JP5373927B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。
ゴルフボールにおいて、飛行性能の他に、アプローチ性能やスピン安定性が求められている。アプローチ性能の良好なゴルフボールは、アプローチショットにおけるバックスピン速度が大きい。スピン安定性に優れたゴルフボールは、バックスピン速度のばらつきが少ない。スピン安定性に優れたゴルフボールは、例えば、ドライスピン速度Sdと、ウエットスピン速度Swとの差が少ない。比(Sw/Sd)は、スピン保持率とも称されており、スピン安定性の指標として用いられる。特に上級ゴルファーは、アプローチ性能や、アプローチショットにおけるスピン安定性を重要視する傾向にある。なお、ドライスピン速度Sdは、ドライな状態におけるバックスピン速度を意味し、ウエットスピン速度Swは、ウエットな状態におけるバックスピン速度を意味する。ウエットな状態とは、ボール及び/又はクラブフェースが水で濡れた状態である。
塗膜(ペイント層)の仕様は、ゴルフボールの性能に影響しうる。ゴルフボールの特性を改善するために、塗膜の厚み等が考慮されたゴルフボールが提案されている。特開2003−265650公報は、塗膜の厚さ、塗膜の50%モジュラス及び塗膜の厚さとカバーの厚さとの比が規定され、スピン保持率が良好なゴルフボールを開示する。特開2000−176047公報は、塗膜が5から20ミクロンであり耐擦過性等に優れたゴルフボールを開示する。特開平9−276445号公報には、塗膜の厚みを50〜700μmとすることにより、ゴルフボールの設計自由度が高くなる旨の記載がある。特開平8−322961号公報は、ディンプルの深さとディンプルを覆う塗装膜の平均厚さとの比率を規定したゴルフボールを開示する。
特開2003−265650公報 特開2000−176047公報 特開平9−276445号公報 特開平8−322961号公報
カバーの仕様は、ゴルフボールの性能に影響しうる。アプローチ性能やスピン安定性に優れ耐擦傷性能にも優れたカバーとして、基材ポリマーがポリウレタン樹脂であるカバー(ウレタンカバー)が好適である。しかし、ウレタンカバーの厚みが大きすぎると、ドライバーでのショットにおいてバックスピン速度が増加し、飛距離が低下しやすい。ドライバーショットでの飛距離の観点から、ウレタンカバーの厚みが薄くされるのが好ましい。
通常、カバーの表面には、ペイント層が設けられる。薄いウレタンカバーとペイント層との関係について、上記従来技術では検討されていない。
ウレタンカバーとペイント層との関係が適切に規定されることにより、アプローチショットにおけるスピン安定性と、ドライバ−でのショットにおける飛行性能とが改善されうることが判明した。
本発明の目的は、アプローチショットにおけるスピン安定性と、ドライバ−でのショットにおける飛距離とを両立しうるゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、コアと、このコアの外側に位置するカバーと、このカバーを覆うペイント層とを備えている。上記カバーの基材ポリマーはウレタン樹脂である。上記ペイント層の基材ポリマーはウレタン樹脂である。上記カバーの厚みTc(mm)は0.1mm以上0.7mm以下である。上記ペイント層の厚みTp(mm)は0.015mm以上0.040mm以下である。(Tp/Tc)は0.021以上0.40以下である。
好ましくは、上記ペイント層は二以上の層により形成されている。
好ましくは、上記ペイント層の基材ポリマーは、二液型ウレタン樹脂又は二液型エポキシ樹脂である。
好ましくは、上記カバーの基材ポリマーは熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。
好ましくは、上記コアと上記カバーとの間に、一層以上の中間層が設けられる。好ましくは、上記コアに接している中間層の基材ポリマーはアイオノマー樹脂である。
好ましくは、上記カバーのショアD硬度は20以上50以下である。
アプローチショットにおけるスピン安定性と、ドライバ−でのショットにおける飛距離とに優れたゴルフボールが得られうる
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された一部切り欠き断面図である。このゴルフボール2は、コア4と、このコア4を覆う中間層6と、この中間層6を覆う補強層8と、この補強層8を覆うカバー10とを備えている。コア4は、球状である。カバー10の表面には、多数のディンプル12が形成されている。カバー10の表面のうちディンプル12以外の部分は、ランド14である。このゴルフボール2は、カバー10の外側にペイント層16を備えている(図1の拡大部分参照)。カバー10の外側には、マーク層が設けられているが、このマーク層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
コア4は通常、ゴム組成物が架橋されることで得られる。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが挙げられる。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるポリブタジエンの比率が50質量%以上、特には80質量%以上とされるのが好ましい。シス−1,4結合の比率が40%以上、特には80%以上であるポリブタジエンが特に好ましい。
コア4の架橋には、通常は共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。高い反発性能が得られるという理由から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
共架橋剤として、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と酸化金属とが配合されてもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、架橋反応に寄与する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属としては、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上50質量部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボール2の反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は15質量部以上がより好ましい。配合量が上記範囲を超えると、ゴルフボール2の打球感が硬くなることがある。この観点から、配合量は45質量部以下がより好ましい。
コア4に用いられるゴム組成物には、共架橋剤と共に有機過酸化物が配合されるのが好ましい。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物の配合により、ゴルフボール2の反発性能が高まる。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下が好ましい。配合量が上記範囲未満であると、ゴルフボール2の反発性能が不十分となることがある。この観点から、配合量は0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、ゴルフボール2の打球感が硬くなることがある。この観点から、配合量は2.5質量部以下がより好ましい。
コア4に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、コア4の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、単なる比重調整のみならず架橋助剤としても機能する。コア4には、硫黄、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。コア4に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
コア4の圧縮変形量P1は、5.0mm以下が好ましく、4.5mm以下がより好ましく、4.0mm以下が特に好ましい。ゴルフボール2がドライバーで打撃されると、カバー10及び中間層6と共にコア4も大きく変形する。圧縮変形量P1が小さなコア4は、ドライバーでのショットにおける飛行性能に寄与する。圧縮変形量P1が過小であると、打球感が阻害される。打球感の観点から、圧縮変形量P1は1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上が特に好ましい。
圧縮変形量の測定では、まず球体が金属製の剛板の上に置かれる。次に、この球体に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれた球体は、変形する。球体に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、圧縮変形量である。圧縮変形量が測定される球体として、コア4、コア4と中間層6とからなる球体、カバー10まで設けられてなる球体が例示される。
コア4の直径は、25mm以上41.5mm以下が好ましい。コア4の質量は、25g以上42g以下が好ましい。コア4の架橋温度は、通常は140℃以上180℃以下である。コア4の架橋時間は、通常は10分以上60分以下である。
本実施形態では、中間層6が設けられている。中間層6は、設けられなくてもよい。中間層6が設けられる場合、中間層6は、一層でもよいし、二層以上でもよい。
なお、本願において、コア4とカバー10との間に位置する層が、中間層6である。当業者が用いる用語において、この中間層がコアの一部とされたり、この中間層がカバーの一部とされたりする場合がある。しかし本願において、中間層は、コアに含まれず、カバーにも含まれない。本願においてカバーは、ペイント層と接する単一の層である。
中間層6には、熱可塑性樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の基材ポリマーとしては、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが挙げられる。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。アイオノマー樹脂は、ドライバーでのショットにおける飛行性能に寄与する。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、飛行性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに占めるアイオノマー樹脂の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。
好ましくは、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体におけるカルボン酸の一部が金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂が用いられる。好ましいα−オレフィンは、エチレン及びプロピレンである。好ましいα,β−不飽和カルボン酸は、アクリル酸及びメタクリル酸である。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミランAM7329」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7318」及び「ハイミランMK7320」;デュポン社の商品名「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9910」及び「サーリン9945」;並びにエクソン社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。
中間層6の樹脂組成物に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、中間層6の意図した比重が達成されるように適宜決定される。中間層6に、着色剤、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
ドライバーでのショットにおける飛行性能の観点から、中間層6のショアD硬度Hmは、55以上が好ましく、58以上がより好ましく、60以上が特に好ましい。ショアD硬度Hmが極端に大きいと、ゴルフボール2が打撃されたときに良好なフィーリングが得られにくい。この観点から、ショアD硬度Hmは72以下が好ましく、70以下がより好ましく、68以下が特に好ましい。
中間層6のショアD硬度Hm及びカバー10のショアD硬度Hcは、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。測定には、スプリング式硬度計ショアD型が取り付けられた自動ゴム硬度計(高分子計器社の商品名「LA1」)が用いられる。測定には、熱プレスで成形された、中間層6(又はカバー10)と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
中間層6の厚みTmは、0.3mm以上2.5mm以下が好ましい。厚みTmが上記範囲未満であると、ドライバーでのショットにおける飛行性能が不十分となることがある。この観点から、厚みTmは0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上が特に好ましい。厚みTmが上記範囲を超えると、ゴルフボール2が打撃されたときに良好なフィーリングが得られにくい。この観点から、厚みTmは2.0mm以下がより好ましい。
中間層6と、補強層8又はカバー10との密着の観点から、中間層6の表面に処理が施され、その粗度が高められることが好ましい。処理の具体例としては、ブラッシング、研磨等が挙げられる。
補強層8は中間層6とカバー10との間に介在し、両者の密着を高める。特に、ゴルフボール2のカバー10は極めて薄い場合。薄いカバー10がクラブフェースのエッジで打撃されると、シワが生じやすい。補強層8により、シワが抑制される。
補強層8の基材ポリマーには、二液型熱硬化性樹脂が好適に用いられる。二液型熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂及びセルロース系樹脂が挙げられる。補強層8の機械特性(例えば破断強度)及び耐久性の観点から、二液型エポキシ樹脂及び二液型ウレタン樹脂が好ましい。
二液型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂がポリアミド系硬化剤で硬化されることで得られる。二液型エポキシ樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールAD型エポキシ樹脂が例示される。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等のエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールFとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールAD型エポキシ樹脂は、ビスフェノールADとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。柔軟性、耐薬品性、耐熱性及び強靭性のバランスの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ポリアミド系硬化剤は、複数のアミノ基と、1個以上のアミド基を有する。このアミノ基が、エポキシ基と反応し得る。ポリアミド系硬化剤の具体例としては、ポリアミドアミン硬化剤及びその変性物が挙げられる。ポリアミドアミン硬化剤は、重合脂肪酸とポリアミンとの縮合反応によって得られる。典型的な重合脂肪酸は、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸を多く含む天然脂肪酸類が触媒存在下で加熱されて合成されることで得られる。不飽和脂肪酸の具体例としては、トール油、大豆油、亜麻仁油及び魚油が挙げられる。ダイマー分が90質量%以上であり、トリマー分が10質量%以下であり、且つ水素添加された重合脂肪酸が好ましい。好ましいポリアミンとしては、ポリエチレンジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン及びそれらの誘導体が例示される。
エポキシ樹脂とポリアミド系硬化剤との混合において、エポキシ樹脂のエポキシ等量とポリアミド系硬化剤のアミン活性水素等量との比は、1.0/1.4以上1.0/1.0以下が好ましい。
二液型ウレタン樹脂は、主剤と硬化剤との反応によって得られる。ポリオール成分を含有する主剤とポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤との反応によって得られる二液型ウレタン樹脂や、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有する主剤と活性水素を有する硬化剤との反応によって得られる二液型ウレタン樹脂が用いられうる。特に、ポリオール成分を含有する主剤とポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤との反応によって得られる二液型ウレタン樹脂が好ましい。
主剤のポリオール成分としてウレタンポリオールが用いられることが、好ましい。ウレタンポリオールは、ウレタン結合と、少なくとも2以上のヒドロキシル基を有する。好ましくは、ウレタンポリオールは、その末端にヒドロキシル基を有する。ウレタンポリオールは、ポリオール成分のヒドロキシル基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対してモル比で過剰になるような割合で、ポリオールとポリイソシアネートとが反応させられることによって得られうる。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。重量平均分子量が50以上2000以下、特には100以上1000以下のポリオールが好ましい。低分子量のポリオールとして、ジオール及びトリオールが挙げられる。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。トリオールの具体例としては、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)のような縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール;並びにアクリルポリオールが挙げられる。2種以上のポリオールが併用されてもよい。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリイソシアネートは、複数のイソシアネート基を有する。ポリイソシアネートの具体例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)のような芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)のような脂環式ポリイソシアネート;並びに脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。2以上のポリイソシアネートが併用されてもよい。耐候性の観点から、TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI及びH12MDIが好ましい。
ウレタンポリオール生成のためのポリオールとポリイソシアネートとの反応では、既知の触媒が用いられうる。典型的な触媒は、ジブチル錫ジラウリレートである。
補強層8の強度の観点から、ウレタンポリオールに含まれるウレタン結合の比率は0.1mmol/g以上が好ましい。補強層8のカバーへの追従性の観点から、ウレタンポリオールに含まれるウレタン結合の比率は5mmol/g以下が好ましい。ウレタン結合の比率は、原料となるポリオールの分子量の調整及びポリオールとポリイソシアネートとの配合比率の調整により調整されうる。
主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、ウレタンポリオールの重量平均分子量は4000以上が好ましく、4500以上がより好ましい。補強層8の密着性の観点から、ウレタンポリオールの重量平均分子量は10000以下が好ましく、9000以下がより好ましい。
補強層8の密着性の観点から、ウレタンポリオールの水酸基価(mgKOH/g)は15以上が好ましく、73以上がより好ましい。主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、ウレタンポリオールの水酸基価は130以下が好ましく、120以下がより好ましい。
主剤が、ウレタンポリオールとともに、ウレタン結合を有さないポリオールを含有してもよい。ウレタンポリオールの原料である前述のポリオールが、主剤に用いられうる。ウレタンポリオールと相溶可能なポリオールが好ましい。主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、主剤におけるウレタンポリオールの比率は、固形分換算で、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。理想的には、この比率は100質量%である。
硬化剤は、ポリイソシアネート又はその誘導体を含有する。ウレタンポリオールの原料である前述のポリイソシアネートが、硬化剤に用いられうる。
補強層8が、着色剤(典型的には二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
補強層8は、主剤及び硬化剤が溶剤に溶解又は分散した液が、中間層6の表面に塗布されることで得られる。作業性の観点から、スプレーガンによる塗布が好ましい。塗布後に溶剤が揮発し、主剤と硬化剤とが反応して、補強層8が形成される。好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール及び酢酸エチルが例示される。
シワの抑制の観点から、補強層8の厚みは3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。補強層8が容易に形成されるとの観点から、厚みは300μm以下、さらには100μm以下、さらには50μm以下、さらには20μm以下が好ましい。厚みは、ゴルフボール2の断面がマイクロスコープで観察されることで測定される。粗面処理により中間層6の表面が凹凸を備える場合は、凸部の直上で厚みが測定される。
シワの抑制の観点から、補強層8の鉛筆硬度は4B以上が好ましく、B以上がより好ましい。ゴルフボール2が打撃されたときの、カバー10から中間層6までの力の伝達ロスが小さいとの観点から、補強層8の鉛筆硬度は3H以下が好ましい。鉛筆硬度は、「JIS K5400」規格に準拠して測定される。
なお補強層8は、必須ではない。中間層6とカバー10とが十分に密着しており、シワが生じにくい場合は、補強層8が設けられなくてもよい。また、中間層6が設けられない場合において、コア4とカバー6とが十分に密着している場合、補強層8は設けられなくてもよい。
カバー10の基材ポリマーとして、ウレタン樹脂が用いられる。このウレタン樹脂により、アプローチショットにおけるバックスピン速度が大きくなる。成型性の観点から、カバー10の基材ポリマーとして、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、軟質である。熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるカバー10を備えたゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、大きい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるカバー10は、ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能に寄与する。熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるカバー10を備えたゴルフボール2は、アプローチショットにおけるスピン速度の増大に寄与する。熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるカバー10は、アプローチショットにおけるコントロール性能に寄与する。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、カバー10の耐擦傷性能にも寄与する。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーと他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、コントロール性能の観点から、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに占める熱可塑性ポリウレタンエラストマーの比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。ポリウレタン成分の硬化剤としては、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。脂環式ジイソシアネートは主鎖に二重結合を有さないので、カバー10の黄変が抑制される。しかも、脂環式ジイソシアネートは強度に優れるので、カバー10の傷つきが抑制される。2種以上のジイソシアネートが併用されてもよい。
脂環式ジイソシアネートとしては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。汎用性及び加工性の観点から、H12MDIが好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)が例示される。脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が例示される。
汎用性及びコストの観点から、MDI系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。MDI系熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、上記硬化剤がジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。汎用性の観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの具体例としては、BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY90A」、商品名「エラストランXNY80A」、商品名「エラストランXNY97A」、商品名「エラストランXNY585」及び商品名「エラストランXKP016N」;並びに大日精化工業社の商品名「レザミンP4585LS」及び商品名「レザミンPS62490」が挙げられる。
カバー10には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が、適量配合される。比重調整の目的で、カバー10にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。
カバー10のショアD硬度Hcは、54以下である。軟質なカバー10が採用されることにより、ショートアイアンでのショットにおける良好なコントロール性能が達成されうる。コントロール性能の観点から、硬度Hcは50以下、さらには47以下、さらには42以下が好ましい。硬度が過小であるとドライバー、ロングアイアン及びミドルアイアンでのショットにおける飛行性能が不十分となる。この観点から、硬度は20以上、さらには28以上、さらには33以上が好ましい。
カバー10の厚みTcは、0.7mm以下である。前述のように、カバー10は低硬度である。低硬度なカバー10は、ゴルフボール2の反発係数の面では不利である。ドライバーでのショットでは、ゴルフボール2の中間層6及びコア4も大きく変形する。厚みTcが0.7mm以下に設定されることにより、カバー10が低硬度であっても、ドライバーでのショットにおける反発係数にカバー10が大幅な悪影響を与えることがない。中間層6にアイオノマー樹脂が用いられることで、ドライバーでのショットにおける大きな飛距離が達成されうる。
低硬度なカバー10は、ドライバーでのショットにおいて、バックスピン速度を増大させやすい。厚みTcが0.7mm以下に設定されることにより、カバー10が低硬度であっても、ドライバーでのショットにおけるバックスピン速度が抑制されうる。その理由は、カバーの厚みが薄くされることにより、高硬度とされた中間層の影響が大きくされうるからである。少ないバックスピン速度により、ドライバーでのショットにおいて大きな飛距離が達成されうる。
飛距離の観点から、厚みTcは0.6mm以下がより好ましく、0.5mm以下がより好ましい。厚みTcが過小であると、アプローチショットにおいてバックスピン速度が低下しやすい。また厚みTcが過小であると、カバー10の成形に困難を伴う。これらの観点から、厚みTcは0.1mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましく、0.2mm以上がより好ましい。
図1が示すように、ペイント層16は、二層とされている。ペイント層16は、内側ペイント層18と、外側ペイント層20とを有している。内側ペイント層18が塗布された後、外側ペイント層20が塗布される。内側ペイント層18と外側ペイント層20とは、異なる組成であってもよいし、同じ組成であってもよい。ペイント層16は、三層でもよいし、四層以上であってもよい。生産性の観点から、ペイント層16は、三層以下が好ましい。
ペイント層16の基材ポリマーとして、例えば、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は組み合わせて用いられてもよい。ペイント層16が二層である場合、[内側ペイント層18の基材ポリマー:外側ペイント層20の基材ポリマー]の組み合わせとして、[ウレタン系樹脂:エポキシ系樹脂]、[ウレタン系樹脂:ウレタン系樹脂][エポキシ系樹脂:エポキシ系樹脂]及び[エポキシ系樹脂:ウレタン系樹脂]が挙げられる。
ペイント層16の基材ポリマーとして、二液型ウレタン樹脂及び二液型エポキシ樹脂が好ましい。
二液型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂がポリアミド系硬化剤で硬化されることで得られる。二液型エポキシ樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールAD型エポキシ樹脂が例示される。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等のエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールFとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールAD型エポキシ樹脂は、ビスフェノールADとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。柔軟性、耐薬品性、耐熱性及び強靭性のバランスの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ポリアミド系硬化剤は、複数のアミノ基と、1個以上のアミド基を有する。このアミノ基が、エポキシ基と反応し得る。ポリアミド系硬化剤の具体例としては、ポリアミドアミン硬化剤及びその変性物が挙げられる。ポリアミドアミン硬化剤は、重合脂肪酸とポリアミンとの縮合反応によって得られる。典型的な重合脂肪酸は、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸を多く含む天然脂肪酸類が触媒存在下で加熱されて合成されることで得られる。不飽和脂肪酸の具体例としては、トール油、大豆油、亜麻仁油及び魚油が挙げられる。ダイマー分が90質量%以上であり、トリマー分が10質量%以下であり、且つ水素添加された重合脂肪酸が好ましい。好ましいポリアミンとしては、ポリエチレンジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン及びそれらの誘導体が例示される。
エポキシ樹脂とポリアミド系硬化剤との混合において、エポキシ樹脂のエポキシ等量とポリアミド系硬化剤のアミン活性水素等量との比は、1.0/1.4以上1.0/1.0以下が好ましい。
二液型ウレタン樹脂は、主剤と硬化剤との反応によって得られる。ポリオール成分を含有する主剤とポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤との反応によって得られる二液型ウレタン樹脂や、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有する主剤と活性水素を有する硬化剤との反応によって得られる二液型ウレタン樹脂が用いられうる。特に、ポリオール成分を含有する主剤とポリイソシアネート又はその誘導体を含有する硬化剤との反応によって得られる二液型ウレタン樹脂が好ましい。
主剤のポリオール成分としてウレタンポリオールが用いられることが、好ましい。ウレタンポリオールは、ウレタン結合と、少なくとも2以上のヒドロキシル基を有する。好ましくは、ウレタンポリオールは、その末端にヒドロキシル基を有する。ウレタンポリオールは、ポリオール成分のヒドロキシル基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対してモル比で過剰になるような割合で、ポリオールとポリイソシアネートとが反応させられることによって得られうる。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。重量平均分子量が50以上2000以下、特には100以上1000以下のポリオールが好ましい。低分子量のポリオールとして、ジオール及びトリオールが挙げられる。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。トリオールの具体例としては、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)のような縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール;並びにアクリルポリオールが挙げられる。2種以上のポリオールが併用されてもよい。
ウレタンポリオールの製造に使用されるポリイソシアネートは、複数のイソシアネート基を有する。ポリイソシアネートの具体例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)のような芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)のような脂環式ポリイソシアネート;並びに脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。2以上のポリイソシアネートが併用されてもよい。耐候性の観点から、TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI及びH12MDIが好ましい。
ウレタンポリオール生成のためのポリオールとポリイソシアネートとの反応では、既知の触媒が用いられうる。典型的な触媒は、ジブチル錫ジラウリレートである。
ペイント層16の強度の観点から、ウレタンポリオールに含まれるウレタン結合の比率は0.1mmol/g以上が好ましい。ペイント層16のカバーへの追従性の観点から、ウレタンポリオールに含まれるウレタン結合の比率は5mmol/g以下が好ましい。ウレタン結合の比率は、原料となるポリオールの分子量の調整及びポリオールとポリイソシアネートとの配合比率の調整により調整されうる。
主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、ウレタンポリオールの重量平均分子量は4000以上が好ましく、4500以上がより好ましい。ペイント層16の密着性の観点から、ウレタンポリオールの重量平均分子量は10000以下が好ましく、9000以下がより好ましい。
ペイント層16の密着性の観点から、ウレタンポリオールの水酸基価(mgKOH/g)は15以上が好ましく、40以上が好ましく、50以上がより好ましく、73以上がより好ましい。主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、ウレタンポリオールの水酸基価は130以下が好ましく、120以下がより好ましく、115以下がより好ましい。
主剤が、ウレタンポリオールとともに、ウレタン結合を有さないポリオールを含有してもよい。ウレタンポリオールの原料である前述のポリオールが、主剤に用いられうる。ウレタンポリオールと相溶可能なポリオールが好ましい。主剤と硬化剤との反応に要する時間が短いとの観点から、主剤におけるウレタンポリオールの比率は、固形分換算で、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。理想的には、この比率は100質量%である。
硬化剤は、ポリイソシアネート又はその誘導体を含有する。ウレタンポリオールの原料である前述のポリイソシアネートが、硬化剤に用いられうる。
ペイント層16が、着色剤(典型的には二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
ペイント層16は、主剤及び硬化剤が溶剤に溶解又は分散した液が、カバー10の表面に塗布されることで得られる。作業性の観点から、スプレーガンによる塗布が好ましい。塗布後に溶剤が揮発し、主剤と硬化剤とが反応して、ペイント層16が形成される。好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール及び酢酸エチルが例示される。
本実施形態では、ペイント層16が複数層とされる。ペイント層16が複数層とされることにより、その厚みTpを厚いにもかかわらず厚みが均一なペイント層16が得られうる。
本発明では、ドライバーでのショットにおける飛距離の増大を達成するため、カバー10の厚みTcを薄くしている。本発明では、厚みTcの薄いウレタンカバーゴルフボールにおいて、ペイント層を複数とし且つ比(Tp/Tc)を考慮した。このゴルフボールでは、アプローチショットに関し、ドライスピン速度Sdは維持され、ウエットスピン速度Swは増加しうる。このゴルフボールでは、アプローチショットでのスピン安定性が向上しうる。
アプローチショットでのスピン安定性の観点から、ペイント層の厚みTpは、15μm以上が好ましく、18μm以上がより好ましく、20μm以上がより好ましい。ドライバーショットでのバックスピン速度を抑制するとともに、ドライバーショットでの反発性能を高める観点から、ペイント層の厚みTpは、40μm以下が好ましく、35μm以下がより好ましく、30μm以下がより好ましい。
ウレタンカバーの厚みTcが薄い場合、アプローチショットでのバックスピンが小さくなることが判明した。本発明では、厚くされたペイント層により、カバー厚みTcが小さい場合であっても、アプローチショットでのバックスピン速度が大きくなりやすい。
ウエットスピン速度Swは、ドライスピン速度Sdと比較して、小さくなる。ペイント層の厚みTpが15μm以上とされることにより、ウェッジクラブにおけるフェース面上で滑りにくくなり、ドライスピン速度Sdに近いウエットスピン速度Swが得られやすい。これにより、高いスピン保持率が得られうる。アプローチショットでのスピン安定性の観点から、比(Tp/Tc)は、0.021以上が好ましく、0.045以上がより好ましく、0.05以上ががより好ましい。ドライバーショットでのバックスピン速度を抑制するとともに、ドライバーショットでの反発性能を高める観点から、ペイント層の厚みTpは、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下がより好ましい。
ドライバーショットやアイアンショットでのバックスピン速度を抑制し、大きな飛距離を得る観点から、カバーのショアD硬度Hcは、20以上が好ましく、22以上がより好ましい。アプローチショットでのバックスピン速度を増やす観点から、カバーのショアD硬度Hcは、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下がより好ましい。
本実施形態において、ペイント層は二以上の層により形成されている。二層以上の各層を構成する塗料は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。同一の塗料が二回に分けて塗装されることにより、ペイント層は二層とされうる。ペイント層が二層以上とされることにより、厚みTpが厚くされた場合であっても、厚みTpの均一化が達成されやすい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、39質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.7質量部のジクミルパーオキサイド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合は、コア配合1である。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で18分間加熱して、直径が41.3mmであるコアを得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY90A)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。このカバー配合は、配合Aである。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コアを被覆した。このコア及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みTcが0.7mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
二液型エポキシ樹脂を基材ポリマーとするクリアー塗料Yを調製した。この塗料Yとして、神東塗料社の商品名「ポリン750LE」が用いられた。50質量部のポリン750LE主剤、50質量部のポリン750LE硬化剤及び40質量部のポリン750LEシンナーを混合して、塗料Yを得た。この塗料Yをカバーの表面にスプレーガンで塗布し、40℃雰囲気下で24時間保持して、ペイント層の一層目(内側ペイント層)を得た。
二液型ポリウレタンを基材ポリマーとするクリアー塗料Xを、調製した。この塗料Xの主剤は、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリールとの混合物である。この主剤の水酸基価は、82mgKOH/gである。この塗料Xの硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネートである。この塗料のNCO:OH等量比は、1.3:1.0である。この塗料Xを、塗料Yが塗られたカバーにスプレーガンにて塗装した。この塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の二層目(外側ペイント層)を得た。このようにして、実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.7mmであり、質量は45.6gであった。なお、コア配合において、硫酸バリウムの配合量は、ゴルフボールの質量が45.6gとなるように調整された。実施例1のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[実施例2]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、39質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.7質量部のジクミルパーオキサイド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合は、コア配合1である。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で18分間加熱して、直径が39.9mmであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述のハイミラン1605)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述のハイミランAM7329)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Cである。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、1.2mmであった。
二液型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE」)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY80A)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Bである。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みTcが0.2mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
上記塗料Xを、上記カバーにスプレーガンにて塗装した。この塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の一層目(内側ペイント層)を得た。この一層目の塗料Xが塗られたカバーに、塗料Xをスプレーガンにて塗装した。この新たに塗られた塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の二層目(外側ペイント層)を得た。このようにして、実施例2のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.7mmであり、質量は45.6gであった。なお、コア配合において、硫酸バリウムの配合量は、ゴルフボールの質量が45.6gとなるように調整された。実施例2のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[実施例3]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、34質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.7質量部のジクミルパーオキサイド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合は、コア配合2である。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で18分間加熱して、直径が39.9mmであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述のハイミラン1605)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述のハイミランAM7329)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Cである。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、0.9mmであった。
二液型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE」)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY90A)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Aである。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みTcが0.5mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
上記塗料Xを、上記カバーにスプレーガンにて塗装した。この塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の一層目を形成した。この一層目の塗料Xが塗られたカバーに、塗料Xをスプレーガンにて塗装した。この新たに塗られた塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の二層目を形成した。この二層目の塗料Xが塗られたカバーに、塗料Xをスプレーガンにて塗装した。この新たに塗られた塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の三層目を形成した。このようにして、実施例3のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.7mmであり、質量は45.6gであった。なお、コア配合において、硫酸バリウムの配合量は、ゴルフボールの質量が45.6gとなるように調整された。実施例3のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[実施例4]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、39質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.7質量部のジクミルパーオキサイド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合は、コア配合1である。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で18分間加熱して、直径が38.3mmであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述のハイミラン1605)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述のハイミランAM7329)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Cである。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、1.9mmであった。
二液型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE」)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY80A)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Bである。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みTcが0.3mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
上記塗料Yをカバーにスプレーガンにて塗装し、40℃雰囲気下で24時間保持して、ペイント層の一層目を形成した。この一層目の塗料Yが塗られたカバーに、塗料Yをスプレーガンにて塗装した。この新たに塗られた塗料Yを40℃雰囲気下で24時間保持して、ペイント層の二層目を形成した。この二層目の塗料Yが塗られたカバーに、上記塗料Xをスプレーガンにて塗装した。この新たに塗られた塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の三層目を形成した。このようにして、実施例4のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.7mmであり、質量は45.6gであった。なお、コア配合において、硫酸バリウムの配合量は、ゴルフボールの質量が45.6gとなるように調整された。実施例4のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[比較例1]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、34質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.7質量部のジクミルパーオキサイド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合は、コア配合2である。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で18分間加熱して、直径が39.4mmであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述のハイミラン1605)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述のハイミランAM7329)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Cである。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、1.6mmであった。
二液型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE」)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY80A)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Bである。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みTcが0.05mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
上記塗料Yを、上記カバーにスプレーガンにて塗装し、40℃雰囲気下で24時間保持して、ペイント層の一層目を形成した。この一層目の塗料Yが塗られたカバーに、塗料Xをスプレーガンにて塗装した。この新たに塗られた塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、ペイント層の二層目を形成した。このようにして、比較例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.7mmであり、質量は45.6gであった。なお、コア配合において、硫酸バリウムの配合量は、ゴルフボールの質量が45.6gとなるように調整された。比較例1のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[比較例2]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、39質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.7質量部のジクミルパーオキサイド及び適量の硫酸バリウムを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合は、コア配合1である。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃の温度下で18分間加熱して、直径が39.3mmであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(前述のハイミラン1605)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(前述のハイミランAM7329)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Cである。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、1.1mmであった。
二液型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE」)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃雰囲気下で12時間保持して、補強層を得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(前述のエラストランXNY90A)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の配合は、配合Aである。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えたファイナル金型に投入し、圧縮成形法にて厚みTcが0.6mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。
上記塗料Xを、上記カバーにスプレーガンにて塗装した。この塗料Xを40℃の温度下で120分間乾燥させ、一層からなるペイント層を得た。このようにして、比較例2のゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.7mmであり、質量は45.6gであった。なお、コア配合において、硫酸バリウムの配合量は、ゴルフボールの質量が45.6gとなるように調整された。比較例2のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[比較例3]
コアの配合、コアの直径、カバー厚みTc及びペイント層の厚みTpが下記の表4で示された通りとされた他は実施例1と同様にして、比較例3のゴルフボールを得た。比較例3のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
[比較例4]
コアの直径、中間層の厚みTm、カバー配合及びカバー厚みTcが下記の表4で示された通りとされた他は比較例2と同様にして、比較例4のゴルフボールを得た。比較例4のゴルフボールの仕様及び評価結果が下記の表4に示される。
コア配合1及びコア配合2が、下記の表1に示される。カバーの配合A、B及び中間層の配合Cが、下記の表2に示される。中間層のショアD硬度Hm及びカバーのショアD硬度Hcが、下記の表2及び表4に示される。塗料Xの配合及び塗料Yの配合が、下記の表3に示される。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表4に示される。
なお、実施例1、2及び比較例1、3のペイント層において、一層目の厚みと二層目の厚みとは同一とされた。実施例3、4のペイント層において、一層目の厚みと二層目の厚みと三層目の厚みとは、全て同一とされた。
[コアの表面硬度Hh]
コアの表面にJIS−Cタイプのスプリング式硬度計が押しつけられることにより、表面硬度Hhが測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。この測定結果が下記の表4に示されている。
[中間層のショアD硬度Hm及びカバーのショアD硬度Hc]
前述した通りの方法で測定された。この測定結果が下記の表2及び表4に示されている。
[圧縮変形量]
前述した通りの方法で測定された。コアの圧縮変形量P1が下記の表4に示される。カバーが設けられて成る球体の圧縮変形量P2が下記の表4に示される。
[ドライバーでのショット]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、チタン合金ヘッドを備えたドライバーを装着した。ヘッド速度が50m/sとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃して、打撃直後のバックスピン速度S1と飛距離とを測定した。飛距離とは、発射地点から静止地点までの距離である。10回の測定の平均値が、下記の表4に示されている。
[ドライスピン速度Sd]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、サンドウエッジを装着した。ヘッド速度が21m/sとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃して、打撃直後のバックスピン速度(rpm)を測定した。10回の測定の平均値が、下記の表4に示されている。
[ウエットスピン速度Sw]
ボール及びクラブフェースを水で濡らした他は上記ドライスピン速度Sdの測定と同様にして、ウエットスピン速度Sw(rpm)を測定した。10回の測定の平均値が、下記の表4に示されている。
[スピン保持率Rs]
測定された上記ドライスピン速度Sd(rpm)及び上記ウエットスピン速度Sw(rpm)とに基づき、下記式によりスピン保持率Rsが算出された。このスピン保持率Rsが、下記の表4に示される。スピン保持率Rsが大きいほど、スピン安定性に優れ、良好である。
Rs(%)=[Sw/Sd]×100
Figure 0005373927
Figure 0005373927
Figure 0005373927
Figure 0005373927
表4に示されるように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明は、あらゆるゴルフボールに適用されうる。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・中間層
8・・・補強層
10・・・カバー
12・・・ディンプル
14・・・ランド
16・・・ペイント層
18・・・内側ペイント層
20・・・外側ペイント層

Claims (5)

  1. コアと、このコアの外側に位置するカバーと、このカバーを覆うペイント層とを備え、
    上記カバーの基材ポリマーがウレタン樹脂であり、
    上記ペイント層の基材ポリマーがウレタン樹脂であり、
    上記カバーの厚みTc(mm)が0.1mm以上0.7mm以下であり、
    上記ペイント層の厚みTp(mm)が0.015mm以上0.040mm以下であり、
    (Tp/Tc)が0.021以上0.40以下であり、
    上記ペイント層が二以上の層により形成されており、
    上記ペイント層の一層あたりの厚みが0.0075mm以上0.014mm以下であるゴルフボール。
  2. 上記ペイント層の基材ポリマーが、二液型ウレタン樹脂又は二液型エポキシ樹脂である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記カバーの基材ポリマーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーである請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 上記コアと上記カバーとの間に、一層以上の中間層が設けられ、
    上記コアに接している中間層の基材ポリマーがアイオノマー樹脂である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 上記カバーのショアD硬度が20以上50以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
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