JP5373478B2 - 化学物質センサ - Google Patents

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Description

本発明は、表面プラズモン共鳴を用いて、化学物質の量、濃度等をセンシングする化学物質センサに関する。
まず、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)について説明する。表面プラズモンとは、物体の表面(または、境界面)において、境界条件を満たす自由電荷(ほとんどの場合は電子)の集団震動のことである。電磁波が境界面で全反射する時には、エバネッセント波が発生するが、このエバネッセント波と表面プラズモンの位相速度が一致する場合に、表面プラズモンを共鳴的に励起する。この現象を表面プラズモン共鳴という。なお、表面プラズモン共鳴が起こった場合には、入射波のエネルギーは表面プラズモンの励起によって奪われるため、反射率は低下する。また、表面プラズモンの共鳴条件は、物体の表面の屈折率変化に対して敏感に応答する。例えば、金属膜表面の屈折率が変化した場合には、これに応答して表面プラズモン共鳴の生じる電磁波の入射角度、波長及び周波数等が変化する。これを利用した表面プラズモン共鳴構造(以下、SPR構造という。)が化学物質センサ等に応用されている。
SPR構造を利用した従来技術として、特許文献1がある。特許文献1の化学物質センサ100は、表面プラズモン共鳴を利用し、分子認識機能性物質に対して特異的反応を示す試料溶液6中の化学物質の測定等を行う。図9は、特許文献1記載の化学物質センサ100の構成を示す図である。プリズム1の一面に金属膜2、分子認識機能膜5及び試料溶液6の流れる流路7が配置されている。白色光光源8からの入射光3を、偏光子10がp偏光の光波にし、更にコリメーターレンズ11が平行光にする。入射光3は、金属膜2が配置されたプリズム1の表面で全反射する角度範囲で入射される。その際、入射角度を変化させながら入射される。そして、ある特定の角度のときには、表面プラズモンの励起によって反射光4の強度が低下する。ここで、試料溶液6中の化学物質が分子認識機能膜5に付着した場合には、分子認識機能膜5の屈折率が変化する。金属膜表面の分子認識機能膜5の屈折率等の変化により、表面プラズモンの励起される入射角度が変化する。この変化を検知して試料溶液6中の測定対象の化学物質の濃度等を測定することができる。この化学物質センサは、斜め入射配置を必要とする。また、角度分解可能な検出器アレイ、または、検出器の角度制御機構を必要とする。そのため、精密な角度分解能を必要とする。例えば、10−6オーダーの屈折率変化を測定するために、10−5°オーダーの角度分解能を必要とする。
この問題を解決した従来技術として、非特許文献1記載の光集積回路型プラズモン素子210を利用した化学物質センサがある。非特許文献1記載の光集積回路型プラズモン素子210の構造を図10に示す。なお、図9と対応する構成要素については、同様の符号を付す。この光集積回路型プラズモン素子210は、表面プラズモンを生ずる平面多層構造220に覆われた光導波路230と光導波路基板240からなる。平面多層構造220は、表面プラズモン共鳴を起こす金属膜2(例えば、金)と、接着を促進する層221(例えば、クロム)やセンサの動作範囲の調整等を行う層222(例えば、五酸化タンタル)と、その上に吸着形成される図示しない分子認識機能膜を含む。
なお、試料溶液6の流れる流路7は、分子認識機能膜に接するように配置される。光は、光導波路230を伝播し、導波モードと表面プラズモンの位相速度が一致する場合、多層構造220内で表面プラズモンを励起する。光集積回路型プラズモン素子210の導波モードと表面プラズモンの位相速度が一致する条件は、狭いスペクトル帯に限られ、広帯域光3が光導波路230に送り出された場合、出力光4のスペクトルは、狭いくぼみを示す。非特許文献1の実験結果の一例を図11に示す。このくぼみは、光エネルギーが表面プラズモンの励起によって奪われるためである。表面プラズモン伝搬定数はエバネッセント場内での屈折率分布の変化にとても感度がよい。分子認識機能膜に化学物質が付着し、分子認識機能膜の屈折率が変化し、それに伴い、くぼみの位置も変化する。よって、非特許文献1記載の化学物質センサは、くぼみの位置の変化を検知して試料溶液6中の化学物質の濃度等を測定することができる。
特開平6−58873号公報
J.Dostalek、外8名、"Surface plasmon resonance biosensor based on integrated optical waveguide", SENSORS AND ACTUATORS B:CHEMICAL, Elsevier, 1 June 2001, Volume 76, Issues 1-3, Pages 8-12
近年、微量な化学物質に対するセンシングのニーズが大きくなっている。例えば、病理センシングの分野においては従来の採血や体組織採取による患者の負担・苦痛が大きい検査ではなく、汗・尿・呼気等による非侵襲センシングが求められている。このような非侵襲センシングは一般的に測定対象の化学物質の量・濃度が小さく、非常に高感度なセンシング技術が必要となる。例えば、図11に示すように、非特許文献1記載の化学物質センサは、10−2オーダーの屈折率変化(屈折率nが1.33から1.34に変化した場合)を測定するために、約20nm(ナノメータ)のくぼみの現れる波長のシフト(波長が800nmから820nmにシフトする)を感知する必要がある。ここで、10−11オーダーの屈折率変化(屈折率が1.33から1.33+10−11に変化した場合)を測定するために、約20am(アトメータ)の波長のシフトを感知する必要がある。このように屈折率変化が小さくなると、波長のシフトも小さくなり、正確にその変化を求めることが困難となる。
本発明は、高感度な化学物質センサを提供することを目的とする。
本発明にかかる化学物質センサは、光共振器内の光エネルギーの一部が表面プラズモン共鳴によって失われるように具備されたSPR構造を有するレーザ光源部と、もう一つの基準となるレーザ光を出力する基準レーザ光源部と、レーザ光源部からの出力光と基準レーザ光源部からの出力光とを合波する手段と、その合波された光を検出する光検出器と、その光検出器の出力を受けて合波された光のビート周波数を測定する周波数測定器を備える。
本発明によれば、レーザ光源部からの射出光と基準レーザ光源部からの射出光との結合光のビート周波数を検知することにより、従来にない高感度な化学物質センサを実現することができる。例えば、10−11オーダーの屈折率変化を測定するために、10kHzオーダーのビート周波数を測定することができればよい。
実施例1の化学物質センサの構成例を示す図。 利得率曲線と反射率曲線の関係を示す図。 基準レーザ光源部330がレーザ光源部320の金属膜2に化学物質の付着していない場合に射出する光が持つ周波数と同様の周波数を有する光を射出する場合の構成例を示す図。 金属膜2表面の屈折率の変化と検出されるビート周波数との関係を示す図。 実施例2の化学物質センサ400の構成例を示す図。 実施例3の化学物質センサ500の構成例を示す図。 変形例1の化学物質センサ500’の構成例を示す図。 変形例2の化学物質センサ500”の構成例を示す図。 特許文献1記載の化学物質センサ100の構成を示す図。 非特許文献1記載の光集積回路型プラズモン素子210の構造を示す図。 非特許文献1の実験結果の一例を示す図。
ここで、本発明の実施例について述べる。
実施例1の化学物質センサの構成例を図1に示す。なお、図9と対応する構成要素については、同様の符号を付す。化学物質センサ300は、SPR構造310を含むレーザ光源部320と、基準レーザ光源部330と、結合手段340と光検出器341及び周波数測定器350を有する。レーザ光源部320は、SPR構造310と、利得媒体321とを、光共振器322の内部に有する。
SPR構造310は、プリズム1の表面に金属膜2が形成されてなる構造である。金属膜2は、測定対象の化学物質が付着する面と光が照射される面を有する。光3は、金属膜2に対してプリズム1側から0度でない所定の入射角を有して入射する。化学物質の付着を受ける面において、測定対象の化学物質と選択的に反応する物質を塗布してなる分子認識機能膜5が形成されてもよい。これにより、化学物質のセンシングに選択性を持たせることができる。なお、金属膜2と分子認識機能膜5との間に、センサの動作範囲の調整等を行う調整層(図示しない)を有してもよい。測定対象の化学物質と選択的に反応する物質の組合せとしては、例えば、抗原と抗体との反応を用いた反応系や、DNAのハイブリダイゼーションによる反応系等が挙げられる。なお、必要に応じて、試料溶液6の流れる流路7が、金属膜2、又は、分子認識機能膜5(若しくは上記調整層)に接するように配置されてもよい。この分子認識機能膜5、上記調整層、試料溶液6及び流路7については、以下で説明する他の実施例においても有していてもよい。
表面プラズモン共鳴によって、付着した化学物質の量に依存してSPR構造310の光に対する周波数特性が変化する。例えば、SPR構造310の反射光4のスペクトルは、ある特定の周波数(例えば、375THz)において、表面プラズモン共鳴の条件を満たし、反射率が低下する。金属膜2表面に化学物質が付着した場合には、その屈折率が変化する(例えば、屈折率1.33から1.33+10−11に変化する)。表面プラズモン共鳴の条件は、金属膜表面の屈折率の変化に敏感に反応するため、反射率の低下する周波数も変化する(例えば、375THzから374.99999999THzに変化する)。
利得媒体321は、光共振器322内で光を放出・増幅してレーザ発振を起こすが、このレーザ装置のタイプは、例えばガスレーザでも、半導体レーザでも、その他いかなる種類のレーザとしてこのレーザ光源部320を構成してもよい。光共振器322は、実施例1においては、全反射鏡323と一部透過性鏡324とのミラー対で構成するのが好適である。この光共振器322に、SPR構造310が、共振器内を伝播する光がそのSPR構造310を介して往復するように備えられ、光共振器322内の光は、SPR構造310で生じる表面プラズモン共鳴によってエネルギーの一部を失うようにされる。このような装置の条件でレーザ発振した光が、一部透過性鏡324から出力される。
図1に示す実施例1では、プリズム型のSPR構造310と利得媒体321とが、全反射鏡323と一部透過性鏡324の間に配置される。利得媒体321が放出する光を、SPR構造310で反射し、2枚の鏡323,324の間で利得媒体321、SPR構造310を介して、光が往復するように配置される。なお、配置の順序は、鏡323,324に挟まれた利得媒体321とSPR構造310が逆の配置でもよく、これは他の実施例においても同様である。利得媒体321はポンピングにより、吸収よりも誘導放出の方が優勢な、いわゆる反転分布状態を形成する。光共振器322内の光は利得媒体321を通過するたびに誘導放出により増幅される。ただし、表面プラズモンを励起する周波数では、SPR構造310を通過するたびに表面プラズモンの励起にエネルギーを奪われる。
化学物質センサの初期設定において、利得媒体321の利得率曲線50とSPR構造310による反射率曲線60が、図2の(A)や(B)のような関係となるように設定する。SPR構造310による反射率曲線60の減衰のスロープの中点をカットオフ61と定義する。カットオフ61と利得媒体321の利得率曲線50のピーク51との差をΔカットオフと定義する。例えば、図2(A)(B)は、それぞれΔカットオフが5THz(波長次元では、10nm)、15THz(波長次元では、30nm)の場合を表している。このとき、金属膜2表面に化学物質が付着していない場合には、レーザ光源部320は、利得率と反射率の積が最大となる周波数ν(以下「発振周波数」という)において発振する。金属膜2表面に化学物質が付着した場合には、その付着量に応じて、反射率が低下する周波数が変化し、併せて、発振周波数も変化する。変化後の反射率曲線を60’、発振周波数をν’とする。なお、通常は、金属膜2表面に化学物質が付着した場合には、当該の個所の屈折率が増加し、図11のように表面プラズモン共鳴を生じる波長は右にシフトする。図2は、横軸を波長ではなく、周波数としているため、反射率曲線は左にシフトする。だが、化学物質が付着した場合に屈折率が低下し、反射率曲線が右にシフトする場合でも、当然に本発明の技術的思想の範囲内である。このように、化学物質の付着量の変化を発振周波数に反映することができるのは、共振器322内にSPR構造310を設けているためである。
基準レーザ光源部330は、上記レーザ光源部320の発振周波数の変化を見るための基準となるもう一つのレーザ光を出力する。例えば、レーザ光源部320からSPR構造310を除いた場合に得られる周波数を有する光を出力する。また、図3に示すように、レーザ光源部320の金属膜2に化学物質の付着していない場合に射出する光が持つ周波数と同様の周波数を有する光を射出するものであってもよい。レーザ光源部320と同様の構成を有し、SPR構造310’には、参照用の金属膜2’を設け、化学物質等が付着しないように配置する。他にも、レーザ光源部320の発振周波数に近くて、化学物質の付着と無関係な、基準となる周波数を有する光を出力するものであればよいが、レーザ光源部320の発振周波数が温度等の環境によって変動する場合には、基準レーザ光源部330も、レーザ光源部320と略同一の環境にあって略同一の周波数変動を生じるものが好適である。なお、レーザ光源部320、基準レーザ光源部330は、何れも発振周波数が可変であってもよい。以下で説明する他の実施例においても同様である。
レーザ光源部320からの出力光と基準レーザ光源部330からの出力光とを合波する手段としては、両出力光を光検出器の受光面上で重ね合わせる方法も可能であるが、両出力光の一部ずつを取り出して光路を結合するプリズム(半透鏡)などの結合手段340を用いて、その形成する合波光束を光検出器341に入射させる形態が好適である。周波数の異なる2つの光を重ね合わせると、その差周波に等しい光のうなりを生じる。このうなりの周波数を「ビート周波数」という。周波数測定器350は、光検出器341の出力を受けてそのビート周波数を測定する。
基準レーザ光源部330の出力する光の周波数をνとし、レーザ光源部320の化学物質付着前の出力する光の周波数をνとし、付着後の出力する光の周波数をν’とすると、周波数測定装置350において測定されるビート周波数は、|ν−ν|から|ν−ν’|に変化する。
本発明では、このビート周波数の変化を測定して試料溶液6中の測定対象の化学物質等をセンシングすることができる。このビート周波数の変化を測定することで、従来よりも高感度の化学物質センサを実現することができる。例えば、基準レーザ光源部330の発振周波数(例えば、375THz)とレーザ光源部320の金属膜2に化学物質が付着していない場合の発振周波数を同じにすると、10−11オーダーの屈折率の変化があった場合に(例えば、屈折率が1.34から1.34+10−11に変化した場合)、ビート周波数は、|ν−ν|(例えば、375THz−375THz=0)から|ν−ν’|(例えば、375THz−374.99999999THz=10kHz)に変化するので、10kHzオーダーのビート周波数を測定することによって、10−11オーダーの屈折率変化に相当する化学物質の付着を検出する高感度センシングが可能となる。
なお、本化学物質センサの初期設定における図2(A)(B)に示したΔカットオフの値の選び方により、金属膜2表面の屈折率の変化と検出されるビート周波数との関係は図4のようになる。Δnは、変化前後の屈折率の差である。線分70は、図2(A)の、Δカットオフの値が5THz(波長次元では、10nm)の場合である。線分71は、図(B)の、Δカットオフの値が15THz(波長次元では、30nm)の場合である。図4にも示されるとおり、この領域では、Δカットオフを大きな値とすることにより、化学物質センサの分解能は向上する。Δカットオフの設定にあたっては、測定レンジ内での屈折率変化とレーザ光源部320の発振周波数との単調な関係を確保するように化学物質センサを設計した上で、有利な分解能が得られる値を選択すべきである。
ところで、近年、周期的なトポグラフィ(金属膜または金属膜及びそれと界面を接する誘電体の両方に設けられる、凹凸や開口などの周期的な形状変化の分布)を導入した“SPR増強構造”を用いることにより、SPR効果が増強され、SPR共鳴ピークのQ値を向上できることが明らかになり、注目を集めている。この回折格子として作用する周期的な凹凸等を有する“SPR増強構造”においては、光の金属膜面への垂直入射を利用することができ、またその反射光のみならず透過光にもSPRの共鳴ピークが出現する特徴があり、いくつかのセンサへの応用が提案されている(特開2005−16963号公報、特開2005−308658号公報)。
本発明の化学物質センサにおいては、この“SPR増強構造”を、レーザ光源部320の光共振器322を構成するミラー対の片側として、具体的には、全反射鏡と一部透過性鏡とのミラー対を用いる場合の全反射鏡に置換して用いることができる。その実施例2の化学物質センサの構成例を、図5に示す。金属膜2は、周期的なトポグラフィを有し、SPR構造310’の金属膜であって、かつ、光共振器322のミラーの一つである。このSPR構造310’の金属膜2が構成するミラー面2と、そのミラー面に対向して設けられる他の一部透過性ミラー324とで光共振器322を構成する。この光共振器322の内部を伝播する光は、SPR構造310’の金属膜2に対して垂直入射する。なお、実施例1と同様、レーザ装置のタイプは、ガスレーザでも、半導体レーザでも、その他いかなる種類のレーザであってもよい。
この実施例2の構成においては、図5に示すとおり、光学系の直線的配置が可能となって、構造の簡略化が図られる。また、SPR増強により、図2(A)(B)に示した反射率曲線60,60’の急峻化、すなわち共振器としての利得曲線のピークの急峻化が期待できるため、レーザ発振の安定性向上の点からも有利である。
図6に実施例3の化学物質センサ500の構成例を示す。なお、図9、10、1及び5と対応する構成要素については、同様の符号を付す。実施例1と異なる部分のみ説明する。SPR構造は、光導波路基板240の光導波路230を有する面において、金属膜2が光導波路230を覆う構造を備える光集積回路型プラズモン素子210である。なお、金属膜2(例えば、金)に、接着を促進する層221(例えば、クロム)やセンサの動作範囲の調整等を行う分子認識機能膜5等を積層し、平面多層構造220としても良い。なお、試料溶液6の流れる流路7は、分子認識機能膜5に接するように配置してもよいが、図6には、図示していない。
レーザ光源部520は、全反射ミラー素子523と一部透過性ミラー素子524とを光導波手段550で相互に接続してなる光共振器522の光路中に、光集積回路型プラズモン素子210と、利得光導波手段321’とを、直列に介挿して構成される。つまり、レーザ光源部520は、全反射ミラー素子523と一部透過性ミラー素子524との間に、光集積回路型プラズモン素子210と、利得媒体を含有する光導波手段である利得光導波手段321’とが一列に配され、それらとミラー素子523、524との間をすべて光導波手段550で接続して光導波手段型のレーザ光源を構成する。ここで光導波手段とは、光導波路や光ファイバ等であり、上記の利得光導波手段は、内部に利得媒体を備えて光を放出することのできる光導波路や光ファイバの形態の素子である。なお、全反射ミラー素子523と一部透過性ミラー素子524との少なくとも一方は、光集積回路型プラズモン素子210または利得光導波手段321’の何れかの一つの端面として構成されてもよい。
レーザ光源部520の一部透過性ミラー素子524及び基準レーザ光源部330の出射端の各々を光導波手段550で、光導波手段型の結合器である光カプラ340’、すなわち光導波路の分岐結合器や光ファイバカプラに接続し、その光カプラ340’から光検出器341までも光導波手段550で接続する。こうして、センサの光学系がすべて光導波手段で構成され、必要ならオールファイバ化も可能となって、装置の安定性や取扱いの向上が図られる。
[変形例1]
図7に変形例1の化学物質センサ500’の構成例を示す。なお、図9、10、1、5及び6と対応する構成要素については、同様の符号を付す。全反射ミラー素子523を光集積回路型プラズモン素子210の一つの端面として集積形成し、光集積回路型プラズモン素子210の他の端面と利得光導波手段321’を光ファイバ551で接続する。このような構成にすることによって、光集積回路型プラズモン素子210は、光ファイバ551のケーブルを介して、化学物質センサ500’の残余の部分に対し移動自在に結合されるセンシング部を構成する。化学物質センサ500’全体では、それを設置ないし移動させて対象を測定することが物理的に困難な場合であっても、光集積回路型プラズモン素子210をサンプルに接触させ、化学物質の測定をすることができる。
[変形例2]
図8に変形例2の化学物質センサ500”の構成例を示す。なお、図9、10、1、5、6及び7と対応する構成要素については、同様の符号を付す。化学物質センサ500”において、レーザ光源部520、基準レーザ光源部330及び光導波路型の光カプラ340”は、すべて1つの光導波路基板560上に設けられる。また、光検出器341も同じ基板上に搭載される。ここでそれらを相互に接続する光導波手段は、すべてその基板上に形成される光導波路552である。このような構成とすることで、半導体レーザやフォトダイオードを同一の光導波路基板上に集積するような工程と同様の工程により化学物質センサ500”を作製できる。構成全体を集積化することにより、高精度な組み立て作業は必要なくなり、さらなる小型化、低価格化も可能である。さらに、変形例2では、基準レーザ光源部330は、レーザ光源部520と同様の構成を有し、共振器522及び利得光導波手段321’を、レーザ光源部520と基準レーザ光源部330によって共用することによって、さらなる小型化、低価格化を可能としている。この場合、基準レーザ光源部330のSPR構造210’の金属膜2’は、測定対象の化学物質が付着しないようにする。なお、基準レーザ光源部330は、別途、光導波路基板560上に半導体レーザ等を設けたものであってもよい。また、利得光導波手段321’として化合物半導体を用いてもよい。
なお、本発明における化学物質センサは、液体中の化学物質のセンシングのみではなく、気体中の化学物質のセンシングに用いることもできる。以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 プリズム 2 金属膜 5 分子認識機能膜
100、300、400、500,500’、500” 化学物質センサ
210 光集積回路型プラズモン素子 220 平面多層構造
230 光導波路 240 光導波路基板 310 SPR構造
320,520 レーザ光源部 321 利得媒体
321’ 利得光導波手段 322,522 光共振器
330 基準レーザ光源部 340 結合手段
340’、340” 光カプラ 341 光検出器
350 周波数測定器 550 光導波手段
551 光ファイバ 552 光導波路

Claims (9)

  1. 測定対象の化学物質が付着する面と光が照射される面を有する金属膜を備え、付着した前記化学物質の量に依存して前記光に対する周波数特性が変化する表面プラズモン共鳴構造(以下「SPR構造」という)を用いた化学物質センサであって、
    光共振器と、光共振器の内部に収容される利得媒体と、光共振器の内部を伝播する光のエネルギーの一部が表面プラズモン共鳴によって失われるように具備される前記SPR構造とを有してなり、前記金属膜に付着した前記化学物質の量に依存した発振周波数でレーザ発振した光を出力するレーザ光源部と、
    基準となる光を出力するもう一つのレーザ光源である基準レーザ光源部と、
    前記レーザ光源部からの出力光と前記基準レーザ光源部からの出力光とを合波する手段と、
    その合波された光を検出する光検出器と、
    前記光検出器の出力を受けて前記合波された光のビート周波数を測定する周波数測定器と、
    を備える化学物質センサ。
  2. 請求項1に記載される化学物質センサにおいて、
    前記SPR構造は、プリズムの表面に前記金属膜が形成された構造であり、
    前記光共振器の内部を伝播する光は、前記金属膜に対してプリズム側から0度でない所定の入射角を有して入射する
    ことを特徴とする化学物質センサ。
  3. 請求項1に記載される化学物質センサにおいて、
    前記SPR構造の金属膜は、周期的なトポグラフィを有し、前記光共振器は、前記SPR構造の前記金属膜が構成するミラー面と該ミラー面に対向して設けられる他の一部透過性ミラーとでなる光共振器であり、前記光共振器の内部を伝播する光は、前記SPR構造の前記金属膜が構成するミラー面に対して垂直入射することを特徴とする化学物質センサ。
  4. 請求項1に記載される化学物質センサにおいて、
    前記SPR構造は、光導波路基板の光導波路を有する面において、前記金属膜が該光導波路を覆う構造である光集積回路型プラズモン素子であり、
    前記レーザ光源部は、全反射ミラー素子と一部透過性ミラー素子とを光導波手段で相互に接続してなる光共振器の光路中に、前記光集積回路型プラズモン素子と、前記利得媒体を含有する光導波手段である利得光導波手段とを、直列に介挿して構成され、
    前記合波する手段は、光導波手段でなる光カプラであり、
    前記レーザ光源部の前記一部透過性ミラー素子及び前記基準レーザ光源部の出射端の各々と前記光カプラ、並びに前記光カプラと前記光検出器とは、すべて光導波手段で相互に接続されていることを特徴とする化学物質センサ。
  5. 請求項4に記載される化学物質センサにおいて、
    前記全反射ミラー素子と一部透過性ミラー素子との少なくとも一方は、前記光集積回路型プラズモン素子または前記利得光導波手段の何れかの一つの端面であることを特徴とする化学物質センサ。
  6. 請求項5に記載される化学物質センサにおいて、
    前記全反射ミラー素子は、前記光集積回路型プラズモン素子の一つの端面であり、
    前記光集積回路型プラズモン素子の他の端面と前記利得光導波手段とを接続する光導波手段は、光ファイバであり、
    前記光集積回路型プラズモン素子は、その光ファイバのケーブルを介して、化学物質センサの残余の部分に対し移動自在に結合されるセンシング部を構成することを特徴とする化学物質センサ。
  7. 請求項4又は5に記載される化学物質センサにおいて、
    前記レーザ光源部、前記光カプラ及び前記光検出器は、すべて1つの基板上に設けられ、それらを相互に接続する前記光導波手段は、すべてその基板上に形成される光導波路であることを特徴とする化学物質センサ。
  8. 請求項1から7の何れかに記載される化学物質センサにおいて、
    前記基準レーザ光源部は、前記レーザ光源部の前記金属膜に化学物質の付着していない場合に射出する光がもつ周波数と同一の周波数を有する光を射出することを特徴とする化学物質センサ。
  9. 請求項1から8の何れかに記載される化学物質センサにおいて、
    前記SPR構造において、前記金属膜は、前記化学物質の付着を受ける面において測定対象の化学物質と選択的に反応する物質を塗布した分子認識機能膜を有することを特徴とする化学物質センサ。
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