JP5375280B2 - 電気光学装置の製造方法、製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気光学装置の製造方法、および当該製造方法に適合した製造装置に関する。
液晶表示装置や、有機EL(Electro Luminescence)表示装置などの電気光学装置は、2枚のガラス基板間に、液晶や、有機EL(Electro Luminescence)などの電気光学物質を挟持した表示パネルを主体として構成されていた。
この表示パネルは、基本的に2枚のガラス基板を貼り合せた構成であるため、例えば、ブラウン管などよりも薄型化が容易であり、薄型テレビや、携帯電話などに多用されている。
既に、表示パネルの厚さが0.5mm程度の液晶表示装置も上市されているが、常に携帯することを想定した携帯電話や、ID(Identification)カードなどに用いられる表示パネルには、更なる薄型化が求められていた。
例えば、特許文献1には、複数の表示パネルが面付けされた大判パネルに対して、表裏両面からエッチング溶液を吹付けることにより、大判パネルを薄型化する製造装置が開示されている。
図10は、当該製造装置300の概要を示す図であり、2枚のガラス基板を貼り合せた構造の大判パネル20が略鉛直(Y軸方向)に立った状態で配置されている。そして、大判パネル20の表面に対して略平行に、エッチング溶液を供給するための複数の配管50が等間隔で配置されている。また、大判パネル20の裏面においても同様であった。配管50には、複数のノズル51が形成されており、各ノズル51からエッチング溶液が大判パネル20の表裏両面にそれぞれ噴射される構成となっていた。また、エッチングによる平坦性を高めるために、エッチング溶液の噴射中において、矢印で示すように、大判パネル20を左右(X軸方向)や、上下(Y軸方向)に動かしても良いとの記載もある。
特許第3741708号公報
しかしながら、特許文献1(従来)の製造装置でエッチングを行うと、図11(a)に示すように、大判パネル20における上側(Y軸(+)側)の厚さw11が、下側(Y軸(−)側)の厚さw12よりも厚くなってしまうという課題があった。換言すれば、大判パネル20を均一に薄くすることが困難であるという課題があった。
これは、略鉛直に立った状態の大判パネル20にエッチング溶液を吹き付けると、重力の関係上、エッチング溶液に浸される度合(以降、「エッチング度合」ともいう)が、上側よりも下側の方が多くなり、下側(地面側)におけるエッチング量が増えてしまうからである。図11(b)は、エッチング度合を模式的に示した図であり、ハッチングで示すように、下側の端面に近づく程、向い合うノズル51から吹き付けられるエッチング溶液に、パネル面を伝って流れて来る上方で噴射されたエッチング溶液が加わることになるため、エッチング度合が高まることになる。また、この現象は、エッチング溶液の噴射中に、大判パネル20を上下左右に移動したとしても、重力方向は同一であるため、同様に発生していた。
つまり、従来の製造装置(方法)では、均一な厚さの薄型表示パネルを得ることが困難であるという課題があった。換言すれば、ガラス基板を均一にエッチングすることは困難であるという課題があった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例又は形態として実現することが可能である。
(適用例)
ガラス基板を備えた電気光学装置の製造方法であって、(a)ガラス基板を略鉛直に立った状態で配置する工程と、(b)ガラス基板における少なくとも一方の面へのエッチング溶液の吹付け、または、滴下を開始する工程と、(c)ガラス基板を一方の面に沿って立った状態で回転させる工程と、を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
この製造方法によれば、ガラス基板は、エッチング溶液が附着した状態、または、吹付け(滴下)が行われている状態で回転することになり、これらのエッチング溶液は、一方の面において回転にともない重力方向に流れることになる。
よって、この製造方法によれば、常に重力方向が一定であったためエッチング度合に偏りが生じていた従来の製造方法よりも、回転によりエッチング度合を均一化することができる。
従って、ガラス基板を均一にエッチングすることが可能な電気光学装置の製造方法を提供することができる。
また、電気光学装置は、ガラス基板を第1ガラス基板としたときに、第1ガラス基板と向い合う第2ガラス基板をさらに有し、第1ガラス基板と第2ガラス基板とを貼り合せるとともに、第1ガラス基板および第2ガラス基板の間に電気光学層を挟持した表示パネルから構成されてなり、(a)工程においては、表示パネルを立った状態に配置し、(b)工程においては、表示パネルの表裏両面に、エッチング溶液の吹付け、または、滴下を開始し、(c)工程においては、表示パネルを立った状態で回転させることが好ましい。
また、表示パネルを複数個面付けした大判パネルの状態で、(a)〜(c)工程を行うことが好ましい。
また、吹付けは、複数のノズルから大判パネルの全面に略均一な量吹付けされることが好ましい。
また、滴下は、大判パネルにおける上側の一辺に沿って略均一な量滴下されることが好ましい。
また、(b)工程は、吹付けを行う吹付け工程と、滴下を行う滴下工程とを含むとともに、(c)工程においても継続して行われ、(b)工程を開始すると、吹付け工程を行い、吹付け工程を開始してから所定の時間経過すると、吹付け工程から滴下工程に切り換えることが好ましい。
また、所定の時間は、表示パネルの厚さが0.3〜0.1mmの範囲内となる時間であることが好ましい。
また、(c)工程における回転の速度は、1〜20rpmの範囲内であることが好ましい。
電気光学装置に用いられるガラス基板をエッチングするための製造装置であって、ガラス基板を略鉛直に立った状態で保持する支持フレームと、ガラス基板における少なくとも一方の面にエッチング溶液を吹付けるための一方の面に対向して配置された複数のノズルと、支持フレームを一方の面に沿って立った状態で回転させる回転機構とを、少なくとも備えることを特徴とする電気光学装置の製造装置。
対向する2枚のガラス基板を貼り合せるとともに、2枚のガラス基板の間に電気光学層を挟持した表示パネルを複数個面付けした大判パネルの状態で、大判パネルの表裏両面をエッチングするための製造装置であって、大判パネルを略鉛直に立った状態で保持する支持フレームと、大判パネルの表面にエッチング溶液を吹付けるための表面に対向して配置された複数の第1ノズルと、大判パネルの裏面にエッチング溶液を吹付けるための裏面に対向して配置された複数の第2ノズルと、支持フレームを表面に沿って立った状態で回転させる回転機構とを、少なくとも備えることを特徴とする電気光学装置の製造装置。
また、ガラス基板における上側の一辺、または大判パネルにおける上側の一辺に沿ってエッチング溶液を滴下するための滴下機構をさらに備えることが好ましい。
実施形態1に係る大判パネルの一態様を示す斜視図。 図1のp−p断面図。 製造装置の概要図。 (a)製造装置の正面図、(b)(a)のq−q断面における側断面図。 エッチング溶液の噴射態様を示す図。 表示パネルの製造方法の流れを示すフローチャート図。 実施形態2に係る製造装置の概要図。 製造装置の側断面図。 表示パネルの製造方法の流れを示すフローチャート図。 従来の製造装置の概要図。 (a)従来のエッチング態様を示す側面図、(b)従来のエッチング度合を模式的に示した図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならしめてある。
(実施形態1)
「表示パネルの概要」
図1は、本実施形態に係る大判パネルの一態様を示す斜視図である。図2は、図1におけるp−p断面図である。
まず、本発明の実施形態1に係る電気光学装置を構成する表示パネル(大判パネル)の概要について説明する。なお、図10と同一の部位については、同一の番号を附している。
大判パネル20には、表示パネル18が4つ面付けされている。表示パネル18は、本実施形態の電気光学装置としての有機EL表示装置における主要な構成部位である。なお、有機EL表示装置は、表示パネル18を後述する製造方法を用いて薄く加工した後、1個ずつに分断して形成される。
表示パネル18は、横長の長方形をなしており、図1を含む各図においては、当該横方向をX軸方向とし、横方向よりも短い縦方向をY軸方向と定義している。また、表示パネル18の厚さ方向をZ軸方向としている。
4個の表示パネル18は、大判パネル20においてX軸方向に2列、Y軸方向に2行の行列をなして配置されている。よって、大判パネル20は、横長の長方形をなしている。なお、ここでは説明を容易にするために、2行2列の事例を用いて説明するが、面付け数は、いくつであっても良い。例えば、1個であっても良いし、5個以上であっても良い。
大判パネル20は、素子基板1と対向基板16とを貼り合せた構成となっており、各表示パネル18は、シール材15で区画されている。なお、以降の説明において、大判パネル20における対向基板16側の面を表面、素子基板1側の面を裏面ともいう。
各表示パネル18において、平面的にシール材15で区画された領域内は、表示領域となっている。表示領域には、複数の画素がマトリックス状に配置されている。
表示パネル18は、複数の画素から出射される表示光を表面から出射するトップエミッション型の構成となっている。
また、大判パネルのサイズは、好適例として、横500mm×縦400mmのサイズを用いている。なお、このサイズに限定するものではなく、例えば、横2200mm×縦1800mmなどの一辺の長さが1mを超える大判パネルであっても良い。
図2において、表示パネル18は、素子基板1、素子層2、平坦化層4、画素電極6、隔壁7、電気光学層としての有機EL層8、共通電極9、電極保護層10、緩衝層11、ガスバリア層12、充填材13、CF層14、対向基板16などから構成されている。
素子基板1は、透明な無機ガラスから構成されている。本実施形態では、好適例として、厚さが0.3〜0.7mm程度の無アルカリガラスを用いている。
素子層2には、各画素をアクティブ駆動するための画素回路が形成されている。画素回路には、TFT(Thin Film Transistor)からなる画素を選択するための選択トランジスターや、有機EL層8に電流を流すための駆動トランジスター3などが含まれており、画素ごとに対応して形成されている。
素子層2の上層(Z軸(−)方向)には、例えば、アクリル樹脂などからなる絶縁層である平坦化層4が形成されている。
平坦化層4の上層には、画素ごとに区画されて、反射層5と、画素電極6とがこの順番で積層されている。反射層5は、例えば、アルミニウムなどからなる反射層であり、有機EL層8から素子基板1側に向かう光を反射して、表示に寄与する光にする。
画素電極6は、ITO(Indium Tin Oxide)や、ZnOなどの透明電極から構成されており、画素ごとに素子層2の駆動トランジスター3のドレイン端子と平坦化層4を貫通するコンタクトホールにより接続されている。
隔壁7は、光硬化性の黒色樹脂などから構成され、平面的に各画素を格子状に区画している。なお、素子層2における駆動トランジスター3を含む画素回路は、光による誤動作を防止するために、平面的に隔壁と重なるように配置されている。
有機EL層8は、画素電極6、および隔壁7を覆って形成されている。また、図2においては一層の構成となっているが、実際は、それぞれが有機物の薄膜からなる正孔輸送層、発光層、電子注入層などから構成されており、画素電極6上にこの順番に積層されている。正孔輸送層は、芳香族ジアミン(TPAB2Me−TPD,α−NPD)などの昇華性の材料から構成されている。発光層は、白色光を放射する有機材料薄膜から構成されている。電子注入層は、LiF(フッ化リチウム)などから構成されている。
共通電極9は、MgAgなどの金属を、光を透過するようにごく薄く成膜した金属薄膜層である。
電極保護層10は、SiO2や、Si34などの透明で、かつ、水分を遮断する機能を有する材質から構成されている。
緩衝層11は、熱硬化性のエポキシ樹脂などの透明な有機緩衝層である。
ガスバリア層12は、SiO2や、Si34などの透明で、かつ、水分を遮断する機能を有する封止層であり、有機EL層8への水分の浸入を防止する機能を担う。
充填材13は、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂などからなる透明な接着層であり、ガスバリア層12とCF層14との間の凹凸面に充填されるとともに、両者を接着する。また、外部から、有機EL層8への水分の浸入を防ぐ機能も果たす。
対向基板16は、素子基板1と同様な無機ガラスから構成されており、有機EL層8側(Z軸(+)側)には、CF層14が形成されている。
CF層14には、赤色カラーフィルター14r、緑色カラーフィルター14g、青色カラーフィルター14bが画素配置と同様に配置されている。詳しくは、各色のカラーフィルターは、それぞれが対応する画素電極6と重なるように配置されており、各カラーフィルター間には、ハッチングで示した遮光部が形成されている。遮光部は、平面的に隔壁7と重なるように格子状に形成されており、光学的には、ブラックマトリックスの機能を果たす。
このように構成された各画素からは、カラーフィルターの色調に対応した表示光が出射される。例えば、赤色画素の場合、有機EL層8で放射された白色光は、赤色カラーフィルター14rによって赤色光が選択されて、赤色の表示光として対向基板16から出射される。また、緑色、青色の画素においても同様である。
これにより、表示パネル18では、対向基板16から出射される複数のカラー画素からの表示光によりフルカラーの画像が表示されることになる。
なお、表示パネル18の構成は、トップエミッション型に限定するものではなく、2枚のガラス基板間に、電気光学層を挟持した構成であれば良い。例えば、有機EL層8が発する光を素子基板1側から出射するボトムエミッション型の有機EL表示装置であっても良い。また、無機ELを光源として備えた無機EL表示装置であっても良い。
「製造装置(方法)の概要」
図3は、本実施形態に係る製造装置の概要を示す図であり、図10に対応している。
ここでは、本実施形態に係る製造装置の概要について、図3を用いて説明する。なお、図10と同様な構成部位については、同じ番号を附している。
製造装置100は、大判パネル20の表裏面にエッチング溶液を吹付ける際に、大判パネル20を回転させるための回転機構60を備えている。回転機構60は、略鉛直(Y軸方向)に立った状態で配置された大判パネル20を、矢印で示すように、一方の面としての表面(対向基板16側の面)に沿って、回転軸Rsを中心にして、時計方向に回転させるための回転機構である。また、回転軸Rsは、大判パネル20における対角線の交点である中心Ceを通り、表面に対して略垂直な線分である。なお、回転機構60の詳細については後述するが、この回転機構60を備えていることが、図10の製造装置300と異なる。
図3に示すように、製造装置100は、大判パネル20の表面に対して略平行に、エッチング溶液を供給するための複数の配管50を備えている。複数の配管50は、それぞれが略鉛直方向に延在するとともに、略等間隔に配列されている。各配管50における大判パネル20側には、複数のノズル51が形成されている。
ノズル51は、配管50に流れるエッチング溶液をシャワー状に噴射するためのノズルであり、エッチング溶液は、図3に示すように、円錐状に拡大して噴射され、当該円錐の底面における略円形状をなして大判パネル20の表面に吹付けられる。なお、この略円形状の領域を噴射領域という。
複数のノズル51は、大判パネル20の表面に対して満遍なくエッチング溶液が吹付けられるように、各噴射領域が周縁部で重なるように配置されている。換言すれば、大判パネル20の表面が複数の噴射領域によって覆われるように、複数のノズル51が配置されている。なお、図3では、構成を解り易くするために、図面の手前方向(X軸(−)方向)における配管50の記載を省略している。
また、製造装置100は、大判パネル20の裏面(素子基板1側の面)と対向する側にも、同様な複数の配管50を備えている。
つまり、製造装置100は、大判パネル20の表裏両面に対して、それぞれエッチング溶液を吹付け可能に形成されている。
そして、大判パネル20の表裏両面にエッチング溶液が吹付けられているときに、回転機構60によって、大判パネル20が回転される。
ここで、大判パネル20は、略鉛直に立った状態で表面(裏面)に沿って回転するため、吹付けられたエッチング溶液は、表面(裏面)において、回転に伴う重力方向の変化に従って、流れ落ちることになる。
このように、本実施形態に係る製造方法は、大判パネル20にエッチング溶液が吹付けられているときに、略鉛直に立った状態の大判パネル20を表面(裏面)に沿って回転させることを特徴としている。
「製造装置の詳細な構成」
図4(a)は、本実施形態に係る製造装置の正面図であり、大判パネル20と正対した状態で一部形状を省略して図示している。図4(b)は、(a)のq−q断面における側断面図である。
ここでは、製造装置100の詳細な構成について、図4を用いて説明する。
製造装置100は、外部に対する気密性を確保したチャンバー70内にて、大判パネル20にエッチング処理を施し、大判パネル20を薄型化するためのチャンバー装置である。なお、以下の説明において、大判パネル20の中心Ceを基点として、Y軸(+)側を上側、Y軸(−)側を下側とし、X軸(+)側を右側、X軸(−)側を左側として説明する。
製造装置100は、チャンバー70、支持フレームとしてのリム61、回転機構60、溶液供給本管52、配管50などから構成されている。
チャンバー70は、外部に対して内気を気密にすることが可能なエアーチャンバーであり、内部気圧、および温度を調整可能に設けられている。また、チャンバー70は、開閉可能な搬入口71と、搬出口72とを備えている。
大判パネル20は、後述するリム61に固定された状態で搬入口71からチャンバー70内に搬入され、エッチング処理が施された後、搬出口72から搬出される。なお、図示を省略しているが、チャンバー70には、エッチング溶液の気化物を専用の処理装置に導くための排気ダクトや、底部73側に溜るエッチング溶液の廃液を回収するための廃液管などが配管されている。また、廃液が効率良く廃液管に導かれるように、チャンバー70の底部73は、漏斗状(先細)に形成されている。
リム61は、リング状の支持フレームであり、その内周には、大判パネル20を保持するための複数の支持アーム64,65,66が備えられている。また、リム61の直径は、大判パネル20の対角線よりも少し長く設定している。
支持アーム64は、リム61の内周からY軸方向に沿って延在しており、大判パネル20の上側の辺、または下側の辺を支持している。また、側面においては、図4(b)に示すように、大判パネル20の表面側に配置された支持アーム64aと、裏面側に配置された支持アーム64bとの2本の支持アームから構成されており、当該2つの支持アームの先端部で大判パネル20の周縁部を挟持している。
支持アーム65は、リム61の内周からX軸方向に沿って延在していることと、大判パネル20の左右の辺を支持していること以外は、支持アーム64の構成と同様である。
また、各支持アーム64,65の先端部は、図4(a)に示すように、アーム部よりも幅広のパッド形状となっている。当該パッド形状は、平面的には略正方形、または円形をなし、相応の厚さを有している。図4(b)に示すように、幅広の表裏面のパッドによって、大判パネルを挟持することにより、大判パネル20に局所的な応力が加わることを防止している。
支持アーム66は、支持アーム64と支持アーム65とを組み合せた構成を有しており、当該2つの支持アームの先端部を一体化している。換言すれば、支持アーム66は、一体化された先端部を直角の頂点とし、支持アーム64と支持アーム65とを当該直角を挟む2辺とした直角三角形をなしており、大判パネル20の角部を支持している。
図4(a)では、好適例として、大判パネル20の上下の辺をそれぞれ2ヶ所ずつ支持アーム64で保持し、左右の辺をそれぞれ1ヶ所ずつ支持アーム65で保持している。そして、大判パネル20の4隅を支持アーム66で支持している。つまり、大判パネル20の外周部を10ヶ所で保持している。
なお、この支持構造に限定するものではなく、リム61の回転時にもしっかりと大判パネル20を保持することが可能な支持構造であれば良く、例えば、大判パネル20の4隅を4つの支持アーム66のみで支持する構成であっても良い。
また、大判パネル20をリム61にセットする際には、保持される部分がエッチング溶液によって侵されないように、マスキング処理を施す。好適には、大判パネル20の4つの端面(側面)を含む外周部に、マスキングテープ21を貼り付けておく。
マスキングテープ21は、エッチング溶液に侵されない耐性材料から構成されている。本実施形態では、エッチング溶液としてフッ酸溶液を用いるため、フッ酸に対する耐性を持つ耐性材料を用いる。耐性材料としては、例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂や、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂シート部材を基材としたテープを用いる。また、テーピングによるマスキング処理に限定するものではなく、これらの樹脂を大判パネル20の周縁部にコーティングすることであっても良い。
大判パネル20がセットされたリム61は、搬入口71からチャンバー70内に搬入され、回転機構60の一構成部位であるローラー62の上に配置される。
回転機構60は、ローラー62、倒れ防止部67などから構成されている。
ローラー62は、ローラー62a、ローラー62b、ローラー62cの3つのローラーから構成されている。3つのローラーは、リム61の外輪に沿って配置されており、搬入口71側から搬出口72に向かって、ローラー62a、ローラー62b、ローラー62cの順に配置されている。ローラー62a,62b,62cは、それぞれチャンバー70の底部73に形成された台座74a,74b,74c上に配置されている。
このうち、駆動モーター(図示せず)によって回転駆動される動輪は、リム61を最も底部で支えるローラー62bとしている。
ローラー62bの左右における上側(Y軸(+)側)に配置されたローラー62a、およびローラー62cは、動力のない補助ローラーであり、リム61がX軸(+)方向に転んで行かないように保持している。換言すれば、ローラー62a,62b,62cの各回転中心を結ぶ逆三角形63内にリム61を収めて、リム61が回転軸Rsを中心にして回転するように、支持している。
なお、好適例としてローラー62bを動輪として説明したが、3つのローラーのうち、少なくとも1つが動輪となっていれば良い。例えば、ローラー62a、または、ローラー62cのみが動輪であっても良いし、3つのローラー全てが動輪という構成であっても良い。また、2つ以上動輪がある場合には、それらの回転を同期させることが好ましい。
倒れ防止部67は、図4(b)に示すように、Z軸方向にリム61が倒れることを防止するための支持部材であり、チャンバー70の上側と下側とにそれぞれ配置されている。上側の倒れ防止部67は、チャンバー70の天井から突出して形成され、リム61の上側の周縁部を両サイドから挟むように配置された2本の支柱から構成されている。下側の倒れ防止部67は、台座74b上に形成され、リム61の下側の周縁部を両サイドから挟むように配置された2本の支柱から構成されている。
リム61や、回転機構60を構成する各部位の表面も、前述した耐性材料から構成されている。好適には、リム61や、ローラー62は、アルミニウムや、ステンレスなどの金属を芯材として、その周囲に耐性材料(樹脂)を被覆した構成となっている。このような構成物は、例えば、インサート成型法によって、形成することができる。
また、同様に、支持アーム64,65,66も金属を芯材としてその周囲に耐性材料(樹脂)を被覆した構成であっても良いし、金属材料を主体としてその表面に耐性材料をコーティングした部材を使用しても良い。
倒れ防止部67は、ポリプロピレン、またはポリエチレンを射出成型して形成される。また、台座74など、チャンバー70内におけるこれらの部位以外の各部位についても、同様に、その表面には耐性材料が形成されている。
溶液供給本管52は、チャンバー70内の上側に配置されており、エッチング溶液を複数の配管50に分配する本管である。本実施形態では、好適例として、10〜50wt%範囲内の濃度のフッ酸(フッ化水素酸)をエッチング溶液(水溶液)として用いている。
複数の配管50は、溶液供給本管52から分岐され、それぞれがY軸に沿って下側に延在している。図4(a)では、6本の配管50が大判パネル20と重なって略等間隔に配置されている。なお、当該図面では、大判パネル20の裏面側に配置された溶液供給本管52、および配管50が示されているが、表面側にも同様の構成が設けられている。
溶液供給本管52、および配管50は、ポリプロピレン、またはポリエチレン製のパイプから構成されている。また、エッチング溶液は、25℃を中心値として、20±10℃の範囲内で温度管理されている。
図4(b)に示すように、複数の配管50は、それぞれ大判パネル20の表面、または裏面に沿って略平行に配置されている。また、大判パネル20の表面、または裏面と対向する部分には、複数のノズル51がY軸に沿って略等間隔に配置されている。
詳しくは、大判パネル20の表面(対向基板16側)と向い合う配管50には、第1ノズルとしての5つのノズル51が形成されている。大判パネル20の裏面と向い合う配管50には、第2ノズルとしての5つのノズル51が形成されている。
各ノズル51からは、エッチング溶液が円錐状に噴射される。
図5は、エッチング溶液の噴射態様を示す図であり、図4(a)に対応している。
図5では、大判パネル20の表面において一つのノズル51から噴射されるエッチング溶液が吹付けられる領域を噴射領域dとして示している。
各噴射領域dは、隣り合う噴射領域dと、その周縁部が重なっている。また、大判パネル20の表面は、複数の噴射領域dによって満遍に覆われている。換言すれば、図4で説明した複数の配管50、およびノズル51の位置は、複数の噴射領域dにより、大判パネル20の表面を満遍に覆うことができるように配置されている。
図5では、図4(a)の態様から、大判パネル20が90°回転した状態を示しているが、この状態においても、大判パネル20の表面が複数の噴射領域dによって覆われている。つまり、大判パネル20において最も長い対角線の部分も噴射領域dによって覆われている。換言すれば、リム61の内周部の略全域が噴射領域dによって覆われている。
よって、リム61が回転した場合であっても、大判パネル20の表面(裏面)は、その全面が満遍(隙間)なく噴射領域dによって覆われることになる。
図4(b)に戻る。
また、ノズル51からのエッチング溶液の噴射時の圧力は、大判パネル20の表面(裏面)にエッチング溶液が十分に届く圧力であれば良いが、好適例としては、0.025〜0.098MPaの範囲内に設定する。なお、エッチングの初期段階においては、ガラス基板の厚さが約0.3mm以上あり、強度があるので、約0.098MPaとし、エッチングが進行して薄くなるのにともなって、圧力を弱めることが好ましい。
「表示(大判)パネルの製造方法」
図6は、表示(大判)パネルの製造方法の流れを示すフローチャートである。
ここでは、図4で説明した製造装置100による表示(大判)パネルの製造方法について、図6のフローチャートに沿って詳細に説明する。
ステップS1では、大判パネル20が装着されたリム61をチャンバー70内にセットする。つまり、略鉛直に立った状態の大判パネル20をチャンバー70内にセットする。
ステップS2では、製造装置100の計時部により計時を開始する。なお、計時の開始は、ステップS3のエッチング溶液吹付け開始時点と同期させることが好ましい。
ステップS3では、各ノズル51からのエッチング溶液の吹付けを開始する。
ステップS4では、ローラー62bを駆動して、リム61(大判パネル20)を回転させる。また、このときの回転速度は、例えば、10rpmとする。なお、回転速度は、大判パネル20のサイズや、エッチング量などに応じて、1〜20rpmの範囲内で適宜設定することができる。
ステップS5では、計時開始から時間t1が経過したか判断する。時間t1を経過していない場合(S5:No)は、引き続きエッチング溶液の吹付け、および回転を継続しながら、時間t1となるのを待ち受ける。時間t1を経過した場合(S5:Yes)は、エッチング溶液の吹付け、および回転を終了する。換言すれば、エッチング処理を終了する。
なお、時間t1は、様々な大判パネルサイズや、エッチング量による複数の実験データに基づいて導出されたものであり、製造装置100にあらかじめ記憶されている。
また、時間t1に達するまでの間において、ステップS3では、エッチング溶液の吐出圧力を、開始時点からの時間経過にともない逓減させても良い。これによれば、エッチングが進んで薄くなった基板が割れることを抑制することができる。
また、ステップS4では、リム61の回転速度を変化させたり、時計回りから反時計回りに逆転させても良い。これによれば、大判パネルの表面(裏面)におけるエッチング溶液の流動態様が変化するため、より均一なエッチングを行うことができる。
発明者等の実験データによれば、上述の製造方法により、エッチング前に約1mmであった大判パネル20の厚さを約80μmにまで薄くすることができている。詳しくは、エッチング前における大判パネル20の素子基板1、および対向基板16の厚さは、それぞれ約0.5mmであったが、上述の製造方法により表裏面をそれぞれエッチングすることにより、素子基板1、および対向基板16の厚さをそれぞれ約40μmとすることに成功している。なお、この数値が限界値ではなく、条件を最適化することによって更なる薄型化も可能であると考察している。
また、このようにして薄型化された大判パネル20は、純水などによってエッチング溶液を洗い流した後、単品の表示パネルに切断される。そして、端子部を露出させて、例えば、駆動回路が実装されたフレキシブル基板と接続して、単品の表示パネルとなる。なお、切断の際には、エッチングされた部分と、マスキングされていた部分との段差を補間するため、当該段差を織り込んだ凸形状の専用案内板を用いることが好ましい。また、薄膜化しているため、単品に切断した後の取り扱いを容易にするため、例えば、ポリエステルフィルムなどの樹脂シート部材で表示パネルをラミネートすることが好ましい。
上述した通り、本実施形態に係る製造方法、および製造装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
この製造方法によれば、大判パネル20は、エッチング溶液が附着した状態、または、吹付けが行われている状態で回転することになり、これらのエッチング溶液は、大判パネル20の表面(裏面)において回転にともない重力方向に流れることになる。換言すれば、大判パネル20の表面(裏面)におけるエッチング度合が均一化される。
よって、この製造方法によれば、常に重力方向が一定であったためエッチング度合に偏りが生じていた従来の製造方法よりも、回転により大判パネル20のガラス基板におけるエッチング度合を均一化することができる。
従って、本実施形態に係る製造方法によれば、均一な厚さの薄型表示(大判)パネルを得ることができる。換言すれば、ガラス基板を均一にエッチングすることが可能な電気光学装置の製造方法を提供することができる。
また、製造装置100は、大判パネル20を略鉛直に立った状態で保持するリム61と、大判パネル20の表面に対向して配置された複数の(第1)ノズル51と、大判パネル20の裏面に対向して配置された複数の(第2)ノズル51と、リム61を大判パネル20の表面(裏面)に沿って立った状態で回転させる回転機構60とを備えている。
よって、大判パネル20が回転している状態において、その表面および裏面にエッチング溶液が吹付けられるため、吹付けられたエッチング溶液は、大判パネル20の表面(裏面)において回転にともない重力方向に流れることになる。
よって、この製造方法によれば、常に重力方向が一定であったためエッチング度合に偏りが生じていた従来の製造方法よりも、回転により大判パネル20のガラス基板におけるエッチング度合を均一化することができる。
従って、均一な厚さの薄型表示(大判)パネルを得ることが可能な製造装置100を提供することができる。換言すれば、ガラス基板を均一にエッチングすることが可能な製造装置100を提供することができる。
(実施形態2)
図7は、本実施形態に係る製造装置の概要を示す図であり、図3に対応している。図8は、製造装置の側断面図であり、図4(b)に対応している。
以下、本発明の実施形態2に係る製造装置110について、図7および図8を用いて説明する。
本実施形態における製造装置110は、大判パネル20の上側からエッチング溶液を滴下するための滴下機構を備えている点が、実施形態1の製造装置100と異なる。それ以外は、製造装置100と同様である。
ここでは、実施形態1における説明と重複する部分は省略し、滴下機構中心に説明する。また、同一の構成部位については同一の番号を附して説明する。
図7に示すように、製造装置110において、大判パネル20の上側には、滴下機構80が備えられている。なお、複数のノズルを含む配管50の構成や、回転機構60の構成などは、実施形態1の製造装置100と同様である。
滴下機構80は、配管81、滴下孔82などから構成されている。
配管81は、エッチング溶液を供給する配管であり、ポリプロピレン、またはポリエチレン製のパイプから構成されている。配管81の一端(図示せず)は、エッチング溶液の供給を開始、および停止するためのバルブ(薬液タンク)に接続している。
滴下孔82は、配管81に略等間隔に形成された孔であり、当該孔からエッチング溶液が滴下される。なお、孔に限定するものではなく、滴下用のノズルが形成されていても良い。図7において方物線状の点線で示すように、複数の滴下孔82からは、大判パネル20の裏面における上側の一辺に沿って、エッチング溶液が略均一な液量滴下される。なお、図7では、大判パネル20の裏面側の滴下機構80のみが示されているが、表面側にも同様な滴下機構が備えられている。
図8に示すように、滴下機構80は、大判パネル20の表面側、および裏面側にそれぞれ備えられている。なお、図8においては、図面を見易くするため、上側の支持アームを省略している。
滴下機構80は、複数のノズル51による吹付けと同時に滴下を行うことも可能な構成となっているが、本実施形態では、好適例として、複数のノズル51による吹付けの後に、滴下を行うこととしている。
大判パネル20の表面側、および裏面側における滴下は、同時に行われ、その滴下量は、上側の一辺を略満遍に浸すことが可能な量となっている。なお、滴下といっても、一滴ずつしたたり落ちることではない。滴下とは、ノズル51から噴射される圧力よりも弱く、図8に示すように、滴下孔82と大判パネル20との高さ(位置)の違いによる重力によって、一定の太さの液流をそれぞれ表面、または裏面に向かって方物線状に掛けることを指している。
「表示(大判)パネルの製造方法」
図9は、本実施形態に係る表示(大判)パネルの製造方法の流れを示すフローチャートであり、図6に対応している。
ここでは、図8で説明した製造装置110による表示(大判)パネルの製造方法について、図9のフローチャートに沿って詳細に説明する。
ステップS11では、大判パネル20が装着されたリム61をチャンバー70内にセットする。
ステップS12では、製造装置110の計時部により計時を開始する。なお、計時の開始は、ステップS13のエッチング溶液吹付け開始時点と同期させることが好ましい。
ステップS13では、各ノズル51からのエッチング溶液の吹付けを開始する。
ステップS14では、ローラー62bを駆動して、リム61(大判パネル20)を回転させる。
ステップS15では、計時開始から所定の時間としての時間t11が経過したか判断する。時間t11を経過していない場合(S15:No)は、引き続きエッチング溶液の吹付け、および回転を継続しながら、時間t11となるのを待ち受ける。時間t11を経過した場合(S15:Yes)は、ステップS16に進む。
ステップS16では、各ノズル51からのエッチング溶液の吹付けを終了し、滴下機構80による滴下を開始する。換言すれば、エッチング溶液の吹付けから、滴下に切り換える。なお、リム61(大判パネル20)の回転は継続している。
ステップS17では、計時開始から時間t12が経過したか判断する。時間t12を経過していない場合(S17:No)は、引き続きエッチング溶液の滴下、および回転を継続しながら、時間t12となるのを待ち受ける。時間t12を経過した場合(S17:Yes)は、エッチング溶液の滴下、および回転を終了する。
なお、時間t11,12は、様々な大判パネルサイズや、エッチング量による複数の実験データに基づいて導出されたものであり、製造装置110にあらかじめ記憶されている。詳しくは、時間t11は、大判パネル20の厚さが約0.2mmとなるタイミングにおける時間である。本実施形態の製造方法では、この厚さ以下になると大判パネル20の強度がかなり低くなるため、吹付けよりも衝撃の少ない滴下に切り換えている。なお、約0.2mmとなるタイミングに限定するものではなく、大判パネル20に用いられている無機ガラスの種類や特性に応じて、所定の時間としての時間t11を定めれば良い。例えば、厚さが0.3〜0.1mmの範囲内における所定の厚さとなるタイミングの時間であっても良い。
また、本実施形態の製造方法によっても、実施形態1での実験データと同様の結果を得ることができている。
上述した通り、本実施形態によれば、実施形態1における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
この製造方法によれば、大判パネル20の厚さが約0.2mmとなる時間t11で、エッチング溶液の吹付けから、滴下に切り換えている。
よって、大判パネル20に加わる衝撃が低減されるため、大判パネル20の割れや、クラックの発生を抑制することができる。
さらに、滴下に切り換えた後も、リム61(大判パネル20)の回転は継続しているため、表面(裏面)におけるエッチング溶液の分布が吹付け時と同様に均一化されている。換言すれば、滴下時におけるエッチング度合も均一化されている。
従って、本実施形態に係る製造方法によれば、均一な厚さの薄型表示(大判)パネルを安定して得ることができる。換言すれば、ガラス基板を均一に、かつ安定してエッチングすることが可能な電気光学装置の製造方法を提供することができる。
また、製造装置110は、大判パネル20を略鉛直に立った状態で保持するリム61と、大判パネル20の表面に対向して配置された複数の(第1)ノズル51と、大判パネル20の裏面に対向して配置された複数の(第2)ノズル51と、リム61を大判パネル20の表面(裏面)に沿って立った状態で回転させる回転機構60とに加えて、大判パネル20における上側の一辺に沿ってエッチング溶液を滴下するための滴下機構80をさらに備えている。
よって、大判パネル20の厚さが約0.2mmとなった時点で、ノズルによる噴射から、滴下機構による滴下に切り換えることができる。換言すれば、上記製造方法を実現することができる。
従って、均一な厚さの薄型表示(大判)パネルを安定して得ることが可能な製造装置110を提供することができる。換言すれば、ガラス基板を均一に、かつ安定してエッチングすることが可能な製造装置110を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
図1を用いて説明する。
上記各実施形態では、表示パネル18は、有機EL表示装置であるものとして説明したが、これに限定するものではなく、2枚のガラス基板間に電気光学層を挟持した電気光学装置であれば良い。例えば、電気光学層として液晶を用いた液晶表示装置であっても良い。液晶表示装置は、透過型、反射型、半透過反射型のいずれの型式であっても良い。また、駆動方式も、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Place-Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式のいずれであっても良い。
これらの液晶表示装置(表示パネル)であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(変形例2)
図1を用いて説明する。
上記各実施形態では、表示パネル18は、表裏両面にガラス基板を備えることとして説明したが、これに限定するものではなく、表裏面のいずれか一方の基板がガラス基板という構成であっても良い。または、1枚構成のガラス基板であっても良い。
例えば、自発光型のプラズマディスプレイの場合、表示面側(対向基板側)の基板にはガラス基板が用いられるが、素子基板側には、金属基板などの非ガラス基板が用いられることがある。なお、この場合、非ガラス基板面は、マスキング処理を行うとともに、当該面には、エッチング溶液を吹付け(滴下)しないようにする。
この構成であっても、上記製造装置および製造方法によって、ガラス基板側のみエッチング処理を行うことができる。
また、同様に、大判パネルに替えて、1枚のガラス基板を用いた場合であっても、上記製造装置および製造方法によって、エッチング処理を行うことができる。
これらの構成であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(変形例3)
上記各実施形態では、エッチング溶液の噴射、および滴下時において、常時リム61(大判パネル20)を時計方向に回転させることとして説明したが、これに限定するものではなく、大判パネル20の表面(裏面)に略均一にエッチング溶液が行き渡るように回転させれば良い。
例えば、リム61(大判パネル20)の回転を間欠的に行っても良い。また、適宜、時計方向とは反対の反時計回りに回転させても良い。または、これらの動作を組み合せても良い。これらの方法であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
1…ガラス基板としての素子基板、8…電気光学層としての有機EL層、16…ガラス基板としての対向基板、20…大判パネル、61…支持フレームとしてのリム、50,81…配管、51…ノズル、60…回転機構、62…ローラー、82…液滴孔、100,110…製造装置、Rs…回転軸。

Claims (8)

  1. ガラス基板を備えた電気光学装置の製造方法であって、
    (a)前記ガラス基板を略鉛直配置する工程と、
    (b)前記ガラス基板少なくとも一方の面へ、エッチング溶液の吹付けをする工程またはエッチング溶液の滴下をする工程と、
    (c)前記ガラス基板を前記略鉛直の状態で回転させる工程と、を含み、
    前記エッチング溶液の滴下をする工程は、前記ガラス基板における上側の一辺に沿って略均一な量滴下されることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  2. 第1のガラス基板と、第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に電気光学層を設けた表示パネルを備えた電気光学装置の製造方法であって、
    (a)前記表示パネルを略鉛直配置する工程と、
    (b)前記第1のガラス基板および前記第2のガラス基板の前記電気光学層が設けられた面とは各々反対の面エッチング溶液の吹付けをする工程またはエッチング溶液の滴下をする工程と、
    (c)前記表示パネル前記略鉛直の状態で回転させる工程と、を含み、
    前記エッチング溶液の滴下をする工程は、前記表示パネルにおける上側の一辺に沿って略均一な量滴下されることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  3. 前記表示パネルを複数個面付けした大判パネルの状態で、前記(a)〜(c)工程を行い、
    前記吹付けは、複数のノズルから前記大判パネルの全面に略均一な量吹付けされることを特徴とする請求項に記載の電気光学装置の製造方法。
  4. ガラス基板を備えた電気光学装置の製造方法であって、
    (a)前記ガラス基板を略鉛直配置する工程と、
    (b)前記ガラス基板における少なくとも一方の面へエッチング溶液の吹付けをする工程および前記エッチング溶液の滴下を行う工程と、
    (c)前記ガラス基板を前記一方の面に沿って前記略鉛直の状態で回転させる工程と、を含み、
    前記(b)工程は、前記(c)工程においても継続して行われ、
    前記(b)工程において、前記吹付け工程を行い、前記吹付け工程を開始してから所定の時間経過すると、前記吹付け工程から前記滴下工程に切り換えることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  5. 前記所定の時間は、前記表示パネルの厚さが0.3〜0.1mmの範囲内となる時間であることを特徴とする請求項に記載の電気光学装置の製造方法。
  6. 前記(c)工程における前記回転の速度は、1〜20rpmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
  7. 電気光学装置に用いられるガラス基板をエッチングするための製造装置であって、
    前記ガラス基板を略鉛直保持する支持フレームと、
    前記ガラス基板における少なくとも一方の面にエッチング溶液を吹付けるために設けられ、前記一方の面に対向するように配置された複数のノズルと、
    前記ガラス基板が前記略鉛直の状態で前記支持フレームを回転させる回転機構と
    前記ガラス基板の外周をなす第1の辺に沿って前記エッチング溶液を滴下する滴下機構と、備えることを特徴とする電気光学装置の製造装置。
  8. 第1のガラス基板と、第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に電気光学層を設けた表示パネルを複数個面付けした大判パネルエッチングするための製造装置であって、
    前記大判パネルを略鉛直保持する支持フレームと、
    前記大判パネルの第1の面にエッチング溶液を吹付けるための、前記第1の面に対向して配置された複数の第1ノズルと、
    前記大判パネルの第2の面にエッチング溶液を吹付けるための、前記第2の面に対向して配置された複数の第2ノズルと、
    前記支持フレームを前記略鉛直の状態で回転させる回転機構と
    前記第1のガラス基板における上側の一辺または前記大判パネルにおける上側の一辺に沿って前記エッチング溶液を滴下する滴下機構と、を備えることを特徴とする電気光学装置の製造装置。
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