本発明は、ハニカム構造体のセルの開口端部に目封止部を形成するための目封止ハニカム構造体の製造装置、及びその製造方法に関する。
内燃機関、ボイラー等の排気ガス中の微粒子や有害物質は、環境への影響を考慮して排気ガス中から除去する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される微粒子(以下、PMということがある)の除去に関する規制は欧米、日本国内ともに強化される方向にあり、PMを除去するための捕集フィルタにハニカム構造体が用いられている。
このような目的で使用されるフィルタとしては、隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成され、複数のセルの一方の開口端部及び他方の開口端部を互い違いに目封止する目封止部を備えた目封止ハニカム構造体を利用したハニカムフィルタが挙げられる。このようなハニカムフィルタによれば、排ガス流入側端面からセル内に排ガスG1を流入させることにより、排ガスG1が隔壁を通過する際に排ガス中のパティキュレートが隔壁に捕集されるため、パティキュレートが除去された浄化ガスG2を浄化ガス流出側端面から流出させることが可能となる。
そして、上記のような目封止ハニカム構造体の製造方法として、例えば、ハニカム構造体(未焼成のセラミック乾燥体)の一方の端面に、粘着シート等を貼着し、画像処理を利用したレーザ加工等によりその粘着シート等の目封止すべきセル(目封止セル)に対応する部分のみに孔開けをしてマスクとし、そのマスクが貼着されたハニカム構造体の端面をスラリー(セラミックスラリー)中に浸漬し、ハニカム構造体の目封止セルにスラリーを充填して目封止部を形成し、これと同様の工程をハニカム構造体の他方の端面についても行った後、乾燥し、焼成することにより目封止ハニカム構造体を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のように粘着シートに孔開けを行い、この粘着シートをマスクとしてスラリー中にハニカム構造体を浸漬する方法によれば、浸漬するためのスラリーを平準化するために作業時間を要するため、コストアップの要因となっていた。また、平準化は非常に繊細な工程で、少々のずれで外周部が厚くなったり薄くなったりするために目封止深さの均一化が難しい。平準化精度が深さ精度に一致するため平準化工程にかなりの労力と時間を必要とする。また浸漬した端部を汚さないためにフィルムを折り曲げる必要があるが、適切な折り曲げをするのは、容易ではない。また目封止後に、折り曲げて側面に貼付したフィルムを剥がすことも容易ではなく、自動化の障害となる。
本発明の課題は、製造時間を短縮することにより製造コストを削減することが可能な目封止ハニカム構造体の製造装置、及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、貫通孔を有するテーブル部に、端面をフィルムで覆ったハニカム構造体をテーブル部の第一面側に端面が現れるように挿入し、フィルムをテーブル部の反対側の第二面側で保持することにより、フィルムを端面に密着させ、その後、そのフィルムに孔を形成して、目封止材料をハニカム構造体のセルに充填することができることを見出した。すなわち、本発明によれば以下の目封止ハニカム構造体の製造装置、及びその製造方法を提供することができる。
[1] 多孔質の隔壁を有し前記隔壁によって一方の端面から他方の端面まで貫通する複数のセルが区画形成されたハニカム構造体の端部が挿入される貫通孔を有するテーブル部と、前記テーブル部または前記ハニカム構造体を移動させ、前記テーブル部の前記貫通孔内に、前記端面をフィルムが覆った状態にて前記テーブル部の第一面側に前記端面が現れるように前記ハニカム構造体を位置決めして保持する位置決め手段と、前記ハニカム構造体の前記端面を覆った状態の前記フィルムの残余の部分を前記テーブル部の第二面側にて固定して前記フィルムをマスクとするためのフィルム保持部と、を備える目封止ハニカム構造体の製造装置。
[2] 孔が形成された前記マスク上または前記テーブル部上に流動性を有する目封止材料を供給する目封止材料供給手段と、前記マスク上または前記テーブル部上に供給された前記目封止材料を前記セル内に充填する充填手段と、を備える前記[1]に記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[3] 前記ハニカム構造体の前記端面を覆った前記フィルムに、一部の前記セルの開口に対応するように孔を形成する孔開け手段を備える前記[1]または[2]に記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[4] 前記テーブル部の前記貫通孔は、前記第一面側よりも前記第二面側の径が大きく形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[5] 前記テーブル部の前記貫通孔は、前記第一面側よりも前記第二面側の径が大きくなるようにテーパー状に形成されている前記[4]に記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[6] 前記テーブル部の前記貫通孔は、前記第一面側よりも前記第二面側の径が大きくなるように段差を有して段状に形成されている前記[4]に記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[7] 前記テーブル部の前記第一面と、前記フィルム保持部の厚さ方向の前記第一面側の先端面との高さが、0〜20mmである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[8] 前記フィルム保持部は、前記ハニカム構造体が位置決めされる内径側に、前記テーブル部側へ突出した凸部が設けられている前記[1]〜[7]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[9] 前記フィルム保持部は、前記テーブル部の前記第二面に合致する形状に形成されており、前記フィルムを前記第二面との間に挟んで固定する前記[1]〜[8]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[10] 前記位置決め手段は、前記ハニカム構造体の前記端部を前記テーブル部の前記貫通孔に挿入した第一位置に位置決めし、前記テーブル部の前記第二面側にて前記フィルムを固定した後に、前記フィルムを前記ハニカム構造体の前記端面に密着させるために、前記ハニカム構造体を相対的に前記第一面側に移動させた第二位置に位置決めする前記[1]〜[9]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体の製造装置。
[11] 多孔質の隔壁を有し前記隔壁によって一方の端面から他方の端面まで貫通する複数のセルが区画形成されたハニカム構造体の前記セルを目封止する目封止ハニカム構造体の製造方法において、貫通孔を有するテーブル部の前記貫通孔内に前記ハニカム構造体の端部を挿入し、前記端面をフィルムが覆った状態にて前記テーブル部の第一面側に前記端面が現れるように前記ハニカム構造体を位置決めし、前記端面を覆わない前記フィルムの残余の部分を前記テーブル部の第二面側にて固定することにより、前記フィルムを保持し、一部の前記セルの開口に対応するように孔が形成された前記フィルムを、または孔を形成して前記フィルムをマスクとし、そのマスク上またはマスクと同一平面上に流動性を有する目封止材料を供給し、その後、前記ハニカム構造体の前記セル内に前記目封止材料を充填する目封止ハニカム構造体の製造方法。
[12] 前記テーブル部の前記第二面と可動するフィルム保持部との間に前記フィルムを挟んで前記フィルムを前記テーブル部の第二面側にて固定する前記[11]に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
[13] 前記テーブル部の前記第二面側にて前記フィルムを固定した後に、前記ハニカム構造体を相対的に前記第一面側に移動することにより、前記フィルムを前記ハニカム構造体の前記端面に密着させる前記[11]または[12]に記載の目封止ハニカム構造体の製造方法。
位置決め手段によって、ハニカム構造体の端部をテーブル部の貫通孔に挿入した状態でハニカム構造体とテーブル部との位置決めを行うことができる。また、フィルム保持部によって、ハニカム構造体の端面を覆った状態のフィルムの残余の部分をテーブル部の第二面側にて固定することができる。これにより、フィルムの孔からハニカム構造体のセル内に目封止材料を充填し、目封止ハニカム構造体を製造することができる。フィルムを折り畳まずに目封止することができるため、その後、フィルムを容易に剥がすことが可能であり、この工程を自動化することも可能である。また、テーブル部の貫通孔やフィルム保持部の凸部の形状を工夫しテーパー等を設けることにより、使用する目封止材料を従来よりも減らせるため、目封止材料の使用率を向上させ、目封止材料の装置への補充頻度を減少させることもできる。さらに、フィルム上に目封止材料を供給することができるため、装置等に目封止材料が漏れたりすることが少なく、装置等の汚れを防止することができる。目封止のばらつきが発生しにくく、不良品の発生を減少させ、良品率を向上させることもできる。
本発明の目封止ハニカム構造体の製造装置を示す斜視図である。
実施形態1のテーブル部とフィルム保持部の一部拡大断面図である。
第一位置から第二位置への移動を説明するための図である。
高さが高い場合の不都合を説明するための図である。
実施形態2のテーブル部とフィルム保持部の一部拡大断面図である。
実施形態3のテーブル部とフィルム保持部の一部拡大断面図である。
実施形態4のテーブル部とフィルム保持部の一部拡大断面図である。
目封止工程を説明するための図である。
図7Aに続く目封止工程を説明するための図である。
図7Bに続く目封止工程を説明するための図である。
目封止材料の充填を説明するための図である。
他の実施形態のフィルム保持部を説明するための図である。
図9Aに続く他の実施形態のフィルム保持部を説明するための図である。
符号の説明
1:ハニカム構造体、2:隔壁、3:セル、8:端面、10:製造装置、11:テーブル部、11a:第一面、11b:第二面、11h:貫通孔、11s:テーパー面、12:支持台、13:フィルム保持部、13a:先端面、13h:貫通孔、13s:テーパー面、13t:凸部、14:ガイド部、15:撮像装置、16:レーザ、23:目封止材料供給装置、24:充填装置、24s:加圧面、25:フィルム、31:目封止材料、32:目封止部。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
図1に本発明の目封止ハニカム構造体の製造装置10を示す。目封止ハニカム構造体の製造装置10は、ハニカム構造体1の端部を挿入するための貫通孔11hを有するテーブル部11と、テーブル部11の貫通孔11h内に、第一面11a側に端面8が現れるようにハニカム構造体1を位置決めして保持する位置決め手段と、フィルム25の残余の部分をテーブル部11の第二面11b側にて固定するフィルム保持部13と、を備える。
テーブル部11は、板状に形成されて、ハニカム構造体1を挿入するための貫通孔11hが設けられている。貫通孔11hは、第一面11a側よりも第二面11b側の径が大きく形成されている。具体的には、図2Aに示すように、貫通孔11hは、第一面11a側よりも第二面11b側の径が大きくなるようにテーパー状に形成されている。後述するように、テーブル部11の第一面11a上に、流動性を有する目封止材料31を供給して、充填装置24を用いて目封止材料31をセル3に充填することができる。
位置決め手段として、図1に示す実施形態においては、上下方向に移動可能に構成された支持台12を備える。支持台12にハニカム構造体1を載置して、上昇することにより、ハニカム構造体1をテーブル部11の貫通孔11hに挿入し、その端面8がテーブル部11の第一面11a(上面)側に現れる状態で、位置決めすることができる(図2B参照)。なお、位置決め手段は、支持台12が移動するように構成することもできるが、テーブル部11を上下方向に移動可能に構成し、テーブル部11の下降により、ハニカム構造体1をテーブル部11に位置決めするようにすることもできる。すなわち、テーブル部11とハニカム構造体1とを相対的に移動させられるように構成すればよい。
フィルム保持部13は、凸部13tが設けられてテーブル部11の第二面11b(下面)に合致する形状に形成され、上下方向に移動可能に構成されており、テーブル部11に位置決めされたハニカム構造体1の端面8を覆ったフィルム25の残余の部分をテーブル部11の第二面11bとの間に挟むことにより、フィルム25をハニカム構造体1の端面8に密着固定する機能を有する。フィルム保持部13は、具体的には、図2Aに示すように、ハニカム構造体1の端部を挿入するための貫通孔13hが形成され、貫通孔13hの径方向の内側端部に上に延出した凸部13tが形成され、その凸部13tには、テーブル部11の貫通孔11hのテーパー面11sに合致するように、テーパー面13sが形成されている。フィルム保持部13とテーブル部11によりフィルム25を挟んで固定した後に、図2Bに示すように、ハニカム構造体1を第一位置から第二位置へ移動させることにより、よりフィルム25を端面8に密着させることができる。フィルム保持部13とテーブル部11によりフィルム25を挟んで固定するため、従来のようにフィルム25を折り畳んでハニカム構造体1に密着させる必要がなく、フィルム25の取り外しも容易である。なお、凸部13tは、フィルム保持部13と一体として形成してもよいが、別体として形成して組み合わせて使用するように構成してもよい。
テーブル部11とフィルム保持部13とによってフィルム25を挟んだ状態における、フィルム保持部13の厚さ方向の第一面11a側の先端面13aとテーブル部11の第一面11aとの高さは、(図2B参照)は、0〜20mmであるように構成するとよい。このように構成することにより、目封止材料31をフィルム25上の供給した場合に、貫通孔13h内のフィルム25上に目封止材料31が溜まることを極力少量にすることができる。
一方、図3に示すように、フィルム保持部13の先端面13aに対するテーブル部11の第一面11aの高さが20mmを超えると、貫通孔13h内のフィルム25上に目封止材料31が溜まり、後述するように充填装置24にて目封止する際に(図8参照)、十分に圧をかけてセル3内に目封止材料31を充填することができなくなる。
フィルム保持部13とハニカム構造体1の間の水平方向のクリアランス(図2B参照)は、20mm以下が望ましい。20mm以上となると、目封止材料31が溜まり過ぎて、フィルム保持開放後に目封止材料31がハニカム構造体1に付着してしまう。
フィルム保持部13及びテーブル部11のフィルム25を挟む面の少なくとも一方の材質が、硬度60〜90°(JIS K 6253(デュロメータ タイプA))のウレタンであることが望ましい。また上記相当の樹脂であれば構わない。フィルム保持部13やテーブル部11が金属で形成されている場合、フィルム25に触れる面に上記ウレタン等を貼付すればよい。この硬度の材質を用いることによって、隙間無くフィルム25を固定することができ、かつ、十分な圧力をかけることが可能となる。硬度90°以上や金属同士などでは、フィルム25の破損や片辺りが生じてしまい、十分に固定することができない。硬度60°以下の場合は変形量が大きすぎて保持力不足の為に十分な圧力をかけることができなくなる。
フィルム25の厚みは15〜100μmが望ましい。この範囲内であると、十分に圧力をかけて充填できる。100μmよりも厚くなると、フィルム固定時に柔軟性不足からシワが発生し、目封止材料31の漏洩が生じる。15μmよりも薄くなると、強度不足から十分な圧力がかけられなくなる。
次に、テーブル部11とフィルム保持部13の形状の他の実施形態を説明する。図4に示すように、テーブル部11の貫通孔11hは、第一面11a側よりも第二面11b側の径が大きくなるように段差を有して、つまり段状に形成されている。
また、図5及び図6に示すように、フィルム保持部13の径方向の内側端部の上に延出した凸部13tは、その先端がテーブル部11の第一面11a近傍まで、または第一面11aと面一に形成されていてもよい。なお、図5のように、凸部13tの先端が尖っている場合は、その稜線部分を先端面13aとして考えることにする。また図6は、フィルム保持部13の先端面13aとテーブル部11の第一面11aとの高さが、0mmの場合である。テーパー形状や段差を有する形状とすることにより、図3のように貫通孔13h内のフィルム25上に目封止材料31が溜まることがなく、十分に圧をかけて目封止材料31を充填することが可能である。
本発明の目封止ハニカム構造体の製造装置10は、孔が形成されたマスク上またはテーブル部11上に流動性を有する目封止材料31を供給する目封止材料供給手段と、マスク上またはテーブル部11上に供給された目封止材料31をセル3内に充填する充填手段とを備えるように構成することもできる。このように構成することにより、製造ラインの自動化を行うことができる。
目封止材料供給手段としては、マスク上またはテーブル部11上に流動性を有する目封止材料31を供給する目封止材料供給装置23を備える(図7C参照)。目封止を施すために使用する目封止材料31(スラリー)は、例えば、セラミック粉末、結合剤、解膠剤を混合したものに、分散媒として水を加えて混合したものである。なお、セラミックとしては、コージェライト、ムライト、アルミナ、及び炭化珪素等を使用できる。
充填手段としては、テーブル部11上またはマスク上を移動しつつ、マスクの孔を介してセル3内に目封止材料31を充填するために、マスクの表面に対して鋭角に配置され目封止材料31を加圧する加圧面24sを有した充填装置24を備える(図8参照)。
さらに、目封止ハニカム構造体の製造装置10は、ハニカム構造体1の端面8を覆ったフィルム25に、一部のセル3の開口に対応するように孔を形成することによりフィルム25をマスクとする孔開け手段を備えるように構成することもできる。なお、孔開け手段は、製造装置10に備えず、別の製造ラインにおいて孔開けを行うように構成してもよい。
孔開け手段としては、ハニカム構造体1の端面8を撮像するための撮像装置15、撮像装置15によって撮影された画像データに基づいて、フィルムに孔を形成するためのレーザ16を備える(図7A参照)。撮像装置15については、特に限定されるものではないが、例えば、CCD(charge−coupled device)カメラやX線CT(computed tomography)スキャナー等を好適に用いることができる。
目封止されるハニカム構造体1は、例えば、図1に示すように、多孔質の隔壁2を有し隔壁2によって一方の端面8から他方の端面8まで貫通する複数のセル3が区画形成されたものであり、セラミック材料によって形成されている。より具体的には、強度、耐熱性等の観点から、コージェライト、ムライト、アルミナ、炭化珪素等、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるセラミックを含む。
そして、上記原料にバインダー、有機造孔材、界面活性剤及び水等を添加して、可塑性の坏土を作製し、坏土を、例えば押出成形することにより、隔壁2により仕切られた軸方向に貫通する多数のセル3を有する円柱形状のハニカム構造体1として成形されている。
次に、図7A〜図7Cを用いて、本発明の目封止ハニカム構造体の製造装置10を用いた目封止ハニカム構造体の製造方法を説明する。まず、フィルム25に、一部のセル3の開口に対応するように孔を形成することによりフィルム25がマスクとなるようにする。具体的には、図7Aに示すように、ハニカム構造体1の端面8にフィルム25を貼付し、端面8を撮像装置15にて撮像して、目封止すべきセル3と目封止すべきではないセル3の形状及び位置を特定し得る画像データを取得する(工程1)。次に、前工程により取得された画像データに基づいて、レーザ16によってフィルム25に、一部のセル3の開口に対応するように孔を形成することによりマスクとなるようにする(工程2)。したがって、撮像装置15及びレーザ16は、孔開け手段を構成する。なお、製造装置10に孔開け手段を備えて、これらの工程を行うように構成してもよいし、別の装置で行うように構成してもよい。
次に、図7Bに示すように、ハニカム構造体1を支持台12に載置する(工程3)。そして、支持台12を上昇させ、ハニカム構造体1の端部をテーブル部11の貫通孔11h内に挿入する(工程4)。つまり、貫通孔11h内にハニカム構造体1の端部を挿入し、端面8をフィルム25が覆った状態にてテーブル部11の第一面11a側に端面8が現れるようにハニカム構造体1を第一位置に位置決めする(図2B参照)。
そして、フィルム保持部13を上昇させることにより、フィルム保持部13とテーブル部11とによってフィルムを挟んで固定する(工程5)。つまり、端面8を覆わないフィルム25の残余の部分をテーブル部11の第二面11b側にて固定することにより、フィルム25をハニカム構造体1の端面8に密着して保持する。より具体的には、テーブル部11の第二面11bと可動するフィルム保持部13との間にフィルム25を挟む。
なお、工程4〜5において、ハニカム構造体1(支持部12)の上昇の後に、フィルム保持部13の上昇を行うことも可能であるが、ハニカム構造体1(支持部12)の上昇とフィルム保持部13の上昇は同期させることがより好ましい。予め支持部12を上昇させてテーブル部11の貫通孔11hにハニカム構造体1を入れてしまうと、フィルム25が変形し、後からフィルム保持部13が上昇した際にフィルム25の端部を正しくつかめなくなる場合があるからである。
テーブル部11の第二面11b側にてフィルム25を固定した後に、図7Cに示すように、ハニカム構造体1を相対的に第一面11a側に移動することにより、テーブル部11の第一面11a側に端面8が露出した第二位置にて位置決めし、フィルム25をハニカム構造体1の端面8に密着させる(工程6)。すなわち、図2Bに示すように、フィルムを固定した後に、支持台12をさらに上昇させることによりハニカム構造体1を上昇させ、またはテーブル部を下降させ、ハニカム構造体1の端面8がテーブル部11の第一面11aよりも僅かに高くなるようにしてフィルム25を端面8に密着させる。
そして、マスク上またはマスクと同一平面上に流動性を有する目封止材料31を供給し、その後、ハニカム構造体1のセル3内に目封止材料31を充填する。具体的には、図7Cに示すように、目封止材料供給手段である目封止材料供給装置23によって、孔が形成されたマスク(フィルム25)上またはテーブル部11上に流動性を有する目封止材料31(スラリー)を供給する(工程7)。
次に、充填手段である充填装置24によって、マスク上またはテーブル部11上に供給された目封止材料31をセル3内に充填する(工程8)。拡大図を図8に示す。充填装置24は、マスクの表面に対して鋭角に配置され目封止材料31を加圧する加圧面24sとテーブル部11上を移動する移動手段とを有する。テーブル部11に対して位置決めされたハニカム構造体1のマスク上またはテーブル部11上に目封止材料31を供給した後に、充填装置24がテーブル部11上にて移動することにより、マスク上に供給された目封止材料31を加圧面24sにて加圧してハニカム構造体1のセル3内に目封止材料31を充填して目封止部32を形成する。なお、フィルム25の孔開け(工程1〜2)は、工程6の次に行うように構成してもよい。
図9A及び図9Bを用いてフィルム保持部の他の実施形態を説明する。本実施形態では、テーブル部11の下側に、フィルム保持部13が一体として備えられている。図9Aに示すように、フィルム保持部13は、ハニカム構造体1を挿入するための間隙を有した状態で、複数に分割されて(図9Aでは2分割)ガイド部14によって保持されている。支持台12を上昇させることにより、ハニカム構造体1の端部をテーブル部11の貫通孔11h内に挿入した後に、図9Bに示すように、ガイド部14に沿ってフィルム保持部13をスライドさせ、続いてガイド部14を上昇させることにより、ハニカム構造体1の端面8を覆ったフィルム25の残余の部分をテーブル部11とフィルム保持部13によって固定することができる。その後、さらに支持台12を僅かに上昇させ、フィルム25をハニカム構造体1の端面8に密着させる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
コージェライト、ムライト、アルミナ、炭化珪素及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるセラミックを主原料とし、水とバインダーを調合し、分散混合、混練した成形原料を土練機により円柱状に押出して、それを押出し成形機により押出し成形して、セルの寸法が2mm×2mm、ピッチが3mmのハニカム構造体を得た。
次に、得られたハニカム構造体の両端面の複数のセルを、前述の図5に示したフィルム保持部13を有する製造装置を用いて、図7A〜7Cの目封止工程によって、交互に目封止した。フィルム保持部13の材質は、ウレタンゴム(硬度:90°)で、フィルム保持部13の高さは、10mm、クリアランスは、3mm、用いたフィルムの厚みは、75μmであった。図8に示すように充填した際の印圧(充填装置24をシリンダで垂直方向へ加圧する際のエアー圧)は、0.4MPa、充填装置速度(スキージ速度)は、50mm/secとした。
上記条件にて充填を実施した場合、目封止部32の深さの平均値が4.2mmとなり、そのときの深さのばらつきσを0.32mmと低く抑えることができた。
本発明に係るハニカム構造体の製造装置及び製造方法は、触媒装置用の担体又はDPF等のフィルタとして用いられる目封止ハニカム構造体を作製する手段として好適に利用できる。