JP5377535B2 - 絶縁電線の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線の製造方法及び製造装置に関する。
従来、マグネットワイヤ等の絶縁電線は、銅等の導体に絶縁層を被覆形成した絶縁電線が広く用いられている。このような絶縁電線の製造方法としては、電着槽内を通過させる導体に無数の樹脂微粒子を付着させて電着被膜を形成し、次に、電着被膜を焼付け、導体に絶縁層を被覆形成していた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、電着槽を通過させただけでは、付着した無数の樹脂微粒子同士の間に、ピンホールの原因となる隙間の多い疎電着被膜しか形成できないため、焼付処理の前に、有機溶剤の液体に浸して樹脂微粒子を溶解させて隙間を少なくする溶解処理を行っていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−140641号公報 特開平3−241609号公報
しかしながら、疎電着被膜が形成された導体を、大量の有機溶剤の液体に浸しても、表面張力等により、樹脂微粒子同士の隙間に液体が浸透せず、十分に樹脂微粒子を溶解できないという問題があった。また、有機溶剤の液体は周囲環境に悪影響を及ぼす虞が高いため、使用量の低減が望まれていた。
そこで、本発明は、上記樹脂微粒子間の隙間に確実に有機溶剤が浸透して、その隙間を消失させるように樹脂微粒子を溶解させて、ピンホールの少ない絶縁特性に優れた絶縁電線の製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
さらに、有機溶剤の使用量が節約でき、かつ、大気汚染を防止することを他の目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の絶縁電線の製造方法は、導体を下から上へ電着槽内を走行させ、該導体に無数の樹脂微粒子を付着させて疎電着被膜を形成し、上記疎電着被膜に、有機溶剤の蒸気と、噴射ノズルから噴霧された有機溶剤のミストと、を混合した混合有機溶剤を接触させて、上記疎電着被膜の上記樹脂微粒子を溶解させて密電着被膜を形成し、次に、上記密電着被膜を上記導体に焼き付けて、該導体に絶縁層を被覆形成する方法である。
また、本発明の絶縁電線の製造装置は、下から上へ走行する導体に無数の樹脂微粒子を付着させて疎電着被膜を形成するための電着槽と、有機溶剤の蒸気と噴射ノズルから噴霧された有機溶剤のミストとを混合して混合有機溶剤をつくる混合槽と、該混合槽に連通すると共に上記混合有機溶剤を上記疎電着被膜に接触させて密電着被膜を形成するための処理槽と、上記密電着被膜を上記導体に焼き付けて該導体に絶縁層を被覆形成するための焼付炉と、を備えたものである。
また、上記混合槽は、上記噴射ノズルと、有機溶剤の液体を収容した液溜部と、該液溜部内の有機溶剤の上記液体を加熱して有機溶剤の上記蒸気を発生させるための加熱ヒータ部と、を備えたものである。
また、上記混合槽は、噴霧された上記ミストが直接的に上記疎電着被膜に接触するのを防止するための遮蔽壁部を有するものである。
また、上記処理槽の上部に、該処理槽内の上記混合有機溶剤を吸引して回収するための吸引口部を設け、さらに、該吸引口部より上方位置に、空気を下方へ噴射するエアー噴出器を備えたものである。
本発明の絶縁電線の製造方法及び製造装置によれば、樹脂微粒子同士の間に有機溶剤が確実に浸透し、樹脂微粒子同士の境界をなくすように溶解して、樹脂微粒子間の隙間がほとんどない密電着被膜を形成することができ、ピンホールの少ない高品質の絶縁電線が得られる。少ない量の有機溶剤で効率よく確実に樹脂微粒子間の隙間を少なくできる。噴射ノズルを用いることで、有機溶剤の量を容易に調整でき、有機溶剤の使用量、及び、大気への排出量を大幅に削減できる。
本発明の絶縁電線の製造装置の実施の一形態を示す要部簡略構成図である。 絶縁電線の製造装置の要部拡大断面図である。 図2のA−A断面図である。 回収配管の一例を示す簡略構成図である。 作用説明図である。 作用説明図である。 作用説明図である。 作用説明図である。
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
本発明の絶縁電線の製造装置は、図1の実施の一形態に示すように、下から上へ(矢印Gの方向)へ走行する導体1と、電着液19が貯えられると共に導体1に無数の樹脂微粒子11を付着させる電着槽10と、電着した樹脂微粒子11を覆う未電着ワニスを除去する持ち出しワニス除去手段90と、有機溶剤の蒸気Jと有機溶剤のミストMとを混合して混合有機溶剤(混合流体)Kをつくる混合槽20と、混合槽20に連通すると共に導体1に付着した樹脂微粒子11の溶解を行う処理槽30と、樹脂微粒子11を導体1に焼き付ける焼付炉40と、を備えている。また、図示省略するが、電着槽10の下方位置に配設され導体1を送り出す繰出ローラと焼付炉40の上方位置に配設され導体1を引き込む巻付ローラとを備えている。
電着槽10は、マイナス電極18,18が差し込まれると共に溶質として無数の樹脂微粒子11を有する電着液(電着ワニス)19が貯えられ、底壁部の導入孔を介してプラス極とされた導体1が下から上へ連続的に通過するように構成されている。図5及び図6に示すように、導体1の外周面1aに、マイナス電荷に帯電した無数の樹脂微粒子11を包囲状に電着させる。
持ち出しワニス除去手段90は、電着槽10を通過した後に、未電着ワニスを除去する一対のエアワイパ91,91を備えている。一対のエアワイパ91,91は、導体1を挟んで対向して(導体1の両側に)設けられ、所定の角度(例えば、斜め下方)に向くように配設している。
図2に示すように、混合槽20は、内部に導体1が下から上へ連続的に通過(貫走)する混合室28を有している。導体1を混合室28に下方から導く導入口部27と、処理槽30に連通する連通口部29と、有している。混合槽20は、導入口部27と連通口部29以外から混合有機溶剤Kが流出するのを防止された密封状である。
また、図2及び図3に於て、混合槽20は、有機溶剤のミストMを略水平方向(導体1の長手方向に略直交する方向)に噴霧する噴射ノズル21と、有機溶剤の液体Eが収容された液溜部22と、液溜部22内の液体Eを加熱して有機溶剤の蒸気Jを発生させるために底壁部28c内(液溜部22の下方)に設けられた加熱ヒータ部24と、を備えている。加熱ヒータ部24は液体Eの蒸気化及び蒸気Jの温度調整を行う。また、混合槽28の側壁部28b内にも同様に加熱ヒータ部24を備え、槽内の温度を調整するようにしている。側壁部28bの加熱ヒータ部24は槽内を均一に保つために保温しているとも言える。
さらに、混合槽20は、導体1に付着した樹脂微粒子11に、噴霧されたミストMが直接的(直線的)に接触するのを防止する鉛直壁面状の遮蔽壁部25を有している。
遮蔽壁部25は、噴射ノズル21と導体1の間で、混合室28の天井壁部28aから垂設している。なお、本発明に於て、「直接的に接触」とは、ミストMが、噴射ノズル21から噴出された際の勢い(噴射圧)をもったまま衝突するように接触することである。
また、図示省略するが、遮蔽壁部25の内部に加熱ヒータ部24を設け、混合槽20内の温度を、一層均一に保つようするも望ましい。
図3に示すように、遮蔽壁部25は、ミストMの噴射方向に平行状の(混合室28の)側壁部28b,28bとの間、(混合室28の)底壁部28cとの間、液溜部22との間、が離間し(隙間を形成し)、噴霧されたミストMが、遮蔽壁部25を回り込んで、導体1の貫走部位に充満浮遊するように構成している。このように遮蔽壁部25によって、導体1側への迂回路を形成している。
図4に示すように、噴射ノズル21は、有機溶剤の液体Eが貯えられたタンクTに、中継タンクtとポンプPを介して接続されている。有機溶剤の液体Eを、所定の圧力かつ常温で、10μm以上100μm以下の粒径の有機溶剤のミストMとして噴霧するものである。
図2に示すように、加熱ヒータ部24によって、液溜部22内の有機溶剤の液体Eを、120℃〜150℃に加熱して、粒径が0.1μ〜10μm未満の蒸気として、蒸散させるものである。このように、液溜部22に於て、有機溶剤(液体E)を沸点付近まで加熱することによって、蒸気(気体)Jを発生させる。また、有機溶剤のミストMと有機溶剤の蒸気Jは、その成分は同じである。
また、加熱ヒータ部24は、天井壁部28aと噴射ノズル21が設けられた噴射側壁部28d以外の混合室28の壁部を加熱して内部を保温するように配設されている。即ち、加熱ヒータ部24は、側壁部28b,28b、底壁部28c、噴射対向壁部28eを、加熱し、室内を保温する。また、底壁部28c内の(液溜部22の下方に配設された)加熱ヒータ部24によって、液溜部22の有機溶剤の液体Eを120℃〜150℃に加熱する。発生した蒸気Jは、噴射ノズル21のミストMに効率良く熱エネルギーを与え、ミストMが直ちに加熱されて、処理槽30へ流れる混合流体(混合有機溶剤)Kが50℃以上80℃以下、より好ましくは、60℃以上80℃以下とする。このように、温度を制御するためには、(図示省略の)温度センサを連通口部29(処理槽30の下部30b)に付設して、加熱ヒータ部24をON−OFF制御(温調制御)するのが好ましい。
処理槽30は、内部に、縦長状の処理室38を有している。下部30bに、混合槽20の連通口部29と接続されると共に内部に導体1を導く入口部37を有している。また、処理層30の上部かつ上部周壁部(側)に、処理槽30内の混合有機溶剤Kを吸引して回収するための吸引口部36を設けている。また、吸引口部36より上方位置に、空気Dを下方に噴射するエアー噴出器51を備えている。具体的には、エアー噴出器51は、吸引口部36より上方を包囲する天井カバー部50に設けている。
エアー噴出器51は、天井カバー部50から導体1を外部へ出すための上方開口部52の近傍に設けられ、天井カバー部50内(上部30a)の空気を下方に押し込むように空気Dを噴出させる。このような構造とすることで、処理槽30内への混合有機溶剤Kの閉じ込め効率を向上させると共に、上方開口部52からの混合有機溶剤Kの流出を抑制している。
処理槽30は、入口部37から連続的に流入する混合有機溶剤Kと、エアー噴出器51から下方に噴出される空気Dと、によって、内部に混合有機溶剤Kが十分に停留し、大気(外気)へ漏れるのが防止された密封状である。混合槽20と処理槽30とは気密性をもって接続され一体状に形成されている。
また、図4に示すような回収配管60を備えている。処理槽30の吸引口部36に接続された吸引配管61と、吸引配管61の下流側に接続されたバルブVと、が設けられている。また、バルブVを介して噴射ノズル21に接続されたタンクTへ液化した有機溶剤を送るための再利用配管63と、処理槽30及び混合槽20内で滴下(液化)した有機溶剤をタンクTに回収する戻し配管64と、を備えている。なお、図示省略するが、配管の所定の位置に、吸引力を発生させるための吸引ファンを介設している。また、戻し配管64は、図示省略するが処理槽30の下部30bに接続した分岐配管部を付加する等も望ましい。
バルブVは、吸引配管61内の液体Ka(吸い込んだ混合有機溶剤Kの液体部分Ka)は、タンクTへ送って再利用するようにしている。吸引配管61内の気体Kb(吸い込んだ混合有機溶剤Kの気体部分Kb)は、濃度調整や不純物除去等の再生処理を行った後に、タンクTへ戻して再利用するようにしている。
導体1は、横断面が長辺と短辺を有する矩形状(平角状)であって、銅や銅合金等の金属材料である。有機溶剤は、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等であり、特に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMFとも呼ばれる場合もある)が好適である。有機溶剤の液体Eは、溶質を有機溶剤とし、溶媒を水としたものが、好適である。樹脂微粒子11は、アクリルエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等が望ましい。
上述した本発明の絶縁電線の製造装置の使用方法(作用)及び製造方法について説明する。
図1に示すように、導体1を下から上に電着槽10内を走行させると、図5に示すように、導体1の外周面1aに無数の樹脂微粒子11が付着する。図6に示すように、導体1に付着した樹脂微粒子11と樹脂微粒子11の間には、焼付処理後にピンホールの原因となる極小さな隙間12が形成される。つまり、電着槽10内を通過した導体1には、無数の樹脂微粒子11が疎らに付着した疎電着被膜2が形成される。
電着槽10内を通過した導体1は、疎電着被膜2(電着した樹脂微粒子11)を覆う未電着ワニスが付着している。この未電着ワニスを、エアワイパ91,91によって除去する。また、導体1を鉛直状に走行させることで、水平状に走行させる場合に比べて、余分な電着液19(未電着ワニス)を自重により落下させると共に、導体1の外周面1aに、疎電着被膜2の厚みを均一状になるように樹脂微粒子11を付着させることができる。
そして、疎電着被膜2が形成された導体1を、図1及び図2に示すように、混合槽20内へ走行させる。
混合槽20内には、導体1が導入される前に(予め)混合有機溶剤Kがつくられるが、導体1が通過中も連続してつくられる。
噴射ノズル21から所定の噴射圧力で、有機溶剤のミストMを噴霧する。噴霧されたミストMは遮蔽壁部25によって、直接的に導体1に吹き付けられず、遮蔽壁部25を廻り込んで(迂回して)導体1の走行位置に濃密状態で浮遊する。噴霧されるミストMは、噴射圧力、粒径、噴霧量が、樹脂微粒子11の溶解処理に最適な状態に噴射ノズル21やポンプPの操作によって微調整される。
液溜部22内の有機溶剤の液体Eを、加熱ヒータ部24によって加熱し、有機溶剤の蒸気Jを発生させるが、略密封状態の混合槽20内に、このように加熱された(高温の)蒸気Jが充満しており、この蒸気Jに噴射ノズル21からミストMが噴出して、混合しつつ、(高温の)蒸気Jからの熱エネルギーが付与されて活性化し、かつ、蒸気J発生に伴う体積膨張により混合槽20内の圧力も上昇して、熱エネルギーが付与されたミストMは(蒸気Jと共に)連通口部29から処理槽30へ、図3の矢印Koのように、供給される。このように、有機溶剤の蒸気Jは、それよりも十分に多量のミストMを、矢印Koのように処理槽30へ送り込むキャリアの役目(作用)をなす。
繰り返して説明すれば、ミストMは、蒸気Jによって加熱(熱エネルギーが付与)され、かつ、混合されることで、有機溶剤を溶解するための活性が上がり、常温のミストMに比べて、効率良く溶解処理を行う。また、液体Eに比べて混合有機溶剤Kは表面張力の影響が少なく、確実に隙間12に浸透し、溶解処理を行う。
また、加熱ヒータ部24を天井壁部28aに設けていないので、混合有機溶剤Kが滴下する(天井壁部28aに有機溶剤の液滴を付着させ落下させる)、この液滴は、有機溶剤の濃度が高いため戻し配管64を介してタンクTに戻し再利用する。あるいは、液溜部22内に落下して再び蒸気化される。
処理槽30は上下方向寸法(高さ)が十分に大であるため、処理槽30内で、導体1の疎電着被膜2は、(混合槽20内走行中よりも)長い時間、混合有機溶剤Kに接触して、確実に接触し溶解作用を得る。樹脂微粒子11,11同士の隙間12(図6参照)の間に有機溶剤が浸透し、樹脂微粒子11を溶解して、図7に示すように、隙間12のほとんどない密電着被膜3が形成される。
また、混合有機溶剤Kの温度は、上述の下限値未満であると、樹脂微粒子11の溶解処理に時間がかかり、上限値を越えると、樹脂微粒子11の溶解が進み過ぎると共に、液化に時間がかかり回収効率が低下する。
また、処理槽30を通過した導体1は、燃付炉40内を走行する。焼付炉40内で、密電着被膜3を導体1に200℃〜300℃で焼付けて、図8に示すように、導体1にピンホールの少ない絶縁層4を被覆形成する。
また、図4に示すように、処理槽30の吸引口部36から、混合有機溶剤Kを吸い込んで回収する。吸引配管61内の混合有機溶剤Kの液体部分Kaは(直接的に)タンクTへ送って再利用する。また、吸引配管61内の気体部分Kbは、再生処理(濃度調整や不純物除去)した後、タンクTへ送って再利用する。
ミストMと蒸気Jを混合させることで、効率が良く、有機溶剤を多く回収できる。
仮に、有機溶剤の蒸気Jのみを処理槽30の上部30aから流入させ、下部30bに吸引口部36を設けて強制排気すると、処理槽30内の有機溶剤の量の微調整が困難であると共に、疎電着被膜2に接触する有機溶剤が少ないため、大量供給、大量排気しなければならず有機溶剤の無駄が多くなると共に、蒸気Jの回収が困難となり(回収効率が悪く)、大気中に有害な有機溶剤の排気を放出させてしまう。上述の蒸気Jのみの方法(装置)に比べて、本発明の方法(装置)は、有機溶剤の使用量を約80%削減でき、大気放出(排出)量も約80%削減できる。
また、処理槽30内に、ミストMのみを充満させても、ミスト化する際の気化熱で低温乃至常温となり、活性が小さく十分な溶解作用が得られない。また、疎電着被膜2に接触するための長い時間を浮遊することが困難である。
なお、本発明は設計変更可能であって、例えば、処理槽30と焼付炉40の間に、乾燥炉や、有機溶剤の液体を除去するローラ等の有機溶剤除去手段を設けても良い。なお、導体1の横断面形状は、矩形状以外に正方形、六角形状等自由である。また、混合槽20及び処理槽30を断熱材で包囲、又は、周壁部を断熱材で形成するのが好ましい。
以上のように、本発明は、導体1を下から上へ電着槽10内を走行させ、導体1に無数の樹脂微粒子11を付着させて疎電着被膜2を形成し、疎電着被膜2に、有機溶剤の蒸気Jと、噴射ノズル21から噴霧された有機溶剤のミストMと、を混合した混合有機溶剤Kを接触させて、疎電着被膜2の樹脂微粒子11を溶解させて密電着被膜3を形成し、次に、密電着被膜3を導体1に焼き付けて、導体1に絶縁層4を被覆形成するので、樹脂微粒子11,11同士の間に有機溶剤が確実に浸透して、樹脂微粒子11,11同士の境界をなくすように溶解し、隙間12がほとんどない密電着被膜3を形成でき、ピンホールの少ない(ピンホールのない)高品質の絶縁電線が得られる。また、有機溶剤で効率よく確実に樹脂微粒子11,11間の隙間12を少なくできる。疎電着被膜2に作用する有機溶剤は主としてミストMであるので、噴射ノズル21の設定で容易に調整できる。溶解処理全体に使用する有機溶剤(液体E)の使用量、及び、大気への排出量を大幅に削減でき、製造装置を簡素化できる。
また、下から上へ走行する導体1に無数の樹脂微粒子11を付着させて疎電着被膜2を形成するための電着槽10と、有機溶剤の蒸気Jと噴射ノズル21から噴霧された有機溶剤のミストMとを混合して混合有機溶剤Kをつくる混合槽20と、混合槽20に連通すると共に混合有機溶剤Kを疎電着被膜2に接触させて密電着被膜3を形成するための処理槽30と、密電着被膜3を導体1に焼き付けて導体1に絶縁層4を被覆形成するための焼付炉40と、を備えたので、樹脂微粒子11,11同士の間に有機溶剤が確実に浸透して、樹脂微粒子11,11同士の境界をなくすように溶解し、隙間12がほとんどない密電着被膜3を形成でき、ピンホールの少ない(ピンホールのない)高品質の絶縁電線が得られる。また、有機溶剤で効率よく確実に樹脂微粒子11,11間の隙間12を少なくできる。疎電着被膜2に作用する有機溶剤は主としてミストMであるので、噴射ノズル21の設定で容易に調整できる。使用する有機溶剤の(液体E)の使用量、及び、大気への排出量を大幅に削減でき、製造装置を簡素化できる。
また、混合槽20は、噴射ノズル21と、有機溶剤の液体Eを収容した液溜部22と、液溜部22内の有機溶剤の液体Eを加熱して有機溶剤の蒸気Jを発生させるための加熱ヒータ部24と、を備えたので、混合槽20内の温度と圧力を調整制御し易く、ミストMに適切な熱エネルギーを与えてミストMの活性(溶解処理作用)を向上でき、かつ、上方の処理槽30へ適切な供給量を送込むことが可能となる。さらに、側壁部28b内にも加熱ヒータ部24を設けた場合には、混合槽20内の温度を均一に保つことができる。
また、混合槽20は、噴霧されたミストMが直接的に疎電着被膜2に接触するのを防止するための遮蔽壁部25を有するので、噴霧させたミストMを、混合槽20内で十分に混じり合って混合有機溶剤Kとなり、導体1の外周面1aに均一に接触して溶解処理を効率よく確実に行うことができる。さらには、この遮蔽壁部25内にも加熱ヒータ部24を設けた場合には、より混合槽20内の温度を均一に保つことができる。
また、処理槽30の上部30aに、処理槽30内の混合有機溶剤Kを吸引して回収するための吸引口部36を設け、さらに、吸引口部36より上方位置に、空気Dを下方へ噴射するエアー噴出器51を備えたので、処理槽30内に混合有機溶剤Kを十分に充満させることができ、吸引口部36により、混合有機溶剤Kを大気(外気)に無駄に排出させることなく、効率良く、確実に回収できる。
また、吸引口部36から吸引した混合有機溶剤Kのうち、吸引配管61内で液体Kaのものは、バルブVを介して、タンクTに(直接に)再利用でき、吸引配管61内で気体Kbのものは、再生処理(工程)にて不純物除去や濃度調整を行った後に再利用できる。その結果、有機溶剤の(液体E)消費量を大幅に削減できる。
1 導体
2 疎電着被膜
3 密電着被膜
4 絶縁層
10 電着槽
11 樹脂微粒子
20 混合槽
21 噴射ノズル
22 液溜部
24 加熱ヒータ部
25 遮蔽壁部
30 処理槽
30a 上部
36 吸引口部
40 焼付炉
51 エアー噴出器
D 空気
E 液体
J 蒸気
K 混合有機溶剤
M ミスト

Claims (5)

  1. 導体(1)を下から上へ電着槽(10)内を走行させ、該導体(1)に無数の樹脂微粒子(11)を付着させて疎電着被膜(2)を形成し、
    上記疎電着被膜(2)に、有機溶剤の蒸気(J)と、噴射ノズル(21)から噴霧された有機溶剤のミスト(M)と、を混合した混合有機溶剤(K)を接触させて、上記疎電着被膜(2)の上記樹脂微粒子(11)を溶解させて密電着被膜(3)を形成し、
    次に、上記密電着被膜(3)を上記導体(1)に焼き付けて、該導体(1)に絶縁層(4)を被覆形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
  2. 下から上へ走行する導体(1)に無数の樹脂微粒子(11)を付着させて疎電着被膜(2)を形成するための電着槽(10)と、有機溶剤の蒸気(J)と噴射ノズル(21)から噴霧された有機溶剤のミスト(M)とを混合して混合有機溶剤(K)をつくる混合槽(20)と、該混合槽(20)に連通すると共に上記混合有機溶剤(K)を上記疎電着被膜(2)に接触させて密電着被膜(3)を形成するための処理槽(30)と、上記密電着被膜(3)を上記導体(1)に焼き付けて該導体(1)に絶縁層(4)を被覆形成するための焼付炉(40)と、を備えたことを特徴とする絶縁電線の製造装置。
  3. 上記混合槽(20)は、上記噴射ノズル(21)と、有機溶剤の液体(E)を収容した液溜部(22)と、該液溜部(22)内の有機溶剤の上記液体(E)を加熱して有機溶剤の上記蒸気(J)を発生させるための加熱ヒータ部(24)と、を備えた請求項2記載の絶縁電線の製造装置。
  4. 上記混合槽(20)は、噴霧された上記ミスト(M)が直接的に上記疎電着被膜(2)に接触するのを防止するための遮蔽壁部(25)を有する請求項3記載の絶縁電線の製造装置。
  5. 上記処理槽(30)の上部(30a)に、該処理槽(30)内の上記混合有機溶剤(K)を吸引して回収するための吸引口部(36)を設け、さらに、該吸引口部(36)より上方位置に、空気(D)を下方へ噴射するエアー噴出器(51)を備えた請求項2,3又は4記載の絶縁電線の製造装置。
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