以下、図1〜図16を参照して、この発明を適用した携帯情報端末機の一実施形態について説明する。
この携帯情報端末機は、図1および図2に示すように、本体ケース1を備えている。この本体ケース1は、全体がほぼ長方形の箱状に形成されている。この本体ケース1には、表示部2およびキー入力部3が設けられているほか、本体ケース1の上辺部にはプリンタ部4が設けられており、本体ケース1の下辺部には磁気カードリーダ部5が設けられている。
表示部2は、図1および図2に示すように、本体ケース1の上面におけるほぼ中央部に設けられている。この表示部2は、液晶表示パネル、EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルであり、キー入力部3で入力された情報、およびその演算結果などの各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
キー入力部3は、図1および図2に示すように、本体ケース1における表示部2の手前側(図1では下辺部側)に位置する箇所に設けられている。このキー入力部3は、文字キー、テンキー、カーソルキー、ファンクションキーなどの各種のキーを備え、これらのキーを押圧してキー操作することにより、そのキー操作に応じて情報を入力するように構成されている。
プリンタ部4は、図1および図2に示すように、本体ケース1における表示部2の後部(図1では上辺部)に設けられている。このプリンタ部4は、本体ケース1の上辺部内に設けられた印字ヘッド部(図示せず)と、本体ケース1の上辺部から突出して設けられてロール状の記録紙(図示せず)を収納する用紙ホルダ6と、この用紙ホルダ6を開閉可能に覆う半円筒形状のホルダカバー7とを備えている。
このプリンタ部4は、図示しないが、用紙ホルダ6に収納された記録紙を引き出しながら、印字ヘッド部が記録紙に情報を順次印字し、この印字された記録紙を本体ケース1に設けられたスリット状の開口部8から本体ケース1の外部に排出するように構成されている。この場合、開口部8は、本体ケース1の上面におけるプリンタ部5と表示部2との間に位置する箇所に、本体ケース1の長手方向と直交する方向に細長く設けられている。また、この本体ケース1には、図1および図2に示すように、記録紙を排出するスリット形状の開口部8を開閉可能に塞ぐ防滴カバー9が設けられている。
磁気カードリーダ部5は、図1および図2に示すように、本体ケース1におけるキー入力部3の手前側の部分(図1では下辺部)に設けられている。この磁気カードリーダ部5は、磁気カード10を読み取るものであり、読取ケース11と、この読取ケース11に本体ケース1の長手方向に対して直交する方向に設けられたカードスライド溝12と、読取ケース11内に設けられた読取部(図示せず)とを備えている。これにより、磁気カードリーダ部5は、磁気カード10をカードスライド溝12に差し込んでスライドさせることにより、磁気カード10に書き込まれている情報を読取部で読み取るように構成されている。
ところで、本体ケース1に設けられた防滴カバー9は、図3〜図6に示すように、本体ケース1に設けられたスリット形状の開口部8を覆って塞ぐカバー本体13と、このカバー本体13の両側部に設けられて本体ケース1の両側部を挟む一対の保持部14とを備えている。この防滴カバー9は、本体ケース1の両側部にそれぞれ設けられたスライドガイド溝15に沿ってガイドされて上下方向および前後方向にスライド移動することにより、カバー本体13が開口部8を覆って塞ぐ位置と、カバー本体13が開口部8から離れて開口部8を開放する位置とに移動するように構成されている。
この場合、一対の保持部14の各内面下部には、図5および図6に示すように、スライドガイド溝15内を移動する一対のガイド片14a、14bが設けられている。この一対のガイド片14a、14bのうち、一方(図6では左側)のガイド片14aは、保持部14の内面に一体的に設けられている。また、他方(図6では右側)のガイド片14bは、ねじ16によって保持部14の内面に取り付けられるように構成されている。
スライドガイド溝15は、図3〜図6に示すように、防滴カバー9における一対の保持部14の各内面下部に設けられた一対のガイド片14a、14bを上下方向にガイドする第1の溝部15aと、この第1の溝部15aの上端部から防滴カバー9の一対のガイド片14a、14bを本体ケース1の前後方向にガイドする第2の溝部15bと、この第2の溝部15bの上端部から下側に延びて防滴カバー9の一対のガイド片14a、14bを上下方向にガイドする第3の溝部15cとで構成されている。
すなわち、第1の溝部15aは、本体ケース1の開口部8の両側に対応する箇所におけるケース本体1の両側部に上下方向に沿って設けられている。第2の溝部15bは、防滴カバー9の前後方向の長さ、つまり本体ケース1の長手方向に対して直交する方向における防滴カバー9の長さとほぼ同じ長さで、本体ケース1の両側部に前後方向に沿って設けられている。第3の溝部15cは、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8から離れて開口部8を開放した位置の箇所における本体ケース1の両側部に上下方向に沿って設けられている。
これにより、防滴カバー9は、一対の保持部14の各内面下部に設けられた一対のガイド片14a、14bが第1の溝部15aの下端部に移動した際に、図3に示すように、カバー本体13が開口部8を覆って塞いだ状態で、本体ケース1の上面に密着するように構成されている。また、この防滴カバー9は、その一対のガイド片14a、14bが第1の溝部15aに沿って上方に移動すると、図13に示すように、カバー本体13が開口部8の上方に移動するように構成されている。
また、この防滴カバー9は、図15に示すように、一対のガイド片14a、14bが第2の溝部15bから第3の溝部15cに移動し、この第3の溝部15cに沿って下側に移動して、第3の溝部15cの下端部に移動すると、カバー本体13が開口部8の前側(図15では左側)に離れた状態で、本体ケース1の上面に密着して開口部8を開放するように構成されている。
一方、この防滴カバー9には、図5〜図7に示すように、無線式ID(RFID)などのデータキャリア(図示せず)との間で送受信を行ってデータの授受を行うためのアンテナ17がループ形状に埋設されている。すなわち、このアンテナ17は、ループアンテナであり、銅やアルミニウムなどの導電性を有する金属製の1本の細線からなり、防滴カバー9のカバー本体13の周囲に沿って複数回連続して巻かれた状態で、全体がループ形状をなすように構成されている。
このアンテナ17は、無線式IDなどのデータキャリア(図示せず)が近づけられると、データキャリアに発生した電磁誘導を感知し、このデータキャリアとの間で送受信を行ってデータの授受を行うためのものである。この場合、無線式ID(RFID)などのデータキャリアとは、非接触型の自動認識機能を搭載したものであり、本体ケース1の読取・書込装置に近づけると、電磁誘導が発生することにより、アンテナ17との間で送受信を行い、本体ケース1内の回路基板22に搭載された電子回路(図示せず)との間でデータの授受を行うように構成されている。このようなデータキャリアとしては、例えば、タグ、無線式ID(RFID)、非接触型のICカードなどである。
この場合、アンテナ17は、図5、図8および図9に示すように、その両端部が防滴カバー9における一方(図5では左側)の保持部14に導かれて、この保持部14に一体的に設けられたガイド片14aに設けられたアンテナ接点部18の一対の端子18aにそれぞれ電気的に接続されている。このアンテナ接点部18は、図8および図9に示すように、一対の端子18aが防滴カバー9の左側に位置する保持部14における内面下部に設けられたガイド片14aに、その上側から下側に突出した状態で設けられている。
また、このアンテナ接点部18は、図9および図10に示すように、本体ケース1の左側に位置する側部に設けられたスライドガイド溝15の第1の溝部15aの下端部に設けられた第1のケース側接点部20と、スライドガイド溝15の第2の溝部15cの下端部に設けられた第2のケース側接点部21とのいずれかに接触して、本体ケース1内の回路基板22に搭載された電子回路(図示せず)と電気的に接続されるように構成されている。
この場合、第1のケース側接点部20は、図9および図10に示すように、防滴カバー9のガイド片14aの下側に突出したアンテナ接点部18の一対の端子18aがそれぞれ接触する一対の接点電極20aを備え、この一対の接点電極20aが本体ケース1内に配置された回路基板22に設けられている。これにより、第1のケース側接点部20は、回路基板22に搭載された電子回路と電気的に接続されている。
同様に、第2のケース側接点部21も、防滴カバー9のガイド片14aの下側に突出したアンテナ接点部18の一対の端子18aがそれぞれ接触する一対の接点電極21aを備え、この一対の接点電極21aが本体ケース1内に配置された回路基板22に設けられている。この回路基板22には、携帯情報端末機に必要な電子回路(図示せず)が搭載されている。これにより、第2のケース側接点部21は、回路基板22に搭載された電子回路と電気的に接続されている。
また、第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21との各上方には、図9〜図11に示すように、防水ラバー23がそれぞれ設けられている。この防水ラバー23は、本体ケース1の左側に位置する側部に設けられたスライドガイド溝15の第1の溝部15aの下部と第2の溝部15cの下部とにそれぞれ設けられて、第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とを密封するように構成されている。
この場合、防水ラバー23は、図11(b)に示すように、その中央部に切込部23aが直線状に設けられ、この切込部23aにアンテナ接点部18の一対の端子18aが押し込まれると、図10(a)および図11(a)に示すように、弾力的に押し広げられるように構成されている。また、この防水ラバー23は、アンテナ接点部18の一対の端子18aが切込部23aから抜き出されると、図10(b)および図11(b)に示すように、弾力的に閉じることにより、第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とを密封するように構成されている。
ところで、アンテナ接点部18と反対側に位置する本体ケース1の側部(図5では右側)には、図5、図6および図12に示すように、防滴カバー9をロックするロック部材24が設けられている。このロック部材24は、ロックカバー25と、ロック板26と、押え板27とを備えている。ロックカバー25は、図3および図6に示すように、本体ケース1の右側部にビス28によって取り付けられるように構成されている。
この場合、ロックカバー25には、図5および図6に示すように、本体ケース1に設けられたスライドガイド溝15に対応するガイド孔25aが設けられている。また、このロックカバー25におけるガイド孔25aで囲われた部分の内面には、図12に示すように、ロック板26を前後方向(図12では左右方向)にガイドするロックガイド溝25bが設けられている。このロック板26は、ロックカバー25のロックガイド溝25bと同じ長さの細長い板であり、ロックガイド溝25b内にスライド可能に配置されている。
このロック板26には、図6および図12に示すように、操作摘み26aが設けられている。この操作摘み26aは、ロックカバー25に設けられた長孔25cを通してロックカバー25の外部に突出し、この突出した部分を長孔25cに沿って移動させることにより、ロック板26を前後方向(図12では左右方向)に移動させるように構成されている。押え板27は、ロック板26をスライド可能にロックカバー25に押え付ける板であり、ロックカバー25のロックガイド溝25bの上下に位置する内面に両面接着テープ29によって貼り付けられている。
これにより、ロック板26は、図15に示すように、操作摘み26aを後方(図15では右側)に移動させると、これに伴ってガイドカバー25のロックガイド溝25b内をスライドして、ロック板26の一端部(図15では右端部)がロックカバー25のガイド孔25a内に突出し、この突出した端部(図15では右端部)が防滴カバー9のガイド片14bの移動を遮ることにより、防滴カバー9の移動を規制してロックするように構成されている。
すなわち、このロック板25は、防滴カバー9のガイド片14bが本体ケース1のスライドガイド溝15における第1、第3の各溝部15a、15cの下端部のいずれかに位置して、アンテナ接点部18が第1、第2の各ケース側接点部20、21のいずれかに接触した状態のときに、操作摘み26aを前後方向に移動させてロック板25の両端部の一方をロックカバー25のガイド孔25a内に突出させることにより、図8に示すように、アンテナ17と本体ケース1内の回路基板22に搭載された電子回路とを電気的に接続した状態で、防滴カバー9をロックするように構成されている。
このようなロック部材24を本体ケース1に組み付ける場合には、図12に示すように、ロックカバー25のロックガイド溝25b内にロック板26を配置し、この状態で操作摘み26aをロックカバー25の外側からロックカバー25の長孔25cに挿入させてロック板26に取り付ける。この後、押え板27をロックカバー25の内面に両面接着テープ29によって取り付ける。
これにより、ロック板25は、ロックカバー25にスライド可能な状態で取り付けられる。そして、このロックカバー25を本体ケース1の左側面に取り付ける際には、図12に示すように、予め、防滴カバー9における一対のガイド片14a、14bのうち、ロック部材24側のガイド片14bを本体ケース1のスライドガイド溝15内に配置する。この状態で、図3および図6に示すように、ロックカバー25を本体ケース1の左側面にビス28によって取り付ける。
この後、防滴カバー9を本体ケース1に取り付ける。このときには、防滴カバー9における一対のガイド片14a、14bのうち、アンテナ接点部18が設けられるガイド片14aを本体ケース1のスライドガイド溝15内に配置すると共に、ロック部材24側の保持部14を、本体ケース1の左側面に取り付けられたロックカバー25のガイド孔25aに対応させる。
これにより、ロック部材24側の保持部14は、ロックカバー25のガイド孔25aを通して本体ケース1のスライドガイド溝15内に配置されたガイド片14bに対応する。この状態で、ロック部材24側の保持部14の外側から、この保持部材14を通して、ねじ16をガイド片14bにねじ止めする。これにより、防滴カバー9が本体ケース1にスライド移動可能に取り付けられる。
次に、この携帯情報端末機の作用について説明する。
この携帯情報端末機では、本体ケース1のキー入力部3をキー操作すると、そのキー操作に応じて入力された情報が表示部2に表示される。また、磁気カード10を磁気カードリーダ部5で読み取ると、その内容が表示部2に表示される。さらに、無線式IDや非接触型のICカードなどのデータキャリアを防滴カバー9のアンテナ17に近づけると、アンテナ17とデータキャリアとの間で送受信を行って、本体ケース1内の電子回路とデータキャリアとの間でデータの授受が行われる。
すなわち、防滴カバー9のアンテナ17にデータキャリアが近づけられると、データキャリアに発生した電磁誘導を感知し、アンテナ17とデータキャリアとの間で送受信してデータの授受が行われ、その内容が表示部2に表示される。このときには、防滴カバー9のアンテナ17とデータキャリアとの間でデータの授受を行っても、データキャリアによって表示部2が隠れることがないので、表示部2に表示された情報を見ながらデータの授受を行うことができる。
また、表示部2に表示された情報を印刷する場合には、まず、防滴カバー9をスライド移動させてスリット状の開口部8を開放させる。この状態で、プリンタ部4を駆動させると、プリンタ部4の印字ヘッド部がロール状の記録紙(いずれも図示せず)に情報を順次印字する。この印字された記録紙は、本体ケース1に設けられて開放された状態の開口部8から順送り出される。
ところで、防滴カバー9をスライド移動させてスリット状の開口部8を開放させる場合には、まず、ロック部材24による防滴カバー9のロックを解除する。このときには、ロック板26の操作摘み26aを操作してロックカバー25の長孔25cの中央に移動させる。すると、ロック板26がスライドしてロック板26の端部がロックカバー25のガイド孔25a内から引き出され、防滴カバー9に対するロック板26によるロックが解除される。
これにより、防滴カバー9がスライド移動可能な状態になる。この状態で、図3、図13および図15に示すように、防滴カバー9を上方に向けて移動させた後、前方(図13では左側)に向けて移動させ、この後、下方に向けて移動させることにより、開口部8が開放される。すなわち、防滴カバー9を上方に向けて移動させと、図13および図14に示すように、防滴カバー9の一対のガイド片14a、14bが本体ケース1のスライドガイド溝15の第1の溝部15aに沿って上方に移動する。
この後、防滴カバー9を前方(図15では左側)に向けて移動させると、図15および図16に示すように、防滴カバー9の一対のガイド片14a、14bが本体ケース1のスライドガイド溝15の第2の溝部15bに沿って前方に移動し、防滴カバー9のカバー本体13が開口部8から前側に離れる。この状態で、防滴カバー9を下方に向けて移動させと、防滴カバー9の一対のガイド片14a、14bが本体ケース1のスライドガイド溝15の第3の溝部15cに沿って下方に移動し、防滴カバー9のカバー本体13が開口部8を開放した状態で本体ケース1の上面に配置される。
この状態で、ロック部材24によって防滴カバー9をロックする。このときには、ロック板26の操作摘み26aを操作し、図3においてロックカバー25の長孔25cの左側に移動させる。すると、ロック板26がスライドしてロック板26の左端部がロックカバー25のガイド孔25a内に突出し、防滴カバー9のガイド片14bの上方への移動を規制し、防滴カバー9をロックする。
このように、防滴カバー9がスライド移動する際には、図5に示すように、アンテナ接点部18が第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とのいずれかに切り替わる。すなわち、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を塞いだ位置から開口部8を開放する位置にスライド移動する際には、図13に示すように、まず、防滴カバー9のガイド片14aが本体ケース1のスライドガイド溝15における第1の溝部15aの下端部から上方に向けて移動する。
このときには、図10(b)に示すように、ガイド片14aに設けられたアンテナ接点部18の一対の端子18aが第1の溝部15aの下端部に設けられた第1のケース側接点部20から上方に離れる。このため、防滴カバー9のカバー本体13に設けられたアンテナ17と本体ケース1内の回路基板22との電気的な接続が断たれる。また、このときには、図10(b)および図11(b)に示すように、アンテナ接点部18の一対の端子18aが防水ラバー23の切込部23aから上方に抜き出されるので、押し広げられた切込部23aが弾性復帰して閉じる。これにより、第1のケース側接点部20が防水ラバー23によって防水される。
また、防滴カバー9のガイド片14aが本体ケース1のスライドガイド溝15における第3の溝部15cの上部から下方に向けて移動すると、図10(a)に示すように、アンテナ接点部18の一対の端子18aが防水ラバー23の切込部23aに差し込まれて、第3の溝部15cの下端部に設けられた第2のケース側接点部21に接触する。これにより、防滴カバー9のカバー本体13に設けられたアンテナ17と本体ケース1内の回路基板22とが電気的に接続される。
このように、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を開放させて開いた状態のときには、アンテナ接点部18が第2のケース側接点部21に接触して、アンテナ17が電子回路を搭載した回路基板22と電気的に接続される。また、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を塞いで閉じた状態のときには、アンテナ接点部18が第1のケース側接点部20に接触して、アンテナ17が電子回路を搭載した回路基板22と電気的に接続される。
このため、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を開放させて開いた状態でも、また防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を塞いで閉じた状態でも、防滴カバー9のアンテナ17に無線式IDや非接触型のICカードなどのデータキャリアを近づけると、アンテナ17とデータキャリアとの間で送受信を行って、本体ケース1内の電子回路とデータキャリアとの間でデータの授受を行うことができる。
このように、この携帯情報端末機によれば、電子回路を搭載した回路基板22を内蔵すると共に、スリット状の開口部8が設けられた本体ケース1に、開口部8を開閉可能に塞ぐ防滴カバー9を設けた構成であるから、防滴カバー9によって本体ケース1の開口部8を開閉可能に塞ぐことができ、これにより携帯時に水滴が開口部8から本体ケース1内に不用意に侵入するのを防ぐことができると共に、この防滴カバー9にアンテナ17を設けているので、アンテナ17をコンパクトに設けることができ、これにより防滴カバー9およびアンテナ17を備えていても、機器全体の小型化を図ることができる。
また、この携帯情報端末機によれば、防滴カバー9に設けられてアンテナ17に電気的に接続されたアンテナ接点部18と、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を塞いだ状態のときに、アンテナ接点部18が接触してアンテナ17と本体ケース1内の電子回路とを電気的に接続する第1のケース側接点部20と、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を開放させた状態のときに、アンテナ接点部18が接触してアンテナ17と本体ケース1内の前記電子回路とを電気的に接続する第2のケース側接点部21と、を備えているので、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を塞いだときにも、また開口部8を開放したときにも、アンテナ17と本体ケース1内の電子回路とを確実に且つ良好に接続することができる。
この場合、本体ケース1には、防滴カバー9が本体ケース1の開口部8を塞ぐ位置と開口部8を開放する位置とに亘って、防滴カバー9をスライド移動可能にガイドするスライドガイド溝15が設けられているので、防滴カバー9が開口部8の塞ぐ位置と開口部8を開放する位置とに、防滴カバー9をスライドガイド溝15によって円滑に且つ良好にスライド移動させることができると共に、防滴カバー9がスライドガイド溝15に沿ってスライド移動する構成であるから、防滴カバー9の移動距離が短く、アンテナ17の位置変位を小さくすることができ、これにより使い勝手の良いものを提供することができる。
すなわち、スライドガイド溝15は、防滴カバー9に設けられたガイド片14a、14bを上下方向にガイドする第1の溝部15aと、この第1の溝部15aの上端部から防滴カバー9のガイド片14a、14bを本体ケース1の前後方向にガイドする第2の溝部15bと、この第2の溝部15bの上端部から下側に延びて防滴カバー9のガイド片14a、14bを上下方向にガイドする第3の溝部15cとを備えているので、防滴カバー9をスライドガイド溝15に沿ってスライド移動させて、防滴カバー9で開口部8を確実に塞ぐことができると共に、開口部8を確実に開放させることができる。
この場合、アンテナ接点部18が防滴カバー9のガイド片14aに設けられ、第1のケース側接点部20がスライドガイド溝15における第1の溝部15aの下端部に設けられ、第2のケース側接点部21がスライドガイド溝15における第3の溝部15cの下端部に設けられているので、防滴カバー9をスライドガイド溝15に沿ってスライドさせることにより、アンテナ接点部18を第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とのいずれかに確実に且つ良好に接続させて切り替えることができる。
また、第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とは、直線状の切込部23aを有する防水ラバー23によって覆われているので、第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21との防水性を確保することができると共に、アンテナ接点部18が第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とのいずれかに接触する際に、アンテナ接点部18の各端子18aが防水ラバー23の切込部23aに差し込まれることにより、アンテナ接点部18の各端子18aを第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とのいずれかに確実に接触させることができる。
また、アンテナ接点部18が第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とのいずれかから離れる際には、アンテナ接点部18の各端子18aが防水ラバー23の切込部23aから抜け出すことにより、防水ラバー23が弾性復帰して切込部23aを閉じるので、第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21とを防水ラバー23によって密封することができ、これにより第1のケース側接点部20と第2のケース側接点部21との防水性を確保することができる。
さらに、アンテナ17は、無線式IDなどのデータキャリア(図示せず)に発生した電磁誘導を感知してデータキャリアとの間で送受信を行うためのループアンテナであることにより、防滴カバー9にコンパクトに設けることができる。すなわち、このアンテナ17は、防滴カバー9のカバー本体13内にその周囲に沿って1本の線材を複数回連続させて巻き付けることにより、防滴カバー9にコンパクトに設けることができるほか、送受信の感度を上げることができるので、無線式IDなどのデータキャリアが近づけられると、データキャリアとの間で確実に且つ良好に送受信を行ってデータの授受を行うことができる。
この場合、本体ケース1における開口部8と同じ面には、情報を表示するための表示部2が、防滴カバー9の移動領域外に位置した状態で、設けられていることにより、防滴カバー9のアンテナ17と無線式IDなどのデータキャリアとの間で送受信を行ってデータの授受を行っても、データキャリアによって表示部2が隠れることがないので、表示部2に表示された情報を見ながらデータの授受を行うことができる。
また、本体ケース1には、記録紙に情報を印字するプリンタ部4が設けられており、開口部8は、プリンタ部4の近傍に位置する箇所における本体ケース1にスリット形状に形成され、プリンタ部4で印字された記録紙を本体ケース1の外部に排出するので、プリンタ部4を使用しないときに、開口部8を防滴カバー9で覆って塞ぐことにより、開口部8から水滴が本体ケース1内に不用意に侵入するのを防ぐことができ、またプリンタ部4を使用するときに、防滴カバー9をスライド移動させて開口部8を開放することにより、プリンタ部4で印字された記録紙を開口部8から本体ケース1の外部に良好に排出することができる。
なお、上述した実施形態では、本体ケース1にプリンタ部4を設け、このプリンタ部4で印字された記録紙を本体ケース1の開口部8から排出する構成の携帯情報端末機について述べたが、これに限らず、例えば図17に示す変形例のように、本体ケース1に磁気カード32の磁気データを読み取る磁気カードリーダ部33を設けると共に、この本体ケース1に、磁気カード32を磁気カードリーダ部33に挿入するための開口部34を本体ケース1に設けた構成の携帯情報端末機にも適用することができる。
この場合、開口部34は、磁気カードリーダ部33に対応する箇所における本体ケース1の上面から、本体ケース1の長手方向と直交する方向に位置する両側面に亘って連続して形成されている。これに伴って、スライドガイド溝15は、開口部34よりも本体ケース1の前側(図17では左側)に位置をずらして設けられている。また、防滴カバー35は、本体ケース1の前後方向の長さが前述した実施形態の防滴カバー9よりも長く形成され、この防滴カバー35における一対の保持部14の下部前側に位置する箇所にそれぞれガイド片14a、14bを設ければ良い。
このような磁気カードリーダ部33を備えた携帯情報端末機においても、防滴カバー35によって本体ケース1の開口部34を開閉可能に塞ぐことができるので、携帯時に水滴が開口部34から本体ケース1内に不用意に侵入するのを防ぐことができると共に、この防滴カバー35にアンテナ17をコンパクトに設けることができ、これにより防滴カバー35およびアンテナ17を備えていても、機器全体の小型化を図ることができる。
この場合にも、この携帯情報端末機では、防滴カバー35に設けられてアンテナ17に電気的に接続されたアンテナ接点部18と、防滴カバー35が本体ケース1の開口部34を塞いだ状態のときに、アンテナ接点部18が接触してアンテナ17と本体ケース1内の電子回路とを電気的に接続する第1のケース側接点部20と、防滴カバー35が本体ケース1の開口部34を開放させた状態のときに、アンテナ接点部18が接触してアンテナ17と本体ケース1内の前記電子回路とを電気的に接続する第2のケース側接点部21と、を備えているので、防滴カバー35が本体ケース1の開口部34を塞いだときにも、また本体ケース1の開口部34を開放したときにも、アンテナ17と本体ケース1内の電子回路とを確実に且つ良好に接続することができる。