JP5372699B2 - 車載ネットワーク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、実時間処理に用いられるリアルタイム制御ネットワークに関するものである。車両制御用のネットワークや、産業用コンピュータ等に用いることができる。
近年の車載ネットワークでは、通信のリアルタイム性を保障するために、イベントトリガ型通信、すなわち、時間同期通信のネットワークを使用するようになった。例えば、引用文献1で示されているFlexRayは、時間同期通信のひとつである。FlexRayでは、通信の1周期を通信サイクルとよぶ。通信サイクルは複数のスロットで構成され、各コントローラにあらかじめ割当てられる。各コントローラの通信制御部は、ネットワーク上のほかの通信制御部と同期しており、スロットの開始に合わせて、指定されたスロットのフレームを受信バッファへ書き込むことでネットワークより受信できる。また、通信制御部は、送信バッファから読み出して予め指定されたスロットへ送信することで、ネットワークに送信できる。
特表2008−509584号公報
FlexRayを用いた車載ネットワークシステムにおいて制御タスクを正しく実行させるには、1制御サイクルで使用する入力データの受信と、1制御サイクルで生成した出力データの送信を、1制御サイクルで完了させ、データの同時性を保障する必要がある。データ同時性が保障されない場合、データのサンプリング周期にずれが生じ、制御タスクの制御が成立しないと云う課題がある。
本発明の目的は、1制御サイクルで使用する入力データの受信と、1制御サイクルで生成した出力データの送信を、1制御サイクルで完了させ、データの同時性を保障することにある。
上記課題を解決するための本発明は、複数のノードが共通のネットワークに接続され、前記ノードは送信バッファと受信バッファと通信制御手段を内蔵し、通信は一定周期の通信サイクルで行い、通信サイクルは予め指定された通信時間に分割された複数のスロットで構成され、かつ通信制御手段は車両の制御データを含むフレームを予め指定されたスロットを介して送受信する時分割多重通信方式を用いる車載ネットワーク装置であって、通信制御手段の送信は、送信バッファから読み出して予め指定されたスロットへ送信し、通信制御手段の受信は、予め指定されたスロットのフレームを受信バッファへ書き込み、ノードは制御タスクとデータ送受信手段を持ち、制御タスクは通信サイクル内の予め指定された時刻において呼び出しされ入力データの受信と、制御と、出力データの送信を行い、データ送受信手段の入力データの受信は、予め指定された受信バッファのフレームに予め指定された変換を行い入力データを生成し、データ送受信手段の出力データの送信は、出力データに予め指定された変換を行いフレームを生成して予め指定された送信バッファに書き込み、複数のスロットを、連続した1つ以上のスロットの集合から成る前半スロット群と後半スロット群に2分割し、データ送受信手段は、ある通信サイクルの前半スロット群に対応する出力データの送信を、ある通信サイクルの後半スロット群のスロット中に実行し、ある通信サイクルの後半スロット群に対応する出力データの送信を、ある通信サイクルの次の通信サイクルの前半スロット群のスロットに割当てられた時間中に実行することを特徴とする車載ネットワーク装置である。
また、複数のノードが共通のネットワークに接続され、ノードは送信バッファと受信バッファと通信制御手段とを内蔵し、ネットワーク内の通信は一定周期の通信サイクルで行い、通信サイクルは予め指定された通信時間に分割された複数のスロットで構成され、かつ前記通信制御手段車両の制御データを含むフレームを予め指定されたスロットを介して送受信する時分割多重通信方式を用いる車載ネットワーク装置であって、通信制御手段の送信は、送信バッファから読み出して予め指定されたスロットへ送信し、通信制御手段の受信は、予め指定されたスロットのフレームを受信バッファへ書き込み、ノードは制御タスクとデータ送受信手段を持ち、制御タスクは通信サイクル内の予め指定された時刻において呼び出しされ入力データの受信と、制御と、出力データの送信を行い、データ送受信手段の入力データの受信は、予め指定された受信バッファのフレームに予め指定された変換を行って入力データを生成し、データ送受信手段の出力データの送信は、出力データに予め指定された変換を行いフレームを生成して予め指定された送信バッファに書き込み、通信サイクルは、通信サイクル内のある時刻から通信サイクル終了時刻までに、通信制御手段によるフレームの送受信が行われない、若しくはスロットがない空き時間を有し、ある通信サイクルの空き時間の間に、データ送受信手段がある通信サイクルの制御タスクで生成された全ての出力データを、ある通信サイクルの次の通信サイクルで送信することを特徴とする車載ネットワーク装置である。
本発明によれば、FlexRayを用いた車載ネットワークシステムにおいて、1制御サイクルで使用する入力データの受信と、1制御サイクルで生成した出力データの送信を、1制御サイクルで完了させ、データの同時性を保障することができる。
実施例1の構成図。 実施例2の構成図。 送信バッファと受信バッファ。 フレームテーブル。 フレーム送受信テーブル。 スロット群送受信テーブル。 割込み時刻テーブル。 実施例1の通信サイクル。 実施例1のシーケンス図。 割込み管理部のフローチャート。 データ送受信部のフローチャート。 制御タスクのフローチャート。 実施例2の通信サイクル。 分割点のスロットIDの決定方式。 データ送受信部のフローチャート。 実施例2のシーケンス図。 割込み時刻テーブル。 データ送受信部のフローチャート。 実施例3のシーケンス図。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
実施例1では、制御サイクルと通信サイクルを同期させ、通信サイクル内のスロットをスロット群として2分割し、それぞれのスロット群ごとにデータ送受信部10を実行し、出力データを送信する実施例を示す。以下、本実施例を説明する。
実施例1のシステム構成を、図2に示す。コントローラ1,2はネットワーク3に接続されている。コントローラの数は3以上でもよい。コントローラ1,2内部には、通信制御部4,受信バッファ5,送信バッファ6,制御タスク7,入力データ8,出力データ9,データ送受信部10,割込み管理部11,フレームテーブル12,フレーム群送受信テーブル13,割込み時刻テーブルがある。通信制御部4,受信バッファ5,送信バッファ6,制御タスク7,入力データ8,出力データ9,割込み管理部11,フレームテーブル12は、実施例1と同一のものである。割込み時刻テーブル16は、前半スロット群のフレーム送信のためと、後半スロット群のフレームのために夫々データ送受信部10を呼び出すため、図17に示すように3エントリ持つ。グローバルタイマ161には、通信サイクル開始時刻と制御タスク開始時刻と分割点22を設定する。
実施例1の通信サイクルの構成を、図13に示す。通信サイクル19は、スロット20を1つ以上含んでいる。スロット20には、多くとも1つのフレームが通信される。制御タスクは、制御タスク実行時間26が通信サイクルを跨がないように、制御タスク開始時刻17を予め計算し、割込み時刻テーブル16に設定する。
通信サイクルMの制御タスク開始時刻17から、通信サイクルM+1の制御タスク開始時刻17までの時間が、制御サイクル21である。分割点22は、後半スロット群24の先頭となるスロットの開始時刻である。分割点22は、制御タスク終了時刻30よりも後ろに設定する。前半スロット群の出力データの送信は、分割点22からから前半スロット群データ送受信部実行時間27の終了まで実行される。後半スロット群の出力データの送信は、通信サイクル開始時刻、後半スロット群データ送受信部実行時間25の終了時刻まで実行される。前半スロット群データ送受信部実行時間27は、前半スロット群に含まれる送信フレーム数に比例する。後半スロット群データ送受信部実行時間25は、後半スロット群に含まれる送信フレーム数に比例する。余裕時間TA28は、後半スロット群データ送受信部実行時間25の終了時刻から制御タスク開始時間17までの時間である。余裕時間TB29は、前半スロット群データ送受信部実行時間27の終了時刻から通信サイクル開始時刻までの時間である。
分割点22は、図14に示すように、予め|余裕時間TA−余裕時間TB|が最小となるように分割点を決定する。これにより、余裕時間TA28と余裕時間TB29を均等にでき、割込みなどの遅延があってもデータ送受信部の処理がデットラインを守れる可能性が向上する。
スロット群送受信テーブル14の構成を、図6に示す。スロット群送受信テーブル14は、スロット群のフレームIDを指定するテーブルである。エントリは、前半スロット群と後半スロット群の2つであり、夫々のスロット群が含むフレームIDを指定する。本実施例では、1個のスロット群につき16個のフレームを指定できるが、1個以上の任意の個数で指定してもよい。また、エントリごとに、データ送受信部10をコールするグローバルタイマ141をエントリごとに設定する。前半スロット群のグローバルタイム141は、分割点の時刻を設定する。後半スロット群のグローバルタイム141は、通信サイクル開始時刻である0を設定する。
データ送受信部10は、割込み管理部11から呼び出されたときに、出力データ9の送信を行う。図15に、データ送受信部10のフローチャートを示す。まず、割込み管理部11から呼び出されると、通信制御部4よりグローバルタイムTをリードする(1301)。次に、スロット群送受信テーブル14よりTと同一のグローバルタイム141のエントリE1を検索する(1302)。次に、エントリE1のフレームID142〜143からフレームFを順に選択する(1303)。次に、制御タスク7が生成した出力データ9から送信フレームを作成する。具体的には、フレームテーブル12より、フレームFと合致するフレームID121のエントリE2を選択する(1305)。その後、エントリE1のスロットID133の送信バッファに、エントリE2の出力データ122〜出力データ123をライトする(1306)。全てのフレームFを選択すると、終了する(1304)。
本実施例のコントローラ1における、制御タスクの出力データの出力からフレームの送信までの送信シーケンスを、図16に示す。118,120,122,123はコントローラ1が、通信サイクルM+1において送信する送信フレームを示す。
制御サイクルMの送信シーケンスを説明する。通信制御部4は、制御タスク開始時刻17になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2201)、割込み管理部11を経由して(2202)制御タスクをコールする(2203)。制御タスク7では、制御演算を完了させた後、他のコントローラに送信するデータを、出力データ9として全てライトする。制御演算が完了しているため、制御サイクルMの全て出力データ9であることが保証される。次に、通信制御部4は、分割点22になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2204)、割込み管理部11を経由して(2205)データ送受信部10をコールする(2206)。データ送受信部10では、前半スロット群に含まれる送信フレーム118,120,122に対応する送信バッファ6へ、出力データ9をライトする。次に、通信制御部4は、通信サイクル開始時刻になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2207)、割込み管理部11を経由して(2208)データ送受信部10をコールする(2209)。データ送受信部10では、後半スロット群に含まれる送信フレーム123に対応する送信バッファ6へ、出力データ9をライトする。通信サイクルM+1が始まると、通信制御部4は、送信バッファ6のフレームを、対応するスロットから送信する(2210,2211,2212,2213)。2206の終了までフレーム118,120,122の送信は行われず、2209の終了までフレーム123の送信は行われず、且つ、2210〜2213で送信されるフレームは、制御サイクルMの制御タスクが生成した出力データのみを含む。このため、1通信サイクルでの出力データの同時性を保証できる。
実施例2では、制御サイクルと通信サイクルを同期させ、通信サイクル内のスロットをスロット群として2分割し、それぞれのスロット群ごとにデータ送受信部10を実行し、入力データを受信し、出力データを送信する実施例を示す。以下、本実施例を説明する。
実施例2のシステム構成は、図2に示す実施例1と同一である。
実施例2の通信サイクルの構成も、図13に示す実施例1と同一である。ただし、前半スロット群の出力データの送信に加え、前半スロット群の入力データの受信が、分割点22から前半スロット群データ送受信部実行時間27の終了まで実行される。また、後半スロット群の出力データの送信に加え、後半スロット群の入力の受信が、通信サイクル開始時刻,後半スロット群データ送受信部実行時間25の終了時刻まで実行される。前半スロット群データ送受信部実行時間27は、前半スロット群に含まれるフレーム数に比例する。後半スロット群データ送受信部実行時間25は、後半スロット群に含まれるフレーム数に比例する。余裕時間TA28は、後半スロット群データ送受信部実行時間25の終了時刻から制御タスク開始時間17までの時間である。余裕時間TB29は、前半スロット群データ送受信部実行時間27の終了時刻から通信サイクル開始時刻までの時間である。
分割点22は、図14に示すように、予め|余裕時間TA−余裕時間TB|が最小となるように分割点を決定する。これにより、余裕時間TA28と余裕時間TB29を均等にでき、割込みなどの遅延があってもデータ送受信部の処理がデットラインを守れる可能性が向上する。
データ送受信部10は、割込み管理部11から呼び出されたときに、出力データ9の送信を行う。図18に、データ送受信部10のフローチャートを示す。まず、割込み管理部11から呼び出されると、通信制御部4よりグローバルタイムTをリードする(1401)。次に、スロット群送受信テーブル14よりTと同一のグローバルタイム141のエントリE1を検索する(1402)。次に、エントリE1のフレームID142,143からフレームFを順に選択する(1403)。次に、フレーム群送受信テーブル13から、フレームFと合致するフレームID131のエントリE2を選択する(1405)。
その後、E2の種別132をリードする(1406)。種別132が「送信」であれば(1407)、制御タスク7が生成した出力データ9から送信フレームを作成する。具体的には、フレームテーブル12より、フレームFと合致するフレームID121のエントリE3を選択する(1408)。
その後、エントリE2のスロットID133の送信バッファに、エントリE3の出力データ122〜出力データ123をライトする(1409)。また、種別132が「受信」であれば(1407)、受信バッファ5からフレームをリードし、入力データ8をリードする。具体的には、フレームテーブル12より、フレームFと合致するフレームID121のエントリE3を選ぶ。その後、エントリE3の入力データ122〜入力データ123に、エントリE2のスロットID133の受信バッファをライトする。全てのフレームFを選択すると、終了する(1404)。
本実施例のコントローラ1における、制御タスクのフレームの受信から入力データの入力までの受信シーケンスを、図19に示す。112,114,117はコントローラ1が、通信サイクルMにおいて受信する受信フレームを示す。
通信サイクルMの受信シーケンスを説明する。通信サイクルMが始まると、通信制御部4は、受信バッファ5へ、対応するスロットからフレームを受信する(2301,2302,2306)。次に、通信制御部4は、分割点22になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2303)、割込み管理部11を経由して(2304)データ送受信部10をコールする(2305)。データ送受信部10では、前半スロット群に含まれる受信フレーム112,114に対応する受信バッファ5から、入力データ8へライトする。次に、通信制御部4は、通信サイクル開始時刻になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2307)、割込み管理部11を経由して(2308)データ送受信部10をコールする(2309)。データ送受信部10では、後半スロット群に含まれる受信フレーム117に対応する受信バッファ5から、入力データ8へライトする。通信制御部4は、制御タスク開始時刻17になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2310)、割込み管理部11を経由して(2311)制御タスクをコールする(2312)。制御タスク7では、制御演算の開始前に、他のコントローラから受信するデータを、入力データ8として全てリードする。2305の開始前までにフレーム112,114が受信され、2309の開始前までにフレーム117が受信され、且つ、2301,2302,2306で受信されたフレームは、他のコントローラの制御サイクルM−1の制御タスクが生成した出力データのみを含む。このため、1通信サイクルでの入力データの同時性を保証できる。
なお、本実施例の送信シーケンスは、実施例1と同様であるので、データの同時性が保障されるのは言うまでもない。
実施例3では、制御サイクルと通信サイクルを同期させると同時に、通信サイクル中に通信制御部4によるデータ送受信しない空き時間15を設け、その間にデータ送受信部が全データのリード,ライトを行う実施例を示す。通信サイクル内の空き時間15とは、通信サイクル内のある時刻から通信サイクル終了時刻までの時間で、スロットを用いてフレームの送受信が行われないか、もしくは、スロットがない時間(ネットワークアイドルタイム)である。
図1に、実施例1のシステム構成を示す。コントローラ1,2はネットワーク3に接続されている。コントローラの数は3以上でもよい。コントローラ1,2内部には、通信制御部4,受信バッファ5,送信バッファ6,制御タスク7,入力データ8,出力データ9,データ送受信部10,割込み管理部11,フレームテーブル12,フレーム群送受信テーブル13,割込み時刻テーブル16がある。
図8に、実施例1の通信サイクルの構成を示す。通信サイクル19は、スロット20を1つ以上含んでいる。スロット20には、多くとも1つのフレームが通信される。通信サイクル19は、空き時間15が1つ含まれる。空き時間15の間は、フレームは通信されない。ここで、フレームとは、コントローラが搭載される車両の制御データのほかにフレームIDなどを含むヘッダや、CRCなどを含むトレーラなどを含んでいる。制御データとしては、各種センサからの値や、各種アクチュエータへの指令値、また各コントロールユニット間の指令値がある。空き時間15は、空き時間開始時刻18から、通信サイクル19の終了時刻まで続く。制御タスクは、空き時間15以外の範囲で実行されるように、制御タスク開始時刻17を予め計算し、割込み時刻テーブル16に設定する。通信サイクルMの制御タスク開始時刻17から、通信サイクルM+1の制御タスク開始時刻17までの時間が制御サイクル21である。
通信制御部4は、時間同期通信を行うハードウェアであり、FlexRayの通信コントローラと同等の機能を持つ。通信制御部4は、グローバルタイマ,通信サイクルカウンタ,スロットカウンタを持つ。コントローラ1,コントローラ2の通信制御部4は、通信サイクルを交換し、常に同じ値になるように制御している。スロットカウンタは、通信サイクルの開始時点を0としてカウントアップされる。通信制御部4は、スタティックセグメントを用いてフレーム送信やフレーム受信を行うときの、通信サイクルとスロットのフィルタリング条件を保持している。フレーム送信のフィルタリング条件と、現在の通信サイクルとスロットが合致すると、通信制御部4はフレームごとに割当てられた送信バッファ6を送信する。また、フレーム受信のフィルタリング条件と、通信サイクルとスロットが合致すると、通信制御部4はネットワーク3からフレームを受信し、フレームごとに静的に割当てられた受信バッファ5に保存する。ダイナミックセグメントを用いてフレーム送信を行うときは、フィルタリング条件に合致し、かつ、送信要求がデータ送受信部からなされた時に、通信制御部4は送信バッファ6を送信する。なお、その他の詳細な構成は、公知技術を用いて実現可能である。
通信制御部4は、予め指定したグローバルタイマになると割込みを発生することができる。グローバルタイマの割込み時刻は、制御タスク7やデータ送受信部10を呼び出しするタイミングに設定しておく。グローバルタイマの割込み時刻を1つしか設定できない通信制御部4の場合は、割込み発生時に、割込み管理部11において、次の割込み時刻を設定する。
送信バッファ6,受信バッファ5の構成を図3に示す。スロットごとエントリが設けられており、フレームが1つ格納できる。種別が「受信」であると受信バッファ、「送信」であると送信バッファとなる。
制御タスク7は、エンジンやブレーキ等、車載機器の制御を行うプログラムである。制御タスクは、通信サイクル内の予め指定された時刻において、割込み管理部11により呼び出される。
図12に、制御タスク7のフローチャートを示す。制御タスク7が呼び出されると、まず、入力データ8をリードする(1201)。次に、入力データ8を入力として、車載機器の制御プログラムを実行する(1202)。最後に、制御プログラムの実行結果を、出力データ9へライトする(1203)。データ送受信部10は、割込み管理部11から呼び出されたときに、出力データ9の送信と、入力データ8の受信を行う。
図11に、データ送受信部10のフローチャートを示す。まず、割込み管理部11から呼び出されると、フレーム群送受信テーブル13の先頭から順にエントリE1を選択する(1101)。フレーム群送受信テーブル13のエントリを全て選択していれば終了する(1102)。エントリE1があれば、フレームID131と種別132をリードする(1103)。種別132が「送信」であれば(1104)、制御タスク7が生成した出力データ9から送信フレームを作成する。具体的には、フレームテーブル12より、フレームID131と合致するフレームID121のエントリE2を選択する(1105)。その後、エントリE1のスロットID133の送信バッファに、エントリE2の出力データ122〜出力データ123をライトする(1106)。また、種別132が「受信」であれば(1104)、受信バッファ5からフレームをリードし、入力データ8をリードする。具体的には、フレームテーブル12より、フレームID131と合致するフレームID121のエントリE2を選ぶ。その後、エントリE2の入力データ122〜入力データ123に、エントリE1のスロットID133の受信バッファをライトする。
割込み管理部11は、データ送受信部10と、制御タスク7を呼び出しする割込みハンドラである。通信制御部4は、グローバルタイマの割込みが発生すると、割込み管理部11を呼び出す。
図10に、割込み管理部のフローチャートを示す。まず、割込み管理部11は、グローバルタイマT1をリードし(1101)、割込み時刻テーブル16から、グローバルタイムT1と一致する行を検索する(1002)。合致する行の処理163を参照し(1004)、「制御タスク」であれば、制御タスクを呼び出す(1005)。タスクの呼び出しは、オペレーティングシステムを介して行う。車載システムのオペレーティングシステムは、OSEKが主流である。OSEKにおけるタスクの呼び出しについては、公知技術を用いて実現できる。処理163が「データ送受信部」であれば、データ送受信部10を呼び出す(1006)。また、割込み時刻テーブル16の次のエントリより、グローバルタイムT2をリードし(1007)、通信制御部4のグローバルタイマ割込みのグローバルタイムとして設定する(1009)。もし、割込み時刻テーブル16の次のエントリがなければ、割込み時刻テーブルの先頭のグローバルタイマ割込み時刻を、通信制御部4のグローバルタイマ割込みのグローバルタイムとして設定する(1010)。
フレーム群送受信テーブル13は、コントローラ1が送受信するフレームを指定するテーブルである。構成を図5に示す。フレームごとにエントリが設けられており、フレームID131,種別132,スロットID133を指定する。種別132は「送信」されるフレームであるか、「受信」されるフレームであるかを示す。スロットID133は、フレームIDで指定されたフレームの使用するスロットを指定する。スロットIDとフレームIDを全て等しくすることができれば、スロットID133は必要ない。
フレームテーブル12は、フレームの構成を指定するテーブルである。図5に構成を示す。フレームごとにエントリが設けられており、各フレームに収められるデータのIDを指定する。本実施例では、出力データと入力データのサイズが1バイト固定であるが、1ビット、1ワード単位でも指定できる。また、本実施例では、出力データと入力データがフレームにつき8個指定されているが、1個以上の個数でも指定できる。
割込み時刻テーブル16は、通信制御部4が割込みを発生させるべきグローバルタイム161と、そのときの処理種別162を指定するテーブルである。図7に割込み時刻テーブル16の構成を示す。割込み時刻テーブル16のエントリは、処理が「制御タスク」であるものを1つ含む。これにより、制御タスクを通信サイクルに同期して呼び出しすることができる。また、処理が「データ送受信部」であるものを少なくとも1つ含む。このエントリのグローバルタイム161は、空き時間15の開始時刻を設定する。1スロットの時間は、グローバルタイムの整数倍で決められている。たとえば、グローバルタイムの10倍が1スロットの時間とすると、空き時間15の開始時刻のグローバルタイムは、通信サイクル開始時刻から空き時間開始時刻までのスロット数×10から求まる。これを、グローバルタイム161に予め設定する。これにより、割込み管理部11が、データ送受信部を空き時間開始時刻に呼び出すことができる。
本実施例のコントローラ1における、制御タスクの出力データの出力からフレームの送信までの送信シーケンスと、フレームの受信から制御タスクの入力データの入力までの受信シーケンスを、図9に示す。101はコントローラ1が送信する送信フレーム、102は、コントローラ1が受信する受信フレームを示す。
まず、制御サイクルMの送信シーケンスを説明する。通信制御部4は、制御タスク開始時刻17になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2001)、割込み管理部11を経由して(2002)制御タスクをコールする(2003)。制御タスク7では、制御演算を完了させた後、他のコントローラに送信するデータを、出力データ9として全てライトする。制御演算が完了しているため、制御サイクルMの全て出力データ9であることが保証される。次に、通信制御部4は、空き時間開始時刻18になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2004)、割込み管理部11を経由して(2005)データ送受信部10をコールする(2006)。データ送受信部10では、出力データ9を全て、送信バッファ6にライトする。通信サイクルM+1が始まると、通信制御部4は、送信バッファ6のフレームを、対応するスロットから送信する(2007,2008,2009,2010)。2004〜2006の終了までフレームの送信は行われず、且つ、2007〜2010で送信されるフレームは、制御サイクルMの制御タスクが生成した出力データのみを含む。これにより、1通信サイクルでの出力データの同時性を保証できる。
次に、受信シーケンスを説明する。まず、通信サイクルMが開始すると、通信制御部4は、対応するスロットから受信バッファ5のフレームを受信する(2101,2102,2103)。次に、通信制御部4は、空き時間開始時刻18になると、グローバルタイマ割込みを発生し(2104)、割込み管理部11を経由して(2105)データ送受信部10をコールする(2106)。データ送受信部10では、全受信バッファ5を、入力データ8にライトする。2106の間、新たな受信フレームは来ないので、受信バッファ5のフレームは、全て通信サイクルMで受信されたフレームであることが保証される。通信サイクルM+1の制御タスク開始時刻17になると、通信制御部4は、グローバルタイマ割込みを発生し(2107)、割込み管理部11を経由して(2108)制御タスクをコールする(2109)。制御タスク7では、制御演算前に、他のコントローラから受信するデータを、入力データ8として全てリードする。制御演算前であるため、入力データ8は、通信サイクルMで受信した受信フレームの入力データ8あることが保証される。送信シーケンスにより、受信フレームは、1制御サイクルで同時性を保つことが保障されているので、1制御サイクルでの入力データの同時性を保障されることになる。
実施例1,実施例2,実施例3では、1制御サイクルの全ての入力データ、出力データの送受信を1通信サイクルで実行し、データの同時性を保障することができる。
また、実施例3では、データ送受信部と通信制御部が送信バッファ,受信バッファに排他的にリード,ライトするため、確実に1制御サイクル以内に入力データのリードと、出力データのライトを行うことができる。
特に、実施例1によれば、入力データと出力データのデータ量にかかわらず、空き時間15を必要としない。したがって、ネットワーク資源が有効に活用できる利点がある。さらに|余裕時間TA−余裕時間TB|が最小となるように分割点を決定することにより、前半スロット群のデータ送受信部の処理のデットラインと後半スロット群のデータ送受信部の処理のデットラインを均等にでき、割込みなどの遅延により、データ送受信部の処理がデットラインを守れない可能性を低減できる。
1,2 コントローラ
3 ネットワーク
4 通信制御部
5 受信バッファ
6 送信バッファ
7 制御タスク
8 入力データ
9 出力データ
10 データ送受信部
11 割込み管理部
12 フレームテーブル
13 フレーム群送受信テーブル
14 スロットル群送受信テーブル
15 空き時間
16 割込み時刻テーブル
17 制御タスク開始時刻
18 空き時間開始時刻
19 通信サイクル
20 スロット
21 制御サイクル
22 分割点
23 前半スロット群
24 後半スロット群
25 後半スロット群データ送受信部実行時間
26 制御タスク実行時間
27 前半スロット群データ送受信部実行時間
28 余裕時間TA
29 余裕時間TB
30 制御タスク終了時刻
100 フレーム
101 送信フレーム
102 受信フレーム
161 グローバルタイム
162 処理種別
200 スロット群
1301,1302,1303,1304,1305,1306,1401,1402,1403,1404,1405,1406,1407,1408,1409,1410 フローチャート
2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009,2010,2101,2102,2103,2104,2105,2106,2107,2108,2109,2201,2202,2203,2204,2205,2206,2207,2208,2209,2210,2211,2212,2213,2301,2302,2303,2304,2305,2306,2307,2308,2309,2310,2311,2312 シーケンス図のライフライン

Claims (4)

  1. 複数のノードが共通のネットワークに接続され、前記ノードは送信バッファと受信バッファと通信制御手段を内蔵し、通信は一定周期の通信サイクルで行い、前記通信サイクルは予め指定された通信時間に分割された複数のスロットで構成され、かつ前記通信制御手段は車両の制御データを含むフレームを予め指定されたスロットを介して送受信する時分割多重通信方式を用いる車載ネットワーク装置であって、
    前記通信制御手段の送信は、送信バッファから読み出して予め指定されたスロットへ送信し、通信制御手段の受信は、予め指定されたスロットのフレームを受信バッファへ書き込み、
    前記ノードは制御タスクとデータ送受信手段を持ち、前記制御タスクは通信サイクル内の予め指定された時刻において呼び出しされ入力データの受信と、制御と、出力データの送信を行い、かつ前記通信サイクルと同期した制御サイクルで実行され、
    前記データ送受信手段の入力データの受信は、予め指定された受信バッファのフレームに予め指定された変換を行い入力データを生成し、
    前記データ送受信手段の出力データの送信は、出力データに予め指定された変換を行いフレームを生成して予め指定された送信バッファに書き込み、
    前記複数のスロットを、連続した1つ以上のスロットの集合から成る前半スロット群と後半スロット群に2分割し、
    前記データ送受信手段は、ある通信サイクルの前半スロット群に対応する出力データの送信を、前記ある通信サイクルの後半スロット群のスロットに割当てられた時間中に実行し、前記ある通信サイクルの後半スロット群に対応する出力データの送信を、前記ある通信サイクルの次の通信サイクルの前半スロット群のスロットに割当てられた時間中に実行することを特徴とする車載ネットワーク装置。
  2. 請求項1において、
    前記次の通信サイクルの前記前半スロットに対応する入力データの受信を前記ある通信サイクルの後半スロットに割当てられた時間中に実行し、
    前記ある通信サイクルの後半スロット群に対応する入力データの受信を前記次の通信サイクルの前半スロットに割当てられた時間中に実行することを特徴とする車載ネットワーク装置。
  3. 複数のノードが共通のネットワークに接続され、前記ノードは送信バッファと受信バッファと通信制御手段とを内蔵し、
    前記ネットワーク内の通信は一定周期の通信サイクルで行い、
    前記通信サイクルは予め指定された通信時間に分割された複数のスロットで構成され、
    かつ前記通信制御手段車両の制御データを含むフレームを予め指定されたスロットを介して送受信する時分割多重通信方式を用いる車載ネットワーク装置であって、
    前記通信制御手段の送信は、送信バッファから読み出して予め指定されたスロットへ送信し、通信制御手段の受信は、予め指定されたスロットのフレームを受信バッファへ書き込み、
    前記ノードは制御タスクとデータ送受信手段を持ち、
    前記制御タスクは通信サイクル内の予め指定された時刻において呼び出しされ入力データの受信と、制御と、出力データの送信を行い、かつ前記通信サイクルと同期した制御サイクルで実行され、
    前記データ送受信手段の入力データの受信は、予め指定された受信バッファのフレームに予め指定された変換を行って入力データを生成し、
    前記データ送受信手段の出力データの送信は、出力データに予め指定された変換を行いフレームを生成して予め指定された送信バッファに書き込み、
    前記通信サイクルは、前記通信サイクル内のある時刻から前記通信サイクル終了時刻までに、前記通信制御手段によるフレームの送受信が行われない、若しくは前記スロットがない空き時間を有し、
    前記制御タスクの実行時間は前記空き時間以外の範囲で実行され、かつ前記通信サイクルをまたがないように前記制御タスクの開始時刻が設定され、
    ある通信サイクルの前記空き時間の間に、前記データ送受信手段が前記ある通信サイクルの制御タスクで生成された全ての出力データを送信バッファに書込み、前記通信制御手段が前記ある通信サイクルの次の通信サイクルで送信することを特徴とする車載ネットワーク装置。
  4. 請求項3において、前記空き時間以内に、前記データ送受信手段が前記次の通信サイクルで使用される全ての入力データを、前記ある通信サイクルで受信することを特徴とする車載ネットワーク装置。
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