JP5376002B2 - Uoe鋼管 - Google Patents
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地震地帯や不連続凍土地帯では液状化、断層変位や凍上・溶解により地盤が大きく動きそれに伴い埋設パイプラインが地盤の大変形の影響を受けて変形する可能性がある。大変形をするような地盤に埋設されたパイプラインは塑性変形した後も大きな変位の作用を受けることになる。パイプラインに過大な変位が作用した場合、パイプラインを構成する鋼管は曲げられ、圧縮側で座屈し、その後座屈部あるいは座屈部の反対側の引張側で破断する。
したがって、座屈部での損傷や、破断部からのガス・油等の漏出事故を防ぐ観点から、鋼管には変形性能が求められている。
また、特許文献4では、電縫管を対象とし、入側矯正・回転矯正の過程で板厚・管長方向に歪を付与することで、降伏比を低くすることで、変形性能に優れた鋼管を提案している。
例えば、特許文献5では、溶接部近傍の座屈が引張破壊をもたらすとして、鋼管の管端に余盛溶接を行いそれによる局所的高剛性化により、周溶接部近傍の座屈を防止している。
また、UOE鋼管の管形状に関しては、特許文献6に円弧状の上下ダイスを用いて管端の真円度を矯正する案が示されている。これにより、管端同士を溶接する際の芯合わせ時に形状が合わず溶接性が悪化することを防いでいる。
また、特許文献7には、ダイスで押しきれない部分を、鋼管を回転させながら必要な部位をロールで押下ることで、ダイスの形状により発生する管端円周方向の真円度不整を強制し、真円に近づける案が提案されている。
特許文献6、7に提案されているものはいずれも、管端の周方向の形状を矯正することにより管端真円度を確保するための加工手段である。
この現象は、母材部の変形性能より溶接部の変形性能が下回っており、母材部でYRを上昇させることの限界を示している。特許文献1〜4に示されたYR(降伏比)改善策のみでは、鋼管単体ではなくパイプラインとして考えた場合に溶接部で所定の変形性能改善効果を発揮できないという問題がある。
しかしながら、この方法は剛性を強化して座屈を防止しているが、この場合、余盛終了位置近傍の余盛のない部分で座屈が発生する。しかも、母材と周溶接部との剛性差により、母材のみの場合よりも小さな変形で座屈すると考えられ、周溶接部で破壊させないという使命は果たしたが、鋼管構造物全体としての変形性能は低くなるという問題がある。
一方、パイプライン等で使用する鋼管は、管端部と管端部を円周溶接で接合しさらに円周溶接部の強度が鋼管母材より高くなるようにするのが一般的である(円周溶接部の剛性は他の部分より高くなる)。このように剛性の高い部分があるとその周囲も座屈しにくくなる。このため、円周溶接部を有する鋼管の座屈位置はある程度離れた位置となると考えられる。
そこで、発明者らは、円周溶接部近傍での座屈現象を特定するため、外径φ48インチ(1219mm)、板厚22.0mm、鋼管長さ8000mm、長手方向の中央にMG-S70を用いた11パスの多層盛(約1.1〜2.0kJ/mm)の円周溶接有する鋼管を例として実管を用いた鋼管曲げ実験および実験と合致する有限要素法解析による検討を行った。
その結果、円周溶接部から管長手方向に450〜770mm程度の位置に座屈が生じやすいことを明らかにした。
このため、円周溶接部から管長手方向に450〜770mmの範囲に座屈を誘発するような外径形状が存在すると、当該部位での座屈が誘発され鋼管全体の変形性能が低下すると考えられる。
このようなUOE鋼管の外形の特徴と、円周溶接部を有する鋼管の座屈が生じやすい位置とを合わせて考察すると、UOE鋼管を管長手方向に溶接した場合、外径φ48インチ(1219mm)、板厚22.0mmの鋼管であれば円周溶接部から450〜770mmの範囲に、波形状の極小値が存在すると、外径形状による微妙な差で座屈が生じてしまい、結果として鋼管全体の変形性能が低下することになる。
このことから、外径φ48インチ(1219mm)、板厚22.0mmの鋼管であれば円周溶接部から管長手方向に450〜770mmの位置に極小値が存在しないようにUOE鋼管の管端部の形状を制御すれば、当該範囲に極小値がある場合に比較して15%程度の耐座屈性能向上が得られることになる。
鋼管の初期座屈波形長λは1.72√(De/2*t)(ここにDeは管端の外径、tは板厚)で算出することができ、前記座屈が生ずる範囲(450〜770mm)を鋼管の初期座屈波形長λを用いて表すと、円周溶接部から管長手方向に2.26λ〜3.86λとなる。鋼管母材の同等の耐座屈性能から2.26λ〜3.86λの範囲では耐座屈性能が低下し最低値は2.76λ〜3.13λの範囲となっている。
本発明はかかる知見に基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
但し、λは、UOE鋼管の初期座屈半波長であり、λ=1.72√(De/2*t)である。
ここで、Deは管端の外径、tはUOE鋼管の板厚である。
前述したように、図2に示すUOE鋼管10のように、管端部から2.26λから3.86λの範囲に波形の極小値が存在すると、座屈性能が低下する。
そこで、本実施の形態のUOE鋼管1は、図1に示すように、端部から2.26λから3.86λの範囲に、前記波形の極小値が存在しないように、図2に示すUOE鋼管10の端部10a(端面から500mmの範囲)を切断して製造されたことを特徴とするものである。
但し、λは、UOE鋼管の初期座屈半波長であり、λ=1.72√(De/2*t)である。
ここで、Deは管端の外径、tはUOE鋼管の板厚である。
De<F(2.26λ) かつDe<F(3.86λ)かつF’(Lx)=0 ・・・(1)
但し、Lxは管端から管長手方向の距離であり、2.26λ<Lx<3.86λ
Deは管端の外径
・実験1
実験1には、UOE鋼管(外径:48インチ=1219mm,管厚:22mm)を用いた。
実験に先立ち、鋼管外面の形状を計測した。その結果、鋼管の外面形状に波打ちが見られた。この波打ちの形状は、UOE鋼管の製造過程において拡管用ダイスによって拡管を行った際に生じたものであり、形状変化の周期はエキスパンドの周期に近く、すべての振幅はほぼ同じで一定の機械拡径により生じたものであった。
試験体の鋼管では、鋼管の円周溶接部から550mm程度のところに極小値が確認できた。この試験体における550mmの位置は、2.8λに相当し、本発明において規定する2.26λから3.86λの範囲内である。
曲げ試験の結果、円周溶接部近傍の500mm位置で座屈が発生し、この部位で変形が進行した。曲げモーメントのピークはこの座屈により鋼管の耐力が低減し始めたことにより生じた。同じ材質をもつ、円周溶接部を有しない鋼管の曲げ試験結果と比較すると変形性能は15%程度低下しており、これにより、円周溶接部近傍での座屈は鋼管全体の変形性能を低下させる要因になることがわかる。
・実験2
UOE鋼管であって、極小値が円周溶接部から300mm(1.5λ)の位置にあるものを試験体として、上記と同様の実験を行った。その結果、円周溶接部を有しないUOE鋼管の曲げ試験結果と同程度の座屈性能であった。
上記の実管を用いた鋼管曲げ実験で得られた現象より、円周溶接部近傍に存在する極小値が鋼管の座屈現象に影響を与えていることが実証されたので、次に、円周溶接部近傍で極小値の位置を、300〜1050mmの範囲において150mmピッチで変えて、鋼管曲げ実験で用いたいのと同様の外形と管厚の鋼管(外径:48インチ=1219mm,管厚:22mm)について解析実験を行った。
実験の結果を図3のグラフに示す。図3のグラフは、縦軸が曲率半径[m]で、横軸が管端部から極小値までの距離を示している。
図3のグラフには、実管による曲げ実験の結果も載せている。
300mmは1.5λ、450mmは2.26λ、750mmは3.86λに相当する。したがって、2.26λ〜3.86λの範囲内に極小値が存在すると、座屈性能が低下し、逆に当該範囲に極小値が存在しなければ鋼管母材で想定していた変形性能を得られることが解析的に実証された。
10 一般的なUOE鋼管
10a 端部
Claims (3)
- 突合せ円周溶接を施して構造物を形成するのに用いるUOE鋼管であって、前記UOE鋼管の両端部から2.26λから3.86λの範囲に、管長手方向断面に現れる波形の極小値が存在しないように制御して製造されたことを特徴とするUOE鋼管。
但し、λは、UOE鋼管の初期座屈半波長であり、λ=1.72√(De/2*t)である。
ここで、Deは管端の外径、tはUOE鋼管の板厚である。 - 前記制御は、拡管ダイスの送り幅を調整することによって行われることを特徴とする請求項1記載のUOE鋼管。
- 前記制御は、管端部を切断することによって行われることを特徴とする請求項1記載のUOE鋼管。
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