JP5369256B2 - 杖用発光装置 - Google Patents

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本発明は、お年寄りや身体障害者等が使用する杖の先端側に取り付けられる杖用発光装置に関するものである。
お年寄りや身体障害者等に杖が利用されているが、杖の利用者は、健常者に比較すると機敏な動作ができない。そのため、特に、杖の利用者が夜間や暗いところ等を歩行する際には、遠方よりその杖の利用者を認識できることが望まれる。そこで、従来、杖の利用者を周囲に認識させるために、杖の内部に電池を設けて該電池により蛍光灯等の照明装置を点灯させる構成や、杖を蓄光材で成形する構成、反射光を利用して杖を認識させる構成等が提案されている(例えば、特許文献1、参照。)。
特許公開2000−33006号
しかしながら、蓄光材や反射光の利用では、遠方からの認識が難しく、一方、電池を用いて照明装置を点灯させる構成は、電池切れの不安があり、また、電池交換の手間がかかるといった問題もあった。その手間を省くため、杖に発電機を内蔵させると、複雑な構造等の関係から杖全体の構成が複雑になってしまい、例えば杖の大型化(太径化)が生じてしまう。さらに、杖は、一般に、強固なアルミニウムにより形成されているが、照明装置を杖に設けて点灯させる場合には、その照明部分を透明や半透明の樹脂パイプ等を用いて形成する必要が生じる。杖には体重がかかることから、樹脂パイプ等では強度的に問題がある。
本発明は、前記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、杖の大型化を招くことなく、簡単な構成で電池交換の手間も要らず、強度的な心配も不要で、杖の利用者を適切に認識させることができる杖用発光装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、少なくとも先端側に軸孔が形成されている杖の先端側に取り付けられる杖用発光装置であって、ケース上面を杖の先端面と対向させて該杖の先端側に配置されるケースと、該ケースを覆う態様で前記杖の先端部位に設けられるゴムカバーとを有し、前記ケースの内側には対を成す圧電素子が上下方向に対向する態様で設けられ、これらの圧電素子はその面を互いに間隔を介して対向させて配置されて前記圧電素子の端部が前記ケースの側壁側に設けられた支持部に支持されており、前記ケース内には前記圧電素子同士の間隔領域に、外部から加えられる振動に応じて少なくとも上下に可動し前記圧電素子の面に衝突する重り部が設けられており、前記ケースには前記重り部が前記圧電素子に衝突したときに該圧電素子に生じる起電力によって発光する発光素子が一つ以上配置されており、該発光素子により発した光を外部に導く光導出孔が前記ゴムカバーに設けられており、前記ケース上面には突起軸が上側に向けて突出形成されて前記杖の軸孔に挿入される構成と成していることを特徴とする。
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記発光素子は突起軸の外周側に複数設けられており、それぞれの発光素子の発光面に対応させて光導出孔がゴムカバーに形成されていることを特徴とする。
さらに、前記第3の発明は、前記第2の発明の構成に加え、発光素子から光導出孔を通して外部側に導かれる光をゴムカバーの周方向に拡散させる拡散リングが設けられていることを特徴とする。
さらに、第4の発明は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記重り部は弾性体により形成された水平方向の梁部によって片持ち梁または両持ち梁でケース内に支持されている構成をもって課題を解決する手段としている。
本発明の杖用発光装置は、少なくとも先端側に軸孔が形成されている杖の先端側に取り付けられるもので、圧電素子を内蔵して杖の先端側に配置されるケースと、圧電素子の起電力で発光する発光素子と、前記ケースを覆う態様で杖の先端部位に設けられるゴムカバーと、ケース上面に突出形成された突起軸とを有する簡単な構成であり、小型に形成することができる。そして、突起軸を杖の軸孔に挿入し、ゴムカバーで杖の先端領域を覆うことにより、一般的に杖の先端側に取り付けられるゴム製の脚部(ゴム脚部)の代わりに取り付けることができる。また、杖用発光装置に設けられている発光素子が圧電素子の起電力で発光するので、本発明では、電池等が不要で省エネ化が可能であり、電池を設ける場合と異なり、電池切れの心配もないし、電池交換の手間も不要であり、さらに、発電機を設ける場合のような複雑な構造も不要である。
また、本発明は、ケースの内側に、対を成す圧電素子を上下方向に対向する態様で設けて、その面を互いに間隔を介して対向させて配置し、その圧電素子同士の間隔領域に設けた重り部が外部から加えられる振動に応じて上下に可動して圧電素子の板面に衝突したときに発光素子が発光する構成であるので、杖の利用者が、杖をついて歩くときに、杖用発光装置が地面等に接して重り部が上下に可動することにより、圧電素子が振動してその起電力により発光素子が発光する。そして、この光がゴムカバーに設けられた光導出孔から外部に導かれるので、杖の利用者が杖をつくたびに、発光素子の発光による光が外部に導出され、利用者の杖をつきながらの歩行に伴って光が点滅することになり、光を点灯させるよりも、より一層、杖の利用者を適切に認識させることができる。
さらに、本発明によれば、前記ケース上面には突起軸が上側に向けて突出形成されて、前記杖の軸孔に挿入される構成と成しているため、杖の利用者が杖をついて杖に体重がかかったときにも、ゴムカバーが座屈してしまうことを防ぐことができる。そのため、杖の使い勝手を損なうことを防ぐことができるし、ゴムカバーが杖から外れそうになることを防ぐことができる。
さらに、本発明において、発光素子を突起軸の外周側に複数設け、それぞれの発光素子の発光面に対応させて光導出孔をゴムカバーに形成することによって、杖用発光装置の複数箇所から光を発光させることができる。したがって、杖の利用者をより一層適切に、外部の人に認識させることができる。特に、複数設けた発光素子から光導出孔を通して外部側に導かれる光を、ゴムカバーの周方向に拡散させる拡散リングを設けることにより、ゴムカバーの周方向全体から光を発することができる。したがって、杖の利用者を、外部の人がどの方向からも認識できるようにすることができる。
さらに、本発明において、重り部は弾性体により形成された水平方向の梁部によって片持ち梁または両持ち梁でケース内に支持することにより、杖の振動が生じていないときに、重り部を安定した位置に設けておくことができる。
本発明に係る杖用発光装置の一実施例を示す模式的な説明図(a)〜(d)と、杖用発光装置を杖に接続した状態の模式的な説明図(e)である。 実施例の杖用発光装置に設けられている圧電素子の配置態様と、圧電素子と発光ダイオードとの接続構成を模式的に示す説明図である。 発光ダイオードの形状を説明するための斜視図(a)、(b)と背面図(c)である。 実施例において、重り部の振動動作とそれに伴う発光ダイオードの発光動作を模式的に示す説明図である。 本発明に係る杖用発光装置の他の実施例に設けられている重り部の配設構成を模式的に示す説明図である。 本発明に係る杖用発光装置のさらに他の実施例に設けられている重り部の配設構成を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明に係る杖用発光装置の一実施例が模式的な説明図により示されている。この杖用発光装置1は、図1(e)に示すように、杖20の先端側に取り付けられるものであり、ここで、杖20は、一般に用いられているアルミニウム製のパイプ状の杖であり、少なくとも先端側に、図1(a)に示すような軸孔21が形成されている。なお、図1(a)、(b)には、本実施例の杖用発光装置1の断面図が、杖20の先端側に取り付けた状態で示されており、図1(b)は、図1(a)のA−A線により切断した図を示す。また、図1(a)は、杖用発光装置1を杖20の中心軸に沿って切断した図を示すが、Cに示す領域のみ、図1(b)のB−B線で切断した状態で示す。
図1(a)に示すように、杖用発光装置1は、杖20の先端型に配置されるケース2を有しており、ケース2は、ケース上面(ケース2の蓋の上面)2aを杖20の先端面と対向させて配置される。ケース2はケース本体2Aを有し、該ケース本体2Aに蓋部2Bをねじ19によってねじ止めして形成されている。ケース20の上面にはボルトにより形成された突起軸6が上側に向けて突出形成されており、この突起軸6が杖20の軸孔21に挿入される構成と成1している。突起部6の外周側には、軸孔21との隙間を埋める態様で、例えばゴム紐15が巻き付けられており、杖用発光装置1が杖20に対して、がたつきの無い状態で固定されている。
なお、ゴム紐15の代わりに、ゴム製の筒体を設けてもよいし、ゴム以外の弾性体を巻き付けたり弾性体の筒体を設けたりしてもよい。また、ボルトの突起軸6の頭部は外周側に張り出しており、その頭部と軸孔21との隙間が殆ど生じないように形成すれば、ゴム等の弾性体を設けなくても、前記がたつきを防ぐことができる。
前記ケース2を覆う態様で、杖の先端部位に設けられるゴムカバー9が設けられている。ゴムカバー9は、ケース2の側壁2bの周りとケース2の底面2cと、杖20の先端領域の外周側とを覆う態様で設けられており、その杖20の外周側を覆う領域は、杖20の基端側(図1(a)の上部側)に向かうにつれて厚みが薄く形成されている。
なお、図1(c)には、ゴムカバー9の斜視図が分解状態で示されており、図1(d)には、ゴムカバー9の斜視図が、その一部を透かした状態で示されている。これらの図に示すように、ゴムカバー9は、筒状のカバー本体9Aと、ケース2の底面2cを覆う底板部9Bとを有し、この底板部9Bとカバー本体9Aは、接着剤等により固定されている。また、筒状のカバー本体9Aの内側には、杖20の径に対応する大きさの筒孔11と、ケース2の径に対応する大きさの(筒孔11より大きい)筒孔12とが段部を介して連通して設けられており、その段部には、図1(b)、(d)に示すLED(発光ダイオード)嵌合部24が形成されている。このLED嵌合部24には、それぞれ、発光ダイオード(LED)4が嵌合されている。
また、図1(a)に示すように、前記ケース2の内側には、対を成す板状の圧電素子7が上下方向に対向する態様で設けられている。これらの圧電素子7は、その面を互いに間隔を介して対向させて配置されており、図2(b)に示すように、圧電素子7の端部がケース2の側壁2b側に設けられた支持部3に支持されている。なお、上側に配置された圧電素子7とケース上面2aとの間には隙間が形成され、また、下側に配置された圧電素子7とケース底面2cとの間にも隙間が形成されている。この隙間は、例えばケース上面2aおよびケース底面2cの圧電素子7に対向する面を凹ませて形成したり、ケース上面2aおよびケース底面2cにおいて圧電素子7の外周側に対向する部位に、薄いワッシャを挟んだりすること等により設けられている。
図1(a)に示すように、ケース2内には圧電素子7同士の間隔領域に重り部8が設けられており、重り部8は、弾性体により形成された水平方向の板状の梁部18によって、片持ち梁でケース2内に支持されている。重り部8は、図4に示すように、外部から加えられる振動に応じて少なくとも上下に可動し、圧電素子7の面に衝突する。そうすると、この衝突の衝撃によって、上側の圧電素子7は上側に凸に変形し、下側の圧電素子7は下側に凸に変形する。なお、本実施例では、圧電素子7に重り部8が衝突したときの、圧電素子7に加わる衝撃が大きくなりすぎないように、上側に配置された圧電素子7とケース上面2aとの間隔を5mm以下とし、下側に配置された圧電素子7とケース底面2cとの間隔を5mm以下としている。
図1(a)に示すように、ケース2の上には、発光ダイオード4が配置されており、その上側に前記ゴムカバー9の段部が配置されて、発光ダイオード4がゴムカバー9のLED嵌合部24に嵌合されている。なお、発光ダイオード4は、図3に示すように、鍔部25と端子部23(23a,23b)とを有し、カソード側の端子23bが配置されている側が平坦にカットされた形状と成している。そこで、この平坦部が下になるようにして、ケース2の上に配置され、固定されている。なお、端子23aは、アノード側の端子である。
発光ダイオード4は、前記重り部8が圧電素子7に衝突したときに、該圧電素子7に生じる起電力によって発光する発光素子として機能するものである。発光ダイオード4は、図2(b)に示すように、リード線17を介して圧電素子7に電気的に接続され、図2(b)、図4にそれぞれ示すように、1つの圧電素子7に、対応する発光ダイオード4が2つずつ接続されている。リード線17と圧電素子7との接続は、半田付け等により行われている。
前記ゴムカバー9には、発光ダイオード4により発した光を外部に導く光導出孔5が、各発光ダイオード4の発光部22の発光面に対応させて、前記LED嵌合部24に連通する態様で設けられている。また、ゴムカバー9の外周側には、発光ダイオード4から光導出孔5を通して外部側に導かれる光を、ゴムカバー9の周方向に拡散させる拡散リング10が設けられている。拡散リング10は、半透明性樹脂(できれば、光拡散用樹脂がよい)により形成されている。
本実施例では、杖20の利用者が杖20を地面等につくたびに、重り部8が図4に示したように振動して上下の圧電素子7に衝突し、この衝突時に圧電素子7に生じる起電力によって発光ダイオード4が発光するので、杖20の利用者の、杖20をつきながらの歩行に伴い、光が点滅し、遠方からでも杖20の利用者を認識させることができる。
なお、本発明は前記実施例に限定されることなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、前記実施例では、重り部8を梁部18によって片持ち梁で支持したが、図5に示すように、ばね状の梁部28によって、両持ち梁で支持してもよい。また、図6に示すように、重り部8は、梁部等により支持することなく、自由に動けるように配設してもよい。
また、重り部8は複数設けてもよい。この場合、例えば重り部8を図1(a)や図5の紙面に垂直な方向に互いに間隔を介して設け、重り部8の重さや、梁部18,28のバネ定数等を互いに異なるものとして、重り部8が圧電素子7に衝突するときの振動の大きさや衝突のタイミングを異なるものとするとよい。そうすると、圧電素子7を重り部8がたたく回数が変化して、圧電素子7の振動により生じる起電力によって発光する発光ダイオード4の単位時間当たりの発光回数が多くなり、発光ダイオード4の発光によって、より一層、杖の利用者を適切に認識させることができる。
さらに、前記実施例では、ゴムカバー9に拡散リング10を設けたが、拡散リング10は省略することもできる。さらに、前記実施例では、複数の発光ダイオード4を設けたが、発光ダイオード4は一つでもよい。この場合、拡散リング10を設けてもよいが、一つの発光一つの発光ダイオード4の発光面に対応させて、リング状ではない拡散板を設けてもよい。なお、ダイオード4を設ける場合も、複数の発光ダイオード4を設ける場合も、その配置態様は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。また、発光ダイオード4の代わりに、圧電素子7衝突したときに該圧電素子に生じる起電力によって発光する他の発光素子を設けてもよい。
本発明は、簡単な構成で杖の先端部から光を発する装置を提供できるので、様々な杖に対応させて、お年寄りや身体障害者の杖用の発光装置として利用できる。
1 杖用発光装置
2 ケース
3 支持部
4 発光ダイオード
5 光導出孔
6 突起軸
7 圧電素子
9 重り部
9 ゴムカバー
10 拡散リング
17 リード線
18,28 梁部
20 杖
21 軸孔

Claims (4)

  1. 少なくとも先端側に軸孔が形成されている杖の先端側に取り付けられる杖用発光装置であって、ケース上面を杖の先端面と対向させて該杖の先端側に配置されるケースと、該ケースを覆う態様で前記杖の先端部位に設けられるゴムカバーとを有し、前記ケースの内側には対を成す圧電素子が上下方向に対向する態様で設けられ、これらの圧電素子はその面を互いに間隔を介して対向させて配置されて前記圧電素子の端部が前記ケースの側壁側に設けられた支持部に支持されており、前記ケース内には前記圧電素子同士の間隔領域に、外部から加えられる振動に応じて少なくとも上下に可動し前記圧電素子の面に衝突する重り部が設けられており、前記ケースには前記重り部が前記圧電素子に衝突したときに該圧電素子に生じる起電力によって発光する発光素子が1つ以上配置されており、該発光素子により発した光を外部に導く光導出孔が前記ゴムカバーに設けられており、前記ケース上面には突起軸が上側に向けて突出形成されて前記杖の軸孔に挿入される構成と成していることを特徴とする杖用発光装置。
  2. 発光素子は突起軸の外周側に複数設けられており、それぞれの発光素子の発光面に対応させて光導出孔がゴムカバーに形成されていることを特徴とする請求項1記載の杖用発光装置。
  3. 発光素子から光導出孔を通して外部側に導かれる光をゴムカバーの周方向に拡散させる拡散リングが設けられていることを特徴とする請求項2記載の杖用発光装置。
  4. 重り部は弾性体により形成された水平方向の梁部によって片持ち梁または両持ち梁でケース内に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の杖用発光装置。
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