JP5373251B2 - 収差補正手段を備える粒子光学装置 - Google Patents

収差補正手段を備える粒子光学装置 Download PDF

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Description

本発明は、対物レンズを備え、対物レンズのレンズ誤差を補正する収差補正手段を備える粒子光学装置に関し、収差補正手段は、
第1の四極型レンズと第2の四極型レンズと第3の四極型レンズと第1の八極子とから連続して成る第1の光学素子群と、
第2の八極子と第4の四極型レンズと第5の四極型レンズと第6の四極型レンズとから連続して成る第2の光学素子群と、
両方の光学素子群の外に配置された少なくとも1つの第3の八極子とから成り、
第1の八極子及び第2の八極子と、第3の四極型レンズ及び第4の四極型レンズは、一方で第1の四極型レンズ及び第2の四極型レンズの間に配置され、他方で第5の四極型レンズ及び第6の四極型レンズの間に配置され、四極型レンズは、八極子をお互いの上に結像させるように、収差補正手段における荷電粒子の経路を定める。
そうした装置は、米国特許出願公開第2004/0004192号明細書によって公知である。該文献記載の収差補正手段(収差補正器)は、第1の光学素子群と第2の光学素子群とを備える。光線伝搬の方向(上記引用米国文献における参照数字を参照。)において、第1の光学素子群は、2つの四極子51及び52と、四極子及び八極子の組み合わせ61と、四極子53とから連続して成る。光線伝搬の方向では、第2の光学素子群は、四極子55と、四極子及び八極子の組み合わせ62と、2つの四極子56及び57とから連続して成る。更なる八極子64を上記素子の手前に配置することができる。あるいは、この八極子64は割愛することができ、八極子63は上記素子の後に配置することができる。全体では、この公知の収差補正器はよって、8つの四極子及び3つの八極子から成る。
上記引用米国文献記載の収差補正器を用いれば、対物レンズの3次球面収差を完全に補正することができ、5次幾何学像誤差全てを補正することもできる。更に、上記引用米国文献は、1次の軸上色収差を更に補正することができるということを記載している。
[背景技術]
本発明は、四極子及び八極子から構成される収差補正器を備える粒子光学装置を備えることを目的とし、収差補正器は、上記米国特許文献記載の収差補正器よりも単純な構成を有し、それによって少なくとも同様な収差補正力が維持される。
この目的で、本発明による粒子光学装置は、
第1の軸平面において、第1の八極子及び第2の八極子はお互いの上に結像されない一方、第2の八極子及び第3の八極子はお互いの上に結像され、
第1の軸平面に垂直な第2の軸平面において、第1の八極子及び第2の八極子はお互いの上に結像されない一方、第1の八極子及び第3の八極子はお互いの上に結像され、
軸ビームは、第1の軸平面において第1の八極子の軸上点を通過し、第2の軸平面において第2の八極子の軸上点を通過し、
放物レンズの3次レンズ誤差の補正の結果、放物レンズの5次レンズ誤差は少なくとも最小にされることを特徴とする。
上記米国文献は、x-z平面においてもy-z平面においてもお互いの上に八極子全てを結像させなければならないということを記載している。本発明は、これは過度に厳しい要求であり、緩和することができるという洞察に基づいている。そうした過度に厳しい要求を緩和することは、軸上光線が、第1の軸平面において第1の八極子の軸上点を通り、第2の軸平面において第2の八極子の軸上点を通るということによって可能になる。言い換えれば、四極子によって、第1のラインフォーカスが第1の八極子において形成され、第1のラインフォーカスに垂直な第2のラインフォーカスが第2の八極子において形成される。緩和された要求はその場合、第1の軸平面において、第1の八極子及び第2の八極子がお互いの上に結像されない一方、第2の八極子及び第3の八極子がお互いの上に結像され、第1の軸平面に対して垂直な第2の軸平面において、第1の八極子及び第2の八極子はお互いの上に結像されない一方、第1の八極子及び第3の八極子はお互いの上に結像される。このようにして過度に厳しい要求を幾分緩和することによって、対物レンズの収差の完全な補正をなお行うことができ、その結果、本発明による収差補正器において、8つの四極子の代わりに6つの四極子のみで十分になり得る。このようにして、補正器の構築コストが削減されるのみならず、構成部分数の低減の結果、粒子光学装置内の励起調節及びアラインメントの複雑度も低下する。
本発明による粒子光学装置の実施例では、第3の四極型レンズの四極場と第1の八極子の八極場はお互いに少なくとも部分的に重なり、第4の四極型レンズの四極場と第2の八極子の八極場はお互いに少なくとも部分的に重なる。このようにして、四極子及び八極子を1つの物理体として実施することができ、その結果、例えば、磁気多極子の場合、例えば、単一の鉄磁路でよく、単一の電源装置でもよい。更に、四極子及び八極子の空間的一致の結果、空間が節減され、その結果、粒子光学装置の構成を小型化することができる。
本発明による粒子光学装置の別の実施例によれば、第3の八極子は、収差補正手段の、粒子光学装置において補正する対象の対物レンズが配置されていない側に配置される。最適な補正を達成するよう、補正する対象の対物レンズの、コマ収差のない平面上に第3の八極子が結像されるということが四極子・八極子補正器の場合に、一般的に望ましい。次に、第3の八極子が、補正器の、放物レンズの配置された側に配置される場合、当該像を達成するように、この八極子と、対物レンズとの間の伝送レンズが必要になる。しかし、第3の八極子が、補正器の、粒子光学装置において補正する対象の放物レンズが配置されていない側に配置される場合、対物レンズは、補正器の反対側に配置することができ、伝送レンズはよって、必要でない。
本発明による粒子光学装置の更に別の実施例では、第3の八極子は、光学軸に対して垂直な断面によって、第1の部分と、等しい第2の部分とに分割され、そうした部分は各々、両方の光学素子群の、反対側に配置され、光学軸に対して垂直なミラー対称平面は、対称平面に対してミラーリングされると、第1の群の3つの四極子の位置及び八極子の位置と、第3の八極子の第1の部分の位置は、第2の群の3つの四極子の位置及び八極子の位置と、第3の八極子の第2の部分の位置とをもたらし、それによって、第1の群の四極子の励起が第2の群の相当する四極子のものの逆になる。こうした方策によって、いくつかの、5次のレンズ誤差が補正される。こうした5次レンズ誤差は、体系的分類によって、本質的に公知である方法で表すことができる。この意味合いで、M. Haider他によるUltramicroscopy 81, (2000), pp. 163-175参照。この分類では、3次及び5次の軸上幾何学レンズ誤差全てが、係数をA、C、D及びSの文字によって示す種々の群に分割される。係数には、適切なレンズ誤差の次数を示す指数が更に備えられる。例えば、この分類系では、3次球面収差の一般的に知られている係数は、C3によって示される。前述の方策を用いて補正されるレンズ誤差の係数は、この分類においてA5及びS5によって示される。これらは、6回回転対称性を備える5次収差及び2回回転対称性を備える5次収差として各々表すことができる。このようにして、こうしたレンズ誤差はよって、全てゼロに等しくされる。
本発明による粒子光学装置の更に別の実施例では、第3の四極型レンズ及び第4の四極型レンズは各々、静磁気四極子及び静電気四極子の組み合わせとして実施される。こうした方策を用いることによって、1次でかつ1級の軸上色レンズ誤差(Uが荷電粒子の加速電圧であるとき、(ΔU/U)1に比例する色レンズ誤差)がゼロに等しくされ、非軸上色レンズ誤差が比較的小さくされる状況を達成する。軸上レンズ誤差は、その大きさが光学軸までの距離に対する比例性を表さないレンズ誤差として解釈されるものとする。(軸上レンズ誤差の例としては、係数C3を備える前述の3次球面収差があり、非軸上レンズ誤差の例としては、光学軸までの距離rに大きさが比例する3次コマ収差がある。)更に、こうした方策を用いることによって、従来の補正器の場合にはこの補正器によって強く増加することになる2級の軸上色誤差が、本願の補正器において上記方策の結果、もう一度削減される状況を達成するものでもある。
本発明による粒子光学装置の更なる実施例において、第1の光学素子群からの更なる四極型レンズと、第2の光学素子群からの更なる四極型レンズは各々、静磁気四極子及び静電気四極子の組み合わせとして実施される。こうした方策の技術的効果は、更なる色収差、すなわち、色拡大誤差(Ccm)又は、2級の軸上色誤差(Ccc)をゼロにちょうど等しくすることができる。このようにして、かつ、こうした方策によって、選択に応じて、両方の誤差の一方をゼロにちょうど等しくし、他方を削減することが可能であるが、同時に、両方をゼロにちょうど等しくすることは概して可能でない。
本発明による粒子光学装置の更に別の実施例では、伝送レンズ系が、補正器と、補正する対象の対物レンズとの間に配置され、このレンズ系によって、粒子光線が光学軸における交点を通過し、その交点の位置では、第7の四極子が配置される。なお、伝送レンズ系も、単一のレンズを表すものとして解釈されることとする。こうした方策の技術的効果は、この場合も又、更なる色収差、すなわち、色拡大誤差(Ccm)又は、2級の軸上色誤差をゼロにちょうど等しくさせることができるというものである。この場合も又、こうした方策を用いて、こうした誤差を同時に、両方ともゼロにちょうど等しくすることは概して可能でない。
本発明による粒子光学装置の更に別の実施例では、第1の光学素子群からの3つの四極型レンズと、第2の光学素子群からの3つの四極型レンズは全て、静磁気四極子及び静電気四極子の組み合わせとして実施され、第1の四極子、第2の四極子、第5の四極子及び第6の四極子も、無色であるものとして実施される。こうした方策を用いれば、3つの種類のレンズ誤差を補正することができる。すなわち、3つの種類のレンズ誤差には、
(1) Cccによって示される1次でかつ2級の軸上色レンズ誤差と、
(2) 3次でかつ1級の、軸上幾何学的レンズ誤差及び軸上色レンズ誤差を混合したものがある。こうした混合レンズ誤差は、
C3cによって示す、光学軸を中心として円対称である成分と、
S3cによって示す、光学軸を中心とした2回回転対称性を表す成分と、
A3cによって示す、光学軸を中心とした4回回転対称性を表す成分との3つの成分から成る。3つの種類のレンズ誤差には、更に、
(3) Ccmによって示す、1次及び1級の非軸上色レンズ誤差がある。なお、3つの種類のレンズ誤差の上記方策を用いれば、2つのものを概して、同時にゼロに等しくすることができ、それによって、ずっと小さくされる第3のものは、ゼロにちょうど等しくなるものでない。
本発明の更に別の実施例では、少なくとも3つの更なる八極子が追加され、それらは、第1の八極子の位置、第2の八極子の位置及び第3の八極子の位置の各々に配置され、第1の八極子、第2の八極子及び第3の八極子は偶である八極子であり、第1の別の八極子、第2の別の八極子及び第3の別の八極子は偶でない八極子であり、偶でない八極子の各々は、光学軸に垂直な断面の結果、第1の部分及び第2の部分から成り、偶でない八極子の各々の第1の部分及び第2の部分の励起の比率が、偶でない八極子の3次軸上収差に対する寄与はゼロに等しく、偶でない八極子全ての合計励起が、収差補正手段と、補正する対象の対物レンズとの組み合わせの異方性コマ収差がゼロに等しいようなものである。3つの別の八極子は、光出力が比較的小さいことがあり得るので、異方性コマ収差の補正をこのようにして達成することが容易にできる。
本発明は、添付図面に基づいて更に明らかにし、同じ参照数字は、相当する構成要素を示す。
近軸設計
この節では、まず、本発明による補正器の近軸設計を行うことに関する実施例を表すこととする。6つの四極子及び3つの八極子を備える補正器設計を行うことに関する算出を非常に複雑にし、かつ/又は非常に分かりにくくすることがないように、単純化するいくつかの初期条件を採用し得る。そうした初期条件は、基本的には、自由に選ぶことができ、そうしたいくつかの初期条件は、当然、補正器の設計によって提供される自由度の範囲内になければならない。最終的な設計の最初の近似は、補正器における、光線の近軸伝搬を利用する(ものであり、補正器における、光線の近軸伝搬に有効である)。
そうした初期条件は、例えば、
(1)望遠補正器を選ぶ、すなわち、光学軸に平行である補正器に入射する光線は、光学軸に平行である補正器から出てくるものでもある。
(2)6つの四極子と、3つの八極子のうちの2つは、お互いに対して光学軸上に、対称平面に対してミラーリングされると、6つの四極子のうちの3つの位置によって残りの四極子の位置がもたらされ、ミラーリングされると、2つの八極子の一方の位置によって、2つの八極子の他方の位置がもたらされる意味で、ミラー対称平面が、存在する(光学軸に垂直である)ように配置される。
(3)6つの四極子の励起は、対称平面に対して反対称的である、すなわち、四極子の静電気実施例の場合、対称平面の一方側にある正の(負の)極は対称平面の他方の側にある負の(正の)極に相当し、四極子の静磁気実施例の場合、対称平面の一方側のN極(S極)は、対称平面の他方側のS極(N極)に相当する。
更に、当然、本発明による条件も満たしたいものである。本発明による条件は、すなわち、(1)x-z平面として更に表す第1の軸平面においては、第1の八極子及び第2の八極子はお互いの上に結像されない一方、第2の八極子及び第3の八極子は結像され、(2)y-z平面として更に表す、第1の軸平面に垂直である第2の軸平面においては、第1の八極子及び第2の八極子はお互いの上に結像されない一方、第1の八極子及び第3の八極子は結像され、(3)軸上光線は、x-z平面においては、第1の八極子の軸上点を通過し、y-z平面においては、第2の八極子の軸上点を通過する。前述の初期的な条件及び要件によって、以下に表す5つの式がもたらされる。
四極子を備える光学系における光線伝搬は、x-z平面における2つの独立な光線と、y-z平面における2つの独立な光線とによって定められる。例によって、独立な光線は、いわゆる軸上光線及び視野光線として選ばれる。この意味合いでは、軸上光線は、粒子光学装置において調べる対象の標本に対して、標本の軸上点においてその標本と交差する光線と解釈され、視野光線は、標本の軸上点の外の標本と交差する光線と解釈される。
光学軸の正の方向はzによって示され、x-z平面におけるzによって変わってくる軸上光線の進路はxa(z)によって示され、x-z平面における視野光線の進路はxf(z)によって示され、y-z平面における軸上光線の進路はya(z)によって示され、y-z平面における視野光線の進路はyf(z)によって示される。
当業者に周知であるように、四極子・八極子補正器は、補正器における近軸光線伝搬に対する影響は何らない。よって、補正器における近軸光線伝搬を定めるものは四極子のみである。上記ミラー対称性を仮定とすれば、x-z平面(y-z平面)におけるミラー平面の前の2つの独立な近軸光線は、y-z平面(x-z平面)におけるミラー平面の後の2つの光線と同じ進路を示すということが当てはまる。公式の形式では、このことは、ya(z)=xa(−z)、y’a(z)=−x’a(−z)、yf(z)=−xf(−z)及びy’f(z)=x’f(−z)として表すことができる。こうした式では、x’a(z)、y’a(z)、x’f(z)及びy’f(z)は、zの関数としての、各々の光線のzに対する微分である。こうした式から、位置がz=0の、対称平面の位置で、xa(0)=ya(0)、x’a(0)=−y’a(0)、x’f(0)=y’f(0)、及びxf(0)=−yf(0)の4つの関係が得られる。これらの4つの関係においては、x’a(0)、x’f(0)、y’a(0)、及びy’f(0)は、対称平面の位置での光線xa(z)、xf(z)、ya(z)及びyf(z)の各々の傾きである。この場合、こうした4つの関係のうち3つのみが独立であるが、それは、転送行列の行列式が1に等しくなければならないという条件も見たさなければならないからであるということを認識しなければならない。この依存関係によって、相互に独立している3つの関係のみが残るように、上記4つの関係のうちの1つ、例えば、xf(0)=−yf(0)を除外することができる。よって、前述の5つの式に達するように、2つの更なる式が必要である。
この目的で、1)第1の軸平面(すなわち、x-z平面)における軸上光線は、第1の八極子の軸上点を通過し、2)第2の軸平面(すなわち、y-z平面)における軸上光線は、第2の八極子の軸上点を通過するという、本発明による規定をまず満たさなければならない。こうした規定のうちの1つを満たすことは、式をもたらす。例えば、規定1)を満たすことは、式xa(o)=x’a(o)dをもたらす。結果として、ラインフォーカスが(x-z平面におけるラインフォーカスの方向に垂直に)形成され、結果として、関係xa(o)=x’a(o)dが当てはまるように第1の3つの四極子によって視野光線が屈折する状況と、こうした要件を満たすことが同等であるという洞察に基づいて、この式が得られる。対称性の仮定(上記初期条件(2)及び(3)参照。)の結果、上記規定の一方(この場合は、よって、前述の条件1))を満たすことによって、他方(前述の条件2))が満たされることになる。このようにして、規定1)及び2)を満たすことは、1つの式のみ、すなわち、第4の式となる上記式xa(o)=x’a(o)dにつながる。
第2に、3)第1の軸平面(すなわち、x-z平面)において、第1の八極子及び第2の八極子は、お互いの上に結像されない一方、第2の八極子及び第3の八極子は、お互いの上に結像され、当該光線は、x-z平面における視野光線xf(z)であり、4)第1の軸平面に垂直な第2の軸平面(すなわち、y-z平面)において、第1の八極子及び第2の八極子は、お互いの上に結像されない一方、第1の八極子及び第3の八極子は、お互いの上に結像され、当該光線はy-z平面における視野光線yf(z)であるという、本発明による規定も満たさなければならない。こうした規定の一方を満たすことは、式をもたらす。例えば、規定4)を満たすことは、式yf(o)=y’f(0)dにつながる。既に前述した対称性の結果、規定3)及び4)を満たすことは、前述した1つの式、すなわち、第5の式になるyf(o)=y’f(0)dにつながる。
要約すれば、対称平面の位置で当てはまる5つの式は、
(1)xa(0)=ya(0)
(2)x’a(0)=−y’a(0)
(3)x’f(0)=y’f(0)
(4)xa(0)=x’a(0)d
(5)yf(0)=y’f(0)d
として表すことができる。
こうした5つの式に基づいて、本発明による収差補正器の設計に達するように、
4つの四極子各々のz位置(3つのパラメータ)と、
3つの四極子各々のz方向における厚さ(3つのパラメータ)と、
3つの四極子各々の励起(3つのパラメータ)と、
対称平面から距離がdの位置に配置される八極子のz位置、すなわち、dの値(1つのパラメータ)と、
第3の八極子の所望のz位置(1つのパラメータ)とを定めなければならない。
設計に達するように、合計3+3+3+1+1=11のパラメータをよって、定めなければならない。上記式(1)乃至(5)は、それによって、満たされなければならず、そのことは、補正器を設計するうえで、11−5=6の自由度がなお、利用可能なものとして存在するということを意味する。非常に多くの近軸設計がよって考えられ、設計処理の好適な概要を維持するように、単純化された初期シナリオを採用することができ、完全な、単純化されていない設計処理の初期シナリオとしてそれから生じる設計を用いることができる。
単純化された初期シナリオとして、例えば、四極子の薄レンズ近似を選び得る。すなわち、当初、ゼロの厚さを選ぶ。その結果、こうした3つのパラメータは、定めなくてよいので、自由度数は6から3に削減される。このことは、こうした3つのパラメータの値の適切な選択が予め行われる場合、5つの変数における5つの(非線形)等式群を解かなければならない。予め選ぶ対象のこうした3つのパラメータの値は以下の通りであり得る。第1の四極子の、対称平面Mまでの距離zQ1は80mmであり、第2の四極子の、対称平面Mまでの距離zQ2は60mmであり、第1の八極子の、対称平面Mまでの距離zO1は60mmである。上記5つの等式群は次に、例えば、いわゆる多次元ニュートン・ラフソン法によって、本質的に公知である方法で解くことができる。この手法を施すためには、適切に選ばれた初期値群、例えば、第3の八極子の、対称平面までの距離zO3=115mmと、第3の四極子の、対称平面までの距離zQ3=35mmと、更に、全てが、等しく、交番している符号を有する四極子の3つの励起、が必要である。こうした初期的な仮定により、かつ、上記5つの等式を解くことなく、図1aに表す、近軸経路の進路が得られることになる。その図(並びに図1b及び図1c)では、x-z平面xaにおける軸上光線は太実線2によって表し、x-z平面xfにおける視野光線は破点線4によって表し、y-z平面yaにおける軸上光線は薄破線6によって表し、y-z平面yfにおける視野光線は、破断線8によって表す。これらの図には、第1の四極子Q1の位置、第2の四極子Q2の位置及び第3の四極子Q3の位置と、第1の八極子O1の位置、第2の八極子O2の位置、並びに、2つの等しい部分O3a及びO3bに分割される第3の八極子O3の位置も表す。
反復的ニュートン・ラフソン法を施すことによって、第3の八極子の一部分O3aの、対称平面までの距離zO3a=120mmと、第3の四極子の、対称平面までの距離zQ3=30mmと、更に、その結果得られた近軸経路の進路が図1bに表すようなものであるような、四極子の3つの励起との解が見出される。
レンズの厚さがゼロに等しくないという仮定の場合において同様な手法を選ぶことができる。初期条件として、10mmの厚さをその場合、四極子全てについて仮定する。反復的ニュートン・ラフソン法を次に、この場合も又、この構成に施し、それは、最終的に、図1cに表す近軸経路の進路につながる。この図では、四極子の中央を表す。第3の八極子の、対称平面までの距離zO3は115mmであり、第3の四極子の中央から対称平面までの距離zQ3は34mmであることがこれによって分かる。補正器の近軸設計がよって完了する。
最終的な設計
(a)一般的なTEM、STEM及びSEMの場合
近軸設計から始めて補正器の実用的な設計に達するために、いくつかの更なる要件を満たさなければならない。こうした要件は、一方では、誤差補正力に関する条件につながり、他方では、特に、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)又は走査透過電子顕微鏡(STEM)などの特定の粒子光学装置における、補正器の適用に関する実用的な条件につながる。こうした要件/条件を満たすために、上記近軸設計において述べた値とは異なる初期値を、上記近軸設計の説明における、自由に選ばれる6つのパラメータ(6つの自由度)に割り当てることが場合によっては望ましい。このようにして、前述の、あらゆる種類の要件、例えば、(1)光学素子の励起電流及び/又は励起電圧における信号対雑音比を低い値に維持すること、(2)特定のボア値について、光学素子の鉄磁路の磁気飽和を妨げるか、静電気素子を破壊電圧未満に維持することを満たすこと、(3)こうしたレンズ誤差がお互いを補償するように、幾何学的収差係数C3(=周知の3次球面収差)及びC5(=5次球面収差)に値を割り当てること、及び(4)十分な程度に、7次軸上収差を削減することを満たすことができる。
なお、補正器における四極子を電磁気的に励起して色収差を補正するか否かについての検討と、厳密に無色になるようにこうした四極子を調節するか否かについての検討は、補正器の適用の分野によって変わってくる。このことが関係する主要適用分野として、高電圧TEM(HV TEM)及び(高電圧)STEM(HV STEM)に関する第1の適用分野と、SEM及び低電圧TEM(LV TEM)に関する第2の適用分野が際立っている。
第1の適用分野(HV TEM及びHV STEM)では、四極子Q1、Q2、Q5及びQ6は、全て、専ら磁気的に実施されるか、専ら電気的に実施される、それら自体は、よって、無色で実施されるものでない。四極子Q3及びQ4は、何れも電磁気的に実施され、それらの色状態は、補正する対象の対物レンズのものとは逆の色偏差を示すようなものであり、その結果、その軸上色収差が補正される。
第2の適用分野(SEM及びLV TEM)では、四極子は全て、電磁気的に実施される。四極子Q1及びQ6は、それら自体が厳密に無色である。四極子Q2及びQ5の色状態は、条件Ccmx=Ccmy=0が満たされるように、無色状態から非常にわずかな程度、はずれるようなものである。四極子Q3及びQ4の色状態は、対物レンズのものとは逆の色偏差を示し、その結果、その軸上色収差が補正されるようなものである。
(b)特に高圧TEMとSTEMとの場合の最終的な設計
特にTEMの場合の最終的な設計の場合、いくつかの更なる要件、すなわち、(5)5次コマ収差を十分な程度に削減することと、(6)色拡大誤差Ccmを十分な程度に削減することを示すことができる。要件(3)を満たすという重要性は、このようにして、極めて高い分解能を備える像において十分なコントラスト伝達関数を、位相物体としてみなすことができる薄標本がなお維持するという点にある。SEM又はSTEMに特有の、最終的な設計の場合、要件(5)及び(6)を満たすことは主に重要なものでないが、そうした要件が満たされるTEM設計は、STEMの場合、欠点なしで用いることができる。よって、TEMの場合にもSTEMの場合にもこの設計を用いることは簡単である。
要件(6)を満たすことは、300kVの程度の大きさの加速電圧が一般的であるTEMの場合に特に重要である。その場合、色収差の補正の目的で、いずれにせよ、第3の四極子及び第4の四極子は、電磁気素子として実施されるが、高加速電圧が理由で、第1の四極子、第2の四極子、第5の四極子及び第6の四極子は、好ましくは、純粋に磁気的であるものとして実施される。しかし、このことは、色拡大誤差に関する結果を生じ得るものであり、それは、以下のように説明することができる。補正器と、補正する対象の対物レンズとの間には、伝送レンズ系を配置し、この系は、四極型レンズを有するよう実施することができる。その中に四極型レンズが何ら存在しない場合、色拡大誤差は、ゼロにちょうど等しくなるようにすることはできない。四極型レンズがその中に存在する場合、色拡大誤差をゼロにちょうど等しくなるようにすることができるが、その場合、3次同方性コマ収差はゼロに等しくならなくなるというケースと、3次同方性コマ収差がゼロにちょうど等しくなるようにすることができるが、その場合、色拡大誤差はゼロに等しくならなくなるケースとの間で選ぶことができる。(ゼロにちょうど等しい状態にとどまらないレンズ誤差は、この場合、わずかな残存値を維持する。)よって、補正器の適用の分野によって、色拡大誤差の完全な補正と、3次同方性コマ収差の完全な補正との間での選択を有する。
実際の設計処理では、設計の光学的特性における更なる改善を、第1の四極子、第2の四極子、第5の四極子及び第6の四極子の位置で、比較的低い光出力の八極子(又は、電子に対する影響が比較的少ない八極子)を更に施すことによって達成することができる。こうした4つの更なる八極子は、ミラー対称性の平面に対する対称性要件も満たさなければならない。それらは、とりわけ、関連した四極子の、固有の3次収差を補正するよう施される。
前述した伝送レンズ系が存在する場合、この設計において、更なる自由度、すなわち、この伝送レンズ系の、固有の拡大が得られる。
設計処理中に、八極子全ての励起の算出の目的で、(伝送レンズ系における四極型レンズがアクティブでない場合に)3次軸上収差及び3次同方性コマ収差がゼロに削減されるという要件が維持される。当該収差係数(原則的に8つであるが、ミラー対称性の結果、4つのみが独立である。)が、八極子の励起に線形従属であり、よって、4つの線形等式を用いて表す。合計八極子数は、この場合、4つの比較的強く励起された八極子と、影響が比較的少ない4つの八極子とによって構成される。ミラー対称性の結果、こうした8つの八極子はよって、4つの自由度も有する。合計8つの八極子について定められる八極子励起はよって、4つの未知数を備える4つの線形等式から見出すことができる。更に、設計処理中に、比較的強く励起された八極子内に、補正器における光線のゼロ交差が配置される位置で、こうしたゼロ交差を、これらの八極子のちょうど中央ではなく、幾分ずれた位置で、なお、八極子の鉄磁路のz位置又は電極のz位置内で、よって、八極子の場の有効領域内に配置させる可能性がある。この可能性によって、更に3つの自由度がもたらされる。
この設計処理の実行は、あらゆる種類のパラメータを要望によって設定することができるシミュレーション・プログラムによって行われる。そうしたシミュレーション・プログラムは、いくつかの要件を満たさなければならず、最も重要なものとして、
シミュレーション・プログラムは、有限の厚さを備える四極子の特性と、付随的なフリンジ場とをシミュレートすることができなければならないということと、
シミュレーション・プログラムは、有限の厚さを備える四極子の収差及び有限の厚さを備える八極子の収差の全てと、付随的なフリンジ場とをシミュレートすることができなければならないということと、
シミュレーション・プログラムは、好ましくは、(例えば、ニュートン・ラフソン法によって)n個の未知数を備えるn個の等式を解くルーチンを含んでおり、そのとき、近軸設計における対称平面の位置で施される5つの等式(1)乃至(5)に取り組むことができるようにnは少なくとも、5に等しいということと、
シミュレーション・プログラムは、好ましくは、上記八極子励起を算出することができるものであり、そのことは、4つの未知数がある4つの等式を解くルーチンを必要とする。
そうしたシミュレーション・プログラムは、例えば、上記要件を満たすように、市場で入手可能な既存のプログラムを修正することによって得ることができる。
(b2)特に、SEM又は低電圧TEMの場合の最終的な設計
特に、SEM又は低電圧TEMの場合の最終的な設計は、高電圧TEMの場合のものと基本的に同じであり、更なる要件を、2つの四極子、すなわち、Q1及びQ6、又は、Q2及びQ5に関して策定しなければならない。これは、四極子Q1、Q2、Q5及びQ6が全て、厳密に無色にされる場合、(各々が、x-z平面及びy-z平面に対する)Ccmx及びCcmyによって示す(わずかな)色拡大誤差が通常生じることになる。この色拡大誤差がゼロにちょうど等しくなるようにするよう、四極子Q2及びQ5又は四極子Q1及びQ6は、磁気励起からの偏差が総磁気励起の1%の程度の大きさで、等しい程度で幾分無色になるようにしなければならない。
(c1)特に、SEM又は低電圧TEMの場合の最終的な設計
設計処理は次に、以下のように進む。
電子の加速電圧と、補正する対象の対物レンズの光学的特性とを所与の数量とすれば、実際の設計処理において比較的大きな数の自由度が、用いるよう残されている。2つの自由度群の間で、すなわち、設計処理の開始時に値を選ばなければならない自由度と、設計処理中に値を定めなければならない自由度との間で区別することができる。第1の自由度群は、
対称平面の位置で施される5つの等式を満たした後に元の11個の自由度から残った、「近軸設計」の節記載の6つの自由度と、
色収差を補正する目的で、電磁気四極子として実施される、第3の四極子及び第4の四極子の光出力によって構成される。電界強度はよって、以下のように定められる。すなわち、磁気励起のみを備える近軸設計から始めて、近軸励起は、更なる磁気励起M’と、その合計値が、四極子光出力に対するM’+Eの寄与が、公称エネルギU0の場合、ゼロであり、CC補正が対物レンズについて得られるような静電界強度Eによって増やされる。四極子のうちの1つは、よって、x-z平面に対して機能し、他の四極子は、y-z平面に対して機能する。四極子電界強度のこの追加によって、原則的に、(ミラー対称性が理由で)1つの自由度がもたらされる。伝送レンズ系の、固有の拡大は同様に、原則として、1つの自由度をもたらす。しかし、こうした2つのパラメータ(四極子電界強度と、固有の拡大)の一方について、値が選ばれ、更に、他方のパラメータを、合計色収差がゼロになるという要件によって算出することができる。このことはよって、残りの1つの自由度と、
「特に、高電圧TEM及び、STEMの最終的な設計」の節(b1)において前述した、補正器内の光線のゼロ交差が八極子内になければならない位置で、こうしたゼロ交差を八極子のちょうど中央に配置させないが、むしろ、そこから幾分ずらして配置させる可能性(一般的に、4つの自由度であるが、ミラー対称性の結果、2つの自由度)とをもたらす。
第2の自由度群は、設計処理中に値を定めなければならない自由度から成る。第2の自由度は、
3次軸上収差及び同方性コマ収差がゼロになる、「特に、TEM及びSTEMの最終的な設計」の節において前述した八極子励起によって形成され、そこで表すように、ここから4つの自由度が生じ、
更に、第3の八極子の第1の部分の位置及び第2の部分の位置によって形成され、それらの位置は、D5(4回回転対称性を備える軸上5次収差)によって示されるレンズ誤差がゼロになるように選ばれるものであり、ミラー対称性の結果、これによって1つの自由度がもたらされ、
更に、任意的には、節(b1)「特に、高電圧TEM及びSTEMの最終的な設計」において表した、色拡大誤差Ccmx、Ccmyがゼロに等しくなるようにするような、伝送レンズ系における四極型レンズの励起によって形成され、これによって、任意的には、1つの自由度がもたらされる。
併せて、この第2の群によって、したがって、4+1=5個(任意的には6個)の自由度がもたらされるので、TEM及びSTEMの設計処理は、合計、9+5=14個(任意的には9+6=15個)の自由度を有する。
(c2)SEM又は低電圧TEMの場合における設計処理の道筋
SEM又は低電圧TEMの場合における設計処理の道筋は、TEMの場合と基本的に同じであり、上記節(b2)「特に、SEM又は低電圧TEMの場合の最終的な設計」記載の四極子Q2及びQ5又は四極子Q1及びQ6の更なる要件を満たさなければならないこととする。四極子Q1、Q2、Q5及びQ6が全て、当初、厳密に無色にされる場合には、このことは、よって、上記2つの四極子対Q2及びQ5、又は、Q1及びQ6の一方において、Ccmx=Ccmy=0を満たすように、厳密に調節された無色状態が幾分有色にされることになるということを意味する。
(d)TEM、STEM及びSEMの場合の設計処理における工程
(1)初期値が、第1の群の9つのパラメータについて選ばれる(前述の節「STEM又は高電圧TEMの場合における設計処理の道筋」参照。)。特に、SEM又は低電圧TEMの場合、四極子Q1、Q2、Q5及びQ6は全て、当初、厳密に無色にされ、その後、Ccmx=Ccmy=0を満たすように、四極子Q2及びQ5、又は、Q1及びQ6が幾分有色にされる。
(2)初期値が、第3の八極子の第1の部分(O3a)の位置及び第2の部分(O3b)の位置について選ばれる(上記節(c1)「高電圧TEM及びSTEMの場合における設計処理の道筋」参照。)。
(3)上記節「近軸設計」記載の、対称平面の位置で施される5つの等式が解かれる。
(4)八極子全ての励起が、3次軸上収差及び同方性コマ収差がゼロになるように定められる。節(b1)「特に、高電圧TEM及びSTEMの最終的な設計」に記載するように、これらの励起は、4つの未知数を備える4つの線形等式を解くことによって算出される。
(5)次に、4回回転対称性を備える軸上5次収差(係数D5)がゼロに等しいかを確認する。そうでない場合、上記工程(2)記載の初期値が修正され、D5がゼロであるようにするよう必要に応じた回数、工程(2)乃至(5)を繰り返す。
(6)適切な収差は全て、定められ、電源に対する要件が満たされるかも確かめる。適切な収差としては、5次球面収差(係数D5)、5次同方性コマ収差、7次収差、及び同方性色拡大誤差(係数Ccmx及びCcmy)がある。こうした収差の場合、十分に小さくされたか否かが確かめられる。電源に対する要件は、安定性、すなわち、時間の関数としての、電圧及び/又は電流における変動と、信号対雑音比が十分に小さいか否かに関する。こうした要件が満たされない場合、補正器の設計が規定要件を満たすまで、工程(1)及び(6)が、修正された初期値を用いて繰り返される。SEM又は低電圧TEMにおける適用の場合、このようにして、収差係数A3c及びC3cをゼロに等しくさせることもできる。更に、ミラーリング中央平面Mに対する対称性の結果、S3c=0であることが明らかになるので、3次でかつ1級の混合収差(幾何学的収差と色収差を混合したもの)は全て、よって、ゼロに等しくなる。ここに記載する収差係数A3c、C3c及びS3cは、M.Haiderによる上記論文によって公知である定義の類推によって定義されている。それによって、
Figure 0005373251
の式が当てはまり、この式における数量は、Haiderによって用いられている適切な式において用いられている数量に相当する。この式に因数ε=ΔU/U(U=加速電圧)を組み入れることによって、幾何学的収差と色収差とを混合したものの係数の式
Figure 0005373251
が得られ、この式では、指数cを収差係数に付け加えることによって、幾何学的収差と色収差とを混合したものを扱っているということを示す。
図2は、STEM又は高電圧TEMにおいて用いる、本発明による補正器における光線の進路に関する。この図では、軸上光線2及び6の進路と、視野光線4及び8の進路を、補正器のx-z平面及びy-z平面において表す。x-z平面における軸上光線は、よって、太実線2によって表し、x-z平面における視野光線は破点線4によって表し、y-z平面における軸上光線は薄破線6によって表し、y-z平面における視野光線は、破断線8によって表す。
これによって用いる補正器の設計は、上記節「TEM、STEM及びSEMの場合の設計処理における工程」によって得られたものである。6つの四極子Q1乃至Q6の光学軸(z軸)上の位置をここに示し、八極子O1及びO2のz軸上の位置並びに、2つの等しい部分に分割された第3の八極子の部分O3a及びO3bの位置もここに示す。ミラー対称性の平面は、位置z=0の場所にある。更に、参照数字28、30、32、34、36及び38を用いれば、四極子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5及びQ6の励起は、光学軸上の場の強度の形式で示す。
以下の値及びデータがこの設計に関する。
四極子Q1、Q2、Q5及びQ6は、単に磁気的であるものとして実施される。
四極子Q3及びQ4は、電磁気的であるものとして実施される。
四極子Q1、Q2、Q5及びQ6の位置では、比較的低い光出力の磁気八極子が追加されている。
2つの等しい部分に分割された第3の八極子の部分O3a及びO3bが、対物レンズの、コマ収差がない平面上に結像される。
加速電圧:300kV
補正する対象の対物レンズの焦点距離:2.3mm
対物レンズのCc:1.4mm
対物レンズのCs:1.2mm
多極子の内部半径:2mm
四極子Q3及びQ4の長さ:56mm
八極子部分O3a及びO3bの長さ:16mm
伝送レンズ系の倍率:1.2(その結果、対物レンズの入口でのビーム直径が、補正器の出口平面におけるものの1.2倍となる。)
八極子部分O3a及びO3bが、それらの近軸位置(すなわち、ガウス光線がz軸と交差する位置)に対して2.92mmの距離、対称平面から離れる方向にずれている。
四極子Q3(Q4)における光線xa及びyf(ya及びxf)のゼロ交差は何れも、その四極子の中央に対して3.05mmの距離、対称平面から離れる方向にずれている(すなわち、なお、一致しているが、ちょうど、四極子の中央にある訳ではもうない。)。
以下の表1では、(特に、TEMの場合の、)補正器と対物レンズとの組み合わせの収差を表す。表では、行1乃至5における収差を、Haider他による引用論文による記号を用いて示す。第3の列は、伝送レンズ系における四極型レンズ(四極型視野レンズ、QFL)がオフにされる状態に関し、第4の列では、オンにされている。
Figure 0005373251
表1の行6乃至10では、7次収差係数を示す。当該値から分かるように、こうしたものは、せいぜい、数センチメートルの程度の大きさのものである。行11及び12は、同方性コマ収差の係数を示す。行13は、異方性コマ収差に関する。この補正は以下に記載する。行14乃至19は、5次コマ収差の係数を示す。当該値から、このレンズ誤差群は無視できるということが分かる。行20は、x-z平面における色収差の係数(Ccx)及びy-z平面における色収差の係数(Ccy)を示す。行21及び22は各々、x-z平面における2級の軸上色誤差の係数(Cccx)とy-z平面における2級の軸上色誤差の係数(Cccy)との2級の軸上色誤差の係数(Ccc)を示す。行23及び行24は各々、x-z平面における色拡大誤差の係数(Ccmx)と、y-z平面における色拡大誤差の係数(Ccmy)との色拡大誤差の係数(Ccm)を示す。
本発明の局面によれば、TEMにおける適用の場合における異方性コマ収差を補正することが可能である。この補正は、(全て静磁気的な)第1の八極子O1と、第2の八極子O2と、第3の八極子O3が存在し、第3の八極子が2つの等しい部分O3a及びO3bに分割される、図2のように種々の多極子を配置させることによって達成することができる。これらの4つの八極子は、以下に更に説明するように偶のタイプのものである。
偶である多極子、又は偶でない多極子(すなわち、偶である対称性を備える多極子、又は偶でない対称性を備える多極子)を規定するために、x座標及びy座標は、x=rcosφ及びy=rsinφによって極座標r及びφで表される。スカラー静電気ポテンシャルの方位依存性はその場合、偶である多極子の場合、cos(nφ)に比例し、偶でない多極子の場合、sin(nφ)に比例する。スカラー静磁気ポテンシャルの場合、方位依存性は、偶である多極子の場合、sin(nφ)に比例し、偶でない多極子の場合、cos(nφ)に比例する。ここでは、nは整数である、例えば、四極子の場合、n=2であり、八極子の場合、n=4である。
異方性コマ収差の補正を達成するように、偶である4つの静磁気八極子が修正され、修正は、以下のように行われるものとして考えることができる。
1)偶である八極子各々の複製が行われ、複製は、関連した偶である八極子と同じz位置を有するように配置され、それらの複製の各々を、元の関連した八極子に対して、z軸を中心として22.5度回転させる。これらの回転させた複製はその場合、偶でない4つの八極子を構成する。
2)次に、回転させた4つの複製の各々が、z軸に垂直な断面によって、2つの等しい部分、すなわち、第1の部分及び第2の部分に分割されることを考えてみる。その後、
3)偶でない八極子の第1部分及び第2部分の励起は、3次軸上収差への、偶でない八極子の寄与がゼロに等しいような比率を有するよう選ばれる。
4)偶でない八極子全ての合計励起は、補正器及び対物レンズの組み合わせの異方性コマ収差がゼロに等しいように選ばれる。
この上記4)の場合、ミラー平面z=0に対する対称性の結果、偶でない部分の励起は、対称平面に対して反対称的である。
図3a及び図3bは、よって、z軸上に生じる静磁界の分布を表す。図3bは、図3aにおけるものと同じ磁界分布を表し、図3bの垂直スケールは、図3aの場合に対して、40倍に引き伸ばされている。この結果、z=z=-100mm以上-45mm以下近傍の磁界分布の詳細と、z=+45mm以上z=+100mm以下近傍の磁界分布の詳細は、はっきり見える。
図3aは、更に詳細に、八極子O3a及びO3bのz軸上の磁界分布を表す。更に、八極子O1及びO2の軸磁場をこの中に略示する。八極子O3a(O3b)の偶である部分の軸磁場を実線40(42)によって表し、八極子O3a(O3b)の偶でない部分の軸磁場をこの中に破線によって表す。なお、z方向におけるO3a及びO3bの偶である部分及び偶でない部分は同等に長い。偶でない部分は、z方向において、2つの同等に長い部分44(48)及び46(50)に分割される。偶でない部分の励起、すなわち、z軸上の場強度は、その場合、前述の条件の両方が満たされるように、すなわち、1)場強度44(48)及び46(50)の比率が、3次軸上収差に対する偶でない八極子44、46及び48、50の寄与がゼロに等しく、2)偶でない八極子44、46及び48、50と、八極子O1及びO2の、以下に記載することとする偶でない部分56、58及び60、62とを併せた合計場強度(図3参照。)は、補正器と対物レンズとの組み合わせの異方性コマ収差がゼロに等しくなるように選ばれる。
更に、図3bは、更に詳細に、八極子O1及びO2のz軸上の場分布を表す。八極子O1(O2)の偶でない部分の軸磁場は、実線52(54)によってこの中に表し、八極子O1(O2)の偶でない部分の軸磁場は、破線によってこの中に表す。なお、z方向におけるO1及びO2の偶である部分及び偶数でない部分は同等に長い。偶でない部分は、z方向において、2つの同等に長い部分56(60)及び58(62)に分割される。偶でない部分の励起、すなわち、z軸上の場強度はその場合、上記条件の両方が満たされるように、すなわち、1)場強度56(60)及び58(62)は、3次軸上収差に対する、偶でない八極子56、58及び60、62の寄与がゼロに等しく、2)偶でない八極子56、58及び60、62と、八極子O3a及びO3bの偶でない部分とを併せた合計場強度は、補正器と対物レンズとの組み合わせの異方性コマ収差がゼロに等しくなるように選ばれる。
このようにして異方性コマ収差が補正される系の場合、補正器及び対物レンズの組み合わせの収差は、以下の表2に示す。図2aの説明に関して既に記載した値及びデータは、この場合に適用可能である。表2では、行1乃至5における収差は、Haider他による上記論文による記号を用いて示す。表2における記号iは、虚数単位を示す。
Figure 0005373251
上記表2では、行13が特に重要であり、行13から、異方性コマ収差が、実際に、ゼロにちょうど等しくされたということが分かる。これと、表1の行13における相当する値を比較する。ここでは、異方性コマ収差の補正は行われていない。
確かに、行3及び5に示す収差係数S5及びA5はこの実施例ではもうゼロに等しくないが、それらの値はなお、無視することができる程度に小さい。
図4は、SEM又は低電圧TEMにおいて用いる、本発明による補正器における光線の進路に関する。この図では、軸上光線2及び6の進路と、視野光線4及び8の進路を、補正器のx-z平面およびy-z平面において表す。これによって用いる補正器の設計は、上記節「TEM、STEM及びSEMの場合の設計処理における工程」によって得られたものであり、SEM及び低電圧TEMの場合の記載が特に重要である。この図4では、6つの四極子Q1乃至Q6の光学軸(z軸)上の位置を表し、八極子O1及びO2のz軸上の位置並びに、2つの等しい部分に分割された第3の八極子の部分O3a及びO3bの位置も表す。更に、参照数字28、30、32、34、36及び38を用いれば、四極子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5及びQ6の励起は、光学軸上の場の強度の形式で示す。ミラー対称性の平面は、位置z=0の場所にある。
以下の値及びデータはこの設計に関する。
四極子は全て、電磁気的であるものとして実施される。
四極子Q1及びQ6はそれら自体が、厳密に無色のものである。
四極子Q2及びQ5は、条件Ccmx=Ccmy=0が満たされるという厳密な無色状態からほとんど、はずれていない。
四極子Q3及びQ4は、結果として、対物レンズの(正の)色収差が補正されるように(負の)有色である。
四極子Q1、Q2、Q5及びQ6の位置には、比較的低い光出力の磁気八極子が追加されている。こうした八極子は、とりわけ、関連した四極子の固有の3次収差を補正する。
2つの等しい部分に分割された第3の八極子の部分O3a及びO3bが、伝送レンズ系を用いて、対物レンズの、コマ収差がない平面上に結像される。
電子の加速電圧は10kVである。
補正する対象の対物レンズの焦点距離は1.49mmである。
対物レンズのCc:1.17mm
対物レンズのCs:1.64mm
多極子の内部半径:3mm
四極子Q3及びQ4の長さ:17mm
八極子部分O3a及びO3bの長さ:8mm
伝送レンズ系の倍率:0.764(その結果、対物レンズの入口でのビーム直径が、補正器の出口平面におけるものの0.764倍となる。)
以下の表3では、補正器と対物レンズとの組み合わせの収差を示す。表している状態では、伝送レンズ系(QFL)における四極型レンズはオフにされている。
Figure 0005373251
上記表3では、行1乃至5における収差は、M.Haider他による上記論文による記号を用いて示す。行6乃至10では、7次収差係数を示す。当該値から分かるように、こうしたものは、せいぜい、数センチメートルの程度の大きさのものである。行11及び12は、同方性コマ収差の係数を示す。行13及び18は、5次コマ収差の係数を示す。当該値から、このレンズ誤差群は無視できることが分かる。行19では、x-z平面における色収差の係数(Ccx)及びy-z平面における色収差の係数(Ccy)はゼロにちょうど等しくなっている。行20及び21では、x-z平面における2級の軸上色誤差の係数(Cccx)と、y-z平面における2級の軸上色誤差の係数(Cccy)との2級の軸上色誤差の係数(Ccc)は非常に小さくされているということが分かる。行23及び26では、x-z平面における色拡大誤差の係数(Ccmx)と、y-z平面における色拡大誤差の係数(Ccmy)との色拡大誤差の係数(Ccm)と、3次及び1級の混合収差A3c、C3c及びS3cはゼロに等しくされていることが分かる。
図5aは、TEMにおける、本発明による補正器の配置の略図を表す。電子のビームはそれによって、収束系10、TEMにおいて調べる対象の標本12、対物レンズ14、2つの伝送レンズ18及び20から成る伝送レンズ系16、本発明による収差補正器22、更なるレンズ24及び投影系26を連続的に横断する。収差補正器22は、第3の八極子の2つの部分O3a及びO3bと隣接する。
図5bは、SEM又はSTEMにおける、本発明による補正器の配置の略図を表す。電子のビームはそれによって、収束系10、中間レンズ28、本発明による収差補正器22、2つの伝送レンズ18及び20から成る伝送レンズ系16、プローブ形成対物レンズ14、及びSEM又はSTEMにおいて調べる対象の標本12を連続的に横断する。収差補正器22は、第3の八極子の2つの部分O3a及びO3bと隣接する。
本発明による補正器の場合での、x-z平面及びy-z平面における近軸視野光線xf(z)及びyf(z)並びに軸上光線xa(z)及びya(z)の進路を、薄レンズ近似における四極子の位置及び励起の仮定初期値とともに示す図である。 本発明による補正器の場合での、x-z平面及びy-z平面における近軸視野光線xf(z)及びyf(z)並びに軸上光線xa(z)及びya(z)の進路を、薄レンズ近似においてそれに適用可能な式を解くことによって得られる四極子の正確な位置及び励起の初期値とともに示す図である。 本発明による補正器の場合での、x-z平面及びy-z平面における近軸視野光線xf(z)及びyf(z)並びに軸上光線xa(z)及びya(z)の進路を、厚さがゼロに等しくない場合における、それに適用可能な式を解くことによって得られる四極子の正確な位置及び励起とともに示す図である。 本発明による補正器の場合での、x-z平面及びy-z平面における視野光線xf(z)及びyf(z)並びに軸上光線xa(z)及びya(z)の進路を、特に、高電圧TEMにおける適用の場合の、厚さがゼロに等しくない四極子及び八極子の正確な位置とともに示す図である。 TEMにおける異方性コマ収差を補正する一部の八極子の静磁界のz軸上の分布を示す図である。 図3aと同じ図であるが、垂直軸上のスケールが異なる図である。 本発明による補正器の場合での、x-z平面及びy-z平面における視野光線xf(z)及びyf(z)並びに軸上光線xa(z)及びya(z)の進路を、特に、SEM又は低電圧TEMにおける適用の場合の、厚さがゼロに等しくない四極子及び八極子の正確な位置とともに示す図である。 TEMにおける、本発明による補正器の配置を略示する図である。 SEM又はSTEMにおける、本発明による補正器の配置を略示する図である。
符号の説明
M 対称平面
O 八極子
Q 四極子
10 収束系
12 標本
14 対物レンズ
16 伝送レンズ系
18 伝送レンズ
20 伝送レンズ
22 収差補正器
24 更なるレンズ
26 投影系
28 中間レンズ

Claims (8)

  1. 対物レンズを備え、かつ、該対物レンズのレンズ誤差を補正する収差補正手段を備える
    粒子光学装置であって、
    前記収差補正手段は、
    第1の四極型レンズと、第2の四極型レンズと、第3の四極型レンズと、第1の八極子と
    から連続してなる第1の光学素子群と、
    第2の八極子と、第4の四極型レンズと、第5の四極型レンズと、第6の四極型レンズとか
    ら連続してなる第2の光学素子群と、
    両方の光学素子群の外に配置される少なくとも1つの第3の八極子とを備え、
    前記第1の八極子と、前記第2の八極子と、前記第3の四極型レンズと、前記第4の四極
    型レンズは前記第2の四極型レンズと前記第5の四極型レンズの間に配置され、
    四極型レンズは、八極子をお互いの上に結像させるように前記収差補正手段における荷
    電粒子の経路を定め、
    第1の軸平面(x-z平面)において、前記第1の八極子及び前記第2の八極子はお互いの上
    に結像されない一方、前記第2の八極子及び前記第3の八極子はお互いの上に結像され、
    前記第1の軸平面に垂直な第2の軸平面(y-z平面)において、前記第1の八極子及び前記
    第2の八極子はお互いの上に結像されない一方、前記第1の八極子及び前記第3の八極子は
    お互いの上に結像され、
    軸ビームは、前記第1の軸平面(x-z平面)において、前記第1の八極子の軸上点を通過
    し、前記第2の軸平面(y-z平面)において、前記第2の八極子の軸上点を通過し、
    その結果、3次レンズ誤差が補正され、5次レンズ誤差が、少なくとも、最小にされるこ
    とを特徴とする粒子光学装置。
  2. 請求項1記載の粒子光学装置であって、
    前記第3の四極型レンズの四極子場と、前記第1の八極子の八極子場は、お互いに少なく
    とも部分的に重なり、前記第4の四極型レンズの四極子場と、前記第2の八極子の八極子場
    は、お互いに少なくとも部分的に重なることを特徴とする粒子光学装置。
  3. 請求項1又は2記載の粒子光学装置であって、
    前記第3の八極子は、前記粒子光学装置において補正する対象の前記対物レンズが配置
    されていない前記収差補正手段の側に配置されることを特徴とする粒子光学装置。
  4. 請求項1又は2記載の粒子光学装置であって、
    前記第3の八極子は、光学軸に垂直な断面によって第1の部分及び等しい第2の部分に分
    割され、該第1の部分及び第2の部分は各々、両方の光学素子群の反対側に配置され、
    前記光学軸に垂直なミラー対称平面は、該対称平面に対してミラーリングされると、前
    記第1の群の、3つの四極子の位置及び前記八極子の位置と、前記第3の八極子の前記第
    1の部分は、前記第2の群の3つの四極子の位置及び前記八極子の位置をもたらし、前記
    第1の群の四極子の励起は、前記第2の群の相当する四極子のものの逆であることを特徴
    とする粒子光学装置。
  5. 請求項1乃至4のうちの1つに記載の粒子光学装置であって、
    前記第3の四極型レンズ及び前記第4の四極型レンズは各々、静磁気四極子及び静電気
    四極子の組み合わせとして実施されることを特徴とする粒子光学装置。
  6. 請求項5記載の粒子光学装置であって、
    前記第1の光学素子群からの更なる四極型レンズと、前記第2の光学素子群からの更な
    る四極型レンズは各々、静磁気四極子及び静電気四極子の組み合わせとして実施されるこ
    とを特徴とする粒子光学装置。
  7. 請求項5記載の粒子光学装置であって、
    伝送レンズ系は、前記収差補正手段と、補正する対象の対物レンズとの間に配置され、
    該系は、軸上粒子光線が前記光学軸における交点を通過するようにすることを特徴とする
    粒子光学装置。
  8. 請求項1記載の粒子光学装置であって、
    少なくとも3つの更なる八極子が追加され、該少なくとも3つの更なる八極子は、前記
    第1の八極子の位置と、前記第2の八極子の位置と、前記第3の八極子の位置とに配置され
    、前記第1の八極子と、前記第2の八極子と、前記第3の八極子は、偶である八極子であ
    り、前記第1の更なる八極子と、前記第2の更なる八極子と、前記第3の更なる八極子は
    、偶でない八極子であり、該偶でない八極子の各々は、前記光学軸に垂直な断面の結果、
    第1の部分及び第2の部分からなり、偶でない八極子各々の、前記第1の部分の励起と前
    記第2の部分の励起との比率は、前記偶でない八極子の3次軸上収差に対する寄与がゼロ
    に等しく、偶でない八極子の全ての合計励起が、前記収差補正手段と、補正する対象の前
    記対物レンズとの組み合わせの異方性コマ収差がゼロに等しいというものであることを特
    徴とする粒子光学装置。
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