以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<(1)第1実施形態>
<(1-1)携帯電話機の概略構成>
図1は、第1実施形態に係るカメラモジュール500を搭載した携帯電話機1の概略構成を示す模式図である。なお、図1およびその他の図では方位関係を明確化するために、XYZの相互に直交する3軸が適宜付されている。
図1で示されるように、携帯電話機1は、折り畳み式の携帯電話機として構成され、第1の筐体301と、第2の筐体302と、ヒンジ部400とを有する。第1の筐体301および第2の筐体302は、それぞれ板状の略直方体の形状を有し、各種電子部材を格納する筐体としての役割を有する。具体的には、第1の筐体301は、カメラモジュール500および表示ディスプレイを有し、第2の筐体302は、携帯電話機1を電気的に制御する制御部とボタン等の操作部材とを有する。なお、ヒンジ部400は、第1の筐体301と第2の筐体302とを回動可能に接続する。このため、携帯電話機1は、折り畳み可能となっている。
図2は、携帯電話機1のうちの第1の筐体301に着目した断面模式図である。図1および図2で示されるように、カメラモジュール500は、XY断面のサイズが約5mm四方であり、厚さ(Z方向の奥行き)が数mm程度である小型の撮像装置、所謂マイクロカメラユニット(MCU)となっている。
以下、カメラモジュール500の構成およびカメラモジュール500の製造工程について順次説明する。
<(1-2)カメラモジュールの構成>
図3は、カメラモジュール500の断面模式図である。図3の矢印AR1の示す方向が+Z方向に対応する。なお、図3以降の他の図についても、方位関係の明確化のために、適宜矢印AR1を付する。
図3で示されるように、カメラモジュール500は、蓋層10、光学レンズ部20、レンズ支持枠170、カバーガラス層17、および撮像素子層18を備える。なお、以下では、各部の−Z側の面を一主面と称し、+Z側の面を他主面と称する。
図4は、撮像素子層18の構成に着目した該撮像素子層18の構成を示す模式図である。撮像素子層18は、例えば、COMSセンサまたはCCDセンサ等の撮像素子181と、その撮像素子181の周囲を構成する外周部とを有する。なお、図3で示されるように、撮像素子層18の下面(−Z側の面)には、はんだボールHBが設けられ、リフロー方式のはんだ付けによって、制御部等に対して電気的に接続される。
図5は、カバーガラス層17の構成に着目した該カバーガラス層17の構成を示す模式図である。カバーガラス層17は、撮像素子181を上面側から覆い、被写体からの光線を撮像素子181に導入しつつ、該撮像素子181を保護する。なお、カバーガラス層18が、赤外線(IR)をカットするフィルタ層を含むようにしても良い。
そして、撮像素子層18とカバーガラス層17とが+Z方向にこの順序で積層されることで、撮像センサ部としての撮像センサ基板178が構成される。
図6は、レンズ支持部としてのレンズ支持枠170の構造に着目した該レンズ支持枠170の構造を示す模式図である。図6で示されるように、レンズ支持枠170は、XY平面に平行な断面の外縁および内縁がそれぞれ略矩形である筒状の部材である。該レンズ支持枠170では、Z軸方向に貫通する中空部分170Hを有するとともに、内壁の中央部近傍に段差部170Sが設けられる。詳細には、レンズ支持枠170は、貫通孔の開口が設けられる上下面と、4つの側面とを有し、該4つの側面が隣接する側面と略垂直の角度関係を有するとともに、上下面が略平行の関係を有し、且つ4つの側面と上下面とが略垂直の角度関係を有するように構成される。そして、レンズ支持枠170の一主面(−Z側の面)が、撮像センサ基板178の外周部の他主面に対して固定される。なお、ここで言う「略垂直の角度関係」とは、例えば、70〜110度程度といった90度に近い所定の角度範囲に含まれる角度を成す角度関係のことを示す。
図7は、光学レンズ部20の構成に着目した該光学レンズ部20の構成を示す模式図である。図7で示されるように、光学レンズ部20は、レンズとしての種々の光学的特性を有するレンズ本体部20Lと、該レンズ本体部20Lの側面から突起し且つ外縁が矩形の板状のレンズ保持部20Pとを備える。そして、光学レンズ部20が、レンズ支持枠170の内壁側の段差部170Sに対して固定される。具体的には、レンズ保持部20Pの外縁近傍の外周部の他主面が、段差部170Sの一主面に対して固定される。このように、レンズ支持枠170に対して光学レンズ部20が取り付けられることで、レンズ支持枠170と光学レンズ部20とを有する光学ユニットOUが形成される。
図8は、蓋層10の構造に着目した該蓋層10の構造を示す模式図である。図8で示されるように、蓋層10は、XY平面に平行な断面の外縁が略正方形を有し且つ光を透過させるガラス製等の板状の部材によって構成される。そして、該蓋層10の外縁近傍の部分(外周部)の一主面が、レンズ支持枠170の他主面(+Z側の面)に対して固定される。
このようにして、光学レンズ部20が、レンズ支持枠170によって支持され、撮像センサ基板178に対して固定されることで、光学レンズ部20と撮像センサ基板178との距離が略一定に保たれる。そして、被写体からの光SLが、蓋層10を透過するとともに、光学レンズ部20およびカバーガラス層17を介して撮像素子181に対して照射される。このとき、撮像素子181では、被写体に対応する画像データが得られる。
また、光学レンズ部20が配置される空間が、蓋層10、レンズ支持枠170、および撮像センサ基板178によって囲まれることで、密閉空間となり、周囲から光学レンズ部20に対するほこり等の侵入が抑制される。
なお、ここでは、撮像センサ基板178に対してレンズ支持枠170が設けられるとともに、レンズ支持枠170によって光学レンズ部20が直接的に支持されたが、これに限られない。光学レンズ部20がレンズ支持枠170によって直接的ではなく他の部材等を介して間接的に支持されるような構成が採用されても良い。
<(1-3)カメラモジュールの製造工程>
複数のカメラモジュール500を製造する際には、まず、撮像センサ基板シート178Uに対して各撮像センサ基板178の配列に対応するように複数の光学レンズ部20等が配列されて、光学レンズ部20が集積された構造体(レンズ集積体)が形成される。そして、該レンズ集積体がダイシング等による切断によって撮像センサ基板178毎に分割される。このようなカメラモジュール500を製造する工程については、従来では、ダイシング等による比較的大掛かりな切断工程が必要であった。これに対して、本実施形態では、治具が用いられてレンズ集積体に相当する構成が形成されることで、ダイシング等による切断工程の簡略化が図られる。
図9は、本実施形態に係るカメラモジュール500の製造工程の流れを示すフローチャートである。図9で示されるように、(工程A)準備工程(ステップSP1〜SP3)、(工程B)形成工程(ステップSP4〜SP6)、(工程C)固定工程(ステップSP7)、(工程D)分離工程(ステップSP8)、(工程E)分割工程(ステップSP9)、および(工程F)カメラモジュールの完成工程、が順次に行われる。
以下、図9で示されるフローチャートに沿って、カメラモジュール500の製造工程について説明する。なお、ここでは、図の複雑化を防ぐために、16個のカメラモジュール500が製造される例を挙げて説明するが、本製造工程は、数十個から千数百個迄の複数のカメラモジュール500が製造される工程に適用可能である。
ステップSP1では、図7で示されたような光学レンズ部20が複数個(例えば、16個等)作製される。ここでは、複数の光学レンズ部20は、該複数の光学レンズ部20が配列されたシート状の形態で作製されるのではなく、相互に連結されていない個別のチップ状の形態で作製されることで準備される。なお、各光学レンズ部20は、樹脂を用いた成型等によって作製される。
ステップSP2では、図6で示されたようなレンズ支持部材に相当するレンズ支持枠170が複数個(例えば、16個等)作製される。ここでは、複数のレンズ支持枠170は、該複数のレンズ支持枠170が配列されたシート状の形態で作製されるのではなく、相互に連結されていない個別のチップ状の形態で作製されることで準備される。図10は、レンズ支持枠170の構造を示す斜視図である。各レンズ支持枠170は、樹脂を用いた成型等によって作製される。
ステップSP3では、カバーガラス層17(図5)と撮像素子層18(図4)とが接合されて形成される撮像センサ基板178に係るチップが複数個(例えば、16個)配列されるシート(撮像センサ基板シート)178Uが準備される。図11は、撮像センサ基板シート178Uの構成例を模式的に示す斜視図である。図11では、各撮像センサ基板178に相当する部分に斜線のハッチングが付されている。図11で示されるように、撮像センサ基板シート178Uには、複数の撮像センサ基板178が2次元的にマトリックス状に配列される。
ステップSP4では、カメラモジュール500を製造するための治具100が設置される。図12は、治具100の構造を模式的に示す斜視図である。図12で示されるように、治具100には、マトリックス状に複数の凹み部100Hが形成されている。該凹み部100Hは、外縁が、レンズ支持枠170の上下面の外縁に対応する形状を有する。また、複数の凹み部100Hは、略同一の深さを有するとともに、複数の凹み部100Hの底面が相互に平行な関係を有する。
ステップSP5では、ステップSP2で準備された複数のレンズ支持枠170が、治具100上に配置される。ここでは、図13および図14で示されるように、治具100の各凹み部100Hにそれぞれレンズ支持枠170が嵌め込まれる。図15は、図14の切断面XV−XVにて矢印方向に見た治具100上に複数のレンズ支持枠170が配列された構成の断面図である。図14および図15で示されるように、治具100の段差が利用されて、複数のレンズ支持枠170が、治具100上においてマトリックス状に配列される。換言すれば、治具100には、該治具100上において各レンズ支持枠170が配置される位置に段差が設けられている。
ステップSP6では、治具100上に配列される各レンズ支持枠170に光学レンズ部20が取り付けられる。図16は、図15で示される状態をベースとして、各レンズ支持枠170に光学レンズ部20が取り付けられた状態を示す図である。ここでは、各レンズ支持枠170の段差部170Sに対して光学レンズ部20の外周部が接着剤等を用いて接合される。このとき、治具100上において、光学レンズ部20をそれぞれ支持した状態の複数のレンズ支持枠170が配置されることで、複数の光学ユニットOUの相対的な位置関係が固定された光学ユニットOUの集合体(以下「光学ユニット集合体」と称する)が形成される。
ステップSP7では、撮像センサ基板シート178Uと光学ユニット集合体とが接着剤等が用いられて接合される。図17は、図16で示される状態をベースとして、各撮像センサ基板178に光学ユニットOUがそれぞれ固定されるように、光学ユニット集合体が撮像センサ基板シート178Uに対して固定される状態を示す図である。
ステップSP8では、治具100から光学ユニット集合体が取り外されることで分離される。このとき、図18は、図17で示される状態をベースとして、治具100が取り外された状態を示す図である。図18で示されるように、光学ユニット集合体を構成する複数の光学ユニットOUは、撮像センサ基板シート178Uの存在によってマトリックス状に配置された相対的な位置関係が維持される。
ステップSP9では、ダイシングによる切断によって撮像センサ基板シート178Uが撮像センサ基板178毎に分割される。ここでは、図18で示されるように、太破線CLで示される箇所がダイシングによって切断されることで、それぞれ撮像センサ基板178と光学ユニットOUとからなる複数のユニットが作製される。
ステップSP10では、ステップSP9で作製された複数のユニットに対して、それぞれ蓋層10が接着剤等が用いられて取り付けられることで、複数のカメラモジュール500が完成される。なお、蓋層10の取り付けについては、光学レンズ部20の汚れを防ぐ観点から、例えば、ステップSP8とステップSP9との間で行われても良い。
以上のように、第1実施形態に係るカメラモジュール500の製造方法によれば、相互に連結されていない状態の複数の光学ユニットOUが撮像センサ基板シート178Uに対して固定される。このため、切断工程の簡素化によって、切断時の冷却水による樹脂層の膨潤、および切断時の負荷による切断前後の光学性能の相違の有無を検査するための検査工程の必要性の発生等といった不具合が抑制される。その結果、カメラモジュールの製造が容易となる。
具体的には、切断箇所および切断に要する時間が低減されるため、冷却水による樹脂層の膨潤が生じ難い。また、切断前後において光学ユニットOUの光学特性がずれる虞が極めて低くなるため、切断工程の後に、光学性能の検査を行えば十分となる。
更に、従来技術では、複数の撮像レンズ部と、複数の撮像素子とが組み合わされる際に、撮像レンズ部および撮像素子のうちの何れか一方の特性に係る歩留まりが良好でない場合には、カメラモジュール全体の製造における歩留まりの低下を招いていた。この問題点についても、本実施形態に係る製造方法によれば、光学ユニットOUが個別に準備されるため、光学性能が良好でない光学ユニットOUを使用しないようにすることができる。また、センサの特性が良好でない撮像素子に対しては、光学ユニットOUを取り付けないようにすることもできる。その結果、カメラモジュール全体の製造における歩留まりの向上が図られ、カメラモジュールの製造におけるコストの上昇および資源の無駄遣い等が抑制される。
また、治具100には、該治具100上において各レンズ支持枠170が配置される位置に段差が設けられている。このため、治具100上への複数のレンズ支持枠170の配置が容易となる。その結果、カメラモジュール500の製造を容易化することができる。
<(2)第2実施形態>
上記第1実施形態に係るカメラモジュール500では、撮像素子181と光学レンズ部20との間の距離が固定されていた。これに対して、第2実施形態に係るカメラモジュール500Aでは、撮像素子181と光学レンズとの距離が可変なものとされている。なお、第2実施形態に係る携帯電話機1Aは、上記第1実施形態に係る携帯電話機1と比較して、カメラモジュール500が、構成が異なるカメラモジュール500Aに変更され、この変更に伴って、第1の筐体301が、第1の筐体301Aに変更されたものとなっている。
以下、第2実施形態に係るカメラモジュール500Aの構成およびその製造方法について、順次に説明する。なお、第2実施形態に係るカメラモジュール500Aのうち、第1実施形態に係るカメラモジュール500と同様な構成については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
<(2-1)カメラモジュールの構成>
<(2-1-1)カメラモジュールの概略構成>
図19は、カメラモジュール500Aの断面模式図である。また、図20は、カメラモジュール500Aを側方から見た側面図である。なお、上述したように、矢印AR1の示す方向が+Z方向に対応する。
図19で示されるように、カメラモジュール500Aは、撮影光学系としてのレンズ群200が移動可能に設けられる光学系ユニットKBと、被写体像に関する撮影画像を取得する撮像部PBとを有する。
撮像部PBは、例えば、COMSセンサまたはCCDセンサ等の撮像素子181を有する撮像素子層18Aと、カバーガラス層17とが+Z方向にこの順序で積層された構成を有する。
光学系ユニットKBは、蓋層10、第1枠層11、第1平行ばね(上層平行ばね)12、第2枠層13、第2平行ばね(下層平行ばね)14、アクチュエータ層15、レンズ位置調整層16、およびレンズ群200を備える。第1平行ばね12、第2平行ばね14、およびアクチュエータ層15は、いずれもウエハ状態(ウエハレベルで)製作される。
光学系ユニットKBでは、レンズ位置調整層16、アクチュエータ層15、第2平行ばね14、第2枠層13、第1平行ばね12、第1枠層11、および蓋層10が+Z方向にこの順序で積層され、第2平行ばね14と第1平行ばね12との間に移動対象物であるレンズ群200が保持される。そして、第1平行ばね12と第2平行ばね14とアクチュエータ層15とが互いに協働することで、レンズ群200をZ軸に沿った方向に移動させる。
カメラモジュール500Aでは、蓋層10、第1および第2枠層11,13、レンズ位置調整層16、カバーガラス層17、および撮像素子層18が、レンズ群200に対する固定部となる。
ここで、レンズ群200は、固定部に結合された第1および第2平行ばね12,14によって支持される。より詳細には、レンズ群200の−Z側(撮像素子181が配置される側)におけるアクチュエータ層15と該レンズ群200との間には、第2平行ばね14が介挿される。また、レンズ群200の+Z側(蓋層10が配置される側)における第1枠層11と該レンズ群200との間には、第1平行ばね12が介挿される。つまり、レンズ群200は、第1平行ばね12と第2平行ばね14とによって挟まれている。ここでは、第1および第2平行ばね12,14によってレンズ群200が挟持されるため、レンズ群200の移動に拘わらず、レンズ群200の姿勢が保持され、レンズ群200の光軸が略一定に保持される。
また、第1および第2平行ばね12,14は、移動対象物であるレンズ群200が+Z方向に移動する際に、レンズ群200の移動方向(すなわち+Z方向)とは反対方向の力を、該レンズ群200に対して付与する。なお、レンズ群200が−Z方向に移動する際には、第1および第2平行ばね12,14がレンズ群200に対して付与する力の方向は、レンズ群200の移動方向(すなわち−Z方向)と一致する。
更に、レンズ群200が+Z方向に移動していない非駆動状態(例えば駆動前の静止状態)では、第1および第2平行ばね12,14の弾性力によってレンズ群200がレンズ位置調整層16の突起部162の上端面に対して押し付けられ、レンズ群200がレンズ位置調整層16によっても支持される。そして、この非駆動状態では、レンズ群200がZ軸に沿って変位可能な範囲(変位可能範囲)の最も−Z側の所定位置に配置されて静止する。
なお、この所定位置は、例えば、撮像素子181において多数の画素回路が配列されている+Z側の面(以下「撮像面」とも称する)上に光学系ユニットKBの焦点が配置されるような位置に設定される。ここで言う光学系ユニットKBの焦点とは、+Z側から平行光線を光学系ユニットKBに入射したときに、該光学系ユニットKBから射出される光線が一点に集まる点のことを言う。
また、上述したように、非駆動状態では、レンズ群200は、第1および第2平行ばね12,14の弾性力によってレンズ位置調整層16に対して押し付けられるため、カメラモジュール500に対して強い衝撃が付与されても、レンズ群200の姿勢が保持される。
アクチュエータ部としてのアクチュエータ層15は、+Z方向への駆動変位を発生させる可動部15a,15b(図28)を有し、レンズ群200の−Z側に配置されている。可動部15a,15bは、レンズ群200の−Z側に突出した第1突起部201と接触し、可動部15a,15bで生じる駆動変位は、第1突起部201を介してレンズ群200に伝達される。つまり、アクチュエータ層15は、移動対象物であるレンズ群200を所定方向(ここでは、+Z方向)に移動させる。なお、可動部15a,15bにおける+Z方向への駆動変位が小さくなっていく場面では、第1および第2平行ばね12,14の弾性力によって、レンズ群200が所定方向とは反対方向(−Z方向)に移動する。
側面配線21は、カメラモジュール500Aの4つの側面のうちの1つの側面に配設される薄型の導電部材である。側面配線21は、図20で示されるように、撮像素子層18Aを介して、ヒータ層155(図31)と、電流を供給するドライバ(電流供給ドライバ)およびヒータ層155の電気抵抗を検出する部分(電気抵抗検出部)とを電気的に接続する。なお、側面配線21と第2平行ばね14とが短絡しないように、第2平行ばね14と側面配線21との間に絶縁部14epが設けられる。
<(2-1-2)レンズ群について>
光学レンズ部としてのレンズ群200は、ガラス基板を基材として、例えば、2枚以上のレンズを重ね合わせて成形される。本実施形態では、2枚の光学レンズを重ね合わせてレンズ群200が構成される場合について例示する。なお、本実施形態では、レンズ群200は、被写体からの光を撮像素子181に導く撮像レンズとして機能する。
図21および図22は、レンズ群200の断面模式図であり、矢印AR2の示す方向が+Z方向に対応する。図23は、レンズ群200を下方(−Z側)から見たレンズ群200の下面外観図であり、図24は、レンズ群200を上方(+Z側)から見たレンズ群200の上面外観図である。
図21および図22で示されるように、レンズ群200は、第1レンズG1を有する第1レンズ構成層LY1と、第2レンズG2を有する第2レンズ構成層LY2と、スペーサ層RBとを備える。そして、第1レンズ構成層LY1と第2レンズ構成層LY2とが、スペーサ層RBを介して結合される。ここでは、第1および第2レンズ構成層LY1,LY2の非レンズ部のうちのXY平面に平行な断面の外縁が略正方形の形状を有する。
また、図21〜図23で示されるように、第1レンズG1を有する第1レンズ構成層LY1の一方主面(ここでは、−Z側)には、レンズとして機能しない非レンズ部に第1突起部201が設けられる。更に、図21,図22および図24で示されるように、第2レンズG2を有する第2レンズ構成層LY2の一方主面(ここでは、+Z側)には、レンズとして機能しない非レンズ部に第2突起部202が設けられる。
また、図25は、スペーサ層RBの形状に着目して、スペーサ層RBを上方(+Z側)から見た図である。図25で示されるように、スペーサ層RBは、第1および第2レンズ構成層LY1,LY2の非レンズ部の外縁に沿って設けられ、XY平面に平行な断面の外縁および内縁の形状が矩形である環状の構成を有する。そして、レンズ群200の光軸が、Z軸に沿った方向に設定される。
<(2-1-3)各機能層について>
以下では、カメラモジュール500Aを構成する各機能層の詳細について説明する。なお、各機能層については、−Z側の面を一主面と称し、+Z側の面を他主面と称する。
<(2-1-3-1)撮像素子層>
図19で示されるように、撮像素子層18Aは、光学系ユニットKBを通過した被写体からの光を受光して、被写体の像に関する画像信号を生成する撮像素子181、その周辺回路、および撮像素子181を囲む外周部を備える部材である。また、撮像素子181は、多数の画素回路が配列されて構成される。なお、撮像素子層18Aの一主面(−Z側の面)には、リフロー方式によるはんだ付けを行うためのはんだボールHBが設けられる。また、撮像素子層18Aの一主面には、撮像素子181に対する信号の付与、および該撮像素子181からの信号の読み出しを行う配線を接続するための各種端子が設けられる。
<(2-1-3-2)カバーガラス層>
図19で示されるように、カバーガラス層17は、略平板状であり且つXY平面に平行な断面が略正方形の形状を有し、透明なガラス等によって構成される。このカバーガラス層17は、撮像素子層18Aの他主面(+Z側の面)に対して接合され、撮像素子181を保護する機能を有する。なお、カバーガラス層17が撮像素子層18A上に接合された状態で撮像センサ基板178Aを構成する。
<(2-1-3-3)レンズ位置調整層>
レンズ位置調整層16は、撮像素子181とレンズ群200との間に配設され、且つ撮像素子181とレンズ群200との距離を調整する部材である。具体的には、レンズ位置調整層16は、非駆動状態におけるレンズ群200の位置(初期位置)を規定する。なお、レンズ位置調整層16は、例えば、樹脂をエッチングする手法等を用いて生成される。
図26は、レンズ位置調整層16を上方(+Z側)から見たレンズ位置調整層16の上面図である。図27は、レンズ位置調整層16の切断面XXVI−XXVIにて矢印方向に見たレンズ位置調整層16の断面図である。図26および図27で示されるように、レンズ位置調整層16は、枠体161と突起部162とを備える。
枠体161は、レンズ位置調整層16の外周部分を構成する略矩形の環状の部分であり、XY平面に略平行な板状の形状を有する。そして、枠体161は、Z軸に沿った方向に貫通する孔(貫通孔)16HLを形成し、枠体161を構成する+Y側の板状の部材および−Y側の板状の部材は、貫通孔16HL側に出っ張った部分(凸部)161Tをそれぞれ有する。また、枠体161の一主面は、隣接するカバーガラス層17に対して接合され、枠体161の他主面は、隣接するアクチュエータ層15(詳細には、アクチュエータ層15の枠体15f(図28))と接合される。
突起部162は、枠体161を構成する凸部161Tの内縁近傍において上方(+Z方向)に向けて立設される。この突起部162は、XZ平面に略平行で且つ略長方形の盤面を有する板状の部分であり、突起部162の長手方向がX軸に略平行な方向とされ、突起部162の短手方向がZ軸に略平行な方向とされている。そして、突起部162の+Z側の端面は、レンズ群200が当接することで、該レンズ群200を初期位置に配置する機能を有する。
なお、図26では、撮像素子181を構成する複数の画素回路が配列される領域(画素配列領域)、すなわち撮像素子181の前面(撮像面)の外縁が破線で示されている。
<(2-1-3-4)アクチュエータ層>
図28は、アクチュエータ層15を上方(+Z側)から見た該アクチュエータ層15の上面図である。また、図29は、アクチュエータ層15を側方から見た該アクチュエータ層15の側面図である。更に、図30は、アクチュエータ層15の積層構造を説明するための図である。
図28および図29で示されるように、アクチュエータ層15は、外周部を構成する枠体15fと、枠体15fの内側の中空部分に対して枠体15fから突設される2枚の板状の可動部15aおよび15bとを備える。そして、枠体15fの一主面は、隣接するレンズ位置調整層16(具体的には、枠体161)に対して接合され、枠体15fの他主面は、隣接する第2平行ばね14(具体的には、固定枠体141(図32))と接合される。
また、図30で示されるように、アクチュエータ層15は、高熱膨張層151、熱伝導層152、低熱膨張層153、絶縁層154、およびヒータ層155が、−Z側から+Z側に向けてこの順番に積層されて構成される。すなわち、可動部15a,15bでは、いわゆるバイメタル(Bi-metallic strip)が採用されている。
高熱膨張層151、熱伝導層152、低熱膨張層153、および絶縁層154は、図28で示されるアクチュエータ層15の平面形状と同様な形状を有する。つまり、アクチュエータ層15は、全域に渡って、高熱膨張層151、熱伝導層152、低熱膨張層153、および絶縁層154の4層が積層された構造を有する。
また、高熱膨張層151は、低熱膨張層153を構成する素材よりも大きな熱膨張率を持つ素材によって構成される。熱伝導層152は、高熱膨張層151および低熱膨張層153を構成する素材よりも大きな熱伝導率を持つ素材によって構成される。絶縁層154は、シリカ(二酸化珪素)等の絶縁体によって構成される。
図31は、アクチュエータ層15を上方(+Z側)から見た該アクチュエータ層15の詳細な構成を示す上面図である。
ヒータ層155は、絶縁層154上にパターンニングされ、白金等の抵抗率が高い導電性を有する金属等によって構成される。ヒータ層155では、配線部1551、ヒータ部155b、配線部1552、ヒータ部155a、および配線部1553がこの順番で延設され、順次に電気的に接続される。そして、配線部1551,1552,1553が、枠体15fを構成し、ヒータ部155aが、可動部15aを構成し、ヒータ部155bが、可動部15bを構成する。
また、配線部1551,1552,1553は、ヒータ部155a,155bと比較して、幅が広く、電気抵抗が低くなるように構成される。従って、ヒータ層155の一端(ここでは、配線部1551の−Y側の端面)と他端(ここでは、配線部1553の−Y側の端面)との間に電圧が印加されると、電気抵抗が高いヒータ部155a,155bが、自身のジュール熱によって発熱する。つまり、発熱部としてのヒータ部155a,155bが電流の供給に応じて発熱する。なお、ヒータ層155の一端および他端に対しては、側面配線21(図19および図20)が設けられることで、該側面配線21を介して電圧および電流が供給される。
このような構成を有するアクチュエータ層15では、ヒータ部155a,155bへの通電による発熱により、高熱膨張層151と低熱膨張層153との間における熱膨張の差異に応じて、可動部15a,15bが、該可動部15a,15bの自由端FTが+Z方向に変位して反るように変形する。この自由端FTの変位量については、可動部15a,15bの加熱の度合いに応じた量となる。一方、ヒータ部155a,155bに対する通電が停止されると、可動部15a,15bの熱が熱伝導層152の存在によって枠体15fに急速に伝わり、枠体15fからの放熱によって、可動部15a,15bが急速に冷却される。このとき、自由端FTの上方(+Z方向)への変位が低減され、可動部15a,15bが平らな平板状の形状に戻る。
このアクチュエータ層15については、まず、該アクチュエータ層15に相当するチップが所定配列で形成されるシート(アクチュエータ層シート)が生成され、その後、該アクチュエータ層シートが、後述するダイシング工程によってアクチュエータ層15の形に分割される。
<(2-1-3-5)第2平行ばね>
図32は、第2平行ばね14を下方(−Z方向)から見た該第2平行ばね14の下面外観図である。図33は、レンズ群200に接合された第2平行ばね14を示す図である。図32で示されるように、第2平行ばね14は、固定枠体141と、弾性部142とを有する弾性部材であり、ばね機構を形成する層(弾性層)となっている。
固定枠体141は、第2平行ばね14の外周部を構成し、隣接するアクチュエータ層15の枠体15fと接合される。ここで、アクチュエータ層15のヒータ層155と、第2第2平行ばね14との間隔は、通常は、10um程度しかない。このため、ヒータ層155に電圧および電流を供給する側面配線21を、例えば、印刷などによって撮像素子層18からアクチュエータ層15に渡って単に設けると、側面配線21が、固定枠体141にまでかかってしまう。つまり、側面配線21と第2平行ばね14とが短絡してしまう。
そこで、この短絡を防ぐ目的で、第2平行ばね14の固定枠体141の4隅の近傍の外縁に窪んだ切り欠き部143が設けられる。この切り欠き部143には、第2枠層13と第2平行ばね14とが接合される際、および第2平行ばね14とアクチュエータ層15とが接合される際に、接合に用いられるエポキシ系の樹脂等の接着剤が充填されることで、絶縁部14ep(図19および図20)が形成される。この絶縁部14epの存在により、側面配線21と第2平行ばね14とが接触することによる不要な短絡が防止される。
弾性部142は、固定枠体141との接続部PG1と、レンズ群200との接合部PG2とを有し、接続部PG1と接合部PG2とが板状部材EBで繋がれる。そして、図33で示されるように、第2平行ばね14は、弾性部142に設けられる接合部PG2においてレンズ群200と接合される。ここでは、第1突起部201は、第2平行ばね14の固定枠体141と板状部材EBとの隙間を通って、アクチュエータ層15の自由端FTと当接する。
そして、レンズ群200が固定枠体141に対して+Z方向に移動されるにつれて、接続部PG1と接合部PG2とのZ方向の位置がずれ、板状部材EBは曲げ変形(たわみ変形)を生じて湾曲する。つまり、第2平行ばね14は、板状部材EBの弾性変形によって、レンズ群200の光軸方向(±Z方向)に弾性変形可能であり、ばね機構として機能する。
なお、第2平行ばね14は、SUS系の金属材料またはりん青銅等を用いて作製される。例えば、SUS系の金属材料で第2平行ばね14が作製される場合は、フォトリソグラフィ技術により、平行ばねの形状のレジストが金属材料上にパターンニングされ、塩化鉄系のエッチング液に浸してウエットエッチングが行われることで、平行ばねのパターンが形成される。
<(2-1-3-6)第2枠層>
図19で示されるように、レンズ支持部の1つとしての第2枠層13は、XY平面に平行な断面の外縁および内縁がそれぞれ略矩形状であるリング状の部材であり、Z軸に沿って貫通する中空部分を形成する。第2枠層13は、中空部分にレンズ群200が配置されることで、該レンズ群200を側方から囲む。なお、第2枠層13を構成する素材としては、樹脂やガラス等が挙げられ、第2枠層13は、金属金型を用いたいわゆるプレス法や射出成型法等によって製作される。そして、第2枠層13の−Z側に位置する下端面(一主面)は、隣接する第2平行ばね14の固定枠体141と接合される。また、第2枠層の+Z側に位置する上端面(他主面)は、隣接する第1平行ばね12(詳細には、第1平行ばね12の固定枠体121(図34))と接合される。
<(2-1-3-7)第1平行ばね>
図34は、第1平行ばね12を下方(−Z方向)から見た該第1平行ばね12の下面外観図である。図34で示されるように、第1平行ばね12は、切り欠き部143が設けられていないことを除いて、第2平行ばね14と同様の構成および機能を有する弾性部材であり、固定枠体121と弾性部122とを備える。そして、固定枠体121の一主面は、隣接する第2枠層13の他主面と接合され、固定枠体121の他主面は、隣接する第1枠層11(詳細には、第1枠層11の−Z側の下端面)と接合される。
図35は、レンズ群200に接合された第1平行ばね12を示す図である。図35で示されるように、弾性部122に設けられた接合部PG2は、レンズ群200の突起部202の+Z側の上端面と接合される。このため、固定枠体121に対してレンズ群200が+Z方向に相対的に移動されると、板状部材EBにおいて弾性変形が発生し、第1平行ばね12が、ばね機構として機能する。
<(2-1-3-8)第1枠層>
図19で示されるように、レンズ支持部の1つとしての第1枠層11は、第2枠層13と同様に、XY平面に平行な断面の外縁および内縁がそれぞれ略矩形状であるリング状の部材であり、Z軸に沿って貫通する中空部分を形成する。第1枠層11の中空部分は、レンズ群200が+Z方向に移動される際に、弾性変形する板状部材EBおよび突起部202が移動可能な空間となる。なお、第1枠層11は、第2枠層13と同様な素材および製作方法によって形成される。そして、第1枠層11の−Z側に位置する下端面(一主面)は、隣接する第1平行ばね12の固定枠体121と接合される。また、第1枠層の+Z側に位置する上端面(他端面)は、隣接する蓋層10(詳細には、蓋層の外周部近傍)と接合される。
<(2-1-3-9)蓋層>
図19で示されるように、蓋層10は、XY平面に平行な断面の外縁が略正方形を有し且つ光を透過させるガラス製等の板状の部材によって構成される。
このような構成を有するカメラモジュール500Aでは、ヒータ部155a,155bにおける形状と電気抵抗との関係が一義的に決まることが利用されて、可動部15a,15bの自由端FTの変位量が制御される。具体的には、ヒータ層155の電気抵抗がモニタリングされ、該電気抵抗に応じて、ヒータ部155a,155bに対して通電される電流が制御される。これにより、可動部15a,15bの自由端FTの変位量が制御される。なお、可動部15a,15bの自由端FTの変位量が制御されることで、撮像素子181とレンズ群200との間の離隔距離が自由自在に変更される。
<(2-2)カメラモジュールの製造工程>
図36から図38は、カメラモジュール500Aの製造工程の流れを示すフローチャートである。図36で示されるように、(工程a)準備工程(ステップST1)、(工程b)形成工程(ステップST2)、(工程c)固定工程(ステップST3)、(工程d)分離工程(ステップST4)、(工程e)分割工程(ステップST5)、および(工程f)カメラモジュールの完成工程(ステップST6)、が順次に行われる。なお、図37が、準備工程(ステップST1)の詳細な製造工程の流れを示すとともに、図38が、形成工程(ステップST2)の詳細な製造工程の流れを示す。
以下、図36から図38で示されるフローチャートに沿って、カメラモジュール500Aの製造工程について説明する。なお、ここでは、図の複雑化を防ぐために、16個のカメラモジュール500Aが製造される例を挙げて説明するが、本製造工程は、2個から数百個迄の複数のカメラモジュール500Aが製造される工程に適用可能である。更に、ここでは、図15で示されたものと同様に一断面の状態の変化を示しつつ、カメラモジュール500Aの製造工程について説明する。
ステップST1では、図37で示されるステップST11〜ST14の工程が行われる。
具体的には、レンズ群200の作製(ステップST11)、第1および第2枠層11,13にそれぞれ相当する部材(第1および第2枠部材)とレンズ位置調整層16に相当する部材(レンズ位置調整部材)の作製(ステップST12)、第1平行ばねが2次元的にマトリックス状に配列されたシート(第1平行ばねシート)と第2平行ばねが2次元的にマトリックス状に配列されたシート(第2平行ばねシート)の作製(ステップST13)、および撮像センサ基板178Aがマトリックス状に2次元的に配列されたシート(撮像センサ基板シート)178UA(図11)の作製(ステップST14)が行われる。
なお、ステップST11では、複数のレンズ群200が、該複数のレンズ群200が配列されたシート状の形態で作製されるのではなく、相互に連結されていない個別のチップ状の形態で作製されることで準備される。また、ステップST12では、複数の第1枠層11に相当する複数の第1枠部材が、それぞれ該複数の第1枠部材が配列されたシート状の形態で作製されるのではなく、相互に連結されていない個別のチップ状の形態で作製されることで準備される。また、複数の第2枠層13に相当する複数の第2枠部材が、それぞれ該複数の第2枠部材が配列されたシート状の形態で作製されるのではなく、相互に連結されていない個別のチップ状の形態で作製されることで準備される。更に、複数のレンズ位置調整層16に相当する複数のレンズ位置調整部材が、それぞれ該複数のレンズ位置調整部材が配列されたシート状の形態で作製されるのではなく、相互に連結されていない個別のチップ状の形態で作製されることで準備される。
ステップST2では、図38で示されるステップST21〜ST28の製造工程が実行される。
具体的には、ステップST21では、図39で示されるように、カメラモジュール500Aを製造するための治具100Aが設置される。治具100Aは、上記第1実施形態に係る治具100と比較して、各凹み部100Hが、中央部に突起部TKが設けられた凹み部100HAに変更されたものとなっている。なお、突起部TKの上端は、平滑であり且つ凹み部100HAの底面に対して略平行である形態を有する。
ステップST22では、図40で示されるように、ステップST12で準備された複数の第1枠部材11が、治具100A上に配置される。ここでは、治具100Aの各凹み部100HAにそれぞれ各第1枠部材11が嵌め込まれる。
ステップST23では、図41で示されるように、ステップST22で配置された複数の第1枠部材11の上面に対して、ステップST13で準備された第1平行ばねシート12Uが接合される。このとき、各第1枠部材11に対して、1つのカメラモジュール500Aを構成する第1平行ばね12に相当する部分がそれぞれ積層される。
ステップST24では、図42で示されるように、ステップST23で接合された第1平行ばねシート12Uの上面に対して、ステップST12で準備された第2枠層13に相当する第2枠部材13が配置されるとともに接合される。このとき、カメラモジュール500Aをそれぞれ構成する各第1平行ばね12に相当する部分に対して、第2枠部材13がそれぞれ積層される。
ステップST25では、図43で示されるように、ステップST23で接合された第1平行ばねシート12Uの上面に対して、ステップST11で準備された複数のレンズ群200が配置されるとともに接合される。ここでは、カメラモジュール500Aをそれぞれ構成し且つ各突起部TKによって支持される各第1平行ばね12に相当する部分に対して、レンズ群200の第2突起部202の端面がそれぞれ接合される。このとき、各第2枠部材13の中空部分にレンズ群200がそれぞれ配置される。
ステップST26では、図44で示されるように、ステップST24で配置された複数の第2枠部材13の上面およびステップST25で配置されたレンズ群200の非レンズ部に対して、ステップST13で準備された第2平行ばねシート14Uが接合される。このとき、各第2枠部材13に対して、1つのカメラモジュール500Aを構成する第2平行ばね14に相当する部分がそれぞれ積層される。
ステップST27では、図45で示されるように、ステップST26で接合された第2平行ばねシート14Uの上面に対して、ステップST13で準備されたアクチュエータ層シート15Uが接合される。このとき、カメラモジュール500Aをそれぞれ構成する各第2平行ばね14に相当する部分に対して、1つのカメラモジュール500Aを構成するアクチュエータ層15に相当する部分がそれぞれ積層される。そして、アクチュエータ層15の可動部15a,15bの自由端FT付近が、レンズ群200の第1突起部201の端面と当接する。
なお、この時点で、第1枠層11、第1平行ばね12、第2枠層13、レンズ群200、第2平行ばね14、およびアクチュエータ層15からなる光学ユニットOUAが形成される。すなわち、ステップST21〜ST27において、治具100A上において、レンズ支持部材に相当する複数の第1および第2枠層11,13が配置されるとともに、各第1および第2枠層11,13に対してレンズ群200が、第1および第2平行ばね12,14を介して取り付けられることで、治具100A上に複数の光学ユニットOUAの相対的な位置が固定された光学ユニットOUAの集合体(光学ユニット集合体)が形成される。
ステップST28では、図46で示されるように、ステップST27で接合されたアクチュエータ層シート15Uに対して、複数のレンズ位置調整部材16が配置されるとともに接合される。このとき、1つのカメラモジュール500Aを構成するアクチュエータ層15に相当する部分に対して、レンズ位置調整部材16がそれぞれ積層されるとともに、レンズ位置調整部材16の突起部162の端面がレンズ群200の非レンズ部に対して当接する。但し、レンズ位置調整部材16のレンズ群200に対する当接によって、レンズ群200が移動する空間を確保するために、例えば、アクチュエータ層シート15Uに対して、複数のレンズ位置調整部材16が接合される前に、光学ユニット集合体が治具100A上に載置された状態から治具100上に載置された状態へと変更される。
次に、図36のステップST3では、撮像センサ基板シート178UAと光学ユニット集合体とが接着剤等が用いられて接合される。図47は、図46で示される状態をベースとして、各撮像センサ基板178Aに光学ユニットOUAがそれぞれ固定されるように、光学ユニット集合体が撮像センサ基板シート178UAに対して固定される状態を示す図である。
ステップST4では、治具100から光学ユニット集合体が取り外されることで分離される。このとき、図48は、図47で示される状態をベースとして、治具100が取り外された状態を示す図である。図48で示されるように、光学ユニット集合体を構成する複数の光学ユニットOUAは、撮像センサ基板シート178U等の存在によってマトリックス状に配置された相対的な位置関係が維持される。
ステップST5では、ダイシングによる切断によって撮像センサ基板シート178UAが撮像センサ基板178A毎に分割される。ここでは、図48で示されるように、太破線CLAで示される箇所がダイシングによって切断されることで、それぞれ撮像センサ基板178Aと光学ユニットOUAとを含む複数のユニットが作製される。このとき、撮像センサ基板シート178UAに加えて、薄膜状の第1および第2平行ばねシート12U,14Uおよびアクチュエータ層シート15Uが切断される。但し、第1および第2平行ばねシート12U,14Uおよびアクチュエータ層シート15Uの厚みは非常に薄いため、主に、撮像センサ基板シート178UAの切断が行われる。
ステップST6では、ステップST5で作製された複数のユニットに対して、それぞれ蓋層10が接着剤等が用いられて取り付けられることで、複数のカメラモジュール500Aが完成される。なお、蓋層10の取り付けについては、レンズ群200の汚れを防ぐ観点から、例えば、ステップST4とステップST5との間で行われても良い。
以上のように、第2実施形態に係るカメラモジュール500Aの製造方法によれば、幾つかの薄膜によって相互に連結されている状態の複数の光学ユニットOUAが撮像センサ基板シート178UAに対して固定される。このため、第1実施形態と同様に、切断工程の簡素化によって、切断時の冷却水による樹脂層の膨潤、および切断時の負荷による切断前後の光学性能の相違の有無を検査するための検査工程の必要性の発生等といった不具合が抑制される。その結果、カメラモジュールの製造を容易化することができる。
また、治具100Aには、上記第1実施形態に係る治具100と同様に、該治具100A上において第1枠部材11がそれぞれ配置される位置に段差が設けられる。このため、治具100A上への複数の第1枠部材11の配置が容易となり、カメラモジュール500の製造が容易となる。
<(3)変形例>
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
◎例えば、上記第2実施形態では、複数の光学ユニットOUAが、幾つかの薄膜によって相互に連結されている状態で撮像センサ基板シート178UAに対して固定されたが、これに限られない。例えば、蓋層10、第1枠層11、第1平行ばね12、第2枠層13、第2平行ばね14、アクチュエータ層15、レンズ位置調整層16、およびレンズ群200をそれぞれ備える複数の光学系ユニットKBを予め製造することで準備しておき、該複数の光学系ユニットKBを、複数の光学ユニットOUBとして、図49で示されるように、治具100上において複数の凹み部100Hに複数の光学ユニットOUBが配置されることで、光学ユニット集合体が形成されても良い。
このような態様では、図50で示されるように、撮像センサ基板シート178UAと光学ユニット集合体とが接着剤等によって接合され、図51で示されるように、太破線CLBで示される箇所がダイシングによって切断されることで、それぞれ撮像センサ基板178Aと光学ユニットOUBとを含む複数のユニットが作製される。
◎また、上記第2実施形態では、アクチュエータ層15が、可動部15a,15bが湾曲することで駆動力を発生させたが、これに限られない。例えば、レンズを支持する部材(レンズ支持部材)に光学レンズが接合されるとともに、光学レンズの光軸に沿って伸縮する圧電素子がレンズ支持部材に対して連結された光学ユニットが多数準備され、該多数の光学ユニットが、治具100上に配置されることで、光学ユニット集合体が形成されても良い。
◎また、上記第1実施形態では、レンズ支持部としてのレンズ支持枠170によってレンズ群200が直接的に支持され、上記第2実施形態では、レンズ支持部としての第1および第2枠層11,13によって他の部材である第1および第2平行ばね12,14を介してレンズ群200が間接的に支持された。すなわち、光学レンズは、レンズ支持部によって直接的に支持されても良いし、他の部材を介して間接的に支持されても良い。
◎また、上記第1および第2実施形態では、レンズ支持部としてのレンズ支持枠170ならびに第1および第2枠層11,13を形成する側面が、主に4つの大きな側面で構成され、隣接する側面が相互に略直交する構成を有していたが、これに限られない。例えば、レンズ支持枠170ならびに第1および第2枠層11,13の側面の角部に、平面状または曲面状に面取りされたような形態の面が形成されても良い。
ここで、レンズ支持枠170をベースとして、側面が、相対的に大きな4面と、相対的に小さな1〜3面とによって構成される具体的な変形例を示して説明する。なお、ここでは、上記第1実施形態に係るレンズ支持枠170と同様に、各変形例に係るレンズ支持枠170C〜170Gが、上面から下面にかけて貫通する中空部分170Hを有する筒状の形状を有するものとして説明する。
○レンズ支持枠の第1変形例:
図52は、相対的に小さな1つの側面が形成されたレンズ支持枠170Cの構成を示す上面図であり、図53は、レンズ支持枠170Cの構成を示す側面図である。
図52および図53で示されるように、レンズ支持枠170Cの側面が、順次に設けられる第1面S1C、第2面S2C、第3面S3C、第4面S4C、および第5面S5Cを有する。また、第1〜4面S1C〜S4Cが、順次に略垂直の関係を有して設けられる。そして、第5面S5Cが、第1〜4面S1C〜S4Cに対してそれぞれ鈍角を成して設けられ且つ第1〜4面S1C〜S4Cの何れの面よりも面積が小さい。
レンズ支持枠170Cの側面が、このような構成を有する場合には、例えば、第5面S5Cが一定の方向に向けられるように、複数のレンズ支持枠170Cが治具100上に配置されれば、レンズ支持枠170Cの向きが参照されることで、完成品としてのカメラモジュールの上下左右の方向の把握が可能となる。
したがって、光学ユニット集合体が形成される工程において、第5面S5Cが基準とされて、治具100上において複数のレンズ支持枠170Cが配置されるような構成が採用されることで、レンズ支持枠170Cを配置すべき姿勢が容易に把握可能となる。その結果、カメラモジュールの製造を容易化することができるとともに、例えば、カメラモジュールを各種装置に実装する際に、カメラモジュールを配置すべき姿勢の把握も可能となる。
なお、図52および図53では、第5面S5Cが平面によって構成される例が示されているが、第5面S5Cは、曲面であっても良い。換言すれば、レンズ支持枠170Cの側面が形成する主な4つの角部のうちの1つの角部が平面や曲面等が用いられることで、他の角部と区別可能な態様で構成されれば良い。すなわち、レンズ支持枠170Cの側面が形成する主な4つの角部のうちの1つの角部が切り欠き部等といった他の角部と区別可能な特徴的な各種の形状を有していても良い。また、ここでは、第1〜4面S1C〜S4Cが、平滑な平面を有する例が示されたが、これに限られず、多少の凹凸を有していても良い。
○レンズ支持枠の第2変形例:
図54は、相対的に小さな2つの側面が形成されたレンズ支持枠170Dの構成を示す上面図である。
図54で示されるように、レンズ支持枠170Dの側面が、順次に設けられる第1面S1D、第2面S2D、第3面S3D、第4面S4D、第5面S5D、および第6面S6Dを有する。また、第1、第2、第4、および第6面S1D,S2D,S4D,S6Dが、順次に略垂直の関係を有して設けられる。ここで、第3面S3Dが、第2および第4面S2D,S4Dに対してそれぞれ鈍角を成して設けられ且つ第1、第2、第4、および第6面S1D,S2D,S4D,S6Dのうちの何れの面よりも面積が小さい。また、第5面S5Dが、第4および第6面S4D,S6Dに対してそれぞれ鈍角を成して設けられ且つ第1、第2、第4、および第6面S1D,S2D,S4D,S6Dのうちの何れの面よりも面積が小さい。
このように、レンズ支持枠170Dの側面は、第1、第2、第4、および第6面S1D,S2D,S4D,S6Dによって4つの主な角部を有するとともに、隣り合う2つの主な角部に第3および第5面S3D,S5Dが設けられる構成を有する。このような構成が採用される場合には、例えば、第3および第5面S3D,S5Dが所定の方向に向けられるように、複数のレンズ支持枠170Dが治具100上に配置されれば、レンズ支持枠170Dの向きが参照されることで、完成品としてのカメラモジュールの上下左右の方向の把握が可能となる。
したがって、光学ユニット集合体が形成される工程において、第3および第5面S3D,S5Dが基準とされて、治具100上において複数のレンズ支持枠170Dが配置されるような構成が採用されることで、レンズ支持枠170Dを配置すべき姿勢が把握可能となる。その結果、カメラモジュールの製造を容易化することができるとともに、例えば、カメラモジュールを各種装置に実装する際に、カメラモジュールを配置すべき姿勢の把握も可能となる。
○レンズ支持枠の第3変形例:
図54では、第3および第5面S3D,S5Dが平面によって構成される例が示されているが、第3および第5面S3D,S5Dのうちの少なくとも一方の面が曲面であっても良い。例えば、図55で示されるように、レンズ支持枠170Dが、第3面S3Dが曲率を有する第3面S3Eに変更されたレンズ支持枠170Eに変更されても良い。このとき、第3面S3Eと第5面S5Dとが、面積および形状が相互に異なる。
そして、レンズ支持枠の側面を構成する隣り合う2つの角部に設けられる第3面と第5面とが、面積および形状のうちの少なくとも一方が相互に異なる面であれば、レンズ支持枠を配置すべき姿勢および表裏が把握可能となる。このため、カメラモジュールの製造を容易化することができる。更に、例えば、カメラモジュールを各種装置に実装する際に、カメラモジュールを配置すべき姿勢の把握も可能となる。
このように、レンズ支持枠の側面が形成する主な4つの角部のうちの隣り合う2つの角部が、平面や曲面等が用いられることで他の角部と区別可能な態様で構成されれば良い。すなわち、レンズ支持枠の側面が形成する主な4つの角部のうちの隣り合う2つの角部が切り欠き部等といった他の角部と区別可能な特徴的な各種の形状を有していても良い。また、ここでは、第1、第2、第4、および第6面S1D,S2D,S4D,S6Dが、平滑な平面を有する例が示されたが、これに限られず、多少の凹凸を有していても良い。
○レンズ支持枠の第4変形例:
図56は、相対的に小さな3つの側面が形成されたレンズ支持枠170Fの構成を示す上面図である。
図56で示されるように、レンズ支持枠170Fの側面が、順次に設けられる第1面S1F、第2面S2F、第3面S3F、第4面S4F、第5面S5F、第6面S6F、および第7面S7Fを有する。また、第1、第2、第4、および第6面S1F,S2F,S4F,S6Fが、順次に略垂直の関係を有して設けられる。ここで、第3面S3Fが、第2および第4面S2F,S4Fに対してそれぞれ鈍角を成して設けられ且つ第1、第2、第4、および第6面S1F,S2F,S4F,S6Fのうちの何れの面よりも面積が小さい。また、第5面が、第4および第6面S4F,S6Fに対してそれぞれ鈍角を成して設けられ且つ第1、第2、第4、および第6面S1F,S2F,S4F,S6Fのうちの何れの面よりも面積が小さい。更に、第7面が、第6および第1面S6F,S1Fに対してそれぞれ鈍角を成して設けられ且つ第1、第2、第4、および第6面S1F,S2F,S4F,S6Fのうちの何れの面よりも面積が小さい。
このように、レンズ支持枠170Fの側面は、第1、第2、第4、および第6面S1F,S2F,S4F,S6Fによって4つの主な角部を有するとともに、隣り合う3つの主な角部に第3、第5、第7面S3F,S5F,S7Fが設けられる構成を有する。このような構成が採用される場合には、例えば、第3、第5、および第7面S3F,S5F,S7Fが所定の方向に向けられるように、複数のレンズ支持枠170Fが治具100上に配置されれば、レンズ支持枠170Fの向きが参照されることで、完成品としてのカメラモジュールの上下左右の方向の把握が可能となる。
したがって、光学ユニット集合体が形成される工程において、第3、第5および第7面S3F,S5F,S7Fが基準とされて、治具100上において複数のレンズ支持枠170Fが配置されるような構成が採用されることで、レンズ支持枠170Fを配置すべき姿勢が把握可能となる。その結果、カメラモジュールの製造を容易化することができるとともに、例えば、カメラモジュールを各種装置に実装する際に、カメラモジュールを配置すべき姿勢の把握も可能となる。
○レンズ支持枠の第5変形例:
図56では、第3、第5、および第7面S3F,S5F,S7Fが平面によって構成される例が示されているが、第3、第5、および第7面S3F,S5F,S7Fのうちの1以上の面が曲面であっても良い。例えば、図57で示されるように、レンズ支持枠170Fが、第7面S3Fが曲率を有する第7面S7Gに変更されたレンズ支持枠170Gに変更されても良い。このとき、第3および第5面S3F,S5Fと第7面S7Gとの間で面積および形状が相互に異なる。
そして、レンズ支持枠の側面を構成する3つの角部に設けられる第3、第5、および第7面のうちの1以上の面と、第3面、第5面、および第7面のうちの他の1以上の面とが、面積および形状のうちの少なくとも一方が相互に異なる面であれば、レンズ支持枠を配置すべき姿勢および表裏が把握可能となる。このため、カメラモジュールの製造を容易化することができる。更に、例えば、カメラモジュールを各種装置に実装する際に、カメラモジュールを配置すべき姿勢の把握も可能となる。
このように、レンズ支持枠の側面が形成する主な4つの角部のうちの3つの角部が、平面や曲面等が用いられることで他の角部と区別可能な態様で構成されれば良い。すなわち、レンズ支持枠の側面が形成する主な4つの角部のうちの3つの角部が切り欠き部等といった他の角部と区別可能な特徴的な各種の形状を有していても良い。また、ここでは、第1、第2、第4、および第6面S1F,S2F,S4F,S6Fが、平滑な平面を有する例が示されたが、これに限られず、多少の凹凸を有していても良い。
上述したように、レンズ支持枠の側面を構成する少なくとも1つの主な角部に曲面が設けられる場合、この曲面の曲率半径が、レンズ支持枠の肉厚(例えば、0.5μm)の0.4〜1.2倍程度に設定されることで、角部に設けられる曲面の識別が容易となる。これは、レンズ支持枠を樹脂の成型等によって形成する場合には、厳密に言えば、角部においてレンズ支持枠の肉厚の0.2倍程度の曲率半径を有する曲面が生じる傾向にあるからである。なお、曲面の識別の容易性とレンズ支持枠の肉厚による強度の確保とをバランス良く満たすためには、曲面の曲率半径は、レンズ支持枠の肉厚の0.7〜0.9倍程度が好ましく、0.8倍程度に設定されることが更に好ましい。
◎また、上記第2実施形態では、カメラモジュール500Aの側面に印刷技術等によって側面配線21が設けられたが、これに限られない。例えば、図58で示されるように、カメラモジュール500Aが、レンズ位置調整層16が側面に凹み部21Hが設けられたレンズ位置調整層16Hに変更されるとともに、該凹み部21Hに導電材料が充填されることで、アクチュエータ層15Hと撮像センサ基板178H(具体的には、撮像素子層18H)とを電気的に接続する配線部が形成されたカメラモジュール500Hとされても良い。なお、このような構成では、レンズ位置調整層16Hは、レンズ支持部を構成する一部分として機能する。
図59は、レンズ位置調整層16Hの構成を示す上面模式図である。レンズ位置調整層16Hは、上記第2実施形態に係るレンズ位置調整層16(図26)に対して、−Y側の側面にZ軸に沿った溝状の凹み部21Hが設けられるとともに該凹み部21Hに導電材料が充填されることで、側面配線が形成されたものである。なお、凹み部21Hは、レンズ位置調整層16Hを製作する際に、樹脂の成型等によって形成されれば良い。
図60は、撮像センサ基板178Hを構成する撮像素子層18Hの構成を示す上面模式図である。撮像素子層18Hは、上記第2実施形態に係る撮像素子層18に対して端子部18a,18bが設けられたものである。
図61は、撮像センサ基板178Hを構成するカバーガラス層17Hの構成を示す上面模式図である。カバーガラス層17Hは、上記第2実施形態に係るカバーガラス層17に対して、貫通電極17a,17bが設けられたものである。
図62は、アクチュエータ層15Hの構成を示す上面図である。アクチュエータ層15Hは、上記第2実施形態に係るアクチュエータ層15に対して、ヒータ層155の−Y側の両端部近傍に、高熱膨張層151、熱伝導層152、低熱膨張層153、および絶縁層154を貫通する貫通電極1551a,1553bが設けられたものである。
そして、ヒータ層155と撮像素子層18Hとは、端子部18a,18bと貫通電極1551a,1553bとが、凹み部21Hに形成された側面配線と、貫通電極17a,17bとを介して電気的に接続される。
このような構成が採用されれば、撮像素子層18Hとアクチュエータ層15Hとの間を電気的に接続することでアクチュエータ層15Hへ電力を供給する配線の配設が容易となるため、カメラモジュールの製造が容易となる。また、リードを用いた電気的に接続する構成が削減され、カメラモジュールの小型化が可能となる。
また、例えば、レンズ位置調整層16Hに相当するレンズ位置調整部材が形成された時点で凹み部21Hに導電材料が充填されることで側面配線が形成される構成が採用されれば、次のような製造工程の採用が可能である。撮像センサ基板178Hがレンズ位置調整層16Hに対して接合される際に、貫通電極17a,17b上に設けられた半田ペーストと、側面配線とが電気的に接続されるような製造工程の採用が可能である。このような製造工程が採用されれば、カメラモジュールの製造が容易となる。
また、ダイシング工程の後に凹み部21Hに対して導電材料が充填されることで、側面配線を形成することも考えられる。
◎また、上記第1および第2実施形態では、治具100,100Aに、複数のレンズ支持枠170や複数の第1枠部材11が配置される複数の凹み部100Hが設けられたが、これに限られない。例えば、各レンズ支持枠170の隣り合う2つの側面の位置や各第1枠部材11の隣り合う2つの側面の位置を規定する突起部が設けられても良い。
図63は、各レンズ支持枠170の隣り合う2つの側面の位置を規定するL字型の複数の突起部100HIが配列された治具100Iの外観を模式的に示す斜視図である。このように、複数のレンズ支持枠170や複数の第1枠部材11が配置される治具は、治具上において複数のレンズ支持枠170や複数の第1枠部材11が配置される位置に凹み部や突起部等を含む段差部を有するように構成されれば良い。換言すれば、複数のレンズ支持枠170や複数の第1枠部材11の側方の外縁部(側面)が配設される位置を規定する段差部が設けられれば良い。
◎また、上記第1および第2実施形態では、治具100,100A上において、所定の間隔が設けられつつ、複数のレンズ支持枠170や複数の第1枠部材11が配置されたが、これに限られない。例えば、複数のレンズ支持枠170や複数の第1枠部材11が、敷き詰められるように相互に密接するように配置されるような構成も考えられる。
◎また、上記第1および第2実施形態では、光学ユニットOU,OUAがダイシング工程を経ることなく、撮像センサ基板シート178U,178UAと接合されたが、これに限られない。例えば、ウエハ状態で、光学ユニットOU,OUAが多数配列されるシートが形成され、該シートがダイシングによって分割されることで、多数の光学ユニットOU,OUAが製作され、更に、該多数の光学ユニットOU,OUAが、治具100上に配置されるとともに、撮像センサ基板シート178U,178UAが接合され、その後、ダイシングによって、多数のカメラモジュールが製造される態様も考えられる。このような製造工程が採用された場合には、多数の光学ユニットOU,OUAが作製された時点で、各光学ユニットOU,OUAの光学特性を検査していれば、その後の製造工程で、光学ユニットOU,OUAの光学特性が劣化する可能性が低減される。このため、カメラモジュールの製造における検査工程の簡略化および歩留まりの向上等が図られる。
◎また、上記第1および第2実施形態では、撮像センサ基板178,178Aの光軸に垂直な断面における外縁のサイズと、光学ユニットOU,OUAの光軸に垂直な断面における外縁のサイズとが略同一であったが、これに限られない。例えば、撮像センサ基板178,178Aの光軸に垂直な断面における外縁のサイズの方が相対的に小さくても良い。例えば、治具上で光学ユニットOU,OUAが密接されるように配列された後に、撮像センサ基板シートが接合され、該撮像センサ基板シートに対してダイシングによる切断が行われることで、切り代分だけ、光学ユニットOU,OUAの光軸に垂直な断面における外縁のサイズと比較して、撮像センサ基板178,178Aの光軸に垂直な断面における外縁のサイズの方が相対的に小さくなる。このような構成が採用されると、例えば、光学ユニットOU,OUAの中空部分の容積の確保が容易となることで、光学ユニットOU,OUAの製造が容易となったり、光学系を駆動させる構成の製造が容易となる。また、光学レンズを支持する部材の肉厚を厚くすることも可能となるため、光学系を駆動させる際に必要な剛性を確保し易くなる利点も有する。
◎なお、上記第1および第2実施形態ならびに各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部の構成を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは言うまでもない。