JP5377607B2 - 酸化バナジウムを使用することにより暗色化できる透明ガラスセラミック - Google Patents

酸化バナジウムを使用することにより暗色化できる透明ガラスセラミック Download PDF

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Description

本発明は、酸化バナジウムの添加により暗色化でき、主要結晶相として高温石英混晶を含有する透明ガラスセラミックおよびその製法ならびに使用に関する。
主要結晶相として高温石英混晶を含有するガラスセラミックは公知である。このようなガラスセラミックの鍵となる特性は、予め決められた温度範囲において、熱膨張効率が極めて低い材料を製造するために使用できることである。原則的に材料は、使用温度範囲でゼロ熱膨張を示すように熱膨張挙動を決定されている。従って例えば、基体材料、ウェハステージまたは望遠鏡のミラーサポーターとして使用する場合、室温での熱膨張が最小化されている。透明な煙突点検窓または暗色ホブとして使用する場合、室温から約700℃までの温度範囲でゼロ熱膨張をできる限り低い値に調節する。
透明形、例えば耐火ガラス、煙突の点検窓または調理器具では、原則的に、高い透明度、有利には可視範囲における80%を上回る光透過率および規定の色位置が要求される。ホブとして使用する場合、ホブの下の技術的な機械設備を隠す暗色が必要とされる。たとえ出力が低くても稼働時に加熱エレメントを速やかに検出でき、同時に未使用の状態ではホブにより隠蔽されるような、透過挙動が望まれる。他方で、特に明かりハロゲンランプ等の高い加熱力での有害な放射が目に眩しかったり損傷を与えたりしてはならない。IR範囲において、透過はできる限り高くあるべきで、それにより熱放射がポットの表面で直接起こるので、調節機構および調理開始速度を改善できる。従って、定義された高い可視範囲での吸収と低いIR吸収との組合せが望ましい。DIN5033で測定した場合に、可視範囲でτ<5%の光透過率を有しかつ1600nmで65%を上回るIR透過を示す4mm厚のサンプルが、このような条件を満たす。
ガラスセラミックの工業的な製造において、酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを調質剤として使用する。これらの調質剤は所望のガラスセラミック特性と適合し、好ましい気泡質または溶融物中での低い気泡数を導く。しかしこれらの基質がたとえガラス骨格にしっかりと結合していても、原材料の調達、製造および溶融時には蒸発に気を付けねばならず、さらにその後の処理工程においても特に用心が必要であるので、安全および環境保護の点ではまだ欠点が残っている。廃ガラスセラミックおよび製造時のダストおよびスラッジの処分に関して、ヒ素またはアンチモン含量は再利用および埋め立て処分の可能性に不利な影響を及ぼす。これらの基質は多くの場合、再利用には不向きである。その表面積が広く、かつヒ素またはアンチモンの溶解し難さにより、ダストおよびスラッジは原則的に特殊廃棄物の埋め立てでのみ処分できる。
ガラスセラミック製造は複数工程であることが知られている。溶融および高温成形後、材料を通常ガラスの変態温度以下に冷却する。次に、管理制御した結晶化により原材料ガラスをガラスセラミック製品へ変換する。このセラミック化は2工程の温度方法で実施され、まず、600℃〜800℃の温度で核形成することにより、ジルコニウムチタン−含有混晶を一般的に含有する核を製造する。その後、温度を上昇させ、これらの核の上に高温石英混晶を結晶化温度で増厚させる。
ガラスセラミックの組成を調節することにより、ガラスセラミック製品の高温成形中に不所望の結晶化(失透)が起こらないようにすべきであり、他方で、適当な方法時間により良好かつ調節可能な結晶化挙動が次のセラミック化で達成されるようにすべきである。例えばホブとして使用するシートのローリング等の多くの成形法において、成形はガラスの処理温度Vに近似して実施される(粘度η=10dPa.s)。失透挙動に関して、溶融物の上限失透温度は処理温度を超えないべきである。また、ガラス中の不所望な結晶はほとんど除去することができない。その大きさならびにセラミック化時のさらに大きな結晶への成長により、失透はガラスセラミック製品強度に悪影響を及ぼす。特に大きな結晶の場合、透明ガラスセラミックであれば特にこれを目視できることさえある。
主要結晶相として高温石英混晶をベースとするガラスセラミックに関する前記の例えば使用範囲での低い熱膨張、透明度または暗色化の可能性等の主な要求に加え、各使用に応じて更に数々の重要な要求事項が存在する。従って、高温で長期間使用する間、例えば煙突点検窓またはホブでは、高い温度/時間負荷容量が必要とされる。良好な熱衝撃挙動をもたらす低い膨張率は、使用中の熱負荷にも、認容不可能な方法により変化することがあってはならない。実際に使用する際に熱負荷によって誘起される微小構造の変化が、次元の変化(圧縮)と組み合わされて、局所的な引っ張り応力を導き、それに関連して容認できないほどの強度減少をもたらすことがあってはならない。この現象は、熱負荷領域(調理ゾーン)が実質的に室温を維持する領域と隣接している、ホブのようなケースで特に問題である。このような連続領域では、認容不可能な程の高いストレスが課されてはならない。多くの利用において、ガラスセラミック製品の耐化学薬品性が強く要求される。煙突の点検窓はしばしば硫黄を含有する排ガスと直接接触し;ホブへの利用では、例えば食料成分を焼きすぎた場合にまたは酸を含有する家庭用清浄剤を使用した場合に、酸含有成分がホブに作用し、高温領域に更なる負荷を課すこととなる。ホブとして使用する場合、調理ゾーン領域において使用時に熱の負荷により透過率が変化すると、温度/時間負荷容量が別の欠点となる。"使用後暗色化"とも呼称されるこの作用により、加熱調理ゾーン域の透過率が温度/時間の負荷により更に低下するので、調理ゾーンとホブの冷却ゾーンとの間に好ましくない色の差が生じる。
非常に低いまたはゼロの熱膨張の使用では重要でないが、熱負荷容量のレベルが非常に大きい使用では、有利に高温石英混晶を含有するガラスセラミックを、ケアタイト混晶を含有するガラスセラミックへ変態させ得るべきである。この変態は、約900℃〜1200℃の温度範囲での容認可能な方法時間で実施される。ケアタイト混晶を有利に含有するガラスセラミックは、約1×10-6/Kの規模の程度で、室温〜700℃の範囲の熱膨張率を示す。原則として、主要相であるケアタイト混晶を含有するガラスセラミックは、半透明かまたは白色の色相を示す。着色酸化物の添加時、着色酸化物の着色効果により、白色の色相は彩色される。
酸化バナジウムで着色できかつ工業的にガラスセラミック製品を製造できる公知のガラスセラミックは、酸化ヒ素および/または酸化アンチモンで調質されている。
EP0437228A1には、ケアタイト混晶を含有する白色で不透明のガラスセラミックに変態できる、主要結晶相として高温石英混晶を含有するガラスセラミックが記載され、組成物は酸化ヒ素および酸化アンチモンを含有することが必須である(As+Sb=0.5〜1.5質量%)。
EP0220333B1には、同様に、酸化アンチモンおよび/または酸化ヒ素を必須に含有するガラスセラミックが記載されている(Sb+As=0.5〜2.5質量%)。
EP0156479B1には、調質剤として二酸化セリウムまたはセラート化合物を使用した溶融リチウムアルミノシリケートガラスの調質法が記載されている。記載されるガラスはヒ素およびアンチモン不含であるが、酸化バナジウムによる着色については満足のいくものではない。
≧0.5質量%の比較的高いV含量であっても、630nmで≧23%の非常に高い透過率が測定される。20〜700℃での4.9〜9.5×10-7/Kの非常に高い熱膨張率が記載されるが、これも暗色化ホブとして使用するには不適切である。
SnOをガラスセラミックの核形成剤として使用できることが公知である。これを核形成剤TiOの含量を低下させるために使用する。
問題となる鉄/チタン複合体の含量が低いので、非常に僅かな天然色を示す透明なガラスセラミックが得られる。従って、JP09169542Aには、主要結晶相として高温石英混晶を含有し、TiO 0〜1質量%およびSnO 1〜4質量%の組成を有する透明なガラスセラミックが記載される。高い透明度を実現するために、酸化ヒ素を調質剤として使用する。≧1質量%の高いSnO含量は失透挙動に悪い影響を及ぼす。
EP0437228A1 EP0220333B1 EP0156479B1 JP09169542A
本発明の課題は、主要結晶相として高温石英混晶を含有する透明ガラスセラミックおよびその製法を提供することであり、このガラスセラミックは、酸化バナジウムの添加により暗色化が可能である。暗色化ガラスセラミックは、可視範囲でτ<5%の光透過率を示し、同時に1600nmでτ>65%のIR透過を示すべきである。さらに、このガラスセラミックは、失透に対して高い抵抗性を有し、高温での使用に際し、その特性、例えば熱膨張、圧縮、圧縮応力および透過率の変化に関して高い温度/時間負荷容量を有すべきであり、また、良好な耐化学薬品性を示すべきであり、これにより透明または暗色化形で広い使用スペクトルを網羅することができる。
この課題は、請求項1に記載されるガラスセラミックおよび請求項15に記載される方法により解決される。
本発明は、酸化バナジウムの添加により暗色化でき、主要結晶相として高温石英混晶を含有し、不可避の痕跡量を除いて化学調質剤である酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを含有しない透明ガラスセラミックおよび4mm厚のガラスセラミックにおいて可視範囲でτ<5%の光透過率を有し、1600nmで65%を上回るIR透過率を示し、この透過が、着色酸化物である酸化バナジウムと少なくとも1種のガラス溶融物へ添加された固体、液体および/または気体還元剤とを組み合わせることにより達成される、暗色化ガラスセラミックを提供する。
酸化バナジウムの添加で暗色化できかつ主要結晶相として高温石英混晶を含有する本発明の透明ガラスセラミックの場合、ガラスセラミックは、不可避の痕跡量を除いて化学調質剤である酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを含有せず、暗色化ガラスセラミックは、4mm厚のガラスセラミックに関して可視範囲でτ<5%の光透過率を示し、かつ1600nmで65%を上回るIR透過を示し、この透過率は、着色酸化物である酸化バナジウムを少なくとも1種のガラス溶融物へ添加された固体、液体および/または気体還元剤と組み合わせることにより達成される。
従ってガラスセラミックは、公知のガラスセラミックで、ガラス骨格に組み込まれたバナジウムのセラミック化時に酸化還元パートナーの機能を果たし、バナジウムによる着色時に因果的に働く調質剤として、酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを使用しないという組成により特徴付けられる。しかし我々の調査により、調質剤である酸化ヒ素および酸化アンチモンは、バナジウムの彩色付与状態への変換時に、酸化還元パートナーとして主要な役割を果たすことが分かった。この着色は、原材料ガラスがガラスセラミックへ変換される際に起こる。酸化バナジウムで調節された着色を保持すべき場合、前記調質剤の除去はより困難である。この調査については以下に詳細する。
酸化バナジウムの添加により暗色化できかつ主要結晶相として高温石英混晶を含有する透明ガラスセラミックを製造するための本発明の方法は、不可避の痕跡量を除いて化学的な調質剤である酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを含有せず、暗色化ガラスセラミックが、着色酸化物である酸化バナジウムと少なくとも1種のガラス溶融物へ添加された固体、液体および/または気体還元剤を組み合わせることにより、4mm厚のガラスセラミックにおいて、可視範囲でτ<5%の光透過率を示しかつ1600nmで65%を上回るIR透過を示すという事実により特徴付けられる。
酸化バナジウムの添加により同一の出発組成を有する透明ガラスセラミックから暗色化が達成できるのであれば経済的に有利である。製造ロジスティックについて言えば、原材料調達、原材料貯蔵および混合物の製造がより容易に実施できる。透明ガラスセラミックの一片を暗色化ガラスセラミック溶融物中に使用できる。組成が少ししか違わないので、粘度およびセラミック化挙動が類似しており、製造工場において、融点、成形パラメーターおよびセラミック化条件はそのままでよいかまたはほんの僅かに変化させればよい。
いずれにせよ環境に有害な調質剤である酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを省いても、透明および暗色化ガラスセラミックの両方の標準的出発組成物の利点は保持できる。ガラスセラミックは酸化バナジウムの添加により暗色化できる。着色は、セラミック化中、すなわちガラス質からガラスセラミック状態に変換する間に実施される。出発時点のガラス質の状態から、酸化バナジウムの添加により、約50〜70%の光透過率を有する僅かな緑色の着色が起こる。酸化ヒ素および/または酸化アンチモンを含有しないガラスセラミックでは、セラミック化時に十分な着色が起こらず、バナジウムによる着色効果が以外にも失われる。
調査が示すように、調質剤である酸化ヒ素および酸化アンチモンも失透挙動に影響を及ぼし、失透上限温度を低下させる。前記調質剤を除く場合、失透挙動が悪影響を及ぼさないようにすべきである。調質剤である酸化ヒ素および酸化アンチモンを除いた場合の乏しい耐失透性の問題は、組成を適合させることにより解決される。この目的のために、失透に重要な結晶相を同定し、組成の主要な成分を規定した。
本発明のガラスセラミックは、透明または暗色化形で広く使用でき、見出された組成は、ヒ素および/またはアンチモンを使用せず、その耐失透性、時間/温度負荷容量および耐化学薬品性において、公知のヒ素/アンチモン含有ガラスセラミックのレベルを凌ぐ傑出した性能特性を有することにより識別される。
ヒ素/アンチモン不含のガラスセラミックを酸化バナジウムで着色する際のメカニズムを詳細に調査した(表1)。例1および2は、酸化アンチモンで慣用の精錬を行ったガラスセラミックについて述べており、酸化バナジウムの存在下および不在下に同一の出発組成物を溶融している。前記したセラミック化条件で、酸化バナジウム不含組成物は透明度を維持しており、バナジウム−含有組成物は所望の暗色を得ている。例3の相当のアンチモン不含およびバナジウム含有組成物は、突然その色を失う。バナジウムの特性は、異なる価数の酸化物を多く形成できることであり、1種の酸価状態から別の酸価状態への遷移は、酸化還元平衡のシフトを介して実現できる。バナジウムの価数を特定するのは困難である。メスバウアー測定により容易に認知できるアンチモンまたは錫をその価数で特徴付ける(表1)。ガラス質の出発状態でアンチモンは3価の形で存在し、セラミック化において一部の価数が5価に変化することが見出され、酸化バナジウム不含および酸化バナジウム含有溶融物1および2は実質的に異なっている。バナジウムが存在する場合(例2)、実質的により多くのアンチモンが5価に変換される。同一の生成条件で同一の出発組成物を使用しており、2種類の溶融物はその酸化バナジウム含量でのみ異なっている。従って、アンチモンはバナジウムをより低い彩色−付与酸化状態へ還元するための酸化還元パートナーとして機能すると結論付けられる。この酸化還元過程は、酸化バナジウムを、例3に記載するような彩色付与状態へ変換するために必須のものである。アンチモン不含では、バナジウムの着色効果は、その大部分が失われ、光透過率はτ=29.5%となる。酸化ヒ素が調質剤として使用される場合も、ヒ素とアンチモンが化学的に類似していることから、相当の酸化還元過程が実現され得る。前記したバナジウムの酸化還元過程は、非彩色付与バナジウムから彩色付与バナジウムを誘導する連鎖において必須な過程である。我々の調査により、全てのバナジウムが彩色付与状態に変換されるわけでないことが分かった。すなわち、0.6〜0.4質量%の異なる酸化バナジウム含量であれば、溶融物中の組成および酸化還元状態に依存して比較可能な着色結果が得られる。それより多くの酸化バナジウム含量を有する組成物は、赤外で不所望に低い透過率を示す。従って、セラミック化後にバナジウムは、彩色付与状態と非彩色付与状態とで異なる割合で存在し、可視範囲で彩色付与しないバナジウムは、赤外範囲の透過率を低下させると考えられる。公知のガラスセラミック組成物では、酸化還元パートナーの主要成分であるヒ素/アンチモンに加えてTiOを高含量で含有させ、バナジウムによる着色を僅かに促進させているものの十分とは言えない。
酸化バナジウムが可視範囲での高い吸収と赤外範囲での低い吸収とを組み合わせて有するので、着色酸化物である酸化バナジウムによる着色は、別の着色酸化物での着色よりも有利である。従って、可視範囲でτ<5%の光透過率と1600nmで65%を上回る赤外線透過率とが可能になる。Vに適した還元剤を使用すると、所望の低い光透過率を、1600nmでの>79%および>80%のIR透過率と組み合わせて達成することさえ可能である。
透明無色のガラスセラミックは有利に可視範囲でτ>80%の光透過率を有し、着色酸化物である酸化バナジウムと少なくとも1種のガラス溶融物へ添加された固体、液体または気体還元剤とを組み合わせることにより暗色化されたガラスセラミックは、4mm厚さのガラスセラミックにおいて、可視範囲でτ<2.5%の光透過率および1600nmで70%を上回るIR透過率を示す。本発明の方法では、これらの値が有利に確立される。特に、強力な加熱要素、例えばハロゲンランプをホブの下で使用する場合、光透過率は2.5%より低くなければならず、1600nmでのIR透過率は70%を越えるべきである。
ヒ素/アンチモン不含で酸化バナジウムを含有するガラスセラミックの着色に関する問題点は、着色用の酸化バナジウムを、ガラス溶融物へ添加された固体、液体または気体還元剤と組み合わせることにより解決された。
酸化ヒ素および/または酸化アンチモンは、ガラスセラミック組成物に重要とされる、約1500〜1650℃の高い溶融温度で有効な調質剤である。これらの調質剤は、多くのガラスセラミック製品で必要とされる、非常に良好な気泡質または少ない気泡数を達成する。これらの調質剤を使用しないで所望の気泡質を得るために、1種以上の別の化学調質剤、例えばSnO、CeO、スルフェート化合物またはクロライド化合物を使用する。物理的調質法、例えば減圧調質または約1700℃を越える温度での高温調質も、所望の気泡質を保証できる。特に気泡質に厳しい要求がある場合、別の化学調質剤と物理的調質法とを組み合わせて、例えばSnOを使用して高温調質を行う、またはBaClを使用して減圧調質を行うことが必要である。
組成およびセラミック化条件はミクロ構造を決定し、それ故、ガラスセラミックの特性が決定される。ミクロ構造は実質的に高温石英混晶を主要結晶相として含有し、残りのガラスは高温石英に組み込まれない成分を含有する。このミクロ構造は、ガラスセラミックの主要特性とされる、温度による熱膨張挙動に寄与する。
有利な前記限度内でのLiO、AlおよびSiOは、高温石英混晶相に必須の成分である。MgO、ZnOおよびPを別の成分として高温石英混晶に組み込んでよい。アルカリであるNaOおよびKOならびにアルカリ土類であるCaO、SrOおよびBaOの添加は、ガラスの溶融性および失透挙動を改善する。これらの成分は実質的にガラスセラミックの残りのガラス相に残留するので、含有量を制限されており、含有量が多すぎると不所望に熱膨張が増加してしまう。さらに、高含量では結晶化挙動にも悪影響がある。TiOおよび任意にZrOおよびSnOが、核形成剤として必要とされる。核形成時にこれらは高密度で核を形成し、結晶化時にその上へ高温石英混晶が増厚するための基質として機能する。6.0質量%を越える高い含量は、失透挙動に悪影響を及ぼす。これは特に成分SnOに当てはまる。1質量%を上回る含量では、実験室における溶融物の冷却および放置時、表面に表面結晶の自発的な形成までも観察された。ZrO含有原材料は溶融物中の低い溶解率により特徴付けられるので、3質量%を越えるZrO含量はガラス製造時の混合物の溶融挙動に悪影響を及ぼす。TiO含量は1.2〜5.5質量%の間である。TiOは、核形成剤として不可欠である;含有量は少なくとも1.2質量%であるべきで、高い核密度であればガラスの透明度は高くなり、従って小さな結晶サイズが達成できる。失透挙動に悪影響があるので、含量は5.5質量%を越えてはならない。本発明のガラスセラミックは従って有利に以下の組成を有する(質量%、酸化物に対する):
LiO 2.5〜5.5
NaO 0〜3.0
O 0〜3.0
ΣNaO+KO 0〜4.0
MgO 0〜3.0
CaO 0〜2.5
SrO 0〜2.0
BaO 0〜3.5
ZnO 0〜3.5
Al 18〜27
SiO 52〜75
TiO 1.2〜5.5
ZrO 0〜3.0
SnO <1.0
ΣTiO+ZrO+SnO 2.0〜6.0
0〜8.0。
暗色化は、V 0.02〜0.6質量%の添加により実現し、他方、透明ガラスセラミックはV不含である。
これと比較して、DE3703342C2にはガラスセラミックとその製法が記載され、ここでガラスセラミックはガラスマトリクス中に分散する高温石英混晶を含有し、暗いまたは黒い外観を示し、少なくとも140N/mmの屈曲強さと1500nmで少なくとも80%のIR透過率を示し、組成物はAsを調質剤として0〜2質量%含有し、着色はV 0.03〜0.5質量%により実施されている。このガラスセラミックは、その暗い着色により、ホブとして使用するのに非常に好適である。
しかし我々の調査によれば、DE3703342C2では、組成物にAsが含有される場合のみ、そこに記載される方法で、請求された特性を有する記載のガラスセラミックが製造できる。Asの添加は暗いまたは黒い外観を得るため、および低い光透過値を実現するために絶対必須である。また、500nmの光波長で透過率を示すことは、酸化バナジウムで着色されたガラスセラミックが主にその波長以上で透過を示すので、正確に着色化を評価するには不適当である。着色化を評価するために、従って、目で見える全スペクトル範囲を使用する必要がある、すなわち可視範囲の光透過率を示す必要がある。
透明形である本発明のガラスセラミックの僅かな天然色(すなわち酸化バナジウムを含有しない)が所望される場合、天然色に対して悪影響を及ぼす鉄/チタン複合体がより多く生じるので、TiO含量は3質量%を下回るべきであり、有利には2.5質量%を下回るべきである。
GeOでSiOを置換することも可能であるが、GeOのコストが高いので、経済的理由から重要視されない。混合物の原材料の選択および製造時の処理条件に応じて、ガラスセラミックは一般的に0.01〜0.07mol/lの水を含有する。
着色酸化物である酸化バナジウムを0.02〜0.6質量%で添加する際、更にに公知の彩色付与成分、例えばクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、セレンおよび塩素化合物を添加して、着色を促進し、特定の色位置を実現することもできる。暗色化ガラスセラミックの場合、これらの成分が原則的にIR範囲で吸収されるので、高いIR透過率が必要であれば、これらの化合物はあまり好ましくない。これらの付加的な彩色付与成分の使用は、透明形である場合に、特定の色位置を実現するために必要であると思われる。
組成物成分SnOは、添加される固体還元剤として特に有用であることが証明されている。SnOはまた、有利に調質効果を有し、従って還元剤と調質剤としての両方の効果を示す。更なる利点として、SnOはAsまたはSbと同様に、周囲空気に由来する酸素の活性に対して、ガラス溶融物のpOを安定化する。成形前の溶融物の放置および攪拌、現実にしばしば必要となる処理量の変化に際し、緩衝作用は安定した透過率を立証するために有利である。メスバウア測定による調査は、錫とアンチモンとがバナジウムの酸化還元パートナーとして機能することを示した。調質時に酸素が遊離されることにより形成される2価の錫は、セラミック化の際に組み込まれるバナジウムの調質剤として機能し、大部分が再度酸化されて4価の状態になる(表1、例4および5)。例4および5に示されるように、錫は組み込まれるバナジウムの非常に効果的な酸化還元パートナーである。バナジウムを含有する例5では、原材料ガラスのほぼ全ての2価の錫がセラミック化において4価まで酸化される。ヒ素/アンチモン含有ガラスセラミックと比較して、AsまたはSbよりも少量のSnOが必要とされる。より低いV含量で、可視範囲において所望の光透過率を獲得できる。セラミック化時、錫は明らかに彩色付与状態のバナジウムの割合を増加させる。従って、非彩色付与状態のバナジウムの割合が少ないので、高いIR透過値を達成することができる。4mm厚のガラスセラミックさえも、可視範囲で<1%の光透過率および1600nmで>80%のIR透過率を達成できる(例23〜27)。この組合せは、ホブに使用するのに特に有利である。バナジウムは比較的膨張性の原材料であるので、V含量が低ければ更に有利である。透明形のSnO−含有バナジウム−不含ガラスセラミックでは(例4)、セラミック化時の錫の価数の変化が僅かしか観察されない。このことは、メスバウア分析ですでに到達した、酸化還元工程を介したバナジウムによる着色の仮説を支持するものである。例は、透明なヒ素/アンチモン−不含ガラスセラミックを、バナジウムの添加により暗色化したガラスセラミックへ変換できることを示している。透明なガラスセラミックでは、SnOは調質剤としておよび核形成剤として機能する。
別の好適な還元剤は、溶融物のために出発混合物へ粉末状および/または液体形で一般的に添加される金属、炭素および/または酸化可能な炭素または金属化合物である。
相当の方法において、気体還元剤を溶融物の酸化還元状態を調節するために使用してもよい。溶融物へ導入されるフォーミングガスまたは別の水素含有気体は、気体還元剤として好適である。還元剤の例は、Al粉末またはSi粉末である。溶融物中の酸素への高い親和性により、これらの元素は酸化還元されて溶融物のpOとなる。この効果はまた、酸化可能な炭素化合物、例えばSiC、TiC、糖、活性炭、フォーミングガスおよび/またはCOにより達成される。AlおよびSiの場合、例えばこれらが酸化後にガラス骨格にしっかりと組み込まれるので、前記種自体が酸化還元パートナーとして利用されるのではなく、実際には、前記種により溶融物のpOがある程度まで低下し、より容易に還元される溶融物成分が代わりに還元されて酸化還元パートナーとして働くというメカニズムである。これらはバナジウムの還元時に再度酸化される。
ガラスの加工温度領域で熱成形するのに必要とされる有利な失透挙動に関して、酸化ヒ素または酸化アンチモンを使用しない場合であっても、ガラスセラミックの組成を調節して適合させる必要がある。失透挙動に関連して、重要な結晶相は、ムライト(ケイ酸アルミニウム)、バデレアイト(ZrO)および高温石英混晶、ケアタイト混晶およびSnO含有結晶相である。ガラス溶融物を加工温度以下に冷却する際、最初の結晶相が生じる失透上限温度(UDT)が、失透挙動の指標である。加工温度付近でのガラスの熱成形のために、UDTはできる限り加工温度よりも低くあるべきである。このような改良された失透挙動のために、これらの重要な結晶相の組成および核形成剤、特にSnOの含量を制限する必要がある。
失透に高い耐性を有しかつ失透上限が加工温度Vよりも低い有利なガラスセラミックは、以下の組成を有する(質量%、酸化物に対する):
LiO 3.0〜4.5
NaO 0〜1.5
O 0〜1.5
ΣNaO+KO 0.2〜2.0
MgO 0〜2.0
CaO 0〜2.0
SrO 0〜2.0
BaO 0〜3.0
ZnO 0〜2.5
Al 19〜23
SiO 52〜70
TiO 1.5〜5.3
ZrO 0〜2.4
SnO <0.5
ΣTiO+ZrO+SnO 2.5〜5.5
0〜8.0。
この際、V 0.02〜0.6質量%の添加により暗色化が確立できる。
熱膨張および圧縮および圧縮応力の変化に対する高い温度/時間負荷容量を得るために、アルカリおよびアルカリ土類含量を低下させることの必要性が認識されているが、これに反して、AlおよびSiOの含量は高く選択されなければならない。酸化バナジウムで暗色化する場合、酸化バナジウムも温度/時間負荷容量の低下を導くので、V含量は0.5質量%を越えるべきではない。有利には、本発明のガラスセラミックは従って以下の組成を有する(質量%、酸化物に対する):
LiO 3.2〜4.5
NaO 0〜1.0
O 0〜1.0
ΣNaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
CaO 0〜1.0
SrO 0〜1.5
BaO 0〜2.5
ZnO 0〜2.5
Al 20〜25
SiO 60〜72
TiO 1.5〜5.3
ZrO 0〜2.4
SnO <0.6
ΣTiO+ZrO+SnO 2.5〜5.5
0〜3.0。
この際、V 0.02〜0.5質量%を添加することにより暗色化が確立できる。
耐化学薬品性に関して、耐酸性が特に特に強く要求される。耐加水分解性および耐アルカリ性は特定の使用において要求され、本発明の組成であれば難なく達成される。耐酸性については、特に、Pおよびアルカリ土類CaOおよびBaO、ならびにアルカリ、Vの含量を低下させるために、Al含量を多くするのが有利である。この際、本発明のガラスセラミックは以下の組成を有する(質量%、酸化物に対する):
LiO 3.2〜4.5
NaO 0〜1.0
O 0〜1.0
ΣNaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜2.0
CaO 0〜1.0
SrO 0〜1.5
BaO 0〜2.0
ZnO 0〜2.5
Al 19〜23
SiO 62〜72
TiO 1.5〜5.3
ZrO 0〜2.5
SnO <0.6
ΣTiO+ZrO+SnO 2.5〜5.5
0〜2.0。
この際、V 0.02〜0.5質量%を添加することにより暗色化が確立できる。
アンチモンまたはヒ素の不在により、温度/時間負荷容量に対する透過率の安定性は実質的に向上する(その後の暗色化)。このことは、ガラスセラミックが特に高温で例えばホブの調理ゾーンで使用される場合、過剰の3価アンチモンまたはヒ素が依然としてバナジウムを還元し、非彩色付状態から彩色付与状態へ変換できることを意味すると解釈される。時間/温度負荷に対する透過率の特に良好な安定は、実際、以下の組成範囲により達成される(質量%、酸化物に対する):
LiO 3.2〜4.5
NaO 0〜1.0
O 0〜1.0
ΣNaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
CaO 0〜1.0
SrO 0〜1.5
BaO 0〜2.0
ZnO 0〜2.0
Al 20〜23
SiO 62〜70
TiO 1.5〜5.0
ZrO 0〜2.4
SnO <0.4
ΣTiO+ZrO+SnO 2.5〜5.5
0〜3.0。
この際、V 0.02〜0.3質量%の添加により暗色化が確立できる。
化学調質剤である酸化ヒ素および酸化アンチモンに関連する環境問題は、酸化バリウムにも該当するが、程度は少ない。特に水溶性である場合、バリウム含有原材料、例えば塩化バリウムおよび硝酸バリウムは毒性であり、使用中に特別に警戒する必要がある。本発明のガラスセラミック組成物では、特に不可避の痕跡量を除いて、BaOの使用を省略することができる。
本発明のガラスセラミック組成物は、従来のガラスセラミックと同様に、約900℃〜1200℃の温度で付加的に熱処理することにより、ケアタイト混晶を含有するガラスセラミックへ変換することができる。この種のガラスセラミックはより高い熱負荷容量を有するが、室温〜700℃で、約1×10-6/Kのマグニチュードの程度で熱膨張係数の増加を無くす。この変換は原則的に結晶の成長を伴うので、高温石英混晶を含有するガラスセラミックで達成され得る透明度は、通常、失われる。ケアタイト混晶を含有するガラスセラミックは、一般的に半透明であるか不透明で白い。着色酸化物を使用する場合、白色のヒューが相当に誇張される。
本発明のガラスセラミックまたは本発明の方法で製造されるガラスセラミックは、有利に耐火ガラス、煙突の点検窓、調理器具として透明の形で使用され、調理時およびグリル焼き時に加熱可能なプレートとして、およびウェハステージまたは望遠鏡のミラーサポーターとして、暗色形で使用される。
本発明を以下の実施例により詳細する。
いくつかの形態は、ガラスセラミックの原材料ガラスの組成を表1および2に掲載してある。表1および3は関連のガラスセラミックの特性を列挙したものである。
表1の態様は、セラミック化において酸化バナジウムを用いた着色に必要でありかつ特にメスバウア測定の結果と合わせてすでに明細書中で議論した、酸化還元工程を詳細するものである。表1の原材料ガラスを溶融し、ガラス産業に慣用の原材料を用いて約1620℃の温度で調質する。焼成シリカガラス製のるつぼ中で溶融した後、溶融物を白金るつぼへ移行し、約1580℃の温度で30分ホモジナイズした。約1640℃で1時間放置した後、注入により140×100×30mmの鋳物を製造し、約660℃から始めて、冷却オーブン中で室温まで冷却した。熱膨張係数を測定するためのロッドおよび透過を測定するための小さなプレート等の試験サンプルを、これらの鋳物から製造した。次に、未だガラス質のサンプルを、前記した核形成および結晶化条件の下に、ガラスセラミックへと変換した。600℃まで速やかに加熱し、核形成温度まで上昇させ、さらに核形成温度から結晶化温度まで、2.5℃/minの一定の加熱速度で温度を上昇させた。最大温度から、約4℃/minで約600℃まで冷却し、その後、オーブンの加熱を止めた。例1および2はアンチモンで一般的に調質したガラスセラミックであり、比較の目的で記載される。酸化バナジウムの酸化還元パートナーとして組み込んだアンチモンの働きにより、高温石英混晶を主要結晶相として含有する、透明および暗色化ガラスセラミックの両方が実現できる。比較例3は、アンチモン不含であり、酸化還元パートナーを含まず酸化バナジウムのみでは暗色化ができないことを示している。本発明の例4および5は、還元剤としてSnOを使用しており、透明ガラスセラミック(例4)および、酸化バナジウムを添加して暗色化したガラスセラミック(例5)の両方が実現できることを示している。フォーミングガスを還元剤として使用することを実施例6に記載する。フォーミングガスは、H/Nを5/95体積%で含有し、2.3l/minで3時間1640℃でガラス溶融物へ通過された。例1〜6は、同一の原材料組成を有し、着色酸化物、調質剤および還元剤の添加のみが異なっている。例7は核形成剤ZrOを含まないので、核形成酸化物TiOを富有する原材料組成となっている。活性炭0.1質量%を還元剤としてガラス溶融物の出発混合物へ添加する。
可視光範囲の光透過率τの測定は、DIN5033により実施される。本発明の実施例は、酸化バナジウムによる暗色化が還元剤の使用によりいかに効果的に実現できるかを示している、例6および7では、実際、目視により、4mm厚で完全な白濁が起きた。700nmでの目視の限界範囲における透過率は非常に低い。Vの含量または還元剤の量を低下させることにより、より高い光透過率が実現され、従って、高いIR透過率も難なく実現できる。同様に、光透過率の所望の低値は、4mmより薄い場合にも使用される還元剤により達成できる。
ガラスセラミック溶融物に慣用なSnOが高温で調質剤として働くので、例4および5の鋳物は、アンチモンで一般的に調質した例1および2の鋳物と同程度に良好な気泡質を示す。他方、調質剤不含の比較例3は非常に高い気泡量を示すが、透過挙動は明らかな特徴を有している。
主要結晶相として高温石英混晶を含有することから、表1の態様は、室温〜700℃の温度範囲での測定において、所望される非常に低い値の熱膨張率を有する。
別の例を表2および3に示す。表2は原材料ガラスの組成と特性とを示す。表2に記載する結晶相は、失透の上限温度を決定的にする結晶相である。表3は、得られるガラスセラミックのセラミック化条件および特性を示す。
実施例において、高温調質剤を良好な気泡質を得るために使用した。組成物成分SnOを還元剤として、および高温で効果的な調質剤として使用する。ガラス産業で常用される原材料を使用し、高周波数により加熱された4lの焼成シリカガラスるつぼ中で、原材料ガラスを約1750℃の温度で溶融した。混合物が完全に溶融した後、調質を1975℃で1時間行った。ガラス溶融物の粘度が低いために、泡が多く生じ、それにより高温で良好な気泡質が得られる。調質ガラス溶融物を取り出す前に、温度を約1750℃に低下させ、注入により約170×250×50mmの鋳物を製造した。応力を除くため、鋳物を冷却オーブン中で室温まで冷却し、ガラスの変換温度を約15℃下回る温度で開始した。この鋳物から測定用の試験サンプルを製造した。
表2および3の比較例8、9および10は、Alおよび/またはSbで調質しかつ特性をすでに至適化された、市販のガラスセラミックに相当する。
失透上限温度(UDT)は、所望されるように、ガラスの加工温度Vを下回る(表2)。UDTで生じる重要な結晶相を表に記載する。UDTを測定するために、ガラスを白金るつぼ中で溶融する。白金るつぼを次に加工温度範囲の種々の温度で5時間保持する。最初の結晶が生じる最大温度がUDTを決定する。
セラミック化を更なる例で実施した。核形成および結晶化条件を表3に示す。加熱速度は表1の例と同様である。主要結晶相として高温石英混晶を含有するので、例では、室温〜700℃の温度範囲で測定される熱膨張において所望の非常に低い値を示す。
必要とされる低い光透過率は、AsまたはSbを使用しなくても、本発明の実施例で達成される。温度/時間負荷容量は、実際、比較例よりも向上している。その後の焼き鈍し時に、熱膨張および透過率(暗色化後)はかなり少ない範囲に変化する。本発明のガラスセラミックの圧縮および関連の圧縮応力が改善される。使用される焼き鈍しの条件を表3に記載する。圧縮は、長さ100mmのロッドが焼き鈍し時に変化する長さとして測定される。本発明のガラスセラミックの耐酸性は、DIN12116により表面を研磨されたプレートの材料試験において測定される。表3は、試験プレートの酸処理時の損失重量およびDINクラスでの分類の両方を示している。
例28は、Vで着色した透明ガラスセラミックを記載する。表3は、主要結晶相として高温石英混晶を含有するガラスセラミックの特性を示す。1100℃で2時間の付加的な熱処理により、透明なガラスセラミックを、ケアタイト混晶を主要結晶相として含有する白色ガラスセラミックへと変換した。
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Claims (10)

  1. 酸化バナジウムを添加することにより暗色化され、主要結晶相として高温石英混晶を含有し、不可避の痕跡量を除いて化学調質剤である酸化ヒ素および酸化アンチモン不含であるガラスセラミックの製法において、暗色化したガラスセラミックは、0.02〜0.6質量%のVと少なくとも1種のガラス溶融物へ添加された固体還元剤および調質剤としてSnOとを組み合わせ、ガラス溶融物の処理を1750℃を上回る温度で実施することにより、4mm厚のガラスセラミックにおいて、可視範囲でτ<5%の光透過率および1600nmで65%を上回るIR透過性に調節され、さらに、以下の組成(質量%、酸化物に対して):
    LiO 3.0〜4.5
    NaO 0〜1.5
    O 0〜1.5
    ΣNaO+KO 0.2〜2.0
    MgO 0〜2.0
    CaO 0〜2.0
    SrO 0〜2.0
    BaO 0〜3.0
    ZnO 0〜2.5
    Al 19〜23
    SiO 52〜70
    TiO 1.5〜5.3
    ZrO 0〜2.4
    SnO <0.5かつ>0.06
    ΣTiO+ZrO+SnO 2.5〜5.5
    0〜8.0
    を有することを特徴とするガラスセラミックの製法。
  2. と少なくともガラス溶融物へ添加された固体還元剤としてSnOとを組み合わせて暗色化ガラスセラミックを製造し、4mm厚の場合に、可視範囲でτ<2.5%の光透過率および1600nmで70%を上回るIR透過率が確立されることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミックの製法。
  3. ガラスセラミックの低い気泡数を達成するために、さらに、少なくとも1種の化学調質剤としてCeO、スルフェート化合物またはクロライド化合物をガラス溶融物へ添加し、かつ/またはガラス溶融物を減圧で物理的に調質することを特徴とする、請求項1または2に記載のガラスセラミックの製法。
  4. 酸化バナジウムによる暗色と透明ガラスセラミックの僅かな天然色との実現の利点を組み合わせるために、TiO含量が3質量%を下回ることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のガラスセラミックの製法。
  5. 酸化バナジウムによる暗色と透明ガラスセラミックの僅かな天然色との実現の利点を組み合わせるために、TiO含量が2.5質量%を下回ることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のガラスセラミックの製法。
  6. さらに、組成物成分の金属、炭素および/または酸化可能な炭素化合物および/または金属化合物を還元剤として使用し、還元剤を有利にガラス溶融物の出発混合物へ添加することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のガラスセラミックの製法。
  7. フォーミングガスおよび/または他の水素含有気体を還元剤として使用し、還元剤を有利にガラス溶融物へ導入または通過させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の製法。
  8. 温度/時間負荷に対して非常に安定した透過率を示し、以下の組成(質量%、酸化物に対する):
    LiO 3.2〜4.5
    NaO 0〜1.0
    O 0〜1.0
    ΣNaO+KO 0.2〜1.5
    MgO 0〜1.5
    CaO 0〜1.0
    SrO 0〜1.5
    BaO 0〜2.0
    ZnO 0〜2.0
    Al 20〜23
    SiO 62〜70
    TiO 1.5〜5.0
    ZrO 0〜2.4
    SnO <0.4
    ΣTiO+ZrO+SnO 2.5〜5.5
    0〜3.0
    を有し、V 0.02〜0.3質量%を添加することにより暗色化が達成できることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラスセラミックの製法。
  9. 不可避の痕跡量を除いて、ガラスセラミックの製造にBaOを使用しないことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のガラスセラミックの製法。
  10. ガラスセラミックが、付加的な熱処理により、ケアタイト混晶を含有するガラスセラミックに変換されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のガラスセラミックの製法。
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