JP5377737B1 - 雪面上や氷面上での歩行に適した靴底 - Google Patents

雪面上や氷面上での歩行に適した靴底 Download PDF

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Abstract

【課題】 氷面や雪面上での歩行に好適な滑りにくい靴底を提供すること。
【解決手段】 靴底の接地面側に長手方向の条からなる排水溝を備え、前記排水溝の深さよりも浅い深さの複数の浅溝と、これらの浅溝より深い深さの複数の深溝とが、それぞれ直接に排水溝まで連絡するようにあるいは他の浅溝あるいは深溝を介して排水溝まで連絡するように開口しており、前記の複数の浅溝および複数の深溝の各溝の向きは多様であって各溝が均一に揃ってはおらず、かつ、前記の複数の深溝および複数の浅溝は、各溝の条の形状が波板状に細かく繰り返し湾曲し、もしくは条の形状が鋸状あるいは凸凹状に細かく繰り返し屈曲した溝形状からなり、これらの複数の浅溝および複数の深溝のうち一部の溝は、排水溝まで連絡するように開口する一方で他端側を靴底の外周側面まで開口させ、残る溝では他端側が開口していないことを特徴とするゴム製の軟質な接地面を備えた靴底である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、雪面上や氷面上での歩行に好適な滑りにくい靴底に関する。
一般に雪面上や氷面上での歩行は、摩擦抵抗の低い平滑面であることから非常に滑りやすいので転倒等を生じやすく、危険性が高い。これまでも、冬季の日常生活的な歩行場面での使用に備えて、防寒性と防滑性を志向したスノートレーニングシューズや、スノーブーツが使われている。これらには、たとえばライニングに厚めの素材を使用して履用者の防寒性を高め、また靴底にも厚めの素材を用いて底面側のトレッドのパターン形状の切れ込みを溝幅を大きくかつ深くして、ラギッドソール、キャタピラーソールといった形状にすることで、ゴム底に四角いゴツゴツした突起やスパイク鋲のようにしたものがある。
しかしながら、雪が底面の溝にすっぽり入り込んでしまうと、せっかく付与した深い溝や幅のある切れ込みが埋まり事実上無意味となりがちであったので、必ずしも十分な実用性は得られていなかった。また、デザイン的にも、これらはアウトドアタイプの靴やブーツなどに適用しやすい肉厚な靴底であって、一般的な靴に汎用的に適用するには不向きな側面もあり、ときとしてデザイン的に差し障りのある形状ともなっていた。
また、雪上や氷上での歩行向けではないが、一般的な平滑面での安全な歩行に対する工夫をした靴底としては、たとえば、底面の基台部上に「V字形状の接地凹部」を多数整列するように配置して形成させた靴底であって、接地凸部の基台部への付け根部位に傾斜補強部を設けてあり、接地凸部が20℃におけるJIS−A硬度が45〜80度の弾性重合体によって形成されていることを特徴とする耐滑性靴底が発明されている(特許文献1参照。)。
たしかに、水分、油分などの液状物がある濡れた床面における歩行に適するように志向された靴底であるが、冷えて硬くなるゴムの特性からすると、この発明で接地凸部の硬度が20℃における硬度で規定されているように、寒冷地における使用に向けたものとしては必ずしも十分ではなく、直ちに適用できるものではなかった。
特表2006−003740号公報
本発明が解決しようとする課題は、低温状況下である雪面上あるいは氷面上において、多方向への荷重移動に際して、滑ることなく歩行できる追従性の高い安全な靴底を提供することである。そして、複数の素材を接地面上にブロック状に組み合わせて露出さえるような複雑な構成をとることなく、耐滑性と耐磨耗性を両立させた簡易な靴底を提供することである。
直立歩行中の人体の荷重は、すべて足裏にかかってくるので、安全な歩行上、歩行中の荷重移動に追従するように足底が順次地面をしっかり捉えて滑らないことが、欠かせない。ところが一般的なゴム底では、寒冷地になると急激にゴムが硬くなって柔軟性を失ってしまうことから、いざ荷重がかかったときに、十分に撓んで荷重を支えるといった、ゴムの弾性変形による追従動作が当初期待していたとおりには伴われず、ゴム底による支承作用が十分に発揮されないこととなっていた。
ところが、寒冷地での柔軟性に配慮して単に追従性を志向した軟らかい素材であればいいというものでもないので、安易に素材選択のみで解決するものでもない。靴底面に弾性の高い靴底素材を用いると、反面、軟らかいゆえに耐磨耗性に劣ることとなりやすいからである。軟らかさだけに着目した解決方法をとると、一見解決するようでも、靴の通常の使用寿命を満足するものとはいいがたいものとなってしまいかねない。そこで、たとえ寒冷地向けであっても、少なくとも1シーズンは使える程度の耐久性は重要であって、すると、材質的なものを単に軟らかくするだけでは不十分といえる。たとえば、一般的な靴の基準とされるゴム底の磨耗性については、少なくとも1.86×105mm3/MJを充足していることが望ましい。
この点、軟らかい靴底素材と、硬い靴底素材とを組み合わせて、靴底の一部を磨耗性に強い素材、一部を摩擦抵抗の高い滑りにくい素材とした靴底も発明されているが、たとえば磨耗性の強い底面接地面の一部(踵と爪先側の中央部分)に穴を設け、穴の部分にあてはまる大きさの軟らかい素材を接地面側に露出させた二重素材からなる靴底である場合には、構造的に複雑なものとなり、金型や製造設備、製造工程が特殊となるので、安価に安易に実施しにくいものであった。
また、床面上の氷などに足裏の荷重による圧力がかかると、わずかに接地表面が溶けて液体が膜となることがある。そうした水分が多く存在すると摩擦抵抗が急激に下がるので氷面上が極めて滑りやすくなる。そのため、単に磨耗しにくく摩擦抵抗が高い素材を用いるだけでは十分ではない。
そこで、靴底に突起を多数配置したり、あるいは靴底に切れ目を多数設けることで、床面と靴底の接地面との間に液体が残りにくくする工夫がなされる場合がある。ところが、床面上の液体の排水を考慮するあまり、幾条もの溝を靴底の外周に面して設けると、靴底の外周が溝の切れ込みによりギザギザになる。すると、この部分が局所的な負荷によって折損しやすく、すぐに欠けてしまうなどして、長期の使用に不向きとなりやすい。したがって、排水を考慮する必要はあるものの、外周の側面に露出する溝に対する工夫が望まれていた。
また、荷重のかかり方は一様ではなく、床面の傾斜や歩行者が歩く途中で方向転換をするなどするとき、種々の方向から荷重がかかる。滑りにくくするために、ゴム表面に溝を設けて撓みやすくする構成をとる場合でも、平行な溝によって一様の方向に撓むだけであれば、すべてが同じように撓みきってしまうこととなりやすい。すると、撓みきったことで荷重の支承への対応性が失われることとなるので、それ以上の防滑性が発揮できず、十分とはいえなくなる。そこで、多方向からの負荷に対して追従可能な対応力の高い懐深い構造とすることが必要である。
この点、単に多方向へ撓みやすくするために、溝の向きを様々にすることが考えられる。とはいえ、それだけでは、撓みきったとたん破綻し、いきなり滑りやすくなるなど、限界領域での耐滑性が予測しにくく十分とはいえない。また、同じ方向を向いた平行な溝を設けていても、ゴムが一様に撓んだのでは、撓みきった段階で急激に対応力が喪失されることは否めない。そこで、コントロールしやすい履き心地を得るには、限界周辺での扱いやすさ、安定性に対する工夫が求められていた。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、靴底の接地面側に長手方向の条からなる排水溝を1本ないし複数本備え、これらの前記排水溝の深さよりも浅い深さの複数の浅溝と、これらの浅溝より深い深さの複数の深溝とが、それぞれ直接に排水溝まで連絡するように開口し、あるいは他の浅溝あるいは深溝を介して排水溝まで連絡するように開口しており、前記の複数の浅溝および複数の深溝の各溝の向きは多様であって各溝が均一に揃ってはおらず、かつ、前記の複数の深溝および複数の浅溝は、各溝の条の形状が波板状に細かく繰り返し湾曲した溝形状からなり、もしくは条の形状が鋸状あるいは凸凹状に細かく繰り返し屈曲した溝形状からなっており、これらの複数の浅溝および複数の深溝のうち一部の溝は、排水溝まで連絡するように開口する一方で他端側を靴底の外周側面まで開口させており、残る溝では他端側が開口していないこと、を特徴とする、ゴム製の軟質な接地面を備えた靴底である。
本発明の第2の手段は、靴底の接地面の表面に、裏面まで貫通しない小孔が開口していることを特徴とする、第1の手段に記載の靴底である。
本発明の第3の手段は、靴底の接地面に設けられた前記の浅溝の深さが3〜5mm、前記の深溝の深さが5〜8mmであって、かつ浅溝の深さと深溝の深さとの差異が1〜3mmであることを特徴とする、第1または第2のいずれかにの手段に記載の靴底である。
本発明の第4の手段は、−10℃の環境下での接地面のゴム硬度がデュロメーター硬度で50〜60度であることを特徴とする第1から第3のいずれかの手段に記載の靴底である。
本発明の第5の手段は、前記のゴム製の軟質な接地面を備えた靴底は、そのゴムの内部にセラミック粉末あるいはクルミ粉末を含有していることを特徴とする、第1から第4のいずれか1つの手段に記載の靴底である。
本発明に記載の第1の手段の靴底は、濡れた平滑路面の水分を、接地面に設けた浅溝と深溝が溝の内部に取り込むように保持するので、路面が濡れにくくなり、靴底のゴムと平滑路面が十分に接することができるようになるので、摩擦抵抗が十分に得られ、滑りにくくなる。また、浅溝や深溝は、排水溝まで直接あるいは互いの溝を介して連結されているので、溝に取り込まれた水分は歩行時の屈曲の際に主として排水溝から後方へと排出されたりする。また、一部の深溝や浅溝は他端側の外周端が靴底の側面まで達しているので、そこからも水分を側面に排出したりできる。そこで、順次歩みを進めていく際に、新たに水分を各溝内に導水することができることから、路面の濡れが解消しやすく、靴底と路面との摩擦抵抗が発揮、維持されやすいものとなる。
また、深溝と浅溝の深さに段階を設けてあるので、溝と溝の間の接地面のゴムが撓んだとき路面に強く食い込むことができるが、溝の深さの違いから部位によって撓み方に違いが生じやすくなるので、一様にゴム表面が撓みきってしまうことが生じにくく、路面上での摩擦抵抗が撓みきったとたんに急激に失われるといった極端な挙動を示しにくいものとなるので、歩行者の予測を裏切ることなく安全に歩行しうる靴底して扱いやすくなる。
同様に、深溝や浅溝の方向が一様に短手方向に切られているわけではなく、多様な方向に溝が形成されているので、溝の周囲のゴムがそれらの多様な溝の方向に沿って倒れるようにして撓むことができるものとなっている。歩行においては、向きをかえることも多いので、歩く荷重のかかる方向性にはバラツキがあり、こうした向きの変化に対しての追従性が高く、多方向へ撓んで高い摩擦抵抗を発揮しうるものとなっている。向きによって急激に摩擦抵抗が失われるといった極端な挙動にもなりにくくなる。
さらに、浅溝、深溝の各溝の条のパターン形状が、小さな波板状の湾曲が繰り返されたものであったり、ギザギザの鋸形状だったり、凸凹状に屈曲した形状だったりするので、撓んだときに露出する溝の切れ込む側面の形状は、湾曲や屈曲に応じて立体的であって、平面ではないことから、平滑な氷などにこれらの凸凹やギザギザした面が撓んで食い込むようになるので、高い摩擦抵抗が得られることとなる。
以上のことから、雪面上や氷面上での歩行に好適な靴底となる。
また、第2の手段では、接地面の表面に数ミリ程度の深さの小孔を設けたことで、内部に水分を取り込むほか、荷重がかかって小孔内の水分や空気が押し出された後、ゴムが復元する際に負圧となるので、周囲のゴム表面との密着によって吸盤的に貼りつくこととなる。これにより、平滑面における摩擦抵抗がさらに上昇し、より滑りにくいものとなる。
第3の手段は、浅溝と深溝の深さに差異を設けているので、ゴムが撓んだときに一様に撓むことがなく、撓みきって急激に摩擦抵抗が失われるといったブレークする挙動が生じにくいものとなる。
第4の手段では、氷点下でもゴムの硬度が軟らかく、接地面のゴムが十分に可撓しうるので、氷面や雪面と十分に食い込んで滑り止めとして機能するので、高い摩擦抵抗が得られ、滑りにくい靴底となる。
第5の手段では、ゴム表面に硬い複合的な粒状物を配することで、ゴムでは得られない平滑な氷面への食い込みや高い摩擦抵抗などを確保することができる。また、セラミックやクルミの形状によっては、その内部に水分を取り込めるため、より密着度があがりやすいこととなる。
本発明の靴底を接地面側からみた場合の底面図。 本発明の靴底の一部を模式的に拡大して、浅溝、深溝、小孔、排水溝などを示した斜視図。 本発明の靴底が接地したときの(a)浅溝の周囲と(b)深溝の周囲のゴム壁の撓み加減の違いと余裕度合いを示した模式図。 本発明の靴底のコの字状の接地面が荷重によって左右に一部が変形して撓む様子を示した模式図。
本発明を実施するための形態について、図面を適宜参照して以下に説明する。本発明のゴム製の軟質な接地面を備えた靴底(1)の外形的な特徴のひとつは、接地面に多数の浅溝(3)とそれより深い多数の深溝(4)とを有するものであり、これらの溝に連なる長手方向の排水溝(2)を備えたものであることである。
たとえば、それらの浅溝(3)は溝幅1mm深さ4mm、深溝(4)は溝幅1mm深さ6mmとする。浅溝(3)と深溝(4)とは深さに2mmの違いを設けている。これにより、溝の周囲のゴムが撓んだとき、深さの違いから、図3に示すように、すべてが一様に撓むのではなく、撓みやすい部分(a)、撓みが小さくさらに撓める余力のある部分(b)といった違いが生ずることとなる。
もちろん溝の深さについては、さらに他の深さの溝が設けられて組み合わされていることを排除するものではなく、さらに他の溝として深さ7mmの溝あるいは浅溝(3)と深溝(4)の中間の深さ5mmの溝が設けられていてもよい。また、靴底の先端部や踵部後端に、短手方向の深さ3mmほどの波状の細溝を滑り止め(7)として多数平行に配しているなどしてもよい。
また、これらの浅溝(3)あるいは深溝(4)が、靴底の縦方向すなわち長手方向に設けられた6mmの深さの排水溝(2)まで、直接あるいは、他の浅溝(3)あるいは深溝(4)を介して開口している。これらの浅溝(3)あるいは深溝(4)は、図2に示すように、互いに溝の走る方向が全体としては多様な向きになっている。
さらに、浅溝(3)や深溝(4)は、その両端が排水溝(2)あるいは外周側面(8)まで開口しているものと、一端は他の溝に連接して開口しているものの他端側は開口せずに閉塞しているものとがある。
また、両端が2本の平行した排水溝(2)まで開口している深溝(4)と深溝(4)の間に、一端が閉塞している浅溝(3)を挟み込んだものは、たとえば溝に囲われるようにしてゴムの接地面がコの字状になる。すると、図4に示すように、コの字状のゴムが撓んだとき、開口された側が大きく開いて撓むので、荷重がかからない状態では平行した溝の向きに壁が立ち上がっているようになっていても、撓むときのゴムの向きは互いに少しずれた別な方向に広がるので、接地面に対して、二つのゴム壁が挟み込むように路面に噛み込むことになる。
これらの浅溝(3)、深溝(4)の条の形状は、たとえば、振幅が0.3mm程度の波板状の湾曲を繰り返す切れ込み形状とする。その他にも、鋸状のギザギザなど、切れ込みの形状は種々にとりうるが、深溝(3)、浅溝(4)の向きを様々にするだけでなく、一本の溝ごとに真っ直ぐな平面の切れ込みではなく、ギザギザやナミナミといった湾曲や屈曲を平面からみて付与することで、側面に凹凸が生じることとなるので、撓んだゴムの側壁が氷の面により食い込みやすくなる。
(靴底の材質について)
次に、本発明に用いるゴム製の靴底の材料について説明する。本発明は軟質な接地面を有することが防滑性に望ましいことから、硬度50〜60程度のものが適用でき、とくに55度程度の硬度のものが好適である。硬すぎると溝の周囲のゴムが撓まないので、接地面に食い込まず、防滑性が十分に発揮されない一方で、柔らかすぎると、すべての溝の周囲のゴムが一様に折れ曲がってしまい、もはや食い込む力が発揮されず、滑り止めとして機能しなくなる。
なお、通常のゴム靴底の硬度は75度〜85度程度であり、本件発明のゴム製の靴底の材料に比して、耐磨耗性や耐久性の観点から、一般的にはもっと硬いものが用いられている。
本発明のゴム素材は、天然ゴムもしくは合成ゴムにブラックカーボン、加硫剤、加硫促進剤、ホワイトカーボン等を加味して混練し、55度程度を目安に調整することで得ることができる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムを単体あるいは適宜混合させて用いることができる。たとえば耐磨耗性の観点から、ブタジエンゴムを加味するなどすることで、硬度の低いゴムとすることができる。
そして、たとえば本発明のゴムは、常温で55度の硬度のゴムであれば、氷点下(−10℃)でも55〜57度程度の硬度をほぼ維持することができるよう、加硫、混練する際に、投入するホワイトカーボンの量等を調整するとよい。常温および氷点下でのこうした硬度の確認は、一般的なデュロメータ硬度計を用いてJIS K6253に基づいて測定評価することができる。適宜デュロメータ硬度を確認することにより、所定のゴムの硬さへと調整することができる。50〜60度の範囲程度が適切である。それ以上に軟らかすぎると、可撓性あるゴム壁が氷雪面を捕捉するようにして支えるといったことができなくなり、単に荷重に負けて倒れこむように撓んでしまうこととなる。それでは氷雪面に十分に噛み込む作用が期待できなくなる。なお、本発明ではこれらのゴムを接地面向けには発泡させることなく用いる。
さらに、本発明は寒冷地での歩行に好適な靴底であるから、ゴムが滑り止めとしてより好適な高い摩擦抵抗を発揮するように、ゴムを混練する際に、粒度の細かいセラミック粉末あるいはクルミを粉末破砕して粉状にクルミ粉末などを用いることとしてもよい。なお、粉末のサイズは、50メッシュ以下の細かさであることが望ましい。また、セラミックは、一般的に硬度が硬い粉状のものであればよく、ケイ酸塩以外にも、安定な酸化物や窒化物、炭化物、その他の無機物ないし無機化合物であれば好適に適用可能である。
なお、クルミの場合は、硬いのみならず、軽いなど、靴底として重くならない点で好適といえるほか、内部に空隙を有することがあり、水分を保持しうるので、濡れた氷の路面から水分を吸収して歩きやすくするといったことができる。同様に、セラミック粒子も内部にポーラス状の空隙を有するものであってもよい。
(靴底の製造工程)
これらのゴム素材を混練して均一にした後、靴底の金型に流し混んで加圧プレス成形することで本発明の靴底を得る。たとえばゴム素材を160℃前後の流動状態にしておき、これを金型に一足ずつ流し込みその後120〜1800kg/cm2で加圧プレスしながら5〜10分弱の間これを保持し、その後、直ちに金型から外すことで、所定形状の靴底を得ることができる。金型には、あらかじめ成型後に靴底の溝形状となるように溝部を逆に突出させた内部形状としてあるので、溝が欠けることなく抜きやすいようにあらかじめ離型剤を塗布するなどしておくことで、投入されたゴムが金型の溝から適切に剥離できるようにする。また、金型に投入する際、加圧時の圧力を高める調整をすることでゴム素材が金型内の溝まで十分に行き渡るようにすることができる。金型から外した靴底は適宜洗浄することで余計な残存する薬剤成分を洗い流しておく。
これらの得られた靴底は、外周を適宜裁断して所望のサイズに整えることでスニーカーなどの接地面側の靴底として適用することができる。すなわち、外周のサイズを予め若干大きめに成型しておき、22〜24cmのサイズの靴に適用しうるものとしておくと、靴のサイズに応じて外周の裁断量を調整できるので、適用サイズを調整をする余地が十分確保されている点で、防滑性、寒冷地での歩行性といった機能を損なうことなく、サイズへの融通性が高い靴底となっている。
なぜなら、本発明の靴底は、接地面の中央側の排水溝に向けて様々な向きの浅溝、深溝が開口していることから、外周の終端側を一部カットしても、靴底の機能が左右されるほどの大きな影響が直ちには生じにくいからである。すなわち、溝の周囲のゴムが撓んで路面に食い込みやすくなって滑り止めの機能を果たしたり、細溝の間に路面の水分が入りこんで保水され、歩行時に排水溝へ押し出されて排水されるなどの排水機能は、靴底の中心側の排水溝を中心として、その内部に十分に機能が備わっているものであって、外周面に機能が集中していることではないからである。
また、本発明の靴底を靴に適用するために、たとえば接地面側の本発明の靴底の上に、さらにクッション性のいいEVAなどの発泡樹脂材料を組み合わせて接着することで、靴底の厚みを増すことにしてもよい。また、足裏形状にあわせた立体的な中底材と組合せるなどして、さらにフィット感を付与するなどしてもよい。
また、本発明の靴底の上部に、踵が高くなるように、くさび形の形状に発泡成型したEVAやウレタン樹脂などからなる部材を貼り合わせるなどして、婦人用のウェッジソールなどにも用いることができる。このように、本発明の靴底を単独で用いる以外にも、種々の靴底材料と貼り合わせて組み合わせるなどすることで、様々な用途形状の靴の靴底素材として本発明の靴底を用いることができる。
(摩擦係数と滑り試験)
また、一般財団法人日本繊維製品品質技術センター東京総合試験センター(キューテック)において、靴底の摩擦係数および滑り試験を実施した。JIS P8147を準用して、潤滑剤に精製水を用いて、水平法により、静摩擦係数を測定したところ、本発明の靴底は、0.84であった。
他方、通常のウレタンの靴底では摩擦係数は0.25、EVAの靴底では0.39、セラミック入りの靴底では、0.47であった。さらに他社製の積寒地用セラミック入りの靴底でも、0.56であった。
このように本発明の形状を有したスチレンブタジエンゴム製の靴底は、静的な摩擦係数は極めて高いことが確認された。
また、同様に、JIS P8147を準用して、傾斜法による滑り試験を実施した。ウレタン底では乾燥時の滑落した傾斜角が21度、湿潤時が19度であった。セラミック入りの靴底では乾燥時の滑落した傾斜角が42度、湿潤時が35度であった。積寒地用セラミック入りの靴底では乾燥時の滑落した傾斜角が47度、湿潤時が42度であった。このように、滑り試験の結果は、静的摩擦係数の数値と相関が高いものである。
そして、本発明の形状を有したスチレンブタジエンゴム製の靴底は、乾燥時の滑落した傾斜角、湿潤時の角度、いずれも、測定限度の50度以上の値を示し、測定限界を上回る高い性能であることが確認された。
そこで、さらに、以下のとおり机上に靴底を載せ置いて平滑な机を水平状態から垂直方向へ傾斜させる実験をしたところ、90°でも、滑落せず靴底は机に貼りついていた。
(傾斜角を付与した滑り試験)
本発明の靴底は、接地面の一部に複数の小孔を備えている。荷重がかかることで小孔の周辺のゴムが撓むとき、小孔の内部の空気が押し出されて若干抜けることから、その後小孔部分が負圧になり、いわば吸盤のようになって張りつくこととなる。さらに小孔の周囲に水分が微量に存在することで、気密性が増すので、空気が入り込みにくくなり、負圧が維持されやすくなることから、密着度合いが容易に維持される。そこで、歩行時に靴底の一部が氷のような平滑面と密着するので、より滑りにくくなる。
たとえば、本発明にかかる靴底を単体で濡らした机上に載置し、軽く机に押しつけた後、机を傾斜させていく実験をすると、本発明の靴底は、机が90°まで傾斜しても張り付いたままで、机から滑り落ちなかった。
他方、市販の靴底、雪上で滑りにくいことを標榜している各社の靴底も含めて同様の確認試験をしたところ、いずれも45°の傾斜までに滑落し、垂直状態で張り付いた状態を維持することは到底できなかった。
このように本発明の靴底の小孔は、濡れた平滑面での密着性の向上に大きく寄与している。
なお、平滑面を歩行する際には、靴底が歩行に応じて屈曲することから、長手方向に配された排水溝の後端側が少し路面から浮き上がるようにして外部に露出することとなる。すると、屈曲時に排水溝から水が押し出されるようにして大きく排水されることとなる。これにより浅溝、深溝や排水溝の空隙が容易に復活することとなるので、次なる歩行においても周囲の水を各溝に取り込む作用が機能できることとなる。氷などの表面の水が取り込まれることで、溝以外の平滑面が凍った路面と十分接するので、接地面のゴムが十分に路面になじむことができ、滑りにくいこととなるほか、小孔の周囲による路面との密着性も発揮されやすいものとなるので、より滑りにくくなる。
本発明の靴底は、ゴツゴツした突起などによる厚みがなく平板状であることから、アウトドア用途などに限定されることはなく、通常の平たい靴底素材として紳士用、婦人用、子供用、運動用と、用途を限定することなく、汎用的に広く履物に適用可能である。寒冷地での氷面上、雪面上を歩行するのに適しているので、特殊な運動競技や事業用途にも広く応用しうる。
1 靴底
2 排水溝
3 浅溝
4 深溝
5 小孔
6 接地面
7 滑り止め
8 外周側面

Claims (5)

  1. 靴底の接地面側に長手方向の条からなる排水溝を1本ないし複数本備え、これらの前記排水溝の深さよりも浅い深さの複数の浅溝と、これらの浅溝より深い深さの複数の深溝とが、それぞれ直接に排水溝まで連絡するように開口し、あるいは他の浅溝あるいは深溝を介して排水溝まで連絡するように開口しており、前記の複数の浅溝および複数の深溝の各溝の向きは多様であって各溝が均一に揃ってはおらず、かつ、前記の複数の深溝および複数の浅溝は、各溝の条の形状が波板状に細かく繰り返し湾曲した溝形状からなり、もしくは条の形状が鋸状あるいは凸凹状に細かく繰り返し屈曲した溝形状からなっており、これらの複数の浅溝および複数の深溝のうち一部の溝は、排水溝まで連絡するように開口する一方で他端側を靴底の外周側面まで開口させており、残る溝では他端側が開口していないこと、を特徴とする、ゴム製の軟質な接地面を備えた靴底。
  2. 靴底の接地面の表面に、裏面まで貫通しない小孔が開口していることを特徴とする、請求項1に記載の靴底。
  3. 靴底の接地面に設けられた前記の浅溝の深さが3〜5mm、前記の深溝の深さが5〜8mmであって、かつ浅溝の深さと深溝の深さとの差異が1〜3mmであることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の靴底。
  4. −10℃の環境下での接地面のゴム硬度がデュロメーター硬度で50〜60度であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の靴底。
  5. 前記のゴム製の軟質な接地面を備えた靴底は、そのゴムの内部にセラミック粉末あるいはクルミ粉末を含有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の靴底。
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