以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の弁の一実施例を示す縦断面図であり、図1は正面から見た状態、図2は側面から見た状態を示している。弁1は、弁箱2と弁体3とを備える。弁箱2は、内筒4とこれを取り囲む外筒5とを備える。内筒4は、外筒5の中空穴内で、外筒5の軸方向中途部に保持される。内筒4と外筒5とは、典型的には一体形成される。内筒4と外筒5とは、本実施例では、それぞれ円筒状とされ、同心円状に配置される。これにより、内筒4と外筒5との間には、円環状の中空部6が形成される。この中空部6は、内筒4の軸方向一端部(図1では下部)において閉塞(閉塞部7)される一方、内筒4の軸方向他端部(図1では上部)において開口される。
弁箱2には、外筒5の軸方向両端部に、拡径部8,8が形成される。この拡径部8において、弁箱2は軸方向両側へ開口する。各拡径部8は、互いに同一の形状および大きさに形成される。弁箱2には、外筒5の周側壁に、前記中空部6との連通口9が設けられる。本実施例では、外筒5の周側壁に径方向外側へ突出して短管10が設けられ、この短管10の中空穴が外筒5の周側壁を貫通して前記中空部6との連通口9とされる。なお、本実施例では、短管10は、後述するクランクシャフト11の軸線と直角方向に配置され、外筒5と一体形成される。このようにして、弁箱2は、軸方向一端部に第一開口12、軸方向他端部に第二開口13、および周側部に連通口9が形成される。
弁体3は、本実施例では円筒状とされ、軸方向他端部の外周部は先細りの傾斜面14に形成される。弁体3は、内筒4の内側にはめ込まれ、内筒4の軸線に沿って動かされる。本実施例では、内筒4の内周面に周方向等間隔に複数のリブ15,15,…が設けられており、各リブ15は内筒4の径方向内側へ僅かに突出すると共に、内筒4の軸方向へ沿って形成されている。これにより、円筒状の弁体3は、各リブ15の径方向内側への突出先端部に案内されて、内筒4の軸線に沿って移動可能とされる。
弁体3は、クランクシャフト11に設けたクランク16にコネクティングロッド17を介して接続される。これにより、クランクシャフト11の回転に伴い、弁体3は内筒4に沿って動かされる。弁箱2には、径方向(図1では左右方向)に対向した二ヶ所に、軸受穴18,18が貫通して形成されている。各軸受穴18は、前記中空部6の軸方向一端部の閉塞部7(内筒4と外筒5との連結部)と一体に、その真下に形成されている。
弁箱2の軸受穴18には、クランクシャフト11が回転自在にはめ込まれる。この際、弁箱2とクランクシャフト11との隙間は、Oリングなどのパッキン19により封止される。クランクシャフト11は、弁箱2の径方向両側の軸受穴18,18を架け渡すように設けられてもよいが、本実施例ではいずれか一方の軸受穴18にのみ通され、他方の軸受穴18はプラグ20で閉塞される。弁箱2とプラグ20との隙間も、Oリング21などにより封止される。
クランクシャフト11の先端部には、クランク16が設けられる。クランク16は、クランクシャフト11の先端部にキー22を介して一体回転可能にはめ込まれ、クランクシャフト11の先端面にねじ込まれるボルト23で固定される。クランク16は、クランクシャフト11の径方向外側へアーム状に延出し、その延出部にクランクピン24を備える。クランクピン24は、クランクシャフト11と偏心するが、クランクシャフト11の軸線と平行に配置される。クランクピン24には、コネクティングロッド17の基端部が、その軸受穴25をはめ込まれて、抜け止めリング26で保持される。これにより、コネクティングロッド17の基端部は、クランクピン24に回転自在に保持される。
コネクティングロッド17の先端部は、本実施例では球面軸受を介して、弁体3に保持される。具体的には、コネクティングロッド17の先端部は、球状部27に形成されており、弁体3の中空穴の中央部に設けた軸受部28に保持される。この軸受部28は、そこから放射状に延出する複数のアーム29,29,…にて、弁体3の周側壁に保持される。
軸受部28は、図1において、下方へのみ開口する凹部30を備え、この凹部30の上面は円錐台形状に形成されている。球状部27は、その略半分が凹部30に収容された状態で、第一円環状リング31および第二円環状リング32で脱落不能に保持される。第一円環状リング31は、その中央穴が球状部27の直径よりも小径で、二つ割りされて構成される。また、第一円環状リング31の内周面は、球状部を保持するのに適した球帯面または傾斜面に形成されている。一方、第二円環状リング32は、その中央穴が球状部27の直径よりも大径に形成されている。軸受部28の下面には、第一円環状リング31を介して、第二円環状リング32が重ね合わされる。そして、両円環状リング31,32を介して軸受部28に下方からボルト33をねじ込むことで、両リング31,32が軸受部28に保持される。これにより、コネクティングロッド17の球状部27が、弁体3の軸受部28に回転自在に保持される。
弁箱2の拡径部8には、仕切プレート34が設けられる。仕切プレート34は、図1において二点鎖線で示すように、他の弁箱2との接続にも用いられる。すなわち、本実施例では、弁1,1同士は、仕切プレート34を介して互いに接続可能とされる。その際、接続しようとする弁1,1同士は、少なくとも弁箱2の拡径部8が同一構成とされる。典型的には、弁箱2と弁体3とから構成される弁1そのもの、あるいは弁箱2が、同一構成とされる。いずれにしても、弁箱2,2同士は、その軸方向端面を突き合わせられ、両者の拡径部8,8間が仕切プレート34で接続される。
仕切プレート34は、接続しようとする各弁箱2の拡径部8にはめ込まれると共に、弁体3の軸方向他端部を受け入れ可能な円環状の受入れ部35を有する。仕切プレート34の外周部には、軸方向へ離隔した二ヶ所に、それぞれOリングなどのガスケット36,36が設けられる。これにより、弁箱2の拡径部8に仕切プレート34の外周部がはめ込まれた際には、ガスケット36により仕切プレート34と外筒5との隙間が封止される。
弁体3は、クランクシャフト11の回転に伴い、仕切プレート34の受入れ部35と、内筒4の軸方向他端部との隙間を開閉する。すなわち、弁体3は、仕切プレート34の受入れ部35へ突入すると、内筒4内と中空部6との連通を遮断する一方、仕切プレート34の受入れ部35から退避すると、内筒4内と中空部6との連通を許容する。
仕切プレート34の前記受入れ部35の内周部には、円環状のパッキン37が設けられている。これにより、弁体3が受入れ部35に突入した状態では、弁体3の外周部と受入れ部35との隙間が封止される。一方、内筒4の軸方向他端部には、Oリングなどのパッキン38が設けられている。これにより、弁体3の外周部と内筒4との隙間が封止される。
仕切プレート34は、弁箱2,2同士を接続すると共に、弁体3の受入れ部35を有する限り、その構成は適宜に変更される。通常、受入れ部35よりも径方向内側領域と径方向外側領域とのいずれか一方の領域に、弁箱2,2同士の連通穴39を有する。
図3から図5は、それぞれ仕切プレート34を示す縦断面図である。いずれの仕切プレート34も、円筒部40を備え、この円筒部40の外周面に、二つの円環状溝41,41が形成されている。各円環状溝41は、断面矩形状で、仕切プレート34の軸方向へ離隔して平行に配置される。そして、各円環状溝41には、Oリングなどのガスケット36がはめ込まれる。
図3に示される第一仕切プレート42は、円筒部40の内周部に、円環状の隔壁43を有する。図3において、隔壁43は、径方向内側へ行くに従って下方へ傾斜した後、径方向内側へ水平に延出して円環状水平部44を有する。そして、隔壁43の上下面には、それぞれ周方向等間隔にリブ45,45,…が設けられる。各リブ45は、仕切プレート34の径方向へ配置される垂直板状とされ、隔壁43と円筒部40とを連結する。隔壁43の内周部には、円環状のパッキン37が、パッキン押え板46により保持される。パッキン押え板46は、円環状の板材であり、隔壁43の円環状水平部44に重ね合わされ、ボルト47により固定される。これにより、パッキン37は、その外周部が隔壁43とパッキン押え板46とに設けたパッキン溝48に挟まれて保持され、内周部が隔壁43(円環状水平部44)およびパッキン押え板46よりも径方向内側へ僅かに突出する。第一仕切プレート42では、円環状水平部44の内側が、弁体3の受入れ部35とされる。また、円環状の隔壁43の中央穴が、弁箱2,2同士の連通穴39とされる。
図4に示される第二仕切プレート49は、円筒部40の中空穴の中央部に隔壁43を有する。図4において、隔壁43は、円板状で、その外周部は下方へ僅かに延出した後、径方向外側へ水平に延出して円環状水平部44を有する。そして、隔壁43の外周部には、周方向等間隔にリブ45,45,…が設けられる。各リブ45は、仕切プレート34の径方向へ配置される垂直板状とされ、隔壁43と円筒部40とを連結する。これにより、リブ45,45間において、仕切プレート34の上下が連通される。隔壁43の円環状水平部44の内周部には、前記第一仕切プレート42と同様に、パッキン押え板46によりパッキン37が保持される。第二仕切プレート49でも、円環状水平部44の内側が、弁体3の受入れ部35とされる。また、円筒部40と円板状の隔壁43との隙間が、弁箱2,2同士の連通穴39とされる。
図5に示される第三仕切プレート50は、円筒部40の中空穴の中央部に隔壁43を有する。図5において、隔壁43は、円板状で、その外周部は上下へ僅かに延出して、円環状水平部44,44を有する。そして、隔壁43の外周部には、周方向等間隔にリブ45,45、…が設けられる。各リブ45は、仕切プレート34の径方向へ配置される垂直板状とされ、隔壁43と円筒部40とを連結する。これにより、リブ45,45間において、仕切プレート34の上下が連通される。上下の円環状水平部44,44の内周部には、それぞれ前記第一仕切プレート42と同様に、パッキン押え板46によりパッキン37が保持される。第三仕切プレート50では、上下の円環状水平部44の内側が、それぞれ弁体3の受入れ部35とされる。つまり、第三仕切プレート50は、弁箱2の軸方向他端部(第二開口13)同士を突き合わせて接続する際に用いられ、各弁箱2に設けられた弁体3の軸方向他端部の受入れ部35が形成されている。また、第三仕切プレート50では、円筒部40と円板状の隔壁43との隙間が、弁箱2,2同士の連通穴39とされる。
ところで、図1では、上下に三つの弁箱2,2,2が、それぞれ仕切プレート34,34を介して接続されている。その際、中央の弁箱2と上方の弁箱2とは、第二仕切プレート49を介して接続されており、中央の弁箱2と下方の弁箱2とは、第一仕切プレート42を介して接続させている。従って、中央の弁箱2と上方の弁箱2とは、受入れ部35の径方向外側において連通され、中央の弁箱2と下方の弁箱2とは、受入れ部35の径方向内側において連通される。但し、いずれの弁箱2,2間をいずれの仕切プレート34(42,49,50)で接続するかは、処理フローに応じて適宜に設定される。つまり、いずれの弁箱2,2間も、所望の仕切プレート34にて接続可能とされる。
図6は、弁箱2への仕切プレート34の取付状態を示す斜視図である。ここでは、第一仕切プレート42を取り付けた状態を示しているが、その他の仕切プレート49,50の場合も同様である。この図に示すように、仕切プレート34の軸方向中央部の外周部には、径方向外側へ延出して略矩形板状の凸部51が設けられている。一方、弁箱2の軸方向両端部には、略矩形状の凹部52が切り欠かれている。
従って、凹部52に凸部51を係合しつつ、弁箱2に仕切プレート34を取り付けることができる。仕切プレート34を介して弁箱2,2同士を接続する際には、各弁箱2の凹部52に共通の仕切プレート34の凸部51が係合される。弁箱2の周方向の所定位置に凹部52を形成しておくことで、連通口9の向きを揃えて弁箱2,2同士を接続することができる。弁箱2の周方向に複数の凹部52を形成しておくことで、連通口9の向きを弁箱2により所望に変えることができる。たとえば、弁箱2の径方向に対向する二ヶ所に、それぞれ凹部52,52を設けておけば、連通口9の向きを所望により180度変えることができる。
図1において、クランクシャフト11を一方向へ回転させると、コネクティングロッド17を介して、弁体3が上下に移動可能とされる。本実施例では、図1において、クランクピン24が最も上方へ配置された状態が、弁1の閉鎖状態とされる。つまり、その状態では、仕切プレート34の受入れ部35と内筒4の上端部との隙間が、弁体3の周側壁で閉じられる。一方、図1において、クランクピン24が最も下方へ配置された状態が、弁1の開放状態とされる。つまり、その状態では、仕切プレート34の受入れ部35と内筒4の上端部との隙間が開けられる。本実施例では、弁体3は、このような二位置でのみ停止され、内筒4内と中空部6との連通を切り替える。
クランクシャフト11は、カム53などを用いて自動で、または手動で回転される。クランクシャフト11を手動で回転させるには、クランクシャフト11の基端部にレバーなどの操作部(図示省略)を設ければよい。一方、自動で回転させる場合について説明すると、図1では、クランクシャフト11の基端部に設けた突出バー54,54,…が、カム53に設けた突起55で回転される。具体的には、クランクシャフト11の基端部には、その軸線と同心円上に90度ごとに突出バー54,54,…が設けられる。各突出バー54は、同一の形状および大きさとされ、クランクシャフト11の基端側へ突出する。一方、弁箱2の外側には、弁箱2と平行にカム軸56が設けられ、そのカム軸56にカム53が固定される。カム53は、カム軸56と同心の円筒状とされ、上端部に径方向外側へのフランジ57を有する。そして、カム53には、周方向の所望箇所に、フランジ57から下方へ突起55が設けられる。
従って、モータ(図示省略)などを用いてカム軸56を回転させれば、カム53の突起55により突出バー54が押されて、クランクシャフト11が回転される。突起55の有無および形成位置に応じて、弁体3に所望の開閉動作を行わせることができる。弁体3を開放状態または閉鎖状態で維持する際には、クランクシャフト11を回転させないように、その間だけ突起55を設置しなければよい。この際、図7に示すように、隣接する突出バー54,54間の隙間に、カム53の周側面から突出する平板部58が挟まれることで、クランクシャフト11の回転を規制するのが好ましい。なお、図7は、図1におけるVII−VII断面図である。
ところで、図1において、二点鎖線で示すように、複数のカム53,53,…を共通のカム軸56に設けて、各カム53により複数の弁1を開閉させてもよい。しかも、一つの弁列だけでなく、複数の弁列にも対応可能である。すなわち、図1では、複数の弁1,1,…が上下に接続された弁列が一つだけ示されているが、それ以外の弁列を設け、両弁列を共通のカム軸56で作動させてもよい。図1における二点鎖線で示されたカム53は、そのために存在する。
本実施例の弁1によれば、弁箱2の周側壁を通されるクランクシャフト11により、コネクティングロッド17を介して弁体3が動かされる。これにより、外筒5の軸方向他端部に設けられる仕切プレート34と、内筒4の軸方向他端部との隙間が、弁体3の周側壁で開閉される。弁箱2の第一開口12、第二開口13、および周側部の連通口9の内、いずれか二ヶ所以上を用いて、流路の開閉または切換えが可能となる。
また、仕切プレート34を介して弁箱2,2同士を接続して、複数の弁1,1を連結することができる。この際、弁1,1間の配管が不要であるから、簡易でコンパクトに連結することができる。また、仕切プレート34と外筒5との隙間、弁体3と仕切プレート34との隙間、および弁体3と内筒4との隙間が、それぞれに設けたガスケット36またはパッキン37,38により封止される。この際、これらシール部材には、弁1の軸方向ではなく径方向への押圧力が主として作用するので、流体圧力が高くても、容易で確実に封止を図ることができる。
また、第一仕切プレート42、第二仕切プレート49および第三仕切プレート50などの内、所望の仕切プレートを用いて、隣接する弁箱2,2間を接続することで、多様な処理フローに対応することができる。
また、コネクティングロッド17と弁体3とは、球面軸受により接続される。これにより、シールリング(内筒4のパッキン38)に対する弁体3の摺動抵抗が低減され、弁体3を駆動するためのモータを小型化できる。すなわち、一般的なスライダクランク機構では、ピストンはピンでコネクティングロッドと連結される。その場合、ピストンがシールリングを摺動する際、周方向の位置により摩擦抵抗が異なるため、ピストンは周方向へねじれようとする。しかし、ピストンとコネクティングロッドとはピンで連結されているため、ピストンは周方向へ回転できず、ピストン摺動時の抵抗が大きくなる。ところが、本実施例の弁1では、ピストンとしての弁体3は、球面軸受より周方向へ回転し得るので、そのような不都合が回避される。
また、本実施例の弁1では、クランクシャフト11やクランクピン24は、片持ちで支持される。従って、コネクティングロッド17は、クランクピン24への接続部を二つ割りすることなく取り付けることができる。具体的には、コネクティングロッド17の軸受穴25をクランクピン24にはめ込んで取り付けるだけでよい。
また、本実施例の弁1では、ピストンとしての弁体3は、上死点および下死点でのみ停止する。これにより、弁体3が停止状態から動き始める際のトルクの低減を図ることができる。また、上死点および下死点を停止位置とすれば、クランク16の停止位置が多少ずれても、弁体3の停止位置が大きく狂うのが防止される。
さらに、弁体3を駆動させるためのカム53について言えば、従来は、通常、カムフェースにはサインカーブが用いられている。この場合、クランク16を180度動かして弁1を開閉しようとすれば、圧力角が45度以上となり、回転の伝達ができない。これに対し、本実施例の弁1では、クランクシャフト11の四つの突出バー54,54,…を、カム53の二つの突起55,55で90度ずつ回転させることで、クランク16を180度動かして弁1を開閉することも容易となる。
図8は、前記実施例の弁1の変形例の使用状態を示す縦断面図である。この弁1は、基本的には前記実施例と同様であるが、構造の一部および形状において前記実施例と異なる。特に、エゼクタ機能を有する点で、前記実施例と異なる。ここでは、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
図8において、弁1は、図1とは上下を反転されて配置されている。すなわち、弁箱2は、第一開口12を上方へ向けて配置し、第二開口13を下方へ向けて配置される。弁箱2は、前記実施例と比べて上下に細長く形成されており、その周側壁には、内筒4と外筒5との閉塞部7より下方位置に連通口9が設けられるだけでなく、内筒4と外筒5との閉塞部7より上方位置にも所望により開口59が設けられる。
第二開口13には、前記実施例と同様に、仕切プレート34が設けられる。この仕切プレート34は、図3に示される第一仕切プレート42と同様に、中央部に連通穴39を有する。この連通穴39は、下方から上方へ向けて順に、第一穴60、第二穴61および第三穴62に分けられる。第一穴60は、ねじ穴に形成されている。第二穴61は、第一穴60および第三穴62よりも小径に形成されている。第三穴62は、弁体3の受入れ部35とされ、前記第一仕切プレート42と同様に、パッキン37がパッキン押え板46により取り付けられる。
仕切プレート34の連通穴39には、第一穴60の上部から第二穴61と対応した位置に、ノズル63が設けられる。ノズル63は、下方に配置される基端側が段付き円柱部64とされる一方、上方に配置される先端部が先細りの円錐部65とされ、その円錐部65の先端部にはさらに先端側へ延出して細い円管部66が形成されている。ノズル63には、その軸線に沿って、貫通穴67が形成されている。この貫通穴67は、上部が前記円管部66の中空穴とされ、その下部は下方へ行くに従って拡径する円錐穴68とされている。
このような構成のノズル63は、段付き円柱部64の内、大径部が第一穴60の上部に配置され、小径部が第二穴61に配置されて、仕切プレート34に取り付けられる。その際、その小径部と第二穴61との隙間は、Oリングで封止される。また、仕切プレート34へのノズル63の取付状態では、ノズル63の円錐部65および円管部66が、第三穴62へ突出して配置される。
図8の弁1も、図1の弁1と同様に、クランクシャフト11のクランク16には、コネクティングロッド17を介して、円筒状の弁体3が連結される。この際、円筒状の弁体3の上端面に軸受部28が設けられ、この軸受部28にコネクティングロッド17の球状部27が保持される。これにより円筒状の弁体3の上部開口が閉塞されてしまうが、その代わりに、円筒状の弁体3の上部の周側壁には、周方向複数箇所に切欠き69,69,…が形成されている。弁体3は、切欠き69が形成されない下部の周側壁が、内筒4のパッキン38と接触して動かされる。
円筒状の弁体3の中空穴の下部には、ディフューザ70が設けられている。このディフューザ70は、その軸線に沿って貫通穴71が形成されている。この貫通穴71は、下端部が丸穴とされる一方、上部が上方へ行くに従って拡径した円錐穴とされている。
弁1の閉鎖状態では、図8に示すように、弁体3は最も下方に配置され、弁体3の周側壁にて、仕切プレート34と内筒4との隙間が閉塞される。この状態では、ノズル63の先端部(円管部66)は、ディフューザ70の貫通穴71の丸穴部に突入される。一方、弁1の開放状態では、弁体3は最も上方に配置され、仕切プレート34と内筒4との隙間が開放される(図20)。この状態では、ノズル63の先端部とディフューザ70とが適正距離だけ離隔して、エゼクタが構成される。従って、ノズル63からディフューザ70へ流体を噴出すると、連通口9から流体が吸引される。そして、ノズル63から噴出された流体、および連通口9から吸引された流体は、弁箱2の上部に設けられた二つの開口12,59から排出される。
ところで、仕切プレート34の第一穴60には、図8に示すように、ノズル63の手前にオリフィス72を設けてもよい。ノズル63へ供給する流体の圧力が異なる場合、ノズル63から噴出される流体の流速が異なり、連通口9から吸引される流体の流量が異なることになる。そのような不都合を回避するために、所望によりオリフィス72を入れて、ノズル63へ供給する流体の流量が絞られる。
次に、前記弁を用いた流体処理装置について説明する。流体処理装置は、濾過器などでもよいが、ここではイオン交換樹脂を用いた軟水器とされる。
図9から図14は、本実施例の軟水器に用いられる流路制御弁73の一例を示す概略図であり、図9は平面図、図10は側面図、図11はXI−XI断面図、図12はXII−XII断面図、図13はXIII−XIII断面図、図14はXIV−XIV断面図である。なお、これら各図における弁の開閉状態は、後述する通水時を示している。
図9において、前列右側には主弁列(第一弁列)74が配置され、その後方には主補修弁列75が配置されている。また、前列左側には増設弁列(第二弁列)76が配置され、その後方には増設補修弁列77が配置される。さらに、前列中央(主弁列74と増設弁列76との間)には、主弁列74の各弁79〜84と、増設弁列76の各弁97〜99とを開閉するためのカム列78が設けられている。主弁列74の各弁79〜84と、増設弁列76の各弁97〜99とは、カム列78の各カム53により自動的に開閉されるが、主補修弁列75の各弁90〜92と、増設補修弁列77の各弁102〜104とは、手動により開閉される。
主弁列74は、図11および図12に示すように、上方から順に、逆洗弁79、第一通水弁80、バイパス弁81、第二通水弁82、再生弁83および水洗弁84を備える。また、逆洗弁79の上部には、上方端部材85が設けられ、水洗弁84の下部には、下方端部材86が設けられる。
各端部材85,86は、軸線を上下方向へ沿って配置される円管状とされ、軸方向一端部にフランジ87が形成される一方、軸方向他端部は仕切プレート34を介して弁箱2と接続可能に構成される。すなわち、各端部材85,86の軸方向他端部は、弁箱2の軸方向両端部に設けた前記拡径部8と同様の構成とされている。また、各端部材85,86の周側部には、側部開口88が設けられている。
主弁列74を構成する各弁79〜84は、いずれも図1と同様の構成とされ、軸線を上下方向へ沿って配置される。そして、主弁列74を構成する各弁79〜84は、適宜上下を反転させられつつ、前記いずれかの仕切プレート34を介して、上下に接続される。その際、下方端部材86の上部に、順次、仕切プレート34を介して弁1を積み重ねた後、上方端部材85を積み重ねればよい。そして、図10に示されるように、上下の端部材85,86間に、通しボルト89,89,…を架け渡して、上下方向に位置決めすればよい。一方、各弁箱2の周方向の位置決めは、前述したように、仕切プレート34の凸部51と弁箱2の凹部52との係合によりなされる(図6)。このような弁1,1,…の接続方法は、主弁列74に限らず、その他の弁列においても同様である。
図10および図12において、第一通水弁80、バイパス弁81および第二通水弁82は、それぞれの連通口9を左側へ向けて配置されるが、逆洗弁79、再生弁83および水洗弁84は、それぞれの連通口9を右側へ向けて配置される。但し、バイパス弁81の連通口は、閉塞されて使用される。
水洗弁84、再生弁83、第二通水弁82およびバイパス弁81は、それぞれ、下方に第一開口12(図1)を配置する一方、上方に第二開口13(図1)を配置して用いられる。一方、第一通水弁80および逆洗弁79は、それぞれ、下方に第二開口13を配置する一方、上方に第一開口12を配置して用いられる。
下方端部材86と水洗弁84との間、水洗弁84と再生弁83との間、再生弁83と第二通水弁82との間、第一通水弁80と逆洗弁79との間、逆洗弁79と上方端部材85との間は、それぞれ第一仕切プレート42(図3)を介して接続される。この際、下方端部材86と水洗弁84との間、および逆洗弁79と上方端部材85との間に設けられる第一仕切プレート42には、弁体3の受入れ部35にパッキン37を設ける必要はない。一方、第二通水弁82とバイパス弁81との間は、第二仕切プレート49(図4)を介して接続される。さらに、バイパス弁81と第一通水弁80との間は、第三仕切プレート50(図5)を介して接続される。第三仕切プレート50には、弁体3の受入れ部35が隔壁43の上下に設けられるが、下方の受入れ部35にはバイパス弁81の弁体3がはめ込み可能とされ、上方の受入れ部35には第一通水弁80の弁体3がはめ込み可能とされる。
主補修弁列75は、図12および図14に示すように、上方から順に、入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92を備える。また、入口仕切弁90の上部には、上方端部材93が設けられ、出口仕切弁92の下部には、下方端部材94が設けられる。主補修弁列75の上方端部材93と下方端部材94とは、主弁列74の上方端部材85と下方端部材86と同様の構成とされる。
主補修弁列75を構成する各弁90〜92は、いずれも図1と同様の構成とされ、軸線を上下方向へ沿って配置される。そして、主補修弁列75を構成する各弁90〜92も、主弁列74と同様に、所望の仕切プレート34を介して、上下に積み重ねられた状態で、通しボルト89により固定される。図12において、入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92は、それぞれの連通口9を右側へ向けて配置される。但し、手動バイパス弁91の連通口9は、閉塞されて使用される。
入口仕切弁90の連通口9は、第一通水弁80の連通口9と接続される。一方、出口仕切弁92の連通口9は、第二通水弁82の連通口9と接続される。連通口9と連通口9とは、接続筒95を介して接続される。接続筒95は、円筒状であり、軸方向両端部が各弁の連通口9,9にはめ込まれる。接続筒95の外周部には、接続筒95の軸方向へ離間して、二つのOリングが設けられている。このOリングにより、接続筒95の外周面と各連通口9の内周面との隙間が封止される。そして、各連通口9の開口部に設けたフランジ同士が突き合わされ、その外周部が半割りリング96で保持されることで、フランジ同士が接続される。
入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92は、それぞれ、下方に第二開口13(図1)を配置する一方、上方に第一開口12(図1)を配置して用いられる。下方端部材94と出口仕切弁92との間、手動バイパス弁91と入口仕切弁90との間、入口仕切弁90と上方端部材93との間は、それぞれ第一仕切プレート42(図3)を介して接続される。この際、下方端部材94と出口仕切弁92との間、および入口仕切弁90と上方端部材93との間に設けられる第一仕切プレート42には、弁体3の受入れ部35にパッキン37を設ける必要はない。一方、出口仕切弁92と手動バイパス弁91との間は、第二仕切プレート49(図4)を介して接続される。
増設弁列76は、図11に示すように、上方から順に、増設第一通水弁97、増設バイパス弁98および増設第二通水弁99を備える。また、増設第一通水弁97の上部には、上方端部材100が設けられ、増設第二通水弁99の下部には、下方端部材101が設けられる。増設弁列76の上方端部材100と下方端部材101とは、主弁列74の上方端部材85と下方端部材86と同様の構成とされる。
増設弁列76を構成する増設第一通水弁97、増設バイパス弁98および増設第二通水弁99は、それぞれ、主弁列74を構成する第一通水弁80、バイパス弁81および第二通水弁82と同様の構成とされる。この際、隣接する弁間に配置される仕切プレート34の種類も同一とされる。このように、増設弁列76は、主弁列74の第一通水弁80、バイパス弁81および第二通水弁82にて構成される弁列と同一の構成とされ、その上部に上方端部材100が設けられ、下部に下方端部材101が設けられる。
増設補修弁列77は、図14に示すように、上方から順に、増設入口仕切弁102、増設手動バイパス弁103および増設出口仕切弁104を備える。また、増設入口仕切弁102の上部には、上方端部材105が設けられ、増設出口仕切弁104の下部には、下方端部材106が設けられる。増設補修弁列77の上方端部材105と下方端部材106とは、主弁列74の上方端部材85と下方端部材86と同様の構成とされる。
増設補修弁列77を構成する増設入口仕切弁102、増設手動バイパス弁103および増設出口仕切弁104は、それぞれ、主補修弁列75を構成する入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92と同様の構成とされる。この際、隣接する弁間に配置される仕切プレート34の種類も同一とされる。このように、増設補修弁列77は、主補修弁列75の入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92にて構成される弁列と同一の構成とされ、その上部に上方端部材105が設けられ、下部に下方端部材106が設けられる。
増設弁列76の増設第一通水弁97、増設バイパス弁98および増設第二通水弁99と、増設補修弁列77の増設入口仕切弁102、増設手動バイパス弁103および増設出口仕切弁104との関係は、主弁列74の第一通水弁80、バイパス弁81および第二通水弁82と、主補修弁列75の入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92との関係と同様である。すなわち、増設第一通水弁97と増設入口仕切弁102とは、連通口9,9同士が接続される。また、増設第二通水弁99と増設出口仕切弁104とは、連通口9,9同士が接続される。さらに、増設バイパス弁98と増設手動バイパス弁103とは、連通口9,9がそれぞれ閉塞される。
図13に示すように、カム列78の手前には、さらに再生排水弁107と塩水弁108とが設けられる。この際、再生排水弁107と塩水弁108とは、上下に離隔して独立に設けられる。再生排水弁107は、図1と同様の構成とされ、第一開口12を下方へ向けて配置し、第二開口13を上方へ向けて配置する。但し、第一開口12は閉塞されて使用される。一方、塩水弁108は、図8と同一の構成とされている。すなわち、図13の塩水弁の拡大図が、図8である。
主弁列74の各弁79〜84、増設弁列76の各弁97〜99、ならびに再生排水弁107および塩水弁108は、それぞれカム列78に設けたカム53,53,…により、開閉を制御される。すなわち、図11および図13に示すように、カム列78のカム軸56には、上下に離隔して複数のカム53,53,…が設けられており、それぞれのカム53が、主弁列74の各弁79〜84、増設弁列76の各弁97〜99、再生排水弁107および塩水弁108のクランクシャフト11の回転を操作する。前述したように、各カム53の外周部への突起55または平板部58の形成を調整することで、各弁を所望に開閉することができる。しかも、本実施例では、一つの共通のカム軸56により、多数の弁を開閉することができる。
また、第一通水弁80と増設第一通水弁97、バイパス弁81と増設バイパス弁98、および第二通水弁82と増設第二通水弁99は、それぞれ同様の動作をさせるので、同一構成のカム53を用いて、カム軸56への周方向取付位置を変えるだけでよい。たとえば、図示例の場合、増設弁列76の増設第一通水弁97のカム53は、主弁列74の第一通水弁80のカム53と同一構成とされるが、カム軸56への取付位置を周方向に180度ずらして、カム軸56に取り付けられる。
ところで、カム列78の上部には、カム軸56を回転させるためのモータ(図示省略)が設けられている。このモータの回転駆動力は、適宜の歯車列109を介してカム軸56に伝達される。これにより、カム軸56が回転され、各カム53が各弁のクランクシャフト11を回転させて、各弁を開閉する。
一方、主補修弁列75の各弁90〜92、および増設補修弁列77の各弁102〜104は、手動により開閉操作される。ここでは、通常、図14に示すように、主補修弁列75は、入口仕切弁90と出口仕切弁92とが開いた状態に維持される一方、手動バイパス弁91が閉じた状態に維持されて使用される。これと同様に、増設補修弁列77は、増設入口仕切弁102と増設出口仕切弁104とが開いた状態に維持される一方、増設手動バイパス弁103が閉じた状態に維持されて使用される。
図15から図26は、それぞれ本実施例の軟水器110の運転工程を順に示す概略図である。図15、図17、図19、図21、図23および図25は、軟水器110全体の水の流れを示しており、図16、図18、図20、図22、図24および図26は、上述した流路制御弁73を構成する各弁の開閉状態と、流路制御弁73内の水の流れとを示している。なお、図15、図17、図19、図21、図23および図25において、各弁は、白色が開放状態を示しており、黒色が閉鎖状態を示している。
本実施例の軟水器110は、通水工程、逆洗工程、再生工程、押出工程、水洗工程および補水工程を順次に実行する。これら各工程は、前述したとおり、主弁列74の各弁79〜84、増設弁列76の各弁97〜99、ならびに再生排水弁107および塩水弁108が、それぞれカム列78に設けたカム53,53,…により開閉を制御されて行われる。
まず、図15および図16に基づき、軟水器110の全体構成について説明する。本実施例の軟水器110は、図16に示す流路制御弁73の他、図15に示す樹脂筒111および塩水タンク112を備える。流路制御弁73は、図9から図14に基づき説明したように、主弁列74および主補修弁列75の他、再生排水弁107および塩水弁108などを備えて構成される。樹脂筒111は、図15に示すように、イオン交換樹脂113が充填されると共に、上下および中央部に出入口114〜116を有する。塩水タンク112は、樹脂筒111のイオン交換樹脂113の再生用塩水が貯留される。
主弁列74の上方端部材85は、上部開口が樹脂筒111の上部114と接続され、側部開口88が塩水弁108の第一開口(上部の第一開口)12と接続される。逆洗弁79の連通口9は、排水路(排水口)117に接続される。再生弁83の連通口9は、塩水弁108の側部の開口(側部の第一開口)59に接続される。水洗弁84の連通口9は、排水路(排水口)117に接続される。主弁列74の下方端部材86は、下部開口が樹脂筒111の下部115と接続され、側部開口88が閉塞される。
主補修弁列75の上方端部材93は、上部開口が給水路(原水供給口)119に接続され、側部開口88が塩水弁108の第二開口13に接続される。主補修弁列75の下方端部材94は、下部開口が送水路(軟水または原水の出口)120に接続され、側部開口88が閉塞される。
増設弁列76の上方端部材100は、上部開口が樹脂筒111の上部114と接続され、側部開口88が閉塞される。増設弁列76の下方端部材101は、下部開口が樹脂筒111の下部115と接続され、側部開口88が閉塞される。
増設補修弁列77の上方端部材105は、上部開口が給水路(原水供給口)119に接続され、側部開口88が閉塞される。増設補修弁列77の下方端部材106は、下部開口が送水路(軟水または原水の出口)120に接続され、側部開口88が閉塞される。
再生排水弁107は、下部の第一開口12が閉塞され、上部の第二開口13が樹脂筒111の中央部116と接続され、側部の連通口9が排水路(排水口)117に接続される。
さらに、塩水弁108は、下部の第二開口13が主補修弁列75の上方端部材93の側部開口88に接続され、上部の第一開口12が主弁列74の上方端部材85の側部開口88に接続され、上方側部の開口59が主弁列74の再生弁83の連通口9に接続され、連通口9が塩水タンク112に接続される。なお、図15に示すように、塩水タンクアセンブリ121は、塩水タンク112と流量計122とを備える。この流量計122は、塩水タンク112と塩水弁108とを接続する塩水路123に設けられ、そこを通過する水量を計測する。
ところで、増設弁列76の増設第一通水弁97、増設バイパス弁98および増設第二通水弁99は、それぞれ、主弁列74の第一通水弁80、バイパス弁81および第二通水弁82と同様に開閉される。また、増設補修弁列77の増設入口仕切弁102、増設手動バイパス弁103および増設出口仕切弁104は、それぞれ、主補修弁列75の入口仕切弁90、手動バイパス弁91および出口仕切弁92と同様に開閉される。そこで、以下においては、増設弁列76および増設補修弁列77についての説明は省略する。また、軟水器110の正常動作中は、前述したように、主補修弁列75は、入口仕切弁90と出口仕切弁92とが開いた状態に維持される一方、手動バイパス弁91が閉じた状態に維持されて使用される。
図15および図16は、通水工程を示している。通水工程は、給水路119からの原水(たとえば水道水)を樹脂筒111内のイオン交換樹脂113に通すことで、原水中に含まれる硬度分を除去し、軟水として送水路120から導出する工程である。
通水工程では、第一通水弁80および第二通水弁82が開かれ、逆洗弁79、バイパス弁81、再生弁83、水洗弁84、再生排水弁107および塩水弁108が閉じた状態とされる。また、前述したように、軟水器110の運転中、入口仕切弁90および出口仕切弁92は開かれ、手動バイパス弁91は閉じた状態に維持される。従って、通水工程では、給水路119からの原水は、入口仕切弁90、第一通水弁80および逆洗弁79を通り、樹脂筒111の上部114から樹脂筒111内へ導入される。原水は、樹脂筒111内を上方から下方へ流され、イオン交換樹脂113を通ることで硬度分を除去され、軟水として樹脂筒111の下部115から導出される。樹脂筒111の下部からの軟水は、水洗弁84、再生弁83および第二通水弁82を介して、出口仕切弁92の連通口9を通り、送水路120へ導出される。
このようにして、通水工程では、原水がイオン交換樹脂113に通され、原水中の硬度分がイオン交換樹脂113に吸着され除去されることで、原水を軟化させることができる。但し、このような硬度分の除去には限界があるので、所望により、イオン交換樹脂113に塩水を通して、交換能力の回復(再生)を図る必要がある。ここでは、設定時間だけ通水工程が行われると、以下に述べる各工程を実行して、イオン交換樹脂113の再生が図られる。
図17および図18は、逆洗工程を示している。逆洗工程は、イオン交換樹脂113の再生に先立ち、樹脂筒111内に通水工程とは逆方向へ原水を流して、イオン交換樹脂113の充填をほぐすと共に、イオン交換樹脂113に堆積した懸濁物質などを樹脂筒111外へ洗い流す工程である。
逆洗工程では、逆洗弁79、バイパス弁81および第二通水弁82が開かれ、第一通水弁80、再生弁83、水洗弁84、再生排水弁107および塩水弁108が閉じた状態とされる。従って、逆洗工程では、給水路119からの原水は、入口仕切弁90、バイパス弁81、第二通水弁82、再生弁83、水洗弁84を通り、樹脂筒111の下部115から樹脂筒111内へ導入される。原水は、樹脂筒111内を下方から上方へ流され、イオン交換樹脂113をほぐしながら、樹脂筒111の上部114から導出される。樹脂筒111の上部114からの排水は、逆洗弁79の連通口9から排水路117へ導出される。設定時間だけ逆洗工程を実行した後、次工程へ移行する。なお、逆洗工程においてイオン交換樹脂113をほぐすことで、次工程においてイオン交換樹脂113の再生を効果的に行うことができる。
ところで、補水工程以外の各工程(逆洗工程、再生工程、押出工程、水洗工程および補水工程)では、給水路119からの原水は、入口仕切弁90およびバイパス弁81を通過した後、第二通水弁82の連通口9を通り、主補修弁列75の下方端部材94を介して、送水路120へ導出される。このようにして得られるバイパス給水は、他の装置で利用可能である。たとえば、本実施例の軟水器110を二機用いて、一機において再生作業(逆洗工程〜補水工程)中、他機において、前記一機からのバイパス給水を用いて通水作業(通水工程)を行うことができる。
図19および図20は、再生工程を示している。再生工程は、イオン交換樹脂113に塩水(塩化ナトリウム水溶液)を通して、イオン交換能力の回復を図る工程である。
再生工程では、バイパス弁81、再生弁83、再生排水弁107および塩水弁108が開かれ、逆洗弁79、第一通水弁80、第二通水弁82および水洗弁84が閉じた状態とされる。再生工程では、給水路119からの原水は、主補修弁列75の上方端部材93の側部開口88から、塩水弁108のノズル63へ供給される。これにより、塩水弁108において、ノズル63からディフューザ70へ水が吐出され、塩水タンク112内の塩水が塩水路123を介して塩水弁108へ吸引される。
塩水弁108へ引き込まれた塩水は、原水との混合水として、主弁列74の上方端部材85を介して樹脂筒111の上部114へ導入されると共に、再生弁83、水洗弁84および下方端部材86を介して樹脂筒111の下部115へ導入される。塩水弁108の各第一開口12,59に設けたオリフィス125,125により、塩水は均等に分配されて樹脂筒111の上部114と下部115へ供給される。
このようにして、樹脂筒111の上下から樹脂筒111内へ導入された塩水は、樹脂筒111の中央部116から導出され、再生排水弁107を介して排水路117へ導出される。樹脂筒111内のイオン交換樹脂113に塩水が通されることで、イオン交換樹脂113の再生が図られる。なお、塩水タンク112から塩水弁108へ導入される塩水の流量は、塩水路123に設けた流量計122により把握可能である。
図21および図22は、押出工程を示している。押出工程は、再生工程終了後に樹脂筒111内に残る塩水を排出する工程である。前記再生工程において、設定時間だけ塩水弁108が開かれ、イオン交換樹脂113に塩水を流した後、塩水弁108が閉じられて、押出工程に移行される。
押出工程では、バイパス弁81、再生弁83および再生排水弁107が開かれ、逆洗弁79、第一通水弁80、第二通水弁82、水洗弁84および塩水弁108が閉じた状態とされる。押出工程では、給水路119からの原水は、主補修弁列75の上方端部材93の側部開口88から、塩水弁108のノズル63へ供給される。但し、塩水弁108の側部に設けた連通口9は閉じられているので、塩水が導入されることはない。従って、塩水弁108の弁体3を通過した水は、主弁列74の上方端部材85を介して樹脂筒111の上部114へ導入されると共に、再生弁83、水洗弁84および下方端部材86を介して樹脂筒111の下部115へ導入される。このようにして、樹脂筒111の上下から樹脂筒111内へ導入された水は、樹脂筒111の中央部116から導出され、再生排水弁107を介して排水路117へ導出される。このようにして、再生工程において使用した塩水の排出が図られる。設定時間だけ押出工程を実行した後、次工程へ移行する。
図23および図24は、水洗工程を示している。水洗工程は、押出工程よりも流速を上げて、樹脂筒111内をさらに水洗いする工程である。原水よりも比重の大きい塩水は、樹脂筒111の底部に停留しているので、水洗工程において原水を樹脂筒111の上方から下方へ流すことで、樹脂筒111内は効果的に水洗いされる。
水洗工程では、第一通水弁80、バイパス弁81および水洗弁84が開かれ、逆洗弁79、第二通水弁82、再生弁83、再生排水弁107および塩水弁108が閉じた状態とされる。水洗工程では、給水路119からの原水は、入口仕切弁90、第一通水弁80および逆洗弁79を通り、樹脂筒111の上部114から樹脂筒111内へ導入される。原水は、樹脂筒111内を上方から下方へ流され、イオン交換樹脂113を通り、樹脂筒111の下部115から導出される。樹脂筒111の下部115からの水は、水洗弁84の連通口9から排水路117へ導出される。このようにして、再生工程において使用した塩水のさらなる排出が図られる。設定時間だけ水洗工程を実行した後、次工程へ移行する。
図25および図26は、補水工程を示している。補水工程は、次回の再生工程に備えて、塩水タンク112へ水を供給する工程である。
補水工程では、バイパス弁81および塩水弁108が開かれ、逆洗弁79、第一通水弁80、第二通水弁82、再生弁83、水洗弁84および再生排水弁107が閉じた状態とされる。補水工程では、給水路119からの原水は、主補修弁列75の上方端部材93の側部開口88から、塩水弁108を介して塩水路123を通り、塩水タンク112へ供給される。このような補水工程が設定時間だけ行われることで、塩水タンクへは所望量の水が供給される。そして、このような一連の再生作業の後には、再び通水工程へ戻って、原水の軟化処理を行うことができる。
本発明の弁とこれを用いた流体処理装置は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
図27は、前記実施例の弁箱2の変形例を示す概略縦断面図であり、図28は、その左側面図である。前記実施例では、弁箱2の連通口9は、単なる円形状としたが、本変形例では、楕円形としている。その理由は、次のとおりである。すなわち、弁箱2内を通される流体の圧力により、弁箱2の周側壁は径方向外側への圧力を受ける。従って、円筒状の弁箱2の周側壁に設ける連通口9が円形の場合、連通口9は周方向両側へ広がろうとする。これに対し、本変形例の連通口9は、弁箱2の周方向へ長軸を配置した楕円形状とされるので、弁箱2を合成樹脂により形成しても、その変形が抑制される。しかも、楕円形状の連通口9の短軸方向両側に配置される上下辺部124,124は、厚肉にされて補強されているので、耐圧性に優れる。
図29および図30は、前記実施例の弁1の変形例を示す概略縦断面図であり、図29は弁1の閉鎖状態(つまり止水状態)、図30は弁1の開放状態(つまり通水状態)を示している。なお、これらの図において、弁体3の駆動機構は、省略して示している。また、本変形例の弁1は、基本的には前記実施例の弁1と同様の構成である。従って、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
本変形例の弁1も、前記実施例と同様に、円筒状の弁体3が、仕切プレート34の受入れ部35と、内筒4の軸方向端部(パッキン38が設けられた側の端部)との隙間を開閉する。すなわち、弁体3は、仕切プレート34の受入れ部35へ突入すると、内筒4内と中空部6との連通を遮断する一方、仕切プレート34の受入れ部35から退避すると、内筒4内と中空部6との連通を許容する。
弁1の閉鎖状態では、弁体3と仕切プレート34との隙間がパッキン37で封止されると共に、弁体3と内筒4との隙間がパッキン38で封止される。このような閉鎖状態におけるパッキン37,38による封止部(パッキン37,38が接触される箇所付近)を除いて、弁体3には、軸方向中央部の外周面に円環状の凹溝126が形成される。一方、弁箱2の内筒4にも、パッキン38が設置される箇所を除いて、内周部がやや大径穴127に形成されて、弁体3の外周面と内筒4の内周面との間に空間が形成される。
このような構成であるから、図30に示すように、弁体3の開放状態では、弁体3の凹溝126と内筒4の大径穴127とにより、弁体3の外周部と内筒4の内周部との間にも流路が形成され、これによりゴミなどを押し流すことができ、弁体3と内筒4との隙間へのゴミの噛み込みや溜まりを防止して、弁1の動作不良を防止できる。なお、弁1を開いた状態では、内筒4のパッキン38は、弁体3の凹溝126と対応した高さに配置される。
ところで、このような構成は、円筒状の弁体3を上下動させて、上下の止水部(パッキン37,38)間の隙間を開閉する弁1であれば、その他の構成の弁にも同様に適用可能である。さらに、ここでは弁体3が全開状態において、弁体3と内筒4との間に隙間を形成してゴミを押し流す構成としたが、弁体3の全開状態ではなく、弁体3を開閉させる動作中の一時期においてのみ、弁体3の外周部と内筒4の内周部との間に流路が形成されてもよい。その他の構成は、前記実施例と同様のため、説明は省略する。
また、前記実施例では、弁箱2には連通口9を一つ設けたが、連通口9を複数設けてもよい。さらに、前記実施例では、弁体3は、内筒4の内側にはめ込まれたが、場合により、内筒4の外側にはめ込まれてもよい。
また、前記実施例では、クランク16に設けたクランクピン24に、コネクティングロッド17に設けた軸受穴25を回転可能にはめ込んだが、これとは逆に、コネクティングロッド17の側にクランクピン24を突出して設け、これをクランク16に設けた軸受穴に回転可能にはめ込んでもよい。さらに、前記実施例では、コネクティングロッド17と弁体3とを球面軸受で接続したが、場合によりピンにより接続してもよい。
また、前記実施例では、エゼクタ機能を有する弁(塩水弁108)は、仕切プレート34の連通穴39にノズル63を設け、弁体3にディフューザ70を設けたが、場合により、これとは逆に、仕切プレート34の連通穴39にディフューザ70を設け、弁体3にノズル63を設けてもよい。
また、前記実施例では、内筒4の先端部と仕切プレート34との円環状の隙間を、弁体3の周側壁で開閉する構成としたが、場合により、内筒4の周側壁に設けた開口を、弁体3の周側壁で開閉する構成としてもよい。
また、前記実施例では、弁箱2、弁体3および仕切プレート34が、いずれも円筒状とされたが、場合により角筒状とされてもよい。さらに、前記実施例では、弁箱2に凹部52を設け、仕切プレート34に凸部51を設けたが、これとは逆に、弁箱2に凸部を設け、仕切プレート34に凹部を設けてもよい。また、凸部51や凹部52の形状は、前記実施例のように略矩形状に限らず、適宜に変更可能である。
また、前記実施例の軟水器110では、増設弁列76を設けたが、場合によりこれは省略可能である。その場合、増設弁列76だけでなく、増設補修弁列77も不要なことは言うまでもない。すなわち、増設弁列76は、必要とされる通水量に応じて、適宜に追加されるものである。大流量を通水する場合、主弁列74と増設弁列76との二系統から給水することで、通水時の圧力損失を軽減することができる。しかも、増設弁列76の駆動は、主弁列74の駆動系統を利用することができる。その上、主弁列74と増設弁列76とは、並列の配管とされるので、配管が簡素化される。
さらに、前記実施例では、軟水器110を構成した例について説明したが、濾過機などのその他の水処理装置を構成することもできる。しかも、水以外の液体または気体を取り扱う各種の流体処理装置を構成することもできる。所望数の弁1を用い、所望の仕切プレート34で各弁箱2,2間を接続することで、様々な処理フローを実現することができる。