(第1の実施形態)
以下、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る遊技機1について説明する。なお、図1は、本発明の第1の実施形態に係る遊技機1の一例を示す概略正面図である。図2は、遊技機1に設けられた表示器3の一例を示す拡大図である。図3は、遊技機1の部分平面図である。
(遊技機の基本構成)
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部が設けられており、錠部を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。このように、枠部材5を開くことによって遊技盤2が外部に開放した状態となり、遊技機1が設置されている遊技店(ホール)の従業員が遊技機1の前面から遊技盤2を直接触るような作業が可能となる。
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、下方(発射装置211;図6参照)から発射された遊技球が遊技盤2の主面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材(図示せず)と、上昇した遊技球を遊技領域20の右側に案内する案内部材(図示せず)とを備えている。
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示部21が配設されている。画像表示部21は、遊技者による遊技の進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって大当たり抽選の結果を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示部21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置によって構成されてもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者による遊技の進行に応じて所定の動作で動くことによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することによって、光による各種の演出を行う。
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうちいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
第1始動口25aおよび第2始動口25bは、それぞれ遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第1特別図柄表示器31a)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。また、第2始動口25bは、上記特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第2特別図柄表示器31b)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(後述する電動チューリップ26の開閉抽選)が始動する。
第2始動口25bは、第1始動口25aの下部に設けられ、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉する。電動チューリップ26は、一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が極めて狭いため、遊技球が第2始動口25bへ入らない状態となる。一方、電動チューリップ26は、一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易い状態となる。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過して普通図柄抽選に当選すると、一対の羽根部が規定時間(例えば、0.15秒間または1.80秒間)開き、規定回数(例えば、1回または3回)だけ開閉する。
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉じた状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開いた状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで開いた状態となるラウンドを、所定回数(例えば、15回または1回)繰り返す。なお、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない入賞口である。
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果やこれらの抽選の保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。表示器3の詳細については、後述する。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞する)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aおよび第2始動口25bに遊技球が1個入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が1個入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が1個入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは無い。
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、および皿59等が設けられている。
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計回りに回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置211(図6参照)が遊技球を電動発射する。皿59(図3参照)は、遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置211に供給される遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1個ずつ発射装置211に供給される。
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計回りに回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。
次に、図2を参照して、遊技機1に設けられる表示器3について説明する。図2において、表示器3は、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35を備えている。
第1特別図柄表示器31aには、第1始動口25aに遊技球が入賞することに応じて特別図柄が変動して表示される。例えば、第1特別図柄表示器31aは、7セグ表示装置で構成され、第1始動口25aに遊技球が入賞した場合、特別図柄を変動表示してその抽選結果を表示する。また、第2特別図柄表示器31bには、第2始動口25bに遊技球が入賞することに応じて特別図柄が変動して表示される。例えば、第2特別図柄表示器31bも同様に、7セグ表示装置で構成され、第2始動口25bに遊技球が入賞した場合、特別図柄を変動表示してその抽選結果を表示する。普通図柄表示器33は、ゲート27を遊技球が通過することに応じて普通図柄が変動して表示される。例えば、普通図柄表示器33は、LED表示装置で構成され、遊技球がゲート27を通過した場合、普通図柄を変動表示してその抽選結果を表示する。
第1特別図柄保留表示器32aは、第1始動口25aに遊技球が入賞した場合の特別図柄抽選を保留している回数を表示する。第2特別図柄保留表示器32bは、第2始動口25bに遊技球が入賞した場合の特別図柄抽選を保留している回数を表示する。普通図柄保留表示器34は、普通図柄抽選を保留している回数を表示する。例えば、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、または普通図柄表示器33によって図柄が変動表示されている期間(入賞1回分の変動表示が行われている間)に、さらに他の遊技球が入賞した場合、その入賞した遊技球に対する図柄の変動表示は、先に入賞した遊技球に対する変動表示が終了するまで、規定回数(例えば、4回)を限度に保留される。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未抽選回数)が、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄表示器31b、および普通図柄保留表示器34に表示される。
遊技状態表示器35は、遊技機1の電源投入時点における遊技状態を表示する。遊技機1には複数の遊技状態(例えば、通常遊技状態、大当たり遊技状態)のいずれかが設定されている。そして、遊技機1の電源投入時点においては、遊技状態表示器35によってその遊技状態が報知される。例えば、遊技状態表示器35は、複数のLED表示装置で構成され、その点灯態様によって遊技状態が表示される。
次に、図3を参照して、遊技機1に設けられる入力装置について説明する。図3において、遊技機1には、入力装置の一例として、演出ボタン57および演出キー58が設けられている。
演出ボタン57および演出キー58は、それぞれ遊技者に押下されることによって所定の演出が行われるものである。例えば、遊技者は、演出キー58に備わる4つの周囲キーを操作することにより、画像表示部21に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶことが可能である。また、遊技者は、演出キー58に備わる中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することが可能である。
(遊技機の背面構成)
次に、図4〜図6を参照して、遊技機の背面構成について説明する。図4は、図1に示す遊技機1の背面構成の一例を示している。図5は、図4に示すメイン基板710の拡大図である。図6は、遊技機1に設けられた制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように遊技機1の背面には各種の基板等が取り付けられている。具体的には、遊技機1の背面には、メイン基板710およびサブ基板720等が配設されている。
メイン基板710には、内部抽選および当選の判定等を行う図6に示すメイン制御部100が構成されたメイン制御基板が配設されている。このメイン基板は、開封されることによる痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケースによって密封されている。また、サブ基板720には、遊技球を遊技領域20の上部へ発射する発射装置211を制御する図6に示す発射制御部200が構成された発射制御基板、賞球の払出を制御する図6に示す払出制御部300が構成された払出制御基板、演出を統括的に制御する図6に示す演出制御部400が構成された演出制御基板、画像および音による演出を制御する図6に示す画像音響制御部500が構成された画像制御基板、および各種のランプ(枠ランプ56、盤ランプ23)や可動役物22による演出を制御する図6に示すランプ制御部600が構成されたランプ制御基板等が配設されている。また、図4に示すように、遊技盤2の背面には、遊技機1に外部から供給された例えば24V(ボルト)の交流電力を各種電圧の直流電力に変換して、それぞれの電圧の直流電力を上述した各種の基板等に出力する電源スイッチ730が配設されている。
以下では、本発明の主な特徴であるメイン基板710の詳細について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、メイン基板710は、RWMクリアスイッチ104、開始値設定スイッチ104aを備えている。ここで、RWMクリアスイッチとは、揮発性メモリ(図6に示すRWM103)をクリアするために電源投入後に押下されるスイッチのことである。また、開始値設定スイッチとは、RWM103がクリアされた直後に、後述する大当たり乱数の開始値をセットするために押下されるスイッチのことである。なお、本実施形態において、この大当たり乱数の開始値は、図10を用いて後述する初期値乱数更新処理によって生成される初期値乱数の値から取得される。また、本実施形態においては、RWMクリアスイッチ104は、開始値設定スイッチの機能をも有している。これらのスイッチの機能については、図7、図13、図14等を用いて後述する。
RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aは、通常、開閉可能なカバー(図示せず)によって覆われており、そのため、不正遊技者が針金等を使って不正に押下することが困難な状態となっている。また、RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aは、加えられた外力に応じて凹凸する構造を有しており、押下操作がある場合に、凹状態となり、オン状態を示す信号を出力する。また、RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aは、押下操作が解除された場合に、凸状態に復帰し、オフ状態を示す信号を出力する。なお、第1の実施形態では、RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aのオン、オフの切り替えを押下操作によって切り替えることとしたが、RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aは、左右にスライドすることでオン、オフを切り替えるスイッチ等であってもよい。
(遊技機の制御部の内部構成)
次に、図6を参照して、遊技機1において動作制御や信号処理を行う制御装置について説明する。図6に示すように、遊技機1の制御装置は、メイン制御部100、発射制御部200、払出制御部300、演出制御部400、画像音響制御部500、およびランプ制御部600を備えている。
メイン制御部100は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)101、ROM(Read Only Memory)102、RWM(Read Write Memory)103、RWMクリアスイッチ104(通称ラムクリアスイッチ)、および開始値設定スイッチ104aを備えている。CPU101は、出力信号の監視や、内部抽選および当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM102には、CPU101にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶される。RWM103は、CPU101の作業用メモリ等として用いられる。以下、メイン制御部100の主な機能について説明する。
メイン制御部100において、RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aからの出力信号は、CPU101に入力される。RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aは、押下操作されている状態でオン状態を示す信号を出力し、押下操作が解除された場合に、オフ状態を示す信号を出力する。
メイン制御部100は、例えば電源スイッチ730が押下操作されて電源の供給が開始された場合に、RWMクリアスイッチ104からオン状態を示す信号が出力されていると、RWM103に記憶されている遊技情報等をクリア(以下、ラムクリアという)する。メイン制御部100は、ラムクリアによって、RWM103に記憶された大当たり乱数や初期値乱数などの値を、例えば0(ゼロ)にリセットする。
メイン制御部100は、上記したラムクリアの後に、RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aの操作を従業員等に促すための制御信号を演出制御部400に出力する。なお、演出制御部400は、入力されたこの制御信号に基づいて、画像音響制御部500を介してRWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aの操作を従業員等に促すメッセージを画像表示部21に表示する。ただし、このメッセージには具体的な操作内容(操作手順等)は含まれない。
メイン制御部100は、従業員等によって行われたRWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aのスイッチ操作が正しいか否かを判定して、正しい場合には初期値乱数の値を大当たり乱数の開始値としてセットする。
メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると特別図柄抽選を行い、特別図柄抽選に当選したか否かを示す判定結果データを演出制御部400に送る。
メイン制御部100は、電動チューリップ26の羽根部が開状態となる開時間や羽根部が開閉する回数、さらには羽根部が開閉する開閉時間間隔を制御する。また、メイン制御部100は、遊技球が第1始動口25aへ入賞したときの特別図柄抽選の保留回数、遊技球が第2始動口25bへ入賞したときの特別図柄抽選の保留回数、および遊技球がゲート27を通過したときの普通図柄抽選の保留回数をそれぞれ管理する。
メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口28の開閉動作を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や、開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで、大入賞口28が突出傾斜して開状態となるラウンドを所定回数(例えば15回または1回)だけ繰り返すように制御する。また、メイン制御部100は、大入賞口28が開閉する開閉時間間隔を制御する。
メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1個の遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出数を払出制御部300に対して指示する。例えば、メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が1個入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が1個入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が1個入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部300に指示命令(コマンド)を送る。なお、メイン制御部100は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しを払出制御部300に指示しない。払出制御部300がメイン制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払出制御部300から払い出した賞球の個数に関する情報がメイン制御部100へ送られる。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した情報に基づいて、払い出した賞球の個数を管理する。
メイン制御部100は、発射制御部200を介して、遊技球を発射する発射装置211を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定の条件に基づいて、発射装置211が遊技球を発射する動作を許可する信号を、払出制御部300を介して発射制御部200へ送信する。
メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を、第1特別図柄表示器31aに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を、第2特別図柄表示器31bに表示する。メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第1特別図柄保留表示器32aに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第2特別図柄保留表示器32bに表示する。メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選の結果を、普通図柄表示器33に表示する。メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過に応じて抽選を保留にしている保留回数を、普通図柄保留表示器34に表示する。そして、メイン制御部100は、遊技機1の遊技状態を、遊技状態表示器35に表示する。
上述した機能を実現するために、メイン制御部100には、第1始動口スイッチ111a、第2始動口スイッチ111b、電動チューリップ開閉部112、ゲートスイッチ113、大入賞口スイッチ114、大入賞口開閉部115、普通入賞口スイッチ116、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35が接続されている。
第1始動口スイッチ111aは、第1始動口25aへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。第2始動口スイッチ111bは、第2始動口25bへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部112は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、電動チューリップ26の一対の羽根部を開閉する。ゲートスイッチ113は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口スイッチ114は、大入賞口28へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口開閉部115は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、大入賞口28を開閉する。普通入賞口スイッチ116は、普通入賞口29へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
発射制御部200は、CPU201、ROM202、およびRWM203を備えている。CPU201は、発射装置211に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM202には、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶される。RWM203は、CPU201の作業用メモリ等として用いられる。
レバー52は、その位置が中立位置にある場合、信号を出力せずに発射停止状態となる。そして、レバー52は、時計回りに回転操作されると、その回転角度に応じた信号を打球発射指令信号として発射制御部200に出力する。発射制御部200は、打球発射指令信号に基づいて、発射装置211の発射動作を制御する。例えば、発射制御部200は、レバー52の回転角度が増すほど、遊技球が発射される速度が速くなるように、発射装置211の動作を制御する。また、発射制御部200は、メイン制御部100から発射を許可する信号を受信することによって、発射装置211の発射動作が可能となる。一方、発射制御部200は、停止ボタン53が押下された信号が出力されたり、メイン制御部100から発射を停止する制御信号が出力されたりした場合、発射装置211が遊技球を発射する動作を停止させる。
払出制御部300は、CPU301、ROM302、およびRWM303を備えている。CPU301は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。ROM302には、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶される。RWM303は、CPU301の作業用メモリ等として用いられる。
払出制御部300は、メイン制御部100から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。具体的には、払出制御部300は、メイン制御部100から、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、払出制御部300は、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部311を制御する。ここで、払出駆動部311は、遊技球の貯留部(球タンク)から遊技球を送り出す駆動モータ等で構成される。
また、払出制御部300は、払出駆動部311に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や実際に払い出された賞球数に関する情報等を、メイン制御部100に送信する。
演出制御部400は、CPU401、ROM402、RWM403、およびRTC(リアルタイムクロック)404を備えている。また、演出制御部400には、演出ボタン57および演出キー58が接続されている。CPU401は、遊技者に対して行う演出を制御する際の演算処理を行う。ROM402には、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RWM403は、CPU401の作業用メモリ等として用いられる。RTC404は、現時点の日時を計測する。
演出制御部400は、メイン制御部100から送られるRWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104aの操作を従業員に促すための制御信号に基づいて、メッセージの表示内容を設定する。演出制御部400は、画像音響制御部500を介して、この設定したメッセージを画像表示部21に表示する。
演出制御部400は、メイン制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出制御部400は、遊技者によって演出ボタン57または演出キー58が押下操作された場合、当該操作に応じて演出内容を設定する場合もある。演出制御部400は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像音響制御部500およびランプ制御部600にそれぞれ送る。
画像音響制御部500は、CPU501、ROM502、およびRWM503を備えている。CPU501は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行う。ROM502には、CPU501にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶される。RWM503は、CPU501の作業用メモリ等として用いられる。
画像音響制御部500は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、画像表示部21に表示する画像およびスピーカ55から出力する音響を制御する。具体的には、ROM502には、画像表示部21によって、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。また、ROM502には、スピーカ55から出力させる楽曲や音声等の各種音響データが記憶されている。CPU501は、ROM502に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU501は、読み出した画像データを用いて、図柄画像表示等のための画像処理を行う。また、CPU501は、読み出した音響データを用いて音声処理を行う。そして、CPU501は、画像処理された画像データが示す画像を画像表示部21に表示する。また、CPU501は、音声処理された音響データが示す音響をスピーカ55から出力する。
ランプ制御部600は、CPU601、ROM602、およびRWM603を備えている。CPU601は、盤ランプ23や枠ランプ56の発光、および可動役物22の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM602には、CPU601にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶される。RWM603は、CPU601の作業用メモリ等として用いられる。
ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、可動役物22の動作を制御する。
以下、これまでに説明した第1の実施形態の遊技機1の動作を実現するためにメイン制御部100が実行する処理について説明する。なお、以下に説明する処理は、メイン制御部100のCPU101がROM102に格納されているプログラムを実行することにより実現できる。
(メイン処理の処理手順)
図7は、メイン制御部100のCPU101が実行するメイン処理の一例を示したフローチャートである。電源スイッチ730が押下されて電源が投入された後、CPU101は、ブート処理のため、例えば1000msの時間待機した後(ステップS100)、RWM103へのアクセスを許可する(ステップS200)。
次に、CPU101は、RWMクリアスイッチ104がオンであるか否かの判定を行う(ステップS300)。ここで、RWMクリアスイッチ104からの出力信号は、RWMクリアスイッチ104が押下操作されている間中、オン信号が出力され、押下操作がない場合はオン信号が出力されない(つまりオフ信号が出力される)。すなわち、RWMクリアスイッチがオンであるとは、CPU101がRWMクリアスイッチ104からオン信号の出力を検出していることをいい、RWMクリアスイッチがオフであるとは、CPU101がRWMクリアスイッチ104からオフ信号の出力を検出していることをいう。
CPU101は、RWMクリアスイッチ104がオンであると判定した場合は(ステップS300:Yes)、初期化処理を実行する(ステップS700)。すなわち、従業員等が電源スイッチ730を押下後RWMクリアスイッチ104を押下している場合、CPU101は、初期化処理のステップを実行する。なお、初期化処理の詳細については後述する。
一方、CPU101は、ステップS300において、RWMクリアスイッチ104がオンではないと判定した場合は(ステップS300:No)、RWM103に格納されているバックアップフラグがオンであるか否かの判定を行う(ステップS400)。なお、バックアップフラグとは、電源遮断時にバックアップデータの生成が正常に完了した場合、オンになるフラグであり、生成したバックアップデータに関連付けて、当該バックアップデータが有効であることを示すフラグである。
CPU101は、バックアップフラグがオンである(バックアップデータが有効)と判定した場合は(ステップS400:Yes)、チェックサムを作成し、作成したチェックサムが、後述する図9のステップS905で作成されるチェックサムと同値(チェックサムが正常)であるか否かの判定を行う(ステップS500)。チェックサムが正常であると判定した場合は(ステップS500:Yes)、復旧処理を実行する(ステップS600)。すなわち、従業員等が電源スイッチ730のみを押下し、RWMクリアスイッチ104を押下していない場合、CPU101は、バックアップデータが有効であれば復旧処理のステップS600を実行する。なお、復旧処理の詳細については後述する。
また、CPU101は、バックアップフラグがオンではない(バックアップデータが有効ではない)と判定した場合(ステップS400:No)、またはチェックサムが正常ではないと判定した場合(ステップS500:No)、処理をステップS700に進める。すなわち、従業員等が電源スイッチ730のみを押下し、RWMクリアスイッチ104を押下していない場合、CPU101は、バックアップデータが無効であれば初期化処理のステップS700を実行する。
CPU101は、ステップS700の初期化処理もしくはステップS660の復旧処理を実行した後、内蔵されているCTC(Counter Timer Circuit)の周期を例えば4msに設定し(ステップS800)、次いで、電源遮断監視処理を実行する(ステップS900)。そして、CPU101は、図11を用いて後述するタイマ割込み処理による割込みを禁止(ステップS1000)した後、初期値乱数更新処理を行い(ステップS1100)、ステップS1000で禁止した割込みを許可する(ステップS1200)。以降、CPU101は、ステップS900からステップS1200の処理を繰り返し実行する。なお、タイマ割込み処理、電源遮断監視処理、初期値乱数更新処理の詳細については後述する。
(復旧処理の処理手順)
図8は、メイン制御部100のCPU101が実行する図7のメイン処理のうち、ステップS600の復旧処理の一例を示したフローチャートである。CPU101は、電源遮断時における遊技状態に関する情報(遊技状態情報)等をRWM103に記憶するバックアップ機能を有する。CPU101は、まず、復旧時における作業領域を設定し(ステップS601)、上記したバックアップ機能によって記憶されている遊技状態情報等を確認して復旧した後、遊技状態コマンド送信処理によって、その遊技状態情報を含めたコマンド(遊技状態コマンド)を演出制御部400に対して送信する(ステップS602)。その後、CPU101は、バックアップデータに関連付けられたバックアップフラグをオフにして(ステップS603)、復旧処理を終了する。
(電源遮断監視処理の処理手順)
図9は、メイン制御部100のCPU101が実行する図7のメイン処理のうち、ステップS900の電源遮断監視処理の一例を示したフローチャートである。CPU101は、まず、図11を用いて後述するタイマ割込み処理による割込みを禁止する(ステップS901)。次に、CPU101は、電源の電圧が所定の閾値以下となっているか否かの判定を行う(ステップS902)。電源の電圧が所定の閾値以下となっていない場合(ステップS902:No)は、CPU101は、電源は遮断されないものと判定し、ステップS901で禁止した割込みを許可し(ステップS903)、電源遮断監視処理を終了する。
一方、電源の電圧が所定の閾値以下となっている場合(ステップS902:Yes)は、CPU101は、電源が遮断されるものと判定し、出力ポートに出力されているデータをクリアする処理を行う(ステップS904)。そして、CPU101は、現在の遊技機1の遊技状態等に基づいて、バックアップデータをRWM103に作成後、RWM領域チェックサムを作成し、これらをRWM103に格納する(ステップS905)。ステップS905の処理によって、電源が遮断される直前の遊技状態情報等がRWM103に記憶される。その後、CPU101は、バックアップフラグをオンにして(ステップS906)、RWM103へのアクセスを禁止する処理を行って(ステップS907)遊技機1の電源が遮断されるのを待つ。
(初期値乱数更新処理の処理手順)
図10は、メイン制御部100のCPU101が実行する図7のメイン処理のうち、ステップS1100の初期値乱数更新処理の一例を示したフローチャートである。ここで、初期値乱数とは後述する大当たり乱数の開始値C0を決定するための乱数のことをいう。以下の説明では、一例として、初期値乱数の値は0〜299のいずれかの値をとるものとする。
まず、CPU101は、初期値乱数の値Iが、初期値乱数の値として取り得る最大値Imax(この場合は299)よりも小さいか否かを判定する(ステップS1101)。初期値乱数の値Iが最大値Imaxよりも小さくない(ステップS1101:No)と判定された場合は、初期値乱数の値Iが最大値に達しているので、CPU101は、初期値乱数の値Iに最小値(この場合は0)をセットし(ステップS1102)、セットした初期値乱数の値IをRWM103のデータ領域に更新して(ステップS1104)、初期値乱数更新処理を終了する。
一方、初期値乱数の値Iが最大値Imaxより小さい(ステップS1101:Yes)と判定された場合は、CPU101は、初期値乱数の値Iに「1」を加算して(ステップS1103)、この初期値乱数の値IをRWM103のデータ領域に更新し(ステップS1104)、初期値乱数更新処理を終了する。すなわち、初期値乱数は、CPU101により更新処理が実行されるたびに1つずつ遷移(カウントアップ)し、最小値(この場合0)から、最大値(この場合299)の間を循環する(ループする)。
図7に戻り、ステップS1100において、CPU101は、上記したように初期値乱数更新処理を実行して、次のステップS1200に処理を進める。このとき、前回のタイマ割込み処理(図11参照)による割込み時から、ステップS800で設定されたCTCの周期(4ms)が経過していれば、CPU101は、次のタイマ割込み処理(図11参照)を実行する。このタイマ割込み処理において、ステップS2100で行われる乱数更新処理では、各種乱数(初期値乱数、大当たり乱数など)が更新される。すなわち、ステップS2100で、初期値乱数は図10のステップS1100の処理と同じ処理によって更新される。
一方、ステップS800で設定されたCTCの周期(4ms)が経過していない場合であっても、既に説明したように、図7のステップS900からステップS1200の処理が繰り返されることにより、初期値乱数は更新される。つまり、初期値乱数は、所定のCTCの周期(4ms)ごとに発生するタイマ割込み処理(図11参照)と、その残余時間(すなわち、この所定のCTCの周期からタイマ割込み処理に要する処理時間を減じた時間)に処理されるメイン処理(図7参照)の両方で更新される。またその残余時間は、CPU101の処理状況に応じて異なるので、ランダムな時間となっており、残余時間で更新される初期値乱数の更新回数もランダムとなる。一方、他の乱数データ(大当たり乱数など)は、タイマ割込み処理(図11参照)でしか更新されないため、初期値乱数とは乱数更新処理の処理周期が相違する。この処理周期が相違することによる効果については、後述する大当たり乱数の更新処理(図12参照)の説明の中で述べる。
(タイマ割込み処理の処理手順)
図11は、CPU101が実行するタイマ割込み処理の一例を示したフローチャートである。CPU101は、割込み処理として、乱数更新処理(ステップS2100)、スイッチ処理(ステップS2200)、図柄処理(ステップS2300)、電動役物処理(ステップS2400)、賞球処理(ステップS2500)、出力処理(ステップS2600)を実行して図7のメイン処理に戻る。以下、タイマ割込み処理の各処理について簡単に説明する。
乱数更新処理(ステップS2100)において、CPU101は、RWM103のデータ領域に格納されている大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、初期値乱数などの各種乱数の値を更新する。なお、この乱数更新処理の詳細については後述する。
スイッチ処理(ステップS2200)において、CPU101は、第1始動口スイッチ111a、第2始動口スイッチ111bや、ゲートスイッチ113からの入力処理を行う。具体的には、CPU101は、第1始動口スイッチ111aや第2始動口スイッチ111bの状態を監視し、これらのスイッチがオンとなった場合に特別図柄抽選(大当たり抽選)を行うための処理を実行する。また、CPU101は、ゲートスイッチ113の状態を監視し、ゲートスイッチ113がオンとなった場合に普通図柄抽選(電動チューリップの開閉抽選)を行うための処理を実行する。
図柄処理(ステップS2300)において、CPU101は各種図柄処理を行う。具体的には、CPU101は、遊技球が第1始動口25aや第2始動口25bに入賞した時に取得される大当たり乱数値と、ROM102に格納されている大当たり値とを比較することによって大当たりか否かを判定する。その後、CPU101は、判定結果に応じて表示器3に特別図柄を変動表示する処理、および演出制御部400に演出の実行を指示する演出コマンドをRWM103に設定する処理を行う。
電動役物処理(ステップS2400)において、CPU101は、各種役物の動作を制御する。具体的には、CPU101は、遊技機1の現在の遊技状態が大当たり中であるか否かを判定し、判定結果に応じて大入賞口28の開閉動作を制御する。また、CPU101は、所定の条件に基づいて電動チューリップの開閉動作を制御する。
賞球処理(ステップS2500)において、CPU101は、各種入賞口への入賞数を計数し、その計数値に基づいて賞球コマンドをRWM103に設定する。
出力処理(ステップS2600)において、CPU101は、ステップS2300およびステップS2500でRWM103に設定された制御用コマンドを払出制御部300および演出制御部400に対して出力する。これにより、払出制御部300を介し、払出駆動部311が賞球を払い出すことになる。また、これにより、演出制御部400による演出が実行されることになる。
(大当たり乱数更新処理の処理手順)
図12は、メイン制御部100のCPU101が実行する図11のタイマ割込み処理のうち、ステップS2100の乱数更新処理における大当たり乱数の更新処理を示したフローチャートである。ここで、大当たり乱数とは、遊技球が第1始動口25aや第2始動口25bに入賞した際に大当たりしたか否かを判定するために取得される乱数のことをいう。以下の説明では、一例として、大当たり乱数の値は0〜299のいずれかの値をとるものとする。
まず、CPU101は、大当たり乱数の値Cが、大当たり乱数の値として取り得る最大値Cmax(この場合は299)よりも小さいか否かを判定する(ステップS2101)。大当たり乱数の値Cが最大値Cmaxよりも小さくない(ステップS2101:No)と判定された場合は、大当たり乱数の値Cが最大値に達しているので、CPU101は、大当たり乱数の値Cに最小値(この場合は0)をセットして(ステップS2102)、処理はステップS2104に進む。一方、大当たり乱数の値CがCmaxより小さい(ステップS2101:Yes)と判定された場合は、CPU101は、大当たり乱数の値Cに「1」を加算して(ステップS2103)、処理はステップS2104に進む。
次に、CPU101は、現在の大当たり乱数の値Cが大当たり乱数の開始値C0と一致するか否かを判定する(ステップS2104)。ここで大当たり乱数の開始値とは、1ループする大当たり乱数の遷移(カウントアップ)の開始値である。つまり、大当たり乱数カウンタは1ループのカウントアップをするが、1ループ内のどの値(数字)からカウントアップが開始されるかは、この大当たり乱数の開始値C0によって決定される。なお、後述するが、この大当たり乱数の開始値C0は、前述した初期値乱数の値Iから取得され、セットされる。
CPU101は、大当たり乱数の値Cが大当たり乱数の開始値C0と一致しない(ステップS2104:No)と判定した場合は、大当たり乱数は、まだ1ループのカウントアップを終了していないので、現在の大当たり乱数の値C(つまり、ステップS2102またはステップS2103でカウントアップされた値C)をRWM103のデータ領域に更新(格納)して処理を終了する(ステップS2107)。
一方、CPU101は、大当たり乱数の値Cが大当たり乱数の開始値C0と一致する(ステップS2104:Yes)と判定した場合は、大当たり乱数は1ループのカウントアップを終了したので、次の1ループのカウントアップを開始するために、ステップS2104の判定時点においてRWM103のデータ領域に格納されている初期値乱数の値Iを大当たり乱数の値Cにセットし(ステップS2105)、同様に、この初期値乱数の値Iを大当たり乱数の開始値C0にセットし(ステップS2106)、それぞれをRWM103のデータ領域に更新(格納)して処理を終了する(ステップS2107)。
すなわち、CPU101は、初期値乱数(I)を用いてセットされた大当たり乱数の開始値(C0)を大当たり乱数(C)のカウントアップの開始値として、更新処理のたびに大当たり乱数(C)のカウントアップを繰り返し(最大値に達すれば、最小値に戻し)、大当たり乱数(C)の値が再び大当たり乱数の開始値(C0)に達した(つまり、1ループのカウントアップが終了した)ところで、その時にRWM103に格納されている初期値乱数(I)を取得し、大当たり乱数(C)の次の1ループのカウントアップの開始値(C0)としてセットし、次の1ループのカウントアップを開始する。例えば、初期値乱数(I)からセットされた大当たり乱数の開始値(C0)が「10」である場合、CPU101は、10、11、…299、0、1、…9という1ループのカウントアップを行った後、RWM103に格納されている初期値乱数(I)の値を大当たり乱数の次の開始値(C0)としてセットし、次の1ループのカウントアップを開始する。例えば、このとき初期値乱数(I)として「50」を取得したとすれば、今度は50、51、…299、0、1、…49という1ループのカウントアップを行うことになる。
なお、初期値乱数は、前述したとおり大当たり乱数の更新周期とは異なる周期で更新されRWM103に格納されているので、1ループするカウントの数が同じ(例えば300)であったとしても、取得される初期値乱数の値は毎回ランダムとなる。そのため、ラムクリア直後を除く通常状態においては、不正行為者が、大当たり乱数のカウントアップの周期性を見出すことは難しく、大当たりを発生させる大当たり乱数値が取得されるタイミングを予想するのは困難である。これによって、上記の通常状態において、入賞タイミングを予想し、遊技球を入賞させ不正に利益を獲得する不正行為を防止することができる。
一方、電源投入後や復旧処理後のようにラムクリアが行われた直後の状況においては、従来は、ラムクリア後に初めて大当たり乱数のカウントアップの開始値(C0)として設定される初期値乱数(I)を不正に読み取られ、大当たりを発生させる大当たり乱数値が取得されるタイミングを予想される可能性があった。以下、このような状況においても不正行為を防止するための特徴的な処理である初期化処理について説明する。
(初期化処理の処理手順)
図13は、メイン制御部100のCPU101が実行する図7のメイン処理のうち、ステップS700の初期化処理の一例を示したフローチャートである。CPU101は、まず、RWM103のデータ領域を初期化する(ステップS701)。これによって、RWM103のデータ領域に格納されていた各種乱数データや遊技状態データ等が初期化され、各種乱数データは、初期化されて例えば0(ゼロ)にリセットされる。
次に、CPU101は、RWMクリアスイッチ104からの出力信号がオフ信号になっているか否かを判定する(ステップS702)。出力信号がオフ信号になっていない(ステップS702:No)場合は、RWMクリアスイッチ104が押下されたままであるので、RWMクリアスイッチ104からの出力信号がオフ信号になるまで、待機する。一方、出力信号がオフになっている(ステップS702:Yes)場合は、ステップS703の開始値設定スイッチ出力信号監視処理に進む。すなわち、図7のメイン処理において電源投入時にRWMクリアスイッチ104がオンになっていれば、RWM103のデータ領域がクリアされて、RWMクリアスイッチ104がオフになった後、ステップS703の開始値設定スイッチ出力信号監視処理が実行される。
次に、本実施形態において特に特徴的であるステップS703の開始値設定スイッチ出力信号監視処理の詳細について説明する。
(開始値設定スイッチ出力信号監視処理の処理手順)
図14は、メイン制御部100のCPU101が実行する図13の初期化処理のうち、ステップS703の開始値設定スイッチ出力信号監視処理の一例を示したフローチャートである。前述したように本実施形態では、RWMクリアスイッチ104は、開始値設定スイッチとしての機能をも有しており、以降のステップにおいては開始値設定スイッチとして機能する。そこで、以下RWMクリアスイッチ104を第1の開始値設定スイッチと記載し、開始値設定スイッチ104aを第2の開始値設定スイッチと記載する。
CPU101は、まず、演出制御部400へスイッチ押下コマンドを送信する(ステップS10)。スイッチ押下コマンドは、演出制御部400に指示して、第1の開始値設定スイッチおよび第2の開始値設定スイッチの操作を促すメッセージ(例えば、「開始値設定スイッチを操作してください」)を画像表示部21に表示させるためのコマンドである。なお、このコマンドにより操作手順そのものが報知されるものではない。また、このような制御信号の送信が無い実施形態であってもよい。
次に、CPU101は、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチからの出力信号がオン信号であるか否かを判定する(ステップS11)。なお、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチからの出力信号は、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチが押下操作されている間中、オン信号が出力され、押下操作がない場合はオン信号が出力されない(オフ信号が出力される)。すなわち、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチがオンであるとは、CPU101が第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチからオン信号の出力を検出していることをいい、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチがオフであるとは、CPU101が第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチからオフ信号の出力を検出していることをいう(図15参照)。
第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチのいずれもがオンではない(ステップS11:No)場合は、第1の開始値設定スイッチおよび第2の開始値設定スイッチが押下されていない状態であるので、処理はステップS12に進み、CPU101は、ステップS1100と同一の初期値乱数更新処理を実行した後、処理はステップS10へ戻り、CPU101は、再度、演出制御部400へスイッチ押下コマンドを送信する。つまり、第1の開始値設定スイッチおよび第2の開始値設定スイッチの押下操作が無い場合は、CPU101は、初期値乱数の値Iの更新(ステップS12)と、押下操作を促す画像の表示(ステップS10)を繰り返すことになる。このことによって、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチが押下されるまで、初期値乱数の値Iは遷移(カウントアップ)することとなる。
一方、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチがオンである(ステップS11:Yes)場合は、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチが押下されている状態であるので、処理はステップS13に進み、CPU101は、ステップS11でオンと判定された開始値設定スイッチがオフになったか否かを判定する(ステップS13)。つまり、CPU101は、オン信号の出力を検出した第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチがオフ信号を出力するか否かを監視する。したがって、CPU101は、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチがオンのままである(ステップS13:No)場合は、当該オンである開始値設定スイッチがオフになるまで監視処理を続ける。一方、当該オンであった開始値設定スイッチがオフである(ステップS13:Yes)場合は、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、CPU101は、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチがオンからオフになったところで、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチの操作があったと判断し、操作された開始値設定スイッチからの出力信号に基づいて、操作された開始値設定スイッチが第1の開始値設定スイッチか第2の開始値設定スイッチかを判定する。操作された開始値設定スイッチが第1の開始値設定スイッチである(ステップS14:Yes)場合、RWM103のデータ領域に格納される押下変数F1の値に1をセットする(ステップS15)。操作された開始値設定スイッチが第1の開始値設定スイッチでない(ステップS14:No)場合、つまり第2の開始値設定スイッチである場合、押下変数F1の値に2をセットする(ステップS16)。
すなわち、CPU101は、ステップS10〜ステップS16の処理によって、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチからの出力信号を監視し、オン信号の出力があるまで初期値乱数の更新を続け、オン信号の出力があった場合は、そのオン信号がオフ信号に変わったところで、その出力信号に基づいて、押下変数F1の値に1(第1の開始値設定スイッチからの出力信号の場合)または2(第2の開始値設定スイッチからの出力信号の場合)をセットする。
次に、CPU101は、このステップS10〜ステップS16の処理において、ステップS15とステップS16の処理のF1をF2に置き換えた処理(2回目準ステップS10〜ステップS16)を行う(ステップS17)。言い換えれば、CPU101は、2回目準ステップS10〜ステップS16を実行することにより、第1の開始値設定スイッチまたは第2の開始値設定スイッチからの2回目の出力信号を監視し、オン信号の出力があるまで初期値乱数の更新を続け、オン信号の出力があった場合は、そのオン信号がオフ信号に変わったところで、その出力信号に基づいて、押下変数F2の値に1(第1の開始値設定スイッチからの出力信号の場合)または2(第2の開始値設定スイッチからの出力信号の場合)をセットする。
次に、CPU101は、ROM102に格納されているスイッチパターンテーブル(図16参照)のデータを読み込む。スイッチパターンテーブルは、遊技機ごとに予めROM102に書き込まれている。ここで、開始値設定スイッチの押下順序として、第1の開始値設定スイッチを1番目に押下し、第2の開始値設定スイッチを2番目に押下する設定の場合、図16に示すようにスイッチパターン変数P1の値は1であり、スイッチパターン変数P2の値は2である。
そして、CPU101は、ステップS10〜ステップS17の処理によってRWM103のデータ領域に書き込まれた押下変数F1、F2の値と、スイッチパターン変数P1、P2の値がそれぞれ一致しているか否かを判定する(ステップS18)。F1とP1の値が一致しており(つまり、1番目に押下した開始値設定スイッチが設定どおり第1の開始値設定スイッチであり)、かつF2とP2の値が一致している(つまり、2番目に押下した開始値設定スイッチが設定どおり第2の開始値設定スイッチである)場合(ステップS18:Yes)、処理はステップS19に進む。
ステップS19において、CPU101は、大当たり乱数の値Cと大当たり乱数の開始値C0に現在の初期値乱数の値Iをセットする。ここで、初期値乱数の値Iは前述したように、開始値設定スイッチが押下されるまで、更新され続けているので、ステップS19において取得される初期値乱数の値を推測するのは不可能である。つまり、RWM領域の初期化設定(ラムクリア)後の大当たり乱数の開始値(C0)を推測するのは不可能である。
CPU101は、その後、開始値設定スイッチ出力信号監視処理を終了し、メイン処理の次プロセスであるステップS800に進む(図7参照)。すなわち、CPU101は、ステップS18の判定で、押下順序が正しいと判定した場合のみ、初期値乱数の値を大当たり乱数の開始値としてセットし、後続の処理に進む。
一方、F1とP1の値が一致しない、および/またはF2とP2の値が一致しない場合(ステップS18:No)、開始値設定スイッチの押下順序が遊技機の設定どおりではないということになるので、CPU101は、F1とF2のデータをクリア(ステップS20)した後、演出制御部400へ再操作コマンドを送信して(ステップS21)、処理はステップS10へ戻る。すなわち、CPU101は、ステップS18の判定で、開始値設定スイッチの押下順序が正しくないと判定した場合には、初期値乱数の値Iを大当たり乱数の開始値C0としてセットせず、再度、第1の開始値設定スイッチおよび第2の開始値設定スイッチからの出力信号を監視することになる。なお、再操作コマンド送信とは、例えば、「開始値設定スイッチの押下順序が誤りです」などを画像表示部21に表示させるための制御信号の送信をいうが、このような制御信号の送信が無い実施形態であってもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、原則として、異なる部分について説明する。
第2の実施形態の特徴は、第1の実施形態のスイッチパターンテーブルを、メイン制御部100内に備えられたRTC(リアルタイムクロック)の時刻データが示す時刻に依存させたものとしたことにある。
第2の実施形態に係る遊技機は、第1の実施形態に係る遊技機1の構成要素に加えて、RTCをメイン制御部100内に備えている(図示せず)。以下、このRTCのことをメイン側RTCと記載する。
第2の実施形態においては、スイッチパターンテーブルが、第1の実施形態におけるスイッチパターンテーブル(図16参照)と異なる。図17は、第2の実施形態におけるスイッチパターンテーブルの一例である。第2の実施形態によれば、メイン制御部100は、メイン側RTCを備えているため、時刻の計測が可能となる。以下、図14に示した第1の実施形態における開始値設定スイッチ出力信号監視処理のフローチャートに基づいて説明する。
スイッチパターンテーブルは、遊技機ごとに予めROMに書き込まれている。第2の実施形態において、スイッチパターンテーブルは、さらにメイン側RTCの時刻データが示す時刻に依存している。例えば、遊技店(ホール)の営業時間内(メイン側RTCの時刻データが示す時刻が10:00〜22:00のとき)と、営業時間外(メイン側RTCの時刻データが示す時刻が22:00〜翌日10:00のとき)というように、時間帯別にスイッチパターンテーブルのデータ値を切り替えることができる。図17の例によれば、営業時間内であれば、スイッチパターン変数P1の値は1であり、スイッチパターン変数P2の値は2となるが、営業時間外であれば、P1の値は2となり、P2の値は1となる。すなわち、第2の実施形態によれば、時間帯によって、開始値設定スイッチの押下順序の設定を変えることができる。
図14のステップS18において、CPU101は、まず、現在のメイン側RTCの時刻データをチェックする。そして、メイン側RTCの時刻データが示す時刻に応じて、ROM102に格納されているスイッチパターンテーブル(図17)のデータをRWM103に読み込む。例えば、CPU101は、メイン側RTCの時刻データが示す時刻が12:00を示していれば、P1の値として1、P2の値として2をRWM103に読み込む。そして、第1の実施形態で説明したように、RWM103のデータ領域に書き込まれている押下変数F1、F2の値と、スイッチパターン変数P1、P2の値がそれぞれ一致しているか否かを判定する(ステップS18)。
(第1の実施形態および第2の実施形態による主な効果)
第1の実施形態および第2の実施形態によれば、CPU101は、開始値設定スイッチが押下されていない間、初期値乱数更新処理を行っている。そのため、開始値設定スイッチの押下時間、押下操作の回数、開始値設定スイッチの押下操作が終了するまでの時間などが異なることによって、初期値乱数の更新回数も異なる。従って、RWM領域の初期化設定(ラムクリア)直後の初期値乱数カウンタのカウントアップの周期性は、従来のように規則的なものとはならず、不規則なものとなる。このことにより、不正遊技者は、ラムクリア直後に大当たり乱数の開始値としてセットされる初期値乱数の値を初期値乱数カウンタの周期性から予想することが困難となる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態によれば、ラムクリアがあった場合は、開始値設定スイッチを遊技機ごとの設定順序どおりに押下しなければ、大当たり乱数の開始値の設定ができず、後続の処理に進めない。すなわち、遊技を開始することができない。このため、もし仮に、不正遊技者が、不正にラムクリアを行い、その後、特殊な装置等を用いて意図した初期値乱数の値を取得する不正行為ができたとしても、それを大当たり乱数の開始値として設定するためには、開始値設定スイッチを設定順序どおりに押下しなければならない。このように、不正遊技者は、遊技機ごとに設定された開始値設定スイッチの押下順序を知らない限り実際の遊技を行うことができない。
さらに、第2の実施形態によれば、遊技機ごとに、時間帯によって異なる開始値設定スイッチの押下順序を予め設定しておくことができる。これにより、例えば、営業時間外には、開始値設定スイッチの押下順序を簡単に設定しておき、営業時間内には、不正防止のため押下順序を難しく設定しておくなど、柔軟な対応が可能となる。また、営業時間内で例えば1時間ごとに開始値設定スイッチの押下順序を変更する設定にしておくことも可能であり、この場合、不正行為者が開始値設定スイッチの押下順序を推測するのがより困難となって、より不正行為を防止することができる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態によれば、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104a)はメイン基板710に設けられている。このことから、開始値設定スイッチからの出力信号をメイン制御部100に送信するための配線を別途設ける必要はなく、メイン基板710に不正な基板を配線接続し、不正な出力信号を送信する行為を防止することができる。
(第1の実施形態および第2の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、開始値設定スイッチは2つ(RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104a)としたが、3つ以上としてもよい。この場合は、3つ以上の開始値設定スイッチを設定順序どおりに正しく押下することにより、遊技を開始することができる。したがって、開始値設定スイッチの押下パターンがより複雑になり、より不正行為を防止することができる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、RWMクリアスイッチ104が開始値設定スイッチの機能をも有しているとしたが、RWMクリアスイッチ104はRWMクリアの機能のみを有するものとし、RWMクリアスイッチ104とは別に、開始値設定スイッチを複数設けてもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104a)は、押下されている期間オンの信号を出力し、押下されていない期間(押下が解除されている期間)オフの信号を出力するスイッチとしたが、オン、オフの信号を出力できるものであれば、スイッチの種類はどのようなものであってもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104および開始値設定スイッチ104a)は、押下されていない期間(押下が解除されている期間)オフの信号を出力するとしたが、オフの信号を出力しないスイッチ、すなわちオンの信号のみを出力するスイッチであってもよい。この場合、オンの信号の出力がない状態を、オフの信号の出力がある状態であるとみなして処理が行われる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、原則として、異なる部分について説明する。また、第3の実施形態に係る遊技機は、第1の実施形態に係る遊技機1の構成要素に加えてメイン側RTC(図示せず)を備えているが、開始値設定スイッチ104aは備えていない。
第3の実施形態の特徴は、開始値設定スイッチを所定の時間間隔で複数回押下しなければ、遊技が開始できないとしたところにある。
第3の実施形態においては、開始値設定スイッチ出力信号監視処理のみが、第1の実施形態と異なる。図18は、第3の実施形態における開始値設定スイッチ出力信号監視処理のフローチャートの一例である。以下、図18を参照して、第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態では、RWMクリアスイッチ104は、開始値設定スイッチとしての機能をも有しており、図18の開始値設定スイッチ出力信号監視処理においては開始値設定スイッチとして機能する。そこで、以下では、RWMクリアスイッチ104を開始値設定スイッチと記載する。
CPU101は、まず、演出制御部400へスイッチ押下コマンドを送信する(ステップS30)。スイッチ押下コマンドは、演出制御部400に指示して、開始値設定スイッチの操作を促すメッセージ(例えば、「開始値設定スイッチを操作してください」)を画像表示部21に表示させるためのコマンドである。なお、このコマンドにより操作手順そのものが報知されるものではない。また、このような制御信号の送信が無い実施形態であってもよい。
次に、CPU101は、開始値設定スイッチからの出力信号がオン信号であるか否かを判定する(ステップS31)。なお、開始値設定スイッチからの出力信号は、開始値設定スイッチが押下操作されている間中、オン信号が出力され、押下操作がない場合はオン信号が出力されない(オフ信号が出力される)。すなわち、開始値設定スイッチがオンであるとは、CPU101が開始値設定スイッチからオン信号の出力を検出していることをいい、開始値設定スイッチがオフであるとは、CPU101が開始値設定スイッチからオフ信号の出力を検出していることをいう(図15参照)。
開始値設定スイッチがオンではない(ステップS31:No)場合は、開始値設定スイッチが押下されていない状態であるので、処理はステップS32に進み、CPU101は、図10に示したステップS1100と同一の初期値乱数更新処理を実行した後、処理はステップS30へ戻り、CPU101は、再度、演出制御部400へスイッチ押下コマンドを送信する。つまり、開始値設定スイッチの押下操作が無い場合は、CPU101は、初期値乱数の値Iの更新(ステップS32)と、押下操作を促す画像の表示(ステップS30)を繰り返すことになる。このことによって、開始値設定スイッチが押下されるまで、初期値乱数の値Iは遷移(カウントアップ)することとなる。
一方、開始値設定スイッチがオンである(ステップS31:Yes)場合は、開始値設定スイッチが押下されている状態であるので、処理はステップS33に進み、CPU101は、開始値設定スイッチがオンになった瞬間(オン信号立ち上がり時)のメイン側RTCの時刻データを取得後、オン時変数Ts1としてセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
次に、CPU101は、ステップS31でオンと判定された開始値設定スイッチがオフになったか否かを判定する(ステップS34)。つまり、CPU101は、開始値設定スイッチがオフ信号を出力するか否かを監視する。したがって、CPU101は、開始値設定スイッチがオンのままである(ステップS34:No)場合は、当該開始値設定スイッチがオフになるまで監視処理を続ける。一方、当該オンであった開始値設定スイッチがオフである(ステップS34:Yes)場合は、処理はステップS35に進む。ステップS35では、当該開始値設定スイッチがオフになった瞬間(オン信号立ち下がり時)のメイン側RTCの時刻データを取得後、オフ時変数Te1としてセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
すなわち、CPU101は、ステップS30〜ステップS35の処理によって、開始値設定スイッチからの出力信号を監視し、オン信号の出力があるまで初期値乱数の更新を続け、オン信号の出力があった場合は、そのオン信号の立ち上がり時(開始値設定スイッチがオンになった瞬間)のメイン側RTCの時刻データを取得してオン時変数Ts1としてセットし、RWM103のデータ領域に更新し、次に、オン信号の立ち下がり時(開始値設定スイッチがオフになった瞬間)のメイン側RTCの時刻データを取得してオフ時変数Te1としてセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
次に、CPU101は、上記したステップS30〜ステップS35の処理において、ステップS33の処理のTs1をTs2に置き換え、ステップS35の処理のTe1をTe2に置き換えた処理(2回目準ステップS30〜ステップS35という)を行う(ステップS36)。言い換えれば、2回目準ステップS30〜ステップS35を実行することにより、2回目の開始値設定スイッチからの出力信号を監視し、オン信号の出力があるまで初期値乱数の更新を続け、オン信号の出力があった場合は、そのオン信号の立ち上がり時(開始値設定スイッチがオンになった瞬間)のメイン側RTCの時刻データを取得してオン時変数Ts2にセットし、RWM103のデータ領域に更新し、次に、オン信号の立ち下がり時(開始値設定スイッチがオフになった瞬間)のメイン側RTCの時刻データを取得してオフ時変数Te2にセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
次いで、CPU101は、同様にステップS30〜ステップS35の処理において、ステップS33の処理のTs1をTs3に置き換え、ステップS35の処理のTe1をTe3に置き換えた処理(3回目準ステップS30〜ステップS35という)を行う(ステップS37)。言い換えれば、3回目の開始値設定スイッチからの出力信号に基づいてオン時変数Ts3と、オフ時変数Te3をRWM103のデータ領域に更新する。以上によりCPU101は、図19で示すように、開始値設定スイッチからの3回のオン信号出力において、それぞれの立ち上がり時と立ち下がり時のメイン側RTCの時刻データを、オン時変数(Ts1、Ts2、Ts3)とオフ時変数(Te1、Te2、Te3)としてセットし、RWM103のデータ領域に格納する。
次に、CPU101は、ROM102に格納されているスイッチパターンテーブル(図20参照)のデータを読み込む。スイッチパターンテーブルは、遊技機ごとに予めROM102に書き込まれている。なお、第3の実施形態では、1回目の開始値設定スイッチの押下が終了してから、所定時間内に2回目および3回目の開始値設定スイッチの押下を行うようにスイッチパターンテーブルが設定されている。例えば、1回目の開始値設定スイッチの押下終了後、5秒後に2回目の開始値設定スイッチを押下する設定であれば、誤差を前後2秒として、Ps1〜Pe1(3秒後から7秒後)の間に2回目の押下をしなければならない。同様に、3回目の開始値設定スイッチの押下が1回目の開始値設定スイッチの押下終了後から15秒後とする設定であれば、Ps2〜Pe2(13秒後〜17秒後)の間に3回目の押下をしなければならない。
そして、CPU101は、RWM103のデータ領域に書き込まれているオン時変数Ts1〜Ts3およびオフ時変数Te1〜Te3の値を読み込み、演算領域にて(Ts2−Te1)と、(Ts3−Te1)の値を演算する(図19参照)。そして、CPU101は、(Ts2−Te1)がPs1〜Pe1の範囲内にあり、かつ(Ts3−Te1)がPe2〜Ps2の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS38)。すなわち、1回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下り)後から2回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)までの時間が所定の範囲内にあり、かつ、1回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)後から3回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)までの時間が所定の範囲内にあるか否かを判定する。
(Ts2−Te1)と(Ts3−Te1)の両者が所定の範囲内にある(ステップS38:Yes)場合は、CPU101は、大当たり乱数の値Cと大当たり乱数の開始値C0に現在の初期値乱数の値Iをセットして、開始値設定スイッチ出力信号監視処理を終了する。すなわち、CPU101は、ステップS38の判定で、開始値設定スイッチの押下間隔が正しいと判定した場合のみ、初期値乱数の値を大当たり乱数の開始値としてセットし、後続の処理に進む。
一方、(Ts2−Te1)と(Ts3−Te1)の少なくとも一方が所定の範囲内にない(ステップS38:No)場合、開始値設定スイッチの押下間隔が遊技機の設定どおりではないので、CPU101は、オン時変数Ts1〜Ts3およびオフ時変数Te1〜Te3のデータを全てクリア(ステップS40)した後、演出制御部400へ再操作コマンドを送信して(ステップS41)、ステップS30の処理へ戻る。すなわち、CPU101は、ステップS38の判定で、開始値設定スイッチの押下間隔が正しくないと判定した場合には、初期値乱数の値を大当たり乱数の開始値としてセットせず、再度、開始値設定スイッチからの出力信号を監視することになる。なお、再操作コマンド送信とは、例えば、「開始値設定スイッチの押下間隔が誤りです」などを画像表示部21に表示させるための制御信号の送信をいうが、このような制御信号の送信が無い実施形態であってもよい。
(第3の実施形態による主な効果)
第3の実施形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、CPU101は、開始値設定スイッチが押下されていない間、初期値乱数更新処理を行っている。そのため、開始値設定スイッチの押下時間、押下操作の回数、開始値設定スイッチの押下操作が終了するまでの時間などが異なることによって、初期値乱数の更新回数も異なる。従って、RWM領域の初期化設定(ラムクリア)直後の初期値乱数カウンタのカウントアップの周期性は、従来のように規則的なものとはならず、不規則なものとなる。このことにより、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、不正遊技者は、ラムクリア直後に大当たり乱数の開始値としてセットされる初期値乱数の値を初期値乱数カウンタの周期性から予想することが困難となる。
また、上述したように、RWM領域の初期化設定(ラムクリア)があった場合は、開始値設定スイッチを、所定の時間間隔で複数回押下しなければ、大当たり乱数の開始値の設定ができず、後続の処理に進めない。すなわち、遊技を開始することができない。このため、もし仮に、不正遊技者が、不正にラムクリアを行い、その後、特殊な装置等を用いて意図した初期値乱数の値を取得する不正行為ができたとしても、それを大当たり乱数の開始値として設定するためには、開始値設定スイッチを所定の時間間隔で複数回押下しなければならない。このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、不正遊技者は、遊技機ごとに設定された開始値設定スイッチの押下規則を知らない限り実際の遊技を行うことができない。
また、第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なり、開始値設定スイッチは1つ(RWMクリアスイッチ104)である。すなわち、第3の実施形態によれば、開始値設定スイッチを複数設けることなく、押下回数および押下間隔によって、複雑な押下規則を設定することができる。
また、第3の実施形態によれば、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104)はメイン基板710に設けられている。このことから、開始値設定スイッチからの出力信号をメイン制御部100に送信するための配線を別途設ける必要はなく、メイン基板710に不正な基板を配線接続し、不正な出力信号を送信する行為を防止することができる。
(第3の実施形態の変形例)
なお、第3の実施形態では、RWMクリアスイッチ104が開始値設定スイッチの機能をも有しているとしたが、RWMクリアスイッチ104はRWMクリアの機能のみを有するものとし、RWMクリアスイッチ104とは別に、開始値設定スイッチを設けてもよい。この場合、別途設けられた開始値設定スイッチが、所定の押下規則どおりに押下されなければならない。
また、第3の実施形態では、開始値設定スイッチの押下回数は3回としたが、2回であってもよいし、4回以上であってもよい。
また、第3の実施形態では、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104)は、押下されている期間オンの信号を出力し、押下されていない期間(押下が解除されている期間)オフの信号を出力するスイッチとしたが、オン、オフの信号を出力できるものであれば、スイッチの種類はどのようなものであってもよい。
また、第3の実施形態では、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104)は、押下されていない期間(押下が解除されている期間)オフの信号を出力するとしたが、オフの信号を出力しないスイッチ、すなわちオンの信号のみを出力するスイッチであってもよい。この場合、オンの信号の出力がない状態を、オフの信号の出力がある状態であるとみなす。
また、第3の実施形態では、図18のステップS38において、3回目の開始値設定スイッチの押下が規則どおりであるか否かを判定するに際し、1回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)後から、3回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)までの時間(図19の(Ts3−Te1))を判定値として用いた。しかし、この判定値に代え、または、この判定値とともに、2回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)後から、3回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)までの時間(Ts3−Te2)を判定値として用いてもよい。
また、第3の実施形態では、開始値設定スイッチの押下が規則どおりであるか否かを判定するに際し、1回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)後から、2回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)までの時間(図19の(Ts2−Te1))のように、押下終了から次の押下開始までの時間を判定値として用いた。しかし、この判定値に代え、1回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)から、2回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)までの時間(Ts2−Ts1)を判定値として用いてもよい。同様に、1回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)から、2回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)までの時間(Te2−Te1)を判定値として用いてもよいし、1回目の開始値設定スイッチの押下開始(オン信号立ち上がり)から、2回目の開始値設定スイッチの押下終了(オン信号立ち下がり)までの時間(Te2−Ts1)を判定値として用いてもよい。
このように、第3の実施形態において、押下操作は所定の時間間隔で適切に行われればよく、その間隔の始点と終点はどのように決めてもよい。
また、第3の実施形態では、開始値設定スイッチを1つとしたが、開始値設定スイッチを複数持たせて、開始値設定スイッチの押下順序を設定し、かつ、その押下時間間隔をも設定するものであってもよい。すなわち、第1の実施形態の特徴と第3の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
また、前述のように開始値設定スイッチを複数持たせて、開始値設定スイッチの押下順序をメイン側RTCの時刻データが示す時刻に依存するように設定し、かつ、その押下時間間隔をも設定するものであってもよい。すなわち、第2の実施形態の特徴と第3の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、原則として、異なる部分について説明する。また、第4の実施形態に係る遊技機は、第1の実施形態に係る遊技機1の構成要素に加えてメイン側RTC(図示せず)を備えているが、開始値設定スイッチ104aは備えていない。
第4の実施形態の特徴は、開始値設定スイッチを所定の押下方法(シングルクリック、ダブルクリック、長押し)で複数回押下しなければ、遊技が開始できないとしたところにある。
第4の実施形態においては、開始値設定スイッチ出力信号監視処理のみが、第1の実施形態と異なる。図21は、第4の実施形態における開始値設定スイッチ出力信号監視処理のフローチャートの一例である。以下、図21を参照して、第4の実施形態を説明する。なお、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、RWMクリアスイッチ104は、開始値設定スイッチとしての機能をも有しており、図21の開始値設定スイッチ出力信号監視処理においては開始値設定スイッチとして機能する。そこで、以下では、RWMクリアスイッチ104を開始値設定スイッチと記載する。また、図21のフローチャートにおいて、ステップS50〜ステップS55の処理は、それぞれ図18のステップS30〜S35の処理と同一である。
つまり、CPU101は、ステップS50〜ステップS55の処理によって、開始値設定スイッチからの出力信号を監視し、オン信号の出力があるまで初期値乱数の更新を続け、オン信号の出力があった場合は、そのオン信号の立ち上がり時(開始値設定スイッチがオンになった瞬間)のメイン側RTCの時刻データを取得してオン時変数Ts1としてセットし、RWM103のデータ領域に更新し、次に、オン信号の立ち下がり時(開始値設定スイッチがオフになった瞬間)のメイン側RTCの時刻データを取得してオフ時変数Te1としてセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
次に、CPU101は、ROM102に格納されている押下時間判定データ(図示せず)の中から、データTSを読み込む。ここで、押下時間判定データとは、開始値設定スイッチの押下の方法が、ダブルクリックなのか、シングルクリックなのか、長押しなのかを判定するために、予めROM102に書き込まれているデータであり、時間を示すデータTD、TS、TLである。
ここで、TSとTLは、開始値設定スイッチの押下時間と比較されるデータであり、TLはTSより大きい値を取る。例えば開始値設定スイッチの押下時間が、TLより長ければ長押しであると判定され、TLより短いがTSより長ければシングルクリックと判定される。一方、TDは、開始値設定スイッチの押下間隔と比較されるデータであり、押下の種類がダブルクリックか否かを判定するために用いられる。例えば開始値設定スイッチの押下時間がTSより短い場合には、シングルクリックでも長押しでもないと判定され、次の押下操作次第でダブルクリックになる可能性があると判定される。そして、このTSより短い押下時間の押下が終了してから、時間TD以内に次の押下操作があるか否か、かつ、その押下時間がTSより短いか否かが判定されることによって、ダブルクリックか否かが判定される。(図22参照)。
そして、CPU101は、RWM103のデータ領域に書き込まれているオン時変数Ts1およびオフ時変数Te1の値を読み込み、演算領域にて(Te1−Ts1)の値を演算し、開始値設定スイッチの押下時間(オン信号出力時間)である(Te1−Ts1)がTSより大きいか否かを判定する(ステップS56)。
開始値設定スイッチの押下時間である(Te1−Ts1)がTSより大きくない(ステップS56:No)場合、CPU101は、開始値設定スイッチからの出力信号はダブルクリックの前半部の信号であると判定し、次の当該開始値設定スイッチからの出力信号がダブルクリックの後半部の信号に該当するか否かを判定する。そのため、まず、CPU101は、ステップS55の処理において取得したメイン側RTCの時刻データTe1(オフ時変数)から時間TD以内に開始値設定スイッチから次のオン信号の出力があるか否かを判定する(ステップS57)。
CPU101は、メイン側RTCの時刻データTe1から時間TD以内に開始値設定スイッチから次のオン信号の出力がない(ステップS57:No)場合、ダブルクリックとはならない誤操作であるとみなして、演出制御部400へ再操作コマンドを送信(ステップS58)した後、ステップS50の処理へ戻り、開始値設定スイッチの再操作による出力信号を監視する。
一方、メイン側RTCの時刻データTe1から時間TD以内に開始値設定スイッチから次のオン信号の出力がある(ステップS57:Yes)場合、そのオン信号の出力時間次第で、その出力信号はダブルクリックの後半部の信号に該当する可能性がある。そこで、CPU101は、ステップS53〜ステップS55の処理において、ステップS53の処理のTs1をTs2と置き換え、ステップS55の処理のTe1をTe2と置き換えた処理(準ステップS53〜ステップS55という)を行う(ステップS59)。すなわち、CPU101は、準ステップS53〜ステップS55を実行することよって、メイン側RTCの時刻データTe1から時間TD以内に押下された開始値設定スイッチのオン信号の立ち上がり時のメイン側RTCの時刻データを取得してオン時変数Ts2にセットし、RWM103のデータ領域に更新し、次に、オン信号の立ち下がり時のメイン側RTCの時刻データを取得してオフ時変数Te2にセットし、RWM103のデータ領域に更新する。そして、CPU101は、RWM103のデータ領域に書き込まれているオン時変数Ts2およびオフ時変数Te2の値を読み込み、演算領域にて(Te2−Ts2)の値を演算し、開始値設定スイッチの押下時間(オン信号出力時間)である(Te2−Ts2)がTSより大きいか否かを判定する(ステップS60)。
開始値設定スイッチの押下時間である(Te2−Ts2)がTSより大きい(ステップS60:Yes)場合、CPU101は、開始値設定スイッチからの出力信号はダブルクリックの後半部の信号ではないと判定し(すなわち誤操作であると判定し)、演出制御部400へ再操作コマンドを送信(ステップS58)した後、ステップS50の処理へ戻り、開始値設定スイッチの再操作による出力信号を監視する。一方、開始値設定スイッチの押下時間である(Te2−Ts2)がTSより大きくない(ステップS60:No)場合は、CPU101は、開始値設定スイッチからの出力信号はダブルクリックの後半部の信号であると判定し(すなわち、開始値設定スイッチの押下がダブルクリックであったと判定し)、押下変数F1に値1をセットし(ステップS61)、F1をRWM103のデータ領域に更新する。その後、CPU101は、RWM103の変数Ts1、Te1、Ts2、Te2をクリアする(ステップS65)。
説明はステップS56に戻って、開始値設定スイッチの押下時間である(Te1−Ts1)がTSより大きい(ステップS56:Yes)場合、CPU101は、押下操作が、シングルクリックか、長押しかを判定するため、開始値設定スイッチの押下時間である(Te1−Ts1)がTLより小さいか否かを判定する(ステップS62)。開始値設定スイッチの押下時間である(Te1−Ts1)がTLより小さい(ステップS62:Yes)場合、CPU101は、開始値設定スイッチの押下がシングルクリックであったと判定し、押下変数F1に値2をセットし(ステップS63)、このF1をRWM103のデータ領域に更新する。一方、開始値設定スイッチの押下時間である(Te1−Ts1)がTLより小さくない(ステップS62:No)場合、CPU101は、開始値設定スイッチの押下が長押しであったと判定し、押下変数F1に値3をセットし(ステップS64)、このF1をRWM103のデータ領域に更新する。その後、CPU101は、RWM103の変数Ts1、Te1、Ts2、Te2をクリアする(ステップS65)。
すなわち、CPU101は、ステップS50〜ステップS65の処理によって、開始値設定スイッチからの出力信号を監視し、オン信号の出力があるまで初期値乱数の更新を続け、オン信号の出力があった場合は、その信号がダブルクリックか、シングルクリックか、長押しかを判定する。そしてCPU101は、ダブルクリックであれば押下変数F1に値1をセットし、シングルクリックであれば押下変数F1に値2をセットし、長押しであれば押下変数F1に値3をセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
次に、CPU101は、このステップS50〜ステップS65の処理において、ステップS61、ステップS63、ステップS64の処理のF1をF2に置き換えた処理(2回目準ステップS50〜ステップS65という)を行う(ステップS66)。すなわち、CPU101は、2回目準ステップS50〜ステップS65を実行することにより、2回目の開始値設定スイッチの押下操作が、どの押下方法(ダブルクリック、シングルクリック、長押しのいずれか)に該当するかを判定し、それぞれの方法に応じた値(1、2、3のいずれか)を押下変数F2にセットし、RWM103のデータ領域に更新する。
次に、CPU101は、ROM102に格納されているスイッチパターンテーブル(図23参照)のデータを読み込む。スイッチパターンテーブルは、遊技機ごとに予めROM102に書き込まれている。なお、第4の実施形態では、一例として、開始値設定スイッチの押下方法は、1回目がダブルクリックであり、2回目が長押しであるとする。この場合は、図23に示すように、スイッチパターン変数P1の値は、ダブルクリックを示す値1であり、スイッチパターン変数P2の値は長押しを示す値3である。
そして、CPU101は、RWM103のデータ領域に書き込まれている押下変数F1、F2の値と、スイッチパターン変数P1、P2の値がそれぞれ一致しているか否かを判定する(ステップS67)。F1とP1の値が一致しており(つまり、1回目に押下した方法がダブルクリックであり)、かつF2とP2の値が一致している(2回目に押下した方法が長押しである)場合(ステップS67:Yes)、CPU101は、ステップS68の処理に進む。ステップS68において、CPU101は、大当たり乱数の値Cと大当たり乱数の開始値C0に現在の初期値乱数の値Iをセットして、開始値設定スイッチ出力信号監視処理を終了する。すなわち、CPU101は、ステップS67の判定で、開始値設定スイッチの押下方法が正しいと判定した場合のみ、初期値乱数の値を大当たり乱数の開始値としてセットし、後続の処理に進む。
一方、F1とP1の値が一致しない、または/およびF2とP2の値が一致しない場合(ステップS67:No)、開始値設定スイッチの押下方法が遊技機の設定どおりではないということであるので、CPU101は、RWM103のF1とF2のデータをクリア(ステップS69)した後、演出制御部400へ再操作コマンドを送信して(ステップS70)、ステップS50の処理へ戻る。すなわち、CPU101は、ステップS67の判定で、開始値設定スイッチの押下方法が正しくないと判定した場合には、初期値乱数の値を大当たり乱数の開始値としてセットせず、再度、開始値設定スイッチからの出力信号を監視することになる。なお、再操作コマンド送信とは、例えば、「開始値設定スイッチの押下方法が誤りです」などを画像表示部21に表示させるための制御信号の送信をいうが、このような制御信号の送信が無い実施形態であってもよい。
(第4の実施形態による主な効果)
第4の実施形態によれば、第1の実施形態から第3の実施形態と同様に、CPU101は、開始値設定スイッチが押下されていない間、初期値乱数更新処理を行っている。そのため、開始値設定スイッチの押下時間、押下操作の回数、開始値設定スイッチの押下操作が終了するまでの時間などが異なることによって、初期値乱数の更新回数も異なる。従って、RWM領域の初期化設定(ラムクリア)直後の初期値乱数カウンタのカウントアップの周期性は、従来のように規則的なものとはならず、不規則なものとなる。このことにより、第1の実施形態から第3の実施形態と同様に、不正遊技者は、ラムクリア直後に大当たり乱数の開始値としてセットされる初期値乱数の値を初期値乱数カウンタの周期性から予想することが困難となる。
また、上述したように、RWM領域の初期化設定(ラムクリア)があった場合は、開始値設定スイッチを、所定の押下方法で押下しなければ、大当たり乱数の開始値の設定ができず、後続の処理に進めない。すなわち、遊技を開始することができない。このため、もし仮に、不正遊技者が、不正にラムクリアを行い、その後、特殊な装置等を用いて意図した初期値乱数の値を取得する不正行為ができたとしても、それを大当たり乱数の開始値として設定するためには、開始値設定スイッチを所定の押下方法で押下しなければならない。このように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態から第3の実施形態と同様に、不正遊技者は、遊技機ごとに設定された開始値設定スイッチの押下規則を知らない限り実際の遊技を行うことができない。
また、第4の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なり、開始値設定スイッチは1つ(RWMクリアスイッチ104)である。すなわち、第4の実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、開始値設定スイッチを複数設けることなく、押下回数および押下方法によって、複雑な押下規則を設定することができる。
また、第4の実施形態によれば、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104)はメイン基板710に設けられている。このことから、開始値設定スイッチからの出力信号をメイン制御部100に送信するための配線を別途設ける必要はなく、メイン基板710に不正な基板を配線接続し、不正な出力信号を送信する行為を防止することができる。
(第4の実施形態の変形例)
なお、第4の実施形態では、RWMクリアスイッチ104が開始値設定スイッチの機能をも有しているとしたが、RWMクリアスイッチ104はRWMクリアの機能のみを有するものとし、RWMクリアスイッチ104とは別に、開始値設定スイッチを設けてもよい。この場合、別途設けられた開始値設定スイッチが、所定の押下規則どおりに押下されなければならない。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチの操作回数は2回としたが、1回であってもよいし、3回以上であってもよい。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104)は、押下されている期間オンの信号を出力し、押下されていない期間(押下が解除されている期間)オフの信号を出力するスイッチとしたが、オン、オフの信号を出力できるものであれば、スイッチの種類はどのようなものであってもよい。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチ(RWMクリアスイッチ104)は、押下されていない期間(押下が解除されている期間)オフの信号を出力するとしたが、オフの信号を出力しないスイッチ、すなわちオンの信号のみを出力するスイッチであってもよい。この場合、オンの信号の出力がない状態を、オフの信号の出力がある状態であるとみなす。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチの押下の方法をダブルクリック、シングルクリック、長押しの3種類とした。そして、そのいずれに該当するか(あるいはいずれにも該当しないか)という判定は、予めROM102に書き込まれた押下時間判定データに基づいている。したがって、開始値設定スイッチの押下時間(オン信号出力時間)がどの程度の長さであればシングルクリックと判定するか等は、押下時間判定データを任意に変更することによって、遊技機ごとに設定可能である。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチの押下の方法をダブルクリック、シングルクリック、長押しの3種類とした。しかし、開始値設定スイッチの押下間隔や押下時間を検出することによって、他の押下パターンを所定の押下方法としてもよい。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチの押下方法のみを、判定基準としたが、それに加えて、開始値設定スイッチの押下間隔を判定基準としてもよい。例えば、「1回目の開始値設定スイッチの押下をダブルクリックにより行い、かつ5秒後に、2回目の開始値設定スイッチの押下をシングルクリックにより行う」という押下方法の設定をしてもよい。すなわち、第3の実施形態の特徴と第4の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
また、第4の実施形態では、開始値設定スイッチを1つとしたが、開始値設定スイッチを複数持たせて、開始値設定スイッチの押下順序を設定し、かつ、その押下方法をも設定するものであってもよい。すなわち、第1の実施形態の特徴と第4の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
また、前述のように開始値設定スイッチを複数持たせて、開始値設定スイッチの押下順序をメイン側RTCの時刻データが示す時刻に依存するように設定し、かつ、その押下方法をも設定するものであってもよい。すなわち、第2の実施形態の特徴と第4の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
また、開始値設定スイッチを複数持たせて、開始値設定スイッチの押下順序を設定し、かつ、その押下方法と押下間隔をも設定するものであってもよい。すなわち、第1の実施形態の特徴と第3の実施形態の特徴と第4の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
また、開始値設定スイッチを複数持たせて、開始値設定スイッチの押下順序をメイン側RTCの時刻データが示す時刻に依存するように設定し、かつ、その押下方法と押下間隔をも設定するものであってもよい。すなわち、第2の実施形態の特徴と第3の実施形態の特徴と第4の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
(第1の実施形態から第4の実施形態による他の効果)
これまで説明してきた第1の実施形態から第4の実施形態によれば、図9の電源遮断監視処理により、停電時など、電源の電圧が所定の閾値以下になった場合は、遊技中の遊技情報のバックアップデータを生成する(図9のステップS905)。そして、電源の供給が再開された場合の開始処理において、バックアップデータが無効であれば(図7のステップS400:No、またはステップS500:No)、RWM103のデータ領域をクリアする(図7のステップS700)。この場合も、RWM103のデータ領域がクリアされているので、それぞれの実施形態で指定される設定に従って、開始値設定スイッチを押下しなければ、遊技を開始することはできない。したがって、不正行為者が、不正な信号を出力して電源の遮断および供給を行ったとしても、その後、開始値設定スイッチを所定の設定どおりに押下することができないため、遊技を開始することができない。
一方、電源供給が再開された場合の開始処理において、バックアップデータが有効であれば(図7のステップS500:Yes)、開始値設定スイッチの押下は必要なく、遊技を再開することができる。この場合は、電源遮断時の遊技状態を継続して遊技を再開することができるため、大当たり乱数の値や、初期値乱数の値は初期化される(ゼロになる)ことがない。したがって、不正遊技者が大当たり乱数の当たり値までの時間を把握して、当たり値の出現タイミングを把握することはできない。
したがって、電源遮断行為が行われても、大当たり乱数の当たり値の発生タイミングを把握することができず、大当たり乱数の当たり値の発生タイミングに基づいて遊技球を入賞させることによって不正に利益を獲得する不正行為を防止することができる。
これまで説明してきたように、第1の実施形態から第4の実施形態において、ラムクリア直後の大当たり乱数の開始値(C0)は初期値乱数の値(I)から取得され、セットされることとした。しかし、ラムクリア直後の大当たり乱数の開始値は、チップ内蔵乱数回路や、他の乱数を生成する機構から取得され、セットされてもよい。
また、上述した遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明の範囲を逸脱しなければ本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述した処理で用いられている数値等は、単なる一例に過ぎず他の数値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
以上、本発明を実施形態を用いて詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義も含めて)が優先する。