JP5377420B2 - 誤差推定装置および誤差推定プログラム - Google Patents

誤差推定装置および誤差推定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれる誤差を、その対象を模擬した実験の結果を用いて推定する誤差推定装置および誤差推定プログラムに関する。
工業製品は、最終的な製品を設計あるいは製作する際、最終的な製品とほぼ同じ品物を製作して、その品物で実際の性能を把握して、最終的な製品の性能を向上させる手法が適用される場合がある。たとえば自動車などでは、新車の設計において、試作車をテストコースで実際に走行させて性能を把握して設計を見直し、最終的な製品を提供するための改良に役立てている。
一方、特定の工業分野では、製作する製品の大きさが巨大で、最終的な製品の性能を試作によって確認することが極めて困難である場合がある。また、製作する製品が非常に高価であるか製作数が唯一つあるいは少数であるか、経済的あるいは他のいくつかの理由によって試作品を製作することが合理性をもたない場合もある。
たとえば、原子力分野では最終的に目的とする体系(実機体系)を設計する際、(1)その製品の規模が極めて大きい、(2)核物質を扱う、という点から最終的な製品とほぼ同じ試作品を製作して性能を把握するということが大変困難である。よって、設計については、あくまでほぼ計算によってのみ、性能を把握して原子炉施設が建設される。このため、原子力分野では、設計計算での精度を向上させるために、計算値に含まれる不確かさ(誤差)を把握することが極めて重要である。計算誤差(不確かさ)を正確に把握することは、計算値と実機での性能との差を把握することに他ならない。
原子力施設の設計計算はコンピュータによって行われ、計算で用いるコンピュータプログラムを計算コードと称している。また、この設計コードに入力する数値(群)を計算に用いるパラメータと呼ぶことにする。設計計算に含まれる誤差は、(a)計算に用いるコンピュータ自体で生じる誤差、(b)計算コードで扱う物理モデルに由来する誤差、(c)パラメータに含まれる誤差で生じる誤差、が考えられる。
ここで、(a)に関し、もちろんコンピュータ内で扱う数値は数値の表現上、桁数に限りがあり、丸め誤差や桁落ちの誤差など数値計算では避けられない誤差がある。ただし、コンピュータの飛躍的な性能の向上と計算機科学の発達に伴って、コンピュータと計算コードそのものに由来する数値計算誤差は極めて小さくなっており、通常他の誤差と比較して無視ができる大きさである。
また、(b)に関し、計算コードは、自然界の現象を一定の物理モデルによって記述して、それを書き換えたものである。つまり、計算コード自体は自然現象ではなく、計算コードは物理モデルが自然現象を十分模擬できる範囲内でのみ計算に使用する意味がある。しかし、計算コードも常に研究と改良が重ねられており、設計計算に用いる計算コード自体から生じる誤差は十分に小さいと考えてよい。
一方、(c)に関し、計算コードの入力となる数値群、計算パラメータであるが原子炉施設では全ての構成材料の寸法、原子数密度などを正確に測定できない場合があり(たとえば使用済みの核燃料)、加えて計算に以上に重要な物理定数である核データについても誤差(不確かさ)が存在する。このため、計算に用いるパラメータには常に誤差(不確かさ)が含まれており、この誤差によって設計計算(値)にもたらされる誤差が存在し、無視することができない。
原子力分野では設計計算に用いた計算コード、計算に用いたパラメータの双方の品質を確認するために、目的とする体系(実機体系)を模擬したできるだけ近い物理状態で、超小型の原子炉である臨界実験装置を用いた実験が行なわれる。当該計算コードを用いてこの実験を評価した計算値を、この実験の測定値と比較することで、目的とする体系(実機体系)の設計計算(値)の誤差(不確かさ)を把握し計算の精度を確認してきた。
すなわち、設計計算で使用する計算コードシステムで、臨界実験装置での実験を計算して得られた計算値と測定値とを比較して、その差が非常に小さいときに、設計計算に用いる計算コードシステムと計算に用いるパラメータの品質は信頼できると判断されてきた。一方、計算値と測定値との比較の際には数学的、理論的な判断基準が確立されておらず、そのため、臨界実験で行った実験の内容がどれほど比較の基準として有用であるかの定量的評価は行われてこなかった。
次に、(a)計算に用いるコンピュータ自体で生じる誤差、(b)計算コードで扱う物理モデルに由来する誤差、(c)パラメータに含まれる誤差で生じる誤差、について更に詳しく説明する。
これまで述べたように計算で生じる誤差の要因は次の種類に分けられる。(a)計算に用いるコンピュータ自体で生じる誤差−数値計算の誤差、(b)計算コードで扱う物理モデルに由来する誤差−計算手法の誤差、および(c)パラメータに含まれる誤差で生じる誤差−計算に用いる数値(入力値)に起因する誤差である。
数値計算の誤差は、コンピュータで計算する過程の四則演算で生じる誤差である。数値計算の誤差として代表的なものには、たとえば丸め誤差とか、切り上げ・切り捨て誤差がある。ただし、数値計算の誤差は、現在の工夫された数値計算技術とコンピュータのハードウェアの発達によって十分無視できるレベルになっており、一般に他の誤差と比較して十分小さく、誤差の主たる支配因子ではない。
計算に用いる物理モデルは、あくまで自然界の物理現象を数学的にモデル化したものであり、自然界がこの物理モデルに従って変化しているわけではない。加えて、物理モデルをコンピュータで計算できるように近似・変形した場合にも誤差が生じる。これらが計算手法の誤差である。
原子力の核計算において、中性子の運動の基礎方程式は、ボルツマンの輸送方程式によって記述される。ボルツマンの輸送方程式をコンピュータで解く場合、何らかの近似を用いて解くことになる。原子炉の炉心計算では、ボルツマンの輸送方程式を近似した拡散方程式が広く利用されている。この拡散方程式は、ボルツマンの輸送方程式を中性子の運動の角度方向の情報を無視して近似したものである。よって中性子の運動方向が均一でない体系では、拡散方程式による計算で誤差が大きくなるおそれがある。加えて、拡散方程式で使用される拡散係数は、密度の薄い媒質に対して適切な数値を設定することができない場合があり、そのため誤差を生ずる。計算対象の体系が小さい場合、すなわち中性子の洩れの割合が大きい小型の炉心を拡散理論で計算すれば、洩れを過大評価して臨界固有値を過小評価する傾向があり、計算誤差が大きくなる傾向があるといわれている。
このように、計算を行なう際、計算に用いる理論やモデルが適切であるか、計算手法で生じている誤差の検討が必要である。
誤差の要因として一番大きいと考えられるものは、計算に使用する数値に起因する誤差である。計算に用いられる数値は、寸法、体系を構成する物質、その物質の数密度などの計算対象に固有な数値と、計算対象それぞれには依存せず、計算に共通に使用される数値がある。たとえば、水の温度と圧力が決まれば水の密度は決まるが、その密度の値は計算体系には依存せず共通に使用される値である。計算に用いられるこれら全ての数値を、以下パラメータと呼ぶことにする。またパラメータによって計算結果に生ずる誤差を、以下パラメータ誤差と呼ぶことにする。
一般的に用いられる物理定数も真の値ではなく、誤差が含まれている。ただし、物理定数の精度は他の数値に比べて遥かに高く、有効数字も6桁を越えるものが多くある。このため、一般的に、物理定数の誤差が原子力施設の設計や建設、燃料集合体のなどの設計、製作で問題となることはないと判断できる。
一方、これまで核計算の中で最も重要と判断されてきたパラメータは「核データライブラリ」に関する数値であり、中性子反応断面積、崩壊定数、収率、遅発中性子割合などがそれにあたる。「核データライブラリ」は、核計算に直接的に関わる数値群で、これら数値の変化が核特性を示す計算値に与える影響が大きい。また、もともと「核データライブラリ」は、全ての値が測定によって正確に確認・決定されたものではなく、理論計算によって定められた数値も含まれる。このため、「核データライブラリ」に含まれる誤差は、他のパラメータ誤差よりも大きいと判断される。したがって、核計算では、「核データライブラリ」のパラメータ誤差が重要視される。
パラメータ誤差のなかで次に重要なものは、原子数密度の誤差である。原子力分野において、運転後の燃料集合体などについては、燃焼計算によって原子数密度を得る。このため、その後の計算で原子数密度を用いるときには、既にこの原子数密度に計算誤差が含まれていると判断される。
原子力産業では、扱う製品の構成元素、元素の原子数密度などの組成を高い精度で確認・測定することが困難あるいは非現実的な場合がある。燃料集合体内の核種組成や核種の原子数密度は、次にその燃料集合体を使用する場合の反応度の決定、保管・輸送の際の臨界安全性や放射線量を定量化するために極めて重要な数値である。しかし、核種の組成や原子数密度の測定のために燃料集合体を炉心から取り出すこと、さらに、破壊して分析測定することは現実的ではなく、また、高い放射線レベルの燃料集合体1体ずつを外部から正確に測定することも技術的にも経済的にも成立性が乏しい。
そこで燃料集合体の核種組成や原子数密度は、過去燃料集合体が置かれていた環境をできるかぎり正確に把握して、計算機プログラムによって計算する。これを燃焼計算と呼ぶ。このようにして求めた原子数密度には、計算誤差が含まれる。この原子数密度もこの数値を入力とした核計算の計算結果に与える影響が大きいものであり、計算で生じる誤差の原因を考察する際に重要である。
実際の原子力発電所に関する計算を行なう場合には、原子炉の中で移動する流体の流量や温度、材料温度は、計算に必要な入力点数について精度の高い数値が得られないことがあり、経験的な数値を仮定し入力して計算を行なう。炉心の中に水と蒸気の二層流が存在する沸騰水型原子炉(BWR)の炉心計算では、流量の誤差によって生ずる計算誤差は有意な値である考えられている。
原子力産業の初めから、核物質の臨界性という原子力に特有の現象を確認するために、実験装置が作られ、利用されてきた。そのひとつが、臨界実験装置である。臨界実験装置は、一般的に、大気圧下、常温(室温)で運転・稼動できるように設計された装置である。
臨界実験装置は小型の原子炉であって、実際の原子炉で使用するウランやプルトニウムなどの核物質を使用して臨界状態を達成する。しかし、装置が非常に小型であるために熱をほとんど出さない。原子炉のミニチュア版といった装置であり、臨界状態を実現できることから、臨界実験装置と呼ばれている。臨界実験装置を用いた実験は、臨界実験と呼ばれる。
臨界実験は、計算の誤差を減らすために役立てられてきた。物理的に非常に単純化され、簡略化された条件で、体系を組み上げて、同時に精度の高い測定データを取得することが臨界実験の目的である。物理的に非常に単純で簡略化した体系では、形状や組成に関わる計算入力パラメータの誤差を減らすことができ、誤差の少ない測定値は計算値との比較を容易にする。過去から現在に至るまで「計算手法に起因する誤差」と「核データライブラリに起因する誤差」を明らかにすることを目的に、臨界実験によって得られた多くの測定値と計算値が比較されて、その結果、誤差要因が特定され誤差が定量化されてきた。
加えて、臨界実験の測定値を計算値がよく再現できていれば、計算に使った手法、計算に使った主として核データライブラリなどのパラメータの品質が高いと判断される。品質が高いと判断されれば、同じ手法とパラメータの組み合わせで目的とする体系の設計を行っても良いという品質保証・判断基準となってきた。
臨界実験の測定値で一番重要視されるものは、臨界になった条件である。そこで、臨界になった諸条件を、データとして正確に取得する。原子炉物理の言葉では、臨界になった条件を「臨界質量」という言葉で表すことがあり、これは核物質種類、質量のみならず、体系の幾何形状、温度や核物質の組成や質量一式の正確な数値を指す。
次に重要とされるものは、臨界実験装置が臨界になったときの核分裂反応の空間分布である。燃料棒を組み合わせて構成された臨界実験装置では、燃料棒から放出される放射線を測定して、放射線量の比によって核分裂反応の分布を測定することが多い。これは核分裂反応と放出される放射線の量は比例関係にあると考えられるからである。なお、臨界実験装置に、たとえば小型核分裂電離箱などの特別の放射線測定器を挿入して、目的とする位置での放射線の量を測定することも多い。この場合も、測定値の比によって中性子束の分布などが求められる。
目的とする測定値が得られれば、次に臨界実験の体系や実験条件を入力として計算を行なう。計算で求めた値を臨界実験で得られた臨界量と核分裂反応の分布、中性子束の分布などの測定値と比較することで、計算全体の品質が把握できる。すなわち計算値と測定値が測定誤差の範囲や許容できる程度で一致していれば、臨界実験を計算した計算機プログラム(計算手法)と核データライブラリを中心として計算に用いたパラメータが十分な品質を有しているという根拠になる。その後、同じ計算機プログラム(計算手法)と核データライブラリを用いて最終的に目的とする原子炉や原子炉施設の設計の計算に実施してよいという判断がなされる。
一方、計算値と測定値に有意な差が認められる場合は、計算手法や核データライブラリの問題点や改良すべき点を特定し、計算値と測定値の一致が改善されるように改良がなされる。このように、臨界実験は、計算機(プログラム)と核データライブラリの品質の確認や保証、あるいは計算手法や核データライブラリの改良に寄与してきた。
臨界実験で得られた数値(測定値)にも誤差が含まれる。その誤差は、測定誤差と呼ばれる。測定誤差には、それぞれの測定の際に偶然発生する統計誤差(ランダム誤差、統計誤差)と、測定に用いた計測器や手法に伴う誤差(系統誤差)が含まれる。統計誤差は、確率分布に従い、測定の回数を増やせば誤差の割合は減少する性質がある。系統誤差は、測定方法そのものに付随した誤差であるので、測定ごとに常に発生し、系統誤差の割合は測定の回数によって変化することはない。なお、測定誤差の割合は、計算誤差の割合よりも小さいと考えられる。
これまで臨界実験で得られたデータを利用する方法として、一般的に次の二つの応用がなされてきた。補正因子(バイアス)法と、断面積アジャストメントである。
補正因子(バイアス)法では、計算によって生じる誤差を減らすことを目的としている。特定の計算手法(計算機プログラム)と特定の核データライブラリ(計算で用いるパラメータ)を使用して、目的とする体系の設計計算を行なうものとする。特定の物理量に注目して、臨界実験で得られた計算値の相対誤差の割合が、目的とする体系の計算値の相対誤差の割合と同じと仮定する。
次に、臨界実験の計算値と測定値とから、補正因子(バイアス)を計算する。目的とする体系の計算値に、この補正因子を乗じれば目的とする体系の計算値の相対誤差を取り除くことが可能になり、目的とする体系の計算精度を向上させることができる。
臨界実験の真値をT、臨界実験での計算値をC=T(1+Δc)、臨界実験での測定値をR=T(1+Δe)とする。ここで、Δcは臨界実験での計算誤差、Δeは測定誤差である。
f=R/C=T(1+Δe)/T(1+Δc)=(1+Δe)/(1+Δc)であるから、このfを目的とする計算値C=T(1+Δc)に乗ずれば、一般に実験の測定誤差Δeは計算誤差Δcよりも小さいので、ΔcとΔcとが同じ程度であるならば、
=C×f
=T(1+Δc)×(1+Δe)/(1+Δc
≒T(1+Δe+Δc−Δc
≒T(1+Δe)
となり、目的とする体系の計算値Rから計算による誤差を減らした値を推定することができる。これが補正因子(バイアス)法である。なお、Tは真値、Δcは目的とする計算値に含まれる計算誤差である。
補正因子(バイアス)法では、目的とする体系において計算で生じる相対誤差を減らすことを目的としており、その誤差の原因を取り除くことは考察しない。
臨界実験の計算値と測定値を利用して目的とする体系の計算精度を向上させる別の手法として、断面積アジャストメントがある。計算誤差の要因を核データライブラリ(断面積ライブラリ)と考えて、臨界実験での計算値と測定値とが一致するように、核データライブラリの値を調整・修正(アジャストメント)し、その調整を行った核データを用いて、目的とする体系の計算を行ない、計算精度を向上させるという考え方である。
すなわち、複数の臨界実験で得られた測定値と計算値の相対差の合計(通常は二乗和)を最小にするように、核データライブラリ(断面積)の数値を調整する手法である。核特性に対するそれぞれの断面積の感度係数を用いて、測定値と計算値の相対差の二乗和を最小にするように最終的に断面積を調整することを目的とする手法である。行われる数学的演算は、行列形式の最小二乗法であり、必然的に補正を行う核データライブラリは中性子のエネルギーについて離散化した多群形式のライブラリである。よって、計算も中性子エネルギーを離散化した多群計算を出発点としており、連続エネルギーモンテカルロ計算などに、直接的には適用できない。
この手法の優れた点は、数学的な式の扱いが最小二乗法に基づいているので、感度係数を用いて断面積の値を調整する場合の数学的取り扱いが非常に明快なことである。計算手法や計算機プログラムで生じる誤差が無視できると考えられる場合で、設計計算に関わる不確かさ(誤差)が計算に使用しているパラメータの不確かさにのみ起因しており、パラメータの中でも断面積ライブラリが誤差の最も大きな要因ならば、この手法の適用性は高いといえる。
一方、この手法の問題点は、計算誤差(不確かさ)の原因を断面積ライブラリに限定していることで、たとえば他の未知の原因によって臨界実験での計算値と測定値の差が生じている場合は、的外れな操作を行っていることである。また、仮に断面積ライブラリが計算値と測定値の差の支配因子であっても、臨界実験(あるいはこれまで知りえた比較例)で計算値と測定値が一致することはあくまで必要条件であって、そのように調整した断面積ライブラリを使用すれば目的とする設計体系の誤差(不確かさ)を必ず小さくできるという根拠や理由(十分条件)は、示されていない。
特開2008−217139号公報
Teruhiko KUGO、他2名、"Theoretical Study on New Bias Factor Methods to Effectively Use Critical Experiments for Improvement of Prediction Accuracy of Neutronic Characteristics"、Journal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY、Vol.44、No.12、Page 1509-1517、2007年 "SCALE: A Modular Code System for Performing Standardized Computer Analyses for Licensing Evaluation"、ORNL/TM-2005/39、Version 5.1、Vols. I-III、2006年11月
原子力分野や、試作品を製作して最終的な性能を確認することが現実的ではない分野では、特定の設計手法に基づき、特定のパラメータを入力として目的とする体系の着目する物理量を計算して設計値としている。この計算で用いる方程式を、ここではモデル方程式と呼ぶ。設計計算の段階で計算値である設計値に含まれる数値の誤差を定量評価することは、設計精度を確認するために極めて重要な作業である。
設計精度を確認するために、原子力分野では臨界実験が行われてきた。実験において着目する物理量を測定し、設計する際に使用するのと同じ計算手法(計算機プログラム)と物理定数など(パラメータ)を用いて計算を行ない、計算値と測定値の差によって設計計算での誤差を推測する。あるいは計算値と測定値の差がある許容限界の範囲ならば、この方法で設計計算を行なっても問題はないという判断がなされてきた。
臨界実験は、従来、理論や計算手法の誤差と、パラメータによる誤差とを定量化することを目的として実施されてきた。ただし、臨界実験で得られる情報について、これまで物理学的・数学的に詳しい検討がなされることは少なく、目的とする体系と比較して重要な特徴が再現されている実験であれば有用であるという判断に基づいて実験がなされてきた。
臨界実験の測定値と計算値とは、補正因子(バイアス)法や断面積アジャストメントに利用されてきた。よって、臨界実験で得られた計算誤差の情報を組み合わせて、目的の体系の計算誤差にする手法は提供されていなかった。ここで情報とは、目的とする体系を、特定の設計手法、特定のパラメータで計算したときに得られる数値(設計予想値)に対して、誤差がどの程度含まれるかを確認するための情報である。
実験結果に対して定量的、数学的に詳しい検討がなされなかったため、実験を行う際に、着目する物理量の性質を明らかにするには実験においてどの項目を重要視すべきかの判断ができないので、最善の実験を行ったかどうか判断できないという問題がある。
また、目的とする体系の状態を常に広い範囲について実験で模擬できるとは限らない。たとえば目的とする体系で使用する物質について実験施設で十分な量を用意できない場合、実験ではその物質を使用している空間領域は実験体系の一部になり、このような実験は部分模擬実験と呼ばれる。部分模擬実験で得られた情報で目的とする体系の着目する物理量の誤差を評価する手法は知られていない。
さらに、複数の実験を行った際、どの実験が優れていたかを定量的に比較する方法、複数の実験の情報を組み合わせて設計計算の誤差を推定する手法は知られていない。その他、過去に実施した実験の情報を有効利用する明確な手法、実験に必要な資源(人的、時間的、経済的資源)の最適化を行う有効な手法がないのが現状である。
また、必ずしも複数個の実験の結果を利用できない場合がある。さらに、一般的に、臨界実験では目的とする体系(実機体系)の物理状態を全て模擬することはできない。たとえば、沸騰水型原子炉(BWR)の炉内の水蒸気状態を模擬する領域は臨界実験装置では空間的に一部の領域である。また、加圧水型原子炉(PWR)の炉心タンク内のホウ酸水の状態を模擬できるのも臨界実験装置の中の一部の領域だけである。なぜなら、臨界実験装置はもともと小さい装置であり、炉心反応度について大きな余裕をもっていないために、目的とする体系(実機体系)の状態を臨界実験装置全体で模擬すれば、実験体系の炉心の反応度が低くなりすぎて炉心を臨界にすることができなくなるからである。
すなわち、目的とする体系(実機体系)を商業炉とした場合、臨界実験装置でその物理状態を模擬している空間的領域は限定された領域であることが一般的である。このような状態を以下、部分模擬(状態)と呼ぶことにする。臨界実験装置で目的とする体系(実機体系)の模擬実験を実施した場合、部分模擬実験である場合が多い。またその測定ケース数が単一であることも考えられる。
そこで、その部分模擬実験で得られた測定値と計算値の情報を、できる限り有効に利用する手法が望まれる。しかし、これまでどのような手法に基づけばそれらの情報を有効利用できるか、理論的・数学的な基礎が示されていなかった。
そこで、本発明は、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれるパラメータに起因する誤差を、その対象を部分的に模擬した実験の結果を用いて定量的に推定することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれる誤差を、その対象を模擬した実験の結果を用いて推定する誤差推定装置において、iを1から実験の総数nまでの自然数としたときにi番目の実験についての前記モデルを用いたシミュレーションで得られたある物理量Rの計算値の当該実験で測定された当該物理量Rの測定値に対する前記モデルへの入力値に関する相対誤差EPi allを記憶する相対誤差記憶部と、i番目の実験の体系について前記モデルを用いたシミュレーションした結果のそのモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を表す全領域感度係数ベクトルSEiを記憶する実験体系感度係数ベクトル記憶部と、前記全領域感度係数ベクトルSEiのうち前記対象を部分的に模擬している部分模擬領域についての部分模擬領域感度係数ベクトルSを記憶する部分模擬領域感度係数ベクトル記憶部と、前記全領域感度係数ベクトルSEiから前記部分模擬領域感度係数ベクトルSを引いた非模擬領域感度係数ベクトルSciを記憶する非模擬領域感度係数ベクトル記憶部と、シミュレーションに用いる前記モデルへの入力値の不確かさの割合の関係を示す共分散行列Wを記憶する共分散行列記憶部と、r =S WS、a =S WSci、b =Sci WSciとして前記部分模擬領域についての前記モデルへの入力値に起因する誤差EPiを(EPi=(EPi all×r /(r +2a +b )により求める模擬領域誤差演算部と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれる誤差を、その対象を模擬した実験の結果を用いて推定する誤差推定プログラムにおいて、コンピュータに、iを1から実験の総数nまでの自然数としたときにi番目の実験についての前記モデルを用いたシミュレーションで得られたある物理量Rの計算値の当該実験で測定された当該物理量Rの測定値に対する前記モデルへの入力値に関する相対誤差EPi allを記憶する相対誤差記憶機能と、i番目の実験の体系について前記モデルを用いたシミュレーションした結果のそのモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を表す全領域感度係数ベクトルSEiを記憶する実験体系感度係数ベクトル記憶機能と、前記全領域感度係数ベクトルSEiのうち前記対象を部分的に模擬している部分模擬領域についての部分模擬領域感度係数ベクトルSを記憶する部分模擬領域感度係数ベクトル記憶機能と、前記全領域感度係数ベクトルSEiから前記部分模擬領域感度係数ベクトルSを引いた非模擬領域感度係数ベクトルSciを記憶する非模擬領域感度係数ベクトル記憶部と、シミュレーションに用いる前記モデルへの入力値の不確かさの割合の関係を示す共分散行列Wを記憶する共分散行列記憶機能と、r =S WS、a =S WSci、b =Sci WSciとして前記部分模擬領域についての前記モデルへの入力値に起因する誤差EPiを(EPi=(EPi all×r /(r +2a +b )により求める模擬領域誤差演算機能と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれるパラメータに起因する誤差を、その対象を部分的に模擬した実験の結果を用いて定量的に推定できる。
本発明に係る計算誤差推定装置の一実施の形態におけるブロック図である。 本発明に係る計算誤差推定装置の一実施の形態におけるコンピュータのブロック図である。 本発明に係る計算誤差推定装置の一実施の形態における誤差推定方法のフローチャートである。
本発明に係る計算誤差推定装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
図1は、本発明に係る計算誤差推定装置の一実施の形態におけるブロック図である。図2は、本実施の形態におけるコンピュータのブロック図である。
誤差推定装置10は、相対誤差記憶部11と、共分散行列記憶部12と、感度係数演算部40と、実験体系感度係数ベクトル記憶部13と、目的体系感度係数ベクトル記憶部14と、部分模擬領域感度係数ベクトル記憶部41と、非模擬領域感度係数ベクトル記憶部42と、模擬領域誤差演算部43と、線形結合定数演算部15と、誤差演算部16と、を有している。この誤差推定装置10は、コンピュータ21上に構築することができる。
コンピュータ21では、CPU(Central Processing Unit)22、RAM(Random Access Memory)23、ROM(Read Only Memory)24、入力制御部26、表示制御部29、ハードディスク制御部31などがバス32を介して接続されている。入力制御部26には、キーボードやマウスなどの入力装置25が接続されている。表示制御部29には、液晶ディスプレイなどの表示装置28が接続されている。ハードディスク制御部31には、ハードディスク30が接続されている。
CPU22は、計算誤差を推定する誤差推定処理、およびその他の様々な演算処理や制御処理を行う。RAM23は、CPU22が処理を行う際に一時的にデータを記憶する。ROM24あるいはハードディスク30は、測定値を介して得られる相対誤差、共分散(誤差)行列、計算して得られた感度係数などをCPU22が処理するために必要なデータやプログラムを長期的に記憶する。演算開始の指示などコンピュータ21への入力は、入力装置25を介して行われる。推定された誤差などの必要な情報は、表示装置28に表示される。
誤差推定装置10は、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に付随する計算誤差を推定する。ここで、誤差推定装置10が計算誤差を推定する体系を「目的の体系」あるいは「設計体系」と呼ぶこととする。この目的の体系とは、たとえば原子炉などの製品である。
計算誤差を推定するときに、誤差推定装置10は、n個の実験によって得られた結果を用いる。ここで、実験とは、目的の体系の少なくとも一部を模擬しておこなうものであり、実験に用いた装置などの体系を「実験体系」と呼ぶこととする。本実施の形態では、模擬実験として臨界実験を行う場合について説明する。
相対誤差記憶部11は、i番目の実験についてのシミュレーションで得られたある物理量Rの計算値の当該実験で測定された当該物理量Rの測定値に対するシミュレーションのモデルへの入力値に関する相対誤差EPi allを記憶する。ここで、iは、1から実験の総数nまでの自然数である。
共分散行列記憶部12は、シミュレーションに用いるモデルへの入力値の不確かさの割合の関係を示す共分散行列Wを記憶する。
着目する物理量をR、このRを計算するときに用いるパラメータをx(l=1,2,3,…,n)とする。xに関するRの感度係数Sは
Figure 0005377420
で定義される。すなわち、感度係数Sは、パラメータxの変化割合の単位量あたりに生じる物理量Rの変化割合を示している。着目する物理量について目的とする体系、実験体系に関してそれぞれ各パラメータに対しての感度係数を求める。感度係数はパラメータの数に対するベクトル量となる。感度係数演算部40は、この感度係数を計算する。目的体系感度係数ベクトル記憶部14は、目的の体系についてのシミュレーションの結果の、そのシミュレーションに用いたモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を示す目的体系感度係数ベクトルSを記憶する。
実験体系感度係数ベクトル記憶部13は、i番目の実験の体系についてのシミュレーションの結果の、そのシミュレーションに用いたモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を表す実験体系感度係数ベクトルSEiを記憶する。部分模擬領域感度係数ベクトル記憶部41は、全領域感度係数ベクトルSEiのうち対象を部分的に模擬している部分模擬領域についての部分模擬領域感度係数ベクトルSを記憶する。非模擬領域感度係数ベクトル記憶部42は、全領域感度係数ベクトルSEiから前記部分模擬領域感度係数ベクトルSを引いた非模擬領域感度係数ベクトルSciを記憶する。すなわち、SEi=S+Sciである。
模擬領域誤差演算部43は、部分模擬領域についてのモデルへの入力値に起因する誤差EPiを次式により求める。
(EPi=(EPi all×r /(r +2a +b
ここで、r =S WS、a =S WSci、b =Sci WSci、Tはベクトルや行列の転置を示す記号である。
線形結合定数演算部15は、実験体系感度係数ベクトルSを線形結合した線形結合ベクトルSの線形結合定数αを、S WSがS WSと等しくかつ目的体系感度係数ベクトルSと線形結合ベクトルSとのなす角が最小になるように求める。誤差演算部16は、線形結合定数αを重みとして相対誤差EPiの値を合成してシミュレーションの結果得られる目的の体系の物理量Zに含まれる相対誤差ΔZ/Zを推定する。
図3は、本実施の形態における誤差推定方法のフローチャートである。
まず、臨界実験などの模擬実験を行う(S101)。着目する物理量Rに対してこのとき得られた測定値をRとする。
次に、あるモデルを用いてシミュレーション計算を行う(S102)。このとき得られた計算値をRとする。RとRとは、たとえば入力装置25を介して誤差推定装置10に取り込まれる。
計算値と測定値の相対差は、
(R−R)/R=(R/R)−1
と表わされる。この値は、
「パラメータによる相対誤差」+「計算手法による相対誤差」−「測定誤差」
にほぼ等しい。なお、ここでの測定誤差は相対誤差である。
この値から「計算手法による相対誤差」と「測定誤差」を取り除く。「計算手法による相対誤差」および「測定誤差」は、いずれも通常、正負が明らかではないから、二乗して、
{(R/R)−1}−「計算手法による相対誤差」−「相対測定誤差」
を実験体系でのパラメータによって生じている相対誤差EPi allの二乗とみなす。なお、この演算は正確な評価ではないが、便宜上の評価である。計算手法による相対誤差が明確でないときには、0とおいてもよい。
このようにして得られたi番目の実験体系でのパラメータによって生じている相対誤差EPiは、誤差推定装置10に取り込まれて、相対誤差記憶部11に記憶される(S103)。あるいは、誤差推定装置10は、RとRとを入力されて実験体系でのパラメータによって生じている相対誤差EPi allを求めてもよい。ステップS101ないしステップS103は、実験の総数n回繰り返される。
次に、目的とする体系と実験体系とで使用する同じ構造の入力値の不確かさを表す共分散(誤差)行列を設定する。目的とする体系と実験体系で共通に使用するこの共分散(誤差)行列をWとする。Wの対角成分wiiにはそれぞれのパラメータの相対誤差を二乗した値(EPi allが収められており、非対角成分wijにはパラメータiとパラメータjの間の相対誤差の積(EPi all)(EPj all)が収められている。ここで、この共分散(誤差)行列Wの各成分の大きさは、互いの大きさの関係が正しければ良く、絶対値は問題ではない。一般的に入力値に関係する不確かさの割合を表す共分散(誤差)行列は、必ずしも明確に定義されない。その場合は、共分散(誤差)行列を単位行列としてもよい。
このWは、記憶装置に記憶される(S104)。
次に、感度係数演算部40が感度係数ベクトルを求めて、記憶される(S105)。目的とする体系の感度係数ベクトルSは目的体系感度係数ベクトル記憶部14に、i番目の実験体系の全体の感度係数ベクトルをSEiは実験体系感度係数ベクトル記憶部13に、それぞれ記憶される。また、i番目の感度係数ベクトルSEiのうち部分模擬している領域での感度係数ベクトルSは、部分模擬領域感度係数ベクトル記憶部41に記憶される。i番目の感度係数ベクトルSEiのうち部分模擬していない領域での感度係数ベクトルSciすなわち全領域感度係数ベクトルSEiから部分模擬領域感度係数ベクトルSを引いた非模擬領域感度係数ベクトルSciは、非模擬領域感度係数ベクトル記憶部42に記憶される。したがって、SEi=S+Sciが成り立つ。
一般に感度係数は、計算理論上、実験体系全体について空間積分して得られる形で定式化されている。そこで、この空間積分を行う際、部分模擬を行っている空間とそれ以外の空間でそれぞれ積分を行えば、実験体系全体の感度係数を、部分模擬している領域での感度係数と、それ以外の感度係数とに、分離することができる。領域の区分は唯一ではないが専門家の判断で区分すればよい。このような分離された感度係数は、たとえば非特許文献2に記載されたSCALE参照システムのTSUNAMI−IPモジュールで計算できる。
Ei=S+Sciとの関係から、共分散行列(誤差行列)をWとすると次式が成り立つ。
Ei WSEi=(S+SciW(S+S
=S WS+2S WS+S WS
=r +2a +b
ここで、r =S WS、a =S WSci、b =Sci WSci、Tはベクトルや行列の転置を示す記号である。
そこで、次に、模擬領域誤差演算部43は、実験体系全体についての計算のパラメータに起因する誤差(EPi allからr 対応する値(EPiを次式により求め計算結果を記憶する。
(EPi=(EPi all×r /(r +2a +b
この値は、部分模擬した領域だけを取り出してそこで発生したパラメータに起因する計算誤差を求めたものである。この値を使えば、(臨界)実験で得られた測定値からの情報をそのまま使うよりも、模擬性評価因子(代表性因子)がさらに大きくなる状態で、誤差の推定を行うことができる。以下、その理由を簡単に説明する。
共分散行列(誤差行列)Wを介した状態でベクトルの大きさを定義する。すなわちベクトルSの大きさを(S WS1/2と考える。そこで自分自身の大きさで割ったベクトルS /{(S WS1/2}は単位ベクトルとみなせる。同様に、S /{(S WS1/2}も単位ベクトルとみなせる。
目的とする体系の感度係数ベクトルSとする。S /{(S WS1/2}の方がS /{(S WS1/2}よりもSに近いベクトルである。よって、Wを介した状態で、これらの単位ベクトルと目的とする体系の感度係数ベクトルSとの内積をとれば、以下の関係となる。
WS/{(S WS1/2}>S WS/{(S WS1/2
となる。この式の両辺をベクトルSの大きさ(S WS1/2で割ると
WS/{(S WS1/2(S WS1/2
>S WS/{(S WS1/2(S WS1/2
となる。つまり、SとSとで形成する模擬性評価因子(代表性因子)の方が、SとSとで形成する模擬性評価因子よりも大きいことが分かる。この式が成立することは、模擬性評価因子とは、共分散行列(誤差行列)を介した形における二つのベクトルで形成する角度に相等することからも明らかといえる。
よって、ひとつあるいは複数の実験から、目的とする体系をより模擬した部分に由来する情報を用いて、模擬性評価因子をさらに大きくした状態で、目的とする体系(実機体系)の計算値のパラメータに起因する計算誤差の推定を行うことができる。
次に、目的とする体系の感度係数ベクトルSに対してi番目の実験体系の部分模擬領域感度係数ベクトルSを用いて、(1)式を満足する感度係数ベクトルの線形結合(線形結合ベクトル)Sを作る(S106)。
Figure 0005377420
ここで、αは任意定数で、線形結合定数と呼ぶこととする。
線形結合定数演算部15は、線形結合定数αを、(2)式を満足し、かつ目的体系感度係数ベクトルSと線形結合ベクトルSとのなす角θが最小になるように求める(S107)。
WS=S WS …(2)
この(2)式は、相対誤差の総量が同じであるという条件を表している。
目的体系感度係数ベクトルSと線形結合ベクトルSとのなす角θが最小になるように求める方法はいくつか想定される。たとえば、(S−SW(S−S)の絶対値を最小とすることにより、目的体系感度係数ベクトルSと線形結合ベクトルSとのなす角θを最小にすることができる。(S−SW(S−S)の値が零(0)となった場合、すなわち、
(S−SW(S−S)=0 …(3)
を満足する場合、自動的に、
WS/{(S WS1/2(S WS1/2}=1 …(4)
となる。この(4)式は、模擬性評価因子が1となっていることを示している。(4)式の左辺の分子は、共分散行列Wを考慮した線形結合ベクトルSと目的体系感度係数ベクトルSとの内積を示している。(4)式の左辺の分母は、共分散行列Wを考慮した線形結合ベクトルSと目的体系感度係数ベクトルSのベクトルの大きさになっている。
つまり、模擬性評価因子とは、目的体系感度係数ベクトルSと線形結合ベクトルSとのなす角をθとしたときの、cosθを表している。この値が1のとき、すなわちcosθ=1のときに、θ=0となり、線形結合ベクトルSと目的体系感度係数ベクトルSとが重なった状態を表現している。
(S−SW(S−S)の絶対値を最小とする線形結合定数αは、たとえばLagrangeの未定定数法を用いて求めることができる。(2)式の値をdとおき、この式を束縛条件とし、Lagrangeの未定定数λを用いて、以下の式Lを作る。
L={(S−SW(S−S)}+λ{S WS−d}
L={2d−2(S WS)}+λ{S WS−d} …(5)
この(5)式に関して極値条件から、
Figure 0005377420
として、αの条件式(連立方程式)を作成する。この条件式から、λとα(i=1,2,…,n)を決定する。
今、rij=S WS、rRi=S WSとすれば、Lagrange未定定数λを用いて、λとα(i=1,2,…,n)とを解く方程式は以下のように書ける。
Rλα=r …(6)
ここで、RはRijで構成される行列、αはαで構成される列ベクトル、rはrRiで構成される列ベクトルである。
例として、Rが4行4列の行列である場合について説明する。この場合、上述の方程式は、
Figure 0005377420
となる。この式を解いて、λα(i=1,2,…,n)を求める。すなわち、次式により、λα(i=1,2,…,n)を算出する。
Figure 0005377420
加えて、αは、次式が成り立つように規格化される。
Figure 0005377420
このようにして、λとα(i=1,2,…,n)が決定される。
なお、λとα(i=1,2,…,n)は、正負で与えられる。原理的には、2d−2(S WS)が小さくなるほうの符号を選ぶことになる。しかし、新たに定義される模擬性評価因子がλに等しいことがわかっており、模擬性評価因子は1に近い値であるべきなので、λを負の値とすることは目的と合致しない。そこで、λとしては常に正の値を選択すればよいことになる。
次に、誤差演算部16は、目的の体系の着目する物理量Zの誤差ΔZに対して、計算に用いたパラメータに起因する相対誤差の二乗(ΔZ/Z)を、線形結合定数αを用いて求める(S108)。この相対誤差の二乗(ΔZ/Z)は、次式で与えられる。
Figure 0005377420
ここで、
WS/{(S WS1/2(S WS1/2}=CORij
である。CORijは、i番目の実験とj番目の実験との間の相関を表す。
このように、本実施の形態では、臨界実験などの模擬実験で得られたパラメータに起因する相対誤差を組み合わせて、目的の体系の計算値に関してパラメータに起因する相対誤差を評価することになる。
i番目の実験とj番目の実験との間に相関がない場合には、CORijは0となる。このとき、目的の体系の相対誤差の二乗は、
Figure 0005377420
となる。i番目の実験とj番目の実験との間に相関がほとんどない場合にも、(11)式を用いて目的体系の相対誤差を求めてもよい。
目的とする体系(製品)を、モデル方程式を用いた計算をして設計する際、その計算値に含まれる誤差は、製品に品質の保証に直接関係する内容であり、この誤差を評価しておくこと極めて重要である。計算値に含まれる誤差は、計算理論やモデル方程式事態の誤差も含まれるが、設計の際に用いた数値(入力値)に含まれる誤差によって生ずる割合が最も大きい。特に原子力の分野では、この入力値として用いられる核データライブラリの値などの物理定数に不確かさがあり、材質や寸法以外の値から生ずる誤差が無視できない。そこで、これらの計算全体の品質の確認のために、実験が行われ、計算値と測定値との差から目的とする製品の計算誤差を確認したり、見積もっている。
実験を実施する際、その実験が目的とする体系をどこまで再現しているのかという価値判断が必要となる。従来、その判断には材質や寸法が似かよっているとか、目的の体系の一部分をそのまま再現すれば良いという判断がなされてきた。
本実施の形態では、その類似性を表す数値を模擬性(評価)因子として、次のように定義している。
実験と目的とする体系のそれぞれの計算値に対して、入力値のそれぞれが単位変化した場合に計算値が変化する割合を求める。これらの割合は、感度係数と呼ばれる数値である。感度係数は、入力値の種類数だけ存在するから、実験でも目的とする体系でも感度係数は入力値の種類を次元とするベクトルとなる。
模擬性(評価)因子は、実験と目的とする体系での感度係数ベクトルがどれだけ近いかを表す数値である。一般に、模擬性(評価)因子は、実験と目的とする体系の二つの感度係数ベクトルが構成する角度θに対して、cosθを表す数値となっており、統計学では相関係数と呼ばれる数値である。これらのベクトルが重なっていれば、角度θは零(0)であるので、cosθは1となる。模擬性(評価)因子は0から1の実数である。
本実施の形態では、実験での測定値に対する計算誤差を用いて、目的とする体系での誤差を推定している。このとき、誤差は、模擬性(評価)因子を最大するようにして推定されている。さらに、複数の実験を組み合わせた場合にも、模擬性(評価)因子を最大するようにして推定されている。
考え方としては、実験体系の全体の感度係数ベクトルSEiのうち目的の体系を部分的に模擬している領域での感度係数ベクトルSを一次結合して、目的の体系の感度係数ベクトルSにできるだけ近いものを作るという手法である。本実施の形態では、このとき入力値の不確かさの相対割合を表す共分散(誤差)行列Wを介してその演算を行うので、ベクトルだけの演算ではない。しかし、考え方としては、実験の感度係数ベクトルを線形和して目的の感度係数ベクトルに近づけるという手法である。そのとき得られた重み係数を掛けて実験で得られた誤差の和をとり、目的とする体系の誤差を推定する。この手法で、実験で得られた計算誤差を合成する場合、模擬性(評価)因子を最大にする条件下で合成されているため最適な値が得られる。
線形結合した感度係数ベクトルSを、目的とする体系の感度係数ベクトルSにできる限り近づけるために、(a)ベクトルの長さ(大きさ)を同じにして、同時に、(b)2つのベクトルのなす角度をできるかぎり0に近づけるように重み係数を決定することにより、模擬性(評価)因子を最大にしている。
線形結合定数αを重みとして、対象を部分的に模擬している部分模擬領域におけるモデルへの入力値に関する相対誤差EPiを合成して製品の性能確認のための数値解(計算値)に含まれる誤差を推定すれば、実験から得られた計算誤差の情報を最も有効に利用することができる。このように、本実施の形態では、対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれるパラメータに起因する誤差を、その対象を模擬した実験の結果を用いて定量的に推定することができる。
また、一般的に目的とする体系(実機体系)に関して(臨界)実験で模擬している領域や物理的条件は限定されており、部分模擬実験と呼ばれる。しかし、本実施の形態では、部分模擬した領域だけを取り出してそこで発生したパラメータに起因する計算誤差EPiを求めている。したがって、本実施の形態によれば、目的とする体系をより模擬した部分に由来する情報を用いて、模擬性評価因子をさらに大きくした状態で、目的とする体系(実機体系)の計算値のパラメータに起因する計算誤差の推定を行うことができる。
また、複数個の実験の誤差の情報を組み合わせて、目標の体系の誤差の情報を推定することができる。このため、目標の体系を一度に模擬した実験ができない場合でも、本質的な条件を分割して実験を行うことで、目標の体系の誤差の情報を推定することが可能となる。
さらに、複数の実験を組み合わせて、目的とする体系の計算誤差の割合を定量評価する手法をことができるため、実験の組み合わせ、すなわち個々の実験内容を最適化できる。たとえば、最終的に目的とする体系には3つの際立った特徴がある場合について考える。実験では実験の制約上、この3つの特徴を全て同時に実現できない場合、1つずつの特徴を取り入れた別々の3ケースの実験を行う。これら3つの実験の計算値と測定値の3つの飲み合わせを全て利用して、目的とする体系の着目する物理量に生ずる計算誤差を評価できる。
実験のデータを組み合わせることができるので、現在の実験データと過去の実験データを組み合わせて、実験の実施ケースを減らし、時間的にも経済的にも資源を節約することができる。なお、同じ実験装置で得られたデータのみを組み合わせるのではなくて、理論的には別の実験で得られたデータとの組み合わせも可能である。つまり、部分実験から最終的な製品・施設の設計精度を確認することができる。
また、この手法は、線型代数の簡単な数学的操作と行列演算しか用いないので、式の形式が非常に単純である。手法や数値の処理方法が単純なために、適用範囲が広い。
この手法で扱う誤差行列は、計算の入力となった全てのパラメータについて定義される。このため、臨界実験を考えると、たとえば断面積に起因する誤差のみでなく、数密度による誤差、物理定数(核分裂収率、崩壊定数、動特性パラメータなど:断面積はこのグループ)、長さ、温度、時間等の誤差も含めて一般的な取扱が可能である。
最終的に実験で得られたパラメータに関わる誤差を合成するため、計算のアルゴリズムで用いる相対誤差行列(共分散行列)は、相対誤差の絶対値を正しく評価するものではなく、相対誤差の相対値の関係を表したものや相関行列で計算の処理を行うことができる。つまり、相対誤差の割合の関係が得られれば評価可能であり、誤差の要因について互いの関係が数値的な割合で得られればよい。
これまで重要視されてこなかった原子数密度の計算誤差に起因する核特性の誤差についても評価が可能で、使用済みの燃料集合体の臨界安全性や、保管、輸送の評価に適用可能である。
本実施の形態は、実験の数が1である場合にも適用できる。この場合、S=α×Sであるから、(2)式は、α WS=S WSとなる。この式からαを求め、目的の体系の相対誤差の二乗を、(ΔZ/Z)=α ×EP1 と求めることができる。
着目する物理量Rが、たとえば分布系のベクトル量であっても、同様の方法で、パラメータに起因する誤差を定量的に推定することができる。模擬実験で得られるベクトル量の測定値をbとする。また、モデルを用いてシミュレーションした結果得られるベクトル量の計算値をbとする。bおよびbはいずれもベクトルである。この場合には、物理量Rの測定値と計算値との比(R/R)は、次式によって求めればよい。
/R={(b・b)/(|b||b|)}
ここで、(b・b)は内積を、|b|はbの大きさを表す。
このようにして得られた物理量Rの測定値と計算値との比(R/R)を用いて、実験体系のパラメータによって生じた相対誤差の二乗EPiを求めることがきる。この相対誤差EPiを用いて、上述の演算を行い、パラメータに起因する誤差を定量的に推定することができる。つまり、扱える物理量は、たとえば臨界固有値などのスカラー量だけではなく、分布系(ベクトル量)にも適用可能である。
また、目的とする体系と実験体系とで異なる共分散(誤差)行列を用いてもよい。目的とする体系の共分散行列をW、実験体系での共分散行列をWとする。ただし、WとWの構造は同じで、この場合、ふたつの行列の互いの(i,j)成分は同じ単位で定義されるものとする。すなわち、互いの(i,j)成分は、大きさの比較が直接行えるものとする。
この場合、(2)式および(3)式は、
=S …(2’)
および、
(S−S(S−S)=0 あるいは最小にする …(3’)
となる。これらの式を用いて、線形結合定数αを求める。
さらに、次式が成り立つように、定数t(i=1,2,…,n)を決定する。
=S
定数t(i=1,2,…,n)の決定は、たとえば線形結合定数演算部15で行えばよい。このようにして得られた定数tを用いて、目的の体系の相対誤差の二乗は、
Figure 0005377420
と求められる。
このように、目的とする体系の入力に関しての不確かさを表した共分散(誤差)行列とそれぞれの実験についての体系の入力に関しての不確かさを表した共分散(誤差)行列が同じ行列という仮定をせずに、この共分散行列が異なる場合でも処理すべき式を一般化できて計算誤差を推定することができる。
10…誤差推定装置、11…相対誤差記憶部、12…共分散行列記憶部、13…実験体系感度係数ベクトル記憶部、14…目的体系感度係数ベクトル記憶部、15…線形結合定数演算部、16…誤差演算部、21…コンピュータ、22…CPU、23…RAM、24…ROM、25…入力装置、26…入力制御部、28…表示装置、29…表示制御部、30…ハードディスク、31…ハードディスク制御部、32…バス、40…感度係数演算部、41…部分模擬領域感度係数ベクトル記憶部、42…非模擬領域感度係数ベクトル記憶部、43…模擬領域誤差演算部

Claims (9)

  1. 対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれる誤差を、その対象を模擬した実験の結果を用いて推定する誤差推定装置において、
    iを1から実験の総数nまでの自然数としたときにi番目の実験についての前記モデルを用いたシミュレーションで得られたある物理量Rの計算値の当該実験で測定された当該物理量Rの測定値に対する前記モデルへの入力値に関する相対誤差EPi allを記憶する相対誤差記憶部と、
    i番目の実験の体系について前記モデルを用いたシミュレーションした結果のそのモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を表す全領域感度係数ベクトルSEiを記憶する実験体系感度係数ベクトル記憶部と、
    前記全領域感度係数ベクトルSEiのうち前記対象を部分的に模擬している部分模擬領域についての部分模擬領域感度係数ベクトルSを記憶する部分模擬領域感度係数ベクトル記憶部と、
    前記全領域感度係数ベクトルSEiから前記部分模擬領域感度係数ベクトルSを引いた非模擬領域感度係数ベクトルSciを記憶する非模擬領域感度係数ベクトル記憶部と、
    シミュレーションに用いる前記モデルへの入力値の不確かさの割合の関係を示す共分散行列Wを記憶する共分散行列記憶部と、
    =S WS、a =S WSci、b =Sci WSciとして前記部分模擬領域についての前記モデルへの入力値に起因する誤差EPi
    (EPi=(EPi all×r /(r +2a +b
    により求める模擬領域誤差演算部と、
    を有することを特徴とする誤差推定装置。
  2. 前記対象について前記モデルを用いたシミュレーションの結果のそのモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を示す目的体系感度係数ベクトルSを記憶する目的体系感度係数ベクトル記憶部と、
    前記部分模擬領域感度係数ベクトルSを線形結合した線形結合ベクトルSの線形結合定数αを、S WS=S WSを満足しかつ前記目的体系感度係数ベクトルSと前記線形結合ベクトルSとのなす角が最小になるように求める線形結合定数演算部と、
    前記線形結合定数αを重みとして前記相対誤差EPiの値を合成して前記モデルを用いたシミュレーションの結果得られる前記対象の物理量Zに含まれる相対誤差ΔZ/Zを推定する誤差演算部と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の誤差推定装置。
  3. 前記線形結合定数演算部は、(S−SW(S−S)の絶対値を最小とすることにより前記目的体系感度係数ベクトルSと前記線形結合ベクトルSとのなす角を最小にすることを特徴とする請求項2に記載の誤差推定装置。
  4. i=1であって、αはα WS=S WSを解いて求められることを特徴とする請求項3に記載の誤差推定装置。
  5. 前記誤差演算部は、S WS/{(S WS1/2(S WS1/2}=CORijとして、
    Figure 0005377420
    により前記相対誤差ΔZ/Zを推定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の誤差推定装置。
  6. 前記共分散行列Wは、前記対象での共分散行列Wと前記実験の体系での共分散行列Wとを含み、
    前記線形結合定数演算部は、S =S を満足する線形結合定数αを求め、さらに、t =S を満足する定数tを求め、
    前記誤差演算部は、S /{(S 1/2(S 1/2}=CORijとして、
    Figure 0005377420
    により前記相対誤差ΔZ/Zを推定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の誤差推定装置。
  7. 前記共分散行列Wとして単位行列を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の誤差推定装置。
  8. 前記物理量Rはベクトルであって、前記物理量Rの計算値bの当該実験で測定された当該物理量Rの測定値bに対する相対値を前記物理量Rの計算値bと当該物理量Rの測定値bとの内積を前記物理量Rの計算値bの長さおよび当該物理量Rの測定値bの長さで除して求められることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の誤差推定装置。
  9. 対象の挙動をコンピュータ上に表現したモデルを用いてシミュレーションした結果に含まれる誤差を、その対象を模擬した実験の結果を用いて推定する誤差推定プログラムにおいて、コンピュータに、
    iを1から実験の総数nまでの自然数としたときにi番目の実験についての前記モデルを用いたシミュレーションで得られたある物理量Rの計算値の当該実験で測定された当該物理量Rの測定値に対する前記モデルへの入力値に関する相対誤差EPi allを記憶する相対誤差記憶機能と、
    i番目の実験の体系について前記モデルを用いたシミュレーションした結果のそのモデルへの入力値の単位変化に対する変化量を表す全領域感度係数ベクトルSEiを記憶する実験体系感度係数ベクトル記憶機能と、
    前記全領域感度係数ベクトルSEiのうち前記対象を部分的に模擬している部分模擬領域についての部分模擬領域感度係数ベクトルSを記憶する部分模擬領域感度係数ベクトル記憶機能と、
    前記全領域感度係数ベクトルSEiから前記部分模擬領域感度係数ベクトルSを引いた非模擬領域感度係数ベクトルSciを記憶する非模擬領域感度係数ベクトル記憶部と、
    シミュレーションに用いる前記モデルへの入力値の不確かさの割合の関係を示す共分散行列Wを記憶する共分散行列記憶機能と、
    =S WS、a =S WSci、b =Sci WSciとして前記部分模擬領域についての前記モデルへの入力値に起因する誤差EPi
    (EPi=(EPi all×r /(r +2a +b
    により求める模擬領域誤差演算機能と、
    を実現させることを特徴とする誤差推定プログラム。
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