JP5372696B2 - ジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体の定量法 - Google Patents
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[1]トリフルオロ酢酸−dを含有するアセトン−d6溶媒を用いて1H−NMRを測定することによる、アルキルアミン誘導体の存在下での、ジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体の定量方法。
(工程1)定量する製剤を、アルキルアミン誘導体含有の抽出溶媒で抽出する工程
(工程2)工程1で得られた試料溶液を乾燥する工程
(工程3)工程2で得られた固体を、トリフルオロ酢酸−dを含有するアセトン−d6に溶解する工程
(工程4)工程3で得られた試料溶液の1H−NMRを測定する工程
を含む方法。
(工程1)定量する製剤を、アルキルアミン誘導体が含有する抽出溶媒に溶解する工程
(工程2)工程1で得られた溶液を乾燥する工程
(工程3)工程2で得られた固体を、内部標準物質を含有するトリフルオロ酢酸−dを含有するアセトン−d6に溶解する工程
(工程4)工程3で得られた試料溶液の1H−NMRを測定する工程
本工程においては、固体試料を十分に溶解させるという観点から、トリフルオロ酢酸−dをあらかじめアセトン−d6に溶解して用いることが好ましい。
各種重水素化溶媒と二種の重水素化酸(重塩酸、トリフルオロ酢酸−d)を用いて、ジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体が均一に溶解するのか、及びジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体のジメチルアミノ基が他のピークと分離して観測されるかを確認した。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE
PO、デグサ製、 5mg)を重クロロホルム750μLに溶解してアミノアルキルメタクリレートコポリマーE重クロロホルム溶液とし、1H−NMRを測定した。また、ポリソルベート80(5
mg)を重クロロホルム(750μL)に溶解してポリソルベート80重クロロホルム溶液とし、1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象シグナル(2.28ppm)と、ポリソルベート80のシグナル(2.32ppm)が重なり、定量不可能であった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重クロロホルム溶液にトリフルオロ酢酸−d(7μL)を添加したところ、白濁し、透明のゲル状物質が内壁に付着した。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE
PO、デグサ製、 5mg)を重メタノール(750μL)に溶解してアミノアルキルメタクリレートコポリマーE重メタノール溶液とし、1H−NMRを測定した。また、ポリソルベート80
(5 mg)を重メタノール(750μL)に溶解してポリソルベート80重メタノール溶液とし、1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象シグナル(2.34ppm)と、ポリソルベート80のシグナル(2.33ppm)が重なり、定量不可能であった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE
PO、デグサ製、 5mg)に重水(750μL) を加えたところ、溶解しなかったため測定不可能であった。この液に重塩酸(7μL)を添加したところ溶解した。しかし、さらにジエチルアミン(7μL)を添加して1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象ピーク(2.88ppm)とジエチルアミンのピーク(2.93ppm)が重なり、定量不可能であった。
PO、デグサ製、5 mg) に重水350μLとトリフルオロ酢酸−d(7μL)を加えてアミノアルキルメタクリレートコポリマーE重水溶液とした。また、ポリソルベート80
(5 mg)に重水350μLとトリフルオロ酢酸−d(7μL)を加えてポリソルベート80重水溶液とした。アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重水溶液(350μL)とポリソルベート80重水溶液(350μL)を混和し、ジエチルアミン(7μL)を添加して1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象シグナル(2.83ppm)と、ジエチルアミンのシグナル(2.89ppm)が重なり、定量不可能であった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドライギットE
PO、デグサ製、 5mg) にジメチルスルホキシド−d6 (750μL) を加えたところ、溶解しなかった。
PO、デグサ製、 5mg) にジメチルスルホキシド(750μL)を加え、さらに塩酸(7μL)を添加したところ、溶解しなかった。
PO、デグサ製、 5mg) にジメチルスルホキシド(750μL)を加え、さらにトリフルオロ酢酸(7μL)を添加したところ、溶解しなかった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE
PO、デグサ製、 5mg)を重トルエン(750μL) に溶解し、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重トルエン溶液とし、1H−NMRを測定した。また、ポリソルベート80
(5 mg)を重トルエン750μL に溶解し、ポリソルベート80重トルエン溶液とし、1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象シグナル(2.14ppm)と、ポリソルベート80のシグナル(2.14ppm)が重なり、定量不可能であった。
PO、デグサ製、 5mg) にトルエン(750μL)を加え、さらに塩酸(7μL)を添加したところ、溶解しなかった。
PO、デグサ製、 5mg) にトルエン(750μL)を加え、さらにトリフルオロ酢酸(7μL)を添加したところ、溶解しなかった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE
PO、デグサ製、 5mg)を重アセトニトリル(350μL)に溶解し、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重アセトニトリル溶液とした。また、ポリソルベート80
(5 mg)を重アセトニトリル(350μL)に溶解し、ポリソルベート80重アセトニトリル溶液とした。アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重アセトニトリル溶液(350μL)とポリソルベート80重アセトニトリル溶液(350μL)を混和し、さらにジエチルアミン(7μL)を添加し、1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象ピーク(2.62ppm)とジエチルアミンのピーク(2.55ppm)が接近し、定量不可能であった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重アセトニトリル溶液(350μL)と、ポリソルベート80重アセトニトリル溶液(350μL)を混和し、トリフルオロ酢酸−d(7μL)及びジエチルアミン(7μL)を添加し、1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象ピーク(2.89ppm)とジエチルアミンのピーク(2.98ppm)が接近し、定量不可能であった。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE
PO、デグサ製、 5mg)を重アセトン(350μL)に溶解し、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重アセトン溶液とした。また、ポリソルベート80 (5mg)を重アセトン(350μL)に溶解し、ポリソルベート80重アセトン溶液とした。アミノアルキルメタクリレートコポリマーE重アセトン溶液(350μL)とポリソルベート80重アセトン溶液(350μL)を混和し、さらにジエチルアミン(7μL)を添加し、1H−NMRを測定したところ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量対象ピーク(2.27ppm)とポリソルベート80のピーク(2.31ppm)が重なり、定量不可能であった。
アセトン−d6とトリフルオロ酢酸−dを用いて、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE及び測定対象の薬物(ケトプロフェンおよびインドメタシン)の検量線を作製した。
2,6−ジクロロベンズアルデヒドを採取し、アセトン−d6 に溶解し、トリフルオロ酢酸−dを加えて混和し、更にアセトン−d6を加えて正確に体積を一定値とした液を内部標準物質添加アセトン−
d 6溶液とした。また、測定時においては、内部標準物質(2、6−ジクロロベンズアルデヒド)のアルデヒドのプロトンを「1」とし、これを基準とした際の測定対象のピークとの積分比を「積分比の実測値」とした。
補正積分比=積分比の実測値×内部標準物質採取量(mg)÷基準内部標準物質採取量(mg)
ポリソルベート80
(1.35 g) にエタノール(99.5)を加えて正確に1000
mL とした液に、ジエチルアミン (1 mL) を添加し、抽出溶媒とした。
また、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(50.19 mg)を採取し、アセトン−d6 (4 mL)を加えて溶かし、トリフルオロ酢酸−d(50
μL)を加えて混和し、更にアセトン−d6を加えて正確に5 mLとした液を内部標準物質添加アセトン−d6溶液とした。
PO、デグサ製、 67.14 mg、225.13 mg又は270.37 mg)に、それぞれ抽出溶媒80 mL を加え、室温にて30分間攪拌後、超音波で3分間放置し、さらに室温にて10分間攪拌した。この液に更に抽出溶媒を加えて正確に100
mL とした後、遠心分離(毎分3000回転、3分)し、得られた上澄みをメンブランフィルター(口径0.45 μm、水系/非水系、25P、ジーエルサイエンス製)でろ過し、ろ液を正確に2
mL 採取して遠心エバポレーター(20℃、2時間)にて減圧下溶媒留去した。得られた残渣に内部標準物質添加アセトン−d6溶液を750 μL加えて溶解し、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE標準液1から3を作製した(含量の少ないものから1とする))。
の直線が得られた(図1)。
ポリソルベート80
(1.35 g) にエタノール(99.5)を加えて正確に1000
mL とした液に、ジエチルアミン (1 mL) を添加し、抽出溶媒とした。
また、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(50.19 mg)を採取し、アセトン−d6 (4 mL)を加えて溶かし、トリフルオロ酢酸−d(50
μL)を加えて混和し、更にアセトン−d6を加えて正確に5 mLとした液を内部標準物質添加アセトン− d 6溶液とした。
(60.10 mg、74.75 mg又は90.00 mg)に抽出溶媒80 mL を加え、室温にて30分間攪拌後、超音波で3分間放置し、さらに室温にて10分間攪拌した。この液に更に抽出溶媒を加えて正確に100
mL とした後、遠心分離(毎分3000回転、3分)し、得られた上澄みをメンブランフィルター(口径0.45 μm、水系/非水系、25P、ジーエルサイエンス製)でろ過し、ろ液を正確に2
mL 採取して遠心エバポレーター(20℃、2時間)にて減圧下溶媒留去した。得られた残渣に内部標準物質添加アセトン−d6溶液を750 μL加えて溶解し、ケトプロフェン標準液1から3(含量の少ないものから1とする)とした。
d 6溶液を用いているため、式1にしたがって補正した値を検量線作製に用いた。
の直線が得られた(図2)。
ポリソルベート80
(1.35 g) にエタノール(99.5)を加えて正確に1000 mL とした液に、ジエチルアミン (1 mL) を添加し、抽出溶媒とした。
μL)を加えて混和し、更にアセトン−d6を加えて正確に(5 mL)とした液を内部標準物質添加アセトン− d 6溶液とした。
(60.25 mg、75.30 mg又は90.09 mg)に抽出溶媒80 mL を加え、室温にて30分間攪拌後、超音波で3分間放置し、更に室温にて10分間攪拌した。この液に抽出溶媒を加えて正確に100
mL とした後、遠心分離(毎分3000回転、3分)し、得られた上澄みをメンブランフィルター(口径0.45 μm、水系/非水系、25P、ジーエルサイエンス製)でろ過し、ろ液を正確に2
mL 採取して遠心エバポレーター(20℃、2時間)にて溶媒留去した。得られた残渣に内部標準物質添加アセトン−d6溶液を750 μL加えて溶解し、インドメタシン標準液1から3(含量の少ないものから1とする)とした。
1.補正積分比の算出
試料の1H−NMRを測定し、内部標準物質(2,6−ジクロロベンズアルデヒド)由来の10.45ppm付近のピークの積分値に対する、測定対象由来のピークの積分値の比を、「積分比の実測値」とした。
式1により得られた補正積分比を用い、以下の計算手法により定量値を得た。
(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE)
下記式2にしたがって計算した。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量値(mg)=補正積分比÷傾き×換算係数
下記式3にしたがって計算した。
定量値(mg)=補正積分比÷傾き÷1000×分子量×換算係数
ポリソルベート80
(1.35 g) にエタノール(99.5)を加えて正確に1000 mL とした液に、ジエチルアミン 1 mL を添加し、抽出溶媒とした。
また、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(50.05mg)を採取し、アセトン−d6 (4 mL)を加えて溶かし、トリフルオロ酢酸−d(50
μL)を加えて混和し、さらにアセトン−d6を加えて正確に5 mLとした液を内部標準物質添加アセトン−d6溶液とした。
mL を加え、室温にて30分間攪拌後、超音波で3分間放置し、さらに室温にて10分間攪拌した。この液に抽出溶媒を加えて正確に100 mL とした後、遠心分離(毎分3000回転、3分)し、得られた上澄みをメンブランフィルター(口径0.45
μm、水系/非水系、25P、ジーエルサイエンス製)でろ過し、ろ液を正確に2
mL 採取して遠心エバポレーター(20℃、2時間)にて減圧下溶媒留去した。得られた残渣に内部標準物質添加アセトン−d6溶液を750 μL加えて溶解し、1H−NMRにて定量を行った。積分値の実測値は、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE由来の3.1ppm付近のピークが2.16、ケトプロフェン由来の7.78ppmから7.81ppm付近に現れるマルチプレットが0.43であった。式2及び式3に従って定量値を算出した結果、ケトプロフェンの定量値は75.41mg、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量値は224.90mgであった。
換算係数=50、傾き=0.478(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE)および0.0725(ケトプロフェン)、
基準内部標準物質採取量=50.19 mg、ケトプロフェン分子量=254.30
実施例1と同様の方法で処方2について1H−NMRを測定した。積分値の実測値は、ジアミノアルキルメタクリレートコポリマーE由来の3.1ppm付近のピークが1.08、インドメタシン由来の7.1ppm付近のピークが0.11であった。式2及び式3に従って定量値を算出した結果、インドメタシンの定量値は75.40mg、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの定量値は112.97mgであった。何れも散剤作成時に秤量した値に対してほぼ100%の定量値が得られた。なお、本実施例においては、以下の数値を用いた。
Claims (7)
- トリフルオロ酢酸−dを含有するアセトン−d6溶媒を用いて1H−NMRを測定することによる、アルキルアミン誘導体の存在下での、ジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体の定量方法。
- 1H−NMRを用いた、製剤中のジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体の定量方法であって、
(工程1)定量する製剤を、アルキルアミン誘導体含有の抽出溶媒で抽出する工程
(工程2)工程1で得られた試料溶液を乾燥する工程
(工程3)工程2で得られた固体を、トリフルオロ酢酸−dを含有するアセトン−d6に溶解する工程
(工程4)工程3で得られた試料溶液の1H−NMRを測定する工程
を含む方法。 - アルキルアミン誘導体が、ジエチルアミン又はトリエチルアミンである、請求項2に記載の方法。
- アルキルアミン誘導体含有の抽出溶媒に、更に界面活性剤が含まれている、請求項2又は請求項3に記載の方法。
- 界面活性剤が、ポリソルベート80またはドデシル硫酸ナトリウムである、請求項4に記載の方法。
- 薬物含有の製剤を用い、ジメチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体と薬物を同時に定量する、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
- ジエチルアミノエチルメタクリレート含有共重合体が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEである、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
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