に、水面2が下がると、図9で示した方向とは逆に、フロート体41は下がり始める。このとき、ストライカー65が、レバー機構50上のストッパー67に当ると、レバー機構50を押下げるようになっている。
尚、定張力巻取り装置64は、例えば定荷重バネ等を利用したもので、常に弱い一定張力を線条体40に与え、フロート体41が受水槽1の水面2を浮遊しないようにすると共に、弁構造体11の弁体24の開閉動作にも影響を与えないようになっている。
従って、レバー機構50とフロート体41との位置関係にかかわらず線条体40は撓まないため、線条体40が先の実施の形態のように絡まる虞がないので不用意な事故を防止できる。
図10は、この発明の第3の実施の形態による弁構造体を示す概略断面図である。
図を参照して、この実施の形態においては、図9の張力手段42の定張力巻取り装置64が、滑車63bと錘68とからなり、水面2にフロート41が浮かんでいるときにはフロート体41を吊り上げてしまわない程度の張力を発生する錘68よりなる張力手段42に変更されたものである。すなわち、レバー機構50の他端側に滑車63bが配置され、他端側の線条体40の端には錘68が取付けられている。ストライカー65が、レバー機構50の先端側の滑車63aと他端側の滑車63bとの間の線条体40上にあり、その固定位置を容易に調整できる構造になっている。
使用に際して、水面2が上がり、フロート体41が図10に示したように二点鎖線のように上昇すると、張力手段42の錘68により線条体40が押上げられるようになっている。逆に、水面2が下がると、図10で示した方向とは逆に、フロート体41が降下して、ストライカー65がレバー機構50上のストッパー67に当ると、レバー機構50を押下げるようになっている。
フロート体41は、線条体40を介して張力手段42によって、常に一定の張力を与えられ、水面2上を浮遊する虞がない。尚、ストライカー65は小型のものとし、ストッパー67に当たると、その動きは制限されるが、レバー機構50の他端側にある滑車63bの上を越えて動ける構造にすれば、レバー機構50の長さに制限されずに、フロート体41の水位調整範囲を大きくすることができる。
従って、レバー機構50とフロート体41との位置関係にかかわらず線条体40は撓まないため、線条体50が絡まる虞がないので不用意な事故を防止できる。
図11は、この発明の第4の実施の形態による弁構造体を示す概略断面図である。
図を参照して、この実施の形態においては、弁構造体11の内部構造は、第1の実施の形態による弁構造体11と基本的に変わらないが、レバー機構50とフロート手段39とが異なっている。レバー機構50は、垂直に配置された一対の第2支持部材80と部材69とからなる平行リンク構造44を含むものである。弁箱20の左下方で垂直状態に固定支持される第2支持部材80は、下方に延長され、上下二つの支点51と支点74をもっている。平行リンク構造44は、第2支持部材80と、部材69と、第2支持部材80と支点51で左方で回動自在に接続され、部材69と右方で回動自在に接続された第1レバー78と、第2支持部材80と支点74で左端部で回動自在に接続され、部材69と右端部で回動自在に接続された第2レバー79とからなり、平行四辺形を形成している。レバー機構50の部材69に、ロッド72が接続されている。尚、第1レバー78の左端部は、連結部材47の下端に回動自在に接続されている。
フロート手段39は、部材69の下端に取り付けられ、垂直下方に延びるロッド72と、ロッド72がその中央部を貫通するフロート体41とを含むものである。
中央に貫通穴を持つフロート体41は、ロッド72に沿って水位によって上下するように構成されており、ロッド72には簡単に上下位置を調整可能な上限ストッパー75が固定されており、又、下端にはストッパー77が付いている。このように構成すると、レバー機構50、第2支持部材80及び部材69は平行四辺形を構成し、部材69とそれに接続されたロッド72は、常に鉛直の状態にあり、フロート体41は剛性のあるロッド72によって常に支えられている。
使用に際して、水面2が下がったとき、フロート体41も下がることになり、それに伴い、図11で示した二点鎖線のように、レバー機構50や部材69からなる平行リンク構造44が変動することになる。この場合、部材69と連結したロッド72は鉛直状態を維持することになる。
逆に、水面2が上がったときには、フロート体41も上がることになり、それに伴い、レバー機構50や部材69からなる平行リンク構造44が変動することになる。この場合にも、部材69と連結したロッド72は鉛直状態を維持することになる。よって、フロート体41が水面2を浮遊することはない。
従って、レバー機構50とフロート体41との位置関係にかかわらずロッド72は常に垂直状態を保持するため、ロッド72が傾く虞がないので不用意な絡まり事故を防止できる。
尚、使用状態において、フロート体41が最上部にある時、すなわち水面2が上昇してフロート体41が上限ストッパー75に当接状態にある時には第1レバー78が図6の模式図の位置Aに相当する位置となる。又、水面2が下がりフロート体41が上限ストッパー75とストッパー77との間にある時はフロート体41の重量は第1レバー78には作用せず、第1レバー78が図6の模式図の位置Bに相当する位置となる。更に水面が下がりフロート体41がストッパー77の上の位置になってその重量が第1レバー78に加わると、第1レバー78が図6の模式図の位置Cに相当する位置になる。すなわち、フロート体41が上限ストッパー75とストッパー77との間となるような水面2の範囲において液面変動が吸収され、弁構造体11の不必要な開閉動作が抑制される。
このように、この実施の形態にあっては、フロート体41が水面2を浮遊することはないと共に、吸収すべき水面2の変動範囲をロッド72の長さ及び上限ストッパー75とストッパー77との間隔で所望の範囲に容易に調整することができる。
更に、本実施の形態による場合には、ロッド72は剛体であるので、弁体24の閉止時には、フロート体41の浮力による弁体24の閉止力が更に加わるので、給水圧力の低い場合にも、弁構造体11の開閉動作がより安定したものとなる。
図12はこの発明の第5の実施の形態による弁構造体を含む液位制御システムを示す概略断面図であり、図13は図12で示した弁構造体の閉状態の内部構造を示す拡大断面図である。
これらの図を参照して、この実施の形態においては、弁構造体12の内部構造が、第1の実施の形態の弁構造体11とは2点異なる。1点目は、後述するようにスピンドル付勢手段28が存在しない。2点目は、ガイド30下端と、押圧体34の調整ナット32上端との間に、後述するように隙間31が存在しない。
フロート手段39は、レバー機構50のレバー49に接続された線条体40であるチェーン52と、チェーン52の下方端に接続された錘58と、中央鉛直方向に中空となった形状を有し、チェーン52に沿って上下に移動自在となるように取り付けられ、錘58を液中において持ち上げることができる浮力を発生するフロート体41と、チェーン52に取り付けられ、フロート体41の上方向への移動を所定位置で阻止するストッパー59とからなる。尚、ストッパー59はチェーン52に対して、例えばフック57等によって、その固定位置を容易に調整し、固定できるようになっている。又、前述のごとくチェーン52の全体の長さもフック57を利用することによって調整できるようになっている。
図14は、図12で示した弁構造体の開閉動作を示した概略模式図である。
図14の(1)を参照して、レバー機構50に第1の押下力F1が伝達された時である。第1の押下力F1は、図12で示したレバー49を押下げる力であり、付勢手段27に作用する第1の外力のもとになる力である。水面2が錘58の下端にある場合、弁体24はフロート体41及び錘58との合計重量によるスピンドル29の押上力が、水圧による弁体24への閉止力及び付勢手段27との合計力よりも大きくなっており、弁体24が全開状態になる。
図14の(2)を参照して、第1の押下力F1未満の第2の押下力F2に変化した時である。フロート体41が錘58とストッパー59との間で浮遊状態にある。第2の押下力F2は、レバー49を押下げる力であり、付勢手段27に作用する第2の外力のもとになる力である。図14の(1)の状態から水面2が少し上昇し、フロート体41が浮いている場合、弁体24が全開状態にあるため、水圧力が弁体24へは作用せず、弁体24の閉止力は付勢手段27による閉止力のみが作用し、一方、錘58の水中の重量による弁体24の開き力は、この閉止力よりも大きく設定されているので、弁体24は開いている状態を維持する。
図14の(3)を参照して、第2の押下力F2未満の第3の押下力F3に変化した時である。フロート体41がストッパー59に係合状態にある。第3の押下力F3は、レバー49を押下げる力であり、付勢手段27に作用する第3の外力のもとになる力である。図14の(2)の状態から水面2が更に上昇して、フロート体41がストッパー59に当たり、浮力によって錘58を持ち上げ、錘58による開き力が無くなり、付勢手段27及び水圧による弁体24への閉止力との合計閉止力によって、弁体24が完全に閉止した状態を示す。
図14の(4)を参照して、第3の押下力F3から第2の押下力F2に変化した時である。図14の(3)の状態から水位が下がった状態を示し、付勢手段27による閉止力及び水圧による弁体24への閉止力の合計の閉止力が、錘58の水中の重量による弁体24の開き力よりも大きいので、フロート体41の下降中にも、フロート体41が錘58の上に載るまでは、弁体24は閉止状態を維持する。
従って、第2の押下力F2が伝達された時、すなわち第2の外力が付勢手段27に作用している時には、開閉状態は変化しないため、図13で示した弁構造体12の開閉動作が安定し、耐久性が向上すると共にシステムの信頼性が向上する。又、フロート体41がストッパー59に係合状態となる水面2の水位Dと、水面2が錘58の下端にある水位Eとの間を大きく設定することが可能であるので、水の使用量に対して弁構造体12は、水位Dで閉動作と、水位Eで開動作をするだけとなる。故に、弁構造体12の開閉動作回数を水の使用量に対して少なくすることができ、弁構造体12及び図1で示した定水位弁8の寿命を延長することができる。
つまり、この実施の形態にあっては、第1の実施の形態から第4の実施の形態までの弁構造体11の開閉制御が、水槽1の水位を制御する水位制御システムとして、フロート手段39により構成されていることになる。
すなわち、この実施の形態による液位制御システムは、弁構造体12と、弁構造体12に接続されたレバー機構50と、レバー機構50に接続され、水位を検出するフロート手段39とを備え、弁構造体12は、レバー機構50を介して第1の押下力F1が第1の外力となって伝達された時には閉状態から開状態に変化し、開状態にある時に伝達された力が第1の外力未満の第2の外力に変化した時開状態が維持され、開状態にある時に伝達された力が第2の外力未満の第3の外力に変化した時閉状態に変化し、閉状態にある時に伝達された力が第2の外力に変化した時閉状態が維持されるものといえる。
又、錘58の重さやストッパー59の位置で伝達された外力の大きさや発生タイミングを調整できるため、水槽1の用途に応じての水面制御が容易となる。
尚、上記の第2の実施の形態では、定張力巻取り装置によって線条体に張力を与えているが、必ずしも定張力である必要はなく、フロート体が浮遊しない張力を与えることができるものであれば、他の張力巻取り装置であっても良い。
又、上記の第1及び第2及び第3の実施の形態では、フロート体の外観形状は、円筒状をしているが、円筒状に限らず、球形でも、逆円錐形でも、そろばん珠状でも、又は断面多角形状でも良い。
更に、上記の第2及び第3の実施の形態では、線条体は、ステンレス製のロープや線、合成化学繊維製のロープや線などでも良い。
更に、上記の第4の実施の形態では、ロッドは剛体であり、フロート体によってレバー機構を押上げることができるので、弁構造体において、スピンドル付勢手段は無くても良い。
更に、上記の第4及び第5の実施の形態では、フロート体の下面に錘をつけても良い。このようにするとフロート体は標準品を採用しながら全体の押下力を所望の大きさに調整できるため使い勝手が向上する。
更に、上記の各実施の形態において、受水槽は、水以外の液体を貯留する液体槽であっても良い。そのため、受水槽における水位は、液体槽における液位を示すことになる。
更に、上記の各実施の形態において、弁体はガイドを含んでいるが、ガイドに代えて弁体に直接外力が弁体制御手段から伝達されるようにしても良い。