JP5378794B2 - 溶融アルミニウム合金のインライン塩精錬 - Google Patents
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Description
少量の溶解粒子及びガス状不純物の両方を含む、アルミニウム及びアルミニウム合金のような溶融金属は、金属運搬樋又はトラフ中に設置される装置でインライン処理され、鋳造、連続的な鋳造及び他の処理にかけられる。
アルミニウム金属は、入口のトラフ中へ当該トラフを介して流れ込んで出口で抜け出るが、これは実質的に連続的な様式で起こる。当該トラフは、概して加熱された容器(例えば、鋳造炉のような)と鋳造装置との間に設置される。当該処理は、i)溶解水素、ii)固体非金属粒子(例えば、アルミナ及びマグネシア)、及びiii)溶解不純物(例えば、Na、Li及びCa)を除去することを目的とする。この精錬処理は、伝統的に塩素ガス又はアルゴンのような不活性ガスと塩素ガスとの混合物を用いることにより達成されてきた。この精錬方法は、既に議論したii)及びiii)のような他の汚染物質をも除去するので、金属の単なる脱ガスを越えて用いられうるが、一般に“金属脱ガス(metal degassing)”と称される。
塩化物塩の使用は、連続的な金属処理ではなく、むしろある加熱炉ベース又はバッチで用いられてきた。特に、塩化マグネシウム(MgCl2)、及び塩化カリウム(KCl)とMgCl2の混合物が、塩素ガスの見込まれる代替品として考慮されてきた。しかしながら、塩化マグネシウムは特に吸湿性であり、それ故に必然的に水分を含み、絶え間なく外気から水分を吸収する。処理の間に、この水分は溶融アルミニウムと反応して水素を発生し、この水素が溶融金属中に溶解し、結果として低品質の金属をもたらしうる。
塩化マグネシウム(MgCl2)は、インライン脱ガス処理のための“カバーフラックス(cover flux)”として用いられてきたが、この使用はインライン塩素ガス注入の使用を賞賛するものであり、MgCl2は溶融金属のインライン塩化ガス注入の代替品を明らかに意味しない。
米国特許4,138,245は、溶融アルミニウムの塊(body)中に導入される塩素ガスとアルゴンガスの混合物であってもよい塩素化剤を導入することによってナトリウムを除去するための手段を開示する。金属は、85%のMgCl2を含む塩で被覆されるフィルター−デガッサーベッド(filter-degasser bed)の組み合わせを通過する。当該塩は当該ベッドへ閉じ込められて、反応し、当該金属中のナトリウムレベルを低減する。
米国特許6,602,318は、とりべ(ladle)のような処理容器を開示し、これは、0.036の所定の質量比のKCl/MgCl2の混合物を用いて当該容器中に含まれる金属からカルシウムと粒子を除去する。その上、KCl/MgCl2が回転性の高剪断インペラー近くの溶融金属の高さよりも下位の注入チューブを手段として供給され、従ってKCl/MgCl2の迅速な分散を達成する。
EP−A−1 462 530は、るつぼ中での溶融金属を処理する装置及び処理する方法を開示する。当該装置は、分散機の中空シャフトを介して塩を加える。加圧不活性ガスは、中空シャフトを介してインペラーの高さまでるつぼ中の金属へ塩を断続的に輸送する。当該システムは、様々な塩フラックスに用いることができる。
本発明は、金属ハロゲン化物塩及び不活性ガスのみを用いる溶融アルミニウム及び溶融アルミニウム合金の連続的なインライン精錬のための装置及び精錬方法を開示する。
従って、本発明の一つの側面において、溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金のインライン精錬方法を提供し、当該方法は:
不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、入口から出口までトラフを流れる前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ加えること;及び
前記不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ分散させること、
を含む。
本発明の他の側面において、入口から出口まで流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金のインライン精錬方法であって、ここで、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金は金属性液体面を有し、:
不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、上流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で、入口から出口までトラフを流れる前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ加えること;及び
前記不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ前記上流の分散機で分散させること、
不活性ガスだけを下流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に加えること、及び
該不活性ガスを前記下流の分散機で前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に分散させること
を含む、前記方法を提供する。
本発明の他の側面において、入口から出口までトラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金のインライン精錬方法であって、ここで、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金は金属性液体面を有し、:
不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、上流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で、前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ加えること;及び
前記不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ前記上流の分散機で分散させること、
不活性ガスだけを下流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に加えること、及び
該不活性ガスを前記下流の分散機で前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に分散させること
を含む、前記方法を提供する。
本発明の他の側面において、溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金をインラインで精錬するための装置であって:
駆動手段へ作動的に接続される取付端及び前記取付端と反対側の遠位端を有する回転可能なシャフト、及び前記遠位端へ固定されるインペラーを含む、少なくとも一つの分散機であって、前記遠位端とインペラーが前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ浸漬するのに適合されている前記少なくとも一つの分散機;
上流の入口及び下流の出口を含むトラフであって、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金が前記入口から出口まで流れることを可能にする、前記トラフ;
前記インペラーに近接する前記トラフ中へ不活性ガスを注入するためのガス供給システム;並びに
前記インペラーに近接する前記トラフ中へ少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を供給するための塩供給システム
を含み、前記少なくとも一つの分散機が前記トラフ中に作動的に取り付けられる、前記装置を提供する。
本発明の他の側面において、溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金をインラインで精錬するための装置であって:
駆動手段へ作動的に接続される取付端及び前記取付端と反対側の遠位端を有する回転可能なシャフト、及び前記遠位端へ固定されるインペラーを含む、少なくとも一つの上流の分散機及び少なくとも一つの下流の分散機であって、前記遠位端とインペラーが前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ浸漬するのに適合されている、前記少なくとも一つの上流の分散機及び前記少なくとも一つの下流の分散機;
上流の入口及び下流の出口を含むトラフであって、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金が前記入口から出口まで流れることを可能にし、ここで、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金は該トラフ中で金属性液体面を規定し、400mm未満の深さ及び600mm未満の幅を有する、前記トラフ;
ガス供給システム;並びに
塩供給システム
を含み、ここで、前記ガス供給システムは不活性ガスを、前記少なくとも一つの上流の分散機のインペラーに近接し、前記少なくとも一つの下流の分散機のインペラーに近接する前記トラフ中へ金属性液体面よりも下で注入し、かつ前記塩供給システムは少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記少なくとも一つの上流の分散機のインペラーに近接する前記トラフ中へ前記金属性液体面よりも下で供給し、かつ前記少なくとも一つの上流の分散機及び前記少なくとも一つの下流の分散機が前記トラフ中に作動的に取り付けられる、前記装置を提供する。
(図面の簡単な説明)
本発明の更なる特徴及び利点を、添付の図面と共に取り上げて以下の詳細な説明から明らかにする。
図1は、塩素ガスを用いる従来技術の装置の実施態様を図解する。図解される当該装置910は、トラフ950(部分的に断面化される)及び一連の分散機960(この描写される実施例用においては、6つの分散機を含み、その内の1つはバッフル974の後ろに隠れている)を含む。
トラフ950は、金属運搬樋とも記載することもでき、上流の入口954及び下流の出口956を含み、当該トラフは溶融アルミニウム及び溶融アルミニウム合金が入口954から出口956まで流れることを可能にするように適合される。図解される当該トラフ950は、トラフの入口954の上流及びトラフの出口956の下流に深さ957を有する。分散機の真下の当該トラフ950の中央部分955は、深さ958を有し、この実施態様においては、入口954の上流及び出口956の下流のトラフよりも大きな深さを有する。図解していないが、トラフの中央部分955は、入口954及び出口956の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
各々の分散機は、ガスの供給への接続を有する。図1において、分散機961及び967は、それぞれガス入口912及び914へ接続される。ガスは、各々の分散機の回転シャフトを通過し、インペラー中の内部通路の中の溶融金属と混合され、次に溶融金属とガスの混合物がインペラーの側面上の開口部から実質的に水平な様式で排出される。
図1の分散機システム960は、塩素と不活性ガスの注入及び分散で、トラフ950中の溶融アルミニウムフロー又は溶融アルミニウム合金フローを入口から出口まで循環させるか又はポンピングすることによって作動する。
アルミニウム金属中の主な不純物は、(1)溶解水素ガス;(2)粒子(酸化物、炭化物、ホウ化物など)及び溶解アルカリ金属(Na、Li、Caのような)であり、これらは鋳造又はその結果生じる製品の特性に有害な影響を有する。塩素ガスは、アルカリ金属を塩に変化させるのに効果的であり効果的であり、この塩は癒着して不活性ガスにより補助されて表面まで盛り上がる。水素は、不活性ガスの泡中へ優先的に拡散して除去され、粒子はガスの泡の周りに癒着し(形成されるいずれの塩によって補助される)、表面まで盛り上がる。これらの塩及び粒子は、ドロス又は副生成廃棄物を形成し、定期的にすくい取られるか又は下流のフィルター中に捕捉される。塩素ガスは、化学量論量を超えて加えられ、従ってこの過剰分を環境的に許容される手段で処分しなければならない。
当該精錬装置10は:トラフ50、塩供給システム20、少なくとも一つの分散機61(図2は、2つの分散機61及び67を図解する)を備える分散システム60及びガス供給システム16を含む。
a)典型的な金属流速は、最大で約1500kg/分である。しかしながら、概して、この質量流速は、約100kg/分よりも大きい。当業者は、全く流れがない状態及び他の特別な状況が存在する際に、本発明のトラフ50が100kg/分より低い質量流速を有しうることを明白に理解する;
b)塩は、金属1000kgあたり少なくとも1gmの割合で好ましく加えられる。これは、粒子の効果的な除去のために必要とされる最小値である。しかしながら、アルカリ金属の効果的な除去のために、この塩は、化学量論的必要量の少なくとも1倍の割合、より好ましくは化学量論的必要量の少なくとも2倍の割合で加えられるべきである。この化学量論的必要量とは、そのMgCl2含有量を基準として、存在する全てのNa、Li及びCaとちょうど反応してそれらを対応する塩化物塩へ変換させるのに必要とされる塩の量のことである。しかしながら、化学量論的必要量の10倍を超える塩添加は要求されず、より好ましくは、化学量論的必要量の6倍を超える塩添加は要求されない。効果的なアルカリ金属の除去のための少ない量の塩添加は、結果として制限された水の添加をもたらし、従ってアルゴン単独のみと同程度効果的な水素の除去ををもたらす;
c)入口54と出口56との間、すなわち分散機の影響を受けるトラフ中の金属の典型的な滞留時間は、約60秒未満であり、好ましくは25秒〜35秒の範囲である(用いる分散機の数に関係なく);トラフの中央部分55におけるトラフの深さは、典型的には約400mm未満であり、トラフの中央部分におけるトラフの幅は、典型的には約600mm未満であり、より好ましくは、この幅は300mm〜600mmまで様々であってよい;及び
d)分散機間の典型的な間隔は、約35cmである。
塩ホッパー24は、供給機25による輸送に先立ち容器22の中に設置してもよい。容器22は、ガス供給システム16からの不活性ガス12でわずかに加圧される。好ましい実施態様において、不活性ガスはアルゴンである。不活性ガス12は、容器22に入り、塩ホッパー24中のMgCl2又はMgCl2とKClの混合物を均等に覆ってもよく、kのようにして、保管の間の塩による更なる水分の吸着を最小限にする。
塩ホッパー24の塩18は、塩供給機25の上流の入口30で当該供給機に入る。金属ハロゲン化物塩は、概して比較的微細にひかれた結晶質粉末であり、これは概して自由に流れて、機械的手段及び/又は空気的手段(pneumatic means)によって輸送することができる。塩供給機25は、図2に図解されるとおりのダブルヘリカルスクリュー(double helical screw)であってもよいがこれに限定されないいくつもの適切な供給機のいずれかであってよい。当該供給機は、使用される塩の量を正確に計測する能力を有するべきである。金属ハロゲン化物塩18は、下流の末端の出口32を経由して当該供給機25から離れ、図2中で矢印26により図式的に表される。当該金属ハロゲン化物塩は、輸送パイプ28の最上部で小さなサイロ27に入ってもよい、又は輸送パイプ28へ直接的かつ密封して結びつけられてもよい。輸送パイプ28は、金属ハロゲン化物塩18を、金属トラフ50へ方向付ける。供給機25から離れる金属ハロゲン化物塩18の輸送は、加圧された不活性ガス12により支援されて、当該塩と不活性ガスの流れが、金属ハロゲン化物塩をパイプ28を通ってトラフ50の方へ輸送するように確立される。
図2は、不活性ガスのみが注入される分散機67があるとおり、全ての分散機がハロゲン化物塩の添加をする必要がないことをさらに図解する。複数の分散機が存在する場合は、トラフ50はバッフル(図示せず)を含んでいてもよく、図1に記載されるものと類似する。他の好ましい実施態様において、連続する分散機は、それぞれ反対の方向に回転するか、又は、順次、時計回りの次は反時計回り(以下同様)に回転する。
他の代替的な実施態様において、1つより多い分散機にハロゲン化物塩を供給してもよく、当該塩の運搬速度は分散機ごとに異なるようにしてもよい。好ましい実施態様において、最上流の分散機は、最も大きい塩の供給速度を有し、一方で、下流の分散機は、順次より低い供給速度を有する。
分散システム60はまた、複数の分散機61を有していてもよく、分散機61を通って又は分散機61の近くで不活性ガス及び金属ハロゲン化物塩が当該溶融液体中へ注入される。6個、8個又はあるいはそれ以上の分散機を設置してもよく、好ましい実施態様では4個〜6個の分散機を有する。
以下に、本発明の好ましい実施態様を示す。
[1]
溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金のインライン精錬方法であって:
不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、入口から出口までトラフを流れる前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ加えること;及び
前記不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ分散させること、
を含む、前記方法。
[2]
前記の金属運搬トラフ中又は出口の下流中の前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金から副生成廃棄物を除去すること;及び
精錬アルミニウム又は精錬アルミニウム合金を回収すること、
を含む、[1]記載の方法。
[3]
前記精錬アルミニウム又は精錬アルミニウム合金を鋳造することを含む、[2]記載の方法。
[4]
前記副生成廃棄物が、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中の不純物と、金属ハロゲン化物塩、固体粒子及び残留塩の少なくとも一つとの反応生成物の混合物である、[2]記載の方法。
[5]
前記固体粒子が酸化物である、[4]記載の方法。
[6]
前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金の排ガスが、前記不活性ガスの分散を介して放出される、[1]記載の方法。
[7]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩がMgCl 2 を含む、[1]記載の方法。
[8]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、少なくとも20質量%のMgCl 2 と0.01質量%〜2.0質量%の水である、[1]記載の方法。
[9]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、少なくとも50質量%のMgCl 2 を含む、[8]記載の方法。
[10]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、MgCl 2 とKClを含む、[1]記載の方法。
[11]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金の1トンあたり0.01kg〜0.20kgの割合で加えられる、[1]記載の方法。
[12]
前記不活性ガスが、ヘリウム、ネオン及びアルゴンからなる群より選択される、[1]記載の方法。
[13]
前記不活性ガスがアルゴンである、[12]記載の方法。
[14]
前記少なくとも一つのハロゲン化物塩と不活性ガスが、最上流の分散機で分散され、かつ不活性ガスだけが残りの分散機で分散される、[1]記載の方法。
[15]
溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金をインラインで精錬するための装置であって:
駆動手段へ作動的に接続される取付端及び前記取付端と反対側の遠位端を有する回転可能なシャフト、及び前記遠位端へ固定されるインペラーを含む、少なくとも一つの分散機であって、前記遠位端とインペラーが前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ浸漬するのに適合されている前記少なくとも一つの分散機;
上流の入口及び下流の出口を含むトラフであって、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金が前記入口から出口まで流れることを可能にする、前記トラフ;
前記インペラーに近接する前記トラフ中へ不活性ガスを注入するためのガス供給システム;並びに
前記インペラーに近接する前記トラフ中へ少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を供給するための塩供給システム
を含み、前記少なくとも一つの分散機が前記トラフ中に作動的に取り付けられる、前記装置。
[16]
前記少なくとも一つの分散機が2〜8個の分散機を含む、[15]記載の装置。
[17]
前記少なくとも一つの分散機が4〜6個の分散機を含む、[16]記載の装置。
[18]
前記少なくとも一つの分散機が6個の分散機を含む、[17]記載の装置。
[19]
前記トラフが前記上流の入口及び下流の出口でバッフルを含む、[15]記載の装置。
[20]
前記トラフが前記分散機の間にバッフルを含む、[16]記載の装置。
[21]
前記塩供給システムが、
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を蓄えるための塩ホッパー;
上流の入口及び前記入口から遠位の下流の出口を規定する塩供給機であって、前記入口が前記塩ホッパーへ作動的に連結されて前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を前記塩供給機を介して前記入口から出口まで供給する、前記塩供給機;
輸送パイプ、並びに
溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ浸漬するための塩供給チューブ、
を含み、前記塩供給機が、前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を前記出口から前記輸送パイプ及び前記塩供給チューブまで逐次的に運搬し、かつ前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を前記インペラーに位置する又は前記インペラーの真下に位置する前記トラフ中へ送り出す、[15]記載の装置。
[22]
前記ガス供給システムが前記塩ホッパーへ前記不活性ガスを供給し、前記不活性ガスが前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中への前記塩輸送パイプ及び塩供給チューブを介する前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩の輸送を補助する、[21]記載の装置。
[23]
前記不活性ガスがアルゴンである、[15]記載の装置。
[24]
前記塩供給チューブが前記シャフトであり、前記シャフトが、前記取付端から前記遠位端まで前記シャフトを貫くボアを規定し、かつ前記インペラーの真下に前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を送り出す、[15]記載の装置。
[25]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩及び不活性ガスが最上流の分散機で分散され、かつ不活性ガスだけが残りの分散機で分散される、[16]記載の装置。
[26]
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩及び不活性ガスが最上流の2つの分散機で分散され、かつ不活性ガスだけが残りの分散機へ注入される、[16]記載の装置。
[27]
前記上流の入口及び下流の出口がそれぞれバッフルにより規定される、[15]記載の装置。
タイプAA1100のアルミニウム合金を調製し、図2に図解されるものと同様であるが4つの分散機を含む装置へ送達した。ハロゲン化物塩とアルゴンの混合物を第1分散機(最上流)を経由して送達し、アルゴンのみを3つの残りの分散機中へ注入した。アルゴンを、1分あたり160標準リットル(standard liter)の当該4つの分散機に分配される全体的な速度で送達した。塩なしで塩素/アルゴン混合物を用いた同様のデガッサーの結果と同様に、粒子除去の割合、水素除去及びアルカリ金属除去の割合を表1に示す。
タイプAA6063のアルミニウム合金を調製し、図2に図解されるものと同様であるが6つの分散機を含む装置へ送達した。ハロゲン化物塩とアルゴンの混合物を第1分散機(最上流)を経由して送達し、アルゴンのみを5つの残りの分散機中へ注入した。アルゴンを、1分あたり260標準リットル(standard liter)の当該6つの分散機に分配される全体的な速度で送達した。結果を表2に示す。
タイプAA5005のアルミニウム合金を調製し、図2に図解されるものと同様であるが6つの分散機を含む装置へ送達した。ハロゲン化物塩とアルゴンの混合物を第1分散機(最上流)を経由して送達し、アルゴンのみを5つの残りの分散機中へ注入した。アルゴンを、1分あたり270標準リットル(standard liter)の当該6つの分散機に分配される全体的な速度で送達した。結果を表3に示す。
タイプAA1200のアルミニウム合金を調製し、図2に図解されるものと同様であるが6つの分散機を含む装置へ送達した。ハロゲン化物塩とアルゴンの混合物を第1分散機(最上流)を経由して送達し、アルゴンのみを5つの残りの分散機中へ注入した。アルゴンを、1分あたり270標準リットル(standard liter)の当該6つの分散機に分配される全体的な速度で送達した。結果を表4に示す。
上記に記載された本発明の実施態様は、例示的であることのみを意図している。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の発明の範囲によってのみ限定されることを意図する。
Claims (31)
- 入口から出口まで流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金のインライン精錬方法であって、ここで、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金は金属性液体面を有し、:
不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、上流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ加えること;及び
前記不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ前記上流の分散機で分散させること、
不活性ガスだけを下流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に加えること、及び
該不活性ガスを前記下流の分散機で前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に分散させること
を含む、前記方法。 - 入口から出口までトラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金のインライン精錬方法であって、ここで、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金は金属性液体面を有し、:
不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、上流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で、前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ加えること;及び
前記不活性ガス及び少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ前記上流の分散機で分散させること、
不活性ガスだけを下流の分散機で前記金属性液体面よりも下位で前記トラフ中を流れる溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に加えること、及び
該不活性ガスを前記下流の分散機で前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中に分散させること
を含む、前記方法。 - 前記トラフ中又は出口の下流中の前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金から副生成廃棄物を除去すること;及び
精錬アルミニウム又は精錬アルミニウム合金を回収すること、
を含む、請求項2に記載の方法。 - 前記精錬アルミニウム又は精錬アルミニウム合金を鋳造することを含む、請求項3に記載の方法。
- 前記副生成廃棄物が、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中の不純物と、金属ハロゲン化物塩、固体粒子及び残留塩の少なくとも一つとの反応生成物の混合物である、請求項3に記載の方法。
- 前記固体粒子が酸化物である、請求項5に記載の方法。
- 前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金の排ガスが、排気システムによって除去される、請求項2に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩がMgCl2を含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、少なくとも20質量%のMgCl2と0.01質量%〜2.0質量%の水である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、少なくとも50質量%のMgCl2を含む、請求項9に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、MgCl2とKClを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金の1トンあたり0.01kg〜0.20kgの割合で加えられる、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記不活性ガスが、ヘリウム、ネオン及びアルゴンからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記不活性ガスがアルゴンである、請求項13に記載の方法。
- 前記少なくとも一つのハロゲン化物塩と不活性ガスが、最上流の分散機で分散され、かつ不活性ガスだけが残りの分散機で分散される、請求項1又は2に記載の方法。
- 溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金をインラインで精錬するための装置であって:
上流の入口及び下流の出口を含むトラフであって、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金が前記入口から出口まで流れることを可能にし、ここで、前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金は該トラフ中で金属性液体面を規定し、400mm未満の深さ及び600mm未満の幅を有する、前記トラフ;
駆動手段へ作動的に接続される取付端及び前記取付端と反対側の遠位端を有する回転可能なシャフト、及び前記遠位端へ固定されるインペラーを含む、少なくとも一つの上流の分散機及び少なくとも一つの下流の分散機であって、前記遠位端とインペラーが前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ浸漬するのに適合されている、前記少なくとも一つの上流の分散機及び前記少なくとも一つの下流の分散機;
塩供給システム;並びに
ガス供給システム
を含み、ここで、前記塩供給システムは少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を、前記少なくとも一つの上流の分散機のインペラーにおいて前記トラフ中へ前記金属性液体面よりも下で供給し、かつ前記ガス供給システムは不活性ガスを、前記少なくとも一つの上流の分散機のインペラー及び前記少なくとも一つの下流の分散機のインペラーにおいて前記トラフ中へ金属性液体面よりも下で注入し、かつ前記少なくとも一つの上流の分散機及び前記少なくとも一つの下流の分散機が前記トラフ中に作動的に取り付けられる、前記装置。 - 2〜8個の分散機を含む、請求項16に記載の装置。
- 4〜6個の分散機を含む、請求項17に記載の装置。
- 6個の分散機を含む、請求項18に記載の装置。
- 前記トラフが前記上流の入口及び下流の出口でバッフルを含む、請求項16に記載の装置。
- 前記トラフが前記分散機の間にバッフルを含む、請求項16に記載の装置。
- 前記塩供給システムが、
前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を蓄えるための塩ホッパー;
上流の入口及び前記入口から遠位の下流の出口を規定する塩供給機であって、前記入口が前記塩ホッパーへ作動的に連結されて前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を前記塩供給機を介して前記入口から出口まで供給する、前記塩供給機;
輸送パイプ、並びに
溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中へ浸漬するための塩供給チューブ、
を含み、前記塩供給機が、前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を前記出口から前記輸送パイプ及び前記塩供給チューブまで逐次的に運搬し、かつ前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を前記インペラーに位置する又は前記インペラーの真下に位置する前記トラフ中へ送り出す、請求項16に記載の装置。 - 前記ガス供給システムが前記塩ホッパーへ前記不活性ガスを供給し、前記不活性ガスが前記溶融アルミニウム又は溶融アルミニウム合金中への前記塩輸送パイプ及び塩供給チューブを介する前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩の輸送を補助する、請求項22に記載の装置。
- 前記不活性ガスがアルゴンである、請求項16に記載の装置。
- 前記塩供給チューブが前記シャフトであり、前記シャフトが、前記取付端から前記遠位端まで前記シャフトを貫くボアを規定し、かつ前記インペラーの真下に前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩を送り出す、請求項22に記載の装置。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩及び不活性ガスが最上流の分散機で分散され、かつ不活性ガスだけが残りの分散機で分散される、請求項16に記載の装置。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩及び不活性ガスが少なくとも最上流の分散機において分散され、かつ不活性ガスだけが少なくとも最下流の分散機において注入される、請求項17に記載の装置。
- 前記上流の入口及び下流の出口がそれぞれバッフルにより規定される、請求項22に記載の装置。
- 前記少なくとも一つの金属ハロゲン化物塩が0.01質量%〜2.0質量%の水を含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記入口から出口までトラフ中を流れる溶融アルミニウム又はアルミニウム合金が、60秒の滞留時間を有する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記入口から出口までトラフ中を流れる溶融アルミニウム又はアルミニウム合金が、25秒〜35秒の範囲の滞留時間を有する、請求項1又は2に記載の方法。
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